説明

窒素化合物

【課題】新規なエンドセリンレセプターアンタゴニストを提供する。
【解決手段】下式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩。


〔式中、R1 は (1〜6C) アルキル、 (2〜6C) アルケニル、 (2〜6C)
アルキニル、 (1〜6C) アルコキシ又は (1〜6C) アルキルチオから選ばれ
、R2 及びR3 はそれぞれ場合により存在し、m及びnはそれぞれ0、1又は2
であり、Hetは置換又は無置換のピラジン環である。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドセリン (endothelin) レセプターアンタゴニスト活性を有する新規な窒素化合物、より特定的には、新規なN−複素環スルホンアミド類、及び薬学的に許容できるそれらの塩に関する。これら化合物は、薬学の、診断の及び関連する研究における探究用ツールに、又は高血圧、肺高血圧、心臓若しくは大脳の循環器系疾患及び腎疾患を含むがこれらに限定されない温血動物 (ヒトを含む) における疾患又は医学的状態であって高いか又は異常なエンドセリンのレベルが有意な原因的役割を果たす疾患又は医学的状態の治療におけるような、かかるアンタゴニスト活性が望まれるときはいつでも価値がある。本発明は、前記疾患又は医学的状態の治療に使用するためのこれら新規化合物 (及びそれらの塩) の医薬組成物、及びこれら新規化合物の製造方法にも関する。本発明は、更に、1又は2以上の前記疾患又は医学的状態の治療におけるこれら新規化合物の使用に関する。1又は2以上の前記疾患又は医学的状態を前記化合物を用いて治療する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
エンドセリン類は、3種の同型、つまりエンドセリン−1、エンドセリン−2及びエンドセリン−3を含む内因性21アミノ酸ペプチドのファミリーである。エンドセリン類は、推定上のエンドセリン転換酵素によりそれらの対応するプロエンドセリン類のTrp21−Val22結合の開裂により形成される。エンドセリン類は、既知の血管収縮薬の中で最も強力なもので作用が長期間維持される特性を有している。それらは、細胞増殖及び有糸分裂誘発、溢血及び走化性を含む広範囲の他の活性を示し、そして他の多くの血管作用薬と相互作用もする。それらは心臓への直接作用も有する。かくして、エンドセリン類の生物学的プロフィールは、心臓循環器系における病態生理学的役割と一致している。エンドセリン類は、気道、胃腸管、生殖系、腎臓、肝臓、中枢神経系、神経内分泌系及び血液を含む他の生理系への作用も有している。
【0003】
エンドセリン類は、血管内皮、血管平滑筋、腎臓、肝臓、子宮、気道、精巣及び白血球を含む組織及び細胞供給源のある領域から放出される。放出は、低酸素、ずれ応力、肉体の負傷及び広範囲のホルモン及びサイトカインにより刺激されることができる。高エンドセリンレベルが、高血圧、肺高血圧、子癇前症、うっ血性心不全、心筋梗塞、狭心症、急性及び慢性腎不全、虚血性発作、クモ膜下出血、アテローム硬化症、高コレステロール血症、心原性及び内毒素性ショック、糖尿病、レイノー病、強皮症、全身性硬化症、バージャー病、リウマチ様動脈炎、喘息、急性呼吸不全、肝硬変、クローン病、潰瘍性大腸炎、一定の癌及び手術後を含むヒトにおける多くの疾患状態において見出されている。
【0004】
ヨーロッパ特許出願の第558258及び第569193号公報及び国際出願の第WO94/27979号公報は一定のN− (イソゾキソリル) スルホンアミド類を記載しており、ヨーロッパ特許出願の第640596号公報は一定のN− (ピリダジニル) スルホンアミド類を記載している。これらはエンドセリンレセプターアンタゴニストとして言及されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幾つかのエンドセリンレセプターアンタゴニストが知られているが、依然として別のアンタゴニストの必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、部分的には、この必要性に及び一定のN−複素環スルホンアミド類によるエンドセリンレセプターの意外な拮抗作用の発見に基づいている。
【0007】
本発明の1つの側面によれば、式I (ローマ数字が付与されている他の化学式と一緒に本明細書の後の部分に記載されている) の化合物又は薬学的に許容できるその塩が提供される。この式において、
1 は、 (1〜6C) アルキル、 (2〜6C) アルケニル、 (2〜6C) アルキニル、 (1〜6C) アルコキシ又は (1〜6C) アルキルチオであって、これら5種の基のそれぞれが、カルボキシ、 (1〜6C) アルコキシカルボニル、カルバモイル、N− (1〜6C) アルキルカルバモイル及びN,N−ジ (1〜6C) アルキルカルバモイルから選ばれる置換基を有する基であり;
2 は場合により存在する置換基であって、ハロゲノ、 (1〜6C) アルキル、 (1〜6C) アルコキシ、カルボキシ、 (1〜6C) アルコキシカルボニル、カルバモイル、N− (1〜6C) アルキルカルバモイル、N,N−ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル、シアノ、アミノ、N− (1〜6C) アルキルアミノ及びN,N−ジ (1〜6C) アルキルアミノから選ばれ;
3 は場合により存在する置換基であって、 (1〜6C) アルキル、アミノ (1〜6C) アルキル、ヒドロキシ (1〜6C) アルキル、N−[(1〜4C) アルキル] アミノ (1〜6C) アルキル、N,N− [ジ (1〜4C) アルキル] アミノ (1〜6C) アルキル、カルボキシ (1〜6C) アルキル、 (1〜6C) アルコキシカルボニル (1〜6C) アルキル、カルバモイル (1〜6C) アルキル、 (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルキル、ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルキル、カルボキシ (1〜6C) アルコキシ、カルボキシ (1〜6C) アルキルチオ、 (1〜6C) アルコキシカルボニル (1〜6C) アルコキシ、 (1〜6C) アルコキシカルボニル (1〜6C) アルキルチオ、カルバモイル (1〜6C) アルコキシ、 (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルコキシ、ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C)アルコキシ、カルバモイル (1〜6C) アルキルチオ、 (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルキルチオ、ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルキルチオ、 (2〜6C) アルケニル、カルボキシ (2〜6C) アルケニル、 (2〜6C) アルキニル、カルボキシ (2〜6C) アルキニル、 (1〜6C) アルコキシカルボニル (2〜6C) アルケニル、カルバモイル (2〜6C) アルケニル、N− (1〜6C) アルキルカルバモイル (2〜6C) アルケニル、N,N−ジ (1〜6C) アルキルカルボニル (2〜6C) アルケニル、 (1〜6C) アルコキシカルボニル (2〜6C) アルキニル、カルバモイル (2〜6C) アルキニル、N− (1〜6C) アルキルカルバモイル (2〜6C) アルキニル、N,N−ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (2〜6C) アルキニル、ハロゲノ (2〜6C) アルキル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、 (1〜6C) アルコキシ、ジハロゲノ (1〜6C) アルコキシ、トリハロゲノ (1〜6C) アルコキシ、 (2〜6C) アルケニルオキシ、 (1〜4C) アルコキシ (1〜6C) アルキル、 (1〜4C) アルキルチオ (1〜6C)アルキル、 (1〜4C) アルキルスルフィニル (1〜6C) アルキル、 (1〜4C) アルキルスルホニル (1〜6C) アルキル、 (1〜4C) アルキレンジオキシ、 (3〜6C) シクロアルキル、 (3〜8C) シクロアルキル (1〜6C) アルキル、フェニル、フェニル (1〜6C) アルキル、フェノキシ、フェニル (1〜6C) アルコキシ、ハロゲノ、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、カルボキシ、 (1〜6C) アルコキシカルボニル、 (2〜6C) アルケニルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、フェニル (1〜6C) アルコキシカルボニル、 (1〜6C) アルカノイル、ベンゾイル、 (1〜6C) アルキルチオ、 (1〜6C) アルキルスルフィニル、 (1〜6C) アルキルスルホニル、フェニルチオ、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、 (1〜6C) アルカノイルアミノ、トリフルオロアセチル、トリフルオロアセトアミド、N− [ (1〜4C) アルキル] トリフルオロアセトアミド、ベンズアミド、N− [ (1〜4C)アルキル] ベンズアミド、カルバモイル、 (1〜4C) アルキルカルバモイル、ジ (1〜4C) アルキルカルバモイル、フェニルカルバモイル、スルファモイル、N− (1〜4C) アルキルスルファモイル、N,N−ジ (1〜4C) アルキルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル、 (1〜6C) アルカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ウレイド、3− (1〜6C) アルキルウレイド、3−フェニルウレイド、チオウレイド、3− (1〜6C) アルキルチオウレイド、3−フェニルチオウレイド及び−NRyRz基{Ry及びRzは水素、 (1〜6C) アルキル、フェニル (1〜4C) アルキル、及びカルボキシを有する (1〜6C) アルキル、 (1〜6C) アルコキシカルボニル、カルバモイル、 (1〜6C) アルキルカルバモイル又はジ (1〜6C) アルキルカルバモイル基から独立に選ばれるか、又は−NRyRz基は一緒になって1−ピロリジニル、2−オキソ−1−ピロリジニル、1−ピペリジニル又は2−オキソ−1−ピペリジニル環を完成する}から選ばれ;
Hetは、後に記載する部分構造式IIa、IIb、IIc、IId及びIIeのグループから選ばれる複素環であって、Ra、Rc及びReは水素、ハロゲノ、 (1〜4C) アルキル、 (1〜4C) アルコキシ及びトリフルオロメトキシから個別に選ばれ;Rbは水素、ハロゲノ、 (1〜4C) アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル及びエチニルから選ばれ;Rd及びRfはハロゲノ、 (1〜4C) アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル及びエチニルから個別に選ばれ;Rgはメチル及びブロモから選ばれ;Rhはメトキシ又はエトキシであり;
mは、0、1、2又は3であり;
nは、0、1、2又は3であり;そして
3 のいずれの前記フェニル又はベンゼン部分も、置換されていなくても、 (1〜4C) アルキル、 (1〜4C) アルコキシ、ハロゲノ、シアノ及びトリフルオロメチルから独立に選ばれる1又は2の置換基を有していてもよい。
【0008】
置換基の性質に依っては、一定の式Iの化合物が1又は2以上のキラル中心を有し得ること及び1又は2以上のラセミ体又は光学活性体で単離され得ることが分かるであろう。本発明が、前述の有用な薬学的特性を有するそのような式Iの化合物のあらゆる形態に関することが理解されるべきであり、例えば、適当なキラルな中間体からの合成又は分割による光学活性体の作り方及び、例えば、後に記載する試験を用いることによるそれらの薬学的特性の確認の仕方は、周知である。
【0009】
式Iの化合物が多形現象を示し得ること、式Iの化合物が溶媒和物を形成し得ること及び式Iの化合物が1を越える互変異性体で存在し得ることも分かるであろう。本発明が、エンドセリンレセプターアンタゴニスト活性を有するあらゆる多形現象体、あらゆる互変異性体又はあらゆる溶媒和物、又はそれらのあらゆる混合物にも関することが理解されるべきである。
【0010】
更に、式Iの化合物を式Iの親化合物に in vivo で (例えば、加水分解、酸化分解又は酵素分解により) 転換できるように化学的に修飾できることが分かるであろう。かかる化学修飾化合物は広くプロドラッグと言われており、例えば、カルボン酸基を有する親化合物の代謝的に不安定なエステル又はアミド誘導体 (又はヒドロキシ基を有する親化合物の代謝的に不安定なエステル) であってもよい。本発明は、式Iの化合物の代謝的に不安定なエステル又はアミド誘導体を含むそのようなあらゆるプロドラッグにも関することが理解されるべきである。
【0011】
更に、“アルキル”、“アルケニル”、“アルキニル”、“アルコキシ”、“アルキルチオ”及び“アルコキシカルボニル”の如き一般用語は、それらの炭素数が許す場合には直鎖及び分枝鎖のいずれをも包含することが理解されるべきである。
【0012】
しかしながら“プロピル”の如き特定の基の場合は、それは直鎖に限定され、“イソプロピル”の如き分枝鎖が意図されているときは個別的に指定される。同様な取り決めが他の基にも適用される。
【0013】
更に、1を越える置換基R2 又はR3 が存在する化合物 (即ち、m又はnが2又は3の場合) では、各々のR2 又はR3の意義は同じでも異なってもよいことが理解されるべきである。
【0014】
1 、R2 及びR3 についての特定的な意義には、例として、 (1〜6C) アルキルについては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及び sec−ブチルの如き (1〜4C) アルキル;アミノ (1〜6C) アルキルについては、アミノメチル及び2−アミノエチルの如きアミノ (1〜4C) アルキル;ヒドロキシ (1〜6C) アルキルについては、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル及び2−ヒドロキシエチルの如きヒドロキシ (1〜4C) アルキル;N−[(1〜4C) アルキル] アミノ (1〜6C) アルキルについては、メチルアミノメチル及び2− (メチルアミノ) エチルの如きN−[(1〜2C) アルキル] アミノ (1〜4C) アルキル;N,N− [ジ (1〜4C) アルキル] アミノ (1〜6C) アルキルについては、ジメチルアミノメチル及び2− (ジメチルアミノ) エチルの如きN,N− [ジ (1〜2C) アルキル] アミノ (1〜4C) アルキル;カルボキシ (1〜6C) アルキルについては、カルボキシメチル、1−カルボキシエチル、2−カルボキシエチル及び2−カルボキシプロピルの如きカルボキシ (1〜4C) アルキル; (1〜6C) アルコキシカルボニル (1〜6C) アルキルについては、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、1− (メトキシカルボニル) エチル、2− (メトキシカルボニル) エチル、1− (エトキシカルボニル) エチル、2− (エトキシカルボニル) エチル、2− (メトキシカルボニル) プロピル及び2− (エトキシカルボニル) プロピルの如き (1〜4C) アルコキシカルボニル (1〜4C) アルキル;カルボキシ (1〜6C) アルコキシについては、カルボキシメトキシ、1−カルボキシエトキシ、2−カルボキシエトキ
シ及び2−カルボキシプロポキシの如きカルボキシ (1〜4C) アルコキシ;カルボキシ (1〜6C) アルキルチオについては、カルボキシメチルチオ、1−カルボキシエチルチオ、2−カルボキシエチルチオ及び2−カルボキシプロピルチオの如きカルボキシ (1〜4C) アルキルチオ; (1〜6C) アルコキシカルボニル (1〜6C) アルコキシについては、メトキシカルボニルメトキシ、エトキシカルボニルメトキシ、1− (メトキシカルボニル) エトキシ、1− (エトキシカルボニル) エトキシ、2− (メトキシカルボニル) エトキシ、2− (エトキシカルボニル) エトキシ、2− (メトキシカルボニル) プロポキシ及び2− (エトキシカルボニル) プロポキシの如き (1〜4C) アルコキシカルボニル (1〜4C) アルコキシ; (1〜6C) アルコキシカルボニル (1〜6C) アルキルチオについては、 (メトキシカルボニル) メチルチオ、エトキシカルボニルメチルチオ、1− (メトキシカルボニル) エチルチオ、1− (エトキシカルボニル) エチルチオ、2− (メトキシカルボニル) エチルチオ、2− (エトキシカルボニル)エチルチオ、2− (メトキシカルボニル) プロピルチオ、及び2− (エトキシカルボニル) プロピルチオの如き (1〜4C) アルコキシカルボニル (1〜4C)アルキルチオ; (2〜6C) アルケニルについては、ビニル、アリル、1−プロペニル及び2−ブテニルの如き (2〜4C) アルケニル;カルバモイル (1〜6C) アルキルについては、カルバモイルメチル、1−カルバモイルエチル、2−カルバモイルエチル及び2−カルバモイルプロピルの如きカルバモイル (1〜4C) アルキル; (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルキルについては、 (N−メチルカルバモイル) メチル、 (N−エチルカルバモイル) メチル、1− (N−メチルカルバモイル) エチル、2− (N−メチルカルバモイル) エチル、1− (N−エチルカルバモイル) エチル、2− (N−エチルカルバモイル) エチル、2− (N−メチルカルバモイル) プロピル及び2− (N−エチルカルバモイル) プロピルの如き (1〜4C) アルキルカルバモイル (1〜4C) アルキル;ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルキルについては、 (N,N−ジメチルカルバモイル) メチル、 (N,N−ジエチルカルバモイル)メチル、1− (N,N−ジメチルカルバモイル) エチル、2− (N,N−ジメチルカルバモイル) エチル、1− (N,N−ジエチルカルバモイル) エチル、2− (N,N−ジエチルカルバモイル) エチル、2− (N,N−ジメチルカルバモイル) プロピル及び2− (N,N−ジエチルカルバモイル) プロピルの如きジ (1〜4C) アルキルカルバモイル (1〜4C) アルキル;カルバモイル (1〜6C) アルコキシについては、カルバモイルメトキシ、1−カルバモイルエトキシ、2−カルバモイルエトキシ及び2−カルバモイルプロポキシの如きカルバモイル (1〜4C) アルコキシ; (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルコキシについては、 (N−メチルカルバモイル) メトキシ、 (N−エチルカルバモイル) メトキシ、1− (N−メチルカルバモイル) エトキシ、2− (N−メチルカルバモイル) エトキシ、1− (N−エチルカルバモイル) エトキシ、2− (N−エチルカルバモイル) エトキシ、2− (N−メチルカルバモイル) プロポキシ及び2− (N−エチルカルバモイル) プロポキシの如き (1〜4C) アルキルカルバモイル (1〜4C) アルコキシ;ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルコキシについては、 (N,N−ジメチルカルバモイル) メトキシ、 (N,N−ジエチルカルバモイル) メトキシ、1− (N,N−ジメチルカルバモイル) エトキシ、2− (N,N−ジメチルカルバモイル) エトキシ、1− (N,N−ジエチルカルバモイル) エトキシ、2− (N,N−ジエチルカルバモイル) エトキシ、2− (N,N−ジメチルカルバモイル) プロポキシ及び2− (N,N−ジエチルカルバモイル) プロポキシの如きジ (1〜4C) アルキルカルバモイル (1〜4C) アルコキシ;カルバモイル (1〜6C) アルキルチオについては、カルバモイルメチルチオ、1−カルバモイルエチルチオ、2−カルバモイルエチルチオ及び2−カルバモイルプロピルチオの如きカルバモイル (1〜4C)アルキルチオ; (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルキルチオについては、 (N−メチルカルバモイル) メチルチオ、 (N−エチルカルバモイル) メチルチオ、1− (N−メチルカルバモイル) エチルチオ、2− (N−メチルカルバモイル) エチルチオ、1− (N−エチルカルバモイル) エチルチオ、2− (N−エチルカルバモイル) エチルチオ、2− (N−メチルカルバモイル) プロピルチオ及び2− (N−エチルカルバモイル) プロピルチオの如き (1〜4C)アルキルカルバモイル (1〜4C) アルキルチオ;ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (1〜6C) アルキルチオについては、 (N,N−ジメチルカルバモイル) メチルチオ、 (N,N−ジエチルカルバモイル) メチルチオ、1− (N,N−ジメチルカルバモイル) エチルチオ、2− (N,N−ジメチルカルバモイル)エチルチオ、1− (N,N−ジエチルカルバモイル) エチルチオ、2− (N,N−ジエチルカルバモイル) エチルチオ、2− (N,N−ジメチルカルバモイル)プロピルチオ及び2− (N,N−ジエチルカルバモイル) プロピルチオの如きジ (1〜4C) アルキルカルバモイル (1〜4C) アルキルチオ;カルボキシ (2〜6C) アルケニルについては、2−カルボキシエテニル、3−カルボキシ−1−プロペニル及び4−カルボキシ−2−ブテニルの如きカルボキシ (2〜4C)アルケニル;カルボキシ (2〜6C) アルキニルについては、カルボキシエチニル、3−カルボキシ−1−プロピニル及び4−カルボキシ−2−ブチニルの如きカルボキシ (2〜4C) アルキニル; (2〜6C) アルキニルについては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル及び1−ブチニルの如き (2〜4C) アルキニル; (1〜6C) アルコキシカルボニル (2〜6C) アルケニルについては、2−メトキシカルボニルエテニル、2−エトキシカルボニルエテニル、3−メトキシカルボニル−1−プロペニル、3−エトキシカルボニル−1−プロペニル、4−メトキシカルボニル−2−ブテニル及び4−エトキシカルボニル−2−ブテニルの如き (1〜4C) アルコキシカルボニル (2〜4C) アルケニル;カルバモイル (2〜6C) アルケニルについては、2−カルバモイルエテニル、3−カルバモイル−1−プロペニル及び4−カルバモイル−2−ブテニルの如きカルバモイル (2〜4C) アルケニル;N− (1〜6C) アルキルカルバモイル (2〜6C) アルケニルについては、2− (N−メチルカルバモイル) エテニル、2− (N−エチルカルバモイル) エテニル、3− (N−メチルカルバモイル) −1−プロペニル、3− (N−エチルカルバモイル) −1−プロペニル、4− (N−メチルカルバモイル) −2−ブテニル及び4− (N−エチルカルバモイル) −2−ブテニルの如きN− (1〜4C) アルキルカルバモイル (2〜4C) アルケニル;N,N−ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (2〜6C) アルケニルについては、2− (N,N−ジメチルカルバモイル) エテニル、2− (N,N−ジエチルカルバモイル) エテニル、3− (N,N−ジメチルカルバモイル) −1−プロペニル、3− (N,N−ジエチルカルバモイル) −2−ブテニル、4− (N,N−ジメチルカルバモイル) −2−ブテニル及び4− (N,N−ジエチルカルバモイル) −2−ブテニルの如きN,N−ジ (1〜4C) アルキルカルバモイル (2〜4C) アルケニル; (1〜6C) アルコキシカルボニル (2〜6C) アルキニルについては、メトキシカルボニルエチニル、エトキシカルボニルエチニル、3−メトキシカルボニル−1−プロピニル、3−エトキシカルボニル−1−プロピニル、4−メトキシカルボニル−2−ブチニル及び4−エトキシカルボニル−2−ブチニルの如き (1〜4C) アルコキシカルボニル (2〜4C) アルキニル;カルバモイル (2〜6C) アルキニルについては、カルバモイルエチニル、3−カルバモイル−1−プロピニル及び4−カルバモイル−2−ブチニルの如きカルバモイル (2〜4C) アルキニル;N− (1〜6C) アルキルカルバモイル (2〜6C) アルキニルについては、N−メチルカルバモイルエチニル、N−エチルカルバモイルエチニル、3− (N−メチルカルバモイル) −1−プロピニル、3− (N−エチルカルバモイル) −1−プロピニル、4− (N−メチルカルバモイル) −2−ブチニル及び4− (N−エチルカルバモイル) −2−ブチニルの如きN− (1〜4C) アルキルカルバモイル (2〜4C) アルキニル;N,N−ジ (1〜6C) アルキルカルバモイル (2〜6C) アルキニルについては、N,N−ジメチルカルバモイルエチニル、N,N−ジエチルカルバモイルエチニル、3− (N,N−ジメチルカルバモイル) −1−プロピニル、3− (N,N−ジエチルカルバモイル) −1−プロピニル、4− (N,N−ジメチルカルバモイル)−2−ブチニル及び4− (N,N−ジエチルカルバモイル) −2−ブチニルの如きN,N−ジ (1〜4C) アルキルカルバモイル (2〜4C) アルキニル;ハロゲノ (2〜6C) アルキルについては、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−フルオロエチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフ
ルオロエチル及びペンタフルオロエチルの如きハロゲノ (2〜4C) アルキル; (1〜6C) アルコキシについては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びブトキシの如き (1〜4C) アルコキシ;ジ又はトリハロゲノ (1〜6C) アルコキシについては、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、3,3,3−トリフルオロプロポキシ及びペンタフルオロエトキシの如きジ又はトリハロゲノ (1〜4C) アルコキシ;ジ又はトリハロゲノ (1〜3C) アルコキシについては、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及び2,2,2−トリフルオロエトキシ; (2〜6C) アルケニルオキシについては、ビニルオキシ、アリルオキシ、1−プロペニルオキシ及び2−ブテニルオキシの如き (2〜4C) アルケニルオキシ; (1〜4C) アルコキシ (1〜6C) アルキルについては、メトキシメチル、エトキシメチル、1−メトキシエチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル及び3−メトキシプロピルの如き (1〜2C) アルコキシ (1〜4C) アルキル; (1〜4C)アルキルチオ (1〜6C) アルキルについては、メチルチオメチル、1−メチルチオエチル、2−メチルチオエチル、2−メチルチオ−2−プロピル、エチルチオメチル、1−エチルチオエチル、2−エチルチオエチル及び2−エチルチオ−2−プロピルの如き (1〜2C) アルキルチオ (1〜4C) アルキル; (1〜4C) アルキルスルフィニル (1〜6C) アルキルについては、メチルスルフィニルメチル、1−メチルスルフィニルエチル、2− (メチルスルフィニル) エチル、2− (メチルスルフィニル) −2−プロピル、エチルスルフィニルメチル、1− (エチルスルフィニル) エチル、2− (エチルスルフィニル) エチル及び2− (エチルスルフィニル) −2−プロピルの如き (1〜2C) アルキルスルフィニル (1〜4C) アルキル; (1〜4C) アルキルスルホニル (1〜6C) アルキルについては、メチルスルホニルメチル、1− (メチルスルホニル) エチル、2− (メチルスルホニル) エチル、2− (メチルスルホニル) −2−プロピル、エチルスルホニルメチル、1− (エチルスルホニル) エチル、2− (エチルスルホニル) エチル及び2− (エチルスルホニル) −2−プロピルの如き (1〜2C)アルキルスルホニル (1〜4C) アルキル; (1〜4C) アルキレンジオキシについては、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ及びイソプロピリデンジオキシ; (3〜6C) シクロアルキルについては、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチル; (3〜8C) シクロアルキル (1〜6C) アルキルについては、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル及びシクロペンチルメチルの如き (3〜5C) シクロアルキル (1〜2C) アルキル;フェニル (1〜6C) アルキルについては、ベンジル、1−フェニルエチル及び2−フェニルエチルの如きフェニル (1〜4C) アルキル;フェニル (1〜6C)アルコキシについては、ベンジルオキシ、1−フェニルエトキシ、2−フェニルエトキシ、2−フェニルプロポキシ及び3−フェニルプロポキシの如きフェニル (1〜4C) アルコキシ;フェニル (1〜3C) アルコキシについては、ベンジルオキシ、1−フェニルエトキシ及び2−フェニルエトキシ;ハロゲノについては、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード; (1〜6C) アルコキシカルボニルについては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル及びプロポキシカルボニルの如き (1〜4C) アルコキシカルボニル; (2〜6C) アルケニルオキシカルボニルについては、アリルオキシカルボニル、2−メチル−2−プロペニルオキシカルボニル及び3−メチル−3−ブテニルオキシカルボニル;フェニル (1〜6C) アルコキシカルボニルについては、ベンジルオキシカルボニル、1−フェニルエトキシカルボニル及び2−フェニルエトキシカルボニルの如きフェニル (1〜4C) アルコキシカルボニル; (1〜6C) アルカノイルについては、ホルミル、アセチル及びプロピオニルの如き (1〜4C) アルカノイル; (1〜6C) アルキルチオについては、メチルチオ及びエチルチオの如き (1〜4C) アルキルチオ; (1〜6C) アルキルスルフィニルについては、メチルスルフィニ
ル及びエチルスルフィニルの如き (1〜4C) アルキルスルフィニル; (1〜6C) アルキルスルホニルについては、メチルスルホニル及びエチルスルホニルの如き (1〜4C) アルキルスルホニル; (1〜6C) アルカノイルアミノについては、ホルムアミド、アセトアミド及びプロピオンアミドの如き (1〜4C) アルカノイルアミノ;N− [ (1〜4C) アルキル] トリフルオロアセトアミドについては、N−メチルトリフルオロアセトアミド及びN−エチルトリフルオロアセトアミド;N− [ (1〜4C) アルキル] ベンズアミドについては、N−メチルベンズアミド及びN−エチルベンズアミド; (1〜4C) アルキルカルバモイルについては、N−メチルカルバモイル及びN−エチルカルバモイル;ジ (1〜4C) アルキルカルバモイルについては、N,N−ジメチルカルバモイル及びN,N−ジエチルカルバモイル;N− (1〜4C) アルキルスルファモイルについては、N−メチルスルファモイル及びN−エチルスルファモイル;N,N−ジ (1〜4C) アルキルスルファモイルについては、N,N−ジメチルスルファモイル及びN,N−ジエチルスルファモイル; (1〜6C) アルカンスルホンアミドについては、メタンスルホンアミド及びエタンスルホンアミドの如き (1〜4C) アルカンスルホンアミド;3− (1〜6C) アルキルウレイドについては、3−メチルウレイド、3−エチルウレイド及び3−プロピルウレイドの如き3− (1〜4C) アルキルウレイド;及び3− (1〜6C) アルキルチオウレイドについては、3−メチルチオウレイド、3−エチルチオウレイド及び3−プロピルチオウレイドの如き3− (1〜4C) アルキルチオウレイドが含まれる。
【0015】
カルボキシ置換基を有する (1〜6C) アルキルの如き用語がカルボキシ (1〜6C) アルキルと同じであることが分かるであろう。
【0016】
Ry及びRzについての特定的な意義には、例として、 (1〜6C) アルキルについては、メチル、エチル及びプロピルの如き (1〜4C) アルキル;カルボキシを有する (1〜6C) アルキル、 (1〜6C) アルコキシカルボニル、カルバモイル、 (1〜6C) アルキルカルバモイル又はジ (1〜6C) アルキルカルバモイル基については、カルボキシメチル、1− (カルボキシ) エチル、2− (カルボキシ) エチル、2− (カルボキシ) プロピル、メトキシカルボニルメチル、1− (メトキシカルボニル) エチル、2− (メトキシカルボニル) エチル、1− (エトキシカルボニル) エチル、2− (エトキシカルボニル) エチル、2− (メトキシカルボニル) プロピル、2− (エトキシカルボニル) プロピル、カルバモイルメチル、1−カルバモイルエチル、2−カルバモイルエチル、2−カルバモイルプロピル、 (N−メチルカルバモイル) メチル、 (N−エチルカルバモイル) メチル、1− (N−メチルカルバモイル) エチル、2− (N−メチルカルバモイル) エチル、1− (N−エチルカルバモイル) エチル、2− (N−エチルカルバモイル) エチル、2− (N−メチルカルバモイル) プロピル、2− (N−エチルカルバモイル) プロピル、 (N,N−ジメチルカルバモイル) メチル、 (N,N−ジエチルカルバモイル) メチル、1− (N,N−ジメチルカルバモイル)エチル、2− (N,N−ジメチルカルバモイル) エチル、1− (N,N−ジエチルカルバモイル) エチル、2− (N,N−ジエチルカルバモイル) エチル、2− (N,N−ジメチルカルバモイル) プロピル及び2− (N,N−ジエチルカルバモイル) プロピルの如き、カルボキシを有する (1〜4C) アルキル、 (1〜4C) アルコキシカルボニル、カルバモイル、 (1〜4C) アルキルカルバモイル又はジ (1〜4C) アルキルカルバモイル基;及びフェニル (1〜4C) アルキルについては、ベンジル、1−フェニルエチル及び2−フェニルエチルが含まれる。
【0017】
Ra、Rc及びReについての特定的な意義には、例えば、ハロゲノについては、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード; (1〜4C) アルキルについては、メチル、エチル及びプロピル;及び (1〜4C) アルコキシについては、メトキシ、エトキシ及びプロポキシが含まれる。
【0018】
置換基Rb、Rd及びRfについての特定的な意義には、例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル及びエチニルが含まれる。
【0019】
芳香環上の置換基のフェニル又はベンゼン部分上の置換基についての特定的な意義には、例として、 (1〜4C) アルキルについては、メチル及びエチル; (1〜4C) アルコキシについては、メトキシ及びエトキシ;及びハロゲノについては、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードが含まれる。
【0020】
Rb、Rd及びRfについての好ましい意義には、例えば、メチル及びハロゲノ (特にクロロ又はブロモ) が含まれる。
【0021】
Ra、Rc及びReについての好ましい意義には、例えば、メトキシが含まれる。
【0022】
1 についての意義の特定的なグループには、例えば、 (1〜6C) アルキル及び (1〜6C) アルコキシであって、これら2種の基の各々がカルボキシ、 (1〜6C) アルコキシカルボニル、カルバモイル、N− (1〜6C) アルキルカルバモイル及びN,N−ジ (1〜6C) アルキルカルバモイルから選ばれる置換基を有するものが含まれる。
【0023】
3 についての意義の特定的なグループには、例えば、 (1〜6C) アルキル、 (1〜6C) アルコキシ、 (1〜6C) アルキルチオ、 (1〜6C) アルキルスルフィニル、 (1〜6C) アルキルスルホニル、ハロゲノ、アミノ、N− (1〜4C) アルキルアミノ、N,N−ジ (1〜4C) アルキルアミノ、 (2〜6C) アルケニル、 (2〜6C) アルキニル、 (1〜6C) アルコキシ (1〜6C)アルキル、 (1〜6C) アルキルチオ (1〜6C) アルキル、ヒドロキシ (1〜6C) アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルバモイル、 (1〜4C) アルキルカルバモイル、ジ (1〜4C) アルキルカルバモイル及び (1〜6C) アルコキシカルボニルが含まれる。R3 についての意義の特定的なサブグループには、例えば、 (1〜4C) アルキル、 (1〜4C) アルコキシ、 (1〜4C) アルキルチオ、ハロゲノ、アミノ、N− (1〜4C) アルキルアミノ、N,N−ジ (1〜4C) アルキルアミノ、 (1〜4C) アルコキシ (1〜4C) アルキル、 (1〜4C) アルキルチオ (1〜4C) アルキル及び (1〜4C) アルコキシカルボニルが含まれる。
【0024】
本発明の化合物の特定的なサブグループには、例えば、m及びnが0、1又は2、より特定的にはm及びnが0又は1である化合物が含まれる。m及びnについての好ましい値は0である。
【0025】
本発明の化合物の好ましいグループには、例えば、R1 がカルボキシ (1〜4C) アルキル (2−カルボキシプロピル又は2−カルボキシ−2−メチルプロピルの如きもの) 及びカルボキシ (1〜4C) アルコキシ (カルボキシメトキシ又は1−カルボキシエトキシの如きもの) である化合物である。このグループ内では、m及びnが0である化合物が特に好ましい。R1がカルボキシ (1〜4C)アルキルであるのが特に好ましい。
【0026】
本発明の化合物の更なる独立サブグループには、例えば、
(1) Het基が部分構造式IIaを有する;
(2) Het基が部分構造式IIbを有する;
(3) Het基が部分構造式IIcを有する;
(4) Het基が部分構造式IIdを有する;そして
(5) Het基が部分構造式IIeを有する
式Iの化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩が含まれる。この際、各グループ内で、R1 、R2 、R3 、n、m及びRaからRhまでは、本明細書で定義したあらゆる意義 (特定的な及び好ましい意義を含む) を有する。
【0027】
サブグループ (1)、 (2)、 (3)、(4) 及び (5)内で、好ましい化合物のグループは、Hetが部分構造式IIaのグループで、Raが水素、ハロゲノ、 (1〜4C) アルキル又は (1〜4C) アルコキシで、Rbが水素、ハロゲノ、 (1〜4C) アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はエチニルであるグループである。特に好ましい化合物のグループには、例えば、RaがメトキシであってRbがメチル又はハロゲノである化合物が含まれる。Rbについての特に好ましい意義は、例えば、メチルである。
【0028】
特に興味のある本発明の化合物には、例えば、後の実施例に記載する具体的な化合物が含まれる。これら化合物又は薬学的に許容できるそれらの塩は、本発明の更なる特徴として提供される。
【0029】
カルボキシ基の代謝的に不安定なエステル誘導体の例は、(1〜6C) アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール;インダノール;アダマントール;ピバロイルオキシメチルの如き (1〜6C)アルカノイルオキシ (1〜4C) アルカノール;グリコールアミド; (S−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル) メチルアルコール;及び (1〜4C) アルキルオキシカルボニル (1〜4C) アルカノールの如きアルコールで形成されるエステルである。
【0030】
カルボキシ基の代謝的に不安定なアミド誘導体の例には、アンモニア、及び (1〜4C) アルキルアミン、例えば、メチルアミン;ジ (1〜4C) アルキルアミン;メトキシエチルアミンの如き (1〜4C) アルコキシ (1〜4C) アルキルアミン;ベンジルアミンの如きフェニル (1〜2C) アルキルアミンの如きアミン、及びグリシンの如きアミノ酸又はそのエステルから形成されるアミドが含まれる。
【0031】
本発明の化合物のサブグループ又は本発明の化合物の特定的な若しくは好ましいグループ又は本発明の具体的な化合物が言及されるときは、これらグループには、代謝的に不安定なエステル又はアミドの如き、前記化合物のプロドラッグが含まれることが分かるであろう。
【0032】
適する薬学的に許容できる塩には、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム又はリチウムの如きもの) 、アルカリ土類金属 (カルシウム又はマグネシウムの如きもの) との塩;アンモニウム塩;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン及びモルホリンとの塩の如き生理学的に許容できるカチオンを付与する有機塩基との塩が含まれる。加えて、十分に塩基性である化合物については、適する薬学的に許容できる塩には、ハロゲン化水素、硫酸、リン酸との、及びクエン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸の如き有機酸との薬学的に許容できる酸付加塩が含まれる。また、式Iの化合物は、両性イオン型で存在することもできる。
【0033】
式Iの化合物は、構造的に類似する化合物の製造について当該技術分野で周知の有機化学の標準的操作により得ることができる。かかる操作は、本発明の更なる特徴として提供され、そして一般的な基が特に断らない限り上で与えられたいずれかの意義を有するところの以下の操作が例として含まれる。
【0034】
(a) Pが保護基である式III の化合物を脱保護する。
【0035】
適する保護基Pには、例えば、 (1〜6C) アルコキシカルボニル基 (メトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はイソブトキシカルボニルの如きもの) 、ベンゾイルカルボニル (そのベンゾ環は場合により置換されていてもよく、例えば、ハロゲノ、 (1〜4C) アルキル又は (1〜4C) アルコキシ置換基を有していてもよい) 、2−メトキシエトキシメチル及びトリ (1〜4C) アルキルシリルエトキシメチル (2− (トリメチルシリル) エトキシメチルの如きもの) が含まれる。保護基Pは、1又は2以上の脱保護剤での処理により式III の化合物から除去することができる。脱保護剤は、Pについての特定的な意義に依存することが分かるであろう。適する脱保護剤及びそれらを使用する操作は、当該技術分野で周知である。例えば、アルコキシカルボニル基は、メタノールの如き適する溶媒中で水酸化ナトリウム又はナトリウムアルコキシド (例えば、ナトリウムメトキシド) の如き塩基性条件下で除去することができ;2−メトキシエトキシメチル基は、エタノールの如き適する溶媒中で塩酸の如き酸性条件を用いて除去することができ;そしてトリ (1〜4C) アルキルシリルエトキシメチル基は、テトラヒドロフラン中でフッ化テトラブチルアンモニウムを用いることにより、トリフルオロ酢酸を用いることにより、又はエタノールの如き適する溶媒中で塩酸の混合液を用いることにより除去することができる。
【0036】
式III の化合物は、Tがブロモ、ヨード又はトリフルオロメタンスルホニルオキシである式IVの化合物を式IVaのベンゼンボロン酸 (benzeneboronic acid) (又はその無水物又はエステル)と適する塩基の存在下及びパラジウム (0) 、パラジウム (II) 、ニッケル (0) 又はニッケル (II) 触媒の存在下でカップリングさせることにより得ることができる。
【0037】
適する触媒には、例えばテトラキス (トリフェニルホスフィン) ニッケル (0) 、塩化ビス (トリフェニルホスフィン) ニッケル (II) 、塩化ニッケル (II)、塩化ビス (トリフェニルホスフィン) パラジウム (II) 、テトラキス (トリフェニルホスフィン) パラジウム (0) 及び塩化パラジウム (II) が含まれる。
【0038】
この反応に用いるのに適する塩基は、例えば、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシドの如きアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの如きアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムの如きアルカリ金属炭酸塩、又はトリ (1〜6C) アルキルアミン、例えば、トリエチルアミンの如き有機塩基である。
【0039】
カップリングは、一般に、適する溶媒又は希釈剤、例えば、トルエン又はキシレンの如き炭化水素;ジオキサン又はテトラヒドロフランの如きエーテル;メタノール、エタノール又はブタノールの如き (1〜4C) アルコール;水;又はそれらの混合液 (例えば、トルエン、エタノール及び水の混合液) の存在下で行われる。
【0040】
この反応は、一般に、例えば、50〜150℃の温度で行われ、用いる溶媒又は溶媒混合液の還流温度又はその辺りで行うのが便利である。
【0041】
また、式IVの化合物の式IVaのベンゼンボロン酸 (又はその無水物又はエステル) とのカップリングは、水性条件下でフッ素イオンの供給源、例えばフッ化カリウムを用いてトルエンと水の混合液中で還流下で行うことができる。
【0042】
式IVの化合物は、例えば、Halがハロゲノ基 (クロロ、ブロモ又はヨードの如きもの) である式Vのハロゲン化スルホニルをPが保護基である適切に保護された式VIのアミンと例えば塩基性条件下でN,N−ジメチルホルムアミド (DMF) 中で水素化ナトリウムを用いて反応させることにより得ることができる。また、式Vのハロゲン化スルホニルを式VII のアミンと反応させて式VIIIの化合物を得てから保護をして式IVの化合物を得ることができる。保護基Pは、記載した条件下で式III の化合物を生成させることができるように選ばれる。適する保護基及びそれを用いる操作は、当該技術分野で広く知られている。式VII のアミン又は式VIIIの化合物の保護は、有機化学の標準的操作を用いて行うことができる。例えば、式VII のアミンは、アルコキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基で、対応するクロロギ酸アルキル又はクロロギ酸ベンジルとの3級アミン (例えば、ピリジン又はトリエチルアミン) の如き塩基の存在下及びジクロロメタンの如き溶媒の存在下での反応により保護することができる。式VIIIの化合物は、スルホンアミド窒素上で、2−メトキシエトキシメチル基又はトリアルキルシリルエトキシメチル基により、それぞれ塩化2−メトキシエトキシメチル又は塩化トリアルキルシリルエトキシメチルとのジイソプロピルエチルアミン又は水素化ナトリウムの如き塩基及びDMFの如き適する溶媒の存在下での反応により保護することができる。式Vのハロゲン化スルホニルは当該技術分野で知られているか、又は、例えば、それと同じようにすることにより、例えば、ヨーロッパ特許出願の第558288及び第569193号公報に記載された操作と同じようにすることにより得ることができる。式Vのハロゲン化スルホニルを得る便利な方法は、式IXの対応するアミンからの方法である。式IX及びVII のアミンは市販されているか又は当該技術分野で周知であり、複素環化学の標準的著作に記載されており、他のものは有機化学の標準的操作によりそれと同じようにして得ることができる。式IVaのベンゼンボロン酸 (又はその無水物又はエステル) も、例えば、そのような化合物を得るための有機化学の慣用的操作によるか又はそれと同じような操作、例えば、EPA558288及びEPA569193に記載された操作により得ることができる。
【0043】
(b) 式VII のアミン (又はそのアルカリ金属塩) を、Halがハロゲノ基 (例えば、クロロ、ブロモ又はヨード) である式XIのハロゲン化スルホニル又はRiが電子不足フェニル基、例えば、4−ニトロフェニルである式XIaのスルホン酸エステルと適する溶媒中で反応させる。
【0044】
式XIの化合物を用いる場合、好都合な溶媒には、例えば、ピリジンが含まれる。4−ジメチルアミノピリジン又は4−ピロリジノピリジンの如き触媒を加えてこのカップリング反応を促進させてもよい。この反応は、一般的に、例えば0〜120℃、より一般的には20〜120℃の温度で行われる。また、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はDMFの如き溶媒を、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムの如き適する無機塩基 (水溶液として存在してもよい) 又は有機塩基、例えば、ピリジン又はトリエチルアミンの如き3級アミンの存在下で用いてもよい。式VII のアミンのアルカリ金属塩を用いる場合は、これをハロゲン化スルホニルを加える前に in situで、例えば、リチウムジイソプロピルアミドの如き適する塩基を用いて例えば約−60℃の温度で、又は水素化ナトリウムを用いて例えば周囲温度で生成させてもよい。スルホンアミドを生成させるためのハロゲン化スルホニルとアミンとの反応 (及びそこで用いる溶媒のタイプ及び条件) は当該技術分野で周知である。
【0045】
式XIaの化合物を用いる場合、式XIaの化合物を加える前に、上記のようにして、例えば、溶媒としてDMFを用いて、式VII のアミンのアルカリ金属塩を in situで調製するのが好ましい。次いで、反応を好都合にも周囲温度で又はその近辺で行うことができる。式XIのハロゲン化スルホニルは、当該技術分野で周知の操作を用いて、例えば、式Vの化合物を得るのに用いられる操作と同じようにして得ることができる。
【0046】
式XIaの化合物は、式IVの化合物に代えて式Xの化合物を用いる以外は、式III の化合物の調製について上記した操作と類似の操作を用いて得ることができる。式Xの化合物は、式Vのハロゲン化スルホニルと4−ニトロフェノールの如き式RiOHの適切なフェノールとの慣用的操作を用いる反応により、例えば、ピリジン中で加熱することにより又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンの如き3級アミンの存在下で例えば20〜100℃の温度で溶媒としてDMFを用いることにより得ることができる。
【0047】
(c) Pが先に定義した保護基でありそしてXがある官能基である式XII 又は XIIaの化合物を有機化学の慣用的方法を用いて反応させてX基をR1基に変換する (保護基Pが存在するのであれば、官能基の修飾中又は修飾後に除去する)。分かるであろうが、R1 基は、式XII 及び XIIa中の可能な種々のX基の化学的変換により得ることができる。そして出発原料XII 及び XIIaは、それぞれ式I及びIII の化合物の調製について本明細書に記載されている操作と類似の操作を用いて、例えば、IVaに代えて式XIIIのベンゼンボロン酸により得ることができる。J.March (Wiley-Interscience) により編集された Advanced Organic Chemistry の如き有機化学の標準的テキストは、芳香環に結合したカルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキニル、カルボキシアルコキシ及びカルボキシアルキルチオ基 (式I及びIII の化合物に存在する基) 並びにかかる基のエステル及びアミドの調製に適する反応、及び1又は2以上のこれら方法が式I及びIII の化合物の調製に適し得ることを記載している。Xについての適する意義には、ハロアルキル (ブロモエチルの如きもの) 、ホルミル、アミノ、ハロゲノ、ヒドロキシ及びメルカプトが含まれるがこれらに限定されない。
【0048】
例えば、Xがブロモエチルである式 XIIaの化合物を、適する置換マロン酸エステルで塩基性条件下でアルキル化した後、加水分解及び脱炭酸して、R1がカルボキシアルキルである式Iの化合物を得ることができる。更なる例として、Xがヒドロキシ又はメルカプトである式 XIIaの化合物を、ハロゲノアルキルエステル (ブロモ酢酸アルキルの如きもの) で塩基性条件下でアルキル化した後、加水分解して、R1 がカルボキシアルコキシ又はカルボキシアルキルチオである式Iの化合物を得ることができる。方法 (c) の例は、後の実施例において示されている。
【0049】
式Iの化合物を慣用的な官能基相互変換により式Iの他の化合物に変換できることも分かるであろう。
【0050】
上の方法 (a) 、 (b) 又は (c) を行う前又は官能基相互変換を行う前に、上で言及した保護基Pの他に、1又は2以上の官能基を適する保護基で保護してからその保護基を除去することが好都合であるか又は必要であることが分かるであろう。適する保護基及びそれらを用いる操作、並びにそれら保護基を除去する操作は、例えば、Theodora Greene による “Protective Groups in Organic Synthesis" (John Wiley and Sons Inc., 1981)に記載されているように、当該技術分野で周知である。
【0051】
その後、式Iの化合物の薬学的に許容できる塩が必要な場合は、例えば、生理学的に許容できるカチオンを付与する適切な塩基又は生理学的に許容できるアニオンを付与する適切な酸との反応により、又は他の何らかの慣用的な塩形成操作により得ることができる。
【0052】
更に、当該技術分野で周知の方法により、式Iの化合物をプロドラッグ (例えば、代謝的に不安定なエステル又はアミド) に変換することができる。例えば、薬学的に許容できる代謝的に不安定なエステル又はアミドは、慣用的方法を用いて、カルボン酸 (又はヒドロキシ) 基を有する式Iの化合物をエステル化することにより又はそのカルボン酸基 (又はその反応性誘導体) を適切なアミンと反応させることにより生成させることができる。
【0053】
更には、式Iの化合物の光学活性体が必要な場合は、光学活性な出発原料を用いて前述の方法の1つを行ってもよい。また、式Iの化合物のラセミ体を、例えば、適する有機塩基、例えば、エフェドリン、水酸化N,N,N−トリメチル (1−フェニルエチル) アンモニウム又は1−フェニルエチルアミンの光学活性体との反応によって分割した後、そうして得られた塩のジアステレオマー混合物を慣用的に、例えば、適する溶媒、例えば、 (1〜4C) アルカノールからの分別結晶化により分離し、その後に、前記式Iの化合物の光学活性体を、慣用的な操作を用いて酸で処理することにより、例えば、希塩酸の如き無機酸水溶液を用いて遊離させてもよい。
【0054】
本明細書で定義又は例示する一定の中間体、例えば、式III 、XII 及び XIIaの化合物は新規であるので、本発明の更なる特徴として提供される。
【0055】
上述のように、式Iの化合物は、温血動物 (ヒトを含む) における、高いか又は異常なエンドセリンのレベルが有意な原因的役割を果たす疾患又は医学的状態において有益な薬学的作用を有するであろう。 (種々の疾患又は医学的状態におけるエンドセリンの関与を支持する研究への論及は、例えば、国際出願の第WO93/21219号及びWO94/02474号公報に開示されている。) かくして、本発明の化合物は、高血圧、肺高血圧、うっ血性心不全、脂肪異常 (dyslipidaemia)、アテローム硬化症、再狭窄、急性及び慢性腎不全、虚血性発作、クモ膜下出血、間欠性跛行、臨界四肢虚血、喘息、及び一般的な手術又は移植後の臓器不全の如き、疾患又は医学的状態の治療に有用であろう。それらは、子癇前症、早産、心筋梗塞、狭心症、律動異常、心原性及び内毒素性ショック、糖尿病、レイノー病、強皮症、バージャー病、全身性硬化症、気管支炎、急性呼吸窮迫症候群、肝硬変、骨粗鬆症、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、尿失禁、偏頭痛、緑内障、関節炎及び一定の癌の治療にも有用であり得る。
【0056】
本発明の化合物のエンドセリンレセプターアンタゴニスト活性は、以下の操作の1又は2以上を用いて評価することができる。
【0057】
試験A:
式Iの化合物のエンドセリンレセプターアンタゴニスト活性は、〔 125I〕−エンドセリン−1のそのレセプターへの結合を阻害するそれらの能力により、 in vitro で評価することができる。ヒトETA 又はETB レセプター (エンドセリンレセプターのサブタイプ) を標準的分子法 (例えば、Sambrook J., Fritsch E.F. & Maniatis T. (1989), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2ndEdition, Cold Spring Harbor Press, USA に記載されている) を用いることにより、マウス赤白血病細胞 (MEL細胞) 中で発現させた。ヒトETA 又はETB レセプターをコードするcDNA配列 (Hosoda K. ら (1991), FEBS Lett., 287, 23-26 及び Sakamoto A.ら (1991), Biochem. Biophys. Res. Comm., 178,656-663)を pBluescriptベクター内にサブクローン化してから、Needham ら (199
2), Nuc. Acids Res., 20, 997-1003に記載されたMEL細胞発現ベクターpEV内に挿入した。得られた発現ベクターを Sheltonら (1993), Receptors and Channels, 1, 25-37 に記載された操作を用いるエレクトロポレーションによりMEL細胞内に形質移入した。
【0058】
この組換えヒトETA 又はETB レセプターを発現するMEL細胞を、10%ウシ胎児血清 (FCS) 、1%グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び2mg/ml Gibco Geneticin (G-418)サルフェートを含むダルベッコ修飾イーグル培地 (DMEM) 内で増殖させた。1%N,N−ジメチルスルホキシドと3〜6日間インキュベートした後、それらMEL細胞を膜調製のために採取した。調製したばかりのMEL細胞ペレット (3×109 細胞) を、50mM2−アミノ−2− (ヒドロキシメチル) −1,3−プロパンジオール・塩酸塩 (トリスHCl) 、0.19Mショ糖、5μg/ml大豆トリプシンインヒビター、100μg/mlバシトラシン、1mMベンズアミジン及び1mMフェナントロリンを含有する30mlの緩衝液 (pH7.4) 中に5℃で均質化した。この均質物を1500×gで5℃で15分間遠心分離することにより、未破壊細胞及び核を沈降させた。膜ペレットを緩衝液中に再懸濁させて使用するまで液体窒素中に保存した。
【0059】
MEL細胞膜への〔 125I〕−エンドセリン−1結合を、50mMトリスHCl、1mMCaCl2 、0.05%モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、0.1%ウシ血清アルブミン (BSA) 、0.02%ナトリウムアジドを含有するインキュベーション緩衝液 (pH7.4) 中で180分間のインキュベーション後に30℃で測定した。膜懸濁液 (それぞれ1.5μg及び0.5μgタンパク質/試験管ETA 及びETB レセプターに等しい) を、試験化合物を含有するインキュベーション物及び30pM〔 125I〕−エンドセリン−1に225μlの総容量で加えた。100nM未標識エンドセリン−1の存在下で非特異的結合を測定した。インキュベーション物を50mMトリスHCl (pH7.4)で Brandel細胞採取装置上のGF/Bフィルターに通して採取することによりインキュベーションを終わらせた。フィルター盤を押し抜いてガンマカウンターで計数した。化合物をある範囲の濃度にわたって3重に試験し、IC50(又はpIC50) 値を計算した。
【0060】
総じて、上で定義した式Iの化合物は、試験Aにおいて6又はそれより多いpIC50で阻害を示す。
【0061】
試験B:
式Iの化合物のエンドセリンレセプターアンタゴニスト活性は、モルモットから取り出した結腸ひも内のエンドセリン−1への弛緩応答を阻害するそれらの能力により、取り出した組織内で in vitro で評価することができる。いずれかの性の体重>250gのモルモットを頸部脱臼により死亡させて盲腸を切除して冷たい酸素供給 Krebs溶液中に入れる。数片の結腸ひもを切り開いて約4cm長片を等張性記録のために酸素供給 Krebs溶液を含有する20mlの臓器浴中に32℃で据え付ける。90〜120分間の平衡時間が経過して組織が自発的に高い緊張状態になった後、累積濃度応答曲線 (弛緩) をエンドセリン−1 (0.3〜10nM) に対して作成する。次いで、試験化合物の存在下でのエンドセリン−1に対する第2濃度応答曲線の作成前にその組織を少なくとも90分間洗浄する。試験化合物は、エンドセリン−1に対する第2濃度応答曲線の作成前の少なくとも30分前に (20μMの初期濃度で) 臓器浴に加える。各実験についてのエンドセリン−1濃度比を対照及び薬剤処理濃度応答曲線の最も平行な部分を比較することによって出す。これからpA2を計算する:pA2 =−log〔モル薬剤濃度〕+log〔濃度比−1〕。
【0062】
試験C:
この in vivo 試験は、脊髄をつぶしたラットに静脈内投与したプロエンドセリン−1により誘発される昇圧応答に対する試験化合物のアンタゴニスト作用の測定を含む。
【0063】
雄ラット (280〜330g) をハロタンで麻酔し気管カニューレを通して人工的に呼吸させる。2mm径の針を眼窩に通し、大孔に通し、そして脊髄中に下ろすことによってラットの脊髄をつぶす。左大腿静脈及び右頸動脈を取り出してヘパリン化生理食塩水で満たした諸カテーテルをそれぞれ化合物の投与のため及び血圧測定のために移植する。加熱パッドにより体温を (直腸測定で) 38℃に維持する。55mmHg未満又は70mmHgより大きな初期ベースライン平均動脈圧を有するラットを除外する。ベースラインの読み取りをする前の約10分間は血圧を安定させる。プロエンドセリン−1の2回の初期攻撃 (0.3及び1.0nmolkg-1) を累積的様式で静脈内投与して昇圧応答を記録した。その後、55分間の回復時間を置いて、血圧がベースラインの20%以内に戻らないラットを除外する。試験化合物を1.0mlkg-1体重の用量で静脈投与して、プロエンドセリン−1の更なる攻撃を5分後に行う。昇圧応答が認められるまでプロエンドセリン−1を (0.3nmolkg-1で出発して) 増加させながら累積的に投与する。30mmHg変化レベルでの用量比シフトを計算することにより、エンドセリンレセプター拮抗作用を量的に表す。
【0064】
試験D:
この in vivo試験は、覚醒ラットに静脈内投与したプロエンドセリン−1により誘発される昇圧応答に対する試験化合物のアンタゴニスト作用の測定を含む。
【0065】
雄ラット (260〜290g) を尾静脈から投与したサファン (Saffan) で麻酔する。右頸静脈及び頸動脈を取り出してヘパリンで満たしたカテーテルを移植する。これらを頸部の背後で金属トロカールを用いて体外に出し、そして頸部切開部分をオートクリップで閉じる。回復期の間に自由に食物と水を摂れるようにしてラットを個別に収容する。その日の後の時間帯に、食物を除去して水を自由に摂れるようにラットを一晩固定する。翌日、ラットをパースペックス規制管に入れ、動脈カテーテルを抜いて平均動脈圧測定用の圧力変換器につなぐ。10分の安定化時間後、30mmHgの昇圧応答があるまでプロエンドセリン−1 (通常は0.3〜1.0nmolkg-1) を累積的に投与する。次いで、これら動物をかごに戻して2時間回復させる。この回復時間中の既知時点で試験化合物を強制的に経口投与する。次いで、経口投与後の固定時点 (通常は0.5又は1.0時間) 及び再び更なる時点 (3又は5時間) でプロエンドセリン−1に対する用量応答曲線を繰り返す。30mmHg変化レベルでの用量比シフトを計算することにより、エンドセリンレセプター拮抗作用を量的に表す。
【0066】
式Iの化合物のエンドセリンアンタゴニスト特性の実例として、実施例1の化合物は、試験Aにおいて8.3のpIC50値を示した。
【0067】
式Iの化合物は、一般的には、薬学分野では周知のように、治療又は予防の目的でかかる処置を必要とする温血動物 (ヒトを含む) に医薬組成物の形で投与される。本発明の更なる特徴によれば、上で定義した式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩を、薬学的に許容できる希釈剤又はキャリヤーと共に含む医薬組成物が提供される。かかる組成物は、都合良くは、経口投与に適する形態 (例えば、錠剤、カプセル剤、溶液剤、懸濁剤又は乳剤) 又は非経口投与に適する形態 (例えば、注射可能な水性又は油性溶液剤、又は注射可能な乳剤) である。
【0068】
式Iの化合物又は薬学的に許容できるそれらの塩を、治療又は予防の目的で、β−アドレナリン遮断薬 (例えば、アテノロール) 、カルシウムチャネル遮断薬 (例えば、ニフェジピン) 、アンギオテンシン変換酵素 (ACE) インヒビター (例えば、リシノプリル) 、利尿薬 (例えば、フロセミド又はヒドロクロロチアジド) 、エンドセリン変換酵素 (ECE) インヒビター (例えば、ホスホラミドン) 、中性エンドペプチダーゼ (NEP) インヒビター、HMGCoAレダクターゼインヒビター、酸化窒素ドナー、抗酸化薬、血管拡張薬、ドーパミンアゴニスト、神経保護薬、ステロイド、β−アゴニスト、抗凝血薬、又は血栓崩壊薬の如き、先に言及した1又は2以上の疾患又は医学的状態の処置に価値がある当該技術分野で既知の他の薬剤と一緒に投与するのも有利であると言える。かかる組み合わせ療法が本発明の更なる側面を構成することが理解されるべきである。
【0069】
一般に、式Iの化合物 (又は適切な場合には薬学的に許容できるその塩) は、例えば、50mg/kg体重まで (好ましくは10mg/kgまで) の毎日経口用量又は5mg/kg体重まで (好ましくは1mg/kgまで) の毎日非経口用量が、必要な場合には分割用量で投与される、というようにして、ヒトに投与され、投与される化合物 (又は塩) の正確な量及びルート及び投与形態は、処置されるヒトの大きさ、年齢及び性別に、特に医学分野で周知の原則に従って処置される疾患又は医学的状態に依存する。
【0070】
ヒトの治療薬でのそれら前述の用途に加えて、式Iの化合物は、イヌ、ネコ、ウマ及びウシの如き、同様の状態に冒されている商業的に価値のある温血動物の獣医的処置にも有用である。一般に、かかる処置については、式Iの化合物は、ヒトへの投与について上記したのと類似の量及び方法で投与されることになる。式Iの化合物は、新規かつ改良された治療剤の継続的探究の一部としての、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット及びマウスの如き実験動物におけるエンドセリンの作用の評価のための試験システムの開発及び標準化における薬学ツールとしての価値もある。
【0071】
以下の非限定的実施例により本発明を説明する。この際、特に断らない限り、
(i) 濃縮及び溶媒の留去は、減圧下でロータリーエバポレーターにより行った;
(ii) 操作は室温、即ち18〜26℃で行った;
(iii) クロマトグラフィー及びフラッシュカラムクロマトグラフィーは、ドイツ,ダルムシュタットの E Merckから入手される Merck Kieselgel 60 (商品番号9385) で行い、薄層クロマトグラフィー (TLC) は、Kieselgel 60 (商品番号5717) の0.2mm厚プレートで行った;
(iv) シリカゲル Mega Bond Elut カラムに言及する場合は、これは (特に断らない限り) 40ミクロン粒径の10gのシリカを含有するカラムを意味し、そのシリカは60mlの使い捨てシリンジ内に入れられそして有孔ディスクにより支持されており、米国カリフォルニア州 Harbor Cityの Varian から “Mega Bond Elut SI"の商品名で入手できるものである;
(v) 収率が示されている場合はそれは参考のために示したに過ぎず、必ずしも究めた方法により達成可能な最大のものではない;そして
(vi) 1H NMRスペクトルは、テトラメチルシラン (TMS) を内部標準として用いて、d6−ジメチルスルホキシド (d6−DMSO) 又はCDCl3中で250MHzで普通に測定したものであり、主要ピークを指定するための慣用的な略号を用いて、TMSに比較したppmでの化学シフト (δ値) として示している:s,一本線;m,多重線;t,三重線;br,幅広線;d,二重線;dd,二重線の二重;dt,三重線の二重。
【実施例】
【0072】
実施例1
メチルマロン酸エチル・カリウム塩 (87mg) を乾燥テトラヒドロフラン (THF;3ml) にアルゴン雰囲気下で加えてその懸濁液を0℃に冷やした。n−ヘキサン中のn−ブチルリチウムの1.22M溶液 (0.39ml) を10分間かけて加え、この混合液を20分間攪拌した。乾燥THF (3ml) 中に溶かした4' −ブロモメチル−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (230mg) の溶液を10分間かけて加えた。この混合液を周囲温度に到達させて攪拌を1時間継続してから50℃に30分間加熱した。溶媒を留去して、2M塩酸を加えることにより残渣をpH2の酸性にした。その水相を酢酸エチル (3×25ml) で抽出して合わせた有機抽出液を濃縮乾固した。残渣をまずイソヘキサン中の10%酢酸エチルで溶離してからイソヘキサン中の50%酢酸エチルで溶離する Mega Bond Elut カラム (5g) でのクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を含有する後の方の画分を合わせて溶媒を留去して、ガム状物 (51mg) を得た。この物質の一部 (20mg) をジフェニルエーテル (0.5ml) 中に懸濁させて20分間加熱還流した。この反応混合液をイソヘキサン (0.5ml) で希釈して Mega Bond Elut カラム (5g) にかけてイソヘキサンで溶離した。全てのジフェニルエーテルを除去した後、溶離液をエーテルに換え、生成物画分を集めて合わせた。溶媒を留去して残渣を5M水酸化ナトリウム溶液 (0.04ml) を含有するエタノール (1.5ml) 中に溶かした。この混合液を2時間加熱還流してから冷却した。2M塩酸 (0.1ml) を加えて溶媒を留去した。残渣をジエチルエーテル (10ml) で磨り潰して濾過した。濾液を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液 (3×5ml) で抽出して合わせた水性抽出液を2M HClでpH2の酸性にした。この混合液をジエチルエーテル (3×10ml) で抽出し、合わせた有機抽出液を乾燥 (MgSO4 ) し溶媒を留去して、4' − (2−カルボキシプロピル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (12.3mg) を得た; 1H NMR (d6−DMSO) :1.23 (d, 3H), 2.43 (S, 3H), 2.74-2.93 (m, 2H), 3.05-3.25 (m, 1H), 4.0 (s, 3H), 7.32 (br s, 4H), 7.44 (dd, 1H), 7.68-7.85 (m, 2H), 8.24 (dd, 1H) ;マススペクトル (正の電気噴霧法 (positive electrospray) (+veESP)):442 (M+H) +
【0073】
出発原料のメチルマロン酸エチル・カリウム塩は、次のようにして得た。
【0074】
水酸化カリウム (6.5g) を無水エタノール (60ml) に溶かしてメチルマロン酸ジエチル (20.3g) を一度に加えた。この反応混合液を周囲温度で18時間攪拌して30分間加熱還流した。溶媒を少ない容量 (〜20ml) になるまで一部留去して、ジエチルエーテル (100ml) を加えた。生成した析出物を濾過してジエチルエーテル (2×100ml) で洗浄して、メチルマロン酸エチル・カリウム塩 (15.7g) を得た; 1H NMR (d6−DMSO) :1.10-1.38 (m, 6H), 2.72 (q, 1H), 3.72-4.07 (m, 2H)。
【0075】
出発原料の4' −ブロモメチル−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミドは、次のようにして得た。
【0076】
(i) クロロホルム (20ml) 中の臭素 (0.11ml) の溶液を20分間かけて、クロロホルム (30ml) 中の2−アミノ−5−メチルピラジン (0.218g) の光保護した溶液に滴下した。滴下完了後、この反応混合液を90分間攪拌してから水 (50ml) で洗浄した。有機相を乾燥 (MgSO4 ) し揮発性物質を留去して黄色オイルを得た。このオイルをシリカゲル Mega Bond Elutカラムに通してジクロロメタンで溶離し、2−アミノ−3−ブロモ−5−メチルピラジン (0.286g) を白色固体として得た;m.p.51〜52℃;マススペクトル (正の化学イオン化法 (+veCI)):188 (M+H) +
【0077】
(ii) 2−アミノ−3−ブロモ−5−メチルピラジン (0.374g) をメタノール中のナトリウムメトキシドの調製したばかりの溶液 (メタノール (6ml) にナトリウム (0.115g) を加えることにより作ったもの) に加えた。この反応混合液を18時間加熱還流し、周囲温度まで冷却し、そして溶媒を留去した。残渣に水 (5ml) を加えてジクロロメタン (3×20ml) で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥 (MgSO4 ) して溶媒を留去した。残渣をジクロロメタンで溶離するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、2−アミノ−3−メトキシ−5−メチルピラジン (0.208g,75%) を白色結晶性固体として得た;m.p.67〜69℃;マススペクトル (+veCI) :140 (M+H) +
【0078】
(iii) 塩化2−ヨードベンゼンスルホニル (J. Org. Chem, (1977), 42, 3265に記載された通りに得たもの) (12.1g) をピリジン (100ml) 中の2−アミノ−3−メトキシ−5−メチルピラジン (5.6g) の溶液に加え、その溶液を70℃で8時間加熱した。揮発性物質を留去して残渣に水 (200ml)を加えた。その混合液を酢酸エチル (2×200ml) で抽出して、その抽出液を2M塩酸 (200ml) と水 (200ml) で洗浄した。その抽出液を乾燥 (MgSO4 ) して溶媒を留去した。残渣をエーテルで磨り潰して、2−ヨード−N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) ベンゼンスルホンアミド (7.2g) を得た;m.p.136〜138℃; 1H NMR (d6−DMSO) :2.3 (S, 3H), 3.9 (s, 3H), 7.3 (dt, 1H), 7.5-7.65 (m, 2H), 8.05-8.15 (m,2
H), 10.7-10.8 (br s, 1H) 。
【0079】
(iv) クロロギ酸イソブチルを、ジクロロメタン (30ml) 中の2−ヨード−N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) ベンゼンスルホンアミド (1.65g) 、トリエチルアミン (0.57ml) 及びピリジン (0.16ml) の攪拌溶液にアルゴン雰囲気下で滴下した。この混合液を2時間攪拌してから2M塩酸 (20ml) を加えた。有機層を分液し、水 (20ml) 及び飽和食塩水で洗浄して、乾燥 (MgSO4 ) した。揮発性物質を留去して、残渣を酢酸エチル/ヘキサン (1:4v/v) で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2−ヨード−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) ベンゼンスルホンアミド (2.0g)をガム状物として得た; 1H NMR (d6−DMSO) :0.7 (d, 2H), 1.6-1.8
(m, 1H), 2.5 (s, 3H), 3.9 (d, 2H), 4.0 (s, 3H), 7.4 (dt, 1H), 7.7 (dt,1
H), 8.15 (s, 1H), 8.2 (dd, 1H), 8.35 (dd, 1H)。
【0080】
(v) 2−ヨード−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) ベンゼンスルホンアミド (252mg) 、4−メチルベンゼンボロン酸 (68mg) 、テトラキス (トリフェニルホスフィン)パラジウム (0)(11.5mg) 、トルエン (2.5ml) 、エタノール (1.25ml) 及び2M炭酸ナトリウム溶液 (3.75ml) の混合液を激しく攪拌してアルゴン雰囲気下で2時間加熱還流した。水 (10ml) を加えてその混合液を酢酸エチル (2×10ml) で抽出した。抽出液を飽和食塩水 (25ml)で洗浄して乾燥 (MgSO4) した。揮発性物質を留去して、残渣を酢酸エチル/ヘキサン (1:4v/v) で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −4' −メチル−2−ビフェニルスルホンアミド (182mg) を得た;NMR (d6−DMSO) :0.6 (d, 6H), 1.55-1.75 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.5 (s, 3H), 3.85 (d, 2H), 3.95 (s, 3H), 7.15-7.25 (m, 4H), 7.35-7.45 (m, 1H), 7.7-7.8 (m, 2H), 8.15 (s, 1H), 8.45-8.55 (m, 1H) ;マススペクトル (正の高速原子衝撃法 (+veFAB) ,メタノール/m−ニトロベンジルアルコール (NBA)):470 (M+H) +
【0081】
(vi) アゾビス (イソブチロニトリル) (150mg) 及びN−ブロモスクシンイミド (1.68g) を、四塩化炭素 (150ml) 中のN− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −4' −メチル−2−ビフェニルスルホンアミド (4.44g) の溶液に加えた。この混合液を4時間加熱還流してから冷却して濾過した。溶媒の留去により濾液を濃縮し、残渣をイソヘキサン中の20%酢酸エチルで溶離するシリカ (150g) でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有する画分を合わせて溶媒を留去して、4' −ブロモメチル−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (3.67g) を得た; 1H NMR (d6−DMSO) :0.6 (s, 6H), 1.6-1.7 (m, 1H), 3.8 (d, 2H), 3.95 (s, 3H), 4.8 (s, 2H), 7.3-7.5 (m, 5H), 7.7-7.8 (m, 2H), 8.15 (s, 1H), 8.45-8.55 (m, 1H) ;マススペクトル (+veFAB) ,メタノール/NBA) :548 (M+H) +
【0082】
実施例2
4' −ヒドロキシ−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (0.5g)を、炭酸カリウム (0.166g) を含有するアセトン (20ml) 中のブロモ酢酸メチル (0.12ml) の溶液に加えた。この混合液を18時間攪拌してから1時間加熱還流して冷却した。溶媒を留去して残渣に水 (20ml) を加えた。次いで、この混合液を酢酸エチル (2×20ml) で抽出した。合わせた有機抽出液を2M水酸化ナトリウム溶液 (15ml) 、水 (20ml) 及び食塩水 (10ml) で続けて洗浄してから乾燥 (MgSO4 ) した。溶媒を留去して残渣をジメトキシエタン (5ml) 及びメタノール (5ml) 中に溶かした。2M水酸化ナトリウム溶液 (1ml) を加えてこの混合液を18時間攪拌して濃縮乾固した。水 (20ml) をこの残渣に加えてその混合物を酢酸エチル (2×15ml) で洗浄した。水相を2M塩酸でpH2の酸性にして酢酸エチル (3×15ml) で抽出した。合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液 (2×15ml) で抽出して合わせた水相を6M塩酸で酸性にして酢酸エチル (3×15ml)で抽出した。合わせた有機抽出液を水 (15ml) 及び食塩水 (15ml) で洗浄して乾燥 (MgSO4 ) した。溶媒を留去し、残渣をエーテルから結晶化させて、4' −カルボキシメトキシ−N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (0.123g) を固体として得た;;m.p.165〜166℃;微量分析実測値:C, 55.9 ; H, 4.5 ; N, 9.9 % ;C20H19N3O6S に必要な値:C, 55.9 ; H, 4.46 ; N, 9.78 % ; 1H NMR (d6−DMSO) :2.24 (S, 3H), 3.84 (s, 3H), 4.67 (s, 2H), 6.78-6.95 (m, 2H), 7.16 (d, 2H), 7.27 (d, 1H), 7.49-7.66 (m, 3H), 8.06 (d, 1H), 9.50 (br s, 1H) ;マススペクトル (−veESP) :428 (M−H) -
【0083】
出発原料の4' −ヒドロキシ−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミドは、次のようにして得た。
【0084】
2−ヨード−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) ベンゼンスルホンアミド (2.0g) 、GB2276162に記載された方法により調製した4− (t−ブチルジメチルシリルオキシ) ベンゼンボロン酸 (1.0g) 、テトラキス (トリフェニルホスフィン) パラジウム (0)(0.25mg) 、炭酸ナトリウム (0.5g) 、ジメトキシエタン (10ml) 及び水 (10ml) の混合液を攪拌して18時間加熱還流した。この混合液を冷却して水 (50ml) で希釈し酢酸エチル (2×50ml) で抽出した。合わせた有機抽出液を0.1M水酸化ナトリウム溶液 (50ml) と水 (50ml) で洗浄して乾燥 (MgSO4 ) した。溶媒を留去して、残渣をヘキサン中の25%酢酸エチルで溶離する Mega Bond Elut カラムでのクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を含有する画分を合わせて濃縮乾固して、4'−ヒドロキシ−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (0.85mg) を固体として得た; 1H NMR (CDCl3 ) :0.7 (d, 6H), 1.59-1.79 (m, 1H), 2.49 (s, 3H), 3.83 (d, 2H), 3.96 (s, 3H), 5.15 (s, 1H), 6.78 (d, 2H), 7.24-7.38 (m, 3H), 7.50-7.59 (m, 2H), 7.91 (s, 1H), 8.57 (d, 1H);マススペクトル (+veESP) :472 (M+H) +
【0085】
実施例3
水 (10ml) 中の水酸化リチウム (498mg) の溶液を、テトラヒドロフラン (25ml) 及びメタノール (10ml) 中のN− (イソブトキシカルボニル) −4' − (1−メトキシカルボニル) エトキシ−N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (1.30g) の溶液に加えて、その溶液を18時間攪拌した。揮発性物質を留去して残渣を水 (20ml) に溶かした。この溶液を20%クエン酸水溶液で酸性にして酢酸エチル (2×25ml) で抽出した。抽出液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液 (2×15ml) で再抽出し、0℃まで冷却して20%クエン酸水溶液で酸性にした。この混合液を酢酸エチル (2×25ml) で抽出して抽出液を乾燥 (MgSO4 )した。揮発性物質を留去し残渣をエーテルで磨り潰して、4' − (1−カルボキシ) エトキシ−N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (730mg) を得た;m.p.188〜190℃;微量分析実測値:C, 56.7 ; H, 4.9 ; N, 9.3 % ;C21H21N3O6S に必要な値:C, 56.9; H, 4.8 ; N, 9.5 % 。
【0086】
出発原料のN− (イソブトキシカルボニル) −4' − (1−メトキシカルボニル) エトキシ−N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミドは、次のようにして得た。
【0087】
アセトン (25ml) 中の4' −ヒドロキシ−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (1.25g) 、2−ブロモプロピオン酸メチル (576mg) 及び炭酸カリウム (440mg) の混合液を18時間加熱還流した。揮発性物質を留去して残渣に水 (50ml) を加えた。この混合液をジクロロメタン (25ml) で抽出して抽出液を水 (25ml) 及び飽和食塩水 (25ml) で洗浄した。この溶液を乾燥 (MgSO4 ) して溶媒を留去した。残渣をシリカゲル MegaBond Elut カラムで酢酸エチル/ヘキサン (1:1v/v) で溶離することにより精製して、N− (イソブトキシカルボニル) −4' − (1−メトキシカルボニル) エトキシ−N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミドをガム状物として得た; 1H NMR (DMSO−d6):0.6 (d, 6H), 1.5-1.7 (m, 4H), 2.5 (s, 3H), 3.7 (s, 3H), 3.8 (d, 2H), 4.0 (s, 3H), 5.0 (q, 1H), 6.9 (d, 2H), 7.3 (d, 2H), 7.4-7.5 (m, 1H), 7.7-7.8 (m, 2H), 8.15 (s, 1H), 8.45-8.5 (m, 1H) 。
【0088】
実施例4
N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −N− (イソブトキシカルボニル) −4' − (1−メトキシカルボニル) エトキシ−2−ビフェニルスルホンアミドから出発したこと以外は、実施例3に記載した操作と類似の操作を用いて、55%の収率で4' − (1−カルボキシ) エトキシ−N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミドを得た;m.p.223〜225℃; 1H NMR (DMSO−d6) :1.55 (d, 3H), 3.9 (s, 3H), 3.9 (d, 3H), 4.8 (q, 1H), 6.85 (d, 2H), 7.15 (d, 2H), 7.25 (d, 1H), 7.5-7.65 (m, 2H), 7.7 (s, 1H), 8.05 (d, 1H), 10.2 (s, 1H)。
【0089】
出発原料のN− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −N− (イソブトキシカルボニル) −4' − (1−メトキシカルボニル) エトキシ−2−ビフェニルスルホンアミドは、次のようにして得た。
【0090】
(i) 2−アミノピラジン−3−カルボン酸メチル (5.4g) を氷酢酸 (40ml) 中に懸濁させて水 (40ml) を加えた。この混合液を40℃に温めてそれに塩素ガスをバブリングした。次いで、得られた澄明溶液を0℃まで冷却して塩素付加を20分間続け、その時点で反応混合液の重量は4.8gだけ増加した。生成した析出物を濾過して濾液を塩素で更に10分間処理し、それによって重量は2.2gだけ増加した。第2析出物を濾過し、合わせた固体を水 (60ml) 中の亜硫酸水素ナトリウム (9g) の溶液で1.5時間攪拌した。固体を濾過して氷水 (2×100ml) で洗浄し乾燥 (MgSO4) して、2−アミノ−5−クロロピラジン−3−カルボン酸メチル (4.3g) を得た; 1H NMR (d6−DMSO) :3.87 (s, 3H), 7.5 (br s, 2H), 8.37 (s, 1H) ;マススペクトル (+veCI) :188 (M+H) +
【0091】
(ii) 2−アミノ−5−クロロピラジン−3−カルボン酸メチル (3.75g) を水 (20ml) 中の水酸化ナトリウム (2.0g) の溶液に加えて1.5時間加熱還流した。この反応混合液を0℃まで冷却して析出物を濾過した。この固体を水 (60ml) 中に加熱しながら再溶解させ、その溶液を濾過して2M塩酸でpH2の酸性にした。析出物を濾過して氷水 (2×20ml) で洗浄し乾燥した。得られた固体をジフェニルエーテル (15ml) 中に懸濁させてアルゴン雰囲気下で15分間加熱還流した。その反応混合液を周囲温度まで冷却してn−ヘキサン (15ml) で希釈した。生成した析出物を濾過してn−ヘキサン (3×25ml) で洗浄して、2−アミノ−5−クロロピラジン (1.78g) を得た; 1H NMR (d6−DMSO) :6.55 (br s, 2H), 7.67 (d, 1H), 7.95 (d,1H) ;マススペクトル (+veCI) :130 (M+H) +
【0092】
(iii) 2−アミノ−5−クロロピラジン (1.7g) をクロロホルム (190ml) 中に溶かしてピリジン (1.3ml) をアルゴン雰囲気下で加えた。フラスコ及びその内容物を光から保護してクロロホルム (85ml) 中の臭素 (0.7ml) の溶液を1時間かけて加えた。2時間攪拌した後、クロロホルム (8.5ml) 中の更なる臭素 (0.07ml) を加えて、30分間攪拌した後にピリジン (0.2ml) を加えた。この反応混合液を更に30分間攪拌してから水 (50ml) で洗浄して有機相を分液した。溶媒を留去して、残渣をヘキサン (200ml) 次いでジクロロメタンで溶離するシリカ (90g) でのクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含有するジクロロメタン画分の溶媒を留去して、2−アミノ−3−ブロモ−5−クロロピラジン (1.68g) を得た; 1H NMR (d6−DMSO) :6.94 (br s, 2H), 8.09 (s, 1H) ;マススペクトル (+veCI) :208 (M+H) +
【0093】
(iv) ナトリウム (2.82g) を乾燥メタノール (50ml) 中にアルゴン雰囲気下で溶かして2−アミノ−3−ブロモ−5−クロロピラジン (1.68g) を周囲温度で攪拌しながら少量ずつ加えた。得られた攪拌溶液をアルゴン雰囲気下で4時間加熱還流した。周囲温度で水 (10ml) を加えて溶媒を留去した。更なる容量の水 (10ml) を加えてその水相をジクロロメタン (3×50ml) で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥 (MgSO4 ) し溶媒を留去して、2−アミノ−5−クロロ−3−メトキシピラジン (1.28g) を得た;m.p.102〜103℃; 1H NMR (d6−DMSO) :3.90 (s, 3H), 7.53 (s, 1H);マススペクトル (+veCI) :160 (M+H) +
【0094】
(v) クロロギ酸イソブチル (4.1g) を、ジクロロメタン (50ml) 中の2−アミノ−5−クロロ−3−メトキシピラジン (4.8g) とピリジン (2.37g) の溶液に加えた。この溶液を20時間放置してから更なる量のクロロギ酸イソブチル (1.02g) とピリジン (0.59g) を2時間の間隔を開けて2回加えた。2M塩酸 (25ml) を加えて有機層を分液した。その溶液を2M塩酸 (2×25ml) 、水 (25ml) 及び飽和食塩水 (25ml) で洗浄した。この溶液を乾燥 (MgSO4 ) し、揮発性物質を留去した。残渣をイソヘキサンから再結晶して、N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) カルバミン酸イソブチル (6.15g) を得た;m.p.90〜91℃;微量分析実測値:C, 46.3 ; H, 5.5 ; N, 16.4 %;C10H14ClN3O3に必要な値:C, 46.3 ; H, 5.4 ; N, 16.2 %。
【0095】
(vi) N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) カルバミン酸イソブチル (3.34g) を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド (20ml) 中の水素化ナトリウム (油中60%分散物;0.56g) の攪拌懸濁液に0℃で加えた。この混合液を0℃で1時間攪拌してから塩化2−ヨードベンゼンスルホニル (J. Org. Chem, (1977), 42, 3265に記載された通りに得たもの) (4.68g) の溶液を加えた。この混合液を2時間攪拌してから揮発性物質を留去した。残渣を水 (50ml) 中に溶かしてその溶液を20%クエン酸水溶液で酸性にして酢酸エチル (3×20ml) で抽出した。抽出液を水 (25ml) 及び飽和食塩水 (25ml) で洗浄して乾燥 (MgSO4 ) した。揮発性物質を留去して、残渣をシリカゲル Mega Bond Elut カラムで10〜35%酢酸エチル/イソヘキサンの勾配で溶離することにより精製して、N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −N− (イソブトキシカルボニル) −2−ヨードベンゼンスルホンアミド (2.64g) を得た; 1H NMR (d6−DMSO) :0.67 (s, 6H), 1.65-1.8 (m, 1H), 3.9 (d, 2H), 4.0 (s, 3H), 3.9 (s, 3H), 7.4 (dd,1H), 7.8 (dd, 1H), 8.2 (d, 1H), 8.3 (d, 1H), 8.4 (s, 1H)。
【0096】
(vii) N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −N− (イソブトキシカルボニル) −2−ヨードベンゼンスルホンアミドと4− (2− (H) −テトラヒドロピラニルオキシ) フェニルボロン酸から出発したこと以外は、実施例1(v) に記載した操作と類似の操作を用いて、57%の収率でN− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −N− (イソブトキシカルボニル) −4' −〔2− (H) −テトラヒドロピラニルオキシ〕−2−ビフェニルスルホンアミドを得た;m.p.142〜143℃;微量分析実測値:C, 56.3 ; H, 5.5 ; N,7.1 % ;C27H30ClN3O7に必要な値:C, 56.3 ; H, 5.25 ; N, 7.3 %。
【0097】
(viii) N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −N− (イソブトキシカルボニル) −4' −〔2− (H) −テトラヒドロピラニルオキシ〕−2−ビフェニルスルホンアミド (1.15g) 及びp−トルエンスルホン酸ピリジニウム (50mg) をエタノール (50ml) 中で60℃で3時間加熱した。揮発性物質を留去して、残渣をエーテル/ヘキサン (1:1v/v) で磨り潰して、N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −4' −ヒドロキシ−N− (イソブトキシカルボニル) −2−ビフェニルスルホンアミド (0.96g) を得た;m.p.175〜177℃;微量分析実測値:C, 53.9 ; H, 4.8 ; N, 8.2 % ;C21H22ClN3O6に必要な値:C, 53.7 ; H, 4.5 ; N, 8.5 % 。
【0098】
(ix) N− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −4' −ヒドロキシ−N− (イソブトキシカルボニル) −2−ビフェニルスルホンアミドから出発したこと以外は、実施例3に記載した操作と類似の操作を用いて、26%の収率でN− (5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル) −N− (イソブトキシカルボニル) −4' − (1−メトキシカルボニル) エトキシ−2−ビフェニルスルホンアミドを得た;マススペクトル (正の電気噴霧法 (+veESP)):578 (M+H) +
【0099】
工程(vii) で用いた4− (2− (H) −テトラヒドロピラニルオキシ) フェニルボロン酸は、次のようにして得た。
【0100】
(a) ジクロロメタン (500ml) 中の4−ブロモフェノール (86.5g) 、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン (46.2g) 及びp−トルエンスルホン酸ピリジニウム (1.25g) の溶液をアルゴン雰囲気下で24時間攪拌した。この溶液を2M水酸化ナトリウム溶液 (200ml) 及び水 (2×200ml)で洗浄してから乾燥 (MgSO4 ) した。揮発性物質を留去して残渣をヘキサンで磨り潰して、2− (4−ブロモフェノキシ) −2H−テトラヒドロピラン (94.3g) を得た;m.p.51〜53℃。
【0101】
(b) ペンタン中のtert−ブチルリチウム (1.7M,200ml) を、乾燥テトラヒドロフラン (450ml) 中の2− (4−ブロモフェノキシ) −2H−テトラヒドロピラン (38.6g) の溶液に20分間かけてアルゴン雰囲気下で−90℃で加えた。この溶液を−90℃で30分間攪拌してから、乾燥テトラヒドロフラン (50ml) 中のホウ酸トリメチルの溶液 (30ml) を15分間かけて加えた。この溶液を−90℃で30分間攪拌してから−30℃まで温めた。飽和塩化アンモニウム溶液 (100ml) を加えてこの混合液が室温に温まるまで放置した。水 (100ml) を加えてその混合液をエーテル (2×250ml) で抽出した。抽出液を水 (2×200ml) で洗浄して乾燥 (MgSO4 ) した。揮発性物質を留去して残渣をエーテルとヘキサンの混合液から再結晶して、4− (2− (H) −テトラヒドロピラニルオキシ) フェニルボロン酸 (23.4g) を得た;m.p.140〜142℃。
【0102】
実施例5
4' − (2−カルボキシ−2−メチルプロピル) −N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミドから出発したこと以外は、実施例3に記載した操作と類似の操作を用いて、26%の収率で4' − (2−カルボキシ−2−メチルプロピル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミドを得た;m.p.202〜204℃;微量分析実測値:C, 60.1 ; H, 5.5 ; N, 8.9 % ;C23H25N3O5S に必要な値:C, 60.6 ; H, 5.5 ; N, 9.2 % 。
【0103】
出発原料の4' − (2−カルボキシ−2−メチルプロピル) −N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミドは、次のようにして得た。
【0104】
(i) ヘキサン (32ml) 中のn−ブチルリチウムの1.25M溶液をアルゴン雰囲気下で0℃に冷やしてジイソプロピルアミン (4.05g;5.24ml) をゆっくり加えた。得られた混合液を−70℃まで冷やして、温度を<−60℃に維持しながらイソ酪酸メチル (4.08g;4.58ml) を滴下しながら攪拌した。−70℃で更に30分経過した後、無水テトラヒドロフラン (20ml) 中の臭化ブロモベンジル (10.0g) の溶液を加えて温度を更に1.5時間−70℃に維持した。この反応混合液を周囲温度に到達させてから18時間加熱還流した。冷却してすぐにその混合液を8%クエン酸水溶液で酸性にして酢酸エチル (3×75ml) で抽出した。界面の不溶分を濾去して合わせた有機相を食塩水 (20ml) で洗浄し、乾燥 (MgSO4 ) して溶媒を留去した。残渣をヘキサン中の0〜10%酢酸エチルの勾配で溶離するシリカでの減圧フラッシュクロマトグラフィーに付して、4− (2−メトキシカルボニル−2−メチルプロピル) ブロモベンゼン (7.79g) を得た; 1H NMR (d6−DMSO):1.13 (s, 6H), 2.79 (s, 2H), 3.60 (s, 3H), 7.04 (m, 2H), 7.46 (dt, 2H);マススペクトル (CI+) :272 (M+H) +
【0105】
(ii) 4− (2−メトキシカルボニル−2−メチルプロピル) ブロモベンゼン (7.79g) をメタノール (60ml) 中に溶かして2M水酸化ナトリウム水溶液 (30ml) を加えた。この溶液を2時間加熱還流してから冷却した。溶媒の留去により容量を約25mlに減らして残渣を酢酸エチル (15ml) で抽出してから2M塩酸で酸性にして酢酸エチル (3×25ml) で再抽出した。合わせた酸性化水相の有機抽出液を乾燥 (MgSO4) して溶媒を留去し、4− (2−カルボキシ−2−メチルプロピル) ブロモベンゼン (6.1g) を得た; 1H NMR (d6−DMSO) :1.08 (s, 6H), 2.78 (s, 2H), 7.11 (m, 2H), 7.46 (m, 2H);マススペクトル (CI+) :256 (M+H) +
【0106】
(iii) 4− (2−カルボキシ−2−メチルプロピル) ブロモベンゼン (1.93g) を無水テトラヒドロフラン (20ml) 中に溶かして−70℃に冷却した。ヘキサン中のn−ブチルリチウムの1.25M溶液 (18ml) をアルゴン雰囲気下で攪拌しながら温度が−65℃を越えないように滴下した。更に20分経過した後、−65℃でホウ酸トリメチルをゆっくり加え、そしてその反応混合液を−15℃に到達させた。塩化アンモニウムの飽和水溶液 (50ml) を加えることにより反応を止め、その混合液を2MHClを加えることにより酸性にした。有機相を分液して水相を酢酸エチル (2×50ml) で抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水 (15ml) で洗浄して溶媒を留去し残渣をヘキサンで磨り潰して、4− (2−カルボキシ−2−メチルプロピル) ベンゼンボロン酸 (1.2g) を得た; 1H NMR (DMSO−d6) :1.06 (s, 6H), 2.78 (S, 2H), 7.11 (d, 2H), 7.67 (d, 2H), 7.9 (br s, 2H), 12.2 (br s, 1H) ;マススペクトル (−veESP) :221 (M−H) -
【0107】
(iv) 水 (4ml) 中の炭酸ナトリウム (2.86g) の溶液を、トルエン (30ml) とエタノール (20ml) 中の2−ヨード−N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) ベンゼンスルホンアミド (6.2g) 、 (2−カルボキシ−2−メチルプロピル) ベンゼンボロン酸 (3.0g) 及びテトラキス (トリフェニルホスフィン) パラジウム (0)(235mg) の溶液に加えた。この混合液を激しく攪拌してアルゴン雰囲気下で18時間加熱還流した。水 (100ml) と酢酸エチル (100ml) を加えてその有機層を分液した。有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液 (50ml) で抽出して水相を合わせた。この溶液を6M塩酸で酸性にして酢酸エチル (3×50ml) で抽出した。抽出液を水 (50ml) と飽和食塩水 (50ml) で洗浄してから乾燥 (MgSO4 ) した。揮発性物質を留去して、残渣をエーテル/ヘキサン (1:1v/v) で磨り潰して、4' − (2−カルボキシ−2−メチルプロピル) −N− (イソブトキシカルボニル) −N− (3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル) −2−ビフェニルスルホンアミド (2.25g) を得た;NMR (d6−DMSO) :0.6 (d, 6H), 1.1 (s, 6H), 1.5-1.7 (m, 1H), 2.52 (s, 3H), 2.85 (s, 2H), 3.8 (d, 2H), 3.95 (s, 3H), 7.15 (d, 2H), 7.25 (d, 2H), 7.3-7.4 (m, 1H), 7.7-7.8 (m, 2H), 8.15 (s, 1H), 8.5-8.6 (m, 1H), 12.3 (s, 1H) 。
【0108】
実施例6 (全て重量部)
本発明の化合物は、ヒトの如き温血動物への治療的又は予防的用途のために、慣用的な医薬組成物の形態で投与することができる。その典型的な例に次のものが含まれる。
【0109】
a) カプセル剤 (経口投与用)
有効成分* 20
ラクトース粉末 578.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5
b) 錠剤 (経口投与用)
有効成分* 50
微結晶性セルロース 400
澱粉 (予め糊化したもの) 47.5
ステアリン酸マグネシウム 2.5
c) 注射可能溶液剤 (静脈内投与用)
有効成分* 0.05〜1.0
プロピレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール (300) 3.0〜5.0
精製水 100%に
d) 注射可能懸濁剤 (筋肉内投与用)
有効成分* 0.05〜1.0
メチルセルロース 0.5
ツィーン80 0.05
ベンジルアルコール 0.9
塩化ベンザルコニウム 0.1
精製水 100%に
注:有効成分*は、典型的には、先に記載した実施例の化合物又は薬学的に許容できるその塩である。有効成分の溶解を修飾又は持続させるために、慣用的なやり方で錠剤及びカプセル剤をコートしてもよい。かくして、例えば、それらを慣用的な腸溶性コーディングでコートしてもよい。
【0110】
化学式
【化1】

化学式(つづき)
【化2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩。
【化1】

〔式中、
は、カルボキシ(1〜4C)アルキル又はカルボキシ(1〜4C)アルコキシであり;
Hetは、部分構造式IIa
【化2】

{式中、Raは水素、ハロゲノ、(1〜4C)アルキル及び(1〜4C)アルコキシから選ばれ;そしてRbは水素、ハロゲノ、(1〜4C)アルキル、メトキシ及びエトキシから選ばれ;
mは、0であり;
nは、0である。}
のグループから選ばれる複素環である。〕
【請求項2】
が、カルボキシメチル、1−カルボキシエチル、2−カルボキシエチル、2−カルボキシプロピル、カルボキシメトキシ、1−カルボキシエトキシ、2−カルボキシエトキシ及び2−カルボキシプロポキシから選ばれる、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容できるその塩。
【請求項3】
RaがメトキシでRbがメチル又はハロゲノである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
4’−(2−カルボキシプロピル)−N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−ビフェニルスルホンアミド、
4’−カルボキシメトキシ−N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−ビフェニルスルホンアミド、
4’−(1−カルボキシ)エトキシ−N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−ビフェニルスルホンアミド、
4’−(1−カルボキシ)エトキシ−N−(5−クロロ−3−メトキシピラジン−2−イル)−2−ビフェニルスルホンアミド、及び
4’−(2−カルボキシ−2−メチルプロピル)−N−(3−メトキシ−5−メチルピラジン−2−イル)−2−ビフェニルスルホンアミドから選ばれる、請求項1記載の式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩。
【請求項5】
生理学的に許容できるカチオンを付与する塩基との塩、及び十分に塩基性である式Iの化合物については、生理学的に許容できるアニオンを付与する酸との塩から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩。
【請求項6】
請求項4に記載の式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩を、薬学的に許容できる希釈剤又はキャリヤーと共に含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1記載の式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩の製造方法であって、
式III
【化3】

(Pは保護基である)の化合物を脱保護し;
ここにおいて、Pは(1−6C)アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル(そのベンゾ環は、ハロゲノ、(1−4C)アルキル、または(1−4C)アルコキシの置換基によって置換されていてもよい)、2−メトキシエトキシメチル、及びトリ(1−4C)アルキルシリルエトキシメチルから選択され、
その後、式Iの化合物の薬学的に許容できる塩が必要な場合は、前記の方法を光学活性な出発原料を用いて行うか、又は式Iの化合物のラセミ体を分割するか、又はキラルな固定相を用いるクロマトグラフィーにより個々の異性体に分離する;
ことを特徴とする方法。
なお、R、R、R、n、m及びHetは、特に断らない限り、請求項1〜3のいずれかで定義したあらゆる意義を有するものとする。
【請求項8】
請求項1記載の式Iの化合物又は薬学的に許容できるその塩の製造方法であって、
式VII
N−Het
VII
のアミン又はそのアルカリ金属塩を、式XI
【化4】

(Halはハロゲノ基である)のハロゲン化スルホニル又は式XIa
【化5】

(Riは4−ニトロフェニル基である)のスルホン酸エステルと反応させ;
その後、式Iの化合物の薬学的に許容できる塩が必要な場合は、前記の方法を光学活性な出発原料を用いて行うか、又は式Iの化合物のラセミ体を分割するか、又はキラルな固定相を用いるクロマトグラフィーにより個々の異性体に分離する;
ことを特徴とする方法。
なお、R、R、R、n、m及びHetは、特に断らない限り、請求項1〜3のいずれかで定義したあらゆる意義を有するものとする。

【公開番号】特開2007−320971(P2007−320971A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234750(P2007−234750)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【分割の表示】特願平8−163419の分割
【原出願日】平成8年6月24日(1996.6.24)
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【住所又は居所原語表記】15 Stanhope Gate, London W1K 1LN, United Kingdom
【Fターム(参考)】