説明

立体映像表示装置

【課題】立体映像表示時および平面映像表示時の双方において高い輝度および解像度を有する映像を表示可能な立体映像表示装置を得る。
【解決手段】立体映像表示装置100は、複数の第1サブピクセル10を含み平面映像および複数の視差画像を選択的に表示する第1液晶ディスプレイ110と、複数の第2サブピクセル20を含み透過部20Aおよび遮蔽部20Bを有するパララックスバリアを表示可能な第2液晶ディスプレイ120と、各液晶ディスプレイ110,120間に均一な間隙を形成するスペーサとを備える。各サブピクセル10,20の解像度とは同一である。立体映像表示装置100が立体映像を表示する際には、1つの第1サブピクセル10に対して1つの第2サブピクセル20が一対一で対応するように、複数の第2サブピクセル20は複数の第1サブピクセル10に対して透過部20Aまたは遮蔽部20Bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置に関し、特に、立体映像(2D映像)および平面映像(3D映像)を選択的に表示することが可能な立体映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
専用の眼鏡を使用しないで立体映像を表示することができる方法の一つとして、パララックスバリア方式が知られている。パララックスバリア方式においては、視点数に応じた視差画像を表示する映像表示用ディスプレイと観察者との間に、複数のスリット(透過部)を有するパララックスバリアが配置される。
【0003】
パララックスバリアに対向配置された映像表示用ディスプレイには、右眼用の視差画像と左眼用の視差画像とがそれぞれ表示される。映像表示用ディスプレイに映し出された右眼用の視差画像は、パララックスバリアに設けられたスリットを通過した後、観察者の右眼によって観察される。映像表示用ディスプレイに映し出された左眼用の視差画像は、パララックスバリアに設けられたスリットを通過した後、観察者の左眼によって観察される。観察者は、映像表示用ディスプレイに映し出された複数の視差画像を、パララックスバリアを通して立体映像として認識することができる。
【0004】
従来の立体映像表示装置においては、常時、パララックスバリアが観察者と映像表示用ディスプレイとの間に存在する。立体映像表示装置が平面映像を表示する場合、映像表示用ディスプレイに映し出された平面映像の一部は、パララックスバリアによって遮蔽(遮光)される。当該遮蔽によって、映像表示装置としての解像度が低下する。
【0005】
これに対して、特許第2857429号公報(特許文献1)および特許第4531644号公報(特許文献2)に開示されるように、パララックスバリアを電子的に発生させる立体映像表示装置が知られている。このような立体映像表示装置は、平面映像を表示する場合、パララックスバリアを非表示に切り替える。映像表示用ディスプレイに映し出された平面映像がパララックスバリアによって遮蔽されないため、映像表示装置としての解像度の低下は抑制されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2857429号公報
【特許文献2】特許第4531644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パララックスバリアを非表示に切り替えることによって立体映像および平面映像を選択的に表示することができる立体映像表示装置においても、立体映像表示時および平面映像表示時に、高い輝度および高い解像度を有する映像を表示することが望まれる。
【0008】
したがって本発明は、立体映像および平面映像を選択的に表示することができる立体映像表示装置であって、立体映像表示時においても平面映像表示時においても、より高い輝度およびより高い解像度を有する映像を表示することが可能な立体映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく立体映像表示装置は、立体映像および平面映像を選択的に表示することが可能な立体映像表示装置であって、水平方向および垂直方向に並んで配列された複数の第1サブピクセルを含み、水平方向の同一列上には各色の上記第1サブピクセルが周期的に配置され、垂直方向の同一列上には同一色の上記第1サブピクセルが配置され、複数の上記第1サブピクセルの動作によって、立体視の視点の数に応じた複数の視差画像を表示する状態と、平面映像を表示する状態とをそれぞれ選択的に形成する第1液晶ディスプレイと、水平方向および垂直方向に並んで配列された複数の第2サブピクセルを含み、複数の上記第2サブピクセルの動作によって、複数の上記視差画像の数に応じた複数の透過部および複数の遮蔽部をそれぞれ有するパララックスバリアを表示する状態と、上記第1液晶ディスプレイに表示された平面映像をそのまま透過させる状態とをそれぞれ選択的に形成する第2液晶ディスプレイと、互いに対向配置される上記第1液晶ディスプレイと上記第2液晶ディスプレイとの間に配置され、上記第1液晶ディスプレイと上記第2液晶ディスプレイとの間に均一な間隙を形成するスペーサと、を備え、上記第1液晶ディスプレイにおける複数の上記第1サブピクセルの解像度と上記第2液晶ディスプレイにおける複数の上記第2サブピクセルの解像度とは同一であり、上記立体映像表示装置が立体映像を表示する際には、1つの上記第1サブピクセルに対して1つの上記第2サブピクセルが一対一で対応するように、複数の上記第2サブピクセルが複数の上記第1サブピクセルに対して上記透過部または上記遮蔽部を形成する。
【0010】
好ましくは、上記立体映像表示装置が立体映像を表示する際には、複数の上記第2サブピクセルの動作によって、上記視差画像に対応するように千鳥状に配列された複数の上記透過部を有する上記パララックスバリアが形成される。
【0011】
好ましくは、上記立体映像表示装置が立体映像を表示する際には、複数の上記第2サブピクセルの動作によって、上記視差画像に対応するように階段状に配列された複数の上記透過部を有する上記パララックスバリアが形成される。
【0012】
好ましくは、上記立体映像表示装置が立体映像を表示する際において、視差数をnとし、上記透過部を構成する上記第2サブピクセルのサイズをPdとした場合、上記第2サブピクセルによって形成される上記透過部の上記遮蔽部に対する配列周期Pbは、
Pb=n×Pd
の式を満足するように構成される。
【0013】
好ましくは、上記立体映像表示装置が立体映像を表示する際には、複数の上記透過部に隣接する上記第2サブピクセルに、半透明部が形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、立体映像および平面映像を選択的に表示することができる立体映像表示装置であって、立体映像表示時においても平面映像表示時においても、より高い輝度およびより高い解像度を有する映像を表示することが可能な立体映像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態における立体映像表示装置の分解した状態を示す斜視図である。
【図2】実施の形態における立体映像表示装置の組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図3】実施の形態における立体映像表示装置に備えられる第1液晶ディスプレイおよび第2液晶ディスプレイを示す正面図である。
【図4】実施の形態における立体映像表示装置が立体映像を表示している際の様子を示す斜視図である。
【図5】実施の形態の第1変形例における立体映像表示装置に備えられる第1液晶ディスプレイおよび第2液晶ディスプレイを示す正面図である。
【図6】実施の形態の第1変形例における立体映像表示装置が立体映像を表示している際の様子を示す正面図である。
【図7】実施の形態の第2変形例における立体映像表示装置に備えられる第1液晶ディスプレイおよび第2液晶ディスプレイを示す正面図である。
【図8】実施の形態の第2変形例における立体映像表示装置が立体映像を表示している際の様子を示す正面図である。
【図9】実施の形態の第3変形例における立体映像表示装置に備えられる第1液晶ディスプレイおよび第2液晶ディスプレイを示す正面図である。
【図10】実施の形態の第3変形例における立体映像表示装置が立体映像を表示している際の様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に基づいた実施の形態および各変形例について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態および各変形例の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態および各変形例の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0017】
図1および図2を参照して、実施の形態における立体映像表示装置100について説明する。図1は、立体映像表示装置100の分解した状態を示す斜視図である。図2は、立体映像表示装置100の組み立てられた状態を示す斜視図である。
【0018】
図1に示すように、立体映像表示装置100は、第1液晶ディスプレイ110、第2液晶ディスプレイ120、およびスペーサ130を備える。
【0019】
(第1液晶ディスプレイ110)
第1液晶ディスプレイ110は、背面側に設けられた本体部112と、正面側に設けられた取り付け枠部114と、取り付け枠部114の内側において平面状に並んで配列された複数の第1サブピクセル10と、から構成される。本体部112の内部には、背面側から複数の第1サブピクセル10に向かって光を照射するバックライト(図示せず)が設けられる。
【0020】
複数の第1サブピクセル10を構成する部材としては、たとえば、画面サイズが32インチの映像表示用液晶ディスプレイ(シャープ株式会社製:4PN−T321など)を用いることが可能である。
【0021】
複数の第1サブピクセル10は、水平方向および垂直方向のそれぞれに並んで全体としてマトリックス状に配列される。詳細は後述されるが、水平方向の同一列上には、各色の第1サブピクセル10が周期的に配置される。垂直方向の同一列上には、同一色の第1サブピクセル10が配置される。複数の第1サブピクセル10のうち、たとえば赤色、緑色、および青色の3つの第1サブピクセル10(画素)によって、1つのピクセル(絵素)が構成される。
【0022】
複数の第1サブピクセル10の各々は、透明画素電極(図示せず)と、透明共通電極(図示せず)と、RGBカラーフィルタとを含む。透明画素電極および透明共通電極は、液晶(図示せず)を挟んで互いに対向するように配置される。透明画素電極には、スイッチング用の薄膜トランジスタ(図示せず)が接続される。薄膜トランジスタのスイッチング動作によって、透明画素電極に対して映像信号電圧が印加され、第1サブピクセル10が駆動される。
【0023】
透明画素電極と透明共通電極との間に発生した電位差によって、光学的異方性と分極性質とを有する液晶分子が励起される。各々の第1サブピクセル10における液晶分子同士の間には、透過率の差が生じる。複数の第1サブピクセル10は、バックライトの光からの光を受けて、各々の透過率および各々のカラーフィルタの色に応じて発色する。
【0024】
第1液晶ディスプレイ110は、薄膜トランジスタのスイッチング動作に合わせて複数の第1サブピクセル10が駆動されることよって、立体視の視点の数に応じた複数の視差画像を表示する状態と、全体として1つの平面映像を表示する状態とをそれぞれ選択的に形成することができる。
【0025】
(第2液晶ディスプレイ120)
第2液晶ディスプレイ120は、外周側に設けられた枠体部122と、枠体部122の内側において平面状に配列された複数の第2サブピクセル20と、から構成される。複数の第2サブピクセル20を構成する部材としては、第1サブピクセル10の場合と同様に、画面サイズが32インチの映像表示用液晶ディスプレイ(シャープ株式会社製:4PN−T321など)を用いることが可能である。第2液晶ディスプレイ120には、RGBカラーフィルタは設けられない。
【0026】
複数の第2サブピクセル20は、水平方向および垂直方向のそれぞれに並んで全体としてマトリックス状に配列される。立体映像表示装置100においては、第1液晶ディスプレイ110における複数の第1サブピクセル10の解像度と第2液晶ディスプレイ120における複数の第2サブピクセル20の解像度とが同一に構成される。
【0027】
複数の第2サブピクセル20の各々は、透明画素電極(図示せず)と、透明共通電極(図示せず)とを含む。透明画素電極および透明共通電極は、液晶(図示せず)を挟んで互いに対向するように配置される。透明画素電極には、スイッチング用の薄膜トランジスタ(図示せず)が接続される。薄膜トランジスタのスイッチング動作によって、透明画素電極に対してパララックスバリアを形成するための液晶駆動電圧が印加され、第2サブピクセル20が駆動される。
【0028】
透明画素電極と透明共通電極との間に発生した電位差によって、光学的異方性と分極性質とを有する液晶分子が励起される。各々の第2サブピクセル20における液晶分子同士の間には、透過率の差が生じる。複数の第2サブピクセル20は、各々の透過率(配向)に応じて、透過部20A(図4を参照して後述する)または遮蔽部20B(図4を参照して後述する)を構成することができる。複数の第2サブピクセル20の各々に印加される信号電圧が制御されることによって、複数の視差画像の数に応じた透過部20A(図4参照)または遮蔽部20B(図4参照)を有するパララックスバリアが表示される。
【0029】
第2液晶ディスプレイ120は、パララックスバリアを形成する状態と、パララックスバリアを形成しない状態とをそれぞれ選択的に形成することができる。具体的には、複数の第2サブピクセル20の動作によって、第2液晶ディスプレイ120の全面が遮蔽部20Bとなり、第1液晶ディスプレイ110に表示された平面映像をそのまま透過させる状態も形成される。
【0030】
(スペーサ130)
スペーサ130は、枠状に形成される。スペーサ130の材質は、たとえばABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene共重合合成樹脂)である。
【0031】
図1および図2を参照して、立体映像表示装置100が組み立てられた状態においては、スペーサ130が取り付け枠部114の内側に嵌め込まれる。第2液晶ディスプレイ120は、複数の第2サブピクセル20と複数の第1サブピクセル10とが互いに対向するように、第1液晶ディスプレイ110に対して取り付けられる。
【0032】
互いに対向配置された複数の第1サブピクセル10と複数の第2サブピクセル20との間には、スペーサ130によって、均一な間隙(たとえば3.9mm)が形成される。複数の第2サブピクセル20と複数の第1サブピクセル10との間の間隔は、立体映像表示装置100の立体映像表示時における視野域が、立体映像表示装置100からたとえば1500mmの位置になるように光学的に設計されるとよい。
【0033】
図3を参照して、第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120の関係についてより具体的に説明する。図3は、立体映像表示装置100に備えられる第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120を示す正面図である。図3は、第1液晶ディスプレイ110における複数の第1サブピクセル10の一部と、第2液晶ディスプレイ120における複数の第2サブピクセル20の一部とを、互いに分離した状態で拡大して示している。
【0034】
矢印AR1に示すように、第2液晶ディスプレイ120は、第1液晶ディスプレイ110に対向するように配置される。上述のとおり、第1液晶ディスプレイ110(第1サブピクセル10)と第2液晶ディスプレイ120(第2サブピクセル20)との間には、立体映像表示装置100の立体映像表示時における視野域に応じた間隙が設けられる。
【0035】
第1液晶ディスプレイ110における複数の第1サブピクセル10(便宜上、符号を10R,10G,10Bとして表示している)の解像度と第2液晶ディスプレイ120における複数の第2サブピクセル20の解像度とは同一である。換言すると、第1サブピクセル10のサブピクセルとしての大きさと第2サブピクセル20のサブピクセルとしての大きさとは等しくなるように構成される。
【0036】
第1液晶ディスプレイ110においては、上述のとおり、水平方向(図3紙面左右方向)の同一列上に、第1サブピクセル10R、第1サブピクセル10G、および、第1サブピクセル10Bが、この順に並んで周期的に配置される。垂直方向(図3紙面上下方向)の同一列上においては、同一色の第1サブピクセル10R,10G,10Bのそれぞれが直線状に並んで配置される。
【0037】
第1サブピクセル10Rは、第1サブピクセル10Rの背面側に配置されたバックライト(図示せず)からの光を受けて、赤色に発色する。第1サブピクセル10Gは、第1サブピクセル10Gの背面側に配置されたバックライトからの光を受けて、緑色に発色する。第1サブピクセル10Bは、第1サブピクセル10Bの背面側に配置されたバックライトからの光を受けて、青色に発色する。
【0038】
1つの第1サブピクセル10Rと1つの第1サブピクセル10Gと1つの第1サブピクセル10Bとによって、1つのピクセル(絵素)が構成される。第1液晶ディスプレイ110が32インチの大きさを有している場合、第1液晶ディスプレイ110の全体としては、1366×768のピクセル(絵素)が構成される。図3中には、これらのうちの約16(4×4)個のピクセル(絵素)が図示されている。
【0039】
(平面映像表示時)
立体映像表示装置100が平面映像を表示する際には、複数の第2サブピクセル20には電圧が印加されない。第2サブピクセル20には、遮蔽部20B(図4参照)が形成されず、複数の第2サブピクセル20は全面にわたって透明な状態(または透明度の高い半透明な状態)のままとなる。
【0040】
一方、複数の第1サブピクセル10に対して印加された映像信号電圧によって、第1液晶ディスプレイ110上には平面映像が表示される。この平面映像は、そのまま第2液晶ディスプレイ120を単純透過して、観察者によって平面映像として視認されることが可能となる。
【0041】
(立体映像表示時)
図4を参照して、立体映像表示装置100が立体映像を表示する際には、複数の第1サブピクセル10によって、立体視の視点の数に応じた複数の視差画像が形成される。複数の第1サブピクセル10に合わせて、複数のうち一部の第2サブピクセル20には、パララックスバリアを形成するための電圧が印加される。電圧の印加によって、たとえば、垂直方向に沿って延びるとともに、水平方向に縞状に交互に並ぶように配列された複数の透過部20Aおよび複数の遮蔽部20Bが形成される。
【0042】
上述のとおり、第1液晶ディスプレイ110における複数の第1サブピクセル10の解像度と第2液晶ディスプレイ120における複数の第2サブピクセル20の解像度とが同一に構成される。換言すると、第1サブピクセル10のサブピクセルとしての大きさと第2サブピクセル20によって形成される透過部20Aの大きさ(開口サイズ)とは、同一となるように構成される。
【0043】
立体映像表示装置100が立体映像を表示する際には、1つの第1サブピクセル10に対して1つの第2サブピクセル20が一対一で対応するように、複数の第2サブピクセル20は、複数の第1サブピクセル10に対して透過部20Aまたは遮蔽部20Bを形成する。
【0044】
複数の第1サブピクセル10によって形成された右眼用の画像(視差画像)は、遮蔽部20Bによる遮蔽によって観察者の左眼には観察されず、透過部20Aによる透過によって観察者の右眼のみに観察される。
【0045】
同様に、複数の第1サブピクセル10によって形成された左眼用の画像(視差画像)は、遮蔽部20Bによる遮蔽によって観察者の右眼には観察されず、透過部20Aによる透過によって観察者の左眼のみに観察される。
【0046】
観察者は、複数の第2サブピクセル20によって形成されたパララックスバリアを通して、複数の第1サブピクセル10によって形成された複数の視差画像を立体映像として認識することができる。
【0047】
(作用・効果)
立体映像表示装置100においては、第1サブピクセル10のサブピクセルとしての大きさと第2サブピクセル20によって形成される透過部20Aの大きさ(開口サイズ)とが同一となるように構成される。
【0048】
ここで、立体映像表示装置100に対して次の測定を行なった。まず、第1液晶ディスプレイ110(第1サブピクセル10)に映像を表示せず、且つ第2液晶ディスプレイ120(第2サブピクセル20)に電圧を印加しない状態を得た。この状態で、入射光強度と出射光強度との比率に基づき光の透過率を測定したところ、10回の測定の平均値で81.5%であった。
【0049】
また、第1液晶ディスプレイ110(第1サブピクセル10)に平面映像を表示し、且つ第2液晶ディスプレイ120(第2サブピクセル20)に電圧を印加しない状態を得た。この状態では、第1液晶ディスプレイ110(第1サブピクセル10)に平面映像を表示していない状態に比べて極端な輝度の低下は見受けられず、画像輝度としても300cd/mを得ることができた。
【0050】
一方、第1液晶ディスプレイ110(第1サブピクセル10)に映像(複数の視差画像)を表示し、且つ第2液晶ディスプレイ120(第2サブピクセル20)に電圧を印加してパララックスバリアを形成している状態を得た。この状態で、輝度計を用いて立体映像の画像輝度を測定したところ、120cd/mを得ることができた。
【0051】
立体映像表示装置100においては、第1サブピクセル10のサブピクセルとしての大きさと第2サブピクセル20によって形成される透過部20Aの大きさ(開口サイズ)とが同一となるように構成される。観察者側から立体映像表示装置100を観た場合、観察者は、画像を形成する最小単位である第1サブピクセル10(画素)をそのまま観察することができる。
【0052】
映像に対して透過部20Aのサイズが対応しており、立体映像(視差画像)を構成する第1サブピクセル10からの光は、出射時の輝度を維持したまま、観察者に到達されることができる。第1サブピクセル10からの光は効率良く観察者に届けられることができ、立体映像表示装置100としては、高い輝度および高い解像度を有する映像を表示することが可能となる。
【0053】
(第1変形例)
図5に示す立体映像表示装置100Aのように、第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120は、次のように構成されてもよい。図5は、本変形例における立体映像表示装置100Aに備えられる第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120を示す正面図である。
【0054】
立体映像表示装置100Aにおいても、第1液晶ディスプレイ110における複数の第1サブピクセル10(便宜上、符号を10R,10G,10Bとして表示している)の解像度と第2液晶ディスプレイ120における複数の第2サブピクセル20の解像度とは同一である。換言すると、第1サブピクセル10のサブピクセルとしての大きさと第2サブピクセル20のサブピクセルとしての大きさとは等しくなるように構成される。
【0055】
第1液晶ディスプレイ110においては、水平方向(図5紙面左右方向)の同一列上に、第1サブピクセル10R、第1サブピクセル10G、および、第1サブピクセル10Bが、この順に並んで周期的に配置される。垂直方向(図5紙面上下方向)の同一列上においては、同一色の第1サブピクセル10R,10G,10Bのそれぞれが直線状に並んで配置される。
【0056】
立体映像表示装置100Aが立体映像を表示する際には、複数の第1サブピクセル10R,10G,10Bによって、左眼用の視差画像Lおよび右眼用の視差画像Rが形成される。立体映像表示装置100Aにおいては、左眼用の視差画像Lを構成する複数の第1サブピクセル10R,10G,10Bと、右眼用の視差画像Rを構成する複数の第1サブピクセル10R,10G,10Bとが、水平方向および垂直方向のそれぞれにおいて交互に並んで配列され、全体としては図5に示すように千鳥状に配列される。
【0057】
複数の第1サブピクセル10に形成された視差画像Lおよび視差画像Rに対応するように、複数の第2サブピクセル20によってパララックスバリアが形成される。パララックスバリアは、複数の透過部20Aおよび複数の遮蔽部20Bを有する。複数の透過部20Aおよび複数の遮蔽部20Bは、水平方向および垂直方向のそれぞれにおいて交互に並んで配列され、視差画像L,Rと同様に、全体としては図5に示すように千鳥状に配列される。
【0058】
図6は、立体映像表示装置100Aが立体映像を表示している際において、所定の角度から立体映像表示装置100Aを観察する観察者の、左眼に観察される視差画像Lを示す正面図である。図6に示す状態においては、第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120は互いに対向配置されている。
【0059】
図6に示すように、複数の第1サブピクセル10によって形成された左眼用の視差画像Lは、遮蔽部20Bによる遮蔽によって観察者の右眼には観察されず、透過部20Aによる透過によって観察者の左眼のみに観察される。
【0060】
視差画像Lにおいては、複数の第1サブピクセル10R,10G,10Bのうち、たとえば緑色、赤色、および青色の3つの第1サブピクセル10G1,10R1,10B1によって、映像の最小単位である1つのピクセル(絵素)が構成される。同様に、赤色、および青色の3つの第1サブピクセル10G2,10R2,10B2によって、映像の最小単位である他の1つのピクセル(絵素)が構成される。
【0061】
同様に、複数の第1サブピクセル10によって形成された右眼用の視差画像R(図5参照)は、遮蔽部20Bによる遮蔽によって観察者の左眼には観察されず(図6参照)、透過部20Aによる透過によって観察者の右眼のみに観察される。観察者は、複数の第2サブピクセル20によって形成されたパララックスバリアを通して、複数の第1サブピクセル10によって形成された視差画像L,Rを立体映像として認識することができる。
【0062】
上記のように構成される立体映像表示装置100Aにおいても、第1サブピクセル10のサブピクセルとしての大きさと第2サブピクセル20によって形成される透過部20Aの大きさ(開口サイズ)とが同一となるように構成される。
【0063】
第1液晶ディスプレイ110(第1サブピクセル10)に映像(複数の視差画像)を表示し、且つ第2液晶ディスプレイ120(第2サブピクセル20)に電圧を印加してパララックスバリアを形成している状態を得た。この状態で、輝度計を用いて立体映像の画像輝度を測定したところ、120cd/mを得ることができた。
【0064】
これに対する比較例として、パララックスバリアが斜め方向に直線状に形成される場合について上記と同様な測定を行なった。サブピクセルとパララックスバリアとの互いに重っている割合が50%である条件の下では、立体映像の画像輝度は70cd/mとなった。
【0065】
したがって本変形例における立体映像表示装置100Aにおいても、映像に対して透過部20Aのサイズが対応しており、立体映像(視差画像)を構成する第1サブピクセル10からの光は、出射時の輝度を維持したまま、観察者に到達されることができる。第1サブピクセル10からの光は効率良く観察者に届けられることができ、立体映像表示装置100Aとしても、高い輝度および高い解像度を有する映像を表示することが可能となる。
【0066】
(第2変形例)
図7に示す立体映像表示装置100Bのように、第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120は、次のように構成されてもよい。図7は、本変形例における立体映像表示装置100Bに備えられる第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120を示す正面図である。
【0067】
立体映像表示装置100Bにおいても、第1液晶ディスプレイ110における複数の第1サブピクセル10(便宜上、符号を10R,10G,10Bとして表示している)の解像度と第2液晶ディスプレイ120における複数の第2サブピクセル20の解像度とは同一である。換言すると、第1サブピクセル10のサブピクセルとしての大きさと第2サブピクセル20のサブピクセルとしての大きさとは等しくなるように構成される。
【0068】
第1液晶ディスプレイ110においては、水平方向(図7紙面左右方向)の同一列上に、第1サブピクセル10R、第1サブピクセル10G、および、第1サブピクセル10Bが、この順に並んで周期的に配置される。垂直方向(図7紙面上下方向)の同一列上においては、同一色の第1サブピクセル10R,10G,10Bのそれぞれが直線状に並んで配置される。
【0069】
立体映像表示装置100Bが立体映像を表示する際には、複数の第1サブピクセル10R,10G,10Bによって、複数の視差画像1〜8が形成される。立体映像表示装置100Bにおいては、8視差用の各視差画像1〜8を構成する複数の第1サブピクセル10R,10G,10Bが、斜め方向において互いに隣接するように配列され、全体としては図7に示すように階段状(ステップ状)に配列される。
【0070】
複数の第1サブピクセル10に形成された複数の視差画像1〜8に対応するように、複数の第2サブピクセル20によってパララックスバリアが形成される。パララックスバリアは、複数の透過部20Aおよび複数の遮蔽部20Bを有する。複数の透過部20Aは、斜め方向において互いに隣接するように配列され、全体としては図7に示すように階段状(ステップ状)に配列される。
【0071】
図8は、立体映像表示装置100Bが立体映像を表示している際において、所定の角度から立体映像表示装置100Bを観察する観察者の、たとえば右眼に観察される視差画像5を示す正面図である。図8に示す状態においては、第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120は互いに対向配置されている。
【0072】
図8に示すように、複数の第1サブピクセル10によって形成された視差画像5は、遮蔽部20Bによる遮蔽によって観察者の左眼には観察されず、透過部20Aによる透過によって観察者の右眼のみに観察される。
【0073】
視差画像5においては、複数の第1サブピクセル10R,10G,10Bのうち、たとえば緑色、青色、および赤色の3つの第1サブピクセル10G3,10B3,10R3によって、映像の最小単位である1つのピクセル(絵素)が構成される。同様に、赤色、緑色、および青色の3つの第1サブピクセル10R4,10G4,10B4によって、映像の最小単位である他の1つのピクセル(絵素)が構成される。
【0074】
複数の第1サブピクセル10によって形成された左眼用の視差画像6(図7参照)は、遮蔽部20Bによる遮蔽によって観察者の右眼には観察されず(図8参照)、透過部20Aによる透過によって観察者の左眼のみに観察される。観察者は、複数の第2サブピクセル20によって形成されたパララックスバリアを通して、複数の第1サブピクセル10によって形成された視差画像5,6を立体映像として認識することができる。
【0075】
立体映像表示装置100Bにおいては、他の3人の観察者も、複数の第1サブピクセル10によって形成された視差画像1,2、視差画像3,4、および視差画像7,8を立体映像としてそれぞれ認識することができる。
【0076】
上記のように構成される立体映像表示装置100Bにおいても、第1サブピクセル10のサブピクセルとしての大きさと第2サブピクセル20によって形成される透過部20Aの大きさ(開口サイズ)とが同一となるように構成される。
【0077】
したがって本変形例における立体映像表示装置100Bにおいても、映像に対して透過部20Aのサイズが対応しており、立体映像(視差画像)を構成する第1サブピクセル10からの光は、出射時の輝度を維持したまま、観察者に到達されることができる。第1サブピクセル10からの光は効率良く観察者に届けられることができ、立体映像表示装置100Bとしても、高い輝度および高い解像度を有する映像を表示することが可能となる。
【0078】
また、立体映像表示装置100Bにおいては、複数の透過部20Aが、斜め方向において互いに隣接するように配列され、全体としては階段状(ステップ状)に配列される。多視差の立体映像を表示する場合であっても、各視点における水平解像度を低下させることなく、立体映像表示装置100Bとしては、各視点において高い輝度および高い解像度を有する映像を表示することが可能となる。
【0079】
また、透過部20Aが図7に示すように階段状に配置される際において複数の視差画像を準備する場合、視差数をnとし、透過部20Aを構成する第2サブピクセル20のサイズをPdとした場合、第2サブピクセル20に表示されるパララックスバリアの透過部20Aと遮蔽部20Bとの配列周期Pbは、
Pb=n×Pd
の式を満足するように構成されるとよい。この式が満足されるように立体映像表示装置100Bが構成されることによって、視差数nに応じた第1液晶ディスプレイ110における第1サブピクセル10の視差画像の配列に対して、同一視差画像のみを観察者は観察することが可能となる。
【0080】
図8に示す例において、8視差の画像に対して、第2サブピクセル20のピクセルサイズPdが170μmであるとする。この場合、視差数を考慮した場合、第2液晶ディスプレイ120によって形成されるパララックスバリアの透過部20Aの配列周期Pbは、8×170μm=1.36mmとなる。この配列周期Pbに基づき、第2サブピクセル20の8個毎に透過部20Aを設けることによって、8視差の画像に対して、水平方向の解像度の低下を抑えながら高輝度の立体映像を表示することが可能となる。
【0081】
(第3変形例)
図9に示す立体映像表示装置100Baのように、第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120は、次のように構成されてもよい。図9は、本変形例における立体映像表示装置100Baに備えられる第1液晶ディスプレイ110および第2液晶ディスプレイ120を示す正面図である。
【0082】
立体映像表示装置100Baが立体映像を表示する際には、複数の透過部20Aの各々に隣接する第2サブピクセル20に、半透明部20Cが形成される。半透明部20Cを構成するために、透過部20Aの水平方向および垂直方向の両側において隣接する第2サブピクセル20の各々には、第2サブピクセル20が遮蔽部20Bを構成する場合の半分の電圧が印加される。
【0083】
当該構成によれば、第1液晶ディスプレイ110(第1サブピクセル10)に形成された視差画像からの光の一部が、半透明部20Cを通して観察者に観察される。したがって立体映像表示装置100Baによれば、高い輝度および高い解像度を有する映像を表示することが可能となる。
【0084】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
1〜8,L,R 視差画像、10,10B,10B1,10B2,10B3,10B4,10G,10G1,10G2,10G3,10G4,10R,10R1,10R2,10R3,10R4 第1サブピクセル、20 第2サブピクセル、20A 透過部、20B 遮蔽部、20C 半透明部、100,100A,100B,100Ba 立体映像表示装置、110 第1液晶ディスプレイ、112 本体部、114 取り付け枠部、120 第2液晶ディスプレイ、122 枠体部、130 スペーサ、AR1 矢印。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体映像および平面映像を選択的に表示することが可能な立体映像表示装置であって、
水平方向および垂直方向に並んで配列された複数の第1サブピクセルを含み、水平方向の同一列上には各色の前記第1サブピクセルが周期的に配置され、垂直方向の同一列上には同一色の前記第1サブピクセルが配置され、複数の前記第1サブピクセルの動作によって、立体視の視点の数に応じた複数の視差画像を表示する状態と、平面映像を表示する状態とをそれぞれ選択的に形成する第1液晶ディスプレイと、
水平方向および垂直方向に並んで配列された複数の第2サブピクセルを含み、複数の前記第2サブピクセルの動作によって、複数の前記視差画像の数に応じた複数の透過部および複数の遮蔽部をそれぞれ有するパララックスバリアを表示する状態と、前記第1液晶ディスプレイに表示された平面映像をそのまま透過させる状態とをそれぞれ選択的に形成する第2液晶ディスプレイと、
互いに対向配置される前記第1液晶ディスプレイと前記第2液晶ディスプレイとの間に配置され、前記第1液晶ディスプレイと前記第2液晶ディスプレイとの間に均一な間隙を形成するスペーサと、を備え、
前記第1液晶ディスプレイにおける複数の前記第1サブピクセルの解像度と前記第2液晶ディスプレイにおける複数の前記第2サブピクセルの解像度とは同一であり、
前記立体映像表示装置が立体映像を表示する際には、1つの前記第1サブピクセルに対して1つの前記第2サブピクセルが一対一で対応するように、複数の前記第2サブピクセルが複数の前記第1サブピクセルに対して前記透過部または前記遮蔽部を形成する、
立体映像表示装置。
【請求項2】
前記立体映像表示装置が立体映像を表示する際には、複数の前記第2サブピクセルの動作によって、前記視差画像に対応するように千鳥状に配列された複数の前記透過部を有する前記パララックスバリアが形成される、
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
前記立体映像表示装置が立体映像を表示する際には、複数の前記第2サブピクセルの動作によって、前記視差画像に対応するように階段状に配列された複数の前記透過部を有する前記パララックスバリアが形成される、
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記立体映像表示装置が立体映像を表示する際において、視差数をnとし、前記透過部を構成する前記第2サブピクセルのサイズをPdとした場合、前記第2サブピクセルによって形成される前記透過部の前記遮蔽部に対する配列周期Pbは、
Pb=n×Pd
の式を満足するように構成される、
請求項3に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
前記立体映像表示装置が立体映像を表示する際には、複数の前記透過部に隣接する前記第2サブピクセルに、半透明部が形成される、
請求項3または4に記載の立体映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−252262(P2012−252262A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126258(P2011−126258)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】