説明

竪型粉砕装置およびそれを備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラント

【課題】石炭とバイオマスの両方が粉砕でき、バイオマスを効率よく粉砕でき、経済的な運用が可能な竪型粉砕装置を提供する。
【解決手段】ハウジング1とすり鉢状ホッパ11の間に縮流領域16が形成された竪型粉砕装置において、ハウジング1とすり鉢状ホッパ11の間に形成されている縮流領域16に、粉砕粉と搬送用気体10の混合物からなる固気二相流3の上昇速度を調整するための流速調整部材4を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭とバイオマスの両方を粉砕することのできる竪型粉砕装置およびそれを備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントに係り、特にバイオマスを効率よく粉砕できる竪型粉砕装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオマスは、燃料中にN分が少なく揮発分が多いことから、石炭との混焼によって低NOx、低未燃分燃焼が可能であることから、近年、石炭焚きボイラ装置でのCO2排出量削減の1つとして石炭とバイオマスの混焼技術が注目されている。
【0003】
図16は、従来の石炭用竪型粉砕装置の概略構成図である。
この粉砕装置は同図に示すように、粉砕部24と、その粉砕部24の上部に設置された分級部25から主に構成されている。
【0004】
前記粉砕部24は、ハウジング1、粉砕ローラ12、粉砕リング13、スロート15などを有し、粉砕リング13とその上を転動する粉砕ローラ12との噛み合いにより石炭を粉砕する。前記分級部25は、ハウジング1、回転羽根7、固定羽根8、ホッパ11などを有している。
【0005】
次にこの粉砕装置の動作について説明する。
供給管26より供給された被粉砕物9(原炭)は、回転している粉砕リング13の中心部に落下した後、その粉砕リング13の回転に伴う遠心力によって粉砕リング13上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動して、粉砕リング13と粉砕ローラ12の間に噛み込まれて粉砕される。
【0006】
粉砕された粉体は、粉砕リング13の周囲に設けられたスロート15から導入される高温の搬送用気体10と混合して固気二相流3を形成し、粉砕によって生成した粉体は乾燥されながら上方へ吹き上げられる。吹き上げられた粉体は分級部25まで搬送される間に、粉体の上昇速度と重力による粉体の沈降速度との釣り合いにより、大きな粒子が重力により落下し固気二相流3から分離されて、粉砕部24に戻される(一次分級)。
【0007】
分級部25に到達した粒子群は、前記固定羽根8と回転羽根7の働きにより、所定粒度以下の微粒子と所定粒度を超えた粗粒子とに分級され(二次分級)、粗粒子はホッパ11を通して粉砕部24に落下して再び粉砕される。一方、分級部25を出た微粒子は排出管27からボイラ装置(図示せず)へ送られる。
【0008】
なお、先行技術として、例えば石炭・バイオマス混焼システムに関しては下記の特許文献1を、バイオマスの粉砕装置に関しては下記の特許文献2を、粉砕装置に関しては下記の特許文献3,4などを、それぞれ挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−82651号公報
【特許文献2】特開2009−291692号公報
【特許文献3】特開昭63−51957号公報
【特許文献4】特開2009−189909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この石炭用竪型粉砕装置をバイオマスの粉砕に用いるには、以下のような問題がある。
すなわち、バイオマスと石炭は燃料の着火に影響する揮発分が大きく異なるため、揮発分の多いバイオマスは石炭よりも燃焼し易い。石炭の燃焼に適した粒子径が0.1mm以下であるのに対し、バイオマスは1mm以下である。
【0011】
従って従来の石炭用粉砕装置でバイオマスの粉砕を行うと、本来燃焼に適した0.1mm以上、1mm以下の粒子が分離、再粉砕されることで動力や差圧が増加し、その結果、粉砕装置からボイラ装置へ送られる燃焼に適したバイオマス粒子径での粉砕容量が大きく減少する。
【0012】
また、石炭焚きボイラ装置は、通常、複数台、例えば6台の粉砕装置を備え、うち1台は予備としての役割を担っている。従って、バイオマス専用の粉砕装置を新たに追加することは、設備費の増加につながり好ましくない。
【0013】
本発明の目的は、石炭とバイオマスの両方が粉砕でき、特にバイオマスを効率よく粉砕でき、経済的な運用が可能な竪型粉砕装置およびそれを備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、
回転する粉砕リングと、
その粉砕リング上を転動して該粉砕リングとの噛み込み部で被粉砕物を粉砕する粉砕ローラと、
前記粉砕ローラの外周部に設けられて、搬送用気体を前記粉砕ローラの外周部下方から上方に向けて吹き上げるスロートと、
前記粉砕ローラの上方に配置されて回転時の遠心力により粉砕粒子の分級を行う回転羽根と、
その回転羽根の下方に配置されたすり鉢状ホッパと、
前記粉砕リング、粉砕ローラ、スロート、回転羽根ならびにホッパを収容するハウジングを備え、
そのハウジングと前記すり鉢状ホッパの間に上方に行くに従って徐々に狭くなった縮流領域が形成されており、
前記粉砕リングと粉砕ローラによって粉砕された粉砕粒子を前記スロートから吹き上げられた搬送用気体と混合して固気二相流を形成し、
その固気二相流が上昇しながら前記縮流領域において該固気二相流中の大きな粒子を重力により落下して、前記粉砕リング上に戻し、
前記大きな粒子が取り除かれた固気二相流を前記回転羽根側に導いて、該回転羽根の遠心力により前記固気二相流中の粒子を粗粒子と微粒子に分けて、前記粗粒子を前記鉢状ホッパで回収して前記粉砕リング上に戻し、
前記微粒子を前記搬送用気体とともに回転している前記回転羽根の間を通して外部に取り出す竪型粉砕装置を対象とするものである。
【0015】
そして、前記ハウジングとすり鉢状ホッパの間に形成されている前記縮流領域に、前記固気二相流の上昇速度を調整するための流速調整部材を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記流速調整部材の全体が略円筒状に構成されるようになっており、その流速調整部材が前記すり鉢状ホッパを取り囲むように配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、
前記回転羽根の外周部に固定羽根を並設し、その固定羽根の下端部に前記流速調整部材が取り付けられていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第4の手段は前記第1または第2の手段において、
前記流速調整部材が前記すり鉢状ホッパの上端部に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第5の手段は前記第1または第2の手段において、
前記流速調整部材が、
環状の上部固定部材と、
その上部固定部材の下部に周方向に沿って等間隔に配置されて、当該上部固定部材に回転可能に支持された複数本のヒンジ軸と、
各ヒンジ軸の一側端にそれぞれ固定されて、平面形状が円弧状をした複数枚の回動板を備え、
前記固気二相流の上昇速度を速める場合には、前記各ヒンジ軸を回転して前記回動板の自由端を隣のヒンジ軸に当接し、前記複数枚の回動板で略円筒状体を構成し、
前記縮流領域を通過する前記固気二相流の上昇速度を緩める場合には、前記各ヒンジ軸を回転して前記回動板の自由端を隣のヒンジ軸から離して、前記回動板の自由端と隣のヒンジ軸の間に前記固気二相流が流通する通路を形成する構成になっていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第6の手段は前記第5の手段において、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合には、前記回動板の自由端を前記ハウジングの内面に当接する構成になっていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第7の手段は前記第5の手段において、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合に、前記回動板の自由端と隣のヒンジ軸の間に形成される通路が当該流速調整部材の周方向に沿って略均等に形成されることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第8の手段は前記第1または第2の手段において、
前記流速調整部材が、
環状の上部固定部材と、
その上部固定部材の下方に所定の間隔をおいて配置された環状の下部固定部材と、
前記上部固定部材と下部固定部材の間にスライド可能に挟持された、平面形状が円弧状をした複数枚のスライド板を少なくとも備え、
前記スライド板の移動により前記固気二相流の上昇速度が調整できる構成になっていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第9の手段は前記第8の手段において、
前記上部固定部材と下部固定部材の間に、前記スライド板の他に、前記上部固定部材と下部固定部材によって固定された、平面形状が円弧状をした複数枚の固定板を備え、
その固定板と前記スライド板により前記固気二相流の上昇速度が調整できる構成になっていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第10の手段は前記第8の手段において、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合に、前記スライド板のスライドによって形成される通路が当該流速調整部材の周方向に沿って略均等に形成されることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第11の手段は前記第1または第2の手段において、
前記流速調整部材が、
環状の上部固定部材と、
その上部固定部材の下部に固定された上部固定筒体と、
その上部固定筒体の下方に配置される少なくとも1つの可動筒体を備え、
前記固気二相流の上昇速度を速める場合には、前記可動筒体を前記上部固定筒体の下方に配置し、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合には、前記可動筒体を前記上部固定筒体の内側に収納する構成になっていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第12の手段は前記第11の手段において、
前記上部固定筒体の下端開口部に内フランジ部が設けられ、前記可動筒体の上端開口部に外フランジ部が設けられて、
前記可動筒体を前記上部固定筒体の下方に配置したときに、前記可動筒体の外フランジ部が前記上部固定筒体の内フランジ部に上に重なり合うことを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第13の手段は前記第11の手段において、
前記可動筒体として、前記上部固定筒体の内径より小さい内径を有する第1の可動筒体と、その第1の可動筒体の内径より小さい内径を有する第2の可動筒体を有し、
前記固気二相流の上昇速度を速める場合には、前記上部固定筒体の下方に向けて前記第1の可動筒体と第2の可動筒体を順に配置し、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合には、前記第1の可動筒体の内側に前記第2の可動筒体を収納して、前記上部固定筒体と前記第1の可動筒体を連ねるか、あるいは、前記第1の可動筒体の内側に前記第2の可動筒体を収納し、前記上部固定筒体の内側に前記第1の可動筒体を収納する構成になっていることを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第14の手段は前記第13の手段において、
前記上部固定筒体の下端開口部に内フランジ部が設けられ、前記第1の可動筒体の上端開口部に外フランジ部が設けられ、前記第1の可動筒体の下端開口部に内フランジ部が設けられ、前記第2の可動筒体の上端開口部に外フランジ部が設けられて、
前記上部固定筒体の下方に前記第1の可動筒体と第2の可動筒体を順に配置したときに、前記第1の可動筒体の外フランジ部が前記上部固定筒体の内フランジ部に上に重なり合い、前記第2の可動筒体の外フランジ部が前記第1の可動筒体の内フランジ部に上に重なり合うことを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第15の手段は、
複数の竪型粉砕装置と、
前記複数の竪型粉砕装置によってそれぞれ粉砕されて生成した微粉炭およびバイオマス粉を燃焼するバーナをそれぞれ有する石炭・バイオマス焚きボイラ装置と
を備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントにおいて、
前記複数の竪型粉砕装置のうち少なくとも2台の竪型粉砕装置が前記第1ないし第14のいずれかの手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第16の手段は、
石炭を単独で粉砕する第1の竪型粉砕装置と、
バイオマスを単独で粉砕する第2の竪型粉砕装置と、
前記第1の竪型粉砕装置で粉砕された微粉炭を燃焼する微粉炭専焼バーナと、前記第2の竪型粉砕装置で粉砕されたバイオマス粉を燃焼するバイオマス専焼バーナを有する石炭・バイオマス焚きボイラ装置と
を備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントにおいて、
前記第2の竪型粉砕装置が前記第1ないし第14のいずれかの手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【0031】
本発明の第17の手段は、
石炭とバイオマスを混合して粉砕する混砕式の竪型粉砕装置と、
その竪型粉砕装置で粉砕された微粉炭とバイオマス粉を燃焼する石炭・バイオマス混焼バーナを有する石炭・バイオマス焚きボイラ装置と
を備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントにおいて、
前記混砕式の竪型粉砕装置が前記第1ないし第14のいずれかの手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明は前述のよう構成になっており、石炭とバイオマスの両方が粉砕でき、特にバイオマスを効率よく粉砕でき、経済的な運用が可能な竪型粉砕装置およびそれを備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る竪型粉砕装置の流速調整部材を閉じた状態での概略構成図である。
【図2】その竪型粉砕装置の流速調整部材を開いた状態での概略構成図である。
【図3】その流速調整部材を閉じた状態での固気二相流の流れを上方から視た説明図である。
【図4】その流速調整部材の閉じた状態での斜視図である。
【図5】その流速調整部材を開いた状態での固気二相流の流れを上方から視た説明図である。
【図6】その流速調整部材の開いた状態での斜視図である。
【図7】従来の竪型粉砕装置と本発明の第1実施形態に係る竪型粉砕装置で粉砕した石炭ならびにバイオマスの粒子径分布を示す概念図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る流速調整部材を閉じた状態でのハウジングと流速調整部材の水平断面図である。
【図9】図8X−X線上での垂直断面図である。
【図10】その流速調整部材を開いた状態でのハウジングと流速調整部材の水平断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る流速調整部材が垂直方向に最も長く延びた状態での流速調整部材の垂直断面図である。
【図12】その流速調整部材が垂直方向の中間の位置まで延びた状態での流速調整部材の垂直断面図である。
【図13】その流速調整部材が垂直方向で最も短い状態での流速調整部材の垂直断面である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る石炭・バイオマス焚きボイラプラントの概略構成図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る石炭・バイオマス焚きボイラプラントの概略構成図である。
【図16】従来の石炭用竪型粉砕装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
前述のように、バイオマスの燃焼に適した粒子径での粉砕容量を増大するためには、1mm以下の粒子を分離しないのが良い。
【0035】
その手法として、粉砕された粉体と搬送用気体を混合して固気二相流を形成し、上方の分級部へ搬送される際、固気二相流中の粉体の上昇速度と、粉体の沈降速度とのつり合いにより、沈降速度の大きな粗い粒子を落下させる一次分級領域において、粉体の上昇速度を速めることによって、より大きな粒子を上方へ搬送する。
【0036】
前記粉体の上昇速度を速める手段として、従来構造の粉砕装置よりも前記固気二相流の流路を狭めることによって、確実に固気二相流の流速を速めることができる。
【0037】
バイオマスを粉砕する粉砕装置は石炭粉砕装置が停止した際に石炭専用の粉砕装置の予備としても利用できるように、前記一次分級領域の固気二相流の流路を石炭粉砕時にはバイオマスでのそれよりも拡大して流速を低下させることで、一次分級により粗い粒子を落下させる。
【0038】
本発明では、一次分級領域の固気二相流の流路を自在に拡大及び縮小できるような流速調整部材を設ける。
【0039】
これにより、粉砕装置の分解のような長時間、高費用を要する大掛かりな流路切替工事を必要とせずに、容易に切り替えのできる粉砕装置が実現できる。
【0040】
次に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
(第1実施形態)
図1ならびに図2は第1実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図で、図1は流速調整部材を閉じた状態、すなわちバイオマスを粉砕するときの状態、図2は流速調整部材を開いた状態、すなわち石炭を粉砕するときの状態、をそれぞれ示している。
【0041】
竪型粉砕装置の全体的な構成は前述した従来のものと略同様なので、それらの説明は省略する。
本実施形態で図16に示す従来の竪型粉砕装置と相違する点は、ハウジング1とすり鉢状のホッパ11の間に形成されている縮流領域(1次分級領域)16内に、流速調整部材4を垂直方向に設置した点である。なお、この縮流領域16は上方に行くに従って徐々に狭くなっている。
【0042】
この流速調整部材4は、例えば図3ならびに図4に示すように、複数本(本実施形態では6本)等間隔に垂直方向に配置されたヒンジ軸2と、各ヒンジ軸2の一側端に片持ち状に支持された平面形状が円弧状をした回動板28と、各ヒンジ軸2を周方向に回動可能に支持・連結するとともに平面形状がリング状をした上部固定部材14(図4参照)から主に構成されている。図示していないが、ヒンジ軸2には回動板28を開閉するためのストッパー機能を有する回転式の開閉機構が連結されている。
【0043】
図3ならびに図4に示すように、この開閉機構によりヒンジ軸2を回動して回動板28の自由端29を隣のヒンジ軸2に当接することにより、流速調整部材4が閉じた状態になり、全体として円筒状体を成している。
【0044】
また、図5ならびに図6に示すように、前記開閉機構によりヒンジ軸2を逆方向に回動して回動板28の自由端29をハウジング1の内面に当接することにより、流速調整部材4が開いた状態になる。
【0045】
図1に示すように、この流速調整部材4は前記上部固定部材14を介して固定羽根8の下端部に取り付けられ、流速調整部材4の下端開口部は粉砕ローラ12側に向けて開放している。
【0046】
図1ならびに図3に示すように、流速調整部材4(回動板28)を閉じることにより、固気二相流3が流通する断面積は斜線で示すように、ハウジング1と流速調整部材4(回動板28)により制限されて、縮流領域16がさらに狭くなる。
【0047】
この状態での固気二相流3の流れを、図1ならびに図3とともに説明する。
供給管26より供給された被粉砕物9(この場合は木質バイオマス)は、回転している粉砕リング13の中心部に落下した後、その粉砕リング13の回転に伴う遠心力によって粉砕リング13上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動して、粉砕リング13と粉砕ローラ12の間に噛み込まれて粉砕される。
【0048】
粉砕された粒子(この場合はバイオマス粒子)は、スロート15より吹き上げる搬送用気体10と混合し固気二相流3として上方へ搬送される。なお、バイオマスを粉砕するときには搬送用気体10として、空気、燃焼排ガスあるいは空気と燃焼排ガスの混合ガスなどが使用される。
【0049】
図示していないが、前記スロート15は斜め上方に向けて延びているから、スロート15より吹き上げる搬送用気体10には旋回力が付与されている。そのため、前記固気二相流3は、ハウジング1の内周面に沿って旋回しながら固定羽根8の方向へ上昇する。
【0050】
前述のように流速調整部材4を閉じることにより、縮流領域16の流通断面積がさらに狭く制限されているから、固気二相流3の流速が増大した状態で旋回し(図3参照)、重力により粗い粒子が落下する一次分級作用が緩和され、粒子径の大きな粉砕粒子(この場合はバイオマス粒子)もそのまま分級部25に搬送される。
【0051】
分級部25に到達した粒子群は、前記固定羽根8と回転羽根7の働きにより、所定粒度以下の微粒子と所定粒度を超えた粗粒子とに分級され(二次分級)、粗粒子はホッパ11を通して粉砕部24に落下して再び粉砕される。一方、分級部25を出た微粒子(この場合はバイオマス粒子)は排出管27からボイラ装置(図示せず)へ送られる。
【0052】
図5ならびに図6に示すように、流速調整部材4(回動板28)を開き、回動板28の自由端29をハウジング1の内周面に当接することで、隣のヒンジ軸2と回動板28の自由端29の間が開放され、通路6が周方向に沿って均等に形成される。その結果、図3に示すような回動板28による空間の制限がなくなり、固気二相流3が流通する空間はハウジング1とホッパ11のよって区画されている縮流領域16まで拡張される。
【0053】
この状態での固気二相流3の流れを、図2ならびに図5とともに説明する。
供給管26より供給された被粉砕物9(この場合は石炭)は、回転している粉砕リング13の中心部に落下した後、その粉砕リング13の回転に伴う遠心力によって粉砕リング13上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動して、粉砕リング13と粉砕ローラ12の間に噛み込まれて粉砕される。
【0054】
粉砕された粒子(この場合は石炭粒子)は、スロート15より吹き上げる搬送用気体10と混合し固気二相流3として上方へ搬送されるが、前記縮流領域16での流速が前記図1での流速よりも遅い。そして固気二相流3は開いた円弧状の回動板28の内面に衝突5し、粒子径の大きな粉砕粒子(この場合は石炭粒子)は重力により落下する(一次分級)。
【0055】
分級部25に到達した粒子群は、前記固定羽根8と回転羽根7の働きにより、所定粒度以下の微粒子と所定粒度を超えた粗粒子とに分級され(二次分級)、粗粒子はホッパ11を通して粉砕部24に落下して再び粉砕される。一方、分級部25を出た微粒子(この場合は微粉炭)は排出管27からボイラ装置(図示せず)へ送られる。
【0056】
図7は、従来の竪型粉砕装置(従来構造)と本実施形態に係る竪型粉砕装置の、同じ粉砕及び搬送条件における一次分級径について比較した概念図である。
【0057】
ここで一次分級径とは、特定の粉砕及び搬送条件において、一次分級される粒子径の境界値であり、これより小さい粒子はそのまま上昇して、固定羽根8方向へ導かれ、大きな粒子は重力により固気二相流3より分離(一次分級)して、落下した粒子の粒子径をいう。
【0058】
バイオマス燃焼範囲は、バイオマス燃料を最適条件で燃焼するために必要な粒子径であり、図中の破線aはその最大径を示す。ボイラ装置の条件にもよるが、バイオマスを最適条件で燃焼するためには1mm程度が最大径である。
【0059】
石炭燃焼範囲は、石炭燃料を最適条件で燃焼するために必要な粒子径であり、図中の破線bはその最大径を示す。ボイラ装置の条件にもよるが、石炭を最適条件で燃焼するためには0.1mm程度が最大径である。
【0060】
また図中c,d,e,fは各燃料及び構造での、一次分級後に得られる粒子群における粒度分布のうち最大径から最小径までの範囲を示したものである。図中cは従来構造で石炭を粉砕した場合の一次分級径、c1は前記c一次分級径のうち前記破線bよりも大きな粒子、c2は前記c一次分級径のうち前記破線bよりも小さな粒子、dは前記流速調整部材4を開いた構造で石炭を粉砕した場合の一次分級径、d1は前記一次分級径dのうち前記破線bよりも大きな粒子、d2は前記一次分級径dのうち前記破線bよりも小さな粒子、eは従来構造でバイオマスを粉砕した場合の一次分級径、e1は前記一次分級径eの最大径と前記破線bとの間の粒子径範囲、fは前記流速調整部材4が閉じた構造でバイオマスを粉砕した場合の一次分級径の範囲を示している。
【0061】
最初に石炭粉砕について比較する。従来構造cでは、図中c1部分が石炭における最適燃焼の上限径bを超えており、燃焼に不適当な粒子も固定羽根へ送っていた。
【0062】
これに対して本実施形態である流速調整部材4が開いた構造であるdでは、固気二相流3は開いた流速調整部材4と衝突することで旋回流を増し、旋回流による遠心力で粗い粒子が旋回流外周方向へ移動し、流速調整部材4と衝突して下方に落下する作用により、石炭における最適燃焼の上限径bを超えている部分を示すd1が前記c1よりも少なくなり、その分より最適な燃焼条件において燃焼することが可能である。
【0063】
次にバイオマス粉砕について比較する。従来構造eではハウジング1からホッパ11の範囲で固気二相流3の流路を形成し、低流速となることで一次分級作用が働き、それにより得られる粒子径は、バイオマスにおける最適燃焼の上限径aよりも十分に細かい。これは得られたバイオマス粒子の上限径からバイオマスにおける最適燃焼の上限径aとの間の粒子径のバイオマス燃焼に適する粒子範囲e1の粒子が、前記一次分級によって再粉砕されていることを示し、再粉砕のための動力が過剰に必要であることを示している。
【0064】
それに対し流速調整部材が閉じた場合fではハウジング1から流速調整部材4の範囲で固気二相流3の流路を形成し、従来構造eの場合よりも流路が狭まることにより高流速となり、一次分級作用が緩和される。これにより得られる粒子径は前記eに示す範囲よりもバイオマスにおける最適燃焼の上限径aに近く、再粉砕により過剰動力を使用しないことを示し、経済的な運用が可能となる。
【0065】
(第2実施形態)
図8ないし図10は本発明の第2実施形態に係る流速調整部材4を説明するための図で、図8は流速調整部材4を閉じた状態でのハウジング1と流速調整部材4の水平断面図、図9は図8X−X線上での垂直断面図、図10は流速調整部材4を開いた状態でのハウジング1と流速調整部材4の水平断面図である。
【0066】
本実施形態の場合、流速調整部材4は図9に示すように、リング状の上部固定部材14と、その上部固定部材14の下方に所定の間隔をおいて配置されたリング状の下部固定部材17と、上部固定部材14と下部固定部材17の間に挟持・固定されて、図8に示すように周方向に等間隔に複数枚(本実施形態では3枚)配置された、平面形状が円弧状をした固定板18と、その固定板18の径方向外側に複数枚(本実施形態では3枚)配置された、平面形状が円弧状をしたスライド板19とから主に構成されている。
【0067】
スライド板19のスライド方向の幅寸法は、図8に示すように、固定板18と固定板18の間隔と同寸か、あるいはそれよりも若干長く設計されている。
【0068】
上部固定部材14と下部固定部材17には、前記スライド板19の移動を案内するための平面形状が円弧状をした案内溝20が、スライド板19の周方向に沿って形成されている。図示していないが、スライド板19にはストッパー機能を有する回転式の開閉機構が連結されている。
【0069】
この流速調整部材4は、前記第1実施形態と同様に、上部固定部材14を介して固定羽根8の下端部に連結されて、ハウジング1とホッパ11の間に形成された縮流領域16内に垂直方向に配置されている。
【0070】
図8に示すように、前記開閉機構によりスライド板19を固定板18と固定板18の間まで移動して停止することにより、流速調整部材4は閉じた状態に保持される。そして固気二相流3が流通する断面積は、ハウジング1と流速調整部材4(固定板18、スライド板19)により制限されて、縮流領域16が狭くなる。
【0071】
この状態で被粉砕物9(この場合は木質バイオマス)を粉砕すると、前記第1実施形態と同様に、粉砕した粒子(この場合はバイオマス粒子)を含んだ固気二相流3の流速が増大した状態で固定羽根8側に上昇し、重力により粗い粒子が落下する一次分級作用が緩和され、粒子径の大きな粉砕粒子(この場合はバイオマス粒子)もそのまま分級部25に搬送される。
【0072】
図10に示すように、前記開閉機構によりスライド板19を固定板18と重なる位置まで移動して停止することにより、流速調整部材4は開いた状態に保持され、固定板18と固定板18の間に通路6が周方向に沿って均等に形成される。従って、固定板18、スライド板19による空間の制限がなくなり、固気二相流3が流通する空間はハウジング1とホッパ11のよって区画形成されている縮流領域16まで拡張される。
【0073】
この状態で被粉砕物9(この場合は石炭)を粉砕すると、粉砕された粒子(この場合は石炭粒子)を含む固気二相流3の流速は、前述のバイオマスの場合よりも遅く、粒子径の大きな粉砕粒子(この場合は石炭粒子)は重力により落下する(一次分級)。
【0074】
この実施形態では、流速調整部材4の径方向内側に固定板18を、外側にスライド板19を設けたが、反対に流速調整部材4の径方向内側にスライド板19を、外側に固定板18を設けることも可能である。
【0075】
またこの実施形態では、固定板18とスライド板19が1枚ずつで1組になった例を示したが、1枚の固定板18と2枚のスライド板19で1組になって、前記2枚のスライド板19が固定板18の両側から移動できるように構成してもよい。さらに、固定板18を使用しないで、全てスライド板19で構成し、そのスライド板19の相対的な移動によって流速調整部材4を開状態あるいは閉状態にすることも可能である。
【0076】
(第3実施形態)
図11ないし図13は本発明の第3実施形態に係る流速調整部材4を説明するための図で、図11は流速調整部材4が垂直方向に最も長く延びた状態での流速調整部材4の垂直断面図、図12は流速調整部材4が垂直方向の中間の位置まで延びた状態での流速調整部材4の垂直断面図、図13は流速調整部材4が垂直方向で最も短い状態での流速調整部材4の垂直断面図である。
【0077】
この実施形態で使用する流速調整部材4は、上部固定部材14と、上部固定筒体21と、中間部可動筒体22と、下部可動筒体23から構成されており、上部固定筒体21、中間部可動筒体22ならびに下部可動筒体23は共に上下に開放する開口部が設けられている。
【0078】
前記上部固定筒体21の上端部は上部固定部材14に連結・固定されており、上部固定筒体21の下端開口部には内フランジ部30が設けられている。前記中間部可動筒体22の上端開口部には、前記上部固定筒体21の内フランジ部30と係合可能(重ね合わせ可能)な外フランジ部31が設けられ、中間部可動筒体22の下端開口部には内フランジ部32が設けられている。前記下部可動筒体23の上端開口部には、前記中間部可動筒体22の内フランジ部32と係合可能(重ね合わせ可能)な外フランジ部33が設けられている。
【0079】
図11に示すように、上部固定筒体21の内径をD1、中間部可動筒体22の内径をD2、下部可動筒体23の内径をD3としたとき、D1>D2>D3の関係にあって、中間部可動筒体22は上部固定筒体21に収納可能になっており、下部可動筒体23は中間部可動筒体22に収納可能になっている。
【0080】
図示していないが、前記中間部可動筒体22ならびに下部可動筒体23には、それらを個別に上下動するストッパー機能付きの牽引機構(図示せず)が接続されている。
【0081】
前記第1実施形態と同様に、この流速調整部材4(上部固定筒体21、中間部可動筒体22、下部可動筒体23)は、ハヴシング1とホッパ11の間に形成される縮流領域16内に垂直方向に配置されている。
【0082】
図11に示すように、上部固定筒体21の下に中間部可動筒体22が吊り下げられ、さらに中間部可動筒体22の下に下部可動筒体23が吊り下げられた状態では、これら3部材により長い円筒構造を有する流速調整部材4が構成される。従って同図の斜線で示すように、流速調整部材4によって規制される範囲が後述する図12ならびに図13に比べて長い。
【0083】
図12に示すように、図11の状態から前記牽引機構で下部可動筒体23を引き上げて中間部可動筒体22の内側に収納すれば、流速調整部材4は実質的に上部固定筒体21と中間部可動筒体22で構成され、同図の斜線で示すように流速調整部材4によって規制される長さが前記図11の場合に比べて約2/3に短くできる。
【0084】
図13に示すように、図12の状態から前記牽引機構で中間部可動筒体22と下部可動筒体23を引き上げて両者を上部固定筒体21の内側に収納すれば、流速調整部材4は実質的に上部固定筒体21のみで構成され、最も短い円筒構造となり、同図の斜線で示すように流速調整部材4によって規制される長さが前記図11の場合に比べて約1/3に短くできる。
【0085】
このように流速調整部材4による規制長さを調節できると、ハウジング1と流速調整部材4の間での固気二相流3の流速増大、即ち、重力により粗い粒子が落下する一次分級作用の緩和度合いが任意に調整できる。
【0086】
前記実施形態では回転羽根7と固定羽根8を並設した分級部25について説明したが、固定羽根8を使用しないで、回転羽根7のみを備えた分級部25についても適用可能である。
【0087】
前記実施形態では、流速調整部材4を固定羽根8の下端部に取り付けたが、ホッパ11の上端部に取り付けることも可能である。
【0088】
本発明に係る竪型粉砕装置は、基本的には既設の竪型粉砕装置に流速調整部材4を付設することにより構成でき、竪型粉砕装置の大幅な改造などは不要であるから、製作時間ならびに製作費の増大を抑えることができる。
【0089】
(第4実施形態)
図14は、本発明の第4実施形態に係る石炭・バイオマス焚きボイラプラントの概略構成図である。
同図に示すように本実施形態の場合、原炭は原炭搬入コンベア51で石炭バンカ52内に投入され、第1の竪型粉砕装置53で所定の大きさに粉砕される。この第1の竪型粉砕装置53は図16で説明した構造を有しており、前記実施形態で説明した流速調整部材4は付設されていない。
【0090】
なお、この第1の竪型粉砕装置53は流速調整部材4を備えている場合もあり、前記第1実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、図2、図5ならびに図6に示すように回動板28は開いた状態になっている。また前記第2実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、図10に示すようにスライド板19が固定板18と重なって、流速調整部材4が開いた状態になっている。さらに前記第3実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、図13に示すように中間部可動筒体22と下部可動筒体23が上部固定筒体21内に収納されて、流速調整部材4は最も短い状態になっている。
【0091】
粉砕された石炭粉は搬送用気体(この場合は1次空気)54で乾燥されながら第1の竪型粉砕装置53の上部に搬送され、分級した後に石炭・バイオマス焚きボイラ装置55の微粉炭専焼バーナ56にそれぞれ供給されて、炉内で燃焼する。
【0092】
一方、バイオマスサイロ57に貯蔵されているペレット状あるいはチップ状の木質バイオは、バイオマス搬入コンベア58によってバイオマスバンカ59内に投入され、第2の竪型粉砕装置60で所定の大きさに粉砕される。
【0093】
なお、この第2の竪型粉砕装置60は、前記1〜3実施形態で説明したいずれかの流速調整部材4を付設している。前記第1実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、図1、図3ならびに図4に示すように回動板28は閉じた状態あるいはそれに近い状態になっている。また前記第2実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、図8に示すようにスライド板19が固定板18から離れて、流速調整部材4は閉じた状態あるいはそれにに近い状態になっている。さらに前記第3実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、図11に示すように上部固定筒体21、中間部可動筒体22ならびに下部可動筒体23がそれぞれ延びて、流速調整部材4は最も長い状態になっている。
【0094】
粉砕されたバイオマス粉は搬送用気体(この場合は燃焼排ガスあるいは燃焼排ガスと1次空気の混合ガス)61で乾燥されながら第2の竪型粉砕装置60の上部に搬送され、分級した後に石炭・バイオマス焚きボイラ装置55のバイオ専焼バーナ62にそれぞれ供給されて、炉内で燃焼するシステムになっている。
【0095】
石炭・バイオマス焚きボイラ装置55から排出した燃焼排ガスは、脱硝装置63、空気予熱器64ならびに電気集塵機65などを通って浄化され、図示しない煙突から大気へ放出される。
【0096】
(第5実施形態)
図15は、本発明の第5実施形態に係る石炭・バイオマス焚きボイラプラントの概略構成図である。
本実施形態の場合、バイオマスサイロ57に貯蔵されているペレット状あるいはチップ状の木質バイオは、原炭を搬送する原炭搬入コンベア51上に供給され、原炭とともに石炭バンカ52内に投入される。
【0097】
そして原炭と木質バイオの混合物は、第2の竪型粉砕装置60で所定の大きさに粉砕される。この第2の竪型粉砕装置60は、前記1〜3実施形態で説明したいずれかの流速調整部材4を付設している。前記第1実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、回動板28は途中まで開いた状態になっている。また前記第2実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、スライド板19が固定板18から若干離れて、流速調整部材4は途中まで開いた状態になっている。さらに前記第3実施形態に係る流速調整部材4を用いるときには、図12に示すように下部可動筒体23が中間部可動筒体22内に収納されて、上部固定筒体21と中間部可動筒体22が連なり、流速調整部材4は中間の長さになっている。
【0098】
粉砕された石炭とバイオマスの混合粉は搬送用気体(この場合は1次空気)54で乾燥されながら第2の竪型粉砕装置60の上部に搬送され、分級した後に石炭・バイオマス焚きボイラ装置55の石炭・バイオ混焼バーナ63にそれぞれ供給されて、炉内で燃焼するシステムになっている。
【0099】
この第4,5実施形態に係る石炭・バイオマス焚きボイラプラントにおいては、貯蔵性に優れたバイオマスを副燃料として燃焼することができ、その結果、炉内脱硝効果を高め、高効率、安全且つCO2排出削減(地球温暖化防止)に寄与することができる。
【符号の説明】
【0100】
1・・・ハウジング、2・・・ヒンジ軸、3・・・固気二相流、4・・・流速調整部材、5・・・固気二相流の衝突、6・・・通路、7・・・回転羽根、8・・・固定羽根、9・・・被粉砕物、10・・・搬送用気体、11・・・ホッパ、12・・・粉砕ローラ、13・・・粉砕リング、14・・・上部固定部材、15・・・スロート、16・・・縮流領域、17・・・下部固定部材、18・・・固定板、19・・・スライド板、20・・・案内溝、21・・・上部固定筒体、22・・・中間部可動筒体、23・・・下部可動筒体、24・・・粉砕部、25・・・分級部、26・・・供給管、27・・・排出管、28・・・回動板、29・・・自由端、30・・・内フランジ部、31・・・外フランジ部、32・・・内フランジ部、33・・・外フランジ部、51・・・原炭搬入コンベア、52・・・石炭バンカ、53・・・第1の竪型粉砕装置、54・・・搬送用気体、55・・・石炭・バイオマス焚きボイラ装置、56・・・微粉炭専焼バーナ、57・・・バイオマスサイロ、58・・・バイオマス搬入コンベア、59・・・バイオマスバンカ、60・・・第2の竪型粉砕装置、61・・・搬送用気体、62・・・バイオマス専焼バーナ、63・・・石炭・バイオマス混専焼バーナ、D1・・・上部固定筒体の内径、D2・・・中間部可動筒体の内径、D3・・・下部可動筒体の内径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する粉砕リングと、
その粉砕リング上を転動して該粉砕リングとの噛み込み部で被粉砕物を粉砕する粉砕ローラと、
前記粉砕ローラの外周部に設けられて、搬送用気体を前記粉砕ローラの外周部下方から上方に向けて吹き上げるスロートと、
前記粉砕ローラの上方に配置されて回転時の遠心力により粉砕粒子の分級を行う回転羽根と、
その回転羽根の下方に配置されたすり鉢状ホッパと、
前記粉砕リング、粉砕ローラ、スロート、回転羽根ならびにホッパを収容するハウジングを備え、
そのハウジングと前記すり鉢状ホッパの間に上方に行くに従って徐々に狭くなった縮流領域が形成されており、
前記粉砕リングと粉砕ローラによって粉砕された粉砕粒子を前記スロートから吹き上げられた搬送用気体と混合して固気二相流を形成し、
その固気二相流が上昇しながら前記縮流領域において該固気二相流中の大きな粒子を重力により落下して、前記粉砕リング上に戻し、
前記大きな粒子が取り除かれた固気二相流を前記回転羽根側に導いて、該回転羽根の遠心力により前記固気二相流中の粒子を粗粒子と微粒子に分けて、前記粗粒子を前記鉢状ホッパで回収して前記粉砕リング上に戻し、
前記微粒子を前記搬送用気体とともに回転している前記回転羽根の間を通して外部に取り出す竪型粉砕装置において、
前記ハウジングとすり鉢状ホッパの間に形成されている前記縮流領域に、前記固気二相流の上昇速度を調整するための流速調整部材を設けたことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項2】
請求項1に記載の竪型粉砕装置において、
前記流速調整部材の全体が略円筒状に構成されるようになっており、その流速調整部材が前記すり鉢状ホッパを取り囲むように配置されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の竪型粉砕装置において、
前記回転羽根の外周部に固定羽根を並設し、その固定羽根の下端部に前記流速調整部材が取り付けられていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の竪型粉砕装置において、
前記流速調整部材が前記すり鉢状ホッパの上端部に取り付けられていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の竪型粉砕装置において、
前記流速調整部材が、
環状の上部固定部材と、
その上部固定部材の下部に周方向に沿って等間隔に配置されて、当該上部固定部材に回転可能に支持された複数本のヒンジ軸と、
各ヒンジ軸の一側端にそれぞれ固定されて、平面形状が円弧状をした複数枚の回動板を備え、
前記固気二相流の上昇速度を速める場合には、前記各ヒンジ軸を回転して前記回動板の自由端を隣のヒンジ軸に当接し、前記複数枚の回動板で略円筒状体を構成し、
前記縮流領域を通過する前記固気二相流の上昇速度を緩める場合には、前記各ヒンジ軸を回転して前記回動板の自由端を隣のヒンジ軸から離して、前記回動板の自由端と隣のヒンジ軸の間に前記固気二相流が流通する通路を形成する構成になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項6】
請求項5に記載の流速調整部材において、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合には、前記回動板の自由端を前記ハウジングの内面に当接する構成になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項7】
請求項5に記載の流速調整部材において、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合に、前記回動板の自由端と隣のヒンジ軸の間に形成される通路が当該流速調整部材の周方向に沿って略均等に形成されることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の竪型粉砕装置において、
前記流速調整部材が、
環状の上部固定部材と、
その上部固定部材の下方に所定の間隔をおいて配置された環状の下部固定部材と、
前記上部固定部材と下部固定部材の間にスライド可能に挟持された、平面形状が円弧状をした複数枚のスライド板を少なくとも備え、
前記スライド板の移動により前記固気二相流の上昇速度が調整できる構成になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項9】
請求項8に記載の竪型粉砕装置において、
前記上部固定部材と下部固定部材の間に、前記スライド板の他に、前記上部固定部材と下部固定部材によって固定された、平面形状が円弧状をした複数枚の固定板を備え、
その固定板と前記スライド板により前記固気二相流の上昇速度が調整できる構成になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項10】
請求項8に記載の流速調整部材において、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合に、前記スライド板のスライドによって形成される通路が当該流速調整部材の周方向に沿って略均等に形成されることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項11】
請求項1または2に記載の竪型粉砕装置において、
前記流速調整部材が、
環状の上部固定部材と、
その上部固定部材の下部に固定された上部固定筒体と、
その上部固定筒体の下方に配置される少なくとも1つの可動筒体を備え、
前記固気二相流の上昇速度を速める場合には、前記可動筒体を前記上部固定筒体の下方に配置し、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合には、前記可動筒体を前記上部固定筒体の内側に収納する構成になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項12】
請求項11に記載の竪型粉砕装置において、
前記上部固定筒体の下端開口部に内フランジ部が設けられ、前記可動筒体の上端開口部に外フランジ部が設けられて、
前記可動筒体を前記上部固定筒体の下方に配置したときに、前記可動筒体の外フランジ部が前記上部固定筒体の内フランジ部に上に重なり合うことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項13】
請求項11に記載の竪型粉砕装置において、
前記可動筒体として、前記上部固定筒体の内径より小さい内径を有する第1の可動筒体と、その第1の可動筒体の内径より小さい内径を有する第2の可動筒体を有し、
前記固気二相流の上昇速度を速める場合には、前記上部固定筒体の下方に向けて前記第1の可動筒体と第2の可動筒体を順に配置し、
前記固気二相流の上昇速度を緩める場合には、前記第1の可動筒体の内側に前記第2の可動筒体を収納して、前記上部固定筒体と前記第1の可動筒体を連ねるか、あるいは、前記第1の可動筒体の内側に前記第2の可動筒体を収納し、前記上部固定筒体の内側に前記第1の可動筒体を収納する構成になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項14】
請求項13に記載の竪型粉砕装置において、
前記上部固定筒体の下端開口部に内フランジ部が設けられ、前記第1の可動筒体の上端開口部に外フランジ部が設けられ、前記第1の可動筒体の下端開口部に内フランジ部が設けられ、前記第2の可動筒体の上端開口部に外フランジ部が設けられて、
前記上部固定筒体の下方に前記第1の可動筒体と第2の可動筒体を順に配置したときに、前記第1の可動筒体の外フランジ部が前記上部固定筒体の内フランジ部に上に重なり合い、前記第2の可動筒体の外フランジ部が前記第1の可動筒体の内フランジ部に上に重なり合うことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項15】
複数の竪型粉砕装置と、
前記複数の竪型粉砕装置によってそれぞれ粉砕されて生成した微粉炭およびバイオマス粉を燃焼するバーナをそれぞれ有する石炭・バイオマス焚きボイラ装置と
を備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントにおいて、
前記複数の竪型粉砕装置のうち少なくとも2台の竪型粉砕装置が請求項1ないし14のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする石炭・バイオマス焚きボイラプラント。
【請求項16】
石炭を単独で粉砕する第1の竪型粉砕装置と、
バイオマスを単独で粉砕する第2の竪型粉砕装置と、
前記第1の竪型粉砕装置で粉砕された微粉炭を燃焼する微粉炭専焼バーナと、前記第2の竪型粉砕装置で粉砕されたバイオマス粉を燃焼するバイオマス専焼バーナを有する石炭・バイオマス焚きボイラ装置と
を備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントにおいて、
前記第2の竪型粉砕装置が請求項1ないし14のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする石炭・バイオマス焚きボイラプラント。
【請求項17】
石炭とバイオマスを混合して粉砕する混砕式の竪型粉砕装置と、
その竪型粉砕装置で粉砕された微粉炭とバイオマス粉を燃焼する石炭・バイオマス混焼バーナを有する石炭・バイオマス焚きボイラ装置と
を備えた石炭・バイオマス焚きボイラプラントにおいて、
前記混砕式の竪型粉砕装置が請求項1ないし14のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする石炭・バイオマス焚きボイラプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−24652(P2012−24652A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162763(P2010−162763)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】