説明

立体保護を利用したオリゴ糖の合成方法

【課題】 本発明は、糖のグリコシル化反応に関する。具体的には、本発明は、立体保護を利用して、糖の任意の炭素位置に存在する遊離の水酸基において、位置選択的にグリコシル化反応を生じさせる方法に関する。
【解決手段】本発明は、糖の少なくとも1つの遊離水酸基に嵩高い保護基を導入することにより、該遊離水酸基及び該遊離水酸基に近接する遊離水酸基以外の遊離水酸基選択的にグリコシル化反応が起こる糖鎖受容体を製造する方法を提供するものである。「嵩高い保護基」としては、例えば、Bu(Dbp)Si基などを挙げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖のグリコシル化反応に関する。具体的には、本発明は、立体保護を利用して、糖の任意の炭素位置に存在する遊離の水酸基において、位置選択的にグリコシル化反応を生じさせる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖は、生体内において、様々な重要な役割を担う分子である。例えば、生体のエネルギー源として、グルコースを多数含んだアミロース、アミロペクチン、グリコーゲンなどの糖が利用されている。また、タンパク質や脂質に結合し、糖タンパク質や糖脂質の一部として、生体内の重要な生理作用を担っている。さらに、細胞表面に存在し、細胞接着因子の一部として、抗原抗体反応の認識対象として、あるいは、ウイルス感染における認識分子としての役割も果たしており、細胞内外の情報伝達を仲介する分子としても重要である。このように、糖鎖は、糖タンパク質や糖脂質の重要な機能性分子として、細胞表面におけるシグナル伝達の仲立ちとして機能することで、生体の発生、分化、老化などの現象に関与し、また、免疫疾患や感染症など生体異常の発生又は抑制等にも関与している。
【0003】
糖鎖の広範囲に及ぶ生体内での機能は、その複雑な構造に起因する糖鎖の多様性により実現されている。二糖以上のオリゴ糖は、様々な単糖の組合せにより、様々な種類のオリゴ糖として構築されるが、単糖の組合せに加え、単糖同士を結合するグリコシド結合の形成される位置によっても、異なる特徴を持つオリゴ糖となる。例えば、インフルエンザウイルスが動物に感染する際、ウイルスのヘマグルチニンが動物細胞表面に存在するシアル酸を認識し、細胞内へと侵入していく。この場合、動物細胞側のシアル酸が、いわば、ウイルスに対するレセプターの役割を果たしていることになるが、レセプターとしての特異性は、シアル酸残基が結合するガラクトースとの結合位置によって決定されている。例えば、ヒト由来のインフルエンザウイルスのヘマグルチニンは、シアル酸とガラクトースがα2→6結合をしたものだけを認識するのに対し、トリ由来のインフルエンザウイルスは、α2→3結合をしたものだけを認識する。このように、オリゴ糖は、構成する単糖の種類は同じであっても、単糖同士を結合するグリコシド結合の位置が異なると全く異なる機能を発揮する。
従って、糖鎖の生体内における機能を明らかにするためには、グリコシド結合の位置を明確にした上で、その構造を決定する必要がある。そして、決定された構造を有する糖鎖を合成するためには、糖残基間を結合させるグリコシル化反応をいかに位置選択的に行わせるかが鍵となってくる。従来、位置選択的にグリコシル化反応を生じさせるために、様々な保護基を使い分けて結合位置の制御を行っていた。そのため、合成が多段階にわたり、手間、コスト面における負担が大きかった。
【0004】
糖に存在する遊離の水酸基に対し、位置選択的に置換基を導入する方法は、これまでも、いくつか報告されている。糖鎖受容体の6位の遊離の水酸基に導入した保護基と4位の水素との間で水素結合を形成させ、4位以外の炭素位置に置換基を導入させる試みが行われている(非特許文献1)。この方法は、水素結合によって4位がマスクされる影響を利用するものであるが、反応を行わせる溶媒の極性によって置換基が導入される位置に変化が生じてしまうため、特定の位置選択的に安定に置換基を導入する方法としては確立されていない。また、嵩高い保護基として、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基を利用し、該保護基の立体保護効果(又は、立体障害効果)により、位置選択的なグリコシル化反応を行わせる方法に関する報告がある。しかし、この方法においても、ある程度位置選択的な糖への置換基の導入は可能となっているが、その他の炭素位に存在する水酸基にも置換基が導入され、高い位置選択性があるとまでは言い難い(非特許文献2〜4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Moitessier及びChapleur,Tetrahedron Letters,44:1731−1735,2003
【非特許文献2】Moitessierら,Tetrahedron,61:6839−6853,2005
【非特許文献3】Cmoch及びPakulski,Tetrahedron/Asymmetry,19:1494−1503,2008
【非特許文献4】Bohnら,Carbohydrate Research,342:2522−2536,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、糖鎖の合成において、グリコシル化反応を位置選択的に行わせることが非常に重要となる。
そこで、本発明では、任意の炭素位の遊離の水酸基に嵩高い保護基を導入した糖鎖受容体を使用し、位置選択的にグリコシル化反応を生じさせる方法の提供を目的とする。
また、本発明は、位置選択的なグリコシル化反応に有用な糖鎖受容体の提供を目的とする。
さらに、本発明は、位置選択的なグリコシル化反応に利用可能な保護基の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の発明者らは、嵩高い保護基であるBu(Dbp)Si基を糖鎖受容体のC−6位の水酸基に導入し、隣接位の炭素に結合する水酸基を立体的に保護すれば、C−4位におけるグリコシル化反応を回避できるのではないかと考え、本課題の解決に着手した。その結果、C−4位におけるグリコシル化反応をほぼ抑えることに成功した。
また、Bu(Dbp)Si基を保護基として導入した糖鎖受容体は、その結晶性が向上していることを見出した。糖誘導体は粘性が高く、通常、精製を行うのが困難であるが、高い結晶性を有する糖鎖受容体であれば、再結晶化により簡便に精製することが可能となる。
以上の結果から、発明者らは、これまで利用されていた保護基であるTBDPS基と本発明で見出したBu(Dbp)Si基の立体保護効果及び結晶性の差に着目し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、糖の少なくとも1つの遊離水酸基に嵩高い保護基を導入することにより、該遊離水酸基及び該遊離水酸基に近接する遊離水酸基以外の遊離水酸基選択的にグリコシル化反応が起こる糖鎖受容体を製造する方法である。
【0009】
また、本発明は、前記保護基が以下の式(I)であることを特徴とする糖鎖受容体を製造する方法である。
【化1】


[式(I)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基であり、nは0又は1若しくは2の整数である。また、Xは式(II)の置換基、
【化2】


(式(II)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基であり、mは1〜3のいずれかの整数であり、Rとベンゼン環の間には、エーテル結合、チオエーテル結合を含んでも良い)、
又は、アダマンチル基であり、 Eは、ケイ素又はゲルマニウムである]
【0010】
さらに、本発明は、以下の式(I)で示される糖鎖受容体用保護基である。
【化3】


[式(I)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基であり、nは0又は1若しくは2の整数である。また、Xは式(II)の置換基、
【化4】


(式(II)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基であり、mは1〜3のいずれかの整数であり、Rとベンゼン環の間には、エーテル結合、チオエーテル結合を含んでも良い)、
又は、アダマンチル基であり、 Eは、ケイ素又はゲルマニウムである]
【発明の効果】
【0011】
本発明の糖鎖受容体を用いると、多段階のステップを経由せず、所望の位置にグリコシド結合を形成させることができるので、目的の糖鎖を簡便かつ低コストにて合成することができる。
【0012】
本発明の糖鎖受容体のうち、結晶化する特徴を有するものは、容易に精製することができるため、粘性が高く非結晶性の従来の糖鎖受容体と比較すると、扱いが容易である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の形態は、糖の少なくとも1つの遊離水酸基に嵩高い保護基を導入することにより、該遊離水酸基及び該遊離水酸基に近接又は隣接する遊離水酸基(例えば、C−6位の遊離水酸基に保護基を導入した場合、C−4位、C−1位の遊離水酸基がC−6位の遊離水酸基に近接又は隣接する遊離水酸基である)以外の遊離水酸基に選択的にグリコシル化反応が起こる(又はグリコシド結合が形成される)糖鎖受容体を製造する方法である。
糖のグリコシル化反応は、アノマー位に脱離基を有する糖(糖鎖供与体)と遊離の水酸基をもつ糖(糖鎖受容体)との縮合反応である。この場合、糖鎖受容体の遊離の水酸基が複数存在すると、いずれの水酸基においても縮合反応が生じる可能性がある。そのため、特定の水酸基とのみ縮合反応を行わせるためには、該特定の水酸基以外の水酸基を適当な保護基によって保護する必要がある。本発明は、糖鎖受容体の任意の炭素位に存在する水酸基に、嵩高い保護基を導入し、その嵩高さにより保護基と近接する遊離の水酸基を保護し、グリコシル化反応が生じないようにすることで、他の遊離の水酸基とのグリコシル化反応を優先的に誘導することにより達成される。
【0014】
本発明で利用可能な「嵩高い保護基」とは、例えば、分子軌道法によって計算される保護基の嵩高さ(糖鎖受容体側の酸素と結合する原子(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、一般式(I)のEに相当する)から最も離れた位置に存在する原子(例えば、一般式(I)のR又はXに含まれる原子であってEからの直線距離で最も遠くに位置する原子)までの距離)が、例えば、6.0Å以上、好ましくは、7.0Å以上であって、実際に、糖鎖受容体の遊離の水酸基に導入可能な保護基のことである。
【0015】
「嵩高い保護基」としては、例えば、以下の式(I)で表される置換基を挙げることができる。
【化5】


ここで、式(I)において、Rとして、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基などを例示することができ、好ましくは、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。式(I)中の「n」は、0又は1若しくは2の整数である。
また、Xとして、式(II)で表される置換基又はアダマンチル基を挙げることができる。
【化6】


ここで、式(II)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基などを例示することができ、好ましくは、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。式(II)中のmは、1〜3のいずれかの整数であり、Rとベンゼン環の間には、エーテル結合、チオエーテル結合を含んでも良い。Rの結合位置は、オルト位、パラ位、メタ位のいずれでもよい。
Eは、ケイ素又はゲルマニウムである。
【0016】
本発明の嵩高い保護基として、より具体的には、下記式(III)のビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルシリル(Bu(Dbp)Si)基を例示することができる。
【化7】

【0017】
例えば、本発明の糖鎖受容体が、C−6位の水酸基に嵩高い保護基が導入されているものである場合、C−6位の水酸基に近接するC−4位の水酸基は嵩高い保護基により立体的に保護され、グリコシル化反応がほとんど生じなくなる。その結果、C−3位とC−2位においてグリコシル化反応が起こり易くなる。また、予め、C−2位の水酸基に嵩高い保護基を導入しておけば、C−3位の水酸基が立体的に保護され、その結果、C−6位とC−4位におけるグリコシル化反応が優先的に生じることになる。つまり、嵩高い置換基に隣接する水酸基へのグリコシル化反応が抑制されることになる。
糖鎖受容体のC−6位の水酸基に嵩高い保護基を導入し、さらに、例えば、C−3位を従来の保護基(例えば、アセチル基、ベンジル基など)で保護すれば、C−2位のみでグリコシル化反応が生じ、C−2位のみにグリコシド結合ができることになる。あるいは、糖鎖受容体のC−6位の水酸基に嵩高い保護基を導入し、さらに、C−1位に嵩高い保護基を導入すれば、C−3位に選択的にグリコシド結合ができることになる。
【0018】
さらに、本発明の糖鎖受容体には、結晶化する特徴を有するものが含まれる。一般に、糖誘導体は高い粘性を示すため、精製が非常に困難である。本発明の糖鎖受容体のうち、結晶化する特徴を有する糖鎖受容体は、再結晶による簡便かつ低コストな方法により精製することが可能である。
また、一般式(I)で示される保護基は、糖鎖受容体に導入する際のハロゲン化物(例えば、Eがケイ素の場合には、クロロシラン。例えば、Bu(Dbp)SiCl)が空気中で加水分解しにくくなり、安定性が向上するといった利点をも有する。
【0019】
本発明の他の実施形態は、本発明によって製造される糖鎖受容体、又は嵩高い保護基(ハロゲン化物などの安定供給に適した形態のもの)からなる糖鎖合成用試薬である。本発明で開示される嵩高い保護基によって任意の水酸基が保護された糖鎖受容体は、様々な糖鎖合成に利用することができる。さらに、本発明で開示される嵩高い保護基は、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)などの形態で、所望の遊離水酸基が保護された所望の糖鎖受容体の合成に利用することができる。
本発明の試薬は、本発明の糖鎖受容体又は嵩高い保護基の他、これらを安定化するためのバッファーなどを含んでいてもよい。さらに、本発明の試薬は、他の試薬と共に、糖鎖合成用のキットとして供給することも可能である。このようなキットも本発明の範囲に含まれる。
【0020】
以下に実施例を示し本発明についてより具体的に説明を行うが、本発明の範囲は、実施例の範囲に限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
1.ベンジル 6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−β−D−グルコピラノシド(5)の合成
まず、本実施例においてコントロールの糖鎖受容体として用いるベンジル 6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−β−D−グルコピラノシド(化合物5)の合成を行った。
【0022】
ペンタ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース(2)
【化8】


酢酸ナトリウム(26.3g,0.320mol)を無水酢酸(193ml,2.05mol)に懸濁し、110℃に加熱した。そこへ、D−グルコース(1)(46.1g,0.256mol)を温度上昇に気をつけながら少しずつ加え、3時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ撹拌し、溶液から濾取し、水で十分洗浄した後、ジエチルエーテルで軽く洗浄し減圧乾燥した。粗結晶をエタノールで再結晶し、化合物(2)(61.5g,62%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 200MHz) :δ5.70 (d, 1H, J1,2 = 8.2 Hz, H-1), 5.43 (d, 1H, J3,4=3.2 Hz, H-4), 5.34 (dd, 1H, J1,2 = 8.2 Hz, J2,3 = 10.4 Hz, H-2), 5.08 (dd, 1H, J2,3 = 10.4 Hz, J3,4 = 3.2 Hz, H-3), 4.02-4.17 (m, 3H, H-5, H-6), 2.17, 2.13, 2.05, 2.05, 2.00 (each s, 15H, -OAc).
【0023】
ベンジル O−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド(3)
【化9】


アルゴン雰囲気下、化合物(2)(8.90g,22.8mmol)をdry−ジクロロメタン(80ml)に溶解させ、ベンジルアルコール(4.72ml,45.6mmol)を加えた。溶液を−11℃に冷却し、温度上昇に気をつけながら三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(8.67ml,68.4mmol)を滴下した。滴下終了後、氷浴に変え1時間撹拌し、さらに室温で一晩撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで有機層の抽出をした。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、1位にベンジル基が導入された化合物(3)(3.39g,34%)を得た。
Rf 0.36 [2:1 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H NMR (CDCl3, 200MHz) :δ7.20-7.32 (m, 5H, CH2-Ph), 5.32 (d, 1H, J3,4 = 3.2 Hz, H-4), 5.22 (dd, 1H, J1,2 = 8.0 Hz, J2,3 = 10.4 Hz, H-2), 4.92 (dd, 1H, J2,3 = 10.4 Hz, J3,4 = 3.2 Hz, H-3 ), 4.85 (d, 1H, J = 12.2 Hz, OCH2Ph), 4.57 (d, 1H, J = 12.2 Hz, OCH2Ph), 4.45 (d, 1H, J1,2 = 8.0 Hz, H-1), 4.03-4.20 (m, 2H, H-5, H-6a), 3.79-3.85 (m, 1H, H-6b), 2.09, 2.00, 1.94, 1.91 (each s, 12H, -OAc).
【0024】
ベンジル O−β−D−グルコピラノシド(4)
【化10】


アルゴン雰囲気下、化合物(3)(2.80g,6.39mmol)をdry−メタノール(15ml)に溶解させ、ナトリウムメトキシド(0.138g,2.55mmol)を加え、室温で1晩撹拌した。反応終了後、陽イオン交換樹脂を加え、反応溶液を中和した。綿栓濾過で樹脂を除き、濾液を濃縮し、粗生成物(4)(1.73g,100%)を得た。この段階では精製は行わずにそのまま次の反応に用いた。
【0025】
ベンジル 6−O−tert−ブチルジフェニルシリル−β−D−グルコピラノシド(5)
【化11】


アルゴン雰囲気下、化合物(4)(266mg,0.98mmol)、イミダゾール(134mg,1.97mmol)をdry−DMF(6ml)に溶解させ、dry−DMF(4ml)に溶解させた市販のTBDPSCl(0.38ml,1.48mmol)を滴下し、室温で一晩攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを用いて有機層を抽出し、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)で精製し、化合物(5)(432mg,86%)を得た。化合物(5)は非晶質であった。
mp 56.5-57.5℃
Rf 0.34 [1:3 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) :δ7.68-7.73 (m, 4H, Si-Ph), 7.32-7.44 (m, 6H, Si-Ph), 7.30-7.32 (m, 5H, CH2-Ph), 4.88 (d, 1H, J = 11.6 Hz, OCH2Ph), 4.57 (d, 1H, J = 11.6 Hz, OCH2Ph), 4.37 (d, J1,2 = 7.6 Hz, H-1), 3.95(m, 2H, H-6a, H-6b), 3.68 (dd, 1H, J3,4 = 9.2 Hz, J4,5 = 9.2 Hz, H-4), 3.58 (dd, 1H, J2,3 = 8.8 Hz, J3,4 = 9.2 Hz, H-3), 3.42-3.48 (m, 2H, H-2, H-5), 1.07 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3, 100MHz) :δ 136.85, 135.66, 135.58, 133.64, 132.85, 132.69, 130.17, 129.93, 128.54, 128.48, 128.22, 128.10, 127.84, 127.82, 101.15 (C-1), 77.23, 76.23, 74.61, 73.61, 72.17, 70.89, 64.77, 26.77, 19.22, 0.01
【0026】
2.ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルクロロシラン(10)の合成
本発明の「嵩高い保護基」の塩化物の一例として、ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルクロロシラン(化合物10)を以下の様に合成した。
【0027】
1,3,5−トリ−tert−ブチルベンゼン(7)
【化12】


アルゴン雰囲気下、化合物(6)(2.02ml,22.6mmol)と2−メチル−2−クロロプロパン(20.0ml,181.6mmol)の混合溶液を−5℃に冷却し、塩化アルミニウム(3.02g,22.6mmol)を2時間かけて添加し、1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を氷水にあけ、酢酸エチルを用いて有機層を抽出し、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、ショートカラムによりおおまかに精製した後、エタノールで再結晶し、化合物(7)(4.37g,78%)を得た。
Rf 0.57 [hexane]
1H-NMR (CDCl3, 200MHz) :δ7.26 (s, 3H, Ph), 1.34 (s, 27H, C(CH3)3)
【0028】
ブロモ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゼン(8)
【化13】


アルゴン雰囲気下、化合物(7)(24.0g,97.4mmol)をdry−四塩化炭素(48ml)に溶解させ、鉄粉(5.72g,102mmol)を加え0℃に冷却した。その後、臭素(10.5ml,205mmol)のdry−四塩化炭素溶液(12ml)を滴下し、徐々に室温に戻しながら4時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を氷水にあけ、クロロホルムを用いて有機層を抽出し、水、0.1M水酸化ナトリウム水溶液、水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、ショートカラムによりおおまかに精製した後、減圧蒸留(0.9mmHg,90℃)で精製し、化合物(8)(22.3g,85%)を得た。
Rf 0.68 [hexane]
1H-NMR (CDCl3, 200MHz) :δ7.32 (s, 3H, Ph), 1.30 (s, 18H, C(CH3)3)
【0029】
ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルシラン(9)
【化14】


アルゴン雰囲気下、化合物(8)(2.80g,10.4mmol)をdry−エーテル(17ml)に溶解させ、−78℃に冷却した。Tert−ブチルリチウム(1.76mol/l ペンタン溶液)(11.8ml,20.8mmol)を滴下し、2時間攪拌した後、室温まで戻した。反応溶液を、−78℃に冷却したトリクロロシラン(0.50ml,4.95mmol)のdry−エーテル溶液(6ml)に滴下し、−78℃で2時間攪拌した後、徐々に室温まで戻しながら一晩攪拌した。再度、反応溶液を−78℃まで冷却してTert−ブチルリチウム(1.76mol/l ペンタン溶液)(3.09ml,5.45mmol)を滴下し、1.5時間攪拌した後、徐々に室温まで戻しながら一晩攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを用いて有機層を抽出し、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、化合物(9)(1.05g,46%)を白色の結晶として得た。
Rf 0.51 [hexane]
1H-NMR (CDCl3, 500MHz) :δ7.54 (d, 4H, Ph), 7.43 (t, 2H, Ph), 4.61 (s, 1H, SiH ), 1.32 (s, 36H, Ph-C(CH3)3), 1.04 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3, 125MHz) :δ149.44, 133.06, 129.77, 34.79, 31.51, 27.65, 17.86
【0030】
ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルクロロシラン(10)
【化15】


アルゴン雰囲気下、化合物(9)(1.50g,3.23mmol)をdry−四塩化炭素(6ml)に溶解させ、塩化パラジウム(57.0mg,0.323mmol)加え、撹拌しながら2日間加熱還流した。アルゴン雰囲気下でフィルター濾過し、四塩化炭素を減圧留去した後、精製せずに次の反応に用いた。H−NMRにより定量的に化合物(10)が得られたことを確認した。
1H-NMR (CDCl3, 200MHz) :δ7.64 (d, 4H, Ph), 7.48 (t, 2H, Ph), 1.32 (s, 36H, Ph-C(CH3)3), 1.10 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
【0031】
3.ベンジル 6−O−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルシリル−β−D−グルコピラノシド(11)の合成
上記2で合成した化合物(10)を使用して、本発明の糖鎖受容体の一例として、ベンジル 6−O−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルシリル−β−D−グルコピラノシド(化合物11)の合成を行った。
【化16】


アルゴン雰囲気下、化合物(4)(624mg,2.31mmol)、N−メチルイミダゾール(796mg,9.69mmol)、ヨウ素(1.23g,9.69mmol)をdry−ピリジン(10ml)に溶解させ、化合物(10)(1.61g,3.23mmol)のdry−ピリジン溶液(6ml)を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを用いて有機層を抽出し、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物(11)(1.36g,81%)を白色の結晶として得た。
mp 88.9-89.2℃
Rf 0.42 [1:1 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 500MHz) :δ7.59 (d, 2H, Si-Ph), 7.57(d, 2H, Si-Ph), 7.49 (t, 1H, Si-Ph), 7.49 (t, 1H, Si-Ph), 7.27-7.32 (m, 2H, CH2-Ph), 4.83 (d, 1H, CH2-Ph), 4.52 (d, 1H, CH2-Ph), 4.34 (d, 1H, J1,2 = 7.5 Hz, H-1), 3.92-4.00 (m, 2H, J1,2 = 8.0 Hz, H-6a, H-6b), 3.67 (dd, 1H, J3,4 = 9.0 Hz, J4,5 = 9.0 Hz, H-4), 3.59 (dd, 1H, J2,3 = 9.5 Hz, J3,4 = 9.0 Hz, H-3), 3.44-3.46 (m, 2H, H-2, H-5), 1.33 (s, 36H, Ph-C(CH3)3), 1.03 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3, 125MHz) :δ149.64, 136.85, 131.32, 129.61, 129.52, 128.47, 128.15, 128.01, 123.73, 123.68, 101.38 (C-1), 76.28, 73.97, 73.59, 73.48, 70.95, 65.51, 34.84, 31.53, 26.78, 19.01
【0032】
4.2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−グルコピラノシル 2,2,2−トリクロロアセトアミデート(14)の合成
本実施例で糖鎖供与体として使用した2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−グルコピラノシル 2,2,2−トリクロロアセトアミデート(化合物14)を以下の様に合成した。
【0033】
ペンタ−O−ベンゾイル−α−D−グルコピラノース(12)
【化17】


アルゴン雰囲気下、D−グルコース(1)(3.00g,16.7mmol)をdry−ピリジン(50.0ml)に溶解し0℃に冷却した。0℃で塩化ベンゾイル(14.6ml,125 mmol)を加え、室温に戻し一晩撹拌した。反応終了後、水を加え過剰の酸塩化物を中和した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮した後、ショートカラムによりおおまかに精製した後、2−プロパノールで再結晶し、化合物(12)(10.9g,94%)を得た。
Rf 0.48 [2:1 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 200MHz) :δ7.87-8.19, 7.30-7.67 (each m, 25H, Ph), 6.85 (d, 1H, J1,2 = 3.8 Hz, H-1), 6.32 (t, 1H, J2,3 = 10.0 Hz, J3.4 = 9.8 Hz, H-3), 5.86 (t, 1H, J3,4 = 9.8 Hz, J4,5 = 10.0 Hz, H-4), 5.68 (dd, 1H, J1,2 = 3.8 Hz, J2,3 = 10.0 Hz, H-2), 4.42-4.65 (m, 3H, H-5, H-6a, H-6b)
【0034】
2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α,β−D−グルコピラノース(13)
【化18】


化合物(12)(4.70g,6.71mmol)をdry−ジクロロエタン(20ml)に溶解させ、密栓し0℃に冷却した。臭化水素(33% 酢酸溶液)(5.00ml,27.8mmol)を加え、室温にて4時間攪拌した。反応終了後、クロロホルムで抽出し、水、炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、アセトン(35ml)、水(1.5ml)、炭酸銀(3.06g,11.1mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、フィルター濾過し、有機層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製し、化合物(13)(3.97g, 99%)を白色の結晶として得た。
Rf 0.20 [9:1 (v/v) toluene-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 200MHz) :δ7.29-7.56, 7.86-8.01 (each m, 24H, Ph), 6.26 (t, 1H, J2,3 = 10 Hz, J3,4 = 10 Hz, α-H-3), 5.97(t, 0.2H, β-H-3), 5.67-5.79 (m, 2.2H, α-H-1, α-H-4, β-H-4), 5.32 (m, 1.2H, α-H-2, β-H-2), 4.15-4.69 (m, 3.6H, α-H-5, α-H-6a, α-H-6b, β-H-5, β-H-6a, β-H-6b), 4.00 (d, 0.2H, β-OH), 3.36 (d, 1H, α-OH)
【0035】
2,3,4,6−テトラ−O−ベンゾイル−α−D−グルコピラノシル 2,2,2−トリクロロアセトアミデート(14)
【化19】


アルゴン雰囲気下、化合物(13)(886mg,1.48mmol)をdry−ジクロロメタン(15ml)に溶解させ、炭酸セシウム(48.9mg,0.15g)、トリクロロアセトニトリル(0.90ml,8.88mmol)を加えて室温にて一晩攪拌した。反応終了後、フィルター濾過し濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=20:1)で精製し、化合物(14)(982mg,89%)を白色の結晶として得た。
Rf 0.37 [20:1 (v/v) toluene-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) :δ8.64 (s, 1H, N-H), 7.29-7.57, 7.89-8.05 (each m, 20H, Ph), 6.84 (d, 1H, J1,2 = 3.6 Hz, H-1), 6.28 (t, 1H, J2,3 = 10.4 Hz, J3,4 = 10.4 Hz, H-3), 5.83 (t, 1H, J3,4 = 10.4 Hz, J4,5 = 10.4 Hz, H-4), 5.62 (dd, 1H, J1,2 = 3.6 Hz, J2,3 = 10.4 Hz,H-2), 4.63-4.66 (m, 2H, H-5, H-6a), 4.47-4.51 (dd, 1H, H-6b)
【0036】
5.嵩高い置換基を有する本発明の糖鎖受容体(化合物(11))の位置選択的グリコシル化反応
本発明の嵩高い置換基を有する糖鎖受容体の一例として合成した化合物(11)を用いて、位置選択的にグリコシル化反応が生じるかどうか検討した。糖鎖供与体として化合物(14)を用いた。また、コントロールの糖鎖受容体として従来から利用されている保護基を有する化合物(5)を使用した。
【0037】
5−1.化合物(5)を糖鎖受容体とした場合のグリコシル化反応の位置選択性
【化20】


アルゴン雰囲気下、糖鎖供与体(14)(782mg,1.06mmol)、糖鎖受容体(5)(488mg,0.96mmol)をdry−ジクロロメタン(20ml)に溶解させ、MS4Å(1200mg)を加えて室温で1時間攪拌した。その後、溶液を−40℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(48.0μl,0.26mmol)を加え2時間攪拌した。反応終了後、トリエチルアミン(1.00ml)を加えフィルター濾過し、濃縮した後にフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製し、1→2結合異性体(200mg,19%)、1→3結合異性体(392mg,38%)、1→4結合異性体(88mg,8%)を得た。生成物はいずれも非晶質として得られた。
1→2 linked isomer
Rf 0.23 [2:1 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) :δ 7.27-7.53, 7.66-7.68, 7.81-7.85, 7.95-8.00 (each m, 35H, Ph), 5.88 (t, 1H, J2’,3’ = 9.6 Hz, J3’,4’ = 9.6 Hz, H-3’), 5.71 (t, 1H, J3’,4’ = 9.6 Hz, J4’,5’ = 10 Hz, H-4’), 5.71 (dd, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, J2’,3’ = 9.6 Hz, H-2’), 5.20 (d, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, H-1’), 4.93 (d, 1H, J = 11.6 Hz, CH2-Ph), 4.59 (d, 1H, J = 11.6 Hz, CH2-Ph), 4.57 (d, 1H, J1’,2’ = 7.2 Hz, H-1), 4.44 (dd, 1H, J5’,6a’ = 3.6 Hz, J6a’,6b’ = 12.4 Hz, H-6a’), 4.21 (dd, 1H, J5’,6b’ = 3.6 Hz, J6a’,6b’ = 12.4 Hz, H-6b’), 3.80-3.92 (m, 3H, H-5’, H-6a, H-6b), 3.48-3.62 (m, 3H, H-2, H-3, H-4), 3.35-3.39 (m, 1H, H-5), 2.92 (s, 1H, C4-OH ), 2.85 (d, 1H, C3-OH ), 1.03 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3, 100MHz) :δ 166.06, 165.77, 165.00, 137.38, 135.59, 135.52, 133.49, 133.37, 133.26, 133.05, 132.91, 132,79, 129.80, 129.74, 129.70, 129.45, 128.93, 128.72, 128.67, 128.50, 128.40, 128.36, 128.29, 127.74, 127.70, 127.68, 127.21, 101.42, 100.69, 82.15, 75.62, 74.55, 72.97, 72.62, 72.10, 71.17, 70.80, 69.14, 64.33, 62.57, 26.71 (Si-C(CH3)3), 19.17 (Si-C(CH3)3)
1→3 linked isomer
Rf 0.38 [2:1 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) :δ 7.28-7.52, 7.71-7.73, 7.81-7.83, 7.91-7.97, 8.07-8.08 (each m, 35H, Ph), 5.93 (t, 1H, J2’,3’ = 9.6 Hz, J3’,4’ = 9.6 Hz, H-3’), 5.62 (t, 1H, J3’,4’ = 9.6 Hz, J4’,5’ = 10.4 Hz, H-4’), 5.57 (dd, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, J2’,3’ = 9.6 Hz, H-2’), 5.03 (d, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, H-1’), 4.89 (d, 1H, J = 11.6 Hz, CH2-Ph), 4.78 (dd, 1H, J5’,6a’ = 6.4 Hz, J6a’,6b’ = 12.4 Hz, H-6a’), 4.56 (d, 1H, J = 11.6 Hz, CH2-Ph), 4.36 (dd, 1H, J5’,6b’ = 6.4 Hz, J6a’,6b’ = 12.4 Hz, H-6b’), 4.29 (d, 1H, J1,2 = 7.6 Hz, H-1), 4.04 (br d, 1H, H-6a), 3.89 (dd, 1H, H-6b), 3.71 (s, 1H, C4-OH ), 3.60 (t, 1H, J3,4 = 9.2 Hz, J4,5 = 8.8 Hz, H-4), 3.50 (t, 1H, J2,3 = 8.4 Hz, J3,4 = 9.2 Hz, H-3), 3.35-3.45 (m, 2H, H-2, H-5), 2.03 (d, 1H, C2-OH ), 1.06 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3, 100MHz) :δ 166.14, 165.66, 165.19, 136.80, 135.67, 135.61, 133.61, 133.57, 133.32, 129.96, 129.87, 129,78, 129.74, 129.57, 129.20, 129.02, 128.60, 128.48, 128.44, 128.31, 128.27, 128.01, 127.62, 127.59, 102.64, 100.87, 88.77, 76.43, 72.65, 72.46, 71.68, 70.42, 69.34, 68.60, 63.40, 62.80, 26.74 (Si-C(CH3)3), 19.33 (Si-C(CH3)3)
1→4 linked isomer
Rf 0.15 [2:1 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) :δ 7.28-7.59, 7.74-7.83, 7.93-7.95, 8.11-8.13 (each m, 35H, Ph), 5.89 (t, 1H, J2’,3’ = 9.6 Hz, J3’,4’ = 9.6 Hz, H-3’), 5.67 (t, 1H, J3’,4’ = 9.6 Hz, J4’,5’ = 10 Hz, H-4’), 5.61 (dd, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, J2’,3’ = 9.6 Hz, H-2’), 5.16 (d, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, H-1’), 4.85 (d, 1H, J = 11.6 Hz, CH2-Ph), 4.80 (dd, 1H, J5’,6a’ = 2.4 Hz, J6a’,6b’ = 12.4 Hz, H-6a’), 4.47 (d, 1H, J = 11.6 Hz, CH2-Ph), 4.42 (dd, 1H, J5’,6b’ = 6.0 Hz, J6a’,6b’ = 12.4 Hz, H-6b’), 4.34 (d, 1H, J1,2 = 8.0 Hz, H-1), 4.05-4.13 (m, 2H, H-5’, H-4), 3.78 (br s, 2H, H-6a, H-6b), 3.67-3.72 (m, 2H, H-3, C3-OH ), 3.50 (br t, 1H, H-2), 3.23 (br d, 1H, H-5), 2.54 (s, 1H, C2-OH), 1.06 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3, 100MHz) :δ 166.05, 165.59, 165.16, 164.80, 136.94, 135.94, 135.39, 133.74, 133.61, 133.33, 132.38, 130,05, 129.95, 129.88, 129.83, 129.70, 129.30, 128.59, 128.47, 128.40, 128.31, 128.02, 127.93, 127.64, 100.76, 100.66, 78.36, 74.46, 74.08, 73.91, 72.87, 72.58, 71.51, 70.41, 69.18, 62.33, 61.39, 69.14, 26.77 (Si-C(CH3)3), 19.50 (Si-C(CH3)3)
【0038】
5−2.化合物(11)を糖鎖受容体とした場合のグリコシル化反応の位置選択性
【化21】


アルゴン雰囲気下、糖鎖供与体(14)(734mg,0.99mmol)、糖鎖受容体(11)(660mg,0.90mmol)をdry−ジクロロメタン(18ml)に溶解させ、MS4Å(1000mg)を加えて室温で1時間攪拌した。その後、溶液を0℃まで冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(44.0μl,0.24mmol)を加え30分攪拌した。反応終了後、トリエチルアミン(1.00ml)を加えフィルター濾過し、濃縮した後にフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=40:1)で精製し、1→2結合異性体(308mg,26%)、1→3結合異性体(711mg,60%)を得た。生成物はいずれも非晶質として得られた。
1→2 linked isomer
Rf 0.25 [2:1 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) :δ 7.24-7.55, 7.81-7.85, 7.95-7.98 (each m, 31H, Ph), 5.87 (t, 1H, J2’,3’ = 9.5 Hz, J3’,4’ = 9.5 Hz, H-3’), 5.70 (t, 1H, J3’,4’ = 9.5 Hz, J4’,5’ = 10 Hz, H-4’), 5.51 (dd, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, J2’,3’ = 9.5 Hz, H-2’), 5.22 (d, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, H-1’), 4.88 (d, 1H, J = 12 Hz, CH2-Ph), 4.56 (d, 1H, J = 12 Hz, CH2-Ph), 4.53 (d, 1H, J1,2 = 7.5 Hz, H-1), 4.41 (dd, 1H, J5’,6a’ = 3.5 Hz, J6a’,6b’ = 12.5 Hz, H-6a’), 4.22 (dd, 1H, J5’,6b’ = 3.5 Hz, J6a’,6b’ = 12.5 Hz, H-6b’), 3.89-3.91 (m, 2H, H-6a, H-6b), 3.83 (tt, 1H, J4’,5’ = 10 Hz, J5’,6a’ = J5’,6b’ = 3.5 Hz, H-5’), 3.50-3.61 (m, 3H, H-2, H-3, H-4), 3.37-3.41 (m, 1H, H-5), 3.17 (d, 1H, OH ), 2.72 (d, 1H, OH ), 1.29, 1.30 (each s, 36H, Ph-C(CH 3)3), 0.99 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
1→3 linked isomer
Rf 0.32 [2:1 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) :δ 7.23-7.52, 7.60-7.61, 7.80-8.00 (each m, 31H, Ph), 5.92 (t, 1H, J2’,3’ = 9.5 Hz, J3’,4’ = 9.5 Hz, H-3’), 5.63 (t, 1H, J3’,4’ = 9.5 Hz, J4’,5’ = 10 Hz, H-4’), 5.56 (dd, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, J2’,3’ = 9.5 Hz, H-2’), 5.07 (d, 1H, J1’,2’ = 8.0 Hz, H-1’), 4.86 (d, 1H, J = 11.5 Hz, CH2-Ph), 4.73 (dd, 1H, J5’,6a’ = 2.5 Hz, J6a’,6b’ = 12.5 Hz, H-6a’), 4.54 (d, 1H, J = 11.5 Hz, CH2-Ph), 4.37 (dd, 1H, J5’,6b’ = 6.0 Hz, J6a’,6b’ = 12.5 Hz, H-6b’), 4.29 (d, 1H, J1,2 = 8.0 Hz, H-1), 4.17-4.21 (m, 1H, H-5’), 4.11 (dd, 1H, J5,6b = 2.0 Hz, J6a,6b = 11 Hz, H-6a), 4.11 (dd, 1H, J5,6b = 6.5 Hz, J6a,6b = 11 Hz, H-6b), 3.57-3.60 (m, 2H, H-4, C4-OH ), 3.52 (t, 1H, J2,3 = 8.5 Hz, J3,4 = 9.0 Hz, H-3), 3.41-3.45 (m, 2H, H-2, H-5), 2.10 (d, 1H, C2-OH ), 1.29, 1.30 (each s, 36H, Ph-C(CH 3)3), 1.02 (s, 9H, Si-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3, 100MHz) :δ 166.10, 165.71, 165.20, 163.55, 149.26, 136.84, 133.55, 133.27, 132.25, 129.89, 129.85, 129,77, 129.73, 129.59, 129.12, 129.02, 128.68, 128.57, 128.41, 128.27, 128.21, 127.93, 125.28, 123.24, 123.16, 102.43, 101.08, 88.28, 72.82, 72.65, 72.57, 71.80, 70.49, 69.42, 69.13, 63.58, 62.77, 34.78, 31.51, 26.78, 19.18
【0039】
上記5−1及び5−2の結果を下記の表に示す。
【表1】


表より、保護基として、より嵩高いBu(Dbp)Si基をC−6位に導入すると、C−4位におけるグリコシル化反応は生じず、C−3位及びC−2位におけるグリコシル化反応が選択的に生じていた。一方、従来から用いられているTBDPS基を保護基として用いた場合は、C−3位の反応性が比較的高いものの、C−4位における反応もある程度生じている。
この結果から、嵩高い保護基を導入した糖鎖受容体は、グリコシル化反応の位置選択性が増大していることが確認された。つまり、嵩高い置換基に隣接する水酸基へのグリコシル化反応が抑制されることになる。また、本発明の糖鎖受容体(化合物(11))のC−2位又はC−3位を従来の保護基、例えば、ベンジル基やアセチル基で保護すると、他方の遊離水酸基について、選択的にグリコシル化反応を生じさせることが可能である。
また、TBDPSとBu(Dbp)Siの保護基の嵩高さを分子軌道法で計算すると(ソフトウェア:Chem3D(ChembridgeSoft)を使用)、各々、約5.736Å、約7.243Åとなる。従って、本発明の「嵩高い保護基」としては、その保護基の嵩高さが少なくとも6.0Å以上あるものが望ましい。
【0040】
なお、Bu(Dbp)Si基で糖鎖受容体を保護した後得られたオリゴ糖からの脱保護は、従来の方法により下記の様に、容易に行うことができる。
ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−tert−ブチルシリル基の脱保護
【化22】


アルゴン雰囲気下、化合物(16)(300mg,0.23ml)、酢酸(0.02ml,0.35mmol)をdry−THF(5ml)に溶解させ、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.56ml,0.56mmol)を加えて室温で一晩攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを用いて有機層を抽出し、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1→1:3)で精製し、化合物(17)(139mg,71%)を得た。
Rf 0.76 [1:3 (v/v) hexane-ethyl acetate]
1H-NMR (CDCl3, 200MHz) :δ 7.21-7.61, 7.79-7.84, 7.89-7.98, 8.06-8.10 (each m, 25H, Ph), 5.93 (t, 1H, J2’,3’ = 9.6 Hz, J3’,4’ = 9.6 Hz, H-3’), 5.61 (t, 1H, J3’,4’ = 9.6 Hz, J4’,5’ = 10.2 Hz, H-4’), 5.58 (dd, 1H, J1’,2’ = 7.8 Hz, J2’,3’ = 9.6 Hz, H-2’), 5.01 (d, 1H, J1’,2’ = 7.8 Hz, H-1’), 4.83 (d, 1H, J = 11.8 Hz, CH2-Ph), 4.78 (dd, 1H, J5’,6a’ = 2.4 Hz, J6a’,6b’ = 12.2 Hz, H-6a’), 4.58 (d, 1H, J = 11.6 Hz, CH2-Ph), 4.17-4.42 (m, 3H, H-1, H-6a, H-6b’), 3.27-3.93 (m, 7H, H-2, H-3, H-4, H-5, H-6b, OH ), 1.98-2.04 (m, 2H, OH )
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明により、グリコシル化反応の位置選択性を高めることが可能となるため、所望の構造を有する糖鎖を製造する技術のさらなる進展に寄与することが期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖の少なくとも1つの遊離水酸基に嵩高い保護基を導入することにより、該遊離水酸基及び該遊離水酸基に近接する遊離水酸基以外の遊離水酸基選択的にグリコシル化反応が起こる糖鎖受容体を製造する方法
【請求項2】
前記保護基が以下の式(I)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化1】


[式(I)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基であり、nは0又は1若しくは2の整数である。また、Xは式(II)の置換基、
【化2】


(式(II)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基であり、mは1〜3のいずれかの整数であり、Rとベンゼン環の間には、エーテル結合、チオエーテル結合を含んでも良い)、
又は、アダマンチル基であり、 Eは、ケイ素又はゲルマニウムである]
【請求項3】
前記Rがtert−ブチル基、Eがケイ素、XはRがtert−ブチル基でありmが2であってメタ位に結合している式(II)の置換基であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記保護基の導入位置が糖鎖受容体のC−6位であり、反応性が抑制される位置がC−4位であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
位置選択的なグリコシル化反応が糖鎖受容体のC−3位及び/又はC−2位で生じることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記糖鎖受容体が結晶質であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの方法により製造される糖鎖受容体。
【請求項8】
以下の式(I)で示される糖鎖受容体用保護基。
【化3】


[式(I)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基であり、nは0又は1若しくは2の整数である。また、Xは式(II)の置換基、
【化4】


(式(II)において、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基であり、mは1〜3のいずれかの整数であり、Rとベンゼン環の間には、エーテル結合、チオエーテル結合を含んでも良い)、
又は、アダマンチル基であり、 Eは、ケイ素又はゲルマニウムである]
【請求項9】
請求項7に記載の糖鎖受容体又は請求項8に記載の保護基を含んでなる糖鎖合成用試薬。

【公開番号】特開2012−250935(P2012−250935A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124860(P2011−124860)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【Fターム(参考)】