窒化物系発光ヘテロ構造
改良された窒化物系発光ヘテロ構造を提供する。窒化物系発光ヘテロ構造は、電子供給層と、正孔供給層とを含み、それらの間に光発生構造が配置される。光発生構造は、各々が傾斜組成を有するバリア層のセットと、各々が少なくとも1つのバリア層と隣接する量子井戸のセットとを含む。特性の1つ以上を改良するために、各量子井戸の厚みなどのさらなる特徴を選択し/ヘテロ構造に取り入れ得る。さらに、傾斜組成を含む1つ以上の追加層が、光発生構造の外側のヘテロ構造に含まれ得る。傾斜組成層により、電子は、光発生構造の量子井戸に入る前にエネルギーを失うことで、電子は、量子井戸でより効率的に正孔と再結合できるようになる。
【発明の詳細な説明】
【先行技術参照】
【0001】
[0001]本願は、2004年12月6日に出願された「Light Emitting Heterostructure」という発明の名称の同時係属中の米国仮特許出願第60/633,828号の利益を主張し、同出願は、本明細書に参照により組み込まれる。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、窒化物系ヘテロ構造に関し、特に、改良された窒化物系発光ヘテロ構造に関する。
【発明の背景】
【0003】
[0003]近年、青色および遠紫外線(UV)波長で発光する窒化物系発光ダイオードおよびレーザへの関心が高まっている。これらのデバイスは、固体照明、生化学的検出、高密度データストレージなどを含むさまざまな応用に組み込み可能である。しかしながら、これまで、窒化物系発光ダイオードおよびレーザの性能は、放射波長が紫外線領域に低減されるにつれて急速に悪化している。
【0004】
[0004]最新の発光ダイオード(LED)は、3つの主要なコンポーネント、すなわち、電子供給層(例えば、n型半導体)と、正孔供給層(例えば、p型半導体)と、それらの間にある光発生構造とからなる。光発生構造の光発生効率が比較的低いことが、短めの波長を有する光を発生するさいのデバイスの性能向上を阻む大きなバリアになっている。このような効率は、電子と正孔の移動度の大きな差によって制限される。電子の移動度が正孔のものより高いため、電子は正孔よりも素早く移動する。
【0005】
[0005]この状況に対処するために、光発生構造とp型コンタクト層との間に電子阻止層を組み込む方法がある。電子阻止層は、電子を減速させ、より効率的な輻射再結合を可能にする。しかしながら、電子阻止層はまた、デバイスの直列抵抗を増大させ、ある程度まで、正孔に対してもバリアを与えてしまう。電子・正孔ペアの濃度を上げるために、光発生構造に複数の量子井戸を組み込む方法が多くある。しかしながら、これらの方法でも、波長がより短い光を効率的に発生する解決策を与えることはいまだできない。電子および正孔の非輻射再結合量が転位によって決定されるため、多くの方法では、デバイスで使用する材料の品質を高めることが求められている。それでも、遠紫外線 LEDの効率は低いままである。
【0006】
[0006]UV LEDを開発する際の別の問題は、正孔注入の不足である。これまで、マグネシウム(Mg)が、最も支持されている受容体であるため、p型のガリウム(Ga)窒化物(N)層に一般に使用されている。このような層の室温活性エネルギーは、250ミリ電子ボルト(meV)と同程度の高さであり得、AlGaN合金中のアルミニウム(Al)モル分率とほぼ線形に増加する。しかしながら、受容体の活性エネルギーが大きいと、正孔注入が不足してしまう。このことは、より帯域が低い遠紫外線 LEDに特に当てはまり、このLEDでは、より高いAlモル分率が要求される。
【0007】
[0007]さまざまな方法で、p型のMgドープされたAlGaN層の伝導率を高めることが求められている。1つの方法において、この層の代わりに、MgドープされたAlGaN/GaN短周期超格子(SPSL)、例えば、340から350nmUV LEDにおいてMgドープされたAlGaN/GaN SPSLの成長がある。この場合、超格子の周期は充分に小さいため(例えば、4ナノメートル未満)、SPSLのミニバンドに及ぼす分極場効果は無視できる。その結果、p型SPSLの垂直伝導が、分極場によって劣化しない。
【0008】
[0008]別の方法では、MgドープされたAlGaN/GaN長周期超格子(LPSL)を用いる。この場合、周期が15nmより長いと、価電子帯の不連続性と分極場により、AlGaNバリアにおける受容体のイオン化と、GaN井戸への正孔の移送を高めることができる。しかしながら、長周期は、隣り合う井戸間の波動関数の結合を妨げてしまい、垂直伝導率が大幅に低下してしまう。その結果、このLPSLの方法は、横方向の水平p伝導率を高めることしかできない。これまでのところ、遠紫外線 LEDのp型LPSLで問題なく用いられている既知の方法はない。
【0009】
[0009]さらなる別の方法では、界面で正孔を蓄積するために、p型GaN/p型AlGaNシングルヘテロ構造を用いる。この方法の仕組みは、LPSL方法に似ている。しかしながら、p型GaN/p型AlGaNシングルヘテロ構造が、正孔輸送に1つのバリアしか含まないため、界面での高密度な正孔蓄積、および電界アシストによるトンネル現象と熱放射により、垂直伝導率が大幅に高められ得る。この方法を取り入れたいくつかのUV LEDが提案されており、適度に良好な出力電力を達成している。しかしながら、UV LEDの出力電力および/または効率を高めることが依然として望まれる。
【0010】
[0010]以上のことを鑑みて、当分野において、本明細書に示す欠陥の1つ以上を解消する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
[0011]本発明により、改良された窒化物系発光ヘテロ構造が提供される。窒化物系発光ヘテロ構造は、電子供給層と、正孔供給層と、それらの間に配置された光発生構造とを含む。光発生構造は、各々が傾斜組成を有するバリア層のセットと、各々が少なくとも1つのバリア層と隣接する量子井戸のセットとを含む。各量子井戸の厚みなどの追加の特徴は、特性の1つ以上を高めるために、ヘテロ構造に選択され/取り込まれ得る。さらに、傾斜組成を含む1つ以上の追加層が、光発生構造の外側のヘテロ構造に含まれ得る。傾斜組成層は、電子が光発生構造の量子井戸に入る前に電子のエネルギーを失わせることで、電子は、量子井戸においてより効率的に正孔と再結合することができる。
【0012】
[0012]本発明の第1の態様により、電子供給層と、正孔供給層と、電子供給層と正孔供給層との間に配置された光発生構造とを備え、光発生構造が、各々が傾斜組成を含むバリア層のセットと、各々がバリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットとを含む、窒化物系発光ヘテロ構造が提供される。
【0013】
[0013]本発明の第2の態様により、基板と、基板上のバッファ層と、バッファ層上にわたったストレインリリーフ構造と、ストレインリリーフ構造上にわたった電子供給層と、正孔供給層と、電子供給層と正孔供給層との間に配置された光発生構造とを備え、光発生構造が、各々が傾斜組成を含むバリア層のセットと、各々がバリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットとを含む、窒化物系発光デバイスが提供される。
【0014】
[0014]本発明の第3の態様によれば、基板を獲得するステップと、基板上にわたって電子供給層を形成するステップと、各々が傾斜組成を含むバリア層のセットを形成する工程と、各々がバリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットを形成する工程とを含む、電子供給層上にわたって光発生構造を形成するステップと、光発生構造上にわたって正孔供給層を形成するステップとを含む、窒化物系発光ヘテロ構造の発生方法が提供される。
【0015】
[0015]本発明の第4の態様によれば、基板を獲得するステップと、基板上にわたって電子供給層を形成するステップと、各々が傾斜組成を含むバリア層のセットを形成する工程と、各々がバリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットを形成する工程とを含む、電子供給層上にわたって光発生構造を形成するステップと、光発生構造上にわたって正孔供給層を形成するステップとを含む、窒化物系発光デバイスの発生方法が提供される。
【0016】
[0016]本発明の例示的な態様は、本明細書に記載する問題と、記述していない他の問題とを解決するためのものである。
【0017】
[0017]本発明の上記および他の特徴は、本発明のさまざまな実施形態を表す添付の図面を参照しながら、本発明のさまざまな態様の以下の詳細な説明からさらに容易に理解されるであろう。
【0018】
[0026]図面は一定の縮尺のものではないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様のみを描くことを意図したものであり、したがって、本発明の範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。図面において、図面間での同様の番号付けは、同様の要素を表している。
【発明の詳細な説明】
【0019】
[0027]本発明の開示の目的のために、Alはアルミニウムを意味し、Beはベリリウムを意味し、Cは炭素を意味し、Gaはガリウムを意味し、Inはインジウムを意味し、Liはリチウムを意味し、Mgはマグネシウムを意味し、Mnは、マンガンを意味し、Nは窒素を意味し、Oは酸素を意味し、Siは珪素を意味することを理解されたい。
【0020】
[0028]上述したように、本発明により、改良された窒化物系発光ヘテロ構造が提供される。窒化物系発光ヘテロ構造は、電子供給層と、正孔供給層と、それらの間に配置された光発生構造とを含む。光発生構造は、各々が傾斜組成を有するバリア層のセットと、各々が少なくとも1つのバリア層と隣接する量子井戸のセットとを含む。各量子井戸の厚みなどの追加の特徴は、特性の1つ以上を高めるために、ヘテロ構造に選択され/取り込まれ得る。さらに、傾斜組成を含む1つ以上の追加層が、光発生構造の外側のヘテロ構造に含まれ得る。傾斜組成層は、電子が光発生構造の量子井戸に入る前に電子のエネルギーを失わせることで、電子は、量子井戸においてより効率的に正孔と再結合することができる。本明細書で使用する場合、特別の記載がなければ、「セット」という用語は、1つ以上を意味する。
【0021】
[0029]図面を参照すると、図1は、本発明の実施形態による例示的な窒化物系発光ヘテロ構造10を示す。基板12と、基板12上のバッファ層14と、バッファ層14上のストレインリリーフ構造16とを含むヘテロ構造10が示されている。ヘテロ構造10は、電子供給層18と、正孔供給層22と、電子供給層18と正孔供給層22との間に配置された光発生構造20とを含む。また、光発生構造20と正孔供給層22との間に配置された電子阻止層24と、コンタクト層26とを含むヘテロ構造10が示されている。
【0022】
[0030]基板12は、サファイア、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)、GaN、AlGaN、AlON、LiGaO2、および/または同類のものなどの任意のタイプの基板を含み得る。同様に、バッファ層14は、AlNなどの任意のタイプのバッファ層を含み得る。さらに、ストレインリリーフ構造16は、超格子(例えば、長周期超格子、短周期超格子、周期ごとに傾斜組成および/または可変組成を含む短周期または長周期超格子)、幅広いバリアを有する複数の量子井戸、単一量子井戸、急峻または傾斜ヘテロ界面を有する多層構造(例えば、数百オングストロームの厚み、閉じ込めなし)、および/または同類のものなどの任意のタイプのストレインリリーフ構造を含み得る。ストレインリリーフ構造16は、AlN/GaN、AlN/AlGaN、AlGaN/AlGaN、AlInGaN/AlInGaNなどの任意の組成を含み得る。さらに、コンタクト層26は、任意のタイプのコンタクト層を含み得る。一実施形態において、コンタクト層26は、2005年8月22日に出願された「Ohmic Contact for Nitride−Based Semiconductor Device」という発明の名称の、本願と同一の譲受人による同時係属中の米国特許出願第11/208,679号に示され記載されているようなオーム接触を含み、同出願は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0023】
[0031]電子供給層18および正孔供給層22はまた、任意のタイプの電子/正孔供給層を含み得る。例えば、電子供給層18は、n型コンタクト層またはn型クラッド層などのn型半導体を含み得る。同様に、正孔供給層22は、p型コンタクト層またはp型クラッド層などのp型半導体を含み得る。さらに、正孔供給層22は、MgドープされたAlGaN/GaNまたはAlGaInN/AlInGaN短周期超格子などの多層構造を含み得る。各供給層18、22は、Ga、Al、またはInの1つ以上とともにNを含み得る。一実施形態において、電子供給層18は、n型のAlGaNクラッド層を含み、正孔供給層22は、p型のMgドープされたAlGaNクラッド層を含む。他の形態において、正孔供給層22は、Mg+O、Mg+Si、および/または同類のものなどのMn、Be、Mgコドーパントでドープされてもよい。
【0024】
[0032]電子阻止層24は、p型AlGaN層などの任意のタイプの電子阻止層を含み得る。一実施形態において、電子阻止層24は、正孔供給層22の組成から電子阻止層24の組成まで段階的に遷移する傾斜組成を含む。例えば、電子阻止層24は、およそ500オングストロームの厚みを有するAlGaN組成を含みえ、Al組成は、およそ60パーセントから5パーセントへ段階的に低減される(例えば、ほぼ線形)。これは、さまざまな形態を例示したものにすぎないことを理解されたい。例えば、成長条件に依存して、電子阻止層24のAl分率は、電子阻止層24が光発生構造20の近くに移動するにつれて、増大または低減し得る。さらに、Alの含有量は、およそ100%からおよそ0.1%の間で変動し得る。
【0025】
[0033]図2は、本発明の実施形態による別の窒化物系発光ヘテロ構造30を示し、同図において、図1のヘテロ構造10の正孔供給層22および電子阻止層24は、傾斜組成正孔供給層28と置き換えられている。傾斜組成正孔供給層28は、層28が光発生構造20の近くに移動するにつれて、コンタクト層26に隣接した正孔供給層組成(例えば、p型AlGaNまたはAlGaInN組成)から電子阻止層組成(例えば、p型AlGaN組成)へ遷移する傾斜組成を含み得る。特に、層28におけるAlおよび/またはInの量は、層28の幅にわたって増減され得る(例えば、ほぼ線形)。例えば、層28の厚みは、およそ100ナノメートルであり得、Al組成は、およそ0.1%からおよそ70%まで増大する。
【0026】
[0034]図1を再度参照すると、光発生構造20は、量子井戸32のセットと、バリア層34のセットとを含む。一般に、量子井戸32およびバリア層34のセットは、各量子井戸32が少なくとも1つのバリア層34によって隣接されるように交互にされ得る。光発生構造20に、単一量子井戸32およびバリア層34を含む任意の数の量子井戸32およびバリア層34が含まれ得ることを理解されたい。各量子井戸32は、AlGaN、AlGaInN、および/または同類のものなどの任意の組成を含み得る。一実施形態において、光発生構造20は、AlGaN層におけるAlの不均一クラスタリングを含む。不均一クラスタリングは、キャリアの閉じ込めおよび/または非輻射中心からのキャリアの分離を追加することによって、光発生構造20からの発光を高めることができる。一般に、Alの不均一クラスタリングは、クラスタを取り囲む材料のものとは異なる組成を含むナノスケールクラスタをさす。このようなクラスタは、光発生構造20によって発生する光の所望の波長および/またはヘテロ構造10を組み込むデバイスのデザインに応じて、1つ以上の量子井戸32および/またはバリア層34に組み込まれ得る。例えば、取り囲む材料は、各クラスタのものより高いAl組成を含んでもよい。この場合、非平衡キャリアを局所化し、それらが他の非輻射中心によって捕捉されないようにし得るポテンシャル井戸が発生する。
【0027】
[0035]光発生構造20にある各バリア層34は、傾斜組成を含み得る。各バリア層34の傾斜組成、電子阻止層24、および/または傾斜組成正孔供給層28(図2)は、電子が量子井戸32に入る前に電子のエネルギーを失わせる。一般に、高Al含有量層は、電子および正孔のバリアを含む。電子がp型材料内に透過しないように、高Al含有量層は、電子阻止層24として使用される。しかしながら、これはまた、光発生領域へと移動する際に正孔にバリアを与える。本発明の実施形態において、各バリア層34、電子阻止層24、および/または傾斜組成正孔供給層28は、AlGaN、AlGaInN、および/または同類のものなどの三元または四元の組成を含み得る。一実施形態において、各バリア層34は、三元または四元のAl傾斜組成を含む。
【0028】
[0036]傾斜組成バリア層34を最適化することで、良好な正孔注入を維持しながら、電子透過を抑制することができる。例えば、図3A及び図3Bは、AlGaNバリア層34(図1)/GaN量子井戸32(図1)の境界でのエネルギーと距離との関係を表した例示的なプロット36A及び36Bを示し、同図において、それぞれ、AlGaNバリア層34が傾斜されていないものと、傾斜されているものとが示されている。図3Aに示すように、AlGaNバリア層34におけるAlのモル分率は一定であり、その境界は、電子と正孔の両方のバリアを含む。しかしながら、図3Bにおいて、上記AlGaNバリア層34は、GaN量子井戸32との境界でのゼロパーセントAlから、図3Aに示すものと同じA1のモル分率まで変動する組成を有する。この場合、電子のバリアは増大する一方で、正孔のバリアは低減される。これにより、電子は、量子井戸32においてより効率的に正孔と再結合することができる。
【0029】
[0037]光発生構造20における各量子井戸32の厚み(幅)は、1つ以上の所望の動作特性を与えるように選択され得る。例えば、各量子井戸32は、量子井戸32において電子および正孔の非輻射再結合の原因となる1つ以上の欠陥の特性半径より小さい厚みを含み得る。一実施形態において、各量子井戸は、転位、深い不純物、および/または同類のものなどの欠陥の寸法より薄いおよそ2ナノメートルの厚みを含む。この点で、図4は、例示的な量子井戸32のバンド図40を示し、同図において、量子井戸の厚み42は、非輻射再結合中心半径44より小さい。
【0030】
[0038]さらに、各量子井戸32(図1)の厚みは、各量子井戸32の電子基底状態が、1つ以上の分極効果によって生じるエネルギーのバンド曲がり範囲より高くなるように選択され得る。この点で、各量子井戸32の厚みは、一般に、およそ2から5ナノメートル範囲にあり得るが、場合によっては、最大およそ10ナノメートルまでなることもある。分極効果により、量子井戸32に強い電場が生じる。これらの電場がバンド図を傾斜させることによって、実空間に電子と正孔の分離が生じ得る。所与の分極場に関して、量子井戸32が厚いほど、バンドの傾斜が大きくなり、電子と正孔との分離が強くなる。例えば、図5A及び図5Bは、それぞれ、比較的厚い量子井戸と比較的薄い量子井戸の例示的なバンド図50A及び50Bを示す。図5Aにおいて、バンド図50Aは、電子基底状態が、分極場によって影響を受けるエネルギー領域内にある量子井戸を示す。この場合、電子および正孔の波動関数の重なり合いが非常に小さいことで、発光は非常に非効率的になってしまう。明確な対比として、図5Bは、比較的薄い量子井戸32のバンド図50Bを示し、同図において、電子基底状態は、分極場の効果がほとんどない、または、まったくないエネルギー領域にある。この場合、電子および正孔の波動関数の重なり合いが非常に大きいことで、発光は非常に効率的なものになる。
【0031】
[0039]さらに、各量子井戸32(図1)の厚みは、各量子井戸32の電子基底状態が、同じ量子井戸32の伝導バンドの底の最高エネルギーより高いエネルギーを確実にもつように選択され得る。この場合、電子の波動関数は、全量子井戸を占めることによって、正孔の波動関数との重なり合いが強くなる。例えば、Fp=2MV/cm(20meV/nm)の典型的な分極場の場合、バンド曲がりエネルギーは、BB=Fpdに等しく、式中、dは量子井戸の厚みである。電子基底状態エネルギーは、
E0=π2h2/(2med2)
(この値は、バンド曲がりが基底状態を押し上げるため実際にはさらに高い)
で近似でき、式中、hはプランク定数であり、meは電子の有効質量である(GaNの場合0.228m0と推定され得、式中、m0は自由電子の静止質量である)。この場合、dの関数としてバンド曲がりとdの関数としてのGaNの基底状態エネルギーとを比較すると、量子井戸32の幅は、電子基底状態エネルギーがバンド曲がりエネルギーより確実に高くなるように、およそ4.5ナノメートルよりも小さくなければならない。
【0032】
[0040]図6は、本発明の実施形態による、電子供給バリア層62と、正孔供給バリア層64とを含む別の窒化物系発光ヘテロ構造60を示す。ヘテロ構造60において、電子供給バリア層62は、電子供給層18に隣接し、光発生構造20に入る電子が、極性光学フォノンのエネルギーとほぼ同じエネルギーを含むようなバンド構造プロファイルを生じる傾斜組成を含む。同様に、正孔供給バリア層64は、正孔供給層22に隣接し、光発生構造20に入る正孔が、極性光学フォノンのエネルギーとほぼ同じエネルギーを含むようなバンド構造プロファイルを生じる傾斜組成を含む。この場合、光発生構造20と電子阻止層24との間の組成の違いは、正孔のみが、極性光学フォノンの電位差に遭遇するように調整され得る。この点で、図8は、量子井戸に入る電子が、極性光学フォノンエネルギーに近いエネルギーを有するようなバンド構造プロファイルを生じる、隣接する電子供給バリア層62(図6)を有する量子井戸(破線)を示す。さらに、図8は、エネルギー空間での例示的な電子軌跡と、極性光学フォノンのエネルギーとを示す。窒化物層において、極性光学フォノンエネルギーは、層の組成に応じて、およそ90meVである。この場合、電子は、量子井戸に入るときに、90meVの数meV以内(例えば、およそ87から93meV)であるエネルギーを含み得る。
【0033】
[0041]図7は、本発明の実施形態による分布ブラッグ反射器(DBR)構造72を含む別の窒化物系発光ヘテロ構造70を示す。DBR構造72は、特定の波長の光を反射することで、ヘテロ構造70の出力電力を高めることができる。さらに、ヘテロ構造70は、正孔供給層22が上側に配置されたp型層74を含む。DBR構造72およびp型層74の各々は、ヘテロ構造70を使用して発生した光の所望の波長に基づいて任意の組成を含み得る。一実施形態において、DBR構造72は、Mg、Mn、Be、またはMg+Siドープされたp型組成を含む。p型層74がないヘテロ構造70にDBR構造72が含まれてもよいことを理解されたい。同様に、p型層74は、DBR構造72がないヘテロ構造70に含まれてもよい。この場合、p型層74は、p型AlGaN、AlInGaNを含んでもよい。p型層74は、電子阻止層24(図1)の代わりであってもよく、および/または、正孔供給層22と電子阻止層24との間に組み込まれてもよい。
【0034】
[0042]さらに、正孔供給層22上にわたって陽極酸化アルミニウム層76を含むことで、ヘテロ構造70から光を抽出する効率を高めることができるヘテロ構造70が示される。一実施形態において、陽極酸化アルミニウム層76および正孔供給層22は、光結晶を形成する正孔のセットを含む。さらに、正孔供給層22は、各々が陽極酸化アルミニウム層76にある正孔に整列される正孔のセットを含み得る。いずれの場合も、正孔の1つ以上は、屈折率が正孔供給層22の組成とは異なるSiO2などの材料を含み得る(例えば、充填され得る)。
【0035】
[0043]本明細書に示し記述したさまざまなヘテロ構造は、本発明に従って実施され得る多数のヘテロ構造の構成の例示的なものにすぎないことを理解されたい。特に、本発明によれば、ヘテロ構造は、1つ以上の追加層、1つ以上のより少数の層を含みえ、および/または層の順序は、1つ以上の所望の動作特性に基づいて変更され得る。さらに、各層は、所望の動作特性および/またはデバイス構成に基づいて、より低い層をすべてまたは部分的に覆うように構成され得る。さらに、1つ以上の追加のデバイスコンポーネントがヘテロ構造に追加され得る。この点で、本発明により、本明細書に記載するヘテロ構造を含む、例えば、発光ダイオード、レーザ、および/または同類のものなどの発光デバイスなどのさまざまなタイプのデバイスも提供される。
【0036】
[0044]本発明により、本明細書に記載するヘテロ構造/デバイスの各々を発生する方法がさらに提供される。特に、本明細書に記載するさまざまな層の各々は、任意の解決策を用いて、隣接する層または介在層上に形成され得る(例えば、堆積、成長、および/または同類のもの)。例えば、図1を参照すると、ヘテロ構造10は、基板12を獲得し、基板12上にバッファ層14を形成し、バッファ層14上にストレインリリーフ構造16を形成し、ストレインリリーフ構造16上に電子供給層18を形成し、電子供給層18上に光発生構造20を形成し(1つ以上の交互の量子井戸32およびバリア層34を形成することを含み得る)、光発生表面20上に電子阻止層24を形成し、電子阻止層24上に正孔供給層22を形成し、および電子阻止層26上にコンタクト層26を形成することによって発生され得る。各堆積ステップが、1つ以上のマスクおよび/または同類のものの使用を含み得ることを理解されたい。さらに、デバイスを発生するために、ヘテロ構造に追加の処理が実行され得る(例えば、1つ以上の所望のコンポーネントを追加する処理)。
【0037】
[0045]本発明のさまざまな態様の前述した記載は、例示および記載の目的のために与えられたものである。網羅的なものを意図したものでも、本発明を開示した正確な形態に限定することを意図したものではなく、多数の修正例および変形例が可能であることは明らかである。当業者に明らかであろうこのような修正例および変形例は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態による例示的な窒化物系発光ヘテロ構造を示す。
【図2】本発明の実施形態による別の窒化物系発光ヘテロ構造を示す。
【図3A】バリア層が傾斜されていない場合のバリア層/量子井戸の境界のエネルギーと距離との関係を示す例示的なプロットを示す。
【図3B】バリア層が傾斜されている場合のバリア層/量子井戸の境界のエネルギーと距離との関係を示す例示的なプロットを示す。
【図4】本発明の実施形態による例示的な量子井戸のバンド図を示す。
【図5A】比較的厚い量子井戸の例示的なバンド図を示す。
【図5B】比較的薄い量子井戸の例示的なバンド図を示す。
【図6】本発明の実施形態による、電子供給バリア層と、正孔供給バリア層とを含む別の窒化物系発光ヘテロ構造を示す。
【図7】本発明の実施形態による、分布ブラッグ反射器(DBR)構造と、陽極酸化アルミニウム層とを含む別の窒化物系発光ヘテロ構造を示す。
【図8】本発明の実施形態による、隣接した電子供給バリア層を有する量子井戸を示す。
【先行技術参照】
【0001】
[0001]本願は、2004年12月6日に出願された「Light Emitting Heterostructure」という発明の名称の同時係属中の米国仮特許出願第60/633,828号の利益を主張し、同出願は、本明細書に参照により組み込まれる。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、窒化物系ヘテロ構造に関し、特に、改良された窒化物系発光ヘテロ構造に関する。
【発明の背景】
【0003】
[0003]近年、青色および遠紫外線(UV)波長で発光する窒化物系発光ダイオードおよびレーザへの関心が高まっている。これらのデバイスは、固体照明、生化学的検出、高密度データストレージなどを含むさまざまな応用に組み込み可能である。しかしながら、これまで、窒化物系発光ダイオードおよびレーザの性能は、放射波長が紫外線領域に低減されるにつれて急速に悪化している。
【0004】
[0004]最新の発光ダイオード(LED)は、3つの主要なコンポーネント、すなわち、電子供給層(例えば、n型半導体)と、正孔供給層(例えば、p型半導体)と、それらの間にある光発生構造とからなる。光発生構造の光発生効率が比較的低いことが、短めの波長を有する光を発生するさいのデバイスの性能向上を阻む大きなバリアになっている。このような効率は、電子と正孔の移動度の大きな差によって制限される。電子の移動度が正孔のものより高いため、電子は正孔よりも素早く移動する。
【0005】
[0005]この状況に対処するために、光発生構造とp型コンタクト層との間に電子阻止層を組み込む方法がある。電子阻止層は、電子を減速させ、より効率的な輻射再結合を可能にする。しかしながら、電子阻止層はまた、デバイスの直列抵抗を増大させ、ある程度まで、正孔に対してもバリアを与えてしまう。電子・正孔ペアの濃度を上げるために、光発生構造に複数の量子井戸を組み込む方法が多くある。しかしながら、これらの方法でも、波長がより短い光を効率的に発生する解決策を与えることはいまだできない。電子および正孔の非輻射再結合量が転位によって決定されるため、多くの方法では、デバイスで使用する材料の品質を高めることが求められている。それでも、遠紫外線 LEDの効率は低いままである。
【0006】
[0006]UV LEDを開発する際の別の問題は、正孔注入の不足である。これまで、マグネシウム(Mg)が、最も支持されている受容体であるため、p型のガリウム(Ga)窒化物(N)層に一般に使用されている。このような層の室温活性エネルギーは、250ミリ電子ボルト(meV)と同程度の高さであり得、AlGaN合金中のアルミニウム(Al)モル分率とほぼ線形に増加する。しかしながら、受容体の活性エネルギーが大きいと、正孔注入が不足してしまう。このことは、より帯域が低い遠紫外線 LEDに特に当てはまり、このLEDでは、より高いAlモル分率が要求される。
【0007】
[0007]さまざまな方法で、p型のMgドープされたAlGaN層の伝導率を高めることが求められている。1つの方法において、この層の代わりに、MgドープされたAlGaN/GaN短周期超格子(SPSL)、例えば、340から350nmUV LEDにおいてMgドープされたAlGaN/GaN SPSLの成長がある。この場合、超格子の周期は充分に小さいため(例えば、4ナノメートル未満)、SPSLのミニバンドに及ぼす分極場効果は無視できる。その結果、p型SPSLの垂直伝導が、分極場によって劣化しない。
【0008】
[0008]別の方法では、MgドープされたAlGaN/GaN長周期超格子(LPSL)を用いる。この場合、周期が15nmより長いと、価電子帯の不連続性と分極場により、AlGaNバリアにおける受容体のイオン化と、GaN井戸への正孔の移送を高めることができる。しかしながら、長周期は、隣り合う井戸間の波動関数の結合を妨げてしまい、垂直伝導率が大幅に低下してしまう。その結果、このLPSLの方法は、横方向の水平p伝導率を高めることしかできない。これまでのところ、遠紫外線 LEDのp型LPSLで問題なく用いられている既知の方法はない。
【0009】
[0009]さらなる別の方法では、界面で正孔を蓄積するために、p型GaN/p型AlGaNシングルヘテロ構造を用いる。この方法の仕組みは、LPSL方法に似ている。しかしながら、p型GaN/p型AlGaNシングルヘテロ構造が、正孔輸送に1つのバリアしか含まないため、界面での高密度な正孔蓄積、および電界アシストによるトンネル現象と熱放射により、垂直伝導率が大幅に高められ得る。この方法を取り入れたいくつかのUV LEDが提案されており、適度に良好な出力電力を達成している。しかしながら、UV LEDの出力電力および/または効率を高めることが依然として望まれる。
【0010】
[0010]以上のことを鑑みて、当分野において、本明細書に示す欠陥の1つ以上を解消する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
[0011]本発明により、改良された窒化物系発光ヘテロ構造が提供される。窒化物系発光ヘテロ構造は、電子供給層と、正孔供給層と、それらの間に配置された光発生構造とを含む。光発生構造は、各々が傾斜組成を有するバリア層のセットと、各々が少なくとも1つのバリア層と隣接する量子井戸のセットとを含む。各量子井戸の厚みなどの追加の特徴は、特性の1つ以上を高めるために、ヘテロ構造に選択され/取り込まれ得る。さらに、傾斜組成を含む1つ以上の追加層が、光発生構造の外側のヘテロ構造に含まれ得る。傾斜組成層は、電子が光発生構造の量子井戸に入る前に電子のエネルギーを失わせることで、電子は、量子井戸においてより効率的に正孔と再結合することができる。
【0012】
[0012]本発明の第1の態様により、電子供給層と、正孔供給層と、電子供給層と正孔供給層との間に配置された光発生構造とを備え、光発生構造が、各々が傾斜組成を含むバリア層のセットと、各々がバリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットとを含む、窒化物系発光ヘテロ構造が提供される。
【0013】
[0013]本発明の第2の態様により、基板と、基板上のバッファ層と、バッファ層上にわたったストレインリリーフ構造と、ストレインリリーフ構造上にわたった電子供給層と、正孔供給層と、電子供給層と正孔供給層との間に配置された光発生構造とを備え、光発生構造が、各々が傾斜組成を含むバリア層のセットと、各々がバリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットとを含む、窒化物系発光デバイスが提供される。
【0014】
[0014]本発明の第3の態様によれば、基板を獲得するステップと、基板上にわたって電子供給層を形成するステップと、各々が傾斜組成を含むバリア層のセットを形成する工程と、各々がバリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットを形成する工程とを含む、電子供給層上にわたって光発生構造を形成するステップと、光発生構造上にわたって正孔供給層を形成するステップとを含む、窒化物系発光ヘテロ構造の発生方法が提供される。
【0015】
[0015]本発明の第4の態様によれば、基板を獲得するステップと、基板上にわたって電子供給層を形成するステップと、各々が傾斜組成を含むバリア層のセットを形成する工程と、各々がバリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットを形成する工程とを含む、電子供給層上にわたって光発生構造を形成するステップと、光発生構造上にわたって正孔供給層を形成するステップとを含む、窒化物系発光デバイスの発生方法が提供される。
【0016】
[0016]本発明の例示的な態様は、本明細書に記載する問題と、記述していない他の問題とを解決するためのものである。
【0017】
[0017]本発明の上記および他の特徴は、本発明のさまざまな実施形態を表す添付の図面を参照しながら、本発明のさまざまな態様の以下の詳細な説明からさらに容易に理解されるであろう。
【0018】
[0026]図面は一定の縮尺のものではないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様のみを描くことを意図したものであり、したがって、本発明の範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。図面において、図面間での同様の番号付けは、同様の要素を表している。
【発明の詳細な説明】
【0019】
[0027]本発明の開示の目的のために、Alはアルミニウムを意味し、Beはベリリウムを意味し、Cは炭素を意味し、Gaはガリウムを意味し、Inはインジウムを意味し、Liはリチウムを意味し、Mgはマグネシウムを意味し、Mnは、マンガンを意味し、Nは窒素を意味し、Oは酸素を意味し、Siは珪素を意味することを理解されたい。
【0020】
[0028]上述したように、本発明により、改良された窒化物系発光ヘテロ構造が提供される。窒化物系発光ヘテロ構造は、電子供給層と、正孔供給層と、それらの間に配置された光発生構造とを含む。光発生構造は、各々が傾斜組成を有するバリア層のセットと、各々が少なくとも1つのバリア層と隣接する量子井戸のセットとを含む。各量子井戸の厚みなどの追加の特徴は、特性の1つ以上を高めるために、ヘテロ構造に選択され/取り込まれ得る。さらに、傾斜組成を含む1つ以上の追加層が、光発生構造の外側のヘテロ構造に含まれ得る。傾斜組成層は、電子が光発生構造の量子井戸に入る前に電子のエネルギーを失わせることで、電子は、量子井戸においてより効率的に正孔と再結合することができる。本明細書で使用する場合、特別の記載がなければ、「セット」という用語は、1つ以上を意味する。
【0021】
[0029]図面を参照すると、図1は、本発明の実施形態による例示的な窒化物系発光ヘテロ構造10を示す。基板12と、基板12上のバッファ層14と、バッファ層14上のストレインリリーフ構造16とを含むヘテロ構造10が示されている。ヘテロ構造10は、電子供給層18と、正孔供給層22と、電子供給層18と正孔供給層22との間に配置された光発生構造20とを含む。また、光発生構造20と正孔供給層22との間に配置された電子阻止層24と、コンタクト層26とを含むヘテロ構造10が示されている。
【0022】
[0030]基板12は、サファイア、炭化珪素(SiC)、珪素(Si)、GaN、AlGaN、AlON、LiGaO2、および/または同類のものなどの任意のタイプの基板を含み得る。同様に、バッファ層14は、AlNなどの任意のタイプのバッファ層を含み得る。さらに、ストレインリリーフ構造16は、超格子(例えば、長周期超格子、短周期超格子、周期ごとに傾斜組成および/または可変組成を含む短周期または長周期超格子)、幅広いバリアを有する複数の量子井戸、単一量子井戸、急峻または傾斜ヘテロ界面を有する多層構造(例えば、数百オングストロームの厚み、閉じ込めなし)、および/または同類のものなどの任意のタイプのストレインリリーフ構造を含み得る。ストレインリリーフ構造16は、AlN/GaN、AlN/AlGaN、AlGaN/AlGaN、AlInGaN/AlInGaNなどの任意の組成を含み得る。さらに、コンタクト層26は、任意のタイプのコンタクト層を含み得る。一実施形態において、コンタクト層26は、2005年8月22日に出願された「Ohmic Contact for Nitride−Based Semiconductor Device」という発明の名称の、本願と同一の譲受人による同時係属中の米国特許出願第11/208,679号に示され記載されているようなオーム接触を含み、同出願は、本明細書に参照として組み込まれている。
【0023】
[0031]電子供給層18および正孔供給層22はまた、任意のタイプの電子/正孔供給層を含み得る。例えば、電子供給層18は、n型コンタクト層またはn型クラッド層などのn型半導体を含み得る。同様に、正孔供給層22は、p型コンタクト層またはp型クラッド層などのp型半導体を含み得る。さらに、正孔供給層22は、MgドープされたAlGaN/GaNまたはAlGaInN/AlInGaN短周期超格子などの多層構造を含み得る。各供給層18、22は、Ga、Al、またはInの1つ以上とともにNを含み得る。一実施形態において、電子供給層18は、n型のAlGaNクラッド層を含み、正孔供給層22は、p型のMgドープされたAlGaNクラッド層を含む。他の形態において、正孔供給層22は、Mg+O、Mg+Si、および/または同類のものなどのMn、Be、Mgコドーパントでドープされてもよい。
【0024】
[0032]電子阻止層24は、p型AlGaN層などの任意のタイプの電子阻止層を含み得る。一実施形態において、電子阻止層24は、正孔供給層22の組成から電子阻止層24の組成まで段階的に遷移する傾斜組成を含む。例えば、電子阻止層24は、およそ500オングストロームの厚みを有するAlGaN組成を含みえ、Al組成は、およそ60パーセントから5パーセントへ段階的に低減される(例えば、ほぼ線形)。これは、さまざまな形態を例示したものにすぎないことを理解されたい。例えば、成長条件に依存して、電子阻止層24のAl分率は、電子阻止層24が光発生構造20の近くに移動するにつれて、増大または低減し得る。さらに、Alの含有量は、およそ100%からおよそ0.1%の間で変動し得る。
【0025】
[0033]図2は、本発明の実施形態による別の窒化物系発光ヘテロ構造30を示し、同図において、図1のヘテロ構造10の正孔供給層22および電子阻止層24は、傾斜組成正孔供給層28と置き換えられている。傾斜組成正孔供給層28は、層28が光発生構造20の近くに移動するにつれて、コンタクト層26に隣接した正孔供給層組成(例えば、p型AlGaNまたはAlGaInN組成)から電子阻止層組成(例えば、p型AlGaN組成)へ遷移する傾斜組成を含み得る。特に、層28におけるAlおよび/またはInの量は、層28の幅にわたって増減され得る(例えば、ほぼ線形)。例えば、層28の厚みは、およそ100ナノメートルであり得、Al組成は、およそ0.1%からおよそ70%まで増大する。
【0026】
[0034]図1を再度参照すると、光発生構造20は、量子井戸32のセットと、バリア層34のセットとを含む。一般に、量子井戸32およびバリア層34のセットは、各量子井戸32が少なくとも1つのバリア層34によって隣接されるように交互にされ得る。光発生構造20に、単一量子井戸32およびバリア層34を含む任意の数の量子井戸32およびバリア層34が含まれ得ることを理解されたい。各量子井戸32は、AlGaN、AlGaInN、および/または同類のものなどの任意の組成を含み得る。一実施形態において、光発生構造20は、AlGaN層におけるAlの不均一クラスタリングを含む。不均一クラスタリングは、キャリアの閉じ込めおよび/または非輻射中心からのキャリアの分離を追加することによって、光発生構造20からの発光を高めることができる。一般に、Alの不均一クラスタリングは、クラスタを取り囲む材料のものとは異なる組成を含むナノスケールクラスタをさす。このようなクラスタは、光発生構造20によって発生する光の所望の波長および/またはヘテロ構造10を組み込むデバイスのデザインに応じて、1つ以上の量子井戸32および/またはバリア層34に組み込まれ得る。例えば、取り囲む材料は、各クラスタのものより高いAl組成を含んでもよい。この場合、非平衡キャリアを局所化し、それらが他の非輻射中心によって捕捉されないようにし得るポテンシャル井戸が発生する。
【0027】
[0035]光発生構造20にある各バリア層34は、傾斜組成を含み得る。各バリア層34の傾斜組成、電子阻止層24、および/または傾斜組成正孔供給層28(図2)は、電子が量子井戸32に入る前に電子のエネルギーを失わせる。一般に、高Al含有量層は、電子および正孔のバリアを含む。電子がp型材料内に透過しないように、高Al含有量層は、電子阻止層24として使用される。しかしながら、これはまた、光発生領域へと移動する際に正孔にバリアを与える。本発明の実施形態において、各バリア層34、電子阻止層24、および/または傾斜組成正孔供給層28は、AlGaN、AlGaInN、および/または同類のものなどの三元または四元の組成を含み得る。一実施形態において、各バリア層34は、三元または四元のAl傾斜組成を含む。
【0028】
[0036]傾斜組成バリア層34を最適化することで、良好な正孔注入を維持しながら、電子透過を抑制することができる。例えば、図3A及び図3Bは、AlGaNバリア層34(図1)/GaN量子井戸32(図1)の境界でのエネルギーと距離との関係を表した例示的なプロット36A及び36Bを示し、同図において、それぞれ、AlGaNバリア層34が傾斜されていないものと、傾斜されているものとが示されている。図3Aに示すように、AlGaNバリア層34におけるAlのモル分率は一定であり、その境界は、電子と正孔の両方のバリアを含む。しかしながら、図3Bにおいて、上記AlGaNバリア層34は、GaN量子井戸32との境界でのゼロパーセントAlから、図3Aに示すものと同じA1のモル分率まで変動する組成を有する。この場合、電子のバリアは増大する一方で、正孔のバリアは低減される。これにより、電子は、量子井戸32においてより効率的に正孔と再結合することができる。
【0029】
[0037]光発生構造20における各量子井戸32の厚み(幅)は、1つ以上の所望の動作特性を与えるように選択され得る。例えば、各量子井戸32は、量子井戸32において電子および正孔の非輻射再結合の原因となる1つ以上の欠陥の特性半径より小さい厚みを含み得る。一実施形態において、各量子井戸は、転位、深い不純物、および/または同類のものなどの欠陥の寸法より薄いおよそ2ナノメートルの厚みを含む。この点で、図4は、例示的な量子井戸32のバンド図40を示し、同図において、量子井戸の厚み42は、非輻射再結合中心半径44より小さい。
【0030】
[0038]さらに、各量子井戸32(図1)の厚みは、各量子井戸32の電子基底状態が、1つ以上の分極効果によって生じるエネルギーのバンド曲がり範囲より高くなるように選択され得る。この点で、各量子井戸32の厚みは、一般に、およそ2から5ナノメートル範囲にあり得るが、場合によっては、最大およそ10ナノメートルまでなることもある。分極効果により、量子井戸32に強い電場が生じる。これらの電場がバンド図を傾斜させることによって、実空間に電子と正孔の分離が生じ得る。所与の分極場に関して、量子井戸32が厚いほど、バンドの傾斜が大きくなり、電子と正孔との分離が強くなる。例えば、図5A及び図5Bは、それぞれ、比較的厚い量子井戸と比較的薄い量子井戸の例示的なバンド図50A及び50Bを示す。図5Aにおいて、バンド図50Aは、電子基底状態が、分極場によって影響を受けるエネルギー領域内にある量子井戸を示す。この場合、電子および正孔の波動関数の重なり合いが非常に小さいことで、発光は非常に非効率的になってしまう。明確な対比として、図5Bは、比較的薄い量子井戸32のバンド図50Bを示し、同図において、電子基底状態は、分極場の効果がほとんどない、または、まったくないエネルギー領域にある。この場合、電子および正孔の波動関数の重なり合いが非常に大きいことで、発光は非常に効率的なものになる。
【0031】
[0039]さらに、各量子井戸32(図1)の厚みは、各量子井戸32の電子基底状態が、同じ量子井戸32の伝導バンドの底の最高エネルギーより高いエネルギーを確実にもつように選択され得る。この場合、電子の波動関数は、全量子井戸を占めることによって、正孔の波動関数との重なり合いが強くなる。例えば、Fp=2MV/cm(20meV/nm)の典型的な分極場の場合、バンド曲がりエネルギーは、BB=Fpdに等しく、式中、dは量子井戸の厚みである。電子基底状態エネルギーは、
E0=π2h2/(2med2)
(この値は、バンド曲がりが基底状態を押し上げるため実際にはさらに高い)
で近似でき、式中、hはプランク定数であり、meは電子の有効質量である(GaNの場合0.228m0と推定され得、式中、m0は自由電子の静止質量である)。この場合、dの関数としてバンド曲がりとdの関数としてのGaNの基底状態エネルギーとを比較すると、量子井戸32の幅は、電子基底状態エネルギーがバンド曲がりエネルギーより確実に高くなるように、およそ4.5ナノメートルよりも小さくなければならない。
【0032】
[0040]図6は、本発明の実施形態による、電子供給バリア層62と、正孔供給バリア層64とを含む別の窒化物系発光ヘテロ構造60を示す。ヘテロ構造60において、電子供給バリア層62は、電子供給層18に隣接し、光発生構造20に入る電子が、極性光学フォノンのエネルギーとほぼ同じエネルギーを含むようなバンド構造プロファイルを生じる傾斜組成を含む。同様に、正孔供給バリア層64は、正孔供給層22に隣接し、光発生構造20に入る正孔が、極性光学フォノンのエネルギーとほぼ同じエネルギーを含むようなバンド構造プロファイルを生じる傾斜組成を含む。この場合、光発生構造20と電子阻止層24との間の組成の違いは、正孔のみが、極性光学フォノンの電位差に遭遇するように調整され得る。この点で、図8は、量子井戸に入る電子が、極性光学フォノンエネルギーに近いエネルギーを有するようなバンド構造プロファイルを生じる、隣接する電子供給バリア層62(図6)を有する量子井戸(破線)を示す。さらに、図8は、エネルギー空間での例示的な電子軌跡と、極性光学フォノンのエネルギーとを示す。窒化物層において、極性光学フォノンエネルギーは、層の組成に応じて、およそ90meVである。この場合、電子は、量子井戸に入るときに、90meVの数meV以内(例えば、およそ87から93meV)であるエネルギーを含み得る。
【0033】
[0041]図7は、本発明の実施形態による分布ブラッグ反射器(DBR)構造72を含む別の窒化物系発光ヘテロ構造70を示す。DBR構造72は、特定の波長の光を反射することで、ヘテロ構造70の出力電力を高めることができる。さらに、ヘテロ構造70は、正孔供給層22が上側に配置されたp型層74を含む。DBR構造72およびp型層74の各々は、ヘテロ構造70を使用して発生した光の所望の波長に基づいて任意の組成を含み得る。一実施形態において、DBR構造72は、Mg、Mn、Be、またはMg+Siドープされたp型組成を含む。p型層74がないヘテロ構造70にDBR構造72が含まれてもよいことを理解されたい。同様に、p型層74は、DBR構造72がないヘテロ構造70に含まれてもよい。この場合、p型層74は、p型AlGaN、AlInGaNを含んでもよい。p型層74は、電子阻止層24(図1)の代わりであってもよく、および/または、正孔供給層22と電子阻止層24との間に組み込まれてもよい。
【0034】
[0042]さらに、正孔供給層22上にわたって陽極酸化アルミニウム層76を含むことで、ヘテロ構造70から光を抽出する効率を高めることができるヘテロ構造70が示される。一実施形態において、陽極酸化アルミニウム層76および正孔供給層22は、光結晶を形成する正孔のセットを含む。さらに、正孔供給層22は、各々が陽極酸化アルミニウム層76にある正孔に整列される正孔のセットを含み得る。いずれの場合も、正孔の1つ以上は、屈折率が正孔供給層22の組成とは異なるSiO2などの材料を含み得る(例えば、充填され得る)。
【0035】
[0043]本明細書に示し記述したさまざまなヘテロ構造は、本発明に従って実施され得る多数のヘテロ構造の構成の例示的なものにすぎないことを理解されたい。特に、本発明によれば、ヘテロ構造は、1つ以上の追加層、1つ以上のより少数の層を含みえ、および/または層の順序は、1つ以上の所望の動作特性に基づいて変更され得る。さらに、各層は、所望の動作特性および/またはデバイス構成に基づいて、より低い層をすべてまたは部分的に覆うように構成され得る。さらに、1つ以上の追加のデバイスコンポーネントがヘテロ構造に追加され得る。この点で、本発明により、本明細書に記載するヘテロ構造を含む、例えば、発光ダイオード、レーザ、および/または同類のものなどの発光デバイスなどのさまざまなタイプのデバイスも提供される。
【0036】
[0044]本発明により、本明細書に記載するヘテロ構造/デバイスの各々を発生する方法がさらに提供される。特に、本明細書に記載するさまざまな層の各々は、任意の解決策を用いて、隣接する層または介在層上に形成され得る(例えば、堆積、成長、および/または同類のもの)。例えば、図1を参照すると、ヘテロ構造10は、基板12を獲得し、基板12上にバッファ層14を形成し、バッファ層14上にストレインリリーフ構造16を形成し、ストレインリリーフ構造16上に電子供給層18を形成し、電子供給層18上に光発生構造20を形成し(1つ以上の交互の量子井戸32およびバリア層34を形成することを含み得る)、光発生表面20上に電子阻止層24を形成し、電子阻止層24上に正孔供給層22を形成し、および電子阻止層26上にコンタクト層26を形成することによって発生され得る。各堆積ステップが、1つ以上のマスクおよび/または同類のものの使用を含み得ることを理解されたい。さらに、デバイスを発生するために、ヘテロ構造に追加の処理が実行され得る(例えば、1つ以上の所望のコンポーネントを追加する処理)。
【0037】
[0045]本発明のさまざまな態様の前述した記載は、例示および記載の目的のために与えられたものである。網羅的なものを意図したものでも、本発明を開示した正確な形態に限定することを意図したものではなく、多数の修正例および変形例が可能であることは明らかである。当業者に明らかであろうこのような修正例および変形例は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態による例示的な窒化物系発光ヘテロ構造を示す。
【図2】本発明の実施形態による別の窒化物系発光ヘテロ構造を示す。
【図3A】バリア層が傾斜されていない場合のバリア層/量子井戸の境界のエネルギーと距離との関係を示す例示的なプロットを示す。
【図3B】バリア層が傾斜されている場合のバリア層/量子井戸の境界のエネルギーと距離との関係を示す例示的なプロットを示す。
【図4】本発明の実施形態による例示的な量子井戸のバンド図を示す。
【図5A】比較的厚い量子井戸の例示的なバンド図を示す。
【図5B】比較的薄い量子井戸の例示的なバンド図を示す。
【図6】本発明の実施形態による、電子供給バリア層と、正孔供給バリア層とを含む別の窒化物系発光ヘテロ構造を示す。
【図7】本発明の実施形態による、分布ブラッグ反射器(DBR)構造と、陽極酸化アルミニウム層とを含む別の窒化物系発光ヘテロ構造を示す。
【図8】本発明の実施形態による、隣接した電子供給バリア層を有する量子井戸を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供給層と、
正孔供給層と、
前記電子供給層と前記正孔供給層との間に配置された光発生構造と
を備え、前記光発生構造が、
各々が傾斜組成を含むバリア層のセットと、
各々が前記バリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットと
を含む、窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項2】
前記量子井戸の各々の厚みが、該各量子井戸の電子基底状態が、分極効果のセットによって生じるエネルギーのバンド曲がり範囲より高くなるような厚みである、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項3】
前記量子井戸の各々の厚みが、該各量子井戸の電子基底状態が、対応する該各量子井戸の伝導バンドの底より高いエネルギーになるような厚みである、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項4】
前記バリア層の各々が、AlGaNまたはAlGaInNの組成の1つを含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項5】
前記光発生構造と前記正孔供給層との間に配置された電子阻止層をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項6】
前記電子阻止層が、正孔供給層組成から電子阻止層組成へ遷移する傾斜組成を含む、請求項5に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項7】
前記正孔供給層が、正孔供給層組成から前記光発生構造により近い電子阻止層組成へ遷移する傾斜組成を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項8】
基板と、
前記基板上のバッファ層と、
前記バッファ層上にわたるストレインリリーフ構造と
をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項9】
前記電子供給層が、n型のコンタクト層を含み、前記正孔供給層が、p型のコンタクト層を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項10】
前記電子供給層に隣接した少なくとも1つのバリア層をさらに備え、前記少なくとも1つのバリア層が、前記光発生構造に入る電子が、極性光学フォノンのエネルギーとほぼ同じエネルギーを有するバンド構造プロファイルを生じる傾斜組成を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項11】
前記正孔供給層に隣接した少なくとも1つのバリア層をさらに備え、前記少なくとも1つのバリア層が、前記光発生構造に入る正孔が、極性光学フォノンのエネルギーとほぼ同じエネルギーを有するバンド構造プロファイルを生じる傾斜組成を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項12】
前記正孔供給層が、ドープされた短周期超格子を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項13】
前記光発生構造と前記正孔供給層との間に配置されたp型の層をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項14】
前記光発生構造上にわたって配置された分布ブラッグ反射器(DBR)構造をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項15】
前記DBR構造が、ドープされたp型組成を含む、請求項14に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項16】
前記正孔供給層上にわたって配置された陽極酸化アルミニウム層をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項17】
前記正孔供給層および前記陽極酸化アルミニウム層が、光結晶を形成する複数の正孔を含む、請求項16に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項18】
前記正孔供給層が、正孔のセットを含み、前記正孔の各々が、陽極酸化アルミニウム層にある正孔に整列される、請求項16に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項19】
前記正孔のセットの少なくとも1つが、p型層の組成とは異なる屈折率を有する材料を含む、請求項18に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項20】
基板と、
前記基板上のバッファ層と、
前記バッファ層上にわたるストレインリリーフ構造と、
前記ストレインリリーフ構造上にわたる電子供給層と、
正孔供給層と、
前記電子供給層と前記正孔供給層との間に配置された光発生構造と
を備え、前記光発生構造が、
各々が傾斜組成を含むバリア層のセットと、
各々が前記バリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットと
を含む、窒化物系発光デバイス。
【請求項21】
発光ダイオードまたはレーザの1つとして動作するように構成された、請求項20に記載の窒化物系発光デバイス。
【請求項22】
基板を獲得するステップと、
前記基板上にわたる電子供給層を形成するステップと、
各々が傾斜組成を含むバリア層のセットを形成する工程と、各々が前記バリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットを形成する工程とを含む、前記電子供給層上にわたって光発生構造を形成するステップと、
前記光発生構造上にわたる正孔供給層を形成するステップと
を含む、窒化物系発光ヘテロ構造の発生方法。
【請求項1】
電子供給層と、
正孔供給層と、
前記電子供給層と前記正孔供給層との間に配置された光発生構造と
を備え、前記光発生構造が、
各々が傾斜組成を含むバリア層のセットと、
各々が前記バリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットと
を含む、窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項2】
前記量子井戸の各々の厚みが、該各量子井戸の電子基底状態が、分極効果のセットによって生じるエネルギーのバンド曲がり範囲より高くなるような厚みである、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項3】
前記量子井戸の各々の厚みが、該各量子井戸の電子基底状態が、対応する該各量子井戸の伝導バンドの底より高いエネルギーになるような厚みである、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項4】
前記バリア層の各々が、AlGaNまたはAlGaInNの組成の1つを含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項5】
前記光発生構造と前記正孔供給層との間に配置された電子阻止層をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項6】
前記電子阻止層が、正孔供給層組成から電子阻止層組成へ遷移する傾斜組成を含む、請求項5に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項7】
前記正孔供給層が、正孔供給層組成から前記光発生構造により近い電子阻止層組成へ遷移する傾斜組成を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項8】
基板と、
前記基板上のバッファ層と、
前記バッファ層上にわたるストレインリリーフ構造と
をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項9】
前記電子供給層が、n型のコンタクト層を含み、前記正孔供給層が、p型のコンタクト層を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項10】
前記電子供給層に隣接した少なくとも1つのバリア層をさらに備え、前記少なくとも1つのバリア層が、前記光発生構造に入る電子が、極性光学フォノンのエネルギーとほぼ同じエネルギーを有するバンド構造プロファイルを生じる傾斜組成を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項11】
前記正孔供給層に隣接した少なくとも1つのバリア層をさらに備え、前記少なくとも1つのバリア層が、前記光発生構造に入る正孔が、極性光学フォノンのエネルギーとほぼ同じエネルギーを有するバンド構造プロファイルを生じる傾斜組成を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項12】
前記正孔供給層が、ドープされた短周期超格子を含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項13】
前記光発生構造と前記正孔供給層との間に配置されたp型の層をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項14】
前記光発生構造上にわたって配置された分布ブラッグ反射器(DBR)構造をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項15】
前記DBR構造が、ドープされたp型組成を含む、請求項14に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項16】
前記正孔供給層上にわたって配置された陽極酸化アルミニウム層をさらに含む、請求項1に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項17】
前記正孔供給層および前記陽極酸化アルミニウム層が、光結晶を形成する複数の正孔を含む、請求項16に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項18】
前記正孔供給層が、正孔のセットを含み、前記正孔の各々が、陽極酸化アルミニウム層にある正孔に整列される、請求項16に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項19】
前記正孔のセットの少なくとも1つが、p型層の組成とは異なる屈折率を有する材料を含む、請求項18に記載の窒化物系発光ヘテロ構造。
【請求項20】
基板と、
前記基板上のバッファ層と、
前記バッファ層上にわたるストレインリリーフ構造と、
前記ストレインリリーフ構造上にわたる電子供給層と、
正孔供給層と、
前記電子供給層と前記正孔供給層との間に配置された光発生構造と
を備え、前記光発生構造が、
各々が傾斜組成を含むバリア層のセットと、
各々が前記バリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットと
を含む、窒化物系発光デバイス。
【請求項21】
発光ダイオードまたはレーザの1つとして動作するように構成された、請求項20に記載の窒化物系発光デバイス。
【請求項22】
基板を獲得するステップと、
前記基板上にわたる電子供給層を形成するステップと、
各々が傾斜組成を含むバリア層のセットを形成する工程と、各々が前記バリア層と隣接し、非輻射再結合の原因である少なくとも1つの欠陥の特性半径より小さい厚みを有する量子井戸のセットを形成する工程とを含む、前記電子供給層上にわたって光発生構造を形成するステップと、
前記光発生構造上にわたる正孔供給層を形成するステップと
を含む、窒化物系発光ヘテロ構造の発生方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2008−523623(P2008−523623A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545543(P2007−545543)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/043866
【国際公開番号】WO2006/062880
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507186469)センサー エレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/043866
【国際公開番号】WO2006/062880
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507186469)センサー エレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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