説明

突入電流抑制装置

【課題】極間コンデンサ付きの3相遮断器の投入時に3相変圧器に流れる励磁突入電流を抑制することが可能な突入電流抑制装置を提供する。
【解決手段】この電力供給システムの制御部13は、閉極指示信号φBに応答して、R相の定常磁束と残留磁束とが一致するタイミングでR相に対応するスイッチ2を投入させた後、S相およびT相の各々の定常磁束と残留磁束の差が最小限になるように、R相の交流電圧の零点から0〜30度の間の予め定められた位相角度だけ遅延したタイミングでS相およびT相に対応するスイッチ3,4を投入させる。したがって、極間コンデンサ5〜7付きの3相遮断器1の投入時に3相変圧器8に流れる励磁突入電流を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は突入電流抑制装置に関し、特に、3相交流電源から3相遮断器を介して3相変圧器に流れる励磁突入電流を抑制する突入電流抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、3相遮断器の投入時に3相交流電源から3相変圧器に励磁突入電流と呼ばれる過渡的な電流が流れることが知られている。励磁突入電流は、3相変圧器の定格電流の数倍から十数倍にもなり、3相交流電圧の瞬時低下などを招く。
【0003】
励磁突入電流を抑制する方法としては、3相変圧器の各相の残留磁束を検出し、基準相の定常磁束と残留磁束とが一致するタイミングで基準相の交流電圧を投入した後、基準相の交流電圧が0になるタイミングで残りの2相の交流電圧を投入する方法がある(たとえば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2004−208394号公報
【特許文献2】特開2006−40566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の突入電流抑制方法では、基準相の交流電圧が0になるタイミングで、残りの各相の定常磁束と残留磁束が一致することを前提としている。
【0005】
しかし、3相遮断器に含まれる3つのスイッチの各々に極間コンデンサが並列接続されている場合は、3つのスイッチを開極しても、3相交流電圧が3つの極間コンデンサを介して3相変圧器に供給される。このため、3相変圧器の各相の残留磁束は、直流成分の磁束に商用周波数成分の磁束が重畳したものとなる。
【0006】
したがって、たとえ残りの2相の残留磁束の直流成分が略同じであったとしても、基準相の投入時に、残りの2相の残留磁束が略同じであるとは限らない。残りの2相の残留磁束に差異がある状態で、残りの2相が上記のタイミングで投入されると、残りの各相の定常磁束と残留位相が一致せず、大きな励磁突入電流が流れてしまう。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、極間コンデンサ付きの3相遮断器の投入時に3相変圧器に流れる励磁突入電流を抑制することが可能な突入電流抑制装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る突入電流抑制装置は、3相交流電源から3相遮断器を介して3相変圧器に流れる励磁突入電流を抑制する突入電流抑制装置であって、3相遮断器は3つのスイッチと3つの極間コンデンサを含むものである。3つのスイッチの一方端子はそれぞれ3相交流電源から3相交流電圧を受け、それらの他方端子はそれぞれ3相変圧器の3相1次巻線の3つの入力端子に接続され、3つの極間コンデンサはそれぞれ3つのスイッチに並列接続される。3相遮断器の閉極時には3相変圧器の各相に定常磁束が発生し、3相遮断器の開極時には3相変圧器の各相に残留磁束が発生する。この突入電流抑制装置は、電圧測定部、残留磁束演算部、および制御部を備える。電圧測定部は、3相のうちの基準相に対応するスイッチの他方端子の電圧を測定する。残留磁束演算部は、3相遮断器の開極時における電圧測定部の測定結果に基づいて3相変圧器の基準相の残留磁束を求める。制御部は、閉極指令信号に応答して、基準相の定常磁束と残留磁束演算部によって求められた残留磁束とが一致するタイミングで基準相に対応するスイッチを投入させた後、基準相以外の各相の定常磁束と残留磁束の差が最小限になるように、基準相の交流電圧の零点から0〜30度の間の予め定められた位相角度だけ遅延したタイミングで残りの2つのスイッチを投入させる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る突入電流抑制装置では、基準相の定常磁束と残留磁束とが一致するタイミングで基準相に対応するスイッチを投入させた後、基準相以外の各相の定常磁束と残留磁束の差が最小限になるように、基準相の交流電圧の零点から0〜30度の間の予め定められた位相角度だけ遅延したタイミングで残りの2つのスイッチを投入させる。したがって、基準相の残留磁束と定常磁束が一致し、残りの各相の残留磁束と定常磁束の差が最小限になるので、極間コンデンサ付きの3相遮断器の投入時に3相変圧器に流れる励磁突入電流を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、この発明の一実施の形態による電力供給システムの要部を示す回路ブロック図である。図1において、この電力供給システムは、3相遮断器1および3相変圧器8を備える。3相遮断器1は、電力供給システムに何らかの事故が発生した場合に電力供給を遮断して電力供給システムなどを保護するものであり、3つのスイッチ2〜4と3つの極間コンデンサ5〜7とを含む。
【0011】
スイッチ2〜4の一方端子は、3相交流電源(図示せず)からのR相、S相、およびT相の交流電圧をそれぞれ受ける。3つのスイッチ2〜4の各々は、独立に制御可能となっている。通常動作時は、スイッチ2〜4が閉極されて電力供給が行なわれる。電力供給システムに何らかの事故が発生した場合は、スイッチ2〜4が開極されて電力供給が遮断される。
【0012】
3つの極間コンデンサ5〜7は、それぞれ3つのスイッチ2〜4に並列接続される。極間コンデンサ5〜7は、近距離線路故障遮断時の過渡回復電圧(TRV:Transient Recovery Voltage)の上昇率を緩和させることなどを目的として設けられている。
【0013】
3相変圧器8は、3相交流電源から供給される3相交流電圧を所望の電圧に降圧して負荷に供給するものであり、星形結線されて中性点が接地された3相1次巻線9と、三角結線された3相2次巻線10とを含む。3相1次巻線9の3つの入力端子は、それぞれスイッチ2〜4の他方端子に接続される。3相2次巻線10の3つの出力端子は、負荷(たとえば3相モータ)に接続される。なお、3相遮断器の閉極時には3相変圧器の各相に定常磁束が発生し、3相遮断器の開極時には3相変圧器の各相に残留磁束が発生する。
【0014】
また、この電力供給システムは、電圧測定部11、残留磁束演算部12、および制御部13を備える。電圧測定部11は、スイッチ2〜4の他方端子(すなわち3相変圧器8の3相1次巻線9の3つの入力端子)の電圧の瞬時値を連続的に測定する。電圧測定部11の測定値は、残留磁束演算部12および制御部13に与えられる。残留磁束演算部12は、3相遮断器1が開極される前後における電圧測定部11の測定値を積分して、3相変圧器8の各相の残留磁束を求める。
【0015】
制御部13は、開極指令信号φAに応答して、3相のうちの基準相(ここではR相とする)の交流電圧が+から−に変化する時の零点で3つのスイッチ2〜4を同時に開極させる。これにより、3相変圧器8のR相の残留磁束の直流成分を正の所定値Kに設定し、S相およびT相の残留磁束の直流成分をおよそ−K/2に設定することができる。
【0016】
また、制御部13は、閉極指令信号φBに応答して、R相の定常磁束と残留磁束演算部12によって求められた残留磁束とが一致するタイミングでR相に対応するスイッチ2を投入させた後、S相およびT相の各相の定常磁束と残留磁束の差が最小限になるように、R相の交流電圧の零点から0〜30度の間の予め定められた位相角度だけ遅延したタイミングで残りの2つのスイッチ3,4を投入させる。
【0017】
また、制御部13は、3相遮断器1の閉極時における電圧測定部11の測定値に従って、3相交流電圧に同期した正弦波信号を内部で発生し、その正弦波信号に基づいて、各相の零点のタイミング、定常磁束の値、定常磁束と残留磁束が一致するタイミング、各相の零点から所定角度θだけ位相が遅延したタイミングなどを求める。
【0018】
なお、スイッチ2〜4が閉極するとは、スイッチ2〜4の接触子が機械的に接触することを言う。制御部13がスイッチ2〜4の閉極を指示してからスイッチ2〜4が実際に閉極するまでには所定の閉極時間が必要となる。また、遮断器1においてはスイッチ2〜4が閉極する前にプレアークによって電流が流れ始めることが知られている。スイッチ2〜4を投入させるとは、スイッチ2〜4にプレアークによる電流を流すことを言う。制御部13がスイッチ2〜4の閉極を指示してからスイッチ2〜4が投入されるまでには所定の投入時間が必要となる。また、制御部13がスイッチ2〜4の開極を指示してからスイッチ2〜4が実際に開極するまでには所定の開極時間が必要となる。制御部13は、上記の閉極時間、投入時間、開極時間を考慮して、上記のタイミングでスイッチ2〜4を制御する。
【0019】
また、開極指令信号φAおよび閉極指令信号φBは、たとえば、電力供給システムの事故の発生および復旧を検出する事故検出装置から出力される。また、残留磁束演算部12および制御部13は、コンピュータなどで構成される。
【0020】
図2(a)〜(d)は、図1に示した電力供給システムの突入電流抑制方法を説明するためのタイムチャートである。特に、図2(a)は3相交流電源で生成される3相交流電圧の波形を示し、図2(b)は電圧測定部11によって測定された3相変圧器8の入力電圧の波形を示している。また、図2(c)は、図2(b)で示した3相変圧器8の入力電圧を残留磁束演算部12で時間積分して得られる3相変圧器8の各相の残留磁束を実線で示すとともに、図2(a)で示した3相交流電圧を時間積分して得られる3相変圧器8の各相の定常磁束を点線で示している。また、図2(d)は、図2(c)の時間軸を拡大したものである。
【0021】
スイッチ2〜4が閉極している場合は、図2(a)で示される3相交流電圧が3相変圧器8の3相1次巻線9に印加される。この場合は、図2(c)の点線で示される定常磁束が3相変圧器8で発生している。3相交流電圧は、位相が120度ずつずれた3つの正弦波で表わされる。定常磁束は交流電圧を時間積分して得られるので、定常磁束の位相は交流電圧の位相よりも90度進んでいる。各相の交流電圧および定常磁束の波形および零点のタイミングは、制御部13で把握されている。
【0022】
図2(a)は参考に示した図であり、図2(b)〜(d)では、A点よりも前の期間ではスイッチ2〜4は開極されている。スイッチ2〜4が開極されていても、スイッチ2〜4にそれぞれ極間コンデンサ5〜7が並列接続されているので、3相交流電圧は極間コンデンサ5〜7を介して3相変圧器8の3相一次巻線9に印加される。このとき、3相交流電圧の位相は極間コンデンサ5〜7によって90度遅延され、3相交流電圧の振幅は極間コンデンサ5〜7によって低減される。
【0023】
また、このとき、図2(c)の実線で示される残留磁束が3相変圧器8で発生している。上記のタイミングでスイッチ2〜4を開極したことにより、R相の残留磁束は正の直流成分に交流成分を重畳したものとなり、S相およびT相の残留磁束は負の直流成分に交流成分を重畳したものとなる。
【0024】
閉極指令信号φBが事故検出器から出力されると、制御部13は、R相の定常磁束と残留磁束とが一致するタイミング(A点)でスイッチ2を投入させる。なお、制御部13は、そのタイミングでスイッチ2を投入させるため、そのタイミングから投入時間だけ前のタイミングでスイッチ2に閉極動作を開始させる。スイッチ2が投入されると、R相の磁束は瞬時に定常磁束になる。これにより、R相の磁束の過渡現象が発生してR相に励磁突入電流が流れるのを防止することができる。
【0025】
一方、S相およびT相の残留磁束は、図2(c)に示すように、交流成分の位相が互いに120度ずれているので、直流成分が略同じであっても、R相の投入瞬時(A点)では、S相の残留磁束とT相の残留磁束との間に差異が生じている。また、A点以後では、S相とT相の位相はR相と180度ずれて一致するが、S相とT相の磁束の絶対値は一致しない。
【0026】
この状態で、上記特許文献1,2で示されているように、S相およびT相に対応するスイッチ3,4を、R相の交流電圧の零点(図ではB点の時刻が対応する)で投入すると、S相およびT相のうちの少なくとも一方の相において定常磁束と残留磁束が一致せず、磁束の過渡現象が発生して励磁突入電流が発生してしまう。
【0027】
本願発明者の鋭意研究によれば、A点でR相のスイッチ2を投入した後におけるS相とT相の磁束の絶対値との差は、極間コンデンサ5〜7の影響により発生する。極間コンデンサ5〜7がない場合は、A点以後では、S相の磁束とT相の磁束の和がR相の磁束となり、S相とT相の磁束の絶対値は、ともにR相の磁束の絶対値の1/2となる。
【0028】
極間コンデンサ5〜7がある場合は、A点以後では、S相の磁束とT相の磁束の和がR相の磁束となり、S相の磁束の絶対値がT相の磁束の絶対値よりも小さくなる。最初に投入した基準相(たとえばR相)の次の相順の相(この場合はS相)の磁束の絶対値が、さらに次の相順の相(この場合はT相)の磁束の絶対値よりも小さくなる。このため、B点よりも0〜30度の間の所定の角度(図では15度)だけ位相を遅延させたタイミング(C点)でS相およびT相のスイッチ3,4を投入させることにより、S相およびT相における定常磁束と残留磁束の差を最小限にすることができ、励磁突入電流の発生を防止することができる。
【0029】
図3は、極間コンデンサ5〜7の容量値を実用範囲で大、中、小の3段階で変えた場合における、S相およびT相のスイッチ3,4の投入位相角度(deg)と、励磁突入電流の関係を示す図である。図2(a)〜(d)のB点で投入する場合の角度を0度とした。この図3から、B点から0〜30度、より好ましくは5〜20度だけ遅延させてスイッチ3,4を投入することにより、励磁突入電流を最小限に抑制することができることが分かった。
【0030】
また、同様の実験を行なうことにより、極間コンデンサ5〜7の各々の容量値が0〜2000pFである場合は、B点から0〜10度の間の位相角度だけ遅延させてスイッチ3,4を投入することにより、励磁突入電流を最小限に抑制することができることが分かった。
【0031】
また、極間コンデンサ5〜7の各々の容量値が2000〜6000pFである場合は、B点から10〜20度の間の位相角度だけ遅延させてスイッチ3,4を投入することにより、励磁突入電流を最小限に抑制することができることが分かった。
【0032】
また、極間コンデンサ5〜7の各々の容量値が6000〜12000pFである場合は、B点から20〜30度の間の位相角度だけ遅延させてスイッチ3,4を投入することにより、励磁突入電流を最小限に抑制することができることが分かった。なお、本実施の形態においては、解析上、極間コンデンサ5〜7の各々の容量値を12000pF以上にすると、変圧器8の鉄心の磁気飽和が発生し、励磁突入電流を抑制する効果を得難くなることが分かった。
【0033】
なお、R相のスイッチ2の投入は、R相の交流電圧の絶対値が増大する期間において行なうことが好ましい。図4(a)はR相の定常磁束と残留磁束を示すタイムチャートであり、図4(b)はR相の交流電圧の絶対値を示すタイムチャートである。ただし、説明の簡単化のため、残留磁束は一定値にされている。
【0034】
図4(a)(b)において、R相の定常磁束と残留磁束は、定常磁束のピークの前側のE点と、定常磁束のピークの後側のF点の2点で一致する。ここで、図4(b)に、E点を通るRDDS(Rate of Decay of Dielectric Strength:絶縁耐力減少率)カーブ21と、F点を通るRDDSカーブ22を書き込む。RDDSカーブ21,22が時間軸と交差する時刻t1,t2は、スイッチ2が機械的に閉極する時刻を示している。換言すると、時刻t1,t2よりもスイッチ2の閉極時間だけ前の時刻に、制御部13がスイッチ2を閉極させる指示を出せば、それぞれE点およびF点でプレアークが発生してスイッチ2が投入される。
【0035】
ところが、図4(b)から分かるように、F点を通るRDDSカーブ22は交流電圧の絶対値を示す曲線とF点のみで交差するが、RDDSカーブ21は交流電圧の絶対値を示す曲線とD点とE点の2点で交差してしまう。したがって、R相の定常磁束と残留磁束が一致するE点でスイッチ2を投入させようとして、時刻t1でスイッチ2が閉極されるようにスイッチ2に閉極指示を出しても、スイッチ2がE点で投入されるとは限らず、D点で投入されてしまう。スイッチ2がD点で投入された場合は、R相の定常磁束と残留磁束が一致せずに、磁束の過渡現象が発生し、励磁突入電流が流れてしまう。
【0036】
一方、R相の定常磁束と残留磁束が一致するF点でスイッチ2を投入させようとして、時刻t2でスイッチ2が閉極されるようにスイッチ2に閉極指示を出した場合は、スイッチ2はF点で必ず投入される。スイッチ2がF点で投入された場合は、R相の定常磁束と残留磁束が一致し、磁束の過渡現象は発生せず、励磁突入電流は流れない。
【0037】
以上より、R相のスイッチ2の投入は、R相の交流電圧の絶対値が減少する期間のE点で行なうよりも、R相の交流電圧の絶対値が増大する期間のF点で行なうことが好ましい。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の一実施の形態による電力供給システムの要部を示す回路ブロック図である。
【図2】図1に示した電力供給システムの励磁突入電流抑制方法を説明するためのタイムチャートである。
【図3】図1に示したS相およびT相のスイッチの投入位相角度と励磁突入電流との関係を示す図である。
【図4】図1に示したR相のスイッチの投入タイミングを説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 3相遮断器、2〜4 スイッチ、5〜7 極間コンデンサ、8 3相変圧器、9 3相一次巻線、10 3相2次巻線、11 電圧測定部、12 残留磁束演算部、13 制御部、21,22 RDDSカーブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流電源から3相遮断器を介して3相変圧器に流れる励磁突入電流を抑制する突入電流抑制装置であって、
前記3相遮断器は3つのスイッチと3つの極間コンデンサを含み、
前記3つのスイッチの一方端子はそれぞれ前記3相交流電源から3相交流電圧を受け、それらの他方端子はそれぞれ前記3相変圧器の3相1次巻線の3つの入力端子に接続され、前記3つの極間コンデンサはそれぞれ前記3つのスイッチに並列接続され、
前記3相遮断器の閉極時には前記3相変圧器の各相に定常磁束が発生し、前記3相遮断器の開極時には前記3相変圧器の各相に残留磁束が発生し、
前記突入電流抑制装置は、
3相のうちの基準相に対応するスイッチの他方端子の電圧を測定する電圧測定部と、
前記3相遮断器の開極時における前記電圧測定部の測定結果に基づいて前記3相変圧器の前記基準相の残留磁束を求める磁束演算部と、
閉極指令信号に応答して、前記基準相の定常磁束と前記残留磁束演算部によって求められた残留磁束とが一致するタイミングで前記基準相に対応するスイッチを投入させた後、前記基準相以外の各相の定常磁束と残留磁束の差が最小限になるように、前記基準相の交流電圧の零点から0〜30度の間の予め定められた位相角度だけ遅延したタイミングで残りの2つのスイッチを投入させる制御部とを備える、突入電流抑制装置。
【請求項2】
前記予め定められた位相角度は、前記3つの極間コンデンサの各々の容量値に応じて増大する、請求項1に記載の突入電流抑制装置。
【請求項3】
前記3つの極間コンデンサの各々の容量値が2000pF以下の場合は、前記予め定められた位相角度は0〜10度の間の値に設定され、
前記3つの極間コンデンサの各々の容量値が2000〜6000pFの場合は、前記予め定められた位相角度は10〜20度の間の値に設定され、
前記3つの極間コンデンサの各々の容量値が6000pF以上の場合は、前記予め定められた位相角度は20〜30度の間の値に設定される、請求項2に記載の突入電流抑制装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記基準相の交流電圧の絶対値が増大する期間において、前記基準相の定常磁束と残留磁束とが一致するタイミングで前記基準相に対応するスイッチを投入させる、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の突入電流抑制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−99347(P2009−99347A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268847(P2007−268847)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】