説明

突然変異INDEHISCENT対立遺伝子を含むブラシカ植物

本発明は、果実の裂開特性を変調させた作物植物に関する。より具体的には、本発明は、植物において、種子脱粒を低下させる、又は、種子脱粒を収穫後まで遅延させ、同時に農学的に関連する鞘の脱穀性を維持する改善された方法及び手段に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、果実の裂開(dehiscence)特性を変調させた、農産物、特に作物植物、特にブラシカ科、特にブラシカ種の作物植物の分野に関する。より具体的には、本発明は、植物、例えばブラシカ科植物、特に種子産生のために生育されたブラシカ科植物などにおいて、種子脱粒(shattering)を低下させる、又は、種子脱粒を収穫後まで遅延させ、同時に農学的に関連する鞘の脱穀性が維持するための改善された方法及び手段に関する。ブラシカINDEHISCENTタンパク質(IND)及びそのようなタンパク質をコードする野生型及び突然変異の核酸分子の両方を提供する。また、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物、特にブラシカ・ナパス植物、ならびにその細胞、種子、及び後代(それらが3つの完全ノックアウト突然変異ind対立遺伝子をそれらのゲノム中に含み、果実の裂開特性が有意に変化していることを特徴とする)を提供する。また、種子脱粒が低下され、又は、種子脱粒が収穫後まで遅延され、同時に農学的に関連する鞘の脱穀性が好ましく維持されるブラシカ植物を生成するための方法を、そのような植物から入手可能な種子鞘及び種子と同様に本明細書において提供する。さらに、1つ又は複数の突然変異ind及び/又は野生型IND対立遺伝子の生物学的サンプル中での存在を検出するための検出ツール(キット)及び方法、ならびに1つ又は複数の突然変異ind及び/又は野生型IND対立遺伝子を他の植物に移すための方法、ならびに異なるind及び/又はIND対立遺伝子を植物において組み合わせるための方法を提供する。特に、非機能的又は非INDタンパク質及び/又はインビボで有意に低下した活性を有するINDタンパク質をコードする適した数の突然変異ind対立遺伝子を組み合わせるための方法であり、種子脱粒を有意に低下させ、種子脱粒を収穫後まで遅延させ、同時に農学的に関連する鞘の脱穀性を維持する。また、本発明の植物、又はその部分、及び/又はその後代、種子及び種子油、ならびに方法及び/又はキットの使用を提供する。また、収率、特に穀物及び種子の収率を増加させるための方法及び手段を提供する。収率増加の表現型は、低下又は遅延された種子脱粒表現型とは別々でありうる。
【0002】
発明の背景
ブラシカ植物からの長角果又は鞘は、果実裂開と呼ばれるプロセスを通してそれらの種子を放出する。長角果は、縁と縁が連結された2つの心皮からなる 縁の間の縫合は、レプルムと呼ばれる太い葉脈を形成する。鞘の成熟が近づくにつれ、2つの弁が進行的にレプルムから、鞘の脆弱な指定線に沿い別れ、最終的にレプルムに付着した種子脱粒をもたらす。裂開部は、弁解離の正確な位置を規定する。
【0003】
作物の収穫前又は収穫中での成熟鞘による種子の脱落(「種子脱粒」又は「鞘脱粒」とも呼ばれる)は、乾燥した裂開果実を発生する作物での普遍的な現象である。成熟前の種子脱粒は、種子回収の低下をもたらし、主に種子のための生育させた作物(例えば油産生ブラシカ植物、特に菜種)における問題を表わす。成熟前の種子脱粒に関する別の問題は、その後の作物年度における自発的生育における増加である。菜種において、鞘脱粒に関する収率損失は平均20%(Child et al., 1998, J Exp Bot 49: 829-838)であるが、しかし、気象条件に応じて、最高50%に達しうる(MacLeod, 1981, Harvesting in Oilseed Rape, pp.107-120 Cambridge Agricultural Publishing, Cambridge)。
【0004】
現在市販の菜種品種は、脱粒に対して極めて感受性が高い。B.ナパス(B. napus)の既存の育種プログラム内に、脱粒に対する耐性についての変動はほとんど存在せず、しかし、耐性系統が、B.ナパス(B.オレラセア(B. oleracea)及びB.ラパ(B. rapa))の二倍体親内ならびにブラシカ属の他のメンバー、顕著に、B.ジュンセア(B. juncea)、B.カリナタ(B. carinata)、及びB.ニグラ(B. nigra)内で見出されている。Kadkol et al.(1986, Aust. J. Botany 34 (5): 595-601)は、レプルムへの長角果弁の付着領域における離層の非存在に関連したB.カンペストリス(B. campestris)の特定の受入における脱粒に対する耐性増加を報告する。Prakash及びChopra(1988, Plant breeding 101: 167-168)は、ブラシカ・ジュンセアからのブラシカ・ナパスにおける非相同組換えを通じた脱粒に対する耐性の遺伝子移入を記載する。Spence et al.(1996, J of Microscopy 181: 195-203)は、ブラシカ・ジュンセアの一部の系統が、ブラシカ・ナパス系統と比較し、脱粒傾向の低下を示すことを記載する。Morgan et al., 1998(Fields Crop Research 58, 153-165)は、合成B.ナパスから発生した菜種の系統の間での鞘脱粒耐性についての遺伝的変動を記載し、それらの鞘を開くために多くのエネルギーを必要とした系統が、裂開部において維管束化の増加を有し、裂開部内での細胞壁分解の低下を有すると思われると結論付けている。彼らは、鞘のくちばし(pod beak)の長さと鞘脱粒を起こすために必要とされる力の間の有意にネガティブな相関を見出した。Child及びHuttly(1999, Proc 10th Int. Rapeseed Congress)は、放射線照射誘発性の突然変異B.ナパス及びその親栽培品種Jet Neufの集団での鞘成熟における変動を記載しており、ここで最も耐性である野生型及び突然変異の植物は、裂開部の全体にわたり細胞群の多量の木化を示し、及び、ここで突然変異体における裂開部の内端近くに位置する維管束跡が記載され、弁の確保の助けとなった。Child et al.(2003, J Exp Botany 54 (389): 1919-1930)は、さらに、再合成されたブラシカ・ナパス系統の鞘における鞘脱粒耐性と維管束構造における変化の間の関連を記載する。しかし、育種のための伝統的な方法では、他の所望の形質(例えば早期開花、成熟、及び黒脚病耐性など)との干渉なく、ナタネ栽培品種中に脱粒耐性を導入することに失敗してきた(Prakash and Chopra, 1990, Genetical Research 56: 1-2)。
【0005】
いくつかの遺伝子(鞘の裂開を促進又は阻害する)が、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)において突然変異解析を通じて同定されてきた:SHATTERPROOF1(SHP1;当初はAGL1と呼ばれた)及びSHATTERPROOF2(SHP2;当初はAGL5と呼ばれた)における組み合わせ突然変異体は、非裂開性の長角果(即ち、アラビドプシス・サリアナにおける成熟時に閉じたままである長角果)をもたらす(Liljegren et al., 2000, Nature 404, 766-770)。同様に、アラビドプシス・サリアナにおけるINDEHISCENT遺伝子(IND1と呼ばれる)(Liljegren et al., 2004, Cell 116: 843-853;PCT刊行物WO 01/79517)、ならびにALCATRAZ(ALCと呼ばれる;Rajani et al. 2001, Current Biology 11, 1914-1922)における突然変異が、鞘脱粒耐性を導く鞘裂開と干渉する。アラビドプシス・サリアナにおけるFRUITFUL(FUL)(SHP及びINDのリプレッサー)の構成的発現は、また、非裂開性の長角果をもたらした(Ferrandiz et al., 2000, Science, 289, 436-438)。これらの転写因子は、弁縁の同一性及び鞘脱粒を制御する非線形の転写ネットワークを形成すると考えられる。Liljegren et al.(2004, Cell 116: 843-853)は、さらに、IND(非定型ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)遺伝子)が、アラビドプシス・サリアナにおいて弁縁の離層及び木化層への分化に向けることを記載する。内果皮b層に沿った離層に隣接する木化細胞の層(各弁中の単一の木化細胞層)は、乾燥果実内のバネ様張力を産生し、その開口に寄与する。弁内果皮b層の木化には、IND、SHP、ALC、及びFUL(弁全体にわたり発現されるMADSドメイン転写因子)の活性が必要とされる(Liljegren et al., 2004, 上記;Mandel and Yanofsky, 1995, Plant Cell 7, 1763-1771)。FUL及びREPLUMLESS(RPL)(レプルムにおいて発現されるホメオドメイン転写因子(Roeder et al., 2003, Curr Biol 13, 1630-1635))が見出されており、弁縁の同一性を付与する遺伝子の境界を設定する(Gu et al., 1998, Development 125, 1509-1517;Ferrandiz et al., 2000, Science, 289, 436-438;Roeder et al., 2003,上記)。最後に、FILAMENTOUS FLOWER(FIL)及びYABBY3(YAB3)(2つのYABBYファミリー転写因子(Sawa et al., 1999, Genes Dev 13, 1079-1088;Siegfried et al., 1999, Development 126, 4117-4128))、ならびにJAGGED(JAG)(C2H2ジンクフィンガー転写因子(Dinneny et al., 2004, Development 131, 1101-1110;Ohno et al., 2004, Development 131, 1111-1122))が同定され、領域特異的な様式でFUL及びSHPの発現を促進させることにより弁及び弁縁の適切な発生に重複して寄与した(Dinneny et al., 2005, Development 132, 4687-4696)。多くの加水分解酵素(例えばエンドポリガラクツロナーゼなど、ブラシカ植物からの鞘における裂開部のプログラムされた分解において、鞘の裂開中に役割を果たす)の遺伝子も同定されてきた(例、WO 97/13865;Petersen et al., Plant. Mol. Biol., 1996, 31:517-527を参照のこと)。
【0006】
Liljegren et al.(2004, Cell 116: 843-853)は、アラビドプシスINDの5つの突然変異対立遺伝子を記載する。裂開部中の木化細胞は、突然変異の重度に応じて、これらの突然変異対立遺伝子を含む植物において非存在又は存在するが(重度のind突然変異体は、野生型植物における弁縁の内部に対応する領域中に木化細胞を含まない)、しかし、全ての場合において、長角果は非裂開性である。Wu et al. (2006), Planta 224, 971-979)は、アラビドプシスINDの6つの突然変異対立遺伝子を記載する。この突然変異対立遺伝子を含む植物は、弁縁及びレプルムの接合部に木化細胞を示さず、細胞の7層の領域においてわずかな細胞しか含まず、それらは野生型植物において一般的に公知の裂開部を包含するように見え、この層における不完全な細胞質分裂を呈する。
【0007】
US 2005/0120417及びUS 2007/0006336は、ブラシカ・ナパスからの2つのIND1オルソログの同定及び単離を記載する。
【0008】
WO99/00503、WO01/79517、及びWO0159122は、遺伝子サイレンシング技術(例えばアンチセンス抑制又は同時抑制)及び突然変異生成を使用した、アラビドプシスALC、IND、AGL1、及びAGL5遺伝子ならびにそのオルソログの発現の下方制御を記載する。
【0009】
Vancanneyt et al., 2002(XIII International Conference on Arabidopsis Research, Sevilla, Spain June 28-July 2; 2002)は、菜種におけるCaMV 35Sプロモーターの制御下でのA.サリアナからのFULの発現が、多くの鞘脱粒耐性の形質転換体をもたらすことを報告した。そのような鞘脱粒耐性系統の鞘は、裂開部を有さず、鞘の開口が、かなりの圧力を適用することによる弁の無作為な破砕によってのみ達成できた。
【0010】
Vancanneyt et al., 2002(XIII International Conference on Arabidopsis Research, Sevilla, Spain June 28-July 2; 2002)は、また、いわゆるdsRNAサイレンシング技術を使用したアラビドプシス・サリアナにおけるIND遺伝子のサイレンシングが、ほぼ完全な鞘脱粒耐性をもたらすことを報告した。トランスジェニックのアラビドプシス系統の98%が長角果を発生し、それは弁抱合に沿って開かず、かなりの圧力を弁に適用することによってのみ開くことができた。
【0011】
種子脱粒は菜種培養における重要な問題(鞘脱粒耐性系統を発生させることにより解決されうる)を構成し、最終的に、鞘からの種子の分離が依然として必要とされることを認識することが重要である。通常の農業実施において、これは、コンバインハーベスターによる鞘の脱穀により達成される。コンバインハーベスターによる鞘の脱穀は、完全でなければならず、種子へ最小限の損傷を起こし、このようにして放出される。しかし、鞘の強度が増加するにつれ、それらを脱穀するために必要とされるより重度の作用が、種子に許容不可能なレベルの損傷を起こす。鞘脱粒耐性ブラシカ科植物の鞘は、このように、それらがコンバインハーベスター中で脱穀できないほど強くはないはずである(Bruce et al. 2001, J. Agric. Engng Res. 80, 343-350)。
【0012】
WO 2004/113542には、ブラシカ科植物における鞘の裂開部及び弁縁の発生に関与する遺伝子の中程度のdsRNA遺伝子サイレンシングによって、鞘脱粒耐性の増加及び種子脱粒の低下を伴うトランスジェニック系統の単離が可能になり、その鞘は、しかし、限られた物理的力を適用することにより裂開部に沿って依然として開かれうることが記載されている。
【0013】
特定のIND遺伝子の配列及びその突然変異配列、特にアラビドプシス及びブラシカ・ナパスIND遺伝子配列及び突然変異アラビドプシスIND遺伝子配列が、当技術分野において利用可能であるとの事実にもかかわらず、例えば、植物(例えばブラシカ・ナパス植物など)における種子脱粒の特異的な所望の改変を可能にするために、さらなるIND遺伝子配列の必要性が残る。経済的に重要なブラシカ科植物(例えば菜種など)におけるindに対応する突然変異対立遺伝子の単離は、骨の折れる時間のかかる作業である。さらに、そのような単離は、菜種における複2倍体及び対応する遺伝子の結果的な機能的重複性により複雑化されうる。
【0014】
これら及び他の目的が、本発明により達成され、本発明の要約、図面、詳細な説明、実施例、及び特許請求の範囲において記載される種々の実施態様により示される通りである。
【0015】
発明の概要
本発明者らは、ブラシカ植物における果実の裂開特性は、種子鞘において「機能的に発現される」、即ち、機能的な(生物学的に活性化)INDタンパク質をもたらすIND遺伝子/対立遺伝子の数を制御することにより制御できることを見出している。多くの完全ノックアウト突然変異IND対立遺伝子(「ind対立遺伝子」)を組み合わせ、最小数の野生型IND対立遺伝子を維持し、最小レベルの機能的INDタンパク質をもたらすことにより、種子鞘の裂開特性を改変することができ、より具体的には鞘脱粒耐性を増加させることができ、及び、種子脱粒を低下させることができ、または、種子脱粒を収穫後まで遅延させることができ、同時に農学的に関連する鞘の脱穀性を維持し、鞘が、依然として、限られた物理的力を適用することにより裂開部に沿って開かれうる。最小数の野生型IND対立遺伝子が、特にコンバインハーベスターによる鞘の脱穀により、鞘からの種子の分離を依然として可能にするために必要とされ、鞘の脱穀は完全であり、最小限の損傷を種子に起こし、このようにして放出されると考えられる。
【0016】
このように、第1の局面において、本発明は、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物、特にブラシカ・ナパス植物(ならびにその部分、例えば種子鞘及び種子など)(そのゲノム中に3つの完全ノックアウト突然変異IND対立遺伝子、特にIND−A1及び/又はIND−C1遺伝子を含み、そして植物の鞘脱粒耐性が、突然変異IND対立遺伝子を含まない植物の鞘脱粒耐性と比較し、有意に増加されるが、しかし、植物は農学的に関連する鞘の脱穀性を維持する)を提供する。
【0017】
別の局面において、本発明は、野生型及び/又は突然変異INDタンパク質、ならびにそのフラグメントをコードする(単離された)核酸配列、ならびに植物の果実の裂開特性を改変するためのこれらの核酸配列を使用する方法を提供する。また、タンパク質自体及びそれらの使用を提供する。
【0018】
本発明は、さらに、少なくとも1つの完全ノックアウト突然変異IND対立遺伝子、そしてそのため、対応する機能的INDタンパク質をコードするIND対立遺伝子を含む植物、ならびにその細胞、部分、種子、及び後代と比較し、低下量の機能的INDタンパク質を含む、植物、ならびのその細胞、部分、種子、及び後代に関する。そのような植物、ならびにその細胞、部分、種子、及び後代を、改変された果実の裂開特性を伴う植物を得るために、特に、農学的に関連する鞘の脱穀性を維持する、有意に低下した種子裂開を伴うブラシカ植物を得るために使用することができる。本明細書において使用する「植物部分」は、本発明の植物に由来するすべてのもの(植物部分、例えば細胞、組織、器官、種子、種子鞘、種子ミール(seed meal)、油粕(seed cake)、種子油脂又は油などを含む)を含む。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、改変された脱粒耐性を伴う種子鞘(本発明の植物から得ることができる)、及び、例えば植物からの後代を植えて生育させるための種子鞘の使用に関する。
【0020】
本発明のさらに別の局面において、少なくとも1つの完全ノックアウト突然変異ind対立遺伝子を含む、植物、ならびにその細胞、部分、種子、及び後代を生成及び選択するための方法を提供する。特に、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物、特に、ゲノム中に少なくとも2つの異なるIND遺伝子座の少なくとも1つ、例えばブラシカIND−A1及びIND−C1遺伝子の2つの異なる遺伝子座の少なくとも1つに存在する少なくとも1つの完全ノックアウト突然変異ind対立遺伝子を含むブラシカ・ナパス植物、ならびにその細胞、部分、種子、及び後代を生成及び選択するため、ならびに植物又は植物部分において突然変異ind対立遺伝子と野生型IND対立遺伝子の存在を識別するための方法を提供する。このように、ind対立遺伝子又はそのような対立遺伝子を含む植物もしくは植物部分を生成及び/又は同定するため、及び、適した数のind対立遺伝子及び/又は異なる型のind対立遺伝子を単一の植物において組み合わせるため(それによりこの植物の果実の裂開特性が有意に改変される)の方法(例えば突然変異生成及び/又はマーカー利用選択(marker assisted selection))を提供する。
【0021】
本発明の別の実施態様において、本発明の突然変異IND対立遺伝子を使用し、ブラシカ植物からの収穫された種子又は穀物の収率を増加させる。増加した収率は、種子脱粒を低下又は遅延させることの結果でありうるが、しかし、また、種子脱粒の低下又は遅延に非依存的でありうる。特に、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物、又はその細胞、部分、種子、もしくは後代(これらの植物が、それらのゲノム中に、本明細書に記載する2つの突然変異ホモ接合性IND対立遺伝子を含むことを特徴とする)を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ブラシカ・ナパスからの野生型IND−A1タンパク質をコードするIND−A1遺伝子の略図(配列番号5)。
【図2】ブラシカ・ナパスからの野生型IND−C1タンパク質をコードするIND−C1遺伝子の略図(配列番号7)。 図1及び2では、実施例において記載する突然変異の位置(実施例に記載するそれらのそれぞれの「ind−x1−EMSxx」名に従って「EMSxx」と名付けられる)を、垂直線を用いて示す;IND特定のプローブの長さ及び位置(それらのそれぞれの配列番号xxに従って「ID xx」と名付けられる)をIND遺伝子の略図の下に水平線により示す;IND特異的プライマーの位置(それらのそれぞれの配列番号xxに従って「ID xx」と名付けられる)を矢印により示す。
【0023】
一般的な定義
「鞘脱粒耐性の増加」及び「種子脱粒の低下」は、本明細書において使用する通り、ブラシカ植物(その果実は通常、同調して成熟せず、しかし、連続的に成熟し、一部の鞘が破裂して開き、収穫前又は収穫中にそれらの種子を脱粒する)の減少した種子脱粒傾向及び/又は種子脱粒のタイミングにおける遅延(特に収穫後まで)を指す。鞘脱粒に対する耐性レベルは、例えば、「引張分離テスト(tensile separation test)」において鞘を破壊するために必要とされる力(Davies and Bruce, 1997, J Mat Sci 32: 5895-5899;Morgan et al., 1998, Fields Crop Research 58, 153-165)、「無作為影響テスト(random impact test)」において例えば20秒(「IP20」;Morgan et al., 1998、上記)、9.7秒、又は17秒(Bruce et al., 2002, Biosystems Eng 81(2): 179-184)後に残るインタクトな鞘の数、無作為影響テストにおける鞘のサンプル半減期(「LD50」)、即ち、テストされた鞘サンプルにおいて50%の鞘の開口を起こすために必要とされる処理時間、及び「脱粒についての野外スコア」(Morgan et al., 1998、上記)とポジティブな相関し、例えば、これらを決定することにより測定することができる。無作為影響テスト(RIT)及びそのようなRITにおいて鞘サンプルの半減期を定義するためのアルゴリズムが、Bruce et al., 2002(上記)、Morgan et al., 1998(上記)、及び以下の実施例において記載されている。両方の刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。簡単に説明すると、インタクトな成熟鞘のサンプルを密封ドラム中に鉄球と一緒に置き、ドラムを次に漸増時間(例、10秒、20秒、40秒、80秒)にわたりはげしく撹拌する。各時間後、ドラムを開け、破壊及び損傷された鞘の数をカウントする。各系統についての脱粒耐性のレベルの最も正確な評価は、線形曲線×線形曲線を全ての利用可能なデータに適合させて、サンプル内の鞘の半分が破壊さるために必要な時間(「鞘サンプル半減期」又は「LD50」)を評価することにより算出される。しかし、鞘が主に裂開部に沿って開き、簡単に微粉砕されないことが重要である(非裂開性の鞘で起こりうるとの同様である)。
【0024】
「農学的に関連する鞘脱粒耐性の増加」は、本明細書において使用する通り、野外においてその植物について通常観察されるもの未満である、野外(収穫前)において鞘脱粒に関連する収率損失をもたらす植物における鞘脱粒耐性の増加を指す。菜種について、野外における鞘脱粒に関連する収率損失は、平均して良好な生育条件を伴う季節について約11%、そして平均して不良な生育条件を伴う季節について約25%であると報告されている。ポジティブな相関が、Bruce et al., 2002(Biosystems Eng 81(2): 179-184)により記載される無作為影響テストにおいて、これらのレベルの種子損失と9.7秒及び17秒の処理時間での種子損失レベルの間にそれぞれ見出されている。あるいは、植物における鞘脱粒に対する耐性レベルが農学的に関連するか否かを判断するために、植物の鞘サンプル半減期(「LD50」、上記を参照のこと)を、平均レベルの鞘脱粒耐性を有することが公知である植物(例えば菜種、全ての現在市販されている菜種品種など)の鞘サンプル半減期と比較することができる。
【0025】
本明細書において使用する「鞘又は種子脱粒」又は「果実又は鞘裂開」は、種子の成熟後に果実において起こるプロセスを指し、それにより弁が中心の隔壁から脱離して、種子を遊離する。破壊される領域(即ち、「裂開部」)は、弁とレプルム(外部隔壁)の間の果実の全長に走る。成熟時、「裂開部」は、本質的に、弁中の木化細胞の領域とレプルムの間の細胞の非木化層である。脱粒は、裂開部における細胞壁の緩みと、長角果における乾燥細胞の機械的特性の差異により確立される張力の組み合わせに起因して起こる。
【0026】
ブラシカ「果実」は、本明細書において使用する通り、融合した心皮から構成される雌しべから発生するブラシカ植物の器官を指し、受精時、生育して、発生中の種子を含む「(種子)鞘」又は「長角果」になる。ブラシカ「(種子)鞘」又は「長角果」は、隔壁により分離された2つの房を封入する果実壁(心皮)からなる。「裂開部」は、隔壁に隣接する心皮縁で発生し、長角果の全長に走る。裂開部の細胞は、最終的に、分解し始め、これは心皮壁又は弁と隔壁の間の接触を弱める。細胞接着の喪失は、裂開部の細胞に限局し、中葉の分解に起因する(Meakin and Roberts, 1990, J Exp Bot 41, 995-1011)。
【0027】
「裂開部」は、本明細書において使用する通り、単純な実質細胞の層を指し、植物、特にブラシカ植物の二重弁鞘の両側に位置する縫合中に含まれる。裂開部は、鞘の弁端と、柄又は小花柄への主な維管束を含む中心のレプルムの間に位置する。裂開部における細胞の解離が、鞘の老化中に起こり、鞘が完全な成熟に達する時間までには完全である(Meakin and Roberts, 1990、上記)。弁分離が次に起こりうる。裂開部は維管束跡を含み、それは鞘壁から小花柄(柄)及びレプルムまで通過する。鞘脱粒のプロセスは、外力が繊細な維管束筋を破砕した後にだけ起こり、弁を分離させ、種子を地面に落とすことを可能にする。これは、草冠の撹乱中、例えば収穫中でのコンバインとの接触により起こる。維管束組織は肥厚した木化細胞を含み、厚角細胞群を形成し、伝導性細胞(conductive cells)に隣接して見出される(Meakin and Roberts, 1990、上記)。これは、組織への硬性、恐らくは、破砕に対するいくらかの耐性を提供する。
【0028】
本明細書において使用する「農学的に関連する脱穀性」は、例えばコンバインハーベスター中で使用された際、種子への損傷を防ぎつつ鞘の完全な開口を可能にする物理的力の適用時での、鞘、特に菜種の鞘の、鞘の裂開部に沿った開口(種子の同時放出を伴う)に対する耐性を指す。ポジティブな相関が、無作為影響テストにおける鞘サンプル半減期(「LD50」)とそれらの脱穀の間に見出されている。菜種鞘サンプルの半減期は、実施例に記載される通りにRITにおいて測定され、農学的に関連する脱穀性に対応し、80秒を超えないはずである。市販の菜種品種のコントロール系統についての典型的なサンプル半減期の値は、約10秒である。このように、有意に増加した鞘脱粒耐性を伴う、農学的に関連する脱穀性を伴う系統は、RITにおいて、約10〜約80秒の間、約10〜約60秒の間、約10〜約50秒の間、約20〜約60秒の間、約20〜約50秒の間、約40〜約60秒の間、約57秒の鞘サンプル半減期を有する。
【0029】
詳細な説明
「作物植物」は、作物として栽培される植物種を指す(例えばブラシカ・ナパス、(AACC、2n=38)、ブラシカ・ジュンセア(AABB、2n=36)、ブラシカ・カリナタ(BBCC、2n=34)、ブラシカ・ラパ(syn. B. カンペストリス(campestris))(AA、2n=20)、ブラシカ・オレラセア(CC、2n=18)、又はブラシカ・ニグラ(BB、2n=16)など)。定義は草、例えばアラビドプシス・サリアナなどを包含しない。
【0030】
「核酸配列」(又は核酸分子)という用語は、一本又は二本鎖形態のDNA又はRNA分子、特に本発明のタンパク質又はタンパク質フラグメントをコードするDNAを指す。「内因性核酸配列」は、植物細胞内の核酸配列(例、ブラシカ細胞の核ゲノム内に存在するIND遺伝子の内因性対立遺伝子)を指す。「単離された核酸配列」を使用して、もはやその自然環境中、例えばインビトロ又は組換え細菌もしくは植物の宿主細胞中にない核酸配列を指す。
【0031】
「遺伝子」という用語は、細胞においてRNA分子に転写され(例、イントロン配列を含むプレmRNAに、それは次に成熟mRNAに、又は、直接的にイントロン配列を伴わないmRNAにスプライシングされる)、調節領域(例、プロモーター)に機能的に連結された領域(転写領域)を含むDNA配列を意味する。遺伝子は、このように、いくつかの機能的に連結された配列、例えばプロモーター、例えば翻訳開始に関与する配列を含む5’リーダー配列、(タンパク質)コード領域(cDNA又はゲノムDNA)、及び例えば転写終結部位を含む3’非翻訳配列などを含みうる。「内因性遺伝子」を使用して、「外来遺伝子」、「トランスジーン」、又は「キメラ遺伝子」から区別し、特定の植物属、種、又は品種の植物からの遺伝子を指し、それは形質転換によりその植物中に導入されていない(即ち、それは「トランスジーン」ではない)が、しかし、それは通常、その属、種、又は品種の植物中に存在する、あるいは、別の植物の属、種、又は品種の植物からその植物に導入され、それにおいては通常、通常の育種技術により又は体細胞交雑により(例、プロトプラスト融合により)存在する。同様に、遺伝子の「内因性対立遺伝子」は、植物の形質転換により植物又は植物組織に導入されず、しかし、例えば、植物の突然変異生成及び/又は選択により生成され、又は、植物の自然集団をスクリーニングすることにより得られる。
【0032】
「遺伝子の発現」又は「遺伝子発現」は、適切な調節領域、特にプロモーターに機能的に連結されたDNA領域がRNA分子に転写されるプロセスを指す。RNA分子は、次に、(翻訳後プロセスにより)細胞内で、例えば、RNAスプライシング及び翻訳開始及びアミノ酸鎖(ポリペプチド)への翻訳、ならびに翻訳終止コドンによる翻訳終結によりさらにプロセシングされる。「機能的に発現される」という用語を本明細書において使用して、機能的タンパク質が産生されることを示す;「非機能的に発現される」という用語は、有意に低下した機能性又は無機能性(生物学的活性)を伴うタンパク質が産生されること、又は、タンパク質が産生されないことを示す(さらに以下を参照のこと)。
【0033】
「タンパク質」又は「ポリペプチド」という用語は互換的に使用され、アミノ酸の鎖からなる分子を指し、特定の作用機序、サイズ、3次元構造、又は由来を参照しない。INDタンパク質の「フラグメント」又は「部分」は、このように、依然として「タンパク質」と呼ばれる。「単離されたタンパク質」を使用して、もはやその自然環境中、例えばインビトロ又は組換え細菌もしくは植物の宿主細胞中にないタンパク質を指す。「転写因子」という用語を使用して、一緒に機能して標的遺伝子プロモーターからの転写開始速度を変調する少なくとも2つの分離したドメイン(DNA結合ドメイン及び活性化又は抑制ドメイン)からなるタンパク質を指す(Ptashne, 1988, Nature 335, 683-689)。「ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)ドメイン転写因子」という用語を使用して、bHLH DNA結合ドメイン(Heim et al., 2003, Mol Biol Evol 20, 735-747;Toledo-Ortiz et al., 2003, Plant Cell 15, 1749-1770)とは別に、異なる種からの関連するタンパク質においてアミノ酸レベルで保存されうる遺伝子発現の調節のために重要であることが公知であるドメイン(Quong et al., 1993, Mol Cell Biol 13, 792-800)を含む転写因子を指す。bHLHドメインを含む転写調節因子は、塩基性領域中の残基を通じてDNAに結合し、ヘリックス・ループ・ヘリックス・ドメインが二量体化を促進し、ファミリーのメンバーがヘテロ二量体又はホモ二量体を形成することを可能にする(Murre et al., 1989, Cell 56, 777-783)。
【0034】
「IND遺伝子」は、本明細書において、INDEHISCENT(IND)タンパク質(種子の飛散のために必要とされるbHLHドメイン転写因子である)をコードする核酸配列を指す(Liljegren et al., 2004, Cell 116: 843-853)。
【0035】
本明細書において使用する「対立遺伝子」という用語は、特定の遺伝子座での遺伝子の1つ又は複数の代替形態のいずれかを意味する。生物の二倍体(又は複二倍体)細胞において、所定の遺伝子の対立遺伝子が、染色体上の特定の位置又は遺伝子座に位置する。1つの対立遺伝子が、相同染色体の対の各染色体上に存在する。
【0036】
本明細書において使用する「相同染色体」という用語は、同じ生物学的特性のための情報を含み、同じ遺伝子座での同じ遺伝子、しかし、恐らくはそれらの遺伝子の異なる対立遺伝子を含む染色体を意味する。相同染色体は、減数分裂中に対を形成する染色体である。「非相同染色体」は、生物の全ての生物学的特性を表わし、セットを形成し、細胞中のセットの数は倍数性と呼ばれる。二倍体生物は2セットの非相同染色体を含み、それにおいて各相同染色体は異なる親から遺伝される。複二倍体の種において、本質的に2セットの二倍体ゲノムが存在し、それにより2つのゲノムの染色体は「類似相同(ホメオロガス)染色体」と呼ばれる(そして同様に、2つのゲノムの遺伝子座又は遺伝子は類似相同遺伝子座又は遺伝子と呼ばれる)。二倍体、又は複二倍体の植物種は、特定の遺伝子座に多数の異なる対立遺伝子を含みうる。
【0037】
本明細書において使用する「ヘテロ接合性」という用語は、2つの異なる対立遺伝子が特定の遺伝子座に存在するが、しかし、細胞中の相同染色体の対応する対に個々に位置づけられる場合に存在する遺伝的条件を意味する。逆に、本明細書において使用する「ホモ接合性」という用語は、2つの同一の対立遺伝子が特定の遺伝子座に存在するが、しかし、細胞中の相同染色体の対応する対に個々に位置づけられる場合に存在する遺伝的条件を意味する。
【0038】
本明細書において使用する「遺伝子座」(遺伝子座(複数形))は、例えば遺伝子又は遺伝子マーカーが見出される染色体上の特定の場所又は部位を意味する。例えば、「IND−A1遺伝子座」は、IND−A1遺伝子(及び2つのIND−A1対立遺伝子)が見出されうるAゲノムの染色体上の部位を指し、「IND−C1遺伝子座」は、IND−C1遺伝子(及び2つのIND−C1対立遺伝子)が見出されうるCゲノムの染色体上の部位を指す。
【0039】
本発明の「植物」を参照する場合はいつでも、植物部分(細胞、組織又は器官、種子鞘、種子、切断部分、例えば根、葉、花、花粉など)、親の識別特徴(特に果実の裂開特性)を保持する植物の後代、例えば自家受粉又は交雑により得られる種子、例えば雑種種子(2つの自殖の親系統を交雑することにより得られる)、雑種植物、及びそれに由来する植物部分も、特に示さない限り、本明細書に包含されることも理解される。
【0040】
「分子アッセイ」(又はテスト)は、本明細書において、1つ又は両方のIND遺伝子座での(例、IND−A1又はIND−C1遺伝子座の1つ又は両方での)1つ又は複数の特定のIND対立遺伝子の存在又は非存在を(直接的又は間接的に)示すアッセイを指す。一実施態様において、それによって、特定の(野生型又は突然変異)対立遺伝子が、任意の個々の植物中の遺伝子座でホモ接合性又はヘテロ接合性であるのかを決定することが可能になる。
【0041】
「野生型(wild type)」(「wildtype」又は「wild−type」とも書く)は、本明細書において使用する通り、それが最も共通して自然において生じる植物又は遺伝子の典型的な形態を指す。「野生型植物」は、自然集団においてそのような植物の最も共通する表現型を伴う植物を指す。「野生型対立遺伝子」は、野生型表現型を産生するために必要とされる遺伝子の対立遺伝子を指す。対照的に、「突然変異植物」は、自然集団においてそのような植物の異なる稀な表現型を伴う植物、又は、ヒトの介入により、例えば、突然変異生成により産生される植物を指し、そして「突然変異対立遺伝子」は、突然変異表現型を産生するために必要とされる遺伝子の対立遺伝子を指す。
【0042】
本明細書において使用する「野生型IND」(例、野生型IND−A1又はIND−C1)という用語は、植物、特にブラシカ科植物、特にブラシカ植物内で見出される自然発生IND対立遺伝子を意味し、機能的INDタンパク質(例、それぞれ機能的IND−A1又はIND−C1)をコードする。対照的に、「突然変異IND」(例、突然変異IND−A1又はIND−C1)という用語は、本明細書において使用する通り、機能的INDタンパク質をコードしないIND対立遺伝子を指し、即ち、非機能的INDタンパク質(例、それぞれ非機能的IND−A1又はIND−C1)(本明細書において使用する通り、対応する野生型の機能的INDタンパク質と比較し、無生物学的活性もしくは有意に低下した生物学的活性を有する、又は、INDタンパク質を全くコードしないINDタンパク質)をコードするIND対立遺伝子を指す。そのような「突然変異IND対立遺伝子」(「完全ノックアウト」又は「ヌル」対立遺伝子とも呼ぶ)は野生型IND対立遺伝子であり、その核酸配列中に1つ又は複数の突然変異を含み、それにより突然変異は好ましくは細胞においてインビボで有意に低下した(絶対又は相対)量の機能的INDタンパク質をもたらす。本明細書において使用する「完全ノックアウトIND対立遺伝子」は、突然変異IND対立遺伝子であり、その存在は、ホモ接合状態において、植物(例、2つの完全ノックアウトIND−A1対立遺伝子及び2つの完全ノックアウトIND−C1対立遺伝子を伴うブラシカ・ナパス植物)中の各IND遺伝子座で、その植物において鞘脱粒耐性の増加をもたらし、それは依然として農学的に関連するには高すぎる。INDタンパク質をコードする核酸配列の突然変異対立遺伝子は、本明細書において「ind」(例、それぞれind−a1又はind−c1)と命名される。突然変異対立遺伝子は、「自然突然変異」対立遺伝子(自然において見出される(例、突然変異原のヒトの適用なしに自発的に産生される)突然変異対立遺伝子)又は「誘発突然変異」対立遺伝子(ヒトの介入により、例えば、突然変異生成により誘発される)のいずれかでありうる。
【0043】
「有意に低下した量の機能的INDタンパク質」(例、機能的IND−A1又はIND−C1タンパク質)は、突然変異IND対立遺伝子を含まない細胞により産生される機能的INDタンパク質の量と比較し、突然変異IND対立遺伝子を含む細胞により産生される機能的INDタンパク質の量における少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%(即ち、機能的INDタンパク質が細胞により産生されない)の低下を指す。この定義は、インビボで無生物学的活性を有する「非機能的」INDタンパク質(例、切断INDタンパク質)の産生、機能的INDタンパク質の絶対量における低下(例、IND遺伝子における突然変異のため機能的INDタンパク質が作られない)、及び/又は、機能的な野生型INDタンパク質の活性と比較し、有意に低下した生物学的活性を伴うINDタンパク質の産生を包含する(コードされるINDタンパク質の生物学的活性のために決定的である1つ又は複数のアミノ酸残基が、以下に例示する通り、別のアミノ酸残基について置換されるINDタンパク質など)。「突然変異INDタンパク質」という用語は、本明細書において使用する通り、突然変異IND核酸配列(「ind」対立遺伝子)によりコードされるINDタンパク質を指し、それにより突然変異は、非突然変異の野生型IND配列(「IND対立遺伝子」)によりコードされるINDタンパク質の活性と比較し、インビボで有意に低下したIND活性及び/又は無IND活性をもたらす。
【0044】
「突然変異生成」は、本明細書において使用する通り、植物細胞(例、複数のブラシカ種子又は他の部分、例えば花粉など)を、細胞のDNAにおいて突然変異を誘発する技術、例えば変異原性薬剤、例えば化学物質(例えばエチルメチルスルホネート(EMS)、エチルニトロソ尿素(ENU)など)又は電離放射線(例えば中性子(例えば高速中性子突然変異生成など)、アルファ線、ガンマ線(例えばコバルト60供給源により供給されるものなど)、X線、UV照射など、あるいはこれらの2つ又はそれ以上の組み合わせに供するプロセスを指す。このように、1つ又は複数のIND対立遺伝子の所望の突然変異生成は、化学的手段、例えば、1つ又は複数の植物組織とエチルメチルスルホネート(EMS)、エチルニトロソ尿素(ENU)などとの接触により、物理的手段(例えばx線など)の使用により、又はガンマ照射(例えばコバルト60供給源により供給されるものなど)により達成されうる。放射線照射により引き起こされる突然変異はしばしば大きな欠失又は他の甚だしい損傷、例えば転座又は複雑な再配列であり、化学的突然変異原により引き起こされる突然変異はしばしばより分離した損傷、例えば点突然変異などである。例えば、EMSはグアニン塩基をアルキル化し、それは塩基の誤対合をもたらす:アルキル化されたグアニンはチミン塩基と対合し、主にG/CからA/T転位をもたらす。突然変異生成に続き、ブラシカ植物が、処置された細胞から公知の技術を使用して再生される。例えば、結果として得られるブラシカ種子を、従来の生育手順に従って植えることができ、そして続く自家授粉種子が植物に形成される。あるいは、例えばCoventry et al.(1988, Manual for Microspore Culture Technique for Brassica napus. Dep. Crop Sci. Techn. Bull. OAC Publication 0489. Univ. of Guelph, Guelph, Ontario, Canada)により記載される通りに、倍加半数体小植物が抽出されて、迅速にホモ接合性植物を形成しうる。この世代又はその後の世代におけるそのような自家受粉の結果として形成される追加の種子を収穫して、突然変異IND対立遺伝子の存在についてスクリーニングしてよい。特定の突然変異対立遺伝子をスクリーニングするためのいくつかの技術が公知であり、例えば、Deleteagene(商標)(Delete-a-gene; Li et al., 2001, Plant J 27: 235-242)ではポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)アッセイを使用して、高速中性子突然変異生成により生成される欠失突然変異体についてスクリーニングし、TILLING(ゲノム中の標的化誘発局所的損傷(targeted induced local lesions in genomes);McCallum et al., 2000, Nat Biotechnol 18: 455-457)によってEMS誘発性点突然変異などを同定する。特定の突然変異IND対立遺伝子の存在についてスクリーニングするための追加の技術が、以下の実施例において記載される。
【0045】
本明細書において使用する「非自然発生」という用語は、植物を参照して使用される場合、人間により改変されているゲノムを伴う植物を意味する。トランスジェニック植物は、例えば、外因性の核酸分子、例えば、転写された場合、内因性遺伝子の発現を低下させることができる生物学的に活性なRNA分子を生じる転写領域を含むキメラ遺伝子を含み、従って、人間により遺伝子改変されている非自然発生植物である。また、内因性遺伝子における突然変異、例えば、変異原性薬剤への暴露の結果としての内因性IND遺伝子における(例、調節エレメントにおける又はコード配列における)突然変異を含む植物も非自然植物と見なす。なぜならそれは人間により遺伝的に改変されているからである。さらに、特定の種、例えばブラシカ・ナパスなどの植物は、内因性遺伝子において、例えば内因性IND遺伝子において突然変異を含み、それは自然において、その特定の植物種において、例えば、同じ又は別の種、例えばブラシカ・ジュンセア又はラパなどの植物を用いた、指導された育種プロセス、例えばマーカー利用育種及び選択又は遺伝子移入などの結果として生じることはなく、そのような植物も非自然発生植物と見なされる。対照的に、自発的な又は自然発生の突然変異だけ含む植物、即ち、人間により遺伝的に改変されていない植物は、本明細書において定義する「非自然発生植物」ではなく、従って、本発明内に包含されない。当業者は、非自然発生植物が、典型的に、自然発生植物と比較し、変化したヌクレオチド配列を有し、非自然発生植物は、そのヌクレオチド配列を変えることなく、例えば、そのメチル化パターンを改変することにより人間により遺伝的に改変することもできることを理解する。
【0046】
遺伝子又はタンパク質の「オルソログ」という用語は、本明細書において、別の種において見出される相同遺伝子又はタンパク質を指し、それはその遺伝子又はタンパク質と同じ機能を有するが、しかし、その遺伝子を持つ種が分岐した(即ち、遺伝子が共通の祖先から種分化により進化した)時点から配列において(通常)分岐している。ブラシカ・ナパスIND遺伝子のオルソログは、このように、他の植物種(例、ブラシカ・ジュンセアなど)において、配列比較(例、全配列にわたる又は特定のドメインにわたるパーセント配列同一性に基づく)及び/又は機能解析の両方に基づき同定されうる。
【0047】
「品種」を本明細書においてUPOV条約に準拠して使用し、最低の公知のランクの単一植物分類群内での植物グループ化を指し、そのグループ化は、所定の遺伝子型又は遺伝子型の組み合わせに起因する特徴の発現により定義することができ、特徴の少なくとも1つの発現により任意の他の植物グループ化から識別することができ、そして不変のまま(安定に)増殖させるためのその安定性に関する単位と見なされる。
【0048】
「含む」という用語は、記載した部分、工程、又は構成要素の存在を特定することと解釈すべきであるが、しかし、1つ又は複数の追加の部分、工程、又は構成要素の存在を除外しない。特定の形質を含む植物は、このように、追加の特質を含みうる。
【0049】
単数形の単語(例、「plant」又は「root」)を指す場合、複数形(例、複数形「plants」、複数形「roots」)も本明細書において含まれることが理解される。このように、不定冠詞「a」又は「an」によるエレメントの参照は、文脈が明らかに1つ又は1つだけの要素が存在することを必要としない場合、1を超える要素が存在する可能性を除外しない。不定冠詞「a」又は「an」は、このように通常は「少なくとも1つ」を意味する。
【0050】
本発明の目的のために、2つの関連するヌクレオチド又はアミノ酸配列の「配列同一性」は、パーセントで表わし、比較される位置の数により割った同一の残基(×100)を有する2つの最適に整列化した配列における位置の数を指す。ギャップ、即ち、残基が1つの配列において存在するが、しかし、他においては存在しないアラインメント中の位置を、非同一残基を伴う位置と見なす。2つの配列の「最適なアラインメント」が、The European Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS, Rice et al., 2000, Trends in Genetics 16(6): 276-277;例、http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.htmlを参照のこと)におけるNeedleman及びWunschのグローバルアラインメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J Mol Biol 48(3): 443-53)に従って、デフォルト設定(ギャップ開始ペナルティ=10(ヌクレオチドについて)/10(タンパク質について)及びギャップ伸長ペナルティ=0.5(ヌクレオチドについて)/0.5(タンパク質について))に従い、2つの配列を全長にわたり整列することにより見出される。ヌクレオチドについて、使用するデフォルトスコアリングマトリクスはEDNAFULLであり、タンパク質について、デフォルトスコアリングマトリクスはEBLOSUM62である。
【0051】
「実質的に同一の」又は「本質的に同様の」は、本明細書において使用する通り、配列を指し、それは、上記の通りに最適に配列化された場合、少なくとも特定の最小パーセントの配列同一性(以下でさらに定義する)を共有する。
【0052】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」を使用して、所定のヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を同定できる。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、異なる環境において異なりうる。一般的に、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度及びpHで特定の配列について熱融点よりも約5℃低くなるように選択される。Tmは、標的配列の50%が、完全にマッチするプローブとハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度及びpH下)である。典型的に、塩濃度がpH 7で0.02モル、及び、温度が少なくとも60℃であるストリンジェントな条件が選ばれうる。塩濃度を低下させること及び/又は温度を増加させることによって、ストリンジェンシーが増加する。RNA−DNAハイブリダイゼーション(プローブ(例、100nt)を使用したノーザンブロット)のためのストリンジェントな条件は、例えば、63℃の0.2×SSCにおける20分間の少なくとも1回の洗浄を含むもの、又は等価の条件である。
【0053】
「高ストリンジェンシー条件」を、6×SSC(20×SSCは3.0M NaCl、0.3M Naクエン酸(pH 7.0))、5×Denhardt’s(100×Denhardt’sは2% Ficoll、2% ポリビニル・ピロリドン、2%ウシ血清アルブミン)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウ(SDS)、及び非特異的コンペティターDNAとしての20μg/ml未変性キャリアDNA(一本鎖魚精子DNA、平均長120〜3000ヌクレオチド)を含む水溶液における65℃でのハイブリダイゼーションにより提供することができる。ハイブリダイゼーションに続き、高ストリンジェンシー洗浄をいくつかの工程において行うことができ、0.2〜0.1×SSC、0.1% SDSにおけるハイブリダイゼーション温度での最終洗浄(約30分)を伴う。
【0054】
「中程度のストリンジェンシー条件」は、上記の溶液におけるハイブリダイゼーションと等価であるが、しかし、約60〜62℃の条件を指す。中程度のストリンジェンシー洗浄は、1×SSC、0.1% SDSにおけるハイブリダイゼーション温度で行ってよい。
【0055】
「低ストリンジェンシー」は、上記の溶液におけるハイブリダイゼーションと等価で、約50〜52℃の条件を指す。低ストリンジェンシー洗浄は、2×SSC、0.1% SDSにおけるハイブリダイゼーション温度で行ってよい。Sambrook et al.(1989)及びSambrook and Russell(2001)も参照のこと。
【0056】
「収穫収率の増加」又は「種子又は穀物収率の増加」は、突然変異IND対立遺伝子を伴わない同様の数の同質遺伝子植物から収穫された種子又は穀物の量と比較し、複数の植物から収穫されたより大量の種子又は穀物を指し、各々が本発明の突然変異IND対立遺伝子を含む。収率は、典型的に、表面単位当たりの収穫された種子の容積単位(例えばブッシェル/エーカー又はKg/ha)で表わされる。収率増加は典型的にパーセントで表わされ、それにより参照植物又はコントロール植物の収率を100%として参照し、本発明の植物の収率はコントロール植物の収率と比べた%で表わされる。本発明のブラシカ植物における観察された収率増加は、少なくとも101%から少なくとも124%に及び、より高い収率増加が実行可能であることが期待される。収率増加は、また、104%〜108%又は105%〜110%に及びうる。
【0057】
詳細な説明
ブラシカ・ナパス(ゲノムAACC、2n=4x=38)は、二倍体祖先からのその由来のため、本質的に2つの二倍体ゲノム(A及びCゲノム)を含む異質四倍体(複二倍体)種であり、そのゲノム中に2つのIND遺伝子を含む。1つのIND遺伝子がAゲノム上に位置し(本明細書において「IND−A1」と呼ぶ)、1つがCゲノム上に位置する(本明細書において「IND−C1」と呼ぶ)ことが本発明者らにより見出された。IND−A1遺伝子は、IND−C1遺伝子と「類似相同」であると言われ、即ち、「A遺伝子」はAゲノム上に見出され、二倍体祖先B.ラパ(AA)に由来し、「C遺伝子」はB.ナパスのCゲノム上に見出され、二倍体祖先B.オレラセア(CC)に由来する。
【0058】
任意の二倍体ゲノムにおいてと同様に、2つの「対立遺伝子」が、インビボで、各々のIND遺伝子について、ゲノム中の各々のIND遺伝子座に存在しうる(1つの対立遺伝子が1つの染色体上で、そして他が相同染色体上で見出される遺伝子配列である)。これらの2つの対立遺伝子のヌクレオチド配列は、任意の所定の植物において、同一でありうる(ホモ接合性植物)又は異なりうるが(ヘテロ接合性植物)、各々のIND遺伝子について存在する異なる可能な対立遺伝子の数は、種集団において、全体として2よりもずっと大きくなりうる。
【0059】
さらに、ブラシカ・ナパス植物は、2つのIND遺伝子の1つだけにおいて、即ち、IND−A1又はIND−C1において、完全ノックアウトind対立遺伝子についてホモ接合性であり、突然変異IND対立遺伝子を含まないブラシカ・ナパス植物と比較し、鞘脱粒耐性における有意な増加を示さず、ブラシカ・ナパス植物においては、両方のIND遺伝子において完全ノックアウトind対立遺伝子についてホモ接合性であり、鞘脱粒耐性が有意に増加しているが、しかし、鞘脱粒耐性のレベルは農学的に関連する脱穀性を維持するには高すぎることが見出された。対照的に、鞘脱粒耐性は、2つのブラシカ・ナパスIND遺伝子の3つの完全ノックアウトind対立遺伝子を含むブラシカ・ナパス植物において、植物が農学的に関連する鞘の脱穀性を維持するレベルにまで有意に増加する。少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物における、特にIND−A1及びIND−C1遺伝子を含むブラシカ・ナパス植物における3つの完全ノックアウトind対立遺伝子の存在が、増加した鞘脱粒耐性を示し、農学的に関連する鞘の脱穀性を維持する植物を得るために必要とされうることが考えられる。
【0060】
このように、本発明の一実施態様において、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物、特にIND−A1及びIND−C1遺伝子を含み、3つのind対立遺伝子を含むブラシカ・ナパス植物を本明細書において提供し、それによりind対立遺伝子は、有意に低下した量の、これらの突然変異対立遺伝子の野生型等価物によりコードされる型の機能的INDタンパク質、そしてそのため、植物細胞において、具体的には発生中の種子鞘において、インビボで産生される全体的に有意に低下した量の機能的INDタンパク質をもたらす。
【0061】
さらに、十分なコピーの特定(突然変異)ind対立遺伝子を十分なコピーの特定(野生型)IND対立遺伝子と1つの植物、特にブラシカ植物において組み合わせることにより、作られる機能的INDタンパク質の量及び/又は型を微調節し、次に、植物の果実の裂開特性に影響を及ぼすことが可能であると考えられる。INDタンパク質の絶対量及び相対量をこのように調節して、農学的に関連する種子鞘の脱穀性を可能にし、収穫前又は収穫中に種子脱粒を低下させるための十分なINDタンパク質を産生することができる。
【0062】
このように、本発明の一実施態様において、少なくとも1つの機能的に発現されるIND対立遺伝子(完全に機能的なINDタンパク質をコードし、残りの対立遺伝子は(突然変異)ind対立遺伝子でありうる)を含む植物、特にブラシカ植物を提供する。
【0063】
本発明の一局面において、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物、特に、そのブラシカ植物において少なくとも2つの異なるIND遺伝子、特にIND−A1及びIND−C1遺伝子のn組(n−tuple)のind対立遺伝子を含む(それによりn≦3(例、n=1、2、又は3)であり、少なくとも1つの対立遺伝子が機能的INDタンパク質を産生する)ブラシカ・ナパス植物を提供する。
【0064】
本発明のさらなる局面において、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ種、特にブラシカ属の植物のホモ接合性IND単一突然変異(n=2、即ち、1つのIND遺伝子の突然変異対立遺伝子についてホモ接合性)、及び/又はホモ接合性IND二重突然変異(n=4、即ち、2つのIND遺伝子の突然変異対立遺伝子についてホモ接合性)植物を提供し、それにより、突然変異対立遺伝子は、そのブラシカ植物における2つの異なるIND遺伝子、特にIND−A1及び/又はIND−C1遺伝子の突然変異対立遺伝子である。そのような突然変異植物は、本発明に従い、育種目的のために使用してよい。このように、本発明の一実施態様において、ホモ接合性IND単一突然変異ブラシカ・ナパス植物を本明細書において提供し、それにおいて植物の遺伝子型をind−a1/ind−a1、IND−C1/IND−C1、又はIND−A1/IND−A1、ind−c1/ind−c1と記載することができる。本発明の別の実施態様において、ホモ接合性IND二重突然変異ブラシカ・ナパス植物を本明細書において提供し、それにおいて植物の遺伝子型をind−a1/ind−a1、ind−c1/ind−c1と記載することができる。
【0065】
本発明のさらなる局面において、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ種、特にブラシカ・ナパスのホモ接合性IND単一(n=2)突然変異植物は、さらなる突然変異IND対立遺伝子を含み、それにおいて突然変異植物は、追加の突然変異IND対立遺伝子(即ち、n=3)についてヘテロ接合性であり、及び、それにおいて突然変異対立遺伝子は、そのブラシカ植物における残りの野生型IND遺伝子、特にIND−A1又はIND−C1遺伝子の突然変異対立遺伝子である。このように、本発明のさらなる実施態様において、1つのさらなる突然変異IND対立遺伝子を含むホモ接合性IND単一突然変異ブラシカ・ナパス植物を本明細書において提供し、それにおいて植物の遺伝子型をind−a1/ind−a1、IND−C1/ind−c1、又はIND−A1/ind−a1、ind−c1/ind−c1と記載することができる。
【0066】
さらに、本明細書において、ブラシカ種からの野生型及び突然変異IND遺伝子/対立遺伝子の核酸配列、ならびに野生型及び突然変異INDタンパク質を提供する。また、ブラシカ植物、ならびにそれらのゲノム中の野生型及び突然変異IND対立遺伝子の特定の組み合わせを含み、それにより種子脱粒がこれらの植物において低下したブラシカ植物及び植物部分において突然変異及び野生型IND対立遺伝子を生成及び組み合わせる方法を提供する。突然変異IND対立遺伝子を他の植物に移すためのこれらの植物の使用も本発明の実施態様であり、記載される植物のいずれかの植物産物であるのと同様である。また、IND遺伝子及び/又は対立遺伝子を組み合わせる又は検出するためのマーカー利用選択(MAS)のためのキット及び方法を提供する。本発明の実施態様の各々が、本明細書において以下に詳細に記載される。
【0067】
低下又は遅延した種子脱粒を呈する、本明細書において記載するブラシカ植物は、収穫された種子の収率における増加を有する。しかし、予想外に、2つの突然変異IND対立遺伝子だけをホモ接合状態で含むブラシカ植物からの収穫される種子の収率(即ち、ここにおいて植物の遺伝子型がind−a1/ind−a1、IND−C1/IND−C1、又はIND−A1/IND−A1、ind−c1/ind−c1として記載することができる)も、突然変異IND対立遺伝子を含むブラシカ植物において観察可能な低下又は遅延した種子脱粒表現型の非存在にもかかわらず、突然変異IND対立遺伝子を含まない同質遺伝子ブラシカ植物と比較される場合、有意に増加することが観察された。本発明は、このように、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物も提供し、ここにおいて少なくとも2つの対立遺伝子は機能的INDタンパク質を産生し、その植物はより高い種子収率を有する。IND−A遺伝子座又はIND−C遺伝子座での2つの突然変異対立遺伝子は、同じ突然変異対立遺伝子又は異なる突然変異対立遺伝子でありうることが明らかである。
【0068】
本発明の核酸配列
ブラシカ科から、特にブラシカ種から、特にブラシカ・ナパスから、しかし、また他のブラシカ作物種からの、機能的INDタンパク質をコードする野生型IND核酸配列及びIND遺伝子の突然変異ind核酸配列(1つ又は複数の突然変異、好ましくはコードされるINDタンパク質の無生物学的活性又は有意に低下した生物学的活性をもたらす、あるいは、無INDタンパク質の産生をもたらす突然変異を含む)の両方を提供する。例えば、A及び/又はCゲノムを含むブラシカ種は、IND−A又はIND−C遺伝子の異なる対立遺伝子を含みうるが、それらは本発明の単一の植物において同定して、組み合わせることができる。また、突然変異生成方法を使用して、野生型IND対立遺伝子において突然変異を生成することができ、それにより本発明の使用のために突然変異ind対立遺伝子を生成する。特定のIND対立遺伝子は、好ましくは、植物において交雑及び選択により組み合わせるため、一実施態様において、IND及びindの核酸配列を植物内で(即ち、内因的に)、例えばブラシカ植物、好ましくはブラシカ・ナパスと交雑できる又は「合成」ブラシカ・ナパス植物を作るために使用できるブラシカ植物内で提供する。異なるブラシカ種の間でのハイブリダイゼーションが、当技術分野において記載され、例えば、Snowdon(2007, Chromosome research 15: 85-95)を参照のこと。種間ハイブリダイゼーションを例えば使用して、遺伝子を、例えば、B.ナパス(AACC)中のCゲノムからB.カリナタ(BBCC)中のCゲノムへ、又はさらに、例えば、B.ナパス(AACC)中のCゲノムからB.ジュンセア(AABB)中のBゲノムへ(それらのCゲノムとBゲノムの間の非正統的組換えの散発性事象により)移すことができる。「再合成された」又は「合成」ブラシカ・ナパス系統を、元の祖先、B.オレラセア(CC)及びB.ラパ(AA)を交雑することにより産生することができる。種間、及びまた属間の不適合性バリヤーは、ブラシカ作物種とそれらの近縁種の間での交雑において、例えば、胚救出技術又はプロトプラスト融合により上手く克服することができる(例、Snowdon、上記を参照のこと)。
【0069】
しかし、単離されたIND及びindの核酸配列(例、植物からクローニングにより単離される又はDNA合成により合成的に作られる)、ならびにその変異体及びこれらのいずれかのフラグメントも本明細書において提供する。なぜなら、これらは、機能的及び突然変異対立遺伝子の所望の組み合わせを有する植物を生成するために、いずれの配列が植物又は植物部分において内因的に存在するのか、いずれの配列が機能的もしくは非機能的なタンパク質をコードするのか又はタンパク質をコードしないのか(例、下に記載する組換え宿主細胞における発現による)を判断するために、及び、特定の対立遺伝子の植物から別の植物への選択及び移入のために使用することができるからである。
【0070】
IND−A1及びIND−C1の核酸配列がブラシカ・ナパスから単離されており、配列一覧表において描写する通りである。野生型IND配列を描写しており、これらの配列、及びこれらと本質的に類似の配列の突然変異ind配列が、本明細書において以下に、及び実施例において、野生型IND配列を参照して記載されている。ブラシカ・ナパスからのゲノムINDタンパク質コードDNAは、イントロンを含まない。
【0071】
本発明の「IND−A1核酸配列」又は「IND−A1変異体核酸配列」は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、98%、99%、又は100%の配列番号2との配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列番号1又は配列番号5との配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列である。これらの核酸配列は、また、配列一覧表において提供するIND配列と「本質的に類似する」又は「本質的に同一である」と呼んでよい。
【0072】
本発明の「IND−C1核酸配列」又は「IND−C1変異体核酸配列」は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、98%、99%、又は100%の配列番号4(IND−C1−長(long))又は配列番号4(アミノ酸位置16からアミノ酸位置210まで)(IND−C1−短(short))との配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列、又は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列番号3(IND−C1−長(long))、配列番号3(ヌクレオチド位置46からヌクレオチド位置633まで)(IND−C1−短(short))、又は配列番号7との配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列である。これらの核酸配列は、配列一覧表において提供するIND配列と「本質的に類似」又は「本質的に同一」であると呼んでもよい。
【0073】
このように、本発明は、野生型の機能的IND−A1及びIND−C1タンパク質(その変異体及びフラグメント(以下でさらに定義する)を含む)をコードする核酸配列、ならびにこれらのいずれかの突然変異核酸配列の両方を提供し、それにより核酸配列中の突然変異は、好ましくは、野生型INDタンパク質と比較し、1つ又は複数のアミノ酸が挿入、欠失、又は置換される。好ましくは、核酸配列中の突然変異は、1つ又は複数のアミノ酸変化をもたらし(即ち、野生型アミノ酸配列との関連で、1つ又は複数のアミノ酸が挿入、欠失、及び/又は置換される)、それによりINDタンパク質の生物学的活性が有意に低下する又は完全に消失する。INDタンパク質の生物学的活性の有意な低下又は完全な消失は、本明細書において、INDタンパク質のDNA結合活性、二量体化能力、及び/又は転写調節活性の低下又は消失を指し、突然変異INDタンパク質を発現する植物の鞘脱粒耐性が、対応する野生型INDタンパク質を発現する植物と比較して増加する。
【0074】
植物において、特にブラシカ植物において特定のIND対立遺伝子/タンパク質の機能性を判断するために、植物における鞘脱粒に対する耐性レベルを、巨視的、微視的、及び組織学的なアッセイ(Liljegren et al.(2004、上記)により記載される通りに、又は、以下の実施例において記載される通りにアラビドプシスの果実及び花で実施されるアッセイと類似である)を、特定のIND対立遺伝子/タンパク質を含む植物及び対応する野生型植物の果実及び花で実施することにより決定することができる。簡単に説明すると、鞘脱粒耐性における変化は、巨視的テスト、例えば、弁縁の存在又は非存在、鞘のくちばしの長さなどを評価するための肉眼での種子鞘の検査などにより評価及び/又は測定することができる;異なる突然変異IND系統と対応する野生型系統の間の鞘脱粒耐性レベルを、鞘を軽くねじった際の鞘開口の容易さを評価することにより比較するための手動影響テスト(MIT);それぞれ異なる突然変異IND系統及び対応する野生型系統からの植物からの種子鞘の脱穀性を、これらの系統の鞘サンプルの半減期を測定することにより比較するための無作為影響テスト(RIT);及び/又は、例えば、弁縁の細胞及び種子鞘の裂開部がINDにおける突然変異によりどのように影響を受けるか、及び、影響を受けるか否かを検証するための微視的テストによる。ひとたびINDタンパク質の二量体化パートナー(例、その機能がホモ二量体の形成に依存する場合にはINDタンパク質自体、又は、その機能がヘテロ二量体の形成に依存する場合には別のタンパク質)及び/又はその転写がINDタンパク質により調節される遺伝子が同定及び特性付けされた場合、特定のIND対立遺伝子/タンパク質の機能性が、代わりに、例えば、当技術分野において公知の組換えDNA技術により二量体の両方のパートナーを宿主細胞(例、細菌、例えば大腸菌など)において同時発現させ、二量体を依然として形成することができるか、二量体が調節される遺伝子のbHLH結合部位に依然として結合することができるか、及び/又はこれらの遺伝子の転写が依然としてこの結合により調節されるかを評価することにより評価することができる。
【0075】
内因性の核酸配列及び単離された核酸配列の両方を本明細書において提供する。また、プライマー又はプローブとして及び本発明の別の局面のキットの及び構成要素としての使用のために、上で定義するIND配列及びIND変異体核酸配列のフラグメントを提供する(以下をさらに参照のこと)。IND核酸配列もしくはind核酸配列又はその変異体(定義する通り)の「フラグメント」は、種々の長さ、例えば、IND配列又はind配列の(又は変異体配列の)少なくとも10、12、15、18、20、50、100、200、500、600の連続ヌクレオチドなどでよい。
【0076】
機能的INDタンパク質をコードする核酸配列
配列一覧表において描写する核酸配列は、ブラシカ・ナパスからの野生型の機能的INDタンパク質をコードする。このように、これらの配列は、それらが単離されたブラシカ・ナパス植物に対して内因性である。他のブラシカ作物の種、品種、育種系統、又は野生受入を、同じINDタンパク質又はその変異体をコードする、他のIND対立遺伝子についてスクリーニングしてよい。例えば、核酸ハイブリダイゼーション技術(例、サザンブロット解析、例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を使用する)又はPCRベースの技術を使用して、他のブラシカ植物、例えば種々のブラシカ・ナパスの品種、系統、又は受入など、しかし、また、ブラシカ・ジュンセア(特にAゲノム上のIND対立遺伝子)、ブラシカ・カリナタ(特にCゲノム上のIND対立遺伝子)、ならびにブラシカ・ラパ(Aゲノム)及びブラシカ・オレラセア(Cゲノム)植物に対して内因性であるIND対立遺伝子を同定することができ、器官及び組織を他の野生型IND対立遺伝子についてスクリーニングすることができる。そのような植物、植物の器官又は組織をIND対立遺伝子についてスクリーニングするために、配列一覧表において提供するIND核酸配列、又はこれらのいずれかの変異体もしくはフラグメントを使用してよい。例えば、全配列又はフラグメントをプローブ又はプライマーとして使用してよい。例えば、特異的プライマー又は縮重プライマーを使用して、植物、植物の器官又は組織のゲノムDNAからINDタンパク質をコードする核酸配列を増幅してよい。これらのIND核酸配列を単離して、標準的な分子生物学的技術を使用して配列決定してよい。バイオインフォマティクス解析を次に使用して、例えば、いずれのIND対立遺伝子に配列が対応するか、及び、いずれのINDタンパク質又はタンパク質変異体が配列によりコードされるかを決定するために、対立遺伝子を特性付けしてよい。
【0077】
核酸配列が機能的INDタンパク質をコードするか否かは、当技術分野において公知の組換えDNA技術により(例、遺伝子相補テストにより)、例えばアラビドプシス植物(完全ノックアウトind突然変異対立遺伝子についてホモ接合性である)又はブラシカ・ナパス植物(IND−A1及びIND−C1遺伝子の両方の完全ノックアウトind突然変異対立遺伝子についてホモ接合性である)を使用して分析することができる。
【0078】
また、IND核酸配列及びその変異体(又はこれらのいずれかのフラグメント)はコンピュータ内で、本質的に類似の配列について核酸データベースをスクリーニングすることにより同定してよいことが理解される。同様に、核酸配列を化学的に合成してよい。本発明の核酸分子のフラグメントも提供し、それらは以下でさらに記載される。フラグメントは、bHLHドメインだけをコードする核酸配列、又はbHLHドメインの部分、例えば塩基性ドメインもしくはHLHドメインなどを含むより小さなフラグメントを含む。
【0079】
突然変異INDタンパク質をコードする核酸配列
野生型核酸配列と比べ、1つ又は複数のヌクレオチドの欠失、挿入、又は置換を含む核酸配列は、本発明の別の実施態様であり、そのような突然変異核酸分子のフラグメントと同様である。そのような突然変異核酸配列(ind配列と呼ばれる)は、以下でさらに記載される種々の公知の方法を使用して生成及び/又は同定することができる。この場合でも、そのような核酸分子は、内因性形態及び単離形態の両方で提供される。一実施態様において、突然変異は、コードされるINDタンパク質のアミノ酸配列におて1つ又は複数の変化(欠失、挿入、及び/又は置換)をもたらす(即ち、それは「サイレント突然変異」ではない)。別の実施態様において、核酸配列における突然変異は、野生型タンパク質と比べて、コードされるINDタンパク質の有意に低下した、又は、完全に消失した生物学的活性をもたらす。
【0080】
核酸分子は、このように、1つ又は複数の突然変異、例えば:
(a)「ミスセンス突然変異」(アミノ酸の別のアミノ酸での置換をもたらす核酸配列における変化);
(b)「ナンセンス突然変異」又は「終止コドン突然変異」は、成熟前の終止コドンの導入、そしてそのため、翻訳の終結をもたらす(切断タンパク質をもたらす)核酸配列における変化である;植物遺伝子は翻訳終止コドン「TGA」(RNA中のUGA)、「TAA」(RNA中のUAA)、及び「TAG」(RNA中のUAG)を含む;このように、翻訳される(リーディングフレーム中の)成熟mRNA中にあるはずのこれらのコドンの1つをもたらす任意のヌクレオチドの置換、挿入、欠失は、翻訳を終結させる;
(c)1つ又は複数のアミノ酸の「挿入突然変異」(核酸のコード配列において加えられた1つ又は複数のコドンによる);
(d)1つ又は複数のアミノ酸の「欠失突然変異」(核酸のコード配列において欠失させられた1つ又は複数のコドンによる);
(e)「フレームシフト突然変異」(突然変異の下流で異なるフレームにおいて翻訳される核酸配列をもたらす)
を含みうる。フレームシフト突然変異は、種々の原因、例えば、1つ又は複数のヌクレオチドの挿入、欠失、又は重複などを有しうる。
【0081】
既に言及した通り、核酸配列における突然変異は、好ましくは、インビボで有意に低下した生物学的活性又は無生物学的活性を含む突然変異タンパク質、又は、無タンパク質の産生をもたらす。基本的に、野生型タンパク質と比べて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、及び/又は置換を含むタンパク質をもたらす任意の突然変異は、有意に低下した生物学的活性又は無生物学的活性を導きうる。しかし、タンパク質の特定の部分における突然変異は、突然変異INDタンパク質の低下した機能をもたらす可能性がより高い(例えば、切断タンパク質を導く突然変異などで、それにより機能的ドメインの有意な部分、例えばDNA結合ドメイン(「b」)、二量体化ドメイン(「HLH」)、及び/又は転写調節ドメインなどを欠く)ことが理解される。
【0082】
Arabidopsis Information Resource(TAIR)データベース(http://www.arabidopsis.org/)に従い、アラビドプシスINDEHISCENTタンパク質(locus At4g00120.1;配列番号10)は198アミノ酸長であり、アミノ酸位置121と168の間(pfamドメインPF00010)、アミノ酸位置124と173の間(smartドメインSM00353)、又はアミノ酸位置112と168の間(prositeドメインPS50888)に位置する「ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)二量体化」ドメイン及び配列番号10のアミノ酸位置114と196又は198の間(それぞれsuperfamドメインG3D.4.10.280.10又はSSF47459)の「ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)DNA結合」ドメインを含む。
【0083】
本明細書において記載するブラシカのIND−A1タンパク質は、約185アミノ酸長(配列番号2)であり、IND−C1タンパク質は約195(配列番号4、アミノ酸位置16〜210)又は210(配列番号4)アミノ酸であり、それらは配列番号2におけるアミノ酸位置120と167の間及び配列番号4における位置133と180の間(pfamドメインPF00010)、配列番号2におけるアミノ酸位置123と172の間及び配列番号4における位置136と185の間(smartドメインSM00353)、又は配列番号2におけるアミノ酸位置111と167の間及び配列番号4における位置124と180の間(prositeドメインPS50888)に位置する「ベーシックbHLH二量体化」ドメイン、ならびに配列番号4におけるアミノ酸位置127と208又は210の間(それぞれsuperfamドメインG3D.4.10.280.10又はSSF47459)の「HLH DNA結合」ドメイン(ブラシカ及びアラビドプシスINDタンパク質を最適に整列化させ、TAIRデータベースにおける注釈情報に基づき決定される)を含む。
【0084】
Heim et al.(2003, Mol Biol Evol 20, 735-747)により記載される通り、133のアラビドプシスbHLH転写因子遺伝子のコンセンサスbHLHドメイン配列は、約56のアミノ酸からなる(Heim et al.、図1;配列番号10における位置119〜174に対応する)。この二分ドメインは、(1)塩基性領域(ドメインのN末端に位置して、DNA結合に関与し、約13のアミノ酸からなり、多くの塩基性残基を伴う(「b」;配列番号10における位置119〜131に対応する))、及び(2)ヘリックス・ループ・ヘリックス領域、C末端に位置して、二量体化ドメインとして機能し、約43の主に疎水性アミノ酸残基(配列番号10における位置132〜174に対応する)で構成され、それぞれ約15のアミノ酸(「H1」;配列番号10における位置132〜146に対応する)及び22のアミノ酸(「H2」;配列番号10における位置153〜174に対応する)の2つの両親媒性アルファ‐ヘリックスをそれぞれ形成し、約6及び約14までのアミノ酸(「L」;配列番号10における位置147〜152に対応する)のループ領域により分離され、それはサイズ及びアミノ酸組成の観点からbHLHドメインの最も分岐した領域である。2つのアルファ‐ヘリックスは二量体化を促進させ、異なるファミリーメンバーの間でホモ二量体及び/又はヘテロ二量体の形成を可能にする(Toledo-Ortiz et al., 2003, Plant Cell 15: 1749-1770)。bHLHドメインは進化的に保存されており(Atchley and Fitch, 1997, PNAS 94: 5172-5176)、異なるbHLHファミリーメンバーの間で、このドメインを越えてほとんど配列類似性は存在しない(Morgenstern and Atchley, 1999, Mol Biol Evol 16: 1654-1663)。
【0085】
DNAに結合する証明された能力を伴うそれらのbHLHタンパク質内で、Heim et al.(上記)により定義されたコンセンサスbHLHドメイン配列のアミノ酸位置5、9、及び13が最も決定的である。非植物bHLHタンパク質について、位置5のHis(H)残基、位置9のGlu(E)残基、及び位置13のArg(R)残基(全てが塩基性領域内)が、DNA結合のために決定的であることが示された(Brownlie et al., 1997, Structure 5, 509-520;Atchley et al., 1999, J Mol Evol 48, 501-516;Ledent and Vervoort, 2001, Genome Res 11, 754-770)。しかし、一部の植物タンパク質は、H−E−R配置の変動を有する。例えば、Heim et al.(上記)に従い、アラビドプシス遺伝子At4g00120(配列番号9において表わすアラビドプシスIND遺伝子に対応する)によりコードされるbHLHドメインの5−9−13モチーフは、アミノ酸残基Gln(Q)、Ala(A)、及びArg(R)(それぞれ配列番号10における位置123、127、及び131に対応する)からそれぞれなる(Heim et al.(上記)の図4)。そのような植物タンパク質は、H−E−R配置の変動を有し、塩基性領域(例、グループVIII及びXのメンバー)においてヘリックス破壊プロリンをさらに含みうるが、DNAへの親和性と干渉しうる特徴である。これらの変動によって、これらのタンパク質がネガティブな調節因子として作用することが可能となり、他のbHLHタンパク質と二量体化する能力は保持するが、DNAに結合する能力は欠きうる。5−9−13モチーフがDNA結合のために重要であるが、DNA骨格は位置10及び12(両方ともコンセンサスbHLHドメイン配列におけるArg(R))の塩基性残基により接触され、それらはまた大半の植物タンパク質において保存されている(配列番号10における位置128及び130に対応する)。
【0086】
さらに、Heim et al.(上記)は、ヘリックス1における位置16、20、23、27(配列番号10における位置134、138、141、145に対応する)及びヘリックス2における位置36、39、43、49、53、及び56(配列番号10における位置154、157、161、167、171、174に対応する)の高度に保存された疎水性残基、例えば、ヘリックス1ドメイン内の位置23(配列番号10における位置141に対応する)のロイシン残基及びヘリックス2における保存された疎水性残基が、ヘリックスの片側に位置して、二量体化又は二量体形成の安定化のために必要であることを記載する。
【0087】
最後に、Heim et al.(上記;図4)は、DNA結合ドメインの外側の保存されたアミノ酸配列が、その一部が活性化ドメインとして作用する、又は、転写複合体の他のモジュールとの相互作用のために重要である、又は、シグナル伝達鎖の標的となると考えられることを示す。
【0088】
【表1】





【0089】
同様に、Toledo-Ortiz et al.(2003, Plant Cell 15: 1749-1770;図1)により記載される通り、アラビドプシスbHLH転写因子ファミリーのbHLHドメインは、約56のアミノ酸からなる(Toledo-Ortiz et al.;配列番号10における位置115〜167に対応する)。この二分ドメインは、(1)塩基性領域(ドメインのN末端に位置して、DNA結合に関与し、約17のアミノ酸からなり、多くの塩基性残基を伴う(「b」;配列番号10における位置115〜131に対応する))、及び(2)HLH領域、C末端に位置して、二量体化ドメインとして機能し、約39の主に疎水性アミノ酸残基(配列番号10における位置132〜167に対応する)で構成され、それぞれ約15のアミノ酸(「H1」;配列番号10における位置132〜146に対応する、及び、「H2」;配列番号10における位置152〜167に対応する)の2つの両親媒性アルファ‐ヘリックスを形成し、約9のアミノ酸(「L」;配列番号10における位置147〜151に対応する)のループ領域により分離され、それはサイズ及びアミノ酸組成の観点からbHLHドメインの最も分岐した領域である。
【0090】
配列保存のパターンに基づき、bHLH領域において最も保存されたアミノ酸を表わす仮説上のコンセンサスモチーフ(bHLHドメインにわたり分散した19のアミノ酸を含む(bからの18、H1及びH2;Lからの1))が、Atchley et al.(1999)により生成された。同定された保存アミノ酸は、Toledo-Ortiz et al.(2003、上記)により定義されるアラビドプシスbHLHドメインのアミノ酸位置1、2、13、14、16(bにおける);20、21、24、27、28(H1における);39(Lにおける);42、45、46、49、50、52、53、及び56(H2における)に対応し、それらは配列番号10のアミノ酸位置115、116、127、128、130(bにおける);134、135、138、141、142(H1における);150(Lにおける);153、156、157、160、161、163、164、及び167(H2における)に対応する。
【0091】
Liljegren et al.(2004, Cell, 116, 843-853)によると、アラビドプシスIND遺伝子のbHLHドメインは、13のアミノ酸の塩基性領域(配列番号10、アミノ酸位置119〜131)及び14及び15のアミノ酸の2つのアルファ‐ヘリックス(配列番号10、それぞれアミノ酸位置132〜145から及びアミノ酸位置153〜167)からそれぞれなり、7つのアミノ酸の可変ループ領域により分離されている(配列番号10、アミノ酸位置146〜152)。
【0092】
アラビドプシスIND核酸(配列番号9)及びアミノ酸(配列番号10)配列(IND核酸配列を伴う)、特に本発明のブラシカIND核酸(配列番号1及び3)及びアミノ酸(配列番号2及び4)配列の最適アラインメントによって、これらのブラシカ配列における対応する保存されたドメイン及びアミノ酸の位置を決定することが可能になる(配列番号1〜4のブラシカIND配列については表1を参照のこと)。
【0093】
このように、一実施態様において、上に記載する突然変異の型のいずれかの1つ又は複数を含む核酸配列を提供する。別の実施態様において、1つ又は複数の終止コドン(ナンセンス)突然変異、1つ又は複数のミスセンス突然変異、及び/又は1つ又は複数のフレームシフト突然変異を含むind配列を提供する。上の突然変異核酸配列のいずれかをそれ自体で(単離形態で)提供し、そのような配列を内因的に含む植物及び植物部分と同様である。本明細書中の以下の表において、最も好ましいind対立遺伝子が記載され、1つ又は複数のind対立遺伝子を含むブラシカ・ナパス種子の種子沈着物が示される通りに沈着している。
【0094】
IND対立遺伝子におけるナンセンス突然変異は、本明細書において使用する通り、IND対立遺伝子における突然変異であり、それにより1つ又は複数の翻訳終止コドンが対応する野生型IND対立遺伝子のコードDNA及び対応するmRNA配列中に導入される。翻訳終止コドンは、TGA(mRNA中のUGA)、TAA(UAA)、及びTAG(UAG)である。このように、コード配列においてインフレームの終止コドンの生成を導く任意の突然変異(欠失、挿入、又は置換)は、翻訳の終結及びアミノ酸鎖の切断をもたらしうる。一実施態様において、ナンセンス突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子は、インフレーム終止コドンが、INDコドン配列中に、単一ヌクレオチド置換、例えばCAGからTAG、TGGからTAG、TGGからTGA、又はCAAからTAAの突然変異などにより導入されるIND対立遺伝子である。別の実施態様において、ナンセンス突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子は、インフレーム終止コドンが、INDコドン配列中に、二重ヌクレオチド置換、例えばCAGからTAA、TGGからTAA、又はCGGからTAGもしくはTGAの突然変異などにより導入されるIND対立遺伝子である。さらに別の実施態様において、ナンセンス突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子は、インフレーム終止コドンが、INDコドン配列中に、三重ヌクレオチド置換、例えばCGGからTAAの突然変異などにより導入されるIND対立遺伝子である。切断タンパク質は、突然変異の下流のコードDNAによりコードされるアミノ酸(即ち、INDタンパク質のC末端部分)を欠き、突然変異の上流のコードDNAによりコードされるアミノ酸(即ち、INDタンパク質のN末端部分)を保持する。一実施態様において、ナンセンス突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子は、ナンセンス突然変異がH2ドメインの保存されたLeu残基の前のどこか(Heim et al., 2003により記載されるコンセンサスbHLHドメイン配列における位置(上を参照のこと))に存在し、少なくとも保存されたLeu残基を欠く、IND対立遺伝子である。突然変異INDタンパク質が、野生型INDタンパク質と比較してより多く切断されるほど、切断によってINDタンパク質の有意に低下した活性又は無活性がより多くもたらされうる。このように、別の実施態様において、約170未満のアミノ酸(保存されたLeuを欠く)、約150未満のアミノ酸(H2ドメインを欠く)、約145未満のアミノ酸(L及びH2ドメインを欠く)、約130未満のアミノ酸(HLHドメインを欠く)、約115未満のアミノ酸(bHLHドメインを欠く)、又はさらに長さのより少ないアミノ酸の切断タンパク質をもたらすナンセンス突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子、例えばアラビドプシスind−4又はind−5(Liljegren et al., 2004、上記)対立遺伝子に対応する突然変異IND対立遺伝子などを提供する(表1を参照のこと)。
【0095】
本明細書における以下の表は、本明細書において提供するブラシカ・ナパスIND配列における一連の起こりうるナンセンス突然変異を記載する:
【0096】
【表2】


(1)このナンセンス突然変異を含む突然変異IND−A1対立遺伝子を含む種子(以下、ind−a1−EMS01と呼ぶ)は、American Type Culture Collection(ATCC, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, US)に、2007年11月20日に受入番号PTA−8796の下で寄託されている。
【0097】
【表3】


(2)このナンセンス突然変異を含む突然変異IND−C1対立遺伝子を含む種子(以下、ind−c1−EMS01と呼ぶ)は、ATCCに2007年11月20日に受入番号PTA−8796の下で寄託されている。
(3)このナンセンス突然変異を含む突然変異IND−C1対立遺伝子を含む種子(以下、ind−c1−EMS03と呼ぶ)は、ATCCに2007年11月20日に受入番号PTA−8795の下で寄託されている。
【0098】
明らかに、突然変異は上の表において示すものに限定されず、配列一覧表において描写し、上の表において言及するもの以外の類似の終止突然変異がind対立遺伝子において存在することが理解される。
【0099】
IND対立遺伝子におけるミスセンス突然変異は、本明細書において使用する通り、IND対立遺伝子における任意の突然変異(欠失、挿入、又は置換)であり、それにより1つ又は複数のコドンが、対応する野生型IND対立遺伝子のコードDNA及び対応するmRNA配列に変化して、野生型INDタンパク質中の1つ又は複数のアミノ酸での突然変異INDタンパク質中の1つ又は複数のアミノ酸の置換をもたらす。一実施態様において、ミスセンス突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子は、上に示した又は表1における保存されたアミノ酸の1つ又は複数が置換されたIND対立遺伝子である。上に示す通り、保存されたアミノ酸の一部は、他よりも、INDタンパク質の生物学的活性のためにより決定的である。このように、例えば、Heim et al.(上記)により定義されるコンセンサスbHLHドメインのアミノ酸位置5、9、及び13又は位置10及び12の置換をもたらすミスセンス突然変異は、INDタンパク質の、標的DNAへ結合する能力の低下のため、有意に低下した活性又は無活性をもたらす可能性がより高い。同様に、例えば、Heim et al.(上記)により定義されるコンセンサスbHLHドメインのヘリックス1におけるアミノ酸位置16、20、23、27又はヘリックス2における位置36、39、43、49、53、及び56の置換をもたらすミスセンス突然変異は、INDタンパク質の二量体化能力の低下のため、有意に低下した活性又は無活性をもたらす可能性がより高い。Heim et al.(上記)により定義されるコンセンサスbHLHドメインの位置10のArg残基でのHis残基の置換を起こすミスセンス突然変異を含む突然変異IND−A1対立遺伝子を含む種子(以下、ind−a1−EMS05と呼ばれる)が、ATCCに2007年11月20日に受入番号PTA−8795の下で寄託されている。別の実施態様において、ミスセンス突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子は、アラビドプシスind−1又はind−3(Liljegren et al., 2004、上記)対立遺伝子におけるミスセンス突然変異に対応するミスセンス突然変異を含むIND対立遺伝子である(表1を参照のこと)。
【0100】
IND対立遺伝子におけるフレームシフト突然変異は、本明細書において使用する通り、突然変異の下流で異なるフレームにおいて翻訳される核酸配列をもたらすIND対立遺伝子における突然変異(欠失、挿入、重複など)である。一実施態様において、フレームシフト突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子は、アラビドプシスind−2(Liljegren et al., 2004、上記)対立遺伝子におけるフレームシフト突然変異に対応するフレームシフト突然変異を含むIND対立遺伝子であり、それにおいて、単一ヌクレオチドがコドン26内で欠失しており、フレームシフト及び35のアミノ酸の切断タンパク質の産生をもたらす(Liljegren et al., 2004による、上記)。別の実施態様において、フレームシフト突然変異を含む突然変異IND対立遺伝子は、アラビドプシスind−6(Wu et al., 2006、上記)対立遺伝子におけるフレームシフト突然変異に対応するフレームシフト突然変異を含むIND対立遺伝子であり、それにおいて、Dsトランスポゾンがヌクレオチド183の後に挿入され、挿入部位で8ヌクレオチドの重複を起こす(又は、対応するリバータントアラビドプシスind対立遺伝子)(Wu et al., 2006、上記、図1aを参照のこと)。
【0101】
本発明のアミノ酸配列
ブラシカ科、特にブラシカ種、特にブラシカ・ナパス、しかし、また他のブラシカ作物種からの野生型(機能的)INDアミノ酸配列及び突然変異INDアミノ酸配列(1つ又は複数の突然変異、好ましくはINDタンパク質の有意に低下した生物学的活性又は無生物学的活性をもたらす突然変異を含む)の両方を提供する。例えば、A及び/又はCゲノムを含むブラシカ種は、異なるIND−Aアミノ酸又はIND−Cアミノ酸をコードしうる。また、突然変異生成方法を使用して、野生型IND対立遺伝子において突然変異を生成することができ、それにより、さらなる突然変異INDタンパク質をコードすることができる突然変異対立遺伝子を生成する。一実施態様において、野生型及び/又は突然変異INDアミノ酸配列を、ブラシカ植物内で(即ち、内因的に)提供する。しかし、単離されたINDアミノ酸配列(植物から単離された又は合成的に作られた)、ならびにその変異対及びこれらのいずれかのフラグメントも本明細書において提供する。
【0102】
IND−A1及びIND−C1タンパク質のアミノ酸配列は、配列一覧表において描写されるブラシカ・ナパスから単離されている。野生型IND配列を描写し、これらの配列の、及びこれらと本質的に類似の配列の突然変異IND配列を、本明細書において以下に、野生型IND配列を参照して記載する。
【0103】
上に記載の通り、本明細書において記載するブラシカのINDタンパク質は、約185〜210のアミノ酸長であり、多くの構造的ドメイン及び機能的ドメインを含む。
【0104】
本発明の「IND−A1アミノ酸配列」又は「IND−A1変異体アミノ酸配列」は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、98%、99%、又は100%の配列番号2との配列同一性を有するアミノ酸配列である。これらのアミノ酸配列は、配列一覧表において提供するIND配列と「本質的に類似する」又は「本質的に同一である」と呼んでもよい。
【0105】
本発明の「IND−C1アミノ酸配列」又は「IND−C1変異体アミノ酸配列」は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列番号4(IND−C1−長(long))との又はアミノ酸位置16からアミノ酸位置210までの配列番号4との配列同一性を有するアミノ酸配列である。これらのアミノ酸配列は、配列一覧表において提供するIND配列と「本質的に類似する」又は「本質的に同一である」と呼んでもよい。
【0106】
このように、本発明は、野生型の機能的IND−A1及びIND−C1タンパク質(その変異体及びフラグメント(以下でさらに定義する)を含む)のアミノ酸配列、ならびにこれらのいずれかの突然変異アミノ酸配列の両方を提供し、それにより、アミノ酸配列中の突然変異は、好ましくは、対応する野生型INDタンパク質の生物学的活性と比較し、INDタンパク質の生物学的活性の有意な低下又は完全な消失をもたらす。INDタンパク質の生物学的活性の有意な低下又は完全な消失は、本明細書において、INDタンパク質のDNA結合活性、二量体化能力、及び/又は転写調節活性の低下又は消失を指し、突然変異INDタンパク質を発現する植物の鞘脱粒耐性が、対応する野生型INDタンパク質を発現する植物と比較し、対応する野生型植物の鞘脱粒耐性と比較して増加する。
【0107】
内因性の核酸配列及び単離された核酸配列の両方を本明細書において提供する。また、上で定義するINDアミノ酸配列及びIND変異体アミノ酸配列のフラグメントを提供する。INDアミノ酸配列又はその変異体(定義する通り)の「フラグメント」は、種々の長さ、例えば、IND配列の(又は変異体配列の)少なくとも10、12、15、18、20、50、100、150、175、180の連続アミノ酸などでよい。
【0108】
機能的INDタンパク質のアミノ酸配列
配列一覧表において描写するアミノ酸配列は、ブラシカ・ナパスからの野生型の機能的INDタンパク質である。このように、これらの配列は、それらが単離されたブラシカ・ナパス植物に対して内因性である。他のブラシカ作物の種、品種、育種系統、又は野生受入を、同じアミノ酸配列又はその変異体を伴う他のINDタンパク質についてスクリーニングしてよい(上に記載の通り)。
【0109】
また、INDアミノ酸配列及びその変異体(又はこれらのいずれかのフラグメント)はコンピュータ内で、本質的に類似の配列についてアミノ酸データベースをスクリーニングすることにより同定してよいことが理解される。本発明のアミノ酸分子のフラグメントも提供する。フラグメントは、bHLHドメインのアミノ酸配列、又はbHLHドメインの部分、例えば塩基性ドメインもしくはHLHドメインなどを含むより小さなフラグメントを含む。
【0110】
突然変異INDタンパク質のアミノ酸配列
野生型アミノ酸配列と比べ、1つ又は複数のアミノ酸の欠失、挿入、又は置換を含むアミノ酸配列は、本発明の別の実施態様であり、そのような突然変異アミノ酸分子のフラグメントと同様である。そのような突然変異アミノ酸配列は、上で記載される種々の公知の方法を使用して生成及び/又は同定することができる。この場合でも、そのようなアミノ酸分子は、内因性形態及び単離形態の両方で提供される。
【0111】
一実施態様において、アミノ酸配列における突然変異は、野生型タンパク質と比べて、INDタンパク質の有意に低下した、又は、完全に消失した生物学的活性をもたらす。上に記載した通り、基本的に、野生型タンパク質と比べて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、及び/又は置換を含むタンパク質をもたらす任意の突然変異は、有意に低下した生物学的活性又は無生物学的活性を導きうる。しかし、タンパク質の特定の部分における突然変異は、突然変異INDタンパク質の低下した機能をもたらす可能性がより高い(例えば、切断タンパク質を導く突然変異などで、それにより機能的ドメインの有意な部分、例えばDNA結合ドメイン(「b」)、二量体化ドメイン(「HLH」)、及び/又は転写の調節において重要であるアミノ酸(表1を参照のこと)などを欠く、又は、置換されている)ことが理解される。
【0112】
このように、一実施態様において、1つ又は複数の欠失又は挿入突然変異を含む突然変異INDタンパク質を提供し、それにより欠失又は挿入は有意に低下した活性又は無活性をインビボで有する突然変異タンパク質をもたらす。そのような突然変異INDタンパク質は、少なくとも1、少なくとも2、3、4、5、10、20、30、50、100、100、150、175、180又はそれ以上のアミノ酸が、野生型INDタンパク質と比較して欠失又は挿入されたINDタンパク質であり、それにより欠失又は挿入は有意に低下した活性又は無活性をインビボで有する突然変異タンパク質をもたらす。
【0113】
別の実施態様において、切断された突然変異INDタンパク質を提供し、それにより切断は有意に低下した活性又は無活性をインビボで有する突然変異タンパク質をもたらす。そのような切断されたINDタンパク質は、対応する野生型INDタンパク質のC末端部分において機能的ドメインを欠き、対応する野生型INDタンパク質のN末端部分を保持するINDタンパク質である。このように、一実施態様において、対応する野生型INDタンパク質のN末端部分、H2ドメインの保存されたLeu残基まで(しかし、それを含まない)(Heim et al., 2003により記載されるコンセンサスbHLHドメイン配列中の位置56、上を参照のこと)を含む切断されたINDタンパク質を提供する。突然変異INDタンパク質が、野生型INDタンパク質と比較してより多く切断されるほど、切断によってINDタンパク質の有意に低下した活性又は無活性がより多くもたらされうる。このように、一実施態様において、対応する野生型INDタンパク質のN末端部分(第2のHドメインの部分又は全てを欠き、及び/又はLドメインの部分又は全てを欠き、及び/又は第1のHドメインの部分又は全てを欠き、塩基性ドメイン(上に記載する)の部分又は全てを欠く)、又はさらに多くのアミノ酸を含む切断INDタンパク質を提供する(上の表を参照のこと)。
【0114】
さらに別の実施態様において、1つ又は複数の置換突然変異を含み、それにより置換が有意に低下した活性又は無活性をインビボで有する突然変異タンパク質をもたらす突然変異INDタンパク質を提供する。そのような突然変異INDタンパク質は、特定の機能、例えばDNA結合、二量体化、又は転写調節における機能などを有する保存されたアミノ酸残基が置換されたINDタンパク質である。このように、一実施態様において、生物学的機能を有する保存されたアミノ酸残基、例えば上の表1に示す塩基性ドメイン、又はH1、L、もしくはH2ドメインの保存されたアミノ酸などの置換を含む突然変異INDタンパク質を提供する。
【0115】
本発明の方法
突然変異ind対立遺伝子は、一連の方法(当技術分野において従来法である)を使用して、例えば、indゲノム又はcDNAの部分又は全てを増幅するためのPCRベースの方法を使用して生成(例えば、突然変異生成により誘発する)及び/又は同定してよい。
【0116】
突然変異生成に続き、植物を処理された種子から生育させ、又は、公知の技術を使用して処置された細胞から再生される。例えば、突然変異誘発された種子を、従来の生育手順に従って植えることができ、そして続く自家受粉種子が植物に形成される。あるいは、例えばCoventry et al.(1988, Manual for Microspore Culture Technique for Brassica napus. Dep. Crop Sci. Techn. Bull. OAC Publication 0489. Univ. of Guelph, Guelph, Ontario, Canada)により記載される通りに、倍加半数体小植物が処理された小胞子又は花粉細胞から抽出されて、迅速にホモ接合性植物を形成しうる。この世代又はその後の世代におけるそのような自家受粉の結果として形成される追加の種子を収穫して、当技術分野において従来法である技術、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの技術(ind対立遺伝子の増幅)又はハイブリダイゼーションベースの技術(例、サザンブロット解析、BACライブラリースクリーニングなど)及び/又はind対立遺伝子の直接配列決定を使用して、突然変異IND対立遺伝子の存在についてスクリーニングしてよい。突然変異IND対立遺伝子における点突然変異(いわゆる一塩基多型又はSNP)の存在についてスクリーニングするために、当技術分野において従来法であるSNP検出方法を使用することができる(例えばオリゴライゲーション(oligoligation)ベースの技術、単一塩基伸長ベースの技術、又は制限酵素部位における差異に基づく技術(例えばTILLINGなど))。
【0117】
上に記載の通り、特定の野生型IND対立遺伝子の突然変異誘発(自発的ならびに誘発的)は、結果として得られる突然変異IND対立遺伝子において1つ又は複数の欠失、挿入、又は置換されたヌクレオチド(以下、「突然変異領域」と呼ぶ)の存在をもたらす。突然変異IND対立遺伝子は、このように、野生型IND対立遺伝子における1つ又は複数の欠失、挿入、又は置換されたヌクレオチドの位置及び配置により特徴付けることができる。1つ又は複数のヌクレオチドがそれぞれ挿入、欠失、又は置換された野生型IND対立遺伝子における部位を、本明細書において、「突然変異領域又は配列」とも呼ぶ。本明細書において使用する「5’又は3’隣接領域又は配列」は、突然変異(又は対応する野生型)IND対立遺伝子におけるDNA領域又は配列であり、少なくとも20bp、好ましくは少なくとも50bp、少なくとも750bp、少なくとも1500bp、及び5000bpまでのDNAであり、1つ又は複数の欠失、挿入、又は置換されたヌクレオチドを含むDNA、好ましくは突然変異IND対立遺伝子における(又は対応する野生型IND対立遺伝子における)突然変異領域の直ぐ上流及び近接して(5’隣接領域又は配列)又は直ぐ下流及び近接して(3’隣接領域又は配列)位置する突然変異(又は対応する野生型)IND対立遺伝子からのDNAとは異なる。本明細書において使用する「連結領域」は、突然変異(又は対応する野生型)IND対立遺伝子におけるDNA領域を指し、ここで突然変異領域及び5’又は3’隣接領域が互いに連結される。「突然変異領域と5’又は3’隣接領域の間の連結領域に及ぶ配列」は、このように、突然変異配列ならびにそれと近接する隣接配列を含む。
【0118】
特定の突然変異IND対立遺伝子又は特定の突然変異IND対立遺伝子を含む植物もしくは植物材料、又は特定の突然変異IND対立遺伝子を含む植物材料を含む産物を同定するために開発されたツールは、対応する野生型IND対立遺伝子のゲノム特徴と比較した、特定の突然変異IND対立遺伝子の特定のゲノム特徴、例えば、突然変異領域を含むゲノム領域の特定の制限酵素地図、分子マーカー、又は隣接領域及び/又は突然変異領域の配列などに基づく。
【0119】
ひとたび特定の突然変異IND対立遺伝子が配列決定されれば、プライマー及びプローブを開発でき、それらは分子生物学的技術としてサンプルの核酸(DNA又はRNA)における突然変異IND対立遺伝子の5’隣接、3’隣接、及び/又は突然変異領域内の配列を特異的に認識する。例えば、PCR方法を開発して、生物学的サンプル(植物、植物材料、又は植物材料を含む産物など)において突然変異IND対立遺伝子を同定することができる、そのようなPCRは少なくとも2つの特異的「プライマー」に基づく:1つは突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域内の配列を認識し、他は突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域内の配列をそれぞれ認識する;あるいは1つは突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域内の配列を認識し、他は突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域内の配列を認識する;あるいは1つは突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域内の配列を認識し、他は特定の突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列(以下でさらに記載する)をそれぞれ認識する。
【0120】
プライマーは、好ましくは、最適化されたPCR条件下で、5’又は3’隣接領域内の配列、突然変異領域内の配列、又は特定の突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列を「特異的に認識する」15〜35の間のヌクレオチドの配列を有し、特定のフラグメント(「突然変異IND特異的フラグメント」又は識別アンプリコン)が特定の突然変異IND対立遺伝子を含む核酸サンプルから増幅される。これは、標的とされる突然変異IND対立遺伝子だけが最適化されたPCR条件下で増幅される(植物ゲノム中の他の配列はされない)ことを意味する。
【0121】
本発明のために適したPCRプライマーは以下:
− 長さ17nt〜約200ntに及び、少なくとも17の連続ヌクレオチド、好ましくは20の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、特定の突然変異IND対立遺伝子又はその相補体の5’又は3’隣接配列から選択されるオリゴヌクレオチド(即ち、例えば、本発明の突然変異IND対立遺伝子において欠失、挿入、又は置換された1つ又は複数のヌクレオチドの5’又は3’に隣接する配列、例えば上に記載するナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の5’又は3’に隣接する配列、あるいは上の表において示す終止コドン突然変異又は上に示す置換突然変異の5’又は3’に隣接する配列、あるいはその相補体など)(5’隣接配列を認識するプライマー);又は
− 長さ17nt〜約200ntに及び、少なくとも17の連続ヌクレオチド、好ましくは20のヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、特定の突然変異IND対立遺伝子又はその相補体の突然変異領域の配列から選択されるオリゴヌクレオチド(即ち、例えば、本発明のIND遺伝子において挿入又は置換されたヌクレオチドの配列あるいはその相補体など)(突然変異配列を認識するプライマー)
でありうる。
【0122】
プライマーは、無論、言及した17の連続ヌクレオチドより長くなりうる(例えば、18、19、20、21、30、35、50、75、100、150、200nt又はさらに長くなりうる)。プライマーは、全体的に、隣接配列及び突然変異配列の言及したヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列からなりうる。しかし、プライマーのそれらの5’末端の(即ち、3’に位置する17の連続ヌクレオチドの外側の)ヌクレオチド配列はそれほど決定的ではない。このように、プライマーの5’配列は、適宜、隣接配列又は突然変異配列から選択されるヌクレオチド配列からなりうるが、しかし、いくつかの(例、1、2、5、10)ミスマッチを含みうる。プライマーの5’配列は、さらに全体的に、隣接配列又は突然変異配列と無関係のヌクレオチド配列、例えば制限酵素認識部位を表わすヌクレオチド配列などからなりうる。ミスマッチを伴うそのような無関係の配列又は隣接DNA配列は、好ましくは、100より長くならず、より好ましくは50又はさらに25ヌクレオチドより長くならない。
【0123】
さらに、適したプライマーは、隣接配列と突然変異配列の間の連結領域(即ち、例えば、本発明の突然変異IND対立遺伝子において欠失、挿入、又は置換された1つ又は複数のヌクレオチドの5’又は3’に隣接する配列と挿入又は置換された1つ又は複数のヌクレオチドの配列あるいは欠失された1つ又は複数のヌクレオチドの3’又は5’にそれぞれ隣接する配列の連結領域、例えば上に記載する本発明のIND遺伝子におけるナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の5’又は3’に隣接する配列と、ナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の間の連結領域、あるいは上の表において示す潜在的な終止コドン突然変異又は上に示す置換突然変異の5’又は3’に隣接する配列と、潜在的な終止コドン突然変異又は置換突然変異の配列の間のそれぞれ連結領域)に及ぶヌクレオチド配列を含みうる、又は、それからなりうる(ただしヌクレオチド配列が突然変異領域又は隣接領域のいずれかにもっぱら由来しないことを条件とする)。
【0124】
適切に選択されたPCRプライマー対が、また、互いに相補的な配列を含んではならないことも当業者に直ぐに明らかである。
【0125】
本発明の目的のために、「配列番号Xにおいて表わされるヌクレオチド配列の相補体」は、それらの相補ヌクレオチドを通じてシャルガフ則(A→T;G→C)に従ってヌクレオチドを交換すること、及び、5’から3’の方向において(即ち、表わしたヌクレオチド配列の逆方向において)配列を読むことにより表わしたヌクレオチド配列から由来されるヌクレオチド配列である。
【0126】
特定の突然変異IND対立遺伝子を同定するために適したプライマーの例を、実施例において記載する。
【0127】
本明細書において使用する「配列番号Zの位置Xから位置Yまでのヌクレオチド配列」は、両方のヌクレオチドのエンドポイントを含むヌクレオチド配列を示す。
【0128】
好ましくは、増幅されたフラグメントは、50と1000の間のヌクレオチドの長さ、例えば50と500の間のヌクレオチドの長さ、又は100と350の間のヌクレオチドの長さなどを有する。特異的プライマーは、5’又は3’隣接領域内の配列、突然変異領域内の配列、又は特定の突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列と80と100%の間で同一である配列を有しうる(ただしミスマッチによって、依然として、これらのプライマーを用いた特異的突然変異IND対立遺伝子の特異的な同定が最適化されたPCR条件下で可能になることを条件とする)。許容可能なミスマッチの範囲は、しかし、実験的に容易に決定することができ、当業者に公知である。
【0129】
「突然変異IND特異的フラグメント」の検出及び/又は同定は、種々の方法で(例、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後のサイズ推定を通じて又は蛍光ベースの検出方法を通じて)起こりうる。突然変異IND特異的フラグメントは、また、直接配列決定してよい。増幅されたDNAフラグメントの検出のための他の配列特異的方法も当技術分野において公知である。
【0130】
標準的なPCRプロトコールが当技術分野において記載されている(例えば、「PCR Applications Manual」(Roche Molecular Biochemicals, 2nd Edition, 1999)及び他の参考文献)。PCRのための最適な条件(特異的プライマーの配列を含む)が、各々の特異的な突然変異IND対立遺伝子についての「PCR identification protocol」において特定される。しかし、PCR同定プロトコールにおける多くのパラメーターを調整して、実験室条件を特定する必要がありうるが、わずかに改変して、類似の結果を得てよいことが理解される。例えば、DNAの調製のための異なる方法の使用では、例えば、プライマーの量、ポリメラーゼ、MgCl濃度、又は使用するアニーリング条件の調整が必要になりうる。同様に、他のプライマーの選択は、PCR同定プロトコールのための他の最適条件を指示しうる。これらの調整は、しかし、当業者に明らかであり、現行のPCR適用手動(例えば上で引用するものなど)においてさらに詳述される。
【0131】
特定の突然変異IND対立遺伝子を同定するためのPCR同定プロトコールの例を、実施例において記載する。
【0132】
あるいは、特異的プライマーを使用して、生物学的サンプル中の特定の突然変異IND対立遺伝子を同定するための「特定のプローブ」として使用することができる突然変異IND特異的フラグメントを増幅することができる。生物学的サンプルの核酸を、プローブと、プローブとその対応する核酸中のフラグメントとのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させることによって、核酸/プローブハイブリッドの生成をもたらす。このハイブリッドの形成を検出することができ(例、核酸又はプローブの標識)、それによりこのハイブリッドの形成は特定の突然変異IND対立遺伝子の存在を示す。特定のプローブとのハイブリダイゼーションに基づく(固相担体上又は溶液中のいずれかでの)そのような同定方法が、当技術分野において記載されている。特定のプローブは、好ましくは、最適化された条件下で、特定の突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域内及び/又は突然変異領域内の領域(以下、「突然変異IND特異的領域」と呼ぶ)に特異的にハイブリダイズする配列である。好ましくは、特定のプローブは、10〜1000bp、50〜600bpの間、100〜500bpの間、150〜350bpの間、少なくとも80%、好ましくは80〜85%の間、より好ましくは85〜90%の間、特に好ましくは90〜95%の間、最も好ましくは95%〜100%の間で特定の領域のヌクレオチド配列と同一である(又は相補的である)配列を含む。好ましくは、特定のプローブは、特定の突然変異IND対立遺伝子の特定の領域と同一である(又は相補的である)約13〜約100の連続ヌクレオチドの配列を含む。
【0133】
本発明のために適した特定のプローブは以下:
− 長さ13nt〜約1000ntに及び、少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、特定の突然変異IND対立遺伝子又はその相補体の5’又は3’隣接配列から選択されるオリゴヌクレオチド(即ち、例えば、本発明の突然変異IND対立遺伝子において欠失、挿入、又は置換された1つ又は複数のヌクレオチドの5’又は3’に隣接する配列、例えば上に記載するナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の5’又は3’に隣接する配列、あるいは上の表において示す潜在的な終止コドン突然変異又は上に示す置換突然変異の5’又は3’に隣接する配列)、又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列(5’隣接配列を認識するプローブ);又は
− 長さ13nt〜約1000ntに及び、少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、特定の突然変異IND対立遺伝子又はその相補体の突然変異配列から選択されるオリゴヌクレオチド(即ち、例えば、本発明のIND遺伝子において挿入又は置換されたヌクレオチドの配列あるいはその相補体)、又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列(突然変異配列を認識するプローブ)
でありうる。
【0134】
プローブは、全体的に、隣接配列及び突然変異配列の言及したヌクレオチド配列から選択されるヌクレオチド配列からなりうる。しかし、プローブのそれらの5’又は3’末端のヌクレオチド配列はそれほど決定的ではない。このように、プローブの5’又は3’配列は、適宜、隣接配列又は突然変異配列から選択されるヌクレオチド配列からなりうるが、しかし、隣接配列又は突然変異配列とは無関係のヌクレオチド配列からなりうる。そのような無関係の配列は、好ましくは、50より長くならず、より好ましくは25又はさらに20又は15ヌクレオチドより長くならない。
【0135】
さらに、適したプローブは、隣接配列と突然変異配列の間の連結領域(即ち、例えば、本発明の突然変異IND対立遺伝子において欠失、挿入、又は置換された1つ又は複数のヌクレオチドの5’又は3’に隣接する配列と挿入又は置換された1つ又は複数のヌクレオチドの配列あるいは欠失された1つ又は複数のヌクレオチドの3’又は5’にそれぞれ隣接する配列の連結領域、例えば上に記載する本発明のIND遺伝子におけるナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の5’又は3’に隣接する配列と、ナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異の間の連結領域、あるいは上の表において示す潜在的な終止コドン突然変異又は上に示す置換突然変異の5’又は3’に隣接する配列と、潜在的な終止コドン又は置換突然変異の配列の間のそれぞれ連結領域)に及ぶヌクレオチド配列を含みうる、又は、それからなりうる(ただし言及したヌクレオチド配列が突然変異領域又は隣接領域のいずれかにもっぱら由来しないことを条件とする)。
【0136】
特定の突然変異IND対立遺伝子を同定するために適したプローブの例を、実施例において記載する。
【0137】
特定のプローブにハイブリダイズする「突然変異IND特異的領域」の検出及び/又は同定は、種々の方法で(例、ゲル電気泳動後のサイズ推定を通じて又は蛍光ベースの検出方法を通じて)起こりうる。特定のプローブにハイブリダイズする「突然変異IND特異的領域」の検出のための他の配列特異的方法も当技術分野において公知である。
【0138】
あるいは、1つ又は複数の突然変異ind対立遺伝子を含む植物又は植物部分を、他の方法を使用して生成及び同定することができる。例えば、「Delete-a-gene(商標)」(PCRを使用して、高速中性子突然変異生成により生成される欠失突然変異体についてスクリーニングする(Li and Zhang, 2002, Funct Integr Genomics 2:254-258により概説))、TILLING(ゲノム中の標的化誘発局所的損傷)(変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)を使用してEMS誘発性点突然変異を同定する)(McCallum et al., 2000, Nat Biotech 18: 455、及びMcCallum et al. 2000, Plant Physiol. 123, 439-442)など。言及した通り、TILLINGでは突然変異についてのハイスループットスクリーニングを使用する(例、突然変異野生型DNAヘテロ二本鎖のCel1切断、及び、配列決定ゲルシステムを使用した検出を使用する)。このように、1つ又は複数の突然変異ind対立遺伝子を含む植物又は植物部分を同定するためのTILLINGならびにそのような植物、植物器官、組織、及び種子を生成及び同定するための方法の使用が本明細書において包含される。このように、一実施態様において、本発明の方法は、植物種子の突然変異誘発(例、EMS突然変異生成)、植物個体又はDNAのプール、目的の領域のPCR増幅、ヘテロ二本鎖形成及びハイスループット検出、突然変異植物の同定、突然変異PCR産物の配列決定の工程を含む。他の突然変異生成及び選択の方法を等しく使用して、そのような突然変異植物を生成してよいことが理解される。
【0139】
IND対立遺伝子において突然変異を誘発する代わりに、自然(自発的)突然変異対立遺伝子を当技術分野において公知の方法により同定してよい。例えば、ECOTILLINGを使用して(Henikoff et al. 2004, Plant Physiology 135(2): 630-6)、自然突然変異ind対立遺伝子の存在について複数の植物又は植物部分をスクリーニングしてよい。上の突然変異生成技術に関しては、好ましくはA及び/又はCゲノムを含むブラシカ種をスクリーニングして、同定されたind対立遺伝子をその後に他のブラシカ種、例えばブラシカ・ナパスに、交雑(種間又は種内交雑)及び選択により導入することができる。ECOTILLINGにおいて、育種系統又は関連種における天然多型を、上に記載のTILLING方法論によりスクリーニングし、それにおいて植物の個体又はプールをind標的のPCR増幅、ヘテロ二量体形成、及びハイスループット分析のために使用する。これには、その後に育種プログラムにおいて所望の突然変異対立遺伝子を取り込むために使用することができる必要とされる突然変異を有する個々の植物の選択が続きうる。
【0140】
同定された突然変異対立遺伝子を次に配列決定して、配列を野生型対立遺伝子と比較して、突然変異を同定することができる。場合により、機能性を上に示す通りにテストすることができる。このアプローチを使用し、複数の突然変異ind対立遺伝子(及びこれらの1つ又は複数を含むブラシカ植物)を同定することができる。所望の突然変異対立遺伝子を、次に、以下でさらに記載する交雑及び選択の方法により、所望の野生型対立遺伝子と組み合わせることができる。最後に、所望の数の突然変異ind及び所望の数の野生型IND対立遺伝子を含む単一の植物を生成する。
【0141】
特定の突然変異IND対立遺伝子の検出のためのPCRプライマー又は特定のプローブとして適するオリゴヌクレオチドを使用して、特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するための方法を開発することもできる。
【0142】
特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するために、PCRベースのアッセイを開発して、突然変異及び/又は対応する野生型IND特異的対立遺伝子の存在を決定することができる。
【0143】
特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するために、野生型IND対立遺伝子を特異的に認識する2つのプライマーを、それらが互いに向き合い、プライマーの間に位置する突然変異領域を有するように設計することができる。これらのプライマーは、5’及び3’隣接配列をそれぞれ特異的に認識するプライマーでよい。このセットのプライマーは、突然変異体、ならびに対応する野生型IND対立遺伝子の同時診断的PCR増幅を可能にする。
【0144】
あるいは、特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するために、野生型IND対立遺伝子を特異的に認識する2つのプライマーを、それらが互いに向き合い、それらの1つが突然変異領域を特異的に認識するように設計することができる。これらのプライマーは、野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域の配列及び突然変異領域をそれぞれ特異的に認識するプライマーでよい。このセットのプライマーは、突然変異IND対立遺伝子における突然変異領域の配列を特異的に認識する第3のプライマーと一緒に、突然変異IND遺伝子、ならびに野生型IND遺伝子の同時診断的PCR増幅を可能にする。
【0145】
あるいは、特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するために、野生型IND対立遺伝子を特異的に認識する2つのプライマーを、それらが互いに向き合い、それらの1つが5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するように設計することができる。これらのプライマーは、5’又は3’隣接配列及び野生型IND対立遺伝子の突然変異領域と3’又は5’隣接領域の間の連結領域をそれぞれ特異的に認識するプライマーでよい。このセットのプライマーは、突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域と3’又は5’隣接領域の間の連結領域をそれぞれ特異的に認識する第3のプライマーと一緒に、突然変異IND遺伝子、ならびに野生型IND遺伝子の同時診断的PCR増幅を可能にする。
【0146】
あるいは、特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を、突然変異及び野生型IND対立遺伝子を特異的に認識する代替プライマーセットを使用することにより決定することができる。
【0147】
植物が突然変異IND遺伝子又は対応する野生型IND遺伝子についてホモ接合性である場合、上に記載する診断的PCRアッセイは、突然変異又は野生型IND対立遺伝子のいずれかについて、典型的な、好ましくは長さが典型的な単一のPCR産物を生じる。植物が突然変異IND対立遺伝子についてヘテロ接合性である場合、2つの特定のPCR産物が現れ、突然変異体及び野生型IND対立遺伝子の両方の増幅を反映する。
【0148】
野生型及び突然変異IND特異的PCR産物の同定は、例えば、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後のサイズ推定により(例、野生型及び突然変異IND対立遺伝子から増幅されるフラグメントの間でサイズの差異をもたらす多くの挿入又は欠失したヌクレオチドを含む突然変異IND対立遺伝子について、フラグメントは可視的にゲル上で分離することができる);ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後に2つの異なるフラグメントの存在又は非存在を評価することにより(それにより突然変異IND対立遺伝子の診断的PCR増幅が、場合により、野生型IND対立遺伝子の診断的PCR増幅とは別々に実施することができる);増幅されたフラグメントの直接配列決定により;又は蛍光ベースの検出方法により起こりうる。
【0149】
特定の突然変異IND対立遺伝子の接合性を決定するために適したプライマーの例を実施例において記載する。
【0150】
あるいは、特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するために、ハイブリダイゼーションベースのアッセイを開発して、突然変異及び/又は対応する野生型IND特異的対立遺伝子の存在を決定することができる:
【0151】
特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するために、野生型IND対立遺伝子を認識する2つの特定のプローブを、各々のプローブがIND野生型IND対立遺伝子内の配列を特異的に認識し、突然変異領域がプローブにより認識される配列間に位置するように設計することができる。これらのプローブは、5’及び3’隣接配列をそれぞれ特異的に認識するプローブでよい。これらのプローブの1つ又は、好ましくは両方の使用によって、突然変異体、ならびに対応する野生型IND対立遺伝子の同時診断的ハイブリダイゼーションが可能になる。
【0152】
あるいは、特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するために、野生型IND対立遺伝子を認識する2つの特定のプローブを、それらの1つがIND野生型対立遺伝子内の配列を突然変異領域の上流又は下流で、好ましくは突然変異領域の上流で特異的に認識し、それらの1つが突然変異領域を特異的に認識するように設計することができる。これらのプローブは、野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域、好ましくは5’隣接領域、及び突然変異領域の配列をそれぞれ特異的に認識するプローブでよい。これらのプローブの1つ又は、好ましくは両方の使用によって、場合により、突然変異IND対立遺伝子における突然変異領域の配列を特異的に認識する第3のプローブと一緒に、突然変異体及び野生型IND遺伝子の診断的ハイブリダイゼーションが可能になる。
【0153】
あるいは、特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するために、野生型IND対立遺伝子を認識する特定のプローブを、プローブが野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域、好ましくは5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するように設計することができる。このプローブは、場合により、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域、好ましくは5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識する第2のプローブと一一緒に、突然変異体及び野生型IND遺伝子の診断的ハイブリダイゼーションを可能にする。
【0154】
あるいは、特定の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を、突然変異体及び野生型IND対立遺伝子を特異的に認識する代替セットのプローブを使用することにより決定することができる。
【0155】
植物が突然変異IND遺伝子又は対応する野生型IND遺伝子についてホモ接合性である場合、上に記載する診断的ハイブリダイゼーションアッセイは、突然変異又は野生型IND対立遺伝子のいずれかについて、典型的な、好ましくは長さが典型的な単一の特定のハイブリダイゼーション産物、例えば1つ又は複数のハイブリダイズするDNA(制限)フラグメントなどを生じる。植物が突然変異IND対立遺伝子についてヘテロ接合性である場合、2つの特定のハイブリダイゼーション産物が現れ、突然変異体及び野生型IND対立遺伝子の両方のハイブリダイゼーションを反映する。
【0156】
野生型及び突然変異IND特異的ハイブリダイゼーション産物の同定は、例えば、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後のサイズ推定により(例、野生型及び突然変異IND対立遺伝子からのハイブリダイズするDNA(制限)フラグメントの間でサイズの差異をもたらす多くの挿入又は欠失したヌクレオチドを含む突然変異IND対立遺伝子について、フラグメントは可視的にゲル上で分離することができる);ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動後に2つの異なる特定のハイブリダイゼーション産物の存在又は非存在を評価することにより(それにより突然変異IND対立遺伝子の診断的ハイブリダイゼーションが、場合により、野生型IND対立遺伝子の診断的ハイブリダイゼーションとは別々に実施することができる);ハイブリダイズするDNA(制限)フラグメントの直接配列決定により;又は蛍光ベースの検出方法により起こりうる。
【0157】
特定の突然変異IND対立遺伝子の接合性を決定するために適したプローブの例を実施例において記載する。
【0158】
さらに、PCRベース又はハイブリダイゼーションベースの増幅方法とは異なる特定の突然変異IND対立遺伝子に特異的な検出方法を、本明細書において提供する特定の突然変異IND対立遺伝子に特異的な配列情報を使用して開発することもできる。そのような代替の検出方法は、特定の核酸構造の侵襲的切断に基づく線形シグナル増幅検出方法(Invader(商標)技術としても公知)(例、米国特許5,985,557「Invasive Cleavage of Nucleic Acids」、6,001,567「Detection of Nucleic Acid sequences by Invader Directed Cleavage」において記載され、それらは参照により本明細書において組み入れられる)、RT−PCRベースの検出方法(例えばTaqmanなど)、又は他の検出方法(例えばSNPlexなど)を含む。簡単に説明すると、Invader(商標)技術において、標的突然変異配列は、例えば、突然変異配列又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列のヌクレオチド配列を含む標識した第1の核酸オリゴヌクレオチドと、及び、突然変異配列の直ぐ下流及び近接する3’隣接配列を含む第2のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせてよく、ここにおいて第1及び第2のオリゴヌクレオチドは少なくとも1つのヌクレオチドにより重なる。このハイブリダイゼーションにより産生される二本鎖構造又は三本鎖構造によって、酵素(Cleavase(登録商標))を用いた選択的なプローブ切断が可能になり、標的配列をインタクトなままにする。切断された標識プローブは、その後に、さらなるシグナル増幅をもたらす中間工程を潜在的に通じて検出される。
【0159】
「キット」は、本明細書において使用する通り、本発明の方法を実施する目的のため、特に、生物学的サンプル中での特定の突然変異IND対立遺伝子の同定又は特定の突然変異IND対立遺伝子を含む植物材料の接合状態の決定のための試薬セットを指す。特に、本発明のキットの好ましい実施態様は、上に記載する、特定の突然変異IND対立遺伝子の同定のための少なくとも2つの特異的プライマー、又は接合状態の決定のための少なくとも2つもしくは3つの特異的プライマーを含む。場合により、キットは、さらに、本明細書において記載する、PCR同定プロトコールにおける任意の他の試薬を含みうる。あるいは、本発明の別の実施態様によると、キットは、少なくとも1つの特定のプローブ(生物学的サンプルの核酸と特異的にハイブリダイズさせて(上に記載の通り)、特定の突然変異IND対立遺伝子の同定のためにその中の特定の突然変異IND対立遺伝子の存在を同定する)あるいは接合状態の決定のための少なくとも2つ又は3つの特定のプローブを含む。場合により、キットは、特定のプローブを使用した、生物学的サンプル中の特定の突然変異IND対立遺伝子の同定のための任意の他の試薬(例えば、限定はされないが、ハイブリダイズバッファー、標識など)をさらに含みうる。
【0160】
本発明のキットを使用することができ、その構成要素は、品質管理(例、種子ロットの純度)、植物材料又は植物材料を含むもしくはそれに由来する材料(例えば、限定はされないが、食物又は飼料産物など)における特定の突然変異IND対立遺伝子の存在又は非存在の検出の目的のために特異的に調整することができる。
【0161】
本明細書において使用する「プライマー」という用語は、鋳型依存的プロセス(例えばPCRなど)における新生核酸の合成を刺激することができる任意の核酸を包含する。典型的に、プライマーは、10〜30ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであるが、しかし、より長い配列を用いることができる。プライマーは、二本鎖形態で提供してよく、一本鎖形態が好ましい。プローブはプライマーとして使用することができ、しかし、標的DNA又はRNAに結合するように設計され、増幅プロセスにおいて使用する必要はない。
【0162】
本明細書において使用する「認識する」という用語は、特異的プライマーを指す場合、特異的プライマーが、特定の突然変異IND対立遺伝子において、方法において先に設定した条件(例えばPCR同定プロトコールの条件など)下で核酸に特異的にハイブリダイズするとの事実を指し、それにより特異性は、ポジティブコントロール及びネガティブコントロールの存在により決定される。
【0163】
「ハイブリダイズする」という用語は、特定のプローブを指す場合に本明細書において使用する通り、プローブが特定の突然変異IND対立遺伝子の核酸配列中の特定の領域に、標準的なストリンジェンシー条件下で結合するとの事実を指す。本明細書において使用する標準的なストリンジェンシー条件は、本明細書において記載するハイブリダイゼーションのための条件又はSambrook et al., 1989(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, NY)により記載される従来のハイブリダイズ条件を指し、例えば、以下の工程を含みうる:1)植物ゲノムDNAフラグメント又はBACライブラリーDNAをフィルター上に固定すること、2)フィルターを1〜2時間65℃で6×SSC、5×Denhardt’s試薬、0.5% SDS、及び20μg/ml変性キャリアDNA中でプレハイブリダイズすること、3)標識されたハイブリダイゼーションプローブを加えること、4)16〜24時間インキュベートすること、5)フィルターを30分間68℃で6×SSC、0.1% SDS中で1回洗浄すること、6)フィルターを3回(30分間30ml中で2回及び10分間500ml中で1回)68℃で2×SSC、0.1% SDS中で洗浄すること、及び7)フィルターを4〜48時間X線フィルムに−70℃で暴露すること。
【0164】
本明細書において使用する「生物学的サンプル」は、植物、植物材料、又は植物材料を含む産物のサンプルである。「植物」という用語は、任意の成熟段階にある植物組織、ならびに任意のそのような植物から採取された又はそれに由来する任意の細胞、組織、又は器官、限定はされないが、任意の種子、葉、茎、花、根、単一細胞、配偶子、細胞培養物、組織培養物、又はプロトプラストなどを包含することを意図する。「植物材料」は、本明細書において使用する通り、植物から得られる又は植物に由来する材料を指す。植物材料を含む産物は、植物材料を使用して産生される食品、飼料、もしくは他の産物に関し、又は、植物材料が混入しうる。本発明に関連して、そのような生物学的サンプルを、特定の突然変異IND対立遺伝子に特異的な核酸の存在についてテストし、サンプル中の核酸の存在を意味すると理解される。このように、本明細書において指す、生物学的サンプルにおいて特定の突然変異IND対立遺伝子を同定するための方法は、特定の突然変異IND対立遺伝子を含む核酸の生物学的サンプルにおける同定に関連する。
【0165】
本発明は、また、1つの植物における特定のIND対立遺伝子の組み合わせ、1つの植物から別の植物への1つ又は複数の突然変異IND対立遺伝子の移入、1つ又は複数の特定の突然変異IND対立遺伝子を含む植物、これらの植物から得られた後代、ならびにこれらの植物に由来する植物細胞、植物部分、及び植物種子に関する。
【0166】
このように、一実施態様において、1つの植物において2つ又はそれ以上の選択された突然変異IND対立遺伝子を組み合わせるための方法を提供し、以下の工程:
(a)1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を各々含む2つ又はそれ以上の植物を生成及び/又は同定すること(上に記載の通り)、
(b)1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第1の植物と1つ又は複数の他の選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第2の植物とを交雑し、交雑からF1種子を回収し、そして、場合により、第2の植物からの1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を伴う第1の植物から1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物を同定すること(上に記載の通り)、
(c)場合により、全ての選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物が得られるまで工程(b)を繰り返すこと、
(d)場合により、
‐ 突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定することにより、F1植物(選択された突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性又はヘテロ接合性である)を同定すること(上に記載の通り)、又は
− 選択された突然変異IND対立遺伝子の1つ又は複数についてホモ接合性である植物を、以下の工程を実施することにより生成すること:
− 1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物の処理された小胞子又は花粉細胞から倍加半数体植物を抽出すること(上に記載の通り)、
− 1つ又は複数の世代(y)について1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物を自家受粉し、自家受粉からのF1 Sy種子を回収し、そして、F1 Sy植物(1つ又は複数の突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性である)を同定すること(上に記載の通り)
を含む。
【0167】
本発明の別の実施態様において、1つ又は複数の突然変異IND対立遺伝子を1つの植物から別の植物に移すための方法を提供し、以下の工程:
(a)1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第1の植物を生成及び/又は同定すること(上に記載の通り)、又は、1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を1つの植物において組み合わせることにより第1の植物を生成すること(上に記載の通り)(それにおいて第1の植物は、1つ又は複数の突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性又はヘテロ接合性である)、
(b)1つ又は複数の突然変異IND対立遺伝子を含む第1の植物と1つ又は複数の突然変異IND対立遺伝子を含まない第2の植物とを交雑し、交雑からF1種子を回収し(それにおいて種子は突然変異IND対立遺伝子についてヘテロ接合性であり(第1の植物がその突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性である場合)、及び、それにおいて種子の半分が、突然変異IND対立遺伝子についてヘテロ接合性であり、種子の半分が不対性である、即ち、それを含まず(第1の植物はその突然変異IND対立遺伝子についてヘテロ接合性である場合)、そして、場合により、1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物を同定すること(上に記載の通り)、
(c)1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物を、1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含まない第2の植物と、1つ又は複数の世代(x)にわたり戻し交雑し、交雑からのBCx種子を回収し、そして、各世代において、1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子を含むBCx植物を同定すること(上に記載の通り)、
(d)場合により、1つ又は複数の選択された突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性であるBCx植物を、以下の工程の1つを実施することにより生成すること:
− 1つ又は複数の所望の突然変異IND対立遺伝子を含むBCx植物の処理された小胞子又は花粉細胞から倍加半数体植物を抽出すること(上に記載の通り)、
− 1つ又は複数の世代(y)について1つ又は複数の所望の突然変異IND対立遺伝子を含むBCx植物を自家受粉し、自家受粉からのBCx Sy種子を回収し、そして、BCx Sy植物(1つ又は複数の所望の突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性である)を同定すること(上に記載の通り)
を含む。
【0168】
本発明の一局面において、第1及び第2の植物は、ブラシカ科植物、特にブラシカ植物、特にブラシカ・ナパス植物、又は別のブラシカ作物種からの植物である。本発明の別の局面において、第1の植物は、ブラシカ科植物、特にブラシカ植物、特にブラシカ・ナパス植物、又は別のブラシカ作物種からの植物であり、第2の植物は、ブラシカ科育種系統、特にブラシカ育種系統、特にブラシカ・ナパス育種系統、又は別のブラシカ作物種からの育種系統からの植物である。「育種系統」は、本明細書において使用する通り、好ましくは、雑種子孫を産生するために使用される好ましい遺伝子型及び/又は表現型により他の植物系統から識別可能であるホモ接合性植物系統である。
【0169】
本発明のさらに別の実施態様において、植物、特にブラシカ作物植物、例えばブラシカ・ナパス植物など(その鞘脱粒耐性が増加されているが、しかし、好ましくは農学的に関連する鞘の脱穀性を保持している)を作るための方法を提供し、本発明の突然変異IND対立遺伝子をブラシカ植物において又はそれへ組み合わせる及び/又は移入させることを含む(上に記載の通り)。
【0170】
本発明の一局面において、植物は、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物であり、それにおいて、鞘脱粒耐性が増加され、農学的に関連する鞘の脱穀性が保持される(本発明の3つの突然変異IND対立遺伝子をブラシカ植物において又はそれへ組み合わせる及び/又は移入させることによる)(上に記載の通り)。
【0171】
本発明のさらに別の実施態様において、少なくとも2つのIND遺伝子を含む雑種ブラシカ作物種子又は植物、特に雑種ブラシカ・ナパス種子又は植物(鞘脱粒耐性が増加されているが、しかし、農学的に関連する鞘の脱穀性が保持される)を作るための方法を提供し、以下の工程:
(a)ホモ接合状態の第1及び第2の選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第1の植物ならびにホモ接合状態の第3の選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第2の植物を生成及び/又は同定すること(上に記載の通り)、
(b)第1及び第2の植物を交雑して、そして交雑からF1雑種種子を回収すること
を含む。
【0172】
本発明の一局面において、第1又は第2の選択された突然変異IND対立遺伝子が、第3の選択された突然変異IND対立遺伝子と同じ突然変異IND対立遺伝子であり、F1雑種種子が、1つの突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性であり、他についてヘテロ接合性である。本発明の別の局面において、第1の植物を雄親植物として使用し、第2の植物を雌親植物として使用する。本発明の一実施態様において、第1の植物は完全に鞘脱粒耐性である。そのような植物は、植物を自家受粉させることにより得られる完全に非裂開性の種子鞘を播種して、種子鞘を脱穀して種子を収穫する代わりに完全な種子鞘を収穫することにより得てよい。
【0173】
配列
IND遺伝子
配列番号1:ブラシカ・ナパスからの野生型IND−A1タンパク質をコードするIND−A1遺伝子のコードDNA。
配列番号2:配列番号1によりコードされる野生型IND−A1タンパク質。
配列番号3:ブラシカ・ナパスからの野生型IND−C1タンパク質をコードするIND−C1遺伝子のコードDNA。
配列番号4:配列番号3によりコードされる野生型IND−C1タンパク質。
配列番号5:ブラシカ・ナパスからの野生型IND−A1タンパク質をコードするIND−A1遺伝子のゲノムDNA。
配列番号6:配列番号5によりコードされる野生型IND−A1タンパク質。
配列番号7:ブラシカ・ナパスからの野生型IND−C1タンパク質をコードするIND−C1遺伝子のゲノムDNA。
配列番号8:配列番号7によりコードされる野生型IND−C1タンパク質。
配列番号9:アラビドプシスIND1遺伝子のコードDNA。
配列番号10:配列番号9によりコードされるアラビドプシスIND1タンパク質。
配列番号11:ブラシカ・ナパスからのINDホモログのヌクレオチド配列(BN1−IND − WO04/113542の配列番号2)。
配列番号12:ブラシカ・ナパスからのINDホモログの第2のヌクレオチド配列(BN2−IND − WO04/113542の配列番号3)。
【0174】
プライマー及びプローブ
配列番号13:IND−A1−EMS01の検出のためのフォワードオリゴヌクレオチド。
配列番号14:IND−A1−WTの検出のためのフォワードオリゴヌクレオチド。
配列番号15:IND−A1−EMS01及び−WTの検出のためのリバースオリゴヌクレオチド。
配列番号16:IND−A1−EMS05の検出のためのフォワードオリゴヌクレオチド。
配列番号17:IND−A1−WTの検出のためのフォワードオリゴヌクレオチド。
配列番号18:IND−A1−EMS05及び−WTの検出のためのリバースオリゴヌクレオチド。
配列番号19:IND−C1−EMS01の検出のためのリバースオリゴヌクレオチド。配列番号20:IND−C1−WTの検出のためのリバースオリゴヌクレオチド。
配列番号21:IND−C1−EMS01及び−WTの検出のためのフォワードオリゴヌクレオチド。
配列番号22:IND−C1−EMS03の検出のためのリバースオリゴヌクレオチド。配列番号23:IND−C1−WTの検出のためのリバースオリゴヌクレオチド。
配列番号24:IND−C1−EMS03及び−WTの検出のためのフォワードオリゴヌクレオチド。
配列番号25:IND−A1−EMS01及び−WTの検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号26:IND−A1−EMS01の検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号27:IND−A1−WTの検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号28:IND−A1−EMS05及び−WTの検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号29:IND−A1−EMS05の検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号30:IND−A1−WTの検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号31:IND−C1−EMS01及び−WTの検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号32:IND−C1−EMS01の検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号33:IND−C1−WTの検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号34:IND−C1−EMS03及び−WTの検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号35:IND−C1−EMS03の検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号36:IND−C1−WTの検出のためのオリゴヌクレオチド。
配列番号37:IND−A1の検出のためのフォワードオリゴヌクレオチド。
配列番号38:IND−A1の検出のためのリバースオリゴヌクレオチド。
配列番号39:IND−C1の検出のためのフォワードオリゴヌクレオチド。
配列番号40:IND−C1の検出のためのリバースオリゴヌクレオチド。
【0175】
実施例において特に記載のない限り、全ての組換えDNA技術は、Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, in Volumes 1 and 2 of Ausubel et al.(1994) Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols, USA and in Volumes I and II of Brown (1998) Molecular Biology LabFax, Second Edition, Academic Press (UK)において記載される標準的な分子生物学的技術に従って行われる。植物分子操作のための標準的な材料及び方法が、R. D. D. CroyによるPlant Molecular Biology Labfax(1993)において記載されており、BIOS Scientific Publications Ltd (UK)及びBlackwell Scientific Publications, UKにより共同公開されている。ポリメラーゼ連鎖反応のための標準的な材料及び方法は、Dieffenbach and Dveksler (1995) PCR Primer: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、及びMcPherson at al.(2000) PCR - Basics: From Background to Bench, First Edition, Springer Verlag, Germanyにおいて見出すことができる。AFLP分析のための標準的な手順が、Vos et al. (1995, NAR 23:4407-4414)及び公開されたEP特許出願EP 534858において記載されている。
【0176】
実施例
実施例1 − IND遺伝子のDNA配列の単離
優良春菜種の育種系統のIND遺伝子の配列を決定するために、系統のバクテリア人工染色体(BAC)ライブラリーを以下の通りにスクリーニングした:
【0177】
1.1. IND配列を含むBACクローンの単離
優良春菜種の育種系統のIND配列を含むBACクローンを含む大腸菌コロニーを同定するために、個々の2重クローンとして高密度ナイロンフィルター上に整列させた系統のBACライブラリー(平均クローンサイズ120kb超)を、標準的なサザンハイブリダイゼーション手順によりスクリーニングした:
− WO04/113542の配列番号2(“Bn1−IND”)及びWO04/113542の配列番号3(“BN2−IND”)(それぞれ配列番号11及び12)の配列を伴い、標準的な手順に従って標識された2つのプローブの混合物を、ナイロンメンブレン上のDNAへのハイブリダイズのために使用した。
− プレハイブリダイゼーションを65℃で、30mlの以下のハイブリダイゼーションバッファー中で2時間実施した:6×SSC(20×SSCは3.0M NaCl、0.3Mクエン酸、pH 7.0を含む)、5×Denhardt’s(100×は2% Ficoll、2%ポリビニル・ピロリドン、2%ウシ血清アルブミン)、0.5% SDS、及び20μg/ml変性キャリアDNA(一本鎖魚精子DNA、平均長120〜3000ヌクレオチド)。
− ハイブリダイゼーションを以下の条件下で実施した:
− 標識したプローブ(20ngの各々の配列)を95℃で5分間加熱し、5分間氷上で冷却し、15mlのハイブリダイゼーションバッファー(プレハイブリダイゼーションのためのものと同じバッファー)に加えた。
− ハイブリダイゼーションを65℃で一晩実施した。
− ブロットをハイブリダイゼーションチューブ中で、65℃で3回(0.1% SDSを伴う30ml 6×SSCで1回及び0.1% SDSを伴う30ml 2×SSCで2回)、箱中で、65℃で0.1% SDSを伴う500ml 2×SSCで10分間洗浄した。
− Kodak X-OMAT ARフィルムを放射活性のあるブロットに4時間−70℃で暴露した。
− ポジティブなシグナルに基づき、IND配列を含むBACクローンを含む14の大腸菌コロニーを、優良春菜種の育種系統からBACライブラリーをスクリーニングすることにより選択した(ポジティブの総数:65)(以下、「ポジティブなコロニー」と呼ぶ)。
【0178】
1.2. 全長IND配列を含むBACクローンの単離
IND遺伝子の1つの全長ゲノムDNA配列を伴うBACクローンを含むポジティブなコロニーを同定するために、サザンブロット分析を、ポジティブコロニーから単離したBACクローンDNA及びブラシカ・ナパスから単離したゲノムDNAで実施した:
− BACクローンDNAを、25μg/mlクロラムフェニコールを含む25mlのLB培地中で生育させたポジティブなコロニーから、当技術分野において記載の通りに、アルカリ溶解を通じて単離した。
− ゲノムDNAを、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)方法に従って、B.ナパスの葉組織から単離した(Doyle and Doyle, 1987, Phytochemistry Bulletin 19:11-15)。
− 各々の調製物のDNA濃度を、1μlの各々のサンプルでのバンド強度を、25ng/μlラムダDNA(Life Technologies(登録商標))を含む1、2、4、8、及び20μlの溶液でのバンド強度と、エチジウムブロマイド(ICN Biochemicals(登録商標))を含む1% TBE(Invitrogen(登録商標))アガロースゲル(Roche(登録商標))上で比較することにより推定した。
− 100〜200ngのBACクローンDNA及び1.7μgゲノムDNAを、制限酵素EcoRIを用いて、最終反応容積20μl中で、製造者(New England Biolabs)により提示された条件を適用して消化した。制限酵素の消化時間及び/又は量を調整して、非特異的な分解なくゲノムDNAサンプルの完全消化を保証した。
− 消化後、RNaseを含む2μlの添加色素(12.5ml 1% キシレンシアノールFF;12.5ml 1%ブロモフェノールブルー水溶性指示薬;25mlグリセロール;100μl 0.5M EDTA pH8;1μl RNase(10mg/ml))を消化したDNAサンプルに加えて、サンプルを37℃で30分間インキュベートした。
− サンプルを1% TAEアガロースゲル上に添加した。
− PstIを用いて消化したファージラムダDNA(Fermentas(登録商標))又は1kbpのDNAラダー(Life Technologies)をサイズスタンダードとして含めた。
− 電気泳動後、DNAサンプル(消化したBACクローン及びゲノムDNA)をナイロンメンブレン(Hybond-N+ Amersham Pharmacia Biotech(登録商標))に乾燥アルカリキャピラリーブロッティングによりトランスファーした。
− 消化したBACクローン及びゲノムDNAを伴うナイロンメンブレンを、標準的なサザンブロットハイブリダイゼーション手順(上に記載の通り)により、BACライブラリースクリーニングのためにスクリーニングした(ゲノムDNAについて、Kodak XOMAT ARフィルムを放射活性のあるブロットに2日間−70℃で暴露したことを除く)。
− 同定したポジティブなコロニーのBACクローンDNA及びブラシカ・ナパスから単離したゲノムDNAの制限酵素EcoRIを用いた消化及びプローブを用いたハイブリダイゼーション後に得られるハイブリダイゼーションパターンの間の比較に基づき、BACクローンを2つのグループにグループ化し、2グループの各々について、完全長IND配列(IND−A1及びIND−C1と名付けた)を含むBACクローンを選択した。
− 選択したポジティブなコロニーのBACクローン中に含まれるIND配列を、標準的な配列決定技術(Agowa)により決定した。
【0179】
【表4】

【0180】
実施例2 − ブラシカ・ナパスからのIND遺伝子配列の特性付け
ゲノムDNAフラグメント(それぞれ配列番号5及び7)の配列決定後、IND配列のコード領域をFgeneSH(Softberry, Inc. Mount Kisco, NY, USA)及びest2genome(Rice et al., 2000, Trends in Genetics 16 (6): 276-277;Mott, 1997, Comput. Applic. 13: 477-478)を用いて決定し、配列一覧表に描写する通りである。
【0181】
B.ラパ(AA)、B.オレラセア(CC)、及びB.ナパス(AACC)から単離されたゲノムDNA及び実施例1において同定されたポジティブなコロニーから単離されたBACクローンDNAでのサザンブロット解析(EcoRIを用いて制限酵素処理し、プローブにハイブリダイズした(実施例1において記載の通り))において生成されたハイブリダイズするバンドの比較は、IND−A1配列がAゲノムに、IND−C1配列がCゲノムに由来することを示した。
【0182】
優良春菜種の育種系統でのIND遺伝子のタンパク質コード領域を、配列番号1(IND−A1)、配列番号3(ヌクレオチド位置46からヌクレオチド位置633まで)(IND−C1−短(short))、及び配列番号3(IND−C1−長(long))においてそれぞれ表わす。次に、コードされるこれらの核酸配列により、IND−A1及びIND−C1タンパク質配列を、配列番号2(IND−A1)、配列番号4(アミノ酸位置16からアミノ酸位置210まで(IND−C1−短(short)))、及び配列番号4(IND−C1−長(long))においてそれぞれ描写する。
【0183】
IND−A1及びIND−C1−長(long)の完全コード領域の間のパーセント(ヌクレオチド)配列同一性は81%であり、IND−A1及びIND−C1−短(short)の完全コード領域の間は87%であり、IND−A1ならびにIND−C1−長(long)及び−短(short)のbHLHドメインをコードする領域の間のパーセント(ヌクレオチド)配列同一性(Toledo-Ortiz et al., 2003, Plant Cell 15, 1749-1770に従って決定される)は98%である。これらのパーセントは、IND遺伝子が、bHLHドメインをコードする領域において、コード領域の残りの部分においてよりも保存されていることを示す。
【0184】
同様に、完全IND−A1及びIND−C1−長(long)タンパク質の間のパーセント(アミノ酸)配列同一性は75%であり、完全IND−A1及びIND−C1−短(short)タンパク質の間は80%であり、IND−A1ならびにIND−C1−長(long)及び−短(short)のbHLHドメインの間のパーセント(アミノ酸)配列同一性(Toledo-Ortiz et al., 2003, Plant Cell 15, 1749-1770に従って決定される)は98%である。これらのパーセントは、INDタンパク質が、bHLHドメインおいて、INDタンパク質の残りの部分においてよりも保存されていることを示す。
【0185】
実施例3 − ブラシカIND遺伝子の発現
異なる組織において異なるIND遺伝子の発現を分析するために、各々のIND遺伝子に特異的なRT−PCRアッセイを、ブラシカ・ナパスの葉、鞘壁、裂開部組織、及び種子から単離された全RNAで、以下のプライマーを使用して実施した:
【表5】


(IND−A1遺伝子について)、及び
【表6】


(IND−C1遺伝子について)
【0186】
結果は、両方のIND遺伝子、即ちIND−A1及びIND−C1が葉組織及び種子において発現されず、しかし、裂開部組織において発現されること、及び、IND−A1遺伝子が鞘壁において発現され、IND−C1遺伝子が鞘壁において発現されないことを示した。
【0187】
実施例4 − 突然変異IND対立遺伝子(ind)の生成及び単離
実施例1において同定されたIND遺伝子における突然変異を、以下の通りに生成及び同定した:
− 優良春菜種の育種系統からの30,000の種子(M0種子)を、2時間にわたり脱イオン水又は蒸留水中の湿ったフィルターペーパー上で事前に浸した。種子の半分を0.8% EMSに、半分を1% EMS(Sigma: M0880)に暴露させて、4時間にわたりインキュベートした。
− 突然変異誘発させた種子(M1種子)を3回リンスして、ドラフトにおいて一晩乾燥させた。30,000のM1植物を土壌中で生育させて、自家受粉させてM2種子を生成した。M2種子を、各々の個々のM1植物について収穫した。
− 2回、4800のM2植物(異なるM1植物に由来する)を生育させて、DNAサンプルを各々の個々のM2植物の葉サンプルからCTAB方法に従って調製した(Doyle and Doyle, 1987, Phytochemistry Bulletin 19:11-15)。
− DNAサンプルをIND遺伝子における点突然変異(IND遺伝子のタンパク質コード領域における終止コドンの導入、又は、INDタンパク質中の、特にINDタンパク質のbHLHドメイン中のアミノ酸の置換を起こす)の存在について、標準的な配列決定技術(Agowa)による直接配列決定及びにより、NovoSNPソフトウェア(VIB Antwerp)を使用した点突然変異の存在についての配列解析によりスクリーニングした。
− 以下の突然変異IND対立遺伝子(ind)をこのようにして同定した:
【表7】


【表8】

【0188】
対立遺伝子ind−a1−EMS01及びind−c1−EMS01をホモ接合状態で含む植物の参照種子が、American Type Culture Collection(ATCC, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, US)に、2007年11月20日に受入番号PTA−8796(株の記号表示07MBBN001171)の下で寄託されており、対立遺伝子ind−a1−EMS05及びind−c1−EMS03をホモ接合状態で含む植物の参照種子が、ATCCに2007年11月20日に受入番号PTA−8795(株の記号表示07MBBN000530)の下で寄託されている。結論として、上の実施例は、どのように突然変異IND対立遺伝子を生成及び単離することができるかを示す。また、そのような突然変異対立遺伝子を含む植物材料を使用して、選択された突然変異対立遺伝子及び/又は野生型対立遺伝子を植物において組み合わせることができる(以下の実施例において記載する)。
【0189】
実施例5 − 突然変異ブラシカIND対立遺伝子を含むブラシカ植物の同定
実施例4において同定されたIND遺伝子中に突然変異を含むブラシカ植物を、以下:
− M2植物のDNAサンプルにおいて同定された各々の突然変異IND遺伝子について、IND突然変異を含むM2植物と同じM1植物に由来する少なくとも50のM2植物を生育させて、DNAサンプルを各々の個々のM2植物の葉サンプルから調製した。
− DNAサンプルを、実施例4において上に記載する通りに、同定された点IND突然変異の存在についてスクリーニングした。
− 同じ突然変異を含むヘテロ接合性又はホモ接合性(電気泳動図に基づき決定)M2植物を自家受粉させて、M3種子を収穫した
の通りに同定した。
【0190】
実施例6 − 突然変異ブラシカIND遺伝子を含むブラシカ植物の果実の裂開特性の分析
ブラシカ植物における突然変異IND遺伝子の存在とブラシカ植物の果実の裂開特性の間の相関を決定するために、突然変異IND遺伝子を含むブラシカ植物の果実の裂開特性を温室及び野外において以下:
− 果実弁縁及び種子鞘の裂開特性が、INDにおける突然変異によりどのように影響を受けるのか、及び、影響を受けるか否かを検証するために、ind果実を、以下の巨視的テストを使用して、野生型果実と比較した:
(a)特定の突然変異IND対立遺伝子の存在により起こる鞘及び植物の表現型における差異を決定するための一般的な肉眼での種子鞘及び植物の検査。鞘の表現型の決定:鞘を完全に生育させ、満たし、黄色になる直前に、弁を描く帯と帯のくちばし(ここで、5つの無作為鞘(1系統当たり複数の植物が利用可能な場合には異なる植物から)の両方の弁がもはや(鞘の遠位端で)触れない)の鮮明さの程度を評価し、スコア1〜5に帰した:明らかな圧入と弁とくちばしを分離する微細な鮮明帯に対して1;いくらかの圧入及び弁をくちばしから分離する明らかだが、より不明瞭な帯に対して2;依然として2つの異なる組織として十分に観察可能であるが、しかし、その間に非常に円滑な移行を伴う弁とくちばしに対して3;異なる組織としてほとんど観察可能ではない弁とくちばしに対して4;両方の組織型の間に明らかな区別を伴わない弁とくちばしの間の完全に円滑化された移行に対して5、即ち、鞘の遠位端の弁とくちばしの間の圧入が少ないほど、スコアは高い。スコア1(弁とくちばしの間の鮮明な圧入)は、鞘の野生型表現型、より具体的には鞘の鞘脱粒感受性の表現型に対応する;スコア2〜4(弁とくちばしの間のより漸進的な移行)は、鞘の鞘脱粒耐性の表現型に対応し、それにおいて種子脱粒は有意に低下又は遅延され、農学的に関連する鞘の脱穀性が維持され、鞘は依然として、限定的な物理的力を適用することにより裂開部に沿って開きうる;及びスコア5(弁とくちばしの間の圧入なし)は、鞘の鞘脱粒耐性の表現型に対応し、それにおいて種子脱粒は農学的に関連する鞘の脱穀性がもはや可能にならない程度まで低下又は遅延され、鞘は、限定的な物理的力を適用することにより裂開部に沿って開くことができない。
(b)特定の突然変異IND対立遺伝子の存在により起こる鞘脱粒耐性における増加を決定するための手動影響テスト(MIT):突然変異IND対立遺伝子を含むブラシカ系統及び対応する野生型IND対立遺伝子を含むブラシカ系統の鞘脱粒耐性レベルを、閉じた成熟鞘を手動で鞘にねじれを適用することにより開くために必要とされる物理的力を決定することにより半定量的な方法で比較した。以下の通りに区別した:最もわずかなねじりで裂開部に沿って完全に開く鞘、裂開部の底部でだけ開き、完全に開くためにより強い力が必要である鞘、及び破砕することだけでき、裂開部に沿って開かない鞘。鞘の鞘脱粒耐性は、この物理的力に基づきスコア1〜5に帰する:最もわずかなねじりで裂開部に沿って完全に開く鞘に対して1、裂開部の底部でだけ開き、完全に開くためにより強い力が必要である鞘に対して2〜4、及び破砕することだけでき、裂開部に沿って開かない鞘に対して5。
(c)特定の突然変異IND対立遺伝子の存在により起こる鞘脱粒耐性における増加を決定するための無作為化影響テスト(RIT):突然変異IND対立遺伝子を含むブラシカ系統及び対応する野生型IND対立遺伝子を含むブラシカ系統の鞘脱粒耐性レベルを、両方の系統からの鞘のサンプルの半減期をBruce et al.(2002、上記)に従って決定することにより半定量的な方法で比較した。より具体的には、各々の系統からの20個のインタクトな成熟鞘の2つの複製サンプルをRITに供した。20個の鞘を、6個の鉄球(12.5mm直径)と一緒に、円筒容器(直径20cm)中にその軸を垂直にして置いた。容器を、次に、水平プレートにおいて単振動(振動数4.98Hz及びストローク51mm)に供した。鞘をテスト前の健全性についてチェックし、累積時間10、20、40、及び、50%超の鞘がインタクトなままである場合、80秒にわたり振盪させた。ドラムを各々の期間後に開き、閉じた鞘の数をカウントした。鞘を検証し、両方の弁の裂開部が依然として閉じている場合、「閉じている」として分類した。このように、鞘を、1つ又は両方の弁が脱離した場合、「開いている」として分類し、種子が放出されていた。大半の鞘が、裂開部の開口を伴わず破壊又は損傷された場合、サンプルを「カウント不可能」とマークした。各々のポイントに等しい加重を与えるために、データを、1を加えて、log10を取ることにより、独立変数、時間において均等に間隔をあけた。開いた鞘のパーセントpを、ロジット変換により変換した(即ち、ロジットp = loge(p/100−p))。線形モデルを、次に、変換した時間及びパーセントデータに適合し、半減期を推定するために使用した。
(d)鞘脱粒耐性、脱穀性、及び収率の間の関係ならびに植物における特定の突然変異IND対立遺伝子の存在を決定するための野外テスト:突然変異IND対立遺伝子を含むブラシカ系統及び対応する野生型IND対立遺伝子を含むブラシカ系統の鞘脱粒耐性、脱穀性及び収率レベルを、種子脱粒(SHAT)のレベル、コンバイナ収穫能力(CHA1)及び脱穀能力(CHA2)を定量的な方法で決定及び比較すること、ならびに、組み合わせ後の区画当たりの種子収率(YLDP)及びわらの脱穀後の種子収率(YLDS)を野外で、ind植物を伴う区画と野生型植物を伴う区画の間で決定及び比較することにより半定量的な方法で比較した。区画はスコア1〜9に帰し、収穫前での区画での種子脱粒レベルを示す:スコア1は、区画上の実際的に全ての植物が収穫前に脱粒したことを示し、スコア9は、区画上の実際的に全ての植物が収穫前に脱粒しなかったことを示す。区画はスコア1〜5に帰し、区画でのコンバイナ収穫能力レベルを示す:スコア1まで、3まで、又は5までは、コンバイナを用いて区画収穫することが、困難、実行可能、又は容易であることをそれぞれ示す。区画はスコア1〜5に帰し、区画の脱穀能力レベルを示す:スコア1まで、3まで、又は5までは、コンバイナ収穫後のわらに残る種子を手動で収穫することが、困難、実行可能、又は容易であることをそれぞれ示す。組み合わせ後の区画当たりの種子収率(YLDP:区画当たりのグラムで表わす)を、コンバインハーベスターを用いて区画当たりの種子を収穫し、種子を秤量することにより決定し、わらの脱穀後の種子収率(YLDS;わらの重量%で表わす)を、コンバインハーベスターを用いた種子収穫後にわらに残る種子を手動で収穫することにより決定した。
− 種子鞘の弁縁の細胞がINDにおける突然変異によりどのように影響を受けるか、及び、影響を受けるか否かをより厳密に検証するために、ind果実の切片を、種子鞘の微視的評価により、野生型果実の切片と比較した。
− 外植片:同様の発生段階(開花後約35日(DAA)、可視的な果皮の黄変の開始と厳密に対応する発生段階)及びサイズの鞘の近位端及び遠位端から採取された外植片(約3mm)を、植物生育室(各々の遺伝子型について2つの鞘)及び/又は野外で生育させた植物から収穫した。両方の裂開部を鞘から切開した。
− 固定:固定は、10%ホルマリン及び0.25%グルタルアルデヒドを伴う100mM Kリン酸バッファー(pH7)中で合計4時間行った。減圧浸潤を1及び2時間後に15分間にわたり行った。固定液を各々の減圧浸潤後に新しくした。
− 脱水:試料を2回30分間、100mM Kリン酸バッファー(pH7)を用いてリンスした。脱水を、0.85% NaCl水で希釈した技術的エタノールを用いて行った:60分(‘)(50%エタノール中)、90’(70%エタノール中)、 90’(80%エタノール中)、90’(90%エタノール中)、90’(エタノール中)、95%(エタノール中)、90’(100%エタノール中)、室温。
− 包埋:包埋は、The Leica 7022-31731 Historesin又はKulzer Histo-Technik 7100(Heraeus)包埋キットを用いて行い、それらは3つの構成樹脂(塩基性樹脂、賦活剤、及び硬化剤)キットである。3つの構成要素を、製造者によるアドバイスの通りに、以下の通りに使用した:試料を4時間にわたり50%エタノール/50%塩基性樹脂中で、一晩30%エタノール/70%塩基性樹脂中で(場合により:4℃で)、2〜4時間にわたり100%塩基性樹脂中で、1日100%塩基性樹脂中で(塩基性樹脂を新しくし、20分間の減圧浸潤後(場合により4℃で))、1日塩基性樹脂+賦活剤(1%)(「浸潤媒体」)中で(この媒体中での20分間の減圧浸潤後)インキュベートした。試料を、塩基性樹脂+賦活剤(1%)+硬化剤(15ml中1ml)(「包埋媒体」)を用いて洗浄した。包埋を、平面包埋型中で行った(約300μlの空洞を伴うAGAR平面包埋型G3531:14mm長×6mm幅×4mm底):100〜125μlの包埋媒体/空洞を加えて、包埋媒体を55℃で約1時間にわたり重合して、組織を重合させた包埋媒体上に置き(1外植片/空洞)、空洞を包埋媒体で満たし、包埋媒体を3〜5時間55℃で重合させ、型を冷まし、プラスチックブロックを型から外し、室温で、密封容器(例、エッペンドルフチューブ)中で保存した。
− 切片作製:プラスチックブロックを、その平面を1cm3のPerspexブロック上において接着して、試料の周囲に四角に切り取った。4μmの切片(3〜4個の外植片/遺伝子型、約25個の切片/外植片)を、Ralphガラスナイフを用いて(Reichert-Jungのhistoknifemakerの−1位置で6mm厚のガラスロッドを使用して、切断角度約6の下で作った)ミクロトーム上で切った。切片を、Vectabond(Vector laboratories)で処理したガラススライド上に付着させた。
− リグニンの実証:Eukitt中に乗せた未染色切片を、備えられた顕微鏡を使用して蛍光について検証した(Zeissフィルターセットを用いて)。リグニンは明らかな青みを帯びた蛍光を発する。
− 組織像の評価:未染色切片を、DIC-Normaski又は自己蛍光を使用することにより可視化した(Zeissフィルターセット18を用いて −− 励起 BP390-420;放射 LP450)
の通りに分析した。
【0191】
6.1. ブラシカ植物における1つ又は2つの突然変異ブラシカIND対立遺伝子の存在とそれらのブラシカ植物の果実裂開特性の間の相関。
ブラシカ植物におけるホモ接合状態(遺伝子型:IND−A1/ind−a1、IND−C1/IND−C1;又はIND−A1/IND−A1、IND−C1/ind−c1)又はヘテロ接合状態(遺伝子型:ind−a1/ind−a1、IND−C1/IND−C1又はIND−A1/IND−A1、ind−c1/ind−c1)の1つのindの存在と、ブラシカ植物の果実裂開特性の間の相関を決定するために、実施例5において同定されたブラシカ植物(特にホモ接合性M2植物No.POSH101、POSH103、POSH104、POSH105、及びPOSH106及びヘテロ接合性M2植物No.POSH105;対応するind対立遺伝子については表4a及びbを参照のこと)の果実裂開特性を温室中で生育させて、上に記載の通りに分析した。表現型及び果実裂開特性における有意な差異は、野生型植物とこれらのヘテロ接合性及びホモ接合性の単一突然変異植物の間で観察されなかった。
【0192】
分離戻し交雑3(BC3)からのホモ接合性の単一ind突然変異体(遺伝子型: ind−a1/ind−a1、IND−C1/IND−C1又はIND−A1/IND−A1、ind−c1/ind−c1)及び野生型植物(遺伝子型:IND−A1/IND−A1、IND−C1/IND−C1)を用いた野外テストは、しかし、ホモ接合性の単一ind突然変異植物での種子収率の増加を示した(以下の表を参照のこと)。
【0193】
【表9】

【0194】
6.2. ブラシカ植物における少なくとも3つの突然変異ブラシカIND対立遺伝子の存在とそれらのブラシカ植物の果実裂開特性の間の相関。
ブラシカ植物における少なくとも3つの突然変異IND対立遺伝子の存在とブラシカ植物の果実裂開特性の間の相関を決定するために、実施例5において同定されたブラシカ植物、及び/又はその後代(突然変異IND対立遺伝子を含む)を互いに戻し交雑して、後代ブラシカ植物の果実裂開特性を上に記載の通りに分析した。
【0195】
植物材料
系統51、系統45、系統176、及び系統48の後代(即ち、遺伝子型ind−a1/ind−a1、ind−c1/ind−c1を伴うホモ接合性二重突然変異植物;ホモ接合性の単一及びヘテロ接合性の単一、即ち、遺伝子型ind−a1/ind−a1、IND−C1/ind−c1及びIND−A1/ind−a1、ind−c1/ind−c1を伴う三重突然変異植物;及び遺伝子型IND−A1/IND−A1、IND−C1/IND−C1を伴う野生型植物)は、それ自体が対立遺伝子IND−A1−EMS01及びIND−C1−EMS01(系統51)、対立遺伝子IND−A1−EMS01及びIND−C1−EMS03(系統45)、対立遺伝子IND−A1−EMS05及びIND−C1−EMS01(系統176)、及び対立遺伝子IND−A1−EMS05及びIND−C1−EMS03(系統48)についてそれぞれヘテロ接合性である。
【0196】
巨視的評価
a)肉眼での種子鞘及び植物の検査
− 系統51、45、176、及び48に由来する二重ホモ接合性突然変異IND同胞植物(遺伝子型:ind−a1/ind−a1、ind−c1/ind−c1)からの鞘は、既に未熟段階で、野生型IND同胞植物からの鞘と比較して、変化した鞘形態を示した。より具体的には、二重ホモ接合性の突然変異IND同胞植物の鞘は、野生型IND同胞植物からの鞘(明らかに明確な縁を示す)と比較して、適切な弁縁の明確さの欠如(特に果実の近位端及び遠位端の両方で明白である)を示した。さらに、野生型同胞植物における鞘の遠位端の弁とくちばしの間の鮮明な圧入は、二重ホモ接合性ind同胞植物(弁とくちばし組織の間のより漸進的な移行を示す)において大部分が存在しなかった。系統51の二重ホモ接合性の突然変異IND同胞植物の花は、時々、温室の条件下で変形した花弁を呈した。さらに、系統45に由来する植物からの鞘は、一般的に、他の系統に由来する植物からの鞘よりも小さかった。このサイズ差異は、系統45に由来する野生型及び突然変異ind同胞植物の両方において起こるため、それは恐らくはこの系統におけるバックグラウンド突然変異により起こされる。
− ホモ接合状態の1つのind対立遺伝子及びヘテロ接合状態の1つのind対立遺伝子を含む植物からの鞘(遺伝子型:ind−a1/ind−a1、IND−C1/ind−c1又はIND−A1/ ind−a1、ind−c1/ind−c1)は中間の表現型を示した。より具体的には、これらの突然変異IND同胞植物の鞘の弁縁は、一般的に、二重ホモ接合性の突然変異IND同胞植物においてよりも良く定義されたが、しかし、野生型同胞植物における弁と鞘の遠位端のくちばしの間の鮮明な圧入は依然として大部分がこれらの突然変異植物において存在しなかった。
− 表5aは、野外において生育させた植物からの鞘の表現型に帰せられる視覚的な鞘スコアを示す(上に記載の通り)。
【0197】
【表10】

【0198】
b)手動影響テスト(MIT):
− 系統51、45、176、及び48に由来するホモ接合状態の2つの突然変異IND対立遺伝子を含む植物からの鞘(遺伝子型:ind−a1/ind−a1、ind−c1/ind−c1)は、完全に鞘脱粒耐性であった(鞘は、強いねじりを適用した後でさえ、裂開部に沿って開かなかった)。
− ホモ接合状態の1つのind対立遺伝子及びヘテロ接合状態の1つのind対立遺伝子を含む植物からの鞘の鞘脱粒耐性(遺伝子型:ind−a1/ind−a1、IND−C1/ind−c1又はIND−A1/ ind−a1、ind−c1/ind−c1)が、それらの野生型同胞植物からの鞘の鞘脱粒耐性と比較して増加していたが、しかし、鞘は、依然として、限られた物理的力を適用することにより裂開部に沿って開くことができた。
− 表5bは、野外において生育させた植物からの鞘に帰せられるスコアを示す(上に記載の通りに手動で鞘にねじりを適用することにより閉じた成熟鞘を開くために必要とされる物理的力に基づく):
【0199】
【表11】

【0200】
c)無作為影響テスト:
− 表5cにおいて示す通り、鞘サンプルの半減期(「LD50」)は、系統51に由来するホモ接合性の二重突然変異体からの鞘(遺伝子型ind−a1/ind−a1、ind−c1/ind−c1)において、系統45に由来するホモ接合性の二重突然変異体よりも有意に高かったが、IND−C1−EMS01対立遺伝子を含むホモ接合性の二重突然変異植物(系統51)が、IND−C1−EMS03対立遺伝子を含むホモ接合性の二重突然変異植物(系統45)よりも鞘脱粒耐性であったことを示す。
− 表5cは、さらに、LD50値が、一般的に、ホモ接合状態の1つのind−c1対立遺伝子及びヘテロ接合状態の1つのind−a1対立遺伝子を含む植物からの鞘(遺伝子型:IND−A1/ ind−a1、ind−c1/ind−c1)において、ホモ接合状態の1つのind−a1対立遺伝子及びヘテロ接合状態の1つのind−c1対立遺伝子を含む植物からの鞘(遺伝子型:ind−a1/ind−a1、IND−C1/ind−c1)よりも高かったことを示し、IND−C1対立遺伝子における突然変異が、IND−A1対立遺伝子における突然変異よりも鞘脱粒耐性に対してより強い効果を有しうることを示す。
【0201】
【表12】

【0202】
d)野外テスト
表5dは、種子脱粒(SHAT)のレベル、コンバイナ収穫能力(CHA1)、脱穀能力(CHA2)、組み合わせ後の区画当たりの種子収率(YLDP)、及びわらの脱穀後の種子収率(YLDS)(示したind植物を伴う野外区画と野生型植物を伴う野外区画について上に記載の通りに決定した)を示す。YieldWTSeg%値は、1系統内、即ち、系統51、45、176、又は48内の野生型分離個体のパーセントとしてのYLDPをそれぞれ表わす。
【0203】
【表13】

【0204】
微視的評価:
− 温室条件下で生育させた系統45に由来するホモ接合状態の2つのind対立遺伝子を含む植物からの鞘(遺伝子型ind−a1/ind−a1、ind−c1/ind−c1)は、完全な裂開部の全体にわたる木化及び周辺の細胞型からの裂開部に属する細胞の不良な分化を示す(例えば維管束組織細胞及び内部鞘壁に通常見出される細胞の木化層(即ち、enb細胞)(「強い形態学的表現型」)など)。同様の鞘表現型が、野外条件下で生育されたこれらの植物について観察された。対照的に、裂開部は依然として十分に分化しており、温室条件下で生育された系統51に由来するホモ接合状態の2つのind対立遺伝子を含む植物からの鞘(遺伝子型ind−a1/ind−a1、ind−c1/ind−c1)において大部分が木化していなかったが、しかし、裂開部は余分な木化を示した(そこでは鞘壁が一緒になる)(より弱い形態学的表現型)。野外条件下で生育させたこれらの植物からの鞘は、以下に記載する系統45に由来する遺伝子型IND−A1/ind−a1, ind−c1/ind−c1を伴う植物からの鞘のもとの同様の木化パターンを示した。RITから得られたデータと組み合わせた場合、これらのデータは、これらの植物が「より弱い形態学的表現型」とより高い鞘脱粒耐性とを組み合わせることを示しうる。
− 温室条件下で成育させた系統45及び51に由来する、ホモ接合状態の1つのind対立遺伝子及びヘテロ接合状態の1つのind対立遺伝子を含む植物からの鞘(遺伝子型:ind−a1/ind−a1、IND−C1/ind−c1又はIND−A1/ ind−a1、ind−c1 /ind−c1)は、顕著な表現型を示さなかった。野外条件下で、系統45に由来する、遺伝子型IND−A1/ind−a1、ind−c1 /ind−c1を伴う植物からの鞘は、それらのホモ接合性の二重突然変異同胞の植物からの鞘よりも、より微妙な形態学的表現型を呈した(上を参照のこと)。より具体的には、木化は完全な裂開部の全体にわたり起こらず、しかし、これらの植物の鞘が、数個の余分な木化細胞の層を呈するだけであった(そこでは内部鞘壁が、隔壁の両側で対照的に又は片側だけ隔壁に付着する)。同様の鞘表現型が、野外条件下で生育された、系統51に由来する遺伝子型IND−A1/ind−a1、ind−c1/ind−c1を伴う植物からの鞘について観察された。系統45及び51に由来する遺伝子型ind−a1/ind−a1、IND−C1/ind−c1を伴う植物からの鞘は、野外条件下で顕著な表現型を示さなかった。
【0205】
実施例7 − 突然変異IND遺伝子の検出及び/又は(優良)ブラシカ系統への移入。
突然変異IND遺伝子を(優良)ブラシカ育種系統中に以下の方法により移入する:突然変異IND遺伝子を含む植物(ドナー植物)を、(優良)ブラシカ系統(優良親/反復親)又は突然変異IND遺伝子を欠く品種と交雑する。以下の遺伝子移入計画を使用する(突然変異IND遺伝子はindと省略し、野生型はINDと描写する):
初回交雑:ind/ind(ドナー植物)×IND/IND(優良親)
F1植物:IND/ind
BC1交雑:IND/ind×IND/IND(反復親)
BC1植物:50% IND/ind及び50% IND/IND
50% IND/indを、分子マーカー(例、AFLP、PCR、Invader(商標)など;以下も参照のこと)を使用して突然変異IND対立遺伝子(ind)について選択する。
BC2交雑:IND/ind(BC1植物)×IND/IND(反復親)
BC2植物:50% IND/ind及び50% IND/IND
50% IND/indを、分子マーカーを使用して突然変異IND対立遺伝子(ind)について選択する。
戻し交雑をBC3からBC6まで繰り返す。
BC3−6植物:50% IND/ind及び50% IND/IND
50% IND/indを、分子マーカーを使用して突然変異IND対立遺伝子(ind)について選択する。戻し交雑(例、BC6の代わりにBC3まで)の数を低下させるために、優良親の遺伝的バックグラウンドに特異的な分子マーカーを使用することができる。
BC3−6 S1交雑:IND/ind×IND/ind
BC3−6 S1植物:25% IND/IND及び50% IND/ind及び25% ind/ind
indを含む植物を、分子マーカーを使用して突然変異IND対立遺伝子(ind)について選択する。突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性である個々のBC3−6 S1植物(ind/ind)を、分子マーカーを使用して突然変異及び野生型IND対立遺伝子について選択する。これらの植物を次に種子産生のために使用する。
【0206】
IND対立遺伝子において点突然変異を含む植物を選択するために、当技術分野において公知の標準的な配列決定技術(例えば実施例4において記載するものなど)による直接配列決定を使用することができる。あるいは、PCRアッセイを開発して、IND対立遺伝子において特定の点突然変異を含む植物をその特定の点突然変異を含まない植物から識別することができる。以下の識別PCRアッセイをこのように開発して、実施例4において同定した突然変異対立遺伝子の有無及び接合状態を検出した(表4を参照のこと):
− 鋳型DNA:
− ホモ接合性又はヘテロ接合性の突然変異ブラシカ植物(突然変異IND対立遺伝子を含む。以下「IND−Xx−EMSXX」と呼ぶ)の葉材料から単離されたゲノムDNA。
− 野生型DNAコントロール:野生型ブラシカ植物(突然変異IND対立遺伝子の野生型等価物を含む。以下「IND−Xx−WT」と呼ぶ)の葉材料から単離されたゲノムDNA。
− ポジティブDNAコントロール:IND−Xx−EMSXXを含むことが公知であるホモ接合性の突然変異ブラシカ植物の葉材料から単離されたゲノムDNA。
− 突然変異及び対応する野生型標的IND遺伝子から増幅されたフラグメントのプライマー及び長さを、表6において示す。一般的に、各プライマーは、突然変異及び野生型標的遺伝子に特異的な1つのプライマー(例、プライマーPOSH101R2はIND−A1−EMS01及びIND−A1−WTに特異的である)及びヌクレオチド差異について特異的な1つのプライマー(例、プライマーPOSH101MF1はIND−A1−EMS01に特異的であり、プライマーPOSH101WF1はIND−A1−WTに特異的である)。通常、後者のプライマーの最後のヌクレオチドは、ヌクレオチド差異と一致するが(表6における下線を引いたヌクレオチド)、しかし、1つ(又はそれ以上の)追加の標的特異的ヌクレオチドを追加して、プライマーとその標的配列の間のアニーリングを改善してよい(例、プライマーPOSH 108MR1’中の太字のヌクレオチドを参照のこと。それは、プライマーPOSH 108WR1’(IND−C1−WT対立遺伝子に特異的である)と比較して、IND−C1−EMS03対立遺伝子に特異的である)。− PCRミックス:2.5μl 10×PCRバッファー(15mM MgCl)、0.25μl dNTPs(20mM)、1μlフォワードプライマー(10μM)、1μlリバースプライマー(10μM)、0.25μl Taqポリメラーゼ(5U/μl)、19.5μl Milli−Q HO、0.5μl DNA(20〜50ng/μl)=全容積25μl;
− サーモサイクリングプロファイル:95℃で4分間;30×[95℃で1分間(変性)そして表6において特定するアニーリング温度で1分間そして72℃で2分間(伸長)];72℃で5分間;4℃に冷却する。最適なアニーリング温度は温度勾配PCRにより決定したが、それにおいてアニーリング温度は57℃〜70℃の間でMJ Research thermocycler PTC-200(Biozym)で変動した。野生型IND特異的プライマーのための最適なアニーリング温度は、予測サイズの明確なPCRフラグメントを、野生型ブラシカ植物からのDNAサンプルについて検出することができるが(以下に記載の通り)、突然変異ブラシカ植物からのDNAサンプルについては検出することができない温度である。突然変異IND特異的プライマーのための最適なアニーリング温度は、予測サイズの明確なPCRフラグメントを、突然変異ブラシカ植物からのDNAサンプルについて検出することができるが(以下に記載の通り)、野生型ブラシカ植物からのDNAサンプルについては検出することができない温度である。
− 増幅後、5μlの添加色素(オレンジ色素)を15μlのPCRサンプルに加えて、サンプルを1.5%アガロースゲルに添加した。
− 突然変異ブラシカ植物のゲノムDNAの増幅後に得られるバンドパターンを、以下の通りに評価する:
− 単一のPCR実行及び単一のPCRミックス内での突然変異ブラシカ植物の葉材料から単離されるDNAサンプルからのデータは、以下でない場合、許容すべきではない:
− 野生型DNAコントロールが、IND−Xx−WT特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCRフラグメントを示し、IND−Xx−EMSXX特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCRフラグメントを示さない。
− ポジティブなDNAコントロールが、IND−Xx−EMSXX特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCRフラグメントを示し、IND−Xx−WT特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCRフラグメントを示さない。
− IND−Xx−WT特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCR産物を示さず、IND−Xx−EMSXX特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCRフラグメントを示すレーンが、ゲノム鋳型DNAが調製された対応する植物が、IND−Xx−EMSXXについてホモ接合性突然変異体であることを示す。
− IND−Xx−WT特異的PCRアッセイ及びIND−Xx−EMSXX特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCRフラグメントを示すレーンが、ゲノム鋳型DNAが調製された対応する植物が、IND−Xx−EMSXXについてヘテロ接合性突然変異体であることを示す。
− IND−Xx−WT特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCRフラグメントを示し、IND−Xx−EMSXX特異的PCRアッセイにおいて予測サイズのPCR産物を示さないレーンが、ゲノム鋳型DNAが調製された対応する植物が、野生型植物であることを示す。
【0207】
【表14】

【0208】
あるいは、Invader(商標)技術(Third Wave Agbio)を使用して、IND対立遺伝子において特定の点突然変異を含む植物を、その特定の点突然変異を含まない植物から識別することができる。以下の識別Invader(商標)はこのように開発されて、実施例4において同定された突然変異対立遺伝子の有無及び接合状態を検出した(表7を参照のこと:
− 突然変異又は対応する野生型標的IND遺伝子(「5’flap1−x」及び「5’flap2−x」とそれぞれ示す)及びそれらの組み合わせで使用することができる「侵入」プローブを表7において示す。一般的に、各々のプローブセットは、5’flap配列の後の第1ヌクレオチドがヌクレオチド差異に一致する突然変異又は野生型標的遺伝子に特異的な1つのプローブ(表7において下線を引いたヌクレオチド)(いわゆる「一次プローブ」;例、配列番号26を伴うプローブはIND−A1−EMS01に特異的であり、配列番号27を伴うプローブはIND−A1−WTに特異的である)及びヌクレオチド差異の上流のヌクレオチドに特異的な1つのプローブ(いわゆる「invader(登録商標)oligo」;例、配列番号25を伴うプローブは、IND−A1−EMS01とIND−A1−WTの間のヌクレオチド差異の上流のヌクレオチドに特異的である)からなる。後者のプライマーの最後のヌクレオチドは、突然変異体におけるヌクレオチド差異と一致しうるが(表6における太字のヌクレオチドにより示す)、しかし、他のヌクレオチドも、一次プローブ及びinvade(登録商標)oligoが、依然として標的DNAにハイブリダイズしてCleavase(登録商標)酵素(Third Wave Agbio)により認識される特定の侵入構造を生成する場合に単一塩基重複を形成することができる限り、この最後のヌクレオチドのために使用してよい。
− Invader(商標)アッセイ手順及びデータの解釈を、製造者(Third Wave Agbio)により規定される通りに実施する。簡単に説明すると、表7において「flap1」及び「flap2」と示されるヌクレオチド配列は、Invader(商標)アッセイの一次段階において一次プローブから切断され、FRET(商標)カセット1及び2における配列とそれぞれ相補的であり、そして標的突然変異体又は野生型配列と相補的ではない5’「flaps」の配列を表わす。一次プローブが一次段階において切断され、flap1プローブ及び/又はflap2プローブがFRET(商標)カセット1及び2にそれぞれ第二段階においてハイブリダイズする場合、突然変異又は対応する野生型標的IND遺伝子のサンプル中での存在を示唆するシグナルがそれぞれ生成される。
【0209】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのIND遺伝子、又は細胞、部分、種子、もしくはその後代を含むブラシカ植物であって、それが3つの突然変異IND対立遺伝子をそのゲノム中に含むことを特徴とするブラシカ植物。
【請求項2】
IND遺伝子がIND−A1遺伝子又はIND−C1遺伝子である、請求項1記載の植物。
【請求項3】
IND遺伝子が、以下:
(a)配列番号1、配列番号3のヌクレオチド位置46〜ヌクレオチド位置633、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を含む核酸分子;
(b)配列番号2、配列番号4のアミノ酸位置16〜アミノ酸位置21、又は配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を含むアミノ酸配列をコードする核酸分子
からなる群より選択される核酸分子を含む、請求項1又は2記載の植物。
【請求項4】
突然変異IND対立遺伝子が完全ノックアウトIND対立遺伝子である、請求項1〜3のいずれか一項記載の植物。
【請求項5】
突然変異IND対立遺伝子が、ind−a1−EMS01、ind−a1−EMS05、ind−c1−EMS01、及びind−c1−EMS03からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項記載の植物。
【請求項6】
1つの突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性であり、別についてヘテロ接合性である、請求項1〜5のいずれか一項記載の植物。
【請求項7】
突然変異IND対立遺伝子を含まない対応する植物により産生される機能的INDタンパク質の量と比較して有意に低下した量の機能的INDタンパク質を産生する、請求項1〜6のいずれか一項記載の植物。
【請求項8】
植物の種子脱粒が、突然変異IND対立遺伝子を含まない対応する植物の種子脱粒と比較して有意に低下又は遅延した、請求項1〜7のいずれか一項記載の植物。
【請求項9】
農学的に関連する鞘の脱穀性を維持した、請求項8記載の植物。
【請求項10】
ブラシカ作物種、好ましくはブラシカ・ナパス、ブラシカ・ジュンセア、ブラシカ・カリナタ、ブラシカ・ラパ、及びブラシカ・オレラセアからの植物である、請求項1〜9のいずれか一項記載の植物。
【請求項11】
ブラシカ脂肪種子種、好ましくはブラシカ・ナパス、ブラシカ・ジュンセア、又はブラシカ・ラパからの植物である、請求項1〜10のいずれか一項記載の植物。
【請求項12】
IND−A1遺伝子又はIND−C1遺伝子の少なくとも1つの突然変異対立遺伝子をそのゲノム中に含み、IND−A1遺伝子又はIND−C1遺伝子が、以下:
(a)配列番号1、配列番号3のヌクレオチド位置46〜ヌクレオチド位置633、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を含む核酸分子;
(b)配列番号2、配列番号4のアミノ酸位置16〜アミノ酸位置21、又は配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を含むアミノ酸配列をコードする核酸分子
からなる群より選択される核酸分子を含む、植物、又はその細胞、部分、種子、もしくは後代。
【請求項13】
突然変異IND対立遺伝子が完全ノックアウトIND対立遺伝子である、請求項12記載の植物。
【請求項14】
突然変異IND対立遺伝子が、ind−a1−EMS01、ind−a1−EMS05、ind−c1−EMS01、及びind−c1−EMS03からなる群より選択される、請求項12又は13記載の植物。
【請求項15】
突然変異IND対立遺伝子がブラシカ種の植物に由来する、請求項12〜14のいずれか一項記載の植物。
【請求項16】
ブラシカ種からの植物である、請求項12〜15のいずれか一項記載の植物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項記載の植物から入手可能な種子鞘。
【請求項18】
IND−A1遺伝子又はIND−C1遺伝子が、以下:
(a)配列番号1、配列番号3のヌクレオチド位置46〜ヌクレオチド位置633、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を含む核酸分子;
(b)配列番号2、配列番号4のアミノ酸位置16〜アミノ酸位置21、又は配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を含むアミノ酸配列をコードする核酸分子
からなる群より選択される核酸分子を含む、IND−A1遺伝子又はIND−C1遺伝子の突然変異対立遺伝子。
【請求項19】
完全ノックアウトIND対立遺伝子である、請求18記載の突然変異対立遺伝子。
【請求項20】
ind−a1−EMS01、ind−a1−EMS05、ind−c1−EMS01、及びind−c1−EMS03からなる群より選択される、請求項18又は19記載の突然変異対立遺伝子。
【請求項21】
ブラシカ種、好ましくはブラシカ作物種又はブラシカ脂肪種子種の植物に由来する、請求項18〜20のいずれか一項記載の突然変異対立遺伝子。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか一項記載の突然変異対立遺伝子によりコードされる突然変異INDタンパク質。
【請求項23】
生物学的サンプル中に存在する核酸において突然変異IND特異的領域の存在を決定することを含む、生物学的サンプルにおいて請求項18〜21のいずれか一項記載の突然変異IND対立遺伝子を同定するための方法。
【請求項24】
生物学的サンプルを少なくとも2つのプライマーのセットを使用したポリメラーゼ連鎖反応アッセイに供することをさらに含み、セットが以下:
− プライマーの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’隣接領域を特異的に認識し、プライマーの他が突然変異IND対立遺伝子の3’隣接領域をそれぞれ特異的に認識するプライマーのセット、
− プライマーの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識し、プライマーの他が突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーのセット、
− それぞれに、プライマーの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識し、プライマーの他が突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマーのセット
からなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法であって、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなる、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からなる、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からなり、17〜200の連続ヌクレオチドが突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、
方法。
【請求項26】
請求項24記載の方法であって、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される少なくとも17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端にそれぞれ含む、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される少なくとも17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端に含む、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される少なくとも17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端に含み、3’に位置する17の連続ヌクレオチドが突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、
方法。
【請求項27】
請求項24〜26のいずれか一項記載の方法であって、
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜923又は925〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号5のヌクレオチド924又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜924又は924〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜866又は868〜1622又はその相補体の、あるいは、配列番号5のヌクレオチド1〜939又は941〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号5のヌクレオチド867又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド940又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜867又は867〜1622又はその相補体の、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜940又は940〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜643又は645〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号7のヌクレオチド644又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜644又は644〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜898又は900〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号7のヌクレオチド899又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜899又は899〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、
方法。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれか一項記載の方法であって、
プライマーのセットが以下:
− 配列番号13の配列を含む1つのプライマー及び/又は配列番号15の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号16の配列を含む1つのプライマー及び/又は配列番号18の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号19の配列を含む1つのプライマー及び/又は配列番号21の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号22の配列を含む1つのプライマー及び/又は配列番号24の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット
からなる群より選択される、
方法。
【請求項29】
生物学的サンプルを、少なくとも1つの特定のプローブを含む特定のプローブのセットを使用したハイブリダイゼーションアッセイに供することをさらに含む請求項23記載の方法であって、セットが以下:
− プローブの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’隣接領域を特異的に認識し、プローブの他が突然変異IND対立遺伝子の3’隣接領域を特異的に認識する、特定のプローブのセット、
− プローブの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識し、プローブの他が突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識する、特定のプローブのセット、
− プローブの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識し、プローブの他が突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的にそれぞれ認識する、特定のプローブのセット、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識する特定のプローブ
からなる群より選択される、
方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法であって、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなり、13〜1000の連続ヌクレオチドが、突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、
方法。
【請求項31】
請求項29記載の方法であって、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプローブが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプローブが、突然変異IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれぞれ含み、少なくとも13の連続ヌクレオチドが、突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、
方法。
【請求項32】
請求項29〜31のいずれか一項記載の方法であって、
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜923又は925〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号5のヌクレオチド924又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜924又は924〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜866又は868〜1622又はその相補体の、あるいは、配列番号5のクレオチド1〜939又は941〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号5のヌクレオチド867又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド940又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜867又は867〜1622又はその相補体の、あるいは、配列番号5のヌクレオチド1〜940又は940〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜643又は645〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号7のヌクレオチド644又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜644又は644〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜898又は900〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号7のヌクレオチド899又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜899又は899〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、
方法。
【請求項33】
請求項29〜32のいずれか一項記載の方法であって、
プローブのセットが以下:
− 配列番号25の配列を含む1つのプローブ及び/又は配列番号26の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号28の配列を含む1つのプローブ及び/又は配列番号29の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号31の配列を含む1つのプローブ及び/又は配列番号32の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号34の配列を含む1つのプローブ及び/又は配列番号35の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット
からなる群より選択される、
方法。
【請求項34】
突然変異及び/又は対応する野生型IND特異的領域の存在を、植物あるいはその細胞、部分、種子、又は後代のゲノムDNAにおいて決定することを含む、植物あるいはその細胞、部分、種子、又は後代において請求項18〜21のいずれか一項記載の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するための方法。
【請求項35】
植物あるいはその細胞、部分、種子、又は後代のゲノムDNAを、少なくとも2つ又は少なくとも3つのプライマーのセットを使用したポリメラーゼ連鎖反応アッセイに供することをさらに含む、請求項34記載の方法であって、プライマーの少なくとも2つが野生型IND対立遺伝子を特異的に認識し、少なくとも2つのプライマーが以下:
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプライマー、及び突然変異及び野生型IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域をそれぞれ特異的に認識する第2のプライマー、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプライマー、及び野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識する第2のプライマー、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプライマー、及び野生型IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域をそれぞれ特異的に認識する第2のプライマー、
からなる群より選択される、そして、プライマーの少なくとも2つが突然変異IND対立遺伝子を特異的に認識し、少なくとも2つのプライマーが以下:
− それぞれに、突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプライマー、及び突然変異及び野生型IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域を特異的に認識する第2のプライマー、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプライマー、及び突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識する第3のプライマー、
− それぞれに、突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプライマー、及び突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識する第3のプライマー、
からなる群より選択される、
方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法であって、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなる、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなる、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなり、17〜200の連続ヌクレオチドが、突然変異領域又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、
方法。
【請求項37】
請求項35記載の方法であって、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端にそれぞれ含む、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端にそれぞれ含み、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端にそれぞれ含み、3’に位置する17の連続ヌクレオチドが突然変異部位又は領域のいずれかあるいは隣接配列にもっぱら由来しない、
方法。
【請求項38】
請求項35〜37のいずれか一項記載の方法であって、
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜923又は925〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号5のヌクレオチド924又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜924又は924〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜923続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号5のヌクレオチド925〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜866又は868〜1622又はその相補体の、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜939又は941〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号5のヌクレオチド867又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド940又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列a又はその相補体を有する;野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜867又は867〜1622又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜940又は940〜1622又はその相補体からのヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜866続くaのヌクレオチド配列、又はaに続く配列番号5のヌクレオチド868〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜939続くaのヌクレオチド配列、又はaに続く配列番号5のヌクレオチド941〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜643又は645〜1593又はその相補体からのヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号7のヌクレオチド644又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;及び野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜644又は644〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜643続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号7のヌクレオチド645〜1593のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜898又は900〜1593)又はその相補体からのヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号7のヌクレオチド899又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;及び野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜899又は899〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜898続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号7のヌクレオチド900〜1593のヌクレオチド配列、又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、
方法。
【請求項39】
請求項35〜38のいずれか一項記載の方法であって、
少なくとも3つのプライマーのセットが以下:
− 配列番号13の配列を含む1つのプライマー、配列番号14の配列を含む1つのプライマー、及び/又は配列番号15の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号16の配列を含む1つのプライマー、配列番号17の配列を含む1つのプライマー、及び/又は配列番号18の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号19の配列を含む1つのプライマー、配列番号20の配列を含む1つのプライマー、及び/又は配列番号21の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号22の配列を含む1つのプライマー、配列番号23の配列を含む1つのプライマー、及び/又は配列番号24の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
からなる群より選択される、
方法。
【請求項40】
植物、又はその細胞、部分、種子、もしくは後代を、少なくとも2つの特定のプローブのセットを使用したハイブリダイゼーションアッセイに供することをさらに含む、請求項34記載の方法であって、特定のプローブの少なくとも1つが野生型IND対立遺伝子を特異的に認識し、少なくとも1つのプローブが以下:
− それぞれに、突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプローブ、及び突然変異及び野生型IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域を特異的に認識する第2のプローブ、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプローブ、及び野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識する第2のプローブ、
− それぞれに、突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプローブ、及び野生型IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識する第2のプローブ、
− 野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブ、
からなる群より選択される、そして、
特定のプローブの少なくとも1つが突然変異IND対立遺伝子を特異的に認識し、少なくとも1つのプローブが以下:
− それぞれに、突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプローブ、及び突然変異及び野生型IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域を特異的に認識する第2のプローブ、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプローブ、及び突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識する第3のプローブ、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプローブ、及び突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識する第3のプローブ、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブ、
からなる群より選択される、
方法。
【請求項41】
請求項40記載の方法であって、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列、又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプローブが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域の配列、又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からなる、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列、又はそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からなり、13〜1000の連続ヌクレオチドが、突然変異部位又は領域のいずれかあるいは隣接配列にもっぱら由来しない、
方法。
【請求項42】
請求項40記載の方法であって、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列、又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、又は
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプローブが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異配列、又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、又は
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列、又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれぞれ含み、少なくとも13の連続ヌクレオチドが、突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、
方法。
【請求項43】
請求項40〜42のいずれか一項記載の方法であって、
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜923又は925〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号5のヌクレオチド924又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜924又は924〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜923続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号5のヌクレオチド925〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、あるいは
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜866又は868〜1622又はその相補体の、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜939又は941〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号5のヌクレオチド867又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド940又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列a又はその相補体を有する;野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜867又は867〜1622又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜940又は940〜1622又はその相補体からのヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜866続くaのヌクレオチド配列、又はaに続く配列番号5のヌクレオチド868〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜939続くaのヌクレオチド配列、又はaに続く配列番号5のヌクレオチド941〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列を含む、あるいは
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜643又は645〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号7のヌクレオチド644又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜644又は644〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜643続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号7のヌクレオチド645〜1593のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜898又は900〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号7のヌクレオチド899又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜899又は899〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜898続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号7のヌクレオチド900〜1593のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、
方法。
【請求項44】
請求項40〜43のいずれか一項記載の方法であって、
少なくとも3つの特定のプローブのセットが以下:
− 配列番号25の配列を含む1つのプローブ、配列番号26の配列を含む1つのプローブ、及び/又は配列番号27の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号28の配列を含む1つのプローブ、配列番号29の配列を含む1つのプローブ、及び/又は配列番号30の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号31の配列を含む1つのプローブ、配列番号32の配列を含む1つのプローブ、及び/又は配列番号33の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号34の配列を含む1つのプローブ、配列番号35の配列を含む1つのプローブ、及び/又は配列番号36の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
からなる群より選択される、
方法。
【請求項45】
プライマー又はプローブのセットを含む、生物学的サンプルにおいて請求項18〜21のいずれか一項記載の突然変異IND対立遺伝子を同定するためのキットであって、セットが以下:
− プライマー又はプローブの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’隣接領域を特異的に認識し、プライマー又はプローブの他が突然変異IND対立遺伝子の3’隣接領域を特異的に認識するプライマー又はプローブのセット、
− プライマー又はプローブの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識し、プライマー又はプローブの他が突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマー又はプローブのセット、
− それぞれに、プライマー又はプローブの1つが突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識し、プライマー又はプローブの他が突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマー又はプローブのセット、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブ、
からなる群より選択される、
キット。
【請求項46】
請求項45記載のキットであって、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなる、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からなる、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からなり、17〜200の連続ヌクレオチドが突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からそれぞれなる、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からなり、13〜1000の連続ヌクレオチドが、突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、
方法。
【請求項47】
請求項45記載のキットであって、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される少なくとも17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端にそれぞれ含む、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される少なくとも17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端に含む、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される少なくとも17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をその極限の3’末端に含み、3’に位置する17の連続ヌクレオチドが突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプローブが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプローブが、突然変異IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、又は
− 突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれぞれ含み、少なくとも13の連続ヌクレオチドが、突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、
キット。
【請求項48】
請求項45〜47のいずれか一項記載のキットであって、
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜923又は925〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号5のヌクレオチド924又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜924又は924〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜866又は868〜1622又はその相補体の、あるいは、配列番号5のヌクレオチド1〜939又は941〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号5のヌクレオチド867又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド940又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜867又は867〜1622又はその相補体の、あるいは、配列番号5のヌクレオチド1〜940又は940〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜643又は645〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号7のヌクレオチド644又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜644又は644〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜898又は900〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;突然変異領域が配列番号7のヌクレオチド899又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;及び連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜899又は899〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、
キット。
【請求項49】
請求項45〜48のいずれか一項記載のキットであって、少なくとも2つのプライマーのセット及び/又は少なくとも2つの特定のプローブのセットが、以下:
− 配列番号13の配列を含む1つのプライマー及び/又は配列番号15の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号16の配列を含む1つのプライマー及び/又は配列番号18の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号19の配列を含む1つのプライマー及び/又は配列番号21の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号22の配列を含む1つのプライマー及び/又は配列番号24の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号25の配列を含む1つのプローブ及び/又は配列番号26の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号28の配列を含む1つのプローブ及び/又は配列番号29の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号31の配列を含む1つのプローブ及び/又は配列番号32の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号34の配列を含む1つのプローブ及び/又は配列番号35の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット
からなる群より選択される、セット。
【請求項50】
プライマー又はプローブのセットを含む、植物あるいはその細胞、部分、種子、又は後代において請求項18〜21のいずれか一項記載の突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定するための方法であって、プライマーの少なくとも2つ又はプローブの少なくとも1つが野生型IND対立遺伝子を特異的に認識し、プライマーの少なくとも2つ又はプローブの少なくとも1つが突然変異IND対立遺伝子を特異的に認識し、以下:
− 第1のプライマー又はプローブが突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’隣接領域を特異的に認識し、第2のプライマー又はプローブが突然変異及び野生型IND対立遺伝子の3’隣接領域を特異的に認識する少なくとも2つのプライマー又はプローブのセット、
− 第1のプライマー又はプローブが突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識し、第2のプライマー又はプローブが突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識し、第3のプライマー又はプローブが野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識する少なくとも3つのプライマー又はプローブのセット、
− それぞれに、第1のプライマー又はプローブが突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識し、第2のプライマー又はプローブが突然変異IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識し、第3のプライマー又はプローブが野生型IND対立遺伝子の3’又は5’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域をそれぞれ特異的に認識する少なくとも3つのプライマー又はプローブのセット、
− 第1のプローブが突然変異IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識し、第2のプローブが野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識する少なくとも2つのプローブのセット
からなる群より選択される
方法。
【請求項51】
請求項50記載のキットであって、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなる、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域の配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなる、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される17〜200の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなり、17〜200の連続ヌクレオチドが、突然変異領域又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、又は、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプローブが、それぞれに、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される13〜1000の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列からそれぞれなり、13〜1000の連続ヌクレオチドが、突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、あるいはそれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、
方法。
【請求項52】
請求項50記載のキットであって、
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれらの極限の3’末端にそれぞれ含む、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域の配列から又はその相補体から選択される17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれらの極限の3’末端にそれぞれ含む、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプライマーが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される17の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれらの極限の3’末端にそれぞれ含み、3’に位置する17の連続ヌクレオチドが突然変異部位又は領域のいずれかあるいは隣接配列にもっぱら由来しない、又は
− 突然変異及び野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域を特異的に認識するプローブが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異領域を特異的に認識するプローブが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の突然変異配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、又は
− 突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域を特異的に認識するプローブが、突然変異又は野生型IND対立遺伝子の5’又は3’隣接領域と突然変異領域の間の連結領域に及ぶ配列から又はその相補体から選択される少なくとも13の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列をそれぞれ含み、少なくとも13の連続ヌクレオチドが、突然変異配列又は隣接配列のいずれかにもっぱら由来しない、方法。
【請求項53】
請求項50〜52のいずれか一項記載のキットであって、
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜923又は925〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号5のヌクレオチド924又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜924又は924〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜923続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号5のヌクレオチド925〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号5のヌクレオチド1〜866又は868〜1622又はその相補体の、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜939又は941〜1622又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ有する;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号5のヌクレオチド867又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド940又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列a又はその相補体を有する;野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜867又は867〜1622又はその相補体、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜940又は940〜1622又はその相補体からのヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号5のヌクレオチド1〜866続くaのヌクレオチド配列、又はaに続く配列番号5のヌクレオチド868〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列、あるいは配列番号5のヌクレオチド1〜939続くaのヌクレオチド配列、又はaに続く配列番号5のヌクレオチド941〜1622のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜643又は645〜1593又はその相補体からのヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号7のヌクレオチド644又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;及び野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜644又は644〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜643続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号7のヌクレオチド645〜1593のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、又は
− 5’又は3’隣接領域が、配列番号7のヌクレオチド1〜898又は900〜1593)又はその相補体からのヌクレオチド配列をそれぞれ含む;野生型IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列番号7のヌクレオチド899又はその相補体のヌクレオチド配列を有する;突然変異IND対立遺伝子の突然変異領域が、配列t又はその相補体を有する;及び野生型IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜899又は899〜1593又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む;及び突然変異IND対立遺伝子の連結領域が配列番号7のヌクレオチド1〜898続くtのヌクレオチド配列、又はtに続く配列番号7のヌクレオチド900〜1593のヌクレオチド配列又はその相補体のヌクレオチド配列をそれぞれ含む、
方法。
【請求項54】
請求項50〜53のいずれか一項記載のキットであって、少なくとも3つのプライマー又はプローブのセットが、以下:
− 配列番号13の配列を含む1つのプライマー、配列番号14の配列を含む1つのプライマー、及び/又は配列番号15の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号16の配列を含む1つのプライマー、配列番号17の配列を含む1つのプライマー、及び/又は配列番号18の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号19の配列を含む1つのプライマー、配列番号20の配列を含む1つのプライマー、及び/又は配列番号21の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号22の配列を含む1つのプライマー、配列番号23の配列を含む1つのプライマー、及び/又は配列番号24の配列を含む1つのプライマーを含むプライマーのセット、
− 配列番号25の配列を含む1つのプローブ、配列番号26の配列を含む1つのプローブ、及び/又は配列番号27の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号28の配列を含む1つのプローブ、配列番号29の配列を含む1つのプローブ、及び/又は配列番号30の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号31の配列を含む1つのプローブ、配列番号32の配列を含む1つのプローブ、及び/又は配列番号33の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット、
− 配列番号34の配列を含む1つのプローブ、配列番号35の配列を含む1つのプローブ、及び/又は配列番号36の配列を含む1つのプローブを含むプローブのセット
からなる群より選択されるセット。
【請求項55】
請求項18〜21のいずれか一項記載の少なくとも2つの選択された突然変異IND対立遺伝子を1つの植物において組み合わせるための方法であって、以下の工程:
(a)請求項23〜33のいずれか一項記載の少なくとも1つの選択された突然変異IND対立遺伝子を各々含む少なくとも2つの植物を同定すること、
(b)少なくとも2つの植物を交雑して、少なくとも1回の交雑からF1雑種種子を回収すること、
(c)場合により、請求項23〜33のいずれか一項記載の少なくとも2つの選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物を同定すること
を含む方法。
【請求項56】
請求項34〜44のいずれか一項記載の選択された突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定することにより、選択された突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性又はヘテロ接合性であるF1植物を同定する工程をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
少なくとも1つの選択された突然変異IND対立遺伝子を1つの植物から別の植物に移すための方法であって、以下の工程:
(a)請求項23〜33のいずれか一項記載の少なくとも1つの選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第1の植物を同定すること、又は、請求項55記載の少なくとも2つの選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第1の植物を生成すること、
(b)第1の植物を、少なくとも1つの選択された突然変異IND対立遺伝子を含まない第2の植物と交雑し、交雑からF1雑種種子を回収すること、
(c)場合により、請求項23〜33のいずれか一項記載の少なくとも1つの選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物を同定すること、
(d)少なくとも1つの選択された突然変異IND対立遺伝子を含むF1植物を、少なくとも1つの選択された突然変異IND対立遺伝子を含まない第2の植物と、少なくとも1世代(x)にわたり戻し交雑し、交雑からのBCx種子を回収すること、
(e)請求項23〜33のいずれか一項記載の少なくとも1つの選択された突然変異IND対立遺伝子を含む各世代のBCx植物を同定すること
を含む方法。
【請求項58】
請求項34〜44のいずれか一項記載の選択された突然変異IND対立遺伝子の接合状態を決定することにより、選択された突然変異IND対立遺伝子についてホモ接合性又はヘテロ接合性であるBCx植物を同定する工程をさらに含む、請求項57記載の方法。
【請求項59】
請求項55〜58のいずれか一項記載の通りに、請求項18〜21のいずれか一項記載の突然変異IND対立遺伝子をブラシカ植物において又はそれへ組み合わせる及び/又は移入させることを含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の植物を作るための方法。
【請求項60】
請求項1〜11のいずれか一項記載の雑種ブラシカ種子又は植物を作るための方法を提供し、以下の工程:
(a)請求項34〜44のいずれか一項記載のホモ接合状態の第1及び第2の選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第1の植物ならびにホモ接合状態の第3の選択された突然変異IND対立遺伝子を含む第2の植物を同定すること、
(b)第1及び第2の植物を交雑して、そして交雑からF1雑種種子を回収すること
を含む方法。
【請求項61】
第1又は第2の選択された突然変異IND対立遺伝子が、第3の選択された突然変異IND対立遺伝子と同じ突然変異IND対立遺伝子である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
第1の植物を雄親植物として使用し、第2の植物を雌親植物として使用する、請求項60又は61記載の方法。
【請求項63】
ATCCに2007年11月20日に受入番号PTA−8796の下で寄託されているind−a1−EMS01及びind−c1−EMS01対立遺伝子を含むブラシカ種子、及び、ATCCに2007年11月20日に受入番号PTA−8795の下で寄託されているind−a1−EMS05及びind−c1−EMS03対立遺伝子を含むブラシカ種子、又はそれらからの派生体。
【請求項64】
請求項63記載の種子から得られる、ブラシカ植物、又はその細胞、部分、種子、もしくは後代。
【請求項65】
ind−a1−EMS01、ind−a1−EMS05、ind−c1−EMS01、又はind−c1−EMS03対立遺伝子をそのゲノム中に含む、請求項63記載の種子から生育されたブラシカ植物の繁殖及び/又はその育種により得られる、ブラシカ植物、又はその細胞、部分、種子、もしくは後代。
【請求項66】
ind−a1−EMS01、ind−a1−EMS05、ind−c1−EMS01、又はind−c1−EMS03対立遺伝子を含む種子であって、対立遺伝子を含む参照種子がATCCに2007年11月20日に受入番号PTA−8796及びPTA−8795の下で寄託されている、種子。
【請求項67】
請求項66記載の種子から産生される、ind−a1−EMS01、ind−a1−EMS05、ind−c1−EMS01、又はind−c1−EMS03対立遺伝子を含む、植物、又はその細胞、部分、種子、もしくは後代。
【請求項68】
2つの突然変異IND対立遺伝子をそのゲノム中の1つの遺伝子座に含むことを特徴とする、2つの遺伝子座に少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物、又はその細胞、部分、種子、もしくは後代。
【請求項69】
2つの突然変異IND対立遺伝子がホモ接合性である、請求項68記載の植物。
【請求項70】
IND遺伝子がIND−A1遺伝子又はIND−C1遺伝子である、請求項68記載の植物。
【請求項71】
IND遺伝子が、以下:
(a)配列番号1、配列番号3のヌクレオチド位置46〜ヌクレオチド位置633、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を含む核酸分子;
(b)配列番号2、配列番号4のアミノ酸位置16〜アミノ酸位置21、又は配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を含むアミノ酸配列をコードする核酸分子
からなる群より選択される核酸分子を含む、請求項68〜70のいずれか一項記載の植物。
【請求項72】
突然変異IND対立遺伝子が完全ノックアウトIND対立遺伝子である、請求項68〜71のいずれか一項記載の植物。
【請求項73】
突然変異IND対立遺伝子がind−a1−EMS01、ind−a1−EMS05、ind−c1−EMS01、及びind−c1−EMS03からなる群より選択される、請求項68〜72のいずれか一項記載の植物。
【請求項74】
突然変異IND対立遺伝子を含まない対応する植物により産生される機能的INDタンパク質の量と比較し、有意に低下した量の機能的INDタンパク質を産生する、請求項68〜73のいずれか一項記載の植物。
【請求項75】
植物の種子収率を、突然変異IND対立遺伝子を含まない対応する植物の種子収率と比較し、増加させる、好ましくは有意に増加させる、請求項68〜74のいずれか一項記載の植物。
【請求項76】
ブラシカ作物種、好ましくはブラシカ・ナパス、ブラシカ・ジュンセア、ブラシカ・カリナタ、ブラシカ・ラパ、及びブラシカ・オレラセアからの植物である、請求項68〜75のいずれか一項記載の植物。
【請求項77】
ブラシカ脂肪種子種、好ましくはブラシカ・ナパス、ブラシカ・ジュンセア、又はブラシカ・ラパからの植物である、請求項68〜76のいずれか一項記載の植物。
【請求項78】
2つの突然変異ホモ接合IND対立遺伝子をそのゲノム中に導入することを含む、少なくとも2つのIND遺伝子を含むブラシカ植物の収率を増加させるため方法。
【請求項79】
ブラシカ植物において種子収率を増加させるための請求項18〜21のいずれか一項記載の突然変異IND対立遺伝子の使用。
【請求項80】
ブラシカ植物において鞘の脱粒耐性を増加させるための請求項18〜21のいずれか一項記載の突然変異IND対立遺伝子の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−504735(P2011−504735A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535299(P2010−535299)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010147
【国際公開番号】WO2009/068313
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(501018298)バイエル・バイオサイエンス・エヌ・ヴェー (12)
【氏名又は名称原語表記】Bayer BioScience N.V.
【Fターム(参考)】