説明

立体映像表示装置および立体映像表示装置の製造方法

【課題】裸眼方式による3次元立体映像の表示装置を容易に製造することができるようにする。
【解決手段】立体映像表示装置の画素アレイ部を構成する画素アレイ部10aでは、自発光素子を有する画素21が縦横に複数配列されている。画素21からの光の光軸中心が所定の方向へ向かうように、画素21の前面に光出射方向に沿って突出するようにリフレクタ31が立設されている。左眼用映像を表示する画素21のリフレクタ31は鑑賞者の左眼に、右眼用映像を表示する画素21のリフレクタ31は鑑賞者の右眼に、光軸中心が向かうようリフレクタ31の傾斜が形成されている。本発明は、例えば、鑑賞者の裸眼による3次元立体映像の鑑賞を可能とする表示装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置および立体映像表示装置の製造方法に関し、特に、裸眼方式による3次元立体映像の表示装置を容易に製造することができるようにする立体映像表示装置および立体映像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像を立体的に視認できる3次元立体映像コンテンツが注目されている。3次元立体映像の鑑賞方式としては、視差を設けた左眼用映像と右眼用映像を鑑賞者に鑑賞させる両眼視差方式が普及しつつある。この両眼視差方式には、メガネを用いるメガネ方式とメガネを用いない裸眼方式の大きく2種類の方式が挙げられる。
【0003】
さらにメガネ方式のなかには、光の特性である偏光の違いを利用して左眼用映像と右眼用映像を分離する偏光方式と、左右交互に開閉するシャッタ機能をメガネに持たせ、時分割で表示される左眼用映像および右眼用映像にシャッタを同期させるシャッタ方式がある。メガネ方式は、比較的容易に左眼用映像と右眼用映像の分離が可能であるというメリットがあり、反面、メガネを装着する必要があるという煩わしさがデメリットであるとも言える。
【0004】
これに対して、裸眼方式には、レンチキュラースクリーン方式、パララックスバリア方式などがある。レンチキュラースクリーン方式は、図1に示されるように、かまぼこ型の細かなレンズ(レンチキュラーレンズ)を配列させることによって左眼用映像と右眼用映像の光路を分離する方式である。パララックスバリア方式は、図2に示されるように、縦のスリット(パララックスバリア)により左眼用映像と右眼用映像の光路を分離する方式である。なお、図1および図2において、“Lx”および“Rx”(xは数字)は、それぞれ、左眼用映像および右眼用映像が表示される画素を表している。
【0005】
裸眼方式は、メガネ方式と反対に、メガネの装着が不要であることから鑑賞者に対する負担が少ない点がメリットとなる。反対に、観察位置や視域が制限されるという側面があるが、観察位置や視域が比較的限定される携帯電話機やパーソナルコンピュータのディスプレイなどで実用化が進んできている。
【0006】
3次元立体映像を表示する表示装置としては、液晶表示装置や、自発光素子である有機EL(ELectro Luminescent)素子を用いた有機EL表示装置がある。有機EL表示装置には、自発光素子の周辺に反射層(リフレクタ)を設け、自発光素子による発光の光取り出し効率を向上させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−218296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
パララックスバリア方式やレンチキュラースクリーン方式では、水平方向または垂直方向のいずれか一方向に対して、左眼用映像と右眼用映像が表示される画素を交互に配置することによって、左眼用映像と右眼用映像が左右の眼それぞれに入るように分離される。そのため、バリアの縦縞が目立たないように非常に細かいレンズによるバリア加工を行うとともに、表示面に合わせてレンズやバリアを正確に位置合わせを行う必要がある。特に、液晶表示装置では、レンチキュラーレンズやパララックスバリアを形成したフィルムを、液晶の画素それぞれに対して正確に位置合わせを行う必要があることから、精密な加工が追加で必要なため、通常の表示装置に比してコストが増大するという問題があった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、裸眼方式による3次元立体映像の表示装置を容易に製造することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面の立体映像表示装置は、自発光素子を有する画素が縦横に複数配列された画素アレイ部と、前記画素からの光の光軸中心が所定の方向へ向かうように、前記画素の自発光素子の周囲に光出射方向に沿って突出するように立設されたリフレクタとを備え、左眼用映像を表示する前記画素の前記リフレクタは鑑賞者の左眼に、右眼用映像を表示する前記画素の前記リフレクタは鑑賞者の右眼に光軸中心が向かうよう前記リフレクタの傾斜が形成されている。
【0011】
本発明の一側面の立体映像表示装置の製造方法は、自発光素子を有する画素を縦横に複数配列し、前記画素の自発光素子の周囲に光出射方向に沿って突出するように立設されたリフレクタを形成し、左眼用映像を表示する前記画素の前記リフレクタは鑑賞者の左眼に、右眼用映像を表示する前記画素の前記リフレクタは鑑賞者の右眼に光軸中心が向かうよう前記リフレクタの傾斜を形成する。
【0012】
本発明の一側面においては、自発光素子を有する画素が縦横に複数配列され、画素の自発光素子の周囲に光出射方向に沿って突出するように立設されたリフレクタが形成され、左眼用映像を表示する画素のリフレクタは鑑賞者の左眼に、右眼用映像を表示する画素のリフレクタは鑑賞者の右眼に光軸中心が向かうようリフレクタの傾斜が形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、裸眼方式による3次元立体映像の表示装置を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のレンチキュラースクリーン方式を説明する図である。
【図2】従来のパララックスバリア方式を説明する図である。
【図3】本発明を適用した表示装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図4】画素の回路構成を示す図である。
【図5】画素アレイ部の断面図を示す図である。
【図6】画素アレイ部の一部を拡大した図である。
【図7】リフレクタの形状を示す斜視図である。
【図8】リフレクタの形成方法の例を示す図である。
【図9】リフレクタの形成例を示す図である。
【図10】左眼用画素と右眼用画素の第1の配列例を示す図である。
【図11】左眼用画素と右眼用画素の第2の配列例を示す図である。
【図12】左眼用画素と右眼用画素の第3の配列例を示す図である。
【図13】左眼用画素と右眼用画素の第3の配列例を示す図である。
【図14】本発明を適用した表示装置を有する電子機器としてのテレビジョン受像機を示す斜視図である。
【図15】本発明を適用した表示装置を有する電子機器としてのデジタルカメラを示す斜視図である。
【図16】本発明を適用した表示装置を有する電子機器としてのビデオカメラの外観図である。
【図17】本発明を適用した表示装置を有する電子機器としての携帯電話機の外観図である。
【図18】本発明を適用した表示装置を有する電子機器としてのノート型コンピュータを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本発明を適用した表示装置の構成例]
図3は、本発明を適用した表示装置の一実施の形態の構成例を示している。
【0016】
図3の表示装置1は、3次元立体映像を表示可能な立体映像表示装置であって、有機ELディスプレイと呼ばれる、発光素子として有機EL素子を用いたアクティブマトリックス方式の表示装置である。
【0017】
表示装置1の基板10は、画素アレイ部10aと周辺回路部10bとで構成されている。画素アレイ部10aには、複数の走査線11と複数の信号線12とが縦横に配線されている。そして、走査線11と信号線12の交差部に対応して1つの画素21が配置される形で、複数の画素21が縦横に配列されている。周辺回路部10bには、走査線11を走査駆動する走査線駆動回路13と、輝度情報に応じた映像信号(すなわち入力信号)を信号線12に供給する信号線駆動回路14とが配置されている。
【0018】
なお、画素アレイ部10aには、フルカラー対応の画像表示を行うために、R,G,Bの各色成分に対応した有機EL素子が混在しており、これらが所定規則に従いつつマトリクス状にパターン配列されているものとする。各有機EL素子の設置数および形成面積は、各色成分で同等とすることが考えられるが、例えば各色成分別のエネルギー成分に応じてそれぞれを相違させるようにしても構わない。
【0019】
[画素21の画素回路例]
図4は、画素21の回路構成例を示している。
【0020】
画素21は、自発光素子である有機EL素子22、駆動トランジスタTr1、書き込みトランジスタ(サンプリングトランジスタ)Tr2、および保持容量Csで構成されている。画素21では、走査線駆動回路13による駆動により、書き込みトランジスタTr2を介して信号線12から書き込まれた映像信号が保持容量Csに保持される。そして、保持された信号量に応じた電流が有機EL素子22に供給され、この電流値に応じた輝度で有機EL素子22が発光する。
【0021】
なお、以上のような画素回路の構成は、あくまでも一例であり、必要に応じて画素21内に容量素子を設けたり、さらに複数のトランジスタを設けて画素回路を構成してもよい。また、周辺回路部10bには、画素回路の変更に応じて必要な駆動回路を追加することができる。
【0022】
以上のような回路構成を有する表示装置1では、各画素21が、左眼用映像を表示する画素21(以下、左眼用画素21ともいう。)と、右眼用映像を表示する画素21(以下、右眼用画素21ともいう。)に分担される。そして、各画素21から出射された左眼用映像または右眼用映像の光が、それぞれ鑑賞者の左眼または右眼に入射されることにより、鑑賞者の裸眼による3次元立体映像の鑑賞を可能とする。
【0023】
[画素アレイ部10a前面の形状]
図5は、画素アレイ部10aの断面図を示している。
【0024】
画素アレイ部10aは、各画素21の前面に反射鏡の役割を果たすリフレクタ31を備えている。なお、図5では、画素アレイ部10aの両端の画素21とリフレクタ31のみ符号を付している。
【0025】
リフレクタ31は、図5に示されるように、左眼用画素21から出射された左眼用映像の光については鑑賞者の左眼の方向に、右眼用画素21から出射された右眼用映像の光については鑑賞者の右眼の方向に案内する。即ち、表示装置1は、左眼用映像と右眼用映像の光路をリフレクタ31によって分離することにより、鑑賞者の裸眼による3次元立体映像の鑑賞を可能とする。
【0026】
図6は、図5に示した画素アレイ部10aの一部を拡大した図である。
【0027】
図6に示されるように、リフレクタ31は、側面からみて台形状となるように所定の角度を持って形成されており、右眼用画素21からの光の中心光軸は、鑑賞者の右眼に、左眼用画素21からの光の中心光軸は鑑賞者の左眼に向いている。
【0028】
図5および図6は、画素アレイ部10aを垂直方向からみた場合の断面図であるが、水平方向からみた場合も図6と同様に、画素21上には鑑賞者の左眼または右眼に光軸中心が向かうようにリフレクタ31の傾斜が形成されている。
【0029】
図7は、所定の1つの画素21のリフレクタ31の形状を示す斜視図である。
【0030】
図7に示すように、1つの画素21に対して、リフレクタ31は、自動車のヘッドライトのように、有機EL素子22でなる発光面41を中心に円錐形状の鏡面となっている。また、リフレクタ31は、ヘッドライトの光軸としての角度を調整する機能をリフレクタ31の円錐形状の傾斜(角度)により決定している。リフレクタ31の円錐形状の傾斜は、表示装置1の大きさ、鑑賞者までの距離として設定した距離に応じて、画素21ごとに設定(変更)することが可能である。
【0031】
図8は、リフレクタ31の形成方法の例を示す図である。なお、図8では、簡単のため、リフレクタ31の円錐形状の傾斜は各画素均一として示している。
【0032】
各画素21の発光面41側が、接着剤層42および透明基板43によって覆われている。これら接着剤層42および透明基板43は、いずれも、光透過性を有している。ただし、透明基板43は、発光面41に対応して凹凸状に成型されており、その凹凸状の接着剤層42と透明基板43との界面の一部には、アルミニウム(Al)や銀(Ag)等といった光反射率の高い金属反射層または当該金属反射層を含む多層薄膜からなる光反射面31aが形成されている。
【0033】
即ち、リフレクタ31は、発光面41の周囲に光出射方向に沿って突出するように立設された接着剤層42の表面に、金属反射層または多層薄膜を被膜し、光反射面31aを形成することで構成することができる。そして、発光面41およびリフレクタ31の光反射面31aは、いずれも光透過性を有した透明基板43によって覆われている。その結果、発光面41からの光は、必要に応じてリフレクタ31の光反射面31aでの反射を経た後、透明基板43の表面から当該表面に接する空気層の側に向けて出射される。
【0034】
なお、上述した画素21は、いわゆるサブ画素であり、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの画素21により表示単位としての1画素(表示画素)が構成される。そのため、図9に示すように、R、G、Bを構成する3つの画素21ごとに、中心光軸を、鑑賞者の右眼方向または左眼方向とするように、リフレクタ31の傾斜を形成することもできる。
【0035】
[左眼用画素21と右眼用画素21の第1の配列例]
図10は、表示装置1における左眼用画素21および右眼用画素21の第1の配列例を示している。
【0036】
図10Aは、横方向に左眼用画素21と右眼用画素21を分離した配列例を示している。即ち、図10Aの配列例では、縦方向の1列が左眼用画素21の列または右眼用画素21の列となるように配置され、左眼用画素21の列と右眼用画素21の列が横方向に交互に配置されている。
【0037】
一方、図10Bは、縦方向に左眼用画素21と右眼用画素21を分離した配列例を示している。即ち、図10Bの配列例では、横方向の1列が左眼用画素21の列または右眼用画素21の列となるように配置され、左眼用画素21の列と右眼用画素21の列が縦方向に交互に配置されている。
【0038】
従来のレンチキュラースクリーン方式、パララックスバリア方式では、レンチキュラーレンズやパララックスバリアを縦または横の列単位で形成する。そのため、左眼用画素21と右眼用画素21の配列は、図10Aまたは図10Bに示したような、列単位で左眼用画素21と右眼用画素21に分離する配列例に限定される。
【0039】
しかし、このような配列例では、左眼用画素21と右眼用画素21を横方向に分離した場合には、水平解像度が半分となり、左眼用画素21と右眼用画素21を縦方向に分離した場合には、垂直解像度が半分となる。
【0040】
[左眼用画素21と右眼用画素21の第2の配列例]
表示装置1では、そのような問題を解決するため、図11に示すような、市松状に左眼用画素21と右眼用画素21を分離する配列が可能である。即ち、図11は、表示装置1による左眼用画素21と右眼用画素21の第2の配列例を示している。
【0041】
表示装置1では、左眼用画素21と右眼用画素21を市松状に配列させることにより、水平方向または垂直方向のどちらか一方のみの解像度を低下させることなく、裸眼による3次元立体映像の鑑賞を可能とする。即ち、解像度の劣化感を抑制した高品位な裸眼による3次元立体映像の鑑賞を可能とする。
【0042】
表示装置1は、図7を参照して説明したように、リフレクタ31の円錐形状の傾斜を画素21ごとに設定することが可能であるため、図11に示すような市松状の配列が可能である。レンチキュラーレンズやパララックスバリアを縦または横の列単位で形成する従来のレンチキュラースクリーン方式やパララックスバリア方式では、このような配列は困難である。
【0043】
また、従来の方式では、分離されて左眼または右眼の一方に入るべき左眼用映像および右眼用映像が両方の眼に入るというクロストークという現象を抑制するために、バリアの開口率を下げたり、バリアを二重にするなどの対策が必要となっていた。そのため、通常の2次元映像表示と比較して、3次元立体映像表示の高画質化が困難であった。しかしながら、表示装置1によれば、左眼用画素21と右眼用画素21を市松状に配列させることで解像度の劣化感を抑制することができるので、3次元立体映像表示の高画質化が可能である。
【0044】
[左眼用画素21と右眼用画素21の第3の配列例]
図12および図13は、表示装置1による左眼用画素21と右眼用画素21の第3の配列例を示している。
【0045】
最近の携帯電話機では、表示画面を回転させ、縦方向に長い画面による表示と横方向に長い画面による表示を用途等によって使い分けるものがある。しかし、図10および図11のような配列では、3次元立体映像の鑑賞が、縦方向に長い画面(第1の方向)か、または、横方向に長い画面(第1の方向と垂直な第2の方向)のどちらか一方に限定されてしまう。
【0046】
そこで、図12に示される第3の配列例では、上下左右の4方向に光の指向性を持たせるようにリフレクタ31を形成した4画素を1つのまとまりとして縦横に配列させた例が示されている。
【0047】
即ち、“RUx”の画素21が上方向、“RBx”の画素21が左方向、“LUx”の画素21が右方向、“LBx”の画素21が下方向の光の指向性となるように、各画素21上にリフレクタ31が形成されている。この場合、鑑賞者が横方向に長い画面として映像を見ている場合には、“RBx”と“LUx”の画素21が右眼用画素21または左眼用画素21として機能する。即ち、“RBx”の画素21の左方向または“LUx”の画素21の右方向とは、鑑賞者が横方向に長い画面として映像を見ている場合に鑑賞者の左眼または右眼に光軸中心が向くようにリフレクタ31が形成されていることを意味する。一方、鑑賞者が縦方向に長い画面として映像を見ている場合には、“LBx”と“RUx”の画素21が右眼用画素21または左眼用画素21として機能する。即ち、“LBx”の画素21の下方向または“RUx”の画素21が上方向とは、鑑賞者が縦方向に長い画面として映像を見ている場合に、鑑賞者の左眼または右眼に光軸中心が向くようにリフレクタ31が形成されていることを意味する。
【0048】
このように、図12に示した第3の配列とすることで、表示画面を回転させ、縦方向に長い画面による表示と横方向に長い画面による表示を用途等によって使い分ける場合であっても、その両方で、3次元立体映像の鑑賞が可能となる。
【0049】
図13は、表示装置1による左眼用画素21と右眼用画素21の第3の配列例のその他の例であって、8方向に光の指向性を持たせた配列例を示している。
【0050】
即ち、“RUx”の画素21が左上方向、“RCx”の画素21が左方向、“RBx”の画素21が左下方向、“CUx”の画素21が上方向、“CBx”の画素21が下方向の光の指向性となるように、各画素21上にリフレクタ31が形成されている。また、“LUx”の画素21が右上方向、“LCx”の画素21が右方向、“LBx”の画素21が右下方向の光の指向性となるように、各画素21上にリフレクタ31が形成されている。
【0051】
これにより、縦方向に長い画面による表示と横方向に長い画面による表示の中間的な位置であっても3次元立体映像の鑑賞が可能となり、360度のあらゆる視点で、3次元立体映像の鑑賞が可能となる。
【0052】
ここで、図12および図13に示した第3の配列例では、ある視点から画面を鑑賞した場合に、鑑賞者に視認されない画素21が存在することになる。例えば、図12の配列例において、表示装置1が横方向に長い画面による表示を行う場合には、“RBx”と“LUx”の画素21が右眼用画素21または左眼用画素21として機能するので、“LBx”と“RUx”の画素21からの光(映像)は鑑賞者には視認されない。この場合、表示装置1は、鑑賞者の視点から視認されない光の指向性を有する画素21については発光しないように制御することができる。即ち、表示装置1は、鑑賞者の視点に応じて、発光させる画素21を切り替える制御を行うようにすることができる。これにより、不要な発光を抑制し、表示装置1の消費電力を低減させることが可能である。
【0053】
以上のように、表示装置1では、各画素21の発光面41の周囲にリフレクタ31を設けることで、左眼用映像と右眼用映像の光路を分離する。これにより、鑑賞者の裸眼による3次元立体映像の鑑賞を可能とする。
【0054】
一般的に、各画素21の発光面41の周囲にリフレクタ31を設けることは、光の指向性が強調されることとなり、画面に対する視野角特性を低下させることになるため、表示装置としてはデメリットとなる。表示装置1では、そのデメリットとなる光の指向性の強調をさらに強め、左右それぞれの眼に入射される角度が光軸の中心となるようにリフレクタ31が形成される。これにより、裸眼による3次元立体映像の鑑賞を可能とする。
【0055】
表示装置1では、従来のパララックスバリア方式やレンチキュラースクリーン方式のように、特別なフィルムを貼り付ける必要がないので、各画素21から出射された光のロスが少ない。また、特別なフィルムを貼り付ける必要がないので、フィルムの正確な位置合わせ等を行う必要もなく、少ない製造工程かつ低コストで製造することができる。即ち、表示装置1によれば、裸眼方式による3次元立体映像の表示装置を容易に製造することができる。
【0056】
上述した表示装置1は、各種の電子機器の表示部として組み込まれて使用することができる。
【0057】
[表示装置1の適用例]
図14は、表示装置1を有した電子機器の一具体例であるテレビジョン受像機101を示す斜視図である。
【0058】
図14のテレビジョン受像機101は、フロントパネル103及びフィルターガラス105等で構成される表示画面107が配置される。表示画面107の部分を表示装置1で構成することができる。
【0059】
図15は、表示装置1を有した電子機器の一具体例であるデジタルカメラ111を示す斜視図である。図15では、表側から見た斜視図と裏側から見た斜視図が示されている。
【0060】
図15のデジタルカメラ111は、保護カバー113、撮像レンズ部115、表示画面117、コントロールスイッチ119及びシャッターボタン121で構成される。このうち、表示画面117の部分を表示装置1で構成することができる。
【0061】
図16は、表示装置1を有した電子機器の一具体例であるビデオカメラ131の外観構成例を示す図である。
【0062】
ビデオカメラ131は、本体133の前方に被写体を撮像する撮像レンズ135、撮影のスタート/ストップスイッチ137及び表示画面139で構成される。このうち、表示画面139の部分を表示装置1で構成することができる。
【0063】
図17は、表示装置1を有した電子機器の一具体例である携帯電話機141の外観構成例を示す図である。
【0064】
携帯電話機141は折りたたみ式であり、図17では、筐体を開いた状態と、折りたたんだ状態の外観例が示されている。
【0065】
携帯電話機141は、上側筐体143、下側筐体145、連結部(この例ではヒンジ部)147、表示画面149、補助表示画面151、ピクチャーライト153及び撮像レンズ155で構成される。このうち、表示画面149及び補助表示画面151の部分を表示装置1で構成することができる。
【0066】
図18は、表示装置1を有した電子機器の一具体例であるノート型コンピュータ161を示す斜視図である。
【0067】
ノート型コンピュータ161は、下側筐体163、上側筐体165、キーボード167及び表示画面169で構成される。このうち、表示画面169の部分を表示装置1で構成することができる。
【0068】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 表示装置, 10a 画素アレイ部, 21 画素, 31 リフレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光素子を有する画素が縦横に複数配列された画素アレイ部と、
前記画素からの光の光軸中心が所定の方向へ向かうように、前記画素の自発光素子の周囲に光出射方向に沿って突出するように立設されたリフレクタと
を備え、
左眼用映像を表示する前記画素の前記リフレクタは鑑賞者の左眼に、右眼用映像を表示する前記画素の前記リフレクタは鑑賞者の右眼に光軸中心が向かうよう前記リフレクタの傾斜が形成されている
立体映像表示装置。
【請求項2】
各画素の前記リフレクタの傾斜は、鑑賞者が第1の方向から画面を見た場合に鑑賞者の左眼または右眼に光軸中心が向く方向である左方向と右方向、および、鑑賞者が第1の方向と垂直な第2の方向から画面を見た場合に鑑賞者の左眼または右眼に光軸中心が向く方向である上方向と下方向の4方向のいずれかの傾斜を少なくとも有する
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
鑑賞者が所定の方向から表示画像を視認した場合に、前記4方向のうち、鑑賞者に視認されない光の指向性を有する前記画素は発光しないように制御する
請求項2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
左眼用映像を表示する前記画素と、右眼用映像を表示する前記画素が、市松状に配列されている
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
自発光素子を有する画素を縦横に複数配列し、
前記画素の自発光素子の周囲に光出射方向に沿って突出するように立設されたリフレクタを形成し、
左眼用映像を表示する前記画素の前記リフレクタは鑑賞者の左眼に、右眼用映像を表示する前記画素の前記リフレクタは鑑賞者の右眼に光軸中心が向かうよう前記リフレクタの傾斜を形成する
立体映像表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−47992(P2011−47992A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194188(P2009−194188)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】