説明

立体映像表示装置及び立体映像表示システム

【課題】シャッター式3Dメガネの電池が消耗してシャッター開閉動作が出来なくなった場合でも、ユーザーが正常な画像を視聴することが出来る立体映像表示装置及び立体映像表示システムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明の立体映像表示装置は、左眼用画像と右眼用画像をディスプレイ13に交互に表示するタイミングを生成するとともに、画像の表示に同期してシャッター式3Dメガネ11の左右シャッター個々の開閉動作を制御するシャッター制御信号を生成するタイミング生成部7と、シャッター制御信号をシャッター式3Dメガネ11に送信する送信部8と、シャッター式3Dメガネ11から応答信号を受信する受信部9と、受信部9でのシャッター式3Dメガネ11からの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方のみをディスプレイ13に順次表示する制御を行う制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像(以下、3D映像とも称する)を表示するデジタル放送受信機等の立体映像表示装置や、シャッター式3Dメガネを含む立体映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
両眼の位置の差から左眼と右眼には異なる画像が写っている。この見え方の違いが視差と呼ばれるものであり、左眼に写った画像と右眼に写った画像の視差により奥行き感を脳が認識し立体的に物を見ることができる。従来の立体映像表示装置では、ディスプレイに左眼用画像と右眼用画像を交互に出力し、表示の切り替えタイミングに同期してシャッター式3Dメガネの右眼用シャッターと左眼用シャッターを交互に開閉することにより、視聴者に立体映像を認識させる方式が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4251952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1ではディスプレイ側からシャッター式3Dメガネのシャッター開閉タイミングが一方的に通知されるため、シャッター式3Dメガネの電池が消耗してシャッター開閉動作を停止した場合でも、ディスプレイには左眼用画像と右眼用画像を交互に出力され続ける結果、ユーザーは2重に重なったぼやけた画像を視聴することとなるという問題があった。
【0005】
本発明は上述の問題点に鑑み、シャッター式3Dメガネの電池が消耗してシャッター開閉動作が出来なくなった場合でも、ユーザーが正常な画像(映像)を視聴することが出来る立体映像表示装置及び立体映像表示システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の立体映像表示装置は、シャッター式3Dメガネを着用して立体映像を視聴することが可能な映像をディスプレイに表示する立体映像表示装置であって、左眼用画像と右眼用画像をディスプレイに交互に表示するタイミングを生成するとともに、画像の表示に同期してシャッター式3Dメガネの左右シャッター個々の開閉動作を制御するシャッター制御信号を生成するタイミング生成部と、シャッター制御信号を前記シャッター式3Dメガネに送信する送信部と、シャッター式3Dメガネから応答信号を受信する受信部と、受信部でのシャッター式3Dメガネからの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方のみをディスプレイに順次表示する制御を行う制御部とを備える。
【0007】
また、本発明の立体映像表示システムは、立体映像表示装置とシャッター式3Dメガネとを備える立体映像表示システムである。シャッター式3Dメガネは、シャッター制御信号を立体映像表示装置から受信するシャッター制御信号受信部と、シャッター制御信号に基づき左右シャッター個々の開閉動作を行うシャッター駆動部と、シャッター式3Dメガネの電池電圧を検出する電圧検出部と、電池電圧と所定の閾値の比較結果に応じた応答信号を立体映像表示装置に送信する応答信号送信部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の立体映像表示装置は、シャッター式3Dメガネから応答信号を受信する受信部と、受信部でのシャッター式3Dメガネからの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方のみをディスプレイに順次表示する制御を行う制御部とを備える。シャッター式3Dメガネの電池電圧が所定値以下になったことを応答信号に反映させれば、電池が消耗してシャッター動作が出来なくなる場合にはどちらか一方の画像のみを表示させることによって、ユーザーが二重に重なった映像を視聴することを防ぐことが出来る。
【0009】
また、本発明の立体映像表示システムは、立体映像表示装置とシャッター式3Dメガネとを備え、シャッター式3Dメガネは、シャッター式3Dメガネの電池電圧を検出する電圧検出部と、電池電圧と所定の閾値の比較結果に応じた応答信号を立体映像表示装置に送信する応答信号送信部とを備える。応答信号を受信した立体映像表示装置は、シャッター式3Dメガネの電池電圧が所定の閾値を下回ったことを知ると、左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみをディスプレイに表示するようにすれば、電池が消耗してシャッター動作が出来なくなった場合に、ユーザーが二重に重なった映像を視聴することを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る立体映像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】フレームシーケンシャル方式の画像データを示す図である。
【図3】サイドバイサイド方式の画像データを示す図である。
【図4】トップアンドボトム方式の画像データを示す図である。
【図5】実施の形態1に係る立体映像表示システムの動作を示す図である。
【図6】実施の形態1に係るメガネ制御部の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1に係る立体映像表示システムの電池消耗時の動作を示す図である。
【図9】従来の立体映像表示装置のディスプレイ表示を示す図である。
【図10】本発明に係る立体映像表示装置のディスプレイ表示を示す図である。
【図11】実施の形態2に係る立体映像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態2に係るメガネ制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、実施の形態1に係る立体映像表示システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の立体映像表示システムは、例えばデジタル放送受信機よりなる立体映像表示装置とシャッター式の3Dメガネ11から構成される。
【0012】
まず立体映像表示装置の構成についてであるが、立体映像表示装置は、放送波から3D画像データを受信するアンテナ1、3D画像データが含む放送波で送るために変換された情報を送信前の状態に戻す復調部2、復調部2で復調した3D画像データを人が認識できる画像と音声にそれぞれ復号する画像復号部3、音声復号部14を備える。アンテナ1は、例えば地上デジタル放送を受信する市販の八木・宇田アンテナや、BSデジタル放送を受信するパラボラ型アンテナ等である。
【0013】
さらに、立体映像表示装置は、ディスプレイ13を備え、画像復号部3で復号された様々な伝送方式の3D画像データをディスプレイ13で表示可能なフォーマットに変換する画像フォーマット変換部4を備える。
【0014】
立体映像表示装置で表示する3D画像データはアンテナ1で受信したものに限らず、画像フォーマット変換部4は、再生装置12で再生される3D画像データをも、ディスプレイ13で表示可能なフォーマットに変換する。再生装置12は例えばブルーレイプレイヤー等の、ブルーレイディスクメディア再生装置である。再生装置12は立体映像表示装置の構成要素として図示しているが、装置に内蔵されている場合のみならず、装置の外部にあるものも含まれる。
【0015】
立体映像表示装置はさらに、左眼用画像格納部5、右眼用画像格納部6、タイミング生成部7、送信部8、受信部9、制御部10を備える。3D画像データは左眼用画像データと右眼用画像データで構成されており、左眼用画像格納部5には左眼用画像データが、右眼用画像格納部6には右眼用画像データがそれぞれ書き込まれる。書き込まれた画像データはディスプレイ13に表示されるが、タイミング生成部7は画像の表示タイミングに同期してディスプレイ13のバックライトのON/OFFを制御し、さらに画像の表示タイミングに同期して3Dメガネ11の左右シャッター個々の開閉動作を制御するシャッター制御信号を生成する。シャッター制御信号は送信部8から3Dメガネ11に送信され、これに従って左右シャッターの開閉が行われる。受信部9は3Dメガネ11からの応答信号を受信する。制御部10では立体映像表示装置各部の制御を行うソフトウェアが動作する。
【0016】
次に、3Dメガネ11の構成について説明する。3Dメガネ11は、シャッター制御信号受信部17、メガネ制御部15、シャッター駆動部19、電圧検出部16、応答信号生成部20、応答信号送信部18を備える。シャッター制御信号受信部17は、立体映像表示装置からシャッター制御信号を受信する。メガネ制御部15はシャッター制御信号受信部17で受信したシャッター制御信号に基づき、シャッター駆動部19を制御してシャッター開閉を行う。電圧検出部16はシャッターを駆動する電池電圧を検出する。メガネ制御部15はさらに、電圧検出部16で検出した電池電圧に応じて応答信号生成部20に応答信号の生成を指示し、これに従い応答信号生成部20は応答信号を生成する。応答信号送信部18は、応答信号を立体映像表示装置の受信部9に送信する。
【0017】
<動作>
3D画像データには様々な伝送方式がある。図2に、ブルーレイ規格(フレームシーケンシャル方式)で伝送される3D画像データを示す。3D画像データは左眼用画像データと右眼用画像データが時分割で伝送され、それぞれ1920×1080画素で構成される。
【0018】
画像フォーマット部4は、このような3D画像データを読み込むと、1920×1080画素のまま、左眼用画像データを左眼用画像格納部5へ、右眼用画像データを右眼用画像格納部6へ左眼用画像データから1/240秒の間隔をあけて、それぞれ書き込む。
【0019】
タイミング生成部7は、いずれかの画像データ書き込み完了に同期してディスプレイ13のバックライトを点灯させ、いずれかの画像データ書き込み開始に同期してバックライトを消灯させる。画像データ格納部5,6に書き込まれた画像データは、そのままの時間間隔でディスプレイに表示される。右眼用画像データと左眼用画像データが1/240秒毎に交互に書き込まれるため、ディスプレイ13には1920×1080画素のHD(High Definition)画像である左眼用画像と右眼用画像が、それぞれ1/120秒ごとに切り替えられて順次表示される。
【0020】
タイミング生成部7は、左眼用画像と右眼用画像の切り替わりに同期して3Dメガネ11のシャッター制御信号を生成し、送信部8からこれを送信する。左眼用画像がディスプレイ13に表示されている間、3Dメガネ11のシャッター駆動部19は左眼のシャッターを開き右眼のシャッターを閉じる。逆に、右眼用画像がディスプレイ13に表示されている間は、右眼のシャッターを開き左眼のシャッターを閉じる。
【0021】
次に、放送で配信される3D番組の画像データの伝送方式について説明する。図3は放送で配信される3D番組の伝送方式の代表例のひとつであるサイドバイサイド方式により伝送される3D画像データを示す。ブルーレイ規格の3D画像データの伝送方式と異なる点は、横方向がHD画像の1/2の画素にあたる960×1080画素を左右に並べた構成になることである。
【0022】
画像フォーマット変換部4は、このような960×1080画素からなる左眼用画像データと右眼用画像データを読み込むと、左眼用画像データを横方向へ拡大し画素補完を実施して1920×1080画素の左眼用画像データに変換し、左眼用画像格納部5へ書き込む。右眼用画像データについても同様にして画素補完を実施し、1920×1080画素に変換して右眼用画像格納部6に書き込む。左眼用画像格納部5への書き込みと右眼用画像格納部6への書き込みは1/240秒の間隔をあけて実施する。
【0023】
以降は、ブルーレイ規格の伝送方式の3D画像データの場合と同様に、タイミング生成部7は、画像データの書き込みに同期してディスプレイ13のバックライトのON/OFFを制御し、さらにシャッター制御信号を生成する。ディスプレイ13には1920×1080画素のHD画像である左眼用画像と右眼用画像が、それぞれ1/120秒ごとに切り替えられて順次表示される。
【0024】
次に、放送で配信される3D番組の伝送方式のもう一つの代表例であるトップアンドボトム方式により伝送される3D画像データを図4に示す。ブルーレイ規格の3D画像データの伝送方式と異なる点は、縦方向がHD画像の1/2の画素のあたる1920×540画素を上下に並べた構成になることである。
【0025】
画像フォーマット変換部4は、このような1920×540画素からなる左眼用画像データと右眼用画像データを読み込むと、左眼用画像データを縦方向へ拡大し画素補完を実施し1920×1080画素の左眼用画像データに変換し、左眼用画像格納部5へ書き込む。右眼用画像データについても同様にして画素補完を実施し、1920×1080画素のデータを右眼用画像格納部6に書き込む。左眼用画像格納部5への書き込みと右眼用画像格納部6への書き込みは1/240秒の間隔をあけて実施する。
【0026】
以降は、ブルーレイ規格の伝送方式の3D画像データの場合と同様に、タイミング生成部7は、画像データの書き込みに同期してディスプレイ13のバックライトのON/OFFを制御し、さらにシャッター制御信号を生成する。ディスプレイ13には1920×1080画素のHD画像である左眼用画像と右眼用画像が、それぞれ1/120秒ごとに切り替えられて順次表示される。
【0027】
図5は、上記の動作、すなわち3D画像を表示する際の各画像データの書き込み、ディスプレイ13のバックライトのON/OFF、3Dメガネ11のシャッター開閉のタイミングを示したものである。画像フォーマット変換部4が左眼用画像データを左眼用画像格納部5へ書き終えると、バックライトが点灯し左眼用画像がディスプレイ13に表示される。それと同時に、3Dメガネ11の左眼用のシャッターのみが開く。このとき、ユーザーは左眼用画像を左眼だけで見ている。
【0028】
次に、画像フォーマット変換部4が右眼用画像データを右眼用画像格納部6へ書き始めると、ディスプレイ13のバックライトは消灯し、3Dメガネ11の左眼用シャッターが閉じる。右眼用画像データの書き込みが終わると、バックライトは点灯し、右眼用シャッターのみが開く。このとき、ユーザーは右眼用画像を右眼だけで見ている。
【0029】
上記動作を繰り返すことにより、ユーザーは交互に左眼用画像と右眼用画像を見ることになり、左眼に映った画像と右眼に映った画像の視差により奥行き感を脳が認識し、立体的に物を見ることが出来る。
【0030】
図6は、メガネ制御部15の動作を示すフローチャートである。メガネ制御部15はシャッター制御信号受信部17でシャッター制御信号を受信したことを検出すると(ステップS1)、電圧検出部16からシャッターを駆動する電池の電圧を読み出す(ステップS2)。電池電圧を予め設定していた閾値と比較し(ステップS3)、閾値以上の値であれば、応答信号生成部20に正常パターンの応答信号を設定させる(ステップS4)。応答信号は応答信号送信部18から送信される(ステップS5)。また、メガネ制御部15はシャッター制御信号に従いシャッター駆動部19にシャッターの開閉を実施させる(ステップS6)。
【0031】
ステップS3で電池電圧が閾値より小さい値であれば、応答信号生成部20に異常パターンの応答信号を設定させる(ステップS7)。応答信号は応答信号送信部18から送信される(ステップS8)。また、メガネ制御部15はシャッター駆動部19を制御し、シャッター駆動部19は左右のシャッターを開いた状態で開閉動作を停止させる(ステップS9)。
【0032】
図7は、立体映像表示装置の制御部10の動作を示すフローチャートである。まず、3Dメガネ11の電池残量が十分な場合の動作について説明する。画像フォーマット変換部4が左眼用画像データを左眼用画像格納部5に書き終えると(ステップS11)、制御部10はタイミング生成部7を制御してディスプレイ13のバックライトを点灯させ(ステップS12)、左眼用シャッターを開くよう指示するシャッター制御信号を送信部8から送信させる(ステップS13)。次に、3Dメガネ11からの応答信号の有無を確認し(ステップS14)、正常パターンの応答信号を検出すれば、3Dメガネ11のシャッター動作が正常に機能してユーザーは立体映像を視聴していると判断する。次に、タイミング生成部7を制御してディスプレイ13のバックライトを消灯させ(ステップS17)、画像フォーマット変換部4に右眼用画像データを右眼用画像格納部6へ書き込ませる(ステップS18)。
【0033】
右眼用画像データの書き込みが完了すると(ステップS19)、タイミング生成部7を制御してディスプレイ13のバックライトを点灯させ(ステップS20)、右眼用シャッターを開くよう指示するシャッター制御信号を送信部8から送信させる(ステップS21)。次に、3Dメガネ11からの応答信号の有無を確認し(ステップS22)、正常パターンの応答信号を検出すれば、3Dメガネ11のシャッター動作が正常に機能してユーザーは立体映像を視聴していると判断する。次に、タイミング生成部7を制御してディスプレイ13のバックライトを消灯させ(ステップS25)、画像フォーマット変換部4に左眼用画像データを左眼用画像格納部5へ書き込ませる(ステップS26)。
【0034】
次に、3Dメガネ11の電池の残量が少なくなった場合の説明をする。画像フォーマット変換部4が左眼用画像データを左眼用画像格納部5に書き終えると(ステップS11)、制御部10はタイミング生成部7を制御してディスプレイ13のバックライトを点灯させ(ステップS12)、左眼用シャッターを開くよう指示するシャッター制御信号を送信部8から送信させる(ステップS13)。次に、3Dメガネ11からの応答信号の有無を確認し(ステップS14)、異常パターンの応答信号であれば電池残量が少ないと判断し(ステップS15)、ディスプレイ13に電池交換メッセージを表示させる(ステップS16)。このように、受信部9での3Dメガネ11からの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、制御部10は、電池交換を促す画像をディスプレイ13に表示する制御を行う。異常パターンの応答信号も検出しない場合は、3Dメガネ11の電池残量がないため応答信号が送出されなくなったと判断しても良い。なお、この場合にもディスプレイ13に電池交換メッセージを表示しても良い。次に、タイミング生成部7を制御してディスプレイ13のバックライトを消灯させる(ステップS25)。また、制御部10は画像フォーマット変換部4に左眼用画像データを左眼用画像格納部5へ書き込ませる(ステップS26)。次に左眼用画像データの書き込み完了を待つ(ステップS11に戻る)。
【0035】
右眼用画像を表示する際に電池残量が少なくなった場合も、左眼用画像の場合と同様の動作を行う。画像フォーマット変換部4が右眼用画像データを右眼用画像格納部6に書き終えると(ステップS19)、制御部10はタイミング生成部7を制御してディスプレイ13のバックライトを点灯させ(ステップS20)、右眼用シャッターを開くよう指示するシャッター制御信号を送信部8から送信させる(ステップS21)。次に、3Dメガネ11からの応答信号の有無を確認し(ステップS22)、異常パターンの応答信号であれば電池残量が少ないと判断し(ステップS23)、ディスプレイ13に電池交換メッセージを表示させる(ステップS24)。異常パターンの応答信号も検出しない場合は、3Dメガネ11の電池残量がないため応答信号が送出されなくなったと判断しても良い。なお、この場合にもディスプレイ13に電池交換メッセージを表示しても良い。次に、タイミング生成部7を制御してディスプレイ13のバックライトを消灯させる(ステップS17)。また、制御部10は画像フォーマット変換部4に右眼用画像データを右眼用画像格納部6へ書き込ませる(ステップS18)。次に右眼用画像データの書き込み完了を待つ(ステップS19に戻る)。
【0036】
このように、本実施の形態の立体映像表示装置、立体映像表示システムでは、左眼用画像と右眼用画像をディスプレイに交互に表示するタイミングを生成するとともに、画像の表示に同期してシャッター式3Dメガネ11の左右シャッター個々の開閉動作を制御するシャッター制御信号を生成するタイミング生成部7と、シャッター制御信号をシャッター式3Dメガネ11に送信する送信部8と、シャッター式3Dメガネ11から応答信号を受信する受信部9と、受信部9でのシャッター式3Dメガネ11からの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方のみをディスプレイ13に順次表示する制御を行う制御部10とを備える。また、ここで応答信号の受信態様が所定のものであるとは、応答信号が所定の異常パターンの信号である場合や、応答信号を受信しなくなった場合を含む。
【0037】
また、シャッター式の3Dメガネ11は、シャッター制御信号を立体映像表示装置から受信するシャッター制御信号受信部17と、シャッター制御信号に基づき左右シャッター個々の開閉動作を行うシャッター駆動部19と、3Dメガネ11の電池電圧を検出する電圧検出部16と、電池電圧と所定の閾値の比較結果に応じた応答信号を立体映像表示装置に送信する応答信号送信部18とを備える。そして、応答信号は、電池電圧が所定の閾値より大きい場合に所定の正常パターンの信号、小さい場合に所定の異常パターンの信号であることを特徴とする。
【0038】
このように、3Dメガネ11の電池残量が少なくなるか完全に無くなると、画像フォーマット変換部4は左眼用画像データの書き込みを繰り返す。あるいは、右眼用画像データを表示している間に電池残量が少なくなるか完全に無くなった場合、画像フォーマット変換部4は右眼用画像データの書き込みを繰り返す。こうして、左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみがディスプレイ13に順次表示されるため、2重に重なったぼやけた画像にはならずユーザーは適切な画像を視聴することができる。
【0039】
図8に、電池残量が少なくなるか完全に無くなった場合の、画像フォーマット変換部4が出力する画像データとディスプレイ13のバックライトのON/OFF、3Dメガネ11のシャッター開閉タイミングを示す。
【0040】
画像フォーマット変換部4は左眼用画像データの左眼用画像格納部5への書き込みを繰り返す。バックライトは左眼用画像データの書き込み中は消灯するが、書き込みが終わると点灯して左眼用画像がディスプレイ13に表示される。3Dメガネ11は電池が消耗した状態にあるためシャッターの開閉動作を行わず、左右両方のシャッターを開いた状態に維持する。このとき、ユーザーは常に左眼用画像を両方の眼で見ることになるため、2重に重なったぼやけた画像とはならない。
【0041】
図9は従来の立体映像表示装置のディスプレイ表示、図10は本実施の形態の立体映像表示装置のディスプレイ表示を示す。3Dメガネ11の電池残量が十分にある状態では、図9、図10の左図にそれぞれ示すように左眼用画像と右眼用画像をディスプレイに交互に表示させて、ユーザーは立体映像を見る。しかし、3Dメガネ11の電池残量が少なくなってシャッター開閉動作が出来なくなった場合にまで左眼用画像と右眼用画像を交互に表示させると、ユーザーは両方の画像を両目で見ることとなり、図9の右図に示すように、二重にぼやけた文字「あ」を見ることになってしまう。本実施の形態の立体映像表示装置ではこのような場合に、左眼用画像か右眼用画像のどちらか一方のみを表示させることにより、図10の右図に示すように文字「あ」は二重に重なることがなく、ぼやけのない画像をユーザーに見せることが可能である。
【0042】
<効果>
本実施の形態の立体映像表示装置では、以下の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の立体映像表示装置は、シャッター式の3Dメガネ11を着用して立体映像を視聴することが可能な映像をディスプレイ13に表示するものである。そして、左眼用画像と右眼用画像をディスプレイに交互に表示するタイミングを生成するとともに、画像の表示に同期して3Dメガネ11の左右シャッター個々の開閉動作を制御するシャッター制御信号を生成するタイミング生成部7と、シャッター制御信号を3Dメガネ11に送信する送信部8と、3Dメガネ11から応答信号を受信する受信部9と、受信部9での3Dメガネ11からの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方のみをディスプレイ13に順次表示する制御を行う制御部10とを備える。ここで、3Dメガネ11のシャッターを駆動する電池電圧が閾値より低くなった場合に、これが応答信号に反映されるとすれば、3Dメガネ11の電池が消耗しても、左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみを表示させることによって、ユーザーはブレのない映像を視聴することが可能になる。
【0043】
そして、上述の応答信号の受信態様が所定のものであるとは、応答信号が所定の異常パターンの信号である場合や、応答信号を受信しなくなった場合を含む。3Dメガネ11のシャッターを駆動する電池電圧が閾値より低くなった場合に、所定の異常パターンを応答信号として立体映像表示装置に送信する、あるいは応答信号を送信しない構成とすれば、この場合にディスプレイ13には左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみが表示されるため、ユーザーはブレのない映像を視聴することが可能になる。
【0044】
本実施の形態の立体映像表示システムによれば、以下の効果を奏する。立体映像表示システムは、立体映像表示装置とシャッター式の3Dメガネ11を備えるものである。3Dメガネ11は、シャッター制御信号を立体映像表示装置から受信するシャッター制御信号受信部17と、シャッター制御信号に基づき左右シャッター個々の開閉動作を行うシャッター駆動部19と、3Dメガネ11の電池電圧を検出する電圧検出部16と、電池電圧と所定の閾値の比較結果に応じた応答信号を立体映像表示装置に送信する応答信号送信部18とを備える。よって、立体映像表示装置は応答信号を通して3Dメガネ11の電池が消耗しているか否かを把握でき、消耗した場合に左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみを表示することによって、ユーザーはブレのない映像を視聴することが可能になる。
【0045】
そして、応答信号は、電池電圧が所定の閾値より大きい場合に所定の正常パターンの信号、小さい場合に所定の異常パターンの信号であるものとする。立体映像表示装置は、3Dメガネ11から異常パターンの応答信号を受信すると左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみを表示することによって、ユーザーはブレのない映像を視聴することが可能になる。
【0046】
また、受信部9での3Dメガネ11からの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、制御部10は、電池交換を促す画像をディスプレイ13に表示する制御を行う。これにより、ユーザーは3Dメガネ11の電池が消耗したことを把握し、電池交換を行うきっかけとなる。
【0047】
さらに、シャッター駆動部19は、電池電圧が所定の閾値より小さくなると、左右のシャッターを開いた状態にして開閉動作を停止する。これにより、電池が消耗するとシャッター開閉動作を行わずユーザーは3Dメガネ11を着用していても常に両目で画像を見ることになるが、左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみがディスプレイ13に表示されるため、ユーザーはブレのない映像を視聴することが可能になる。
【0048】
(実施の形態2)
<構成>
図11は、実施の形態2の立体映像表示システムの構成を示すブロック図である。3Dメガネ11が応答信号生成部20を備えない点が、実施の形態1とは異なる。応答信号送信部18はシャッターを駆動する電池電圧が所定の閾値より大きい場合に応答信号を立体映像表示装置へ送信し、電池電圧が閾値より小さい場合には応答信号を送信しない。これ以外の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
<動作>
図12は、本実施の形態のメガネ制御部10の動作を示すフローチャートである。3Dメガネ11のメガネ制御部15は、シャッター制御信号受信部17でシャッター制御信号を受信したことを検出すると(ステップS31)、電圧検出部16からシャッターを駆動する電池の電圧を読み出す(ステップS32)。次に、電池電圧を予め設定していた閾値と比較する(ステップS33)。電池電圧が閾値以上の値であれば、応答信号送信部18から応答信号を送信させ(ステップS35)、シャッター制御信号に従いシャッター駆動部19にシャッターの開閉を実施させる(ステップS36)。電池電圧が閾値未満の値であれば、応答信号送信部18に応答信号を強制停止させ(ステップS38)、シャッター駆動部19に左右のシャッターを開いた状態にして開閉制御を停止する。
【0050】
このように、応答信号は電池電圧が所定の閾値より大きい場合にのみ立体映像表示装置に送信されるため、立体映像表示装置は、3Dメガネ11から応答信号を受信しない場合に左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみを表示することによって、ユーザーはブレのない映像を視聴することが可能になる。
【0051】
<効果>
本実施の形態によれば、既に述べたように以下の効果を奏する。すなわち、応答信号は、電池電圧が所定の閾値より大きい場合にのみ立体映像表示装置に送信される。そのため、立体映像表示装置は、3Dメガネ11から応答信号を受信しない場合に左眼用画像か右眼用画像のいずれか一方のみを表示することによって、3Dメガネ11の電池が消耗した場合でもユーザーはブレのない映像を視聴することが可能になる。
【符号の説明】
【0052】
1 アンテナ、2 復調部、3 画像復号部、4 画像フォーマット変換部、5 左眼用画像格納部、6 右眼用画像格納部、7 タイミング生成部、8 送信部、9 受信部、10 制御部、11 3Dメガネ、12 再生装置、13 ディスプレイ、14 音声復号部、15 メガネ制御部、16 電圧検出部、17 シャッター制御信号受信部、18 応答信号送信部、19 シャッター駆動部、20 応答信号生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッター式3Dメガネを着用して立体映像を視聴することが可能な映像をディスプレイに表示する立体映像表示装置であって、
左眼用画像と右眼用画像をディスプレイに交互に表示するタイミングを生成するとともに、前記画像の表示に同期して前記シャッター式3Dメガネの左右シャッター個々の開閉動作を制御するシャッター制御信号を生成するタイミング生成部と、
前記シャッター制御信号を前記シャッター式3Dメガネに送信する送信部と、
前記シャッター式3Dメガネから応答信号を受信する受信部と、
前記受信部での前記シャッター式3Dメガネからの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、前記左眼用画像又は前記右眼用画像のいずれか一方のみを前記ディスプレイに順次表示する制御を行う制御部とを備えることを特徴とする、立体映像表示装置。
【請求項2】
前記応答信号の受信態様が所定のものである場合は、前記応答信号が所定の異常パターンの信号である場合、または前記応答信号を受信しなくなった場合を含む、請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の立体映像表示装置と、シャッター式3Dメガネとを備える立体映像表示システムであって、
前記シャッター式3Dメガネは、
前記シャッター制御信号を前記立体映像表示装置から受信するシャッター制御信号受信部と、
前記シャッター制御信号に基づき左右シャッター個々の開閉動作を行うシャッター駆動部と、
前記シャッター式3Dメガネの電池電圧を検出する電圧検出部と、
前記電池電圧と所定の閾値の比較結果に応じた前記応答信号を前記立体映像表示装置に送信する応答信号送信部とを備えることを特徴とする、立体映像表示システム。
【請求項4】
前記応答信号は、前記電池電圧が所定の閾値より大きい場合に所定の正常パターンの信号、小さい場合に所定の異常パターンの信号であることを特徴とする、請求項3に記載の立体映像表示システム。
【請求項5】
前記応答信号は、前記電池電圧が所定の閾値より大きい場合にのみ前記立体映像表示装置に送信されることを特徴とする、請求項3に記載の立体映像表示システム。
【請求項6】
前記受信部での前記シャッター式3Dメガネからの応答信号の受信態様が所定のものである場合に、前記制御部は、電池交換を促す画像を前記ディスプレイに表示する制御を行うことを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の立体映像表示システム。
【請求項7】
前記シャッター駆動部は、前記電池電圧が所定の閾値より小さくなると、左右のシャッターを開いた状態にして開閉動作を停止することを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載の立体映像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−239129(P2011−239129A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107929(P2010−107929)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】