説明

立軸ポンプ

【課題】吐出エルボ10の外壁に減速装置12を付設しまたは取り外す際に、減速装置12の出力軸26とポンプ軸18の連結分離および、吐出エルボ10を水密構造とするためのグランドパッキン32等の装填および取り替えが容易な立軸ポンプを提供する。
【解決手段】吐出エルボ10の外壁に空間部16を介して減速装置12を付設し、空間部底板16bのポンプ軸18の軸芯位置にパッキン箱20を設け、空間部16に吐出方向と反対側に向けて大きな開口部16cを設ける。減速装置12のケーシング14の底板14aを貫通した減速装置12の出力軸26とポンプ軸18とをパッキン箱20内で、外周が円筒状の筒形の固定軸継手30で連結する。開口部16cから空間部16内に作業員が手を入れて、出力軸26とポンプ軸18の駆動連結およびグランドパッキン32を装填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出エルボの外壁に減速装置を付設しまたは取り外す際に、減速装置の出力軸とポンプ軸の連結分離が容易であるとともに、吐出エルボの流路を水密構造とするための組み付けおよび保守が容易であるようにし、しかも設置高さを低くできるようにした立軸ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
立軸ポンプの設置高さを低くする目的で、吐出エルボの外壁に減速装置を付設した技術が提案されている。その一例として、特開平11−193799号公報(特許文献1)に示された技術がある。この特許文献1で提案された技術は、吐出エルボの外壁を水密構造で貫通突出したポンプ軸が、外壁の上方に設けられた空間部を経て、さらに上方に積み上げるようにして配設された減速装置のケーシング内に挿入され、この減速装置内で減速歯車列の出力段に駆動連結される。空間部は、少なくてもその一側方が大気と連通されていて、ポンプ軸が貫通する吐出エルボの外壁から漏れた水等を外部に排出し、漏れた水等が減速装置のケーシング内に浸入しないように作用する。
【特許文献1】特開平11−193799号公報
【0003】
また、立軸ポンプの設置高さを低くする目的で、吐出エルボの流路内に減速装置としての方向変換機を付設した技術が、特開2002−303286号公報(特許文献2)で示されている。この特許文献2で示された技術は、吐出エルボの流路内に密閉構造のケーシングを有する減速装置を配設し、減速装置から水密構造で下方に貫通突出された出力軸とポンプ軸とを吐出エルボの上流側の流路内で軸継手により連結して構成されている。
【特許文献2】特開2002−303286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術にあっては、吐出エルボに減速装置を取り付けまたは取り外す際に、減速装置の出力段にポンプ軸を駆動連結しまたは分離する作業が煩雑なものであった。また、吐出エルボからポンプ軸を水密構造で貫通突出させるためのパッキン等の装填および交換等の作業も繁雑なものであった。また、特許文献1に記載された技術にあっては、減速装置の入力軸を低くするために、縦方向の中間軸を設けた2段減速機構であり、それだけ歯車列が複雑であるとともに歯車列の摩擦等により動力損失が大きくなる。この動力損失を小さくするには、1段減速機構を採用すれば良いが、縦方向の中間軸の分だけ入力軸の位置が高くなり、駆動装置を高い位置に設置しなければならない。
【0005】
また、特許文献2記載の技術にあっては、吐出エルボの流路内に減速装置を配設するために、減速装置のケーシング全体が水密構造であることが要求され、出力軸が水密構造でケーシングを下方に貫通突出する部分から吐出エルボ内の水等がケーシング内に浸入する虞が高い。そこで、この水等の浸入を阻止するために、減速装置はケーシング内が潤滑油で満たされている。減速装置から出力軸を水密構造で下方に貫通突出させるための軸封部材等の点検および取り替え作業は、大幅な分解等が必要であり、極めて煩雑である。
【0006】
本発明は、上述のごとき従来の立軸ポンプの問題点に鑑みてなされたもので、減速装置の出力軸とポンプ軸の連結分離が容易であるとともに、吐出エルボを水密構造とするための組み付けおよび保守が容易であり、しかも設置高さを低くできるようにした立軸ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述のごとき問題点を解決するためになされたもので、本発明の立軸ポンプは、吐出エルボの外壁に空間部を介して減速装置を付設した立軸ポンプにおいて、前記空間部を前記吐出エルボの吐出中心より下方位置に形成するとともに、前記空間部に前記吐出エルボの吐出方向と反対側に向けて大気に連通する大きな開口部を設け、前記空間部の空間部底板にポンプ軸の軸芯位置に貫通孔を設け、前記減速装置のケーシングの底板を貫通した前記減速装置の出力軸と前記ポンプ軸とを前記貫通孔内の位置で、外周が円筒状の筒形の固定軸継手で駆動連結し、前記固定軸継手の外周と前記空間部底板の間に軸封部材を配設して水密構造となるように構成されている。
【0008】
そして、前記貫通孔に水密構造でパッキン箱を配設し、前記固定軸継手の外周と前記パッキン箱の隙間にパッキンを装填して水密構造となるように構成しても良い。
【0009】
また、前記貫通孔と前記固定軸継手の外周との間にメカニカルシールを配設して水密構造となるように構成しても良い。
【0010】
さらに、前記減速装置を傘歯車列を用いた1段減速とし、前記減速装置の入力軸を前記出力軸に対して直交する方向に突出するように配設して構成することもできる。
【0011】
そしてまた、前記吐出エルボの外壁で前記空間部底板を設けた部分を、前記吐出エルボの他の部分から分割し、この分割した部分を前記減速装置のケーシングと一体的に形成し、前記分割した部分を前記他の部分に組み付けることで、前記吐出エルボの外壁に前記減速装置を付設するとともに、前記吐出エルボの流路が形成されるように構成することもできる。
【0012】
さらに、前記吐出エルボの吐出方向に対して斜めの平面で、前記吐出エルボの外壁で前記空間部底板を設けた部分を、前記吐出エルボの他の部分から分割し、この分割した前記平面で、前記分割した部分を前記他の部分に組み付けおよび取り外しできるように構成することも可能である。
【0013】
そしてまた、前記吐出エルボの外壁で前記空間部底板を設けた部分より上方位置に、前記減速装置の前記ケーシングを取り付ける取付座を設け、前記取付座に前記減速装置を付設することで、前記ケーシングの底板と前記軸封部材を設けた部分の間に前記空間部が形成されるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の立軸ポンプにあっては、空間部を吐出エルボの吐出中心より下方位置に形成するとともに、空間部に吐出エルボの吐出方向と反対側に向けて大気に連通する大きな開口部を設けているので、この大きな開口部から空間部内に作業員が手を入れて、空間部の空間部底板にポンプ軸の軸芯位置に設けられた貫通孔内の位置で、減速装置の出力軸とポンプ軸とを外周が円筒状の筒形の固定軸継手で駆動連結することができ、しかも固定軸継手の外周と貫通孔の間に軸封部材を配設して容易に水密構造とすることができる。ここで、減速装置の出力軸とポンプ軸とを空間部底板に設けた貫通孔内で固定軸継手で駆動連結するので、ポンプ軸を減速装置内に挿入して出力段と駆動連結するのと比較して、その作業が容易である。また、空間部に設けた開口部は、吐出エルボの吐出方向と反対側に向けて開口しているので、開口部を大きく開口することができ、作業がし易い。さらに、空間部を前記吐出エルボの吐出中心より下方位置に形成するので、この空間部の上にある減速装置を低い位置に配設でき、それだけ立軸ポンプの設置高さを低いものとすることができる。
【0015】
請求項2記載の立軸ポンプにあっては、空間部底板に設けた貫通孔にパッキン箱を水密構造で配設し、固定軸継手の外周とパッキン箱の隙間にパッキンを装填して水密構造としているので、開口部から空間部内に作業員が手を入れて容易にパッキンの装填および取り替えができる。
【0016】
請求項3記載の立軸ポンプにあっては、空間部底板に設けた貫通孔と固定軸継手の外周との間にメカニカルシールを配設して水密構造としているので、開口部から空間部内に作業員が手を入れて容易にメカニカルシールの装填および取り替えができる。
【0017】
請求項4記載の立軸ポンプにあっては、減速装置が傘歯車列を用いた1段減速であり、減速装置での動力損失が少ない。また、減速装置の入力軸を出力軸に対して直交する方向に突出するように配設しているので、この入力軸に駆動連結される駆動装置を吐出エルボの設置レベルと同様なレベルに配設することができ、全体として立軸ポンプの設置高さが低いものとなる。
【0018】
請求項5記載の立軸ポンプにあっては、吐出エルボの外壁で空間部底板を設けた部分を、吐出エルボの他の部分から分割し、この分割した部分を減速装置のケーシングと一体的に形成したので、分割した部分を吐出エルボの他の部分の上方から吊り降ろすことで容易に組み付けることができる。
【0019】
請求項6記載の立軸ポンプにあっては、吐出エルボの吐出方向に対して斜めの平面で、吐出エルボの外壁で空間部底板を設けた部分を、吐出エルボの他の部分から分割しているので、この分割した平面にシール等を配設することで、組み付けた状態で、分割した面を容易に水密構造とすることができる。
【0020】
請求項7記載の立軸ポンプにあっては、吐出エルボの外壁で空間部底板を設けた部分より上方位置に、減速装置のケーシングを取り付ける取付座を設け、取付座に減速装置を付設するようにしたので、吐出エルボと減速装置のケーシングの間に簡単に空間部が形成される。また、吐出エルボの外壁と減速装置が完全分離されているので、吐出エルボと減速装置を別体でそれぞれに制作でき、制作が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の立軸ポンプの第1実施例を図1ないし図4を参照して説明する。図1は、本発明の立軸ポンプの第1実施例の縦断面図である。図2は、図1のA矢視図である。図3は、図1のB−B平面で分離させた状態の縦断面図である。図4は、図1のC−C断面矢視図である。
【0022】
第1実施例において、吐出エルボ10が、吐出方向に対して略45°の斜めの平面B−Bで、上側部分10aと下側部分10bに2分割されている。分割された上側部分10aには、減速装置12のケーシング14が一体的に配設される。さらに、ケーシング14の底板14aより下方に、空間部側板16aと空間部底板16bにより空間部16が一体的に構成される。この空間部底板16bは、ケーシング14の底板14aと略平行に配設され、ポンプ軸18に略直交して設けられている。また、空間部底板16bには、ポンプ軸18の軸芯位置に軸方向に貫通孔19が穿設されて軸封部材の一部としてのパッキン箱20がポンプ軸18方向に軸芯位置に設けられる。なお、空間部底板16bにパッキン箱20が水密構造で配設固定される。さらに、空間部16には、吐出方向と逆方向に向けて大気に連通する大きな開口部16cが設けられる。ケーシング14内には、一段減速の傘歯車列が配設され、軸受22、24でポンプ軸18の軸方向で軸芯位置に軸承された出力軸26が底板14aを貫通突出し、空間部底板16bに設けられたパッキン箱20の途中まで挿入される。そして、ケーシング14には、出力軸26と直交して、吐出方向と平行で逆方向に入力軸28が突出するように設けられる。なお、吐出エルボ10の上側部分10aと下側部分10bを分割した平面B−Bで接合させた状態で、出力軸26とポンプ軸18とが同軸芯上となるように設けられていることは勿論である。また、吐出エルボ10の上側部分10aと下側部分10bを分割した平面B−Bで接合させた状態で、ケーシング14の側板14bおよび空間部16の空間部底板16bと空間部側板16aにより、吐出エルボ10の上側の壁が構成されて、吐出エルボ10の流路が形成される。ここで、ケーシング14の底板14aの一部分を含んで、吐出エルボ10の上側の壁が構成されても良い。さらに、吐出エルボ10の上側部分10aと下側部分10bを分割した平面B−Bで接合させた状態で、ポンプ軸18に固定された外周が円筒状の筒形の固定軸継手30が空間部底板16bに設けられたパッキン箱20に下方向から挿入される。そしてさらに、吐出エルボ10の上側部分10aと下側部分10bを分割した平面B−Bで接合させた状態で、ケーシング14の底板14aが、吐出エルボ10の吐出中心の位置にあり、空間部16は吐出エルボ10の吐出中心より下方位置に形成される。
【0023】
かかる構成において、水槽上の床に設置された吐出エルボ10の下側部分10bに、吐出エルボ10の上側部分10aを吊り降ろし、平面B−Bで接合させた状態でボルト等(図示せず)により平面B−Bを適宜に接合固定する。この接合にあっては、平面B−Bの接合面に適宜にシール部材(図示せず)を設けることで水密構造を形成させる。この接合する際に、予め、ポンプ軸18が、外周が円筒状の筒形の固定軸継手30に下端側から途中まで挿入された状態で固定されている。平面B−Bで接合させた状態で、出力軸26が、固定軸継手30に上端側から途中まで挿入されて固定される。もって、固定軸継手30により、出力軸26とポンプ軸18とが駆動連結される。そして、パッキン箱20の内周と固定軸継手30の外周の間の隙間に、グランドパッキン32が装填されて水密構造が構成される。パッキン箱20とグランドパッキン32およびパッキン押え33により軸封部材が形成されている。このグランドパッキン32およびパッキン押え33の装填の際には、大きな開口部16cから空間部16内に作業員が手を入れて容易に作業することができる。このグランドパッキン32等の装填作業において、固定軸継手30の上端部がパッキン箱20との隙間の部分よりも少し上方の空間部16に突出するようにすると、グランドパッキン32等の装填作業が容易である。
【0024】
上記構造の本発明の立軸ポンプの第1実施例にあっては、吐出エルボ10の外壁に設けた空間部16の空間部底板16bにポンプ軸18の軸芯位置に臨んでパッキン箱20を設け、空間部16に吐出方向と反対側に向けて大気に連通する大きな開口部16cを設け、出力軸26とポンプ軸18とをパッキン箱20内で固定軸継手30で駆動連結し、固定軸継手30の外周とパッキン箱20の隙間にグランドパッキン32を装填して水密構造となるようにしたので、大きな開口部16cから空間部16内に作業員が手を入れて、出力軸26と固定軸継手30の駆動連結および分解と、グランドパッキン32等の点検と装着および交換を容易にすることができる。しかも、減速装置12の出力軸26とポンプ軸18とをパッキン箱20内で固定軸継手30で駆動連結するので、ポンプ軸18を減速装置12内に挿入して出力段と駆動連結するものと比較して、その作業が容易である。また、空間部16を吐出エルボ10の吐出中心より下方位置に配設したので、空間部16および減速装置12を低い位置に配設でき、それだけ立軸ポンプの設置高さを低いものとすることができる。ここで、減速装置12のケーシング14の底板14aを吐出エルボ10の吐出中心またはこれよりも下方に形成するならば、減速装置12の入力軸28を低い位置とすることができ、この入力軸28と駆動連結される駆動機器(図示せず)を吐出エルボ10と同じレベルの床に設置することも可能である。そして、吐出エルボ10の吐出中心より低い位置に空間部16が配設されていても、その開口部16cを吐出エルボ10の吐出方向と反対側に向けて開口しているので、開口部16cを大きく開口することができて作業がし易い。
【0025】
さらに、減速装置12が傘歯車列を用いた1段減速であり、減速装置12での動力損失が少ない。また、吐出エルボ10の外壁となるパッキン箱20を設けた空間部底板16bの部分を、吐出エルボ10の他の部分から分割し、この分割した部分を減速装置12のケーシング14と一体的に形成したので、分割した部分を他の部分の上方から吊り降ろすことで容易に組み付けることができる。さらに、吐出エルボ10の吐出方向に対して略45°の斜めの平面で、吐出エルボ10の外壁となる空間部底板16bを設けた部分を、吐出エルボの他の部分から分割しているので、分割した平面にシール等を配設することで、組み付けた状態で、分割した面を容易に水密構造とすることができる。
【0026】
次に、本発明の立軸ポンプの第2実施例を図5ないし図8を参照して説明する。図5は、本発明の立軸ポンプの第2実施例の縦断面図である。図6は、減速装置を取り外した状態の吐出エルボの平面図である。図7は、図5の分解した状態の縦断面図である。図8は、図5のD−D断面矢視図である。図5ないし図8において、図1ないし図4に示された部材と同じまたは均等なものには同じ符号を付けて、重複する説明を省略する。
【0027】
第2実施例において、第1実施例と相違するところは、空間部16を形成する空間部底板16bと空間部側板16aが、吐出エルボ10の外壁自体で構成されていることにある。空間部底板16bは、図6に示すごとく、平面から見て吐出方向と反対側が開口されたU字状であり、吐出中心より下方で吐出方向と平行で水平に設けられる。また、空間部側板16aは、空間部底板16bのU字状の外縁から上方に向けてU字状の内側が徐々に広がりながら立ち上がる水平断面がU字状の曲面で形成される。そこで、減速装置12のケーシング14には、底板14bと側板14aが設けられるが、第1実施例のごとき空間部16を形成する部材が付設されていない。そして、空間部底板16bのポンプ軸18の軸芯位置には、貫通孔が穿設されて、ポンプ軸18の軸方向で軸芯位置にパッキン箱20が水密構造で配設固定されている。さらに、吐出エルボ10の吐出中心より上部の外壁で空間部側板16aに、吐出方向と平行に減速装置12のケーシング14の取付座40が形成されている。この取付座40は、図6に示すごとく、平面から見ると、空間部底板16bと同様に、吐出方向と逆方向が開かれたU字状である。減速装置12のケーシング14の側板14aに、このU字状の取付座40に応じた取付フランジ14cが設けられている。そして、取付座40にケーシング14を組み付けた状態で、ケーシング14の底板14bと空間部底板16bとの間に適宜な間隔が生じるように形成され、ケーシング14の側板14aは空間部側板16aのU字状の内側に沿うように形成される。
【0028】
かかる構成の第2実施例において、吐出エルボ10に、減速装置12を吊り降ろし、取付座40に取付フランジ14cを組み付けてボルト等で固定する。すると、減速装置12のケーシング14の底板14aと空間部底板16bの間に空間部16が構成される。しかも、この空間部16は、吐出方向と逆方向に大きく開口した開口部16cが構成される。そして、第1実施例と同様に、予めポンプ軸18に途中まで挿入された状態で外周が円筒状の筒形の固定軸継手30が固定されていて、減速装置12の組み付けで、出力軸26が固定軸継手30に途中まで挿入されて固定され、この固定軸継手30により、出力軸26とポンプ軸18とが駆動連結される。さらに、パッキン箱20の内周と固定軸継手30の外周の間の隙間に、グランドパッキン32が装填されて水密構造が構成される。このグランドパッキン32が装填される隙間よりも少し上方まで固定軸継手30の上端部が空間部16に突出していると、グランドパッキン32の装填作業がし易い。
【0029】
この第2実施例にあっても、第1実施例と同様に、大きな開口部16cから空間部16内に作業員が手を入れて、固定軸継手30で出力軸26とポンプ軸18を駆動連結できるとともに、パッキン箱20の内周と固定軸継手30の外周の間の隙間に、グランドパッキン32が装填されて水密構造が容易に構成され得る。また、吐出エルボ10の外壁自体で、空間部底板16bと空間部側板16aを形成しているので、吐出エルボ10の流路が外壁自体で構成され、吐出エルボ10の流路の水密構造を構成するのが、第1実施例よりも容易である。
【0030】
さらに、本発明の立軸ポンプの第3実施例を図9を参照して説明する。図9は、本発明の立軸ポンプの第3実施例で、メカニカルシールを適用した軸封部材の縦断面図である。第3実施例にあっては、空間部底板16bと固定軸継手30の間に軸封部材としてメカニカルシール50を配設したものである。第3実施例で示すメカニカルシール50は、固定軸継手30の下端部に固定された回転部材50aと空間部底板16b側に固定された固定部材50b等とからなる。回転部材50aは、固定軸継手30の外周の外側にポンプ軸に対して同心円上の筒状部材を備える。固定部材50bは、回転部材50aの筒状部材に対向する筒状部材を備え、回転部材50aの筒状部材の上端面に固定部材50bの筒状部材の下端面が弾性接触するように弾性付勢されて構成される。2つの筒状部材の弾接摺動する端面により水密構造が構成されている。
【0031】
このように空間部底板16bと固定軸継手30の間を水密構造とするための構成は、メカニカルシールまたはパッキンのいずれが適用されても良く、適切に水密構造が構成されれば如何なる構成であっても良い。なお、パッキンはグランドパッキン32に変えてラビリンスパッキンであっても良いことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の立軸ポンプの第1実施例の縦断面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1のB−B平面で分離させた状態の縦断面図である。
【図4】図1のC−C断面矢視図である。
【図5】本発明の立軸ポンプの第2実施例の縦断面図である。
【図6】第2実施例において、減速装置を取り外した状態の吐出エルボの平面図である。
【図7】図5の分解した状態の縦断面図である。
【図8】図5のD−D断面矢視図である。
【図9】本発明の立軸ポンプの第3実施例で、メカニカルシールを適用した軸封部分の縦断面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 吐出エルボ
12 減速装置
14 ケーシング
14a 底板
14b 側板
14c 取付フランジ
16 空間部
16a 空間部側板
16b 空間部底板
16c 開口部
18 ポンプ軸
19 貫通孔
20 パッキン箱
22、24 軸受
26 出力軸
28 入力軸
30 固定軸継手
32 グランドパッキン
33 パッキン押え
40 取付座
50 メカニカルシール
50a 回転部材
50b 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出エルボの外壁に空間部を介して減速装置を付設した立軸ポンプにおいて、前記空間部を前記吐出エルボの吐出中心より下方位置に形成するとともに、前記空間部に前記吐出エルボの吐出方向と反対側に向けて大気に連通する大きな開口部を設け、前記空間部の空間部底板にポンプ軸の軸芯位置に貫通孔を設け、前記減速装置のケーシングの底板を貫通した前記減速装置の出力軸と前記ポンプ軸とを前記貫通孔内の位置で、外周が円筒状の筒形の固定軸継手で駆動連結し、前記固定軸継手の外周と前記空間部底板の間に軸封部材を配設して水密構造となるように構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の立軸ポンプにおいて、前記貫通孔に水密構造でパッキン箱を配設し、前記固定軸継手の外周と前記パッキン箱の隙間にパッキンを装填して水密構造となるように構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項3】
請求項1記載の立軸ポンプにおいて、前記貫通孔と前記固定軸継手の外周との間にメカニカルシールを配設して水密構造となるように構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項4】
請求項1または3記載のいずれかの立軸ポンプにおいて、前記減速装置を傘歯車列を用いた1段減速とし、前記減速装置の入力軸を前記出力軸に対して直交する方向に突出するように配設して構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項5】
請求項1ないし4記載のいずれかの立軸ポンプにおいて、前記吐出エルボの外壁で前記空間部底板を設けた部分を、前記吐出エルボの他の部分から分割し、この分割した部分を前記減速装置のケーシングと一体的に形成し、前記分割した部分を前記他の部分に組み付けることで、前記吐出エルボの外壁に前記減速装置を付設するとともに、前記吐出エルボの流路が形成されるように構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項6】
請求項5記載の立軸ポンプにおいて、前記吐出エルボの吐出方向に対して斜めの平面で、前記吐出エルボの外壁で前記空間部底板を設けた部分を、前記吐出エルボの他の部分から分割し、この分割した前記平面で、前記分割した部分を前記他の部分に組み付けおよび取り外しできるように構成したことを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項7】
請求項1ないし4記載のいずれかの立軸ポンプにおいて、前記吐出エルボの外壁で前記空間部底板を設けた部分より上方位置に、前記減速装置の前記ケーシングを取り付ける取付座を設け、前記取付座に前記減速装置を付設することで、前記ケーシングの底板と前記軸封部材を設けた部分の間に前記空間部が形成されるように構成したことを特徴とする立軸ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−24037(P2013−24037A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156308(P2011−156308)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000151058)株式会社電業社機械製作所 (21)
【Fターム(参考)】