説明

竪型粉砕機

【課題】 竪型粉砕機で原料を微粉砕する際に、原料層と補助ローラの間に多量の空気が滞留して生じる異常振動等を防止する。
【解決手段】
本発明は、補助ローラにより脱気してから粉砕ローラによって粉砕する竪型粉砕機において、竪型粉砕機の振動値が、予め記憶機に記憶した振動の許容限界値を超えた際に、該回転テーブルの回転数を減速させる。本発明は前述の構成により、振動値が大きくなった際に、原料層と補助ローラの間の相対速度を急激に減少させることにより、原料層と補助ローラとの間の摩擦係数を回復させてスリップを防止し振動の発生を抑制することができる。また、本発明は、補助ローラに幅方向に延びる複数列の溝部を配して、原料層が圧密される際に生じる多量の空気を、溝部の中に入れた後、溝部の両端部から速やかに排出させる。従って、従来技術のように、原料層と補助ローラの間で多量の空気が滞留しないので、異常振動が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に石炭、オイルコークス、スラグ、クリンカー、石灰石、その他の無機原料、又バイオマス等の有機原料を粉砕するに好適な竪型粉砕機に係わり、特に、原料を微粉砕する際に好適な竪型粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、石炭等を粉砕する装置として竪型粉砕機(竪型ミル、或いは竪型ローラミルと称されることもある)と呼ばれる粉砕機が広く用いられている。
ここで、竪型粉砕機は、原料を効率的に微粉砕することができるという優れた特性を有している反面、原料の種類や粉砕条件によって、異常振動が発生するという問題点を有していた。竪型粉砕機に発生する異常振動は、様々な原因によって誘発されるために、その振動原因に応じた様々な対策を講じる必要がある。そのため、竪型粉砕機について、従来から数多くの異常振動防止対策が提案されている。
【0003】
例えば、異常振動が発生し易くなる状況として、原料を微粉砕するために機内で原料を繰り返し粉砕するようなケースが知られている。
なぜなら、原料を微粉砕する際には、竪型粉砕機内で原料を繰り返し粉砕する必要がある。そして、機内で繰り返し粉砕される原料は、循環原料と呼ばれるが、循環原料の粒径は、竪型粉砕機に新たに投入された粉砕前の原料に比較すれば、当然に、小さい。
【0004】
前述した循環原料の粒子は、細かな製品を得ようとすればするほど、小さくなるが、細かい粒子は細粒になればなるほど多量の空気を抱え込む。
原料を微粉砕しようとすれば、循環原料の量が増えるので、回転テーブル上の原料層は、粒径の小さな細かな原料を多く含み、空隙率の高い、所謂、嵩高い状態(嵩密度としては低い状態)になる。
【0005】
前述した嵩高い原料層は、空気を大量に含んでいるために、粉砕ローラ等が滑りやすい状態になり、見かけ上、原料層の摩擦係数が小さくなって滑りやすいような状況になる。
従って、嵩高い原料層を、粉砕ローラによって一挙に粉砕しようとすれば、回転テーブル上の原料層の上で、粉砕ローラが滑ってスリップしてしまい、粉砕ローラの回転が不規則になって、異常振動が発生するという問題が生じた。
【0006】
なお、異常振動を防止する方法の一つとして、特許文献1に開示されるような従来技術が公知である。特許文献1に開示の従来技術は、補助ローラを用いて回転テーブル上の原料層を脱気し、一旦、圧密化することによって、粉砕ローラに原料を効率よく噛み込ませるという技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−174946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1に開示された従来技術のように、補助ローラで圧密した原料層を粉砕ローラにて粉砕するという方式は、粉砕効率の向上という点において、一定の効果が期待できる。
しかし、特許文献1に開示された従来技術においても、補助ローラで圧密する際の嵩高い原料層は、空気を大量に含んで滑りやすい状況という点に変わりはない。
補助ローラで原料層を押す圧力は粉砕ローラで原料層を粉砕する圧力より小さいので、基本的に補助ローラで大きな振動が生じにくい構造であるにしても、空気を多量に含んだ原料層を補助ローラで急激に圧密すれば、原料層中の空気が一気に脱気されて、原料層と補助ローラとの間に多量の空気が介在することになる。
その結果、原料層と補助ローラとの間に多量の空気が滞留し、補助ローラと原料層が大きくスリップして振動が発生するという問題が生じた。そのため、補助ローラで原料層を圧密化するにも限度があり、原料層と補助ローラとの間に多量の空気を介在させないように注意する必要があった。
【0009】
本発明は、以上、説明したような問題点に鑑みてなされたものであり、原料を効率良く微粉砕するに好適な竪型粉砕機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明による竪型粉砕機は、
(1) 回転テーブル上に回転自在な粉砕ローラと補助ローラとを配置し、該回転テーブル上に投入した原料を、該補助ローラにより脱気してから粉砕ローラによって粉砕する竪型粉砕機であって、該竪型粉砕機の振動を測定する測定器、振動の許容限界値を記憶する記憶機を備えて、該測定器により測定した振動値が、予め記憶機に記憶した振動の許容限界値を超えた際に、該回転テーブルの回転数を減速させる構成とした。
【0011】
(2) (1)に記載の竪型粉砕機において、前記補助ローラに、幅方向に延びる複数列の溝部を配して、該溝の両端部にガスが抜けるための隙間を形成するとともに、該ローラの幅方向中央付近の溝の深さ寸法が、該溝部の両端部の深さ寸法より大きくなるよう形成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、補助ローラにより脱気してから粉砕ローラによって粉砕する竪型粉砕機において、測定器により測定した竪型粉砕機の振動値が、予め記憶機に記憶した振動の許容限界値を超えた際に、該回転テーブルの回転数を減速させる。
本発明は前述の構成によって、原料層と補助ローラとの間で生じるスリップを防止して、振動の発生を抑制することができる。
【0013】
また、補助ローラに幅方向に延びる複数列の溝部を配して、該溝部の両端部にガスが抜けるための隙間を確保するとともに、該ローラの幅方向中央付近の溝部の深さ寸法が、該溝部の両端部の深さ寸法より大きくなるように構成することにより、原料層が圧密される際に生じる多量の空気を、該溝部の中に入れた後、該溝部の両端部から速やかに排出させることができる。従って、従来技術のように、原料層と補助ローラの間で多量の空気が滞留しないので、異常振動が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係わり竪型粉砕機の全体構造を説明する図である。
【図2】本実施形態に係わり竪型粉砕機のローラ配置を説明する図である。
【図3】本実施形態に係わり補助ローラ構造を説明する図である。
【図4】本実施形態に係わり補助ローラに設けた溝部の配列と形状を説明する要部断面図である。
【図5】本実施形態に係わり補助ローラの溝部の配列と形状を概念的に説明する図である。
【図6】本実施形態に係わり補助ローラによる原料層の圧密挙動を概念的に説明する図である。
【図7】原料層とローラについて速度と摩擦係数の関係を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面等に基づき本発明の好ましい実施形態の1例について詳細に説明する。
図1〜図5は本実施形態に係わり、図1は竪型粉砕機の全体構成を説明する概念図である。図2は補助ローラと粉砕ローラの配置並びに補助ローラに設けた溝部配列を説明する図であり、図3は補助ローラの構造並びに溝部の配列を説明する図である。図4及び図5は補助ローラの溝部の配列と形状を説明する図である。図6は補助ローラによる原料層の圧密挙動を概念的に説明する図である。図7は原料層とローラについて速度と摩擦係数の関係を示したものである。
【0016】
以下、本発明による竪型粉砕機1の好ましい構成について説明する。
本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、図1に示すように竪型粉砕機1の外郭を形成するケーシング1B、1A、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bと駆動モータ2Mによって駆動される回転テーブル2、コニカル型の粉砕ローラ3及び補助ローラ5等を備えている。なお、本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、駆動モータ2Mの駆動用電源としてインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブルの回転速度が任意の変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。また、図1に示す実施形態の竪型粉砕機1は、回転テーブル2の上方に、回転式の分級機14を備えており、分級機14の分級機構として、回転テーブル2の上方に配された回転分級羽根14Aが、竪型粉砕機1の上部に設置された図示しない駆動モータにより駆動され、自在に回転する構成となっている。
【0017】
ここで、本実施形態においては、図1に示したように、竪型粉砕機1の振動値を測定するための振動センサS1を備えるとともに、制御盤50を備えている、
なお、制御盤50は、制御装置50Aと記憶機50Bを備えており、記憶機50Bに対して予め決めた振動値を設定値として記憶させるとともに振動センサS1より送信される振動値が入力されるように構成されている。
竪型粉砕機1の運転中においては、記憶機50Bに設定して記憶した振動値と、前記振動センサS1で測定した振動値について、制御装置50Aで比較し、予め設定した振動値に、測定された振動値が達した際に、制御装置50Aから電動機2Mに対して、回転数を減速するための信号を発信する。
本実施形態においては、竪型粉砕機1が運転中において許容される限界の大きさの振動値を、許容限界振動値として決めて、予め設定値として記憶機50Bに記憶した。
【0018】
図1に示す竪型粉砕機1においては、回転テーブル2の下方にガスを導入するためのガス供給口33を設けており、さらに回転テーブル上方に該ガスと共に製品を取り出すための上部取出口39を設けている。
図1に示した竪型粉砕機1は前述の構成によって、運転中に、ガス供給口33よりガス(本実施形態においては空気)を導入することによって、回転テーブル2下方から分級機14を通過して上部取出口39へと流れるガスの気流が生じる構成となっている。
なお、回転テーブル2上で粉砕された原料は、前記ガスにより吹き上げられてケーシング内を上昇し、分級機14方向に流れるが、径が大きく重量の大きな原料は分級機14まで到達できずに、或いは通過できずに落下することによって、竪型粉砕機1内で循環し、再度粉砕される循環原料となる。そして、分級機14を通過した径の小さな原料は、上部取出口39から製品として取り出される。
【0019】
ここで、本実施形態において粉砕ローラ3は、図2に示すように、回転テーブル2の上面(回転テーブル上面2Aと称することもある)に複数個(本実施形態においては2個)が配されて、回転テーブル2の方向に押圧されるよう構成されている。なお、粉砕ローラ3は、回転テーブル2が回転することにより、回転テーブル2に対して、原料を介して従動して回転する。なお、粉砕ローラ3は、回転テーブル2上において、その外周部分に2個が対向するようにして配されているとともに、粉砕ローラ3と位相を90度ずらしたような形で、補助ローラ5が2個配されている。
【0020】
ここで、図3に示すように、本実施形態において、補助ローラ5は、コニカル型のローラであって、補助ローラ5のローラ幅方向(補助ローラ5の転動面の幅方向)に延びる複数本の溝部Mが加工されている。なお、参考までに、図3において、補助ローラ5について、ローラ幅方向の寸法をローラ幅寸法Lとして、ローラ幅方向中心部のローラ直径寸法をローラ中心径寸法Dとして、記載した。
また、前述の溝部Mの形状を説明するために、図5に、補助ローラ5の表面部分を展開した図を概念的に示す。図5のA部外観図を見ればわかるように、補助ローラ5の幅方向に延びる複数本の溝部Mが一定間隔で配設されている。
【0021】
また、本実施形態においては、前述した溝部Mの形状に特徴があり、溝部Mの両端部にガスが抜けるための隙間を確保するとともに、ローラ幅方向中央付近の溝部Mの深さ寸法が、溝部Mの両端部の深さ寸法より大きく加工してある。
図4に溝部Mの断面形状を示す。溝部Mは、ローラの幅方向に延びて、ローラを横断するように形成されており、溝部Mの両端部については、深さ数ミリの溝深さ寸法(h1)で溝加工がしてあり、溝部Mの中に入ったガスが抜けるための隙間を確保しているとともに、溝部Mのローラ中心部付近については、両端部より、深く(深さ寸法:h2)まで削り込んだ溝加工としている。
【0022】
ここで、ガスが抜けるために必要な端部の溝深さ寸法h1について説明すれば、あまり小さすぎると、排出するための隙間が小さくなりすぎて溝部Mの中の空気が十分に排出させることができない。また、あまり寸法が大きすぎると、排出時のガス速度が遅くなって、原料層の中でガスを噴出しにくくなり、その結果、返ってガスの排出が悪くなる。従って、溝深さ寸法h1は、1mm以上10mm未満の範囲とすることが好ましい。
【0023】
さらに、本実施形態においては、図1に示すように、補助ローラ5の大きさを粉砕ローラ3より大きくしている。図3に補助ローラ5の構成を概念的に示すが、本実施形態において、補助ローラ5の中心径寸法D(補助ローラ5の転動面の幅方向中心部の直径寸法)は、粉砕ローラ3の中心形寸法の約1.2倍とした。
【0024】
なお、補助ローラ5は、原料を粉砕するためのローラではない。そのため、通常は、補助ローラ5について、ローラ幅寸法Lは粉砕ローラ3のローラ幅寸法と同一、ローラ中心径寸法Dは粉砕ローラの中心径寸法より小さく設計された。
これは、補助ローラ5と粉砕ローラ3とのローラ幅寸法を同一にしさえすれば、粉砕ローラ3で粉砕する原料層を補助ローラ5で圧密できるであろうという考え方からによる。
従って、従来は、補助ローラ5の中心径寸法Dは、粉砕ローラ3の中心径寸法より小さくても、十分に補助ローラ5としての機能を果たすものと考えられていた。
その結果、コストを削減するためとして、補助ローラ5は、粉砕ローラよりも、ローラ中心径寸法を小さくして作られることが一般的であった。
粉砕ローラ3として作られたローラをそのまま流用して補助ローラ5として使用する場合も散見されるが、その場合でも補助ローラ3と粉砕ローラ5は同一径にしかならない。
【0025】
しかし、詳細は後述するが、出願人は、補助ローラ5にて、嵩高い原料層を圧密する場合は、前述した補助ローラ5の幅寸法Lのみならず、中心径寸法Dの大きさが、圧密の効果に大きく作用することを知見したため、敢えて、粉砕ローラ3より補助ローラ5の中心径寸法Dを大きくする構成とした。
【0026】
なお、本実施形態に用いることのできる竪型粉砕機1の型式は、前述したものに限らないことは勿論であり、本発明の技術思想を逸脱しないで変更が可能である。
【0027】
以下、本実施形態による竪型粉砕機1の運転方法について、その好ましい1例を説明する。
本実施形態においては、予め運転前に、制御盤50の記憶機50Bに、竪型粉砕機1で許容される限界の大きさの振動値を、許容限界振動値として、設定し記憶する。
運転を開始すると、竪型粉砕機1の原料投入口35に投入された原料(本実施形態においては石炭)は、原料投入シュート13を介して回転テーブルの中央付近に投入されて、渦巻き状の軌跡を描きながら、回転テーブルの外周側に移動する。
そして、回転テーブル上に投入された原料は、後述する循環原料と回転テーブル2上で合わさって、その大部分が補助ローラ5で圧密されて脱気された後、回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。そして、回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料は、回転テーブル2の外縁部に周設されたダムリング15を乗り越えて、回転テーブル上面2の外周部とケーシングとの隙間である環状通路30(環状空間部30と称することもある)へと向かう。
【0028】
なお、環状通路30に達した原料は、前記ガスにより吹き上げられてケーシング内を上昇し、回転セパレータ14方向に流れようとするが、径が大きく重量の大きな原料は、セパレータ14まで到達することができず、或いはセパレータ14を通過できずに、落下することにより、竪型粉砕機1内で循環して繰り返し粉砕される循環原料となる。
そして、原料を微粉砕する場合において、竪型粉砕機1内には循環原料の割合が大きくなり、嵩高い原料層が形成される。
【0029】
なお、循環原料は、所定の粒径となって機外に排出されるまで、繰り返し、回転テーブル上に供給され、補助ローラ5で圧密されて脱気された後、回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。一方、所定の粒径まで小さく粉砕された原料は、セパレータ14に到達して通過することにより、上部取出口39より粉砕品として取り出される。
【0030】
ここで、本実施形態においては、竪型粉砕機1の振動値を振動センサS1で常に測定している。制御盤50は、竪型粉砕機1を制御中(制御運転中)において、記憶機50Bに設定した振動の許容限界値と、前記測定した振動値を比較し、予め設定して記憶した許容限界値に、測定された振動値が達した際に、電動機2Mに対して、回転数を減速するための信号を発信する。
制御盤50の信号により該回転テーブルの回転数が減少すると、図7に示したように、補助ローラ5と原料層との間の摩擦係数が上昇するので、その結果として、補助ローラ5と原料層がスリップしにくくなる。
本発明は前述の構成によって、原料層と補助ローラとの間で生じるスリップを防止して、振動の発生を抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態においては、回転テーブル上に投入した原料を、補助ローラ5により脱気してから粉砕ローラ3によって原料を粉砕するが、補助ローラ5にガス抜きのための溝部Mを形成している。そのため、原料層が圧密される際に生じる多量の空気を、溝部Mの中に入れた後、溝部Mの両端部から速やかに排出させることができる。
従って、従来技術のように、原料層と補助ローラ5の間で多量の空気が滞留しないので、異常振動が抑制される。
【0032】
特に、本実施形態においては、溝部の両端部の深さを浅くし、ローラタイヤの幅方向中心付近について、両端部をより深く凹ませて形成している。
従って、本実施形態における竪型粉砕機1は、原料の脱気時において、深く形成した溝部Mの中心部付近に大量の空気を導入することができ、導入した大量の空気について両端部に形成した浅い溝から一気に排出する構成となっている。
その結果、両端部に形成した浅い溝から排出する空気の速度を、従来より、高めることができるので、例え、該溝部Mの両端部が、原料層の中に埋まっていたとしても、排出する空気の勢いによって、溝部Mを覆った原料を吹き飛ばすことができ、その結果、空気の排出が速やかに行われるという優れた作用効果を有する。
【0033】
また、補助ローラ5の前と後で原料層の高さに違いがないとすれば、運転時に補助ローラ5が原料層を圧密する部分は、補助ローラ5の最下点をつないだ線分(ローラを幅方向に横切って延びる一本の線)となるため、例え、中心径寸法Dが大きくても小さくても、圧密部分の寸法に大きな変化はない。従来技術は、そのような考え方に基づいて、補助ローラ5の中心径寸法Dを小さ目に作成されていた。
【0034】
しかし、実際に補助ローラ5によって原料を圧密すれば、補助ローラ5に噛み込まれる前と後で、原料層の高さに大きな違いが生じる。そして、補助ローラ5に噛み込まれる前と後で、原料層の高さに違いが生じるとすれば、中心径寸法Dが大きいほど、前述した圧密部分の線分の幅が広くなる。具体的に言えば、圧密部分(前述したローラを幅方向に横切って延びる一本の線分)の幅寸法が広くなってくる。
言い換えれば、原料層が嵩高い場合は、補助ローラ5を大きくすればするほど、一度に多くの原料層部分を噛み込んだ状態とすることが可能になる。
【0035】
図6に、中心径寸法Dに対する原料層の圧密部分の幅寸法Xの関係を示す。
補助ローラ5の前と後で原料層の高さが変化した(前寸法がT1、後寸法がT2)場合に、補助ローラ5の中心径寸法がD1>D2ならば、圧密部分の幅寸法はX1>X2となる。そして、補助ローラ5の前と後で原料層の高さ方向の寸法の変化量が同一であるなら、圧密部分の幅寸法X1が大きい中心径寸法D1の方が、緩やかな容積変化を示すことになる。特に、原料を微粉砕する場合には、嵩高い原料層を圧密するので、補助ローラ5の前と後で原料層の高さの違いが大きく、中心径寸法Dを大きくすることにより、圧密部分の幅が大きくなるので、原料層の急激な容積変化が避けられ、効果的である。
本実施形態の竪型粉砕機1においては、補助ローラ5に対しても、急激な容積変化を緩和して、緩やかな容積変化をさせているので、異常振動を生じにくい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように本願発明に係わる竪型粉砕機は、従来に比較して、微粉砕時に振動が発生しにくいという特徴を有するので、原料を微細化する粉砕等に、特に適した粉砕装置として使用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 竪型粉砕機
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
5 補助ローラ
14 分級機
15 ダムリング
35 原料投入口
39 上部取出口
T 原料層厚み
D ローラ中心径寸法
L ローラ幅方向寸法
M 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブル上に回転自在な粉砕ローラと補助ローラとを配置し、該回転テーブル上に投入した原料を、該補助ローラにより脱気してから粉砕ローラによって粉砕する竪型粉砕機であって、
該竪型粉砕機の振動を測定する測定器、振動の許容限界値を記憶する記憶機を備えて、該測定器により測定した振動値が、予め記憶機に記憶した振動の許容限界値を超えた際に、該回転テーブルの回転数を減速させることを特徴とした竪型粉砕機。
【請求項2】
前記補助ローラに、幅方向に延びる複数列の溝部を配して、該溝の両端部にガスが抜けるための隙間を形成するとともに、該ローラの幅方向中央付近の溝の深さ寸法が、該溝部の両端部の深さ寸法より大きくなるよう形成したことを請求項1に記載の竪型粉砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−274190(P2010−274190A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128763(P2009−128763)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】