端子、同軸ケーブルモジュール、及びインタフェース装置
【課題】電子部品試験装置のインタフェース装置の製造期間の短縮化を図ることが可能な端子を提供する。
【解決手段】端子60Aは、同軸ケーブル50の信号線51を突出させつつ同軸ケーブル50のシールド層53がそれぞれ固定される複数の固定部62が並列に設けられた本体部61と、同軸ケーブル50の信号線51と実質的に同一方向に本体部61から突出しており、ソケットボード30のスルーホールに挿入される複数の突出部63と、を備えている。
【解決手段】端子60Aは、同軸ケーブル50の信号線51を突出させつつ同軸ケーブル50のシールド層53がそれぞれ固定される複数の固定部62が並列に設けられた本体部61と、同軸ケーブル50の信号線51と実質的に同一方向に本体部61から突出しており、ソケットボード30のスルーホールに挿入される複数の突出部63と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の同軸ケーブルを回路基板に接続するための端子、並びに、それを備えた同軸ケーブルモジュール及びインタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路素子等の電子部品を試験する電子部品試験装置では、被試験電子部品(DUT:Device Under Test)とテストヘッドとの電気的な接続を中継するためにインタフェース装置が用いられている。
【0003】
こうしたインタフェース装置として、被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、テストヘッドと電気的に接続されるパフォーマンスボードとの間を、多数の同軸ケーブルによって電気的に接続するCCN(Cable Connection)タイプのインタフェース装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このCCNタイプのインタフェース装置は、ソケットボードとパフォーマンスボードとが同軸ケーブルによって直接接続されていることから、高品質な試験が要求されるDUTに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−78048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のCCNタイプのインタフェース装置では、ソケットボードのスルーホールに一本ずつ同軸ケーブルを挿入して半田付けによって固定する必要があるため、インタフェース装置の製造期間が長くなるという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、インタフェース装置の製造期間の短縮化を図ることが可能な端子、同軸ケーブルモジュール、及びインタフェース装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明に係る端子は、複数の同軸ケーブルを回路基板に電気的に接続するための端子であって、前記同軸ケーブルの信号線を突出させつつ前記同軸ケーブルのシールド層がそれぞれ固定される複数の固定部が並列に設けられた本体部と、前記同軸ケーブルの信号線と実質的に同一方向に前記本体部から突出しており、前記回路基板に形成されたスルーホールに挿入される複数の突出部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
[2]上記発明において、前記本体部から突出する前記突出部の数は、前記本体部に設けられた前記固定部の数よりも少なく、平面視において隣接する前記突出部の間に凹部が形成されていてもよい。
【0010】
[3]上記発明において、前記固定部は、前記本体部上において第1のピッチで配置されているのに対し、前記突出部は、前記第1のピッチの実質的に2倍である第2のピッチで配置されており、前記突出部は、前記固定部に対して一つ置きに配置されていてもよい。
【0011】
[4]上記発明において、前記固定部は、前記同軸ケーブルのシールド層と半田付けで固定されていてもよい。
【0012】
[5]上記発明において、前記端子は単一の金属板材を加工して構成されていてもよい。
【0013】
[6]本発明に係る同軸ケーブルモジュールは、上記の端子と、シールド層が前記端子にそれぞれ固定された複数の同軸ケーブルと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
[7]本発明に係るインタフェース装置は、被試験電子部品とテストヘッドとの間の電気的な接続を中継するインタフェース装置であって、前記被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、前記テストヘッドに電気的に接続されるパフォーマンスボードと、前記ソケットボードと前記パフォーマンスボードとを電気的に接続する上記の複数の同軸ケーブルモジュールと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
[8]本発明に係るインタフェース装置は、被試験電子部品とテストヘッドとの間の電気的な接続を中継するインタフェース装置であって、前記被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、前記テストヘッドに電気的に接続されるパフォーマンスボードと、前記ソケットボードと前記パフォーマンスボードとを電気的に接続する上記の複数の同軸ケーブルモジュールと、を備えており、前記本体部から突出する前記突出部の数は、前記本体部に設けられた前記固定部の数よりも少なく、平面視において、隣接する前記突出部の間に凹部が形成され、前記同軸ケーブルモジュールの端子の突出部が、他の前記同軸ケーブルモジュールの端子の凹部に入り込んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、複数の同軸ケーブルを端子によって回路基板にまとめて接続することができるので、インタフェース装置の製造期間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施形態における電子部品試験装置を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態におけるテストヘッド及びハイフィックスの概略断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施形態における第1の同軸ケーブルモジュールを示す正面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す第1の同軸ケーブルモジュールの側面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態における同軸ケーブルを示す正面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態における第1の端子を示す正面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す第1の端子の平面図である。
【図5C】図5Cは、図5AのVC-VC線に沿った断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態における第2の同軸ケーブルモジュールを示す正面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の実施形態における第2の端子を示す正面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す第2の端子の平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態における第3の同軸ケーブルモジュールを示す正面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の実施形態における第3の端子を示す正面図である。
【図9B】図9Bは、図9Aに示す第3の端子の平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態において第2の端子と第3の端子を互いに合わせた状態を示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態におけるソケットボードを示す平面図である。
【図12】図12は、図11のXII部の拡大図である。
【図13】図13は、図11のXIII部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本実施形態における電子部品試験装置を示す概略断面図、図2は本実施形態におけるテストヘッド及びハイフィックスの概略断面図である。
【0020】
本実施形態における電子部品試験装置1は、図1に示すように、被試験電子部品DUTを取り廻すためのハンドラ2と、テスト時にDUTと電気的に接続されるテストヘッド4と、テストヘッド4を介してDUTに対して試験信号を送出し、DUTのテストを実行するテスタ本体(メインフレーム)3と、から構成されている。この電子部品試験装置1は、DUTに高温又は低温の熱ストレスを印加した状態でDUTの電気的特性等を試験し、当該試験結果に応じてDUTを分類する。
【0021】
図1に示すように、テストヘッド4の上部には、DUTとテストヘッド4との間の電気的な接続を中継するハイフィックス(HIFIX:High Fidelity Tester Access Fixture)10が装着されている。さらに、このハイフィックス10の上部には、DUTと電気的に接触するソケット20が設けられている。このソケット20は、ハンドラ2に形成された開口2aを介してハンドラ2の内部に臨んでおり、ハンドラ2内を搬送されてきたDUTがこのソケット20に押し付けられる。なお、ハンドラ2としては、ヒートプレートタイプやチャンバタイプのものを用いることができる。
【0022】
ハイフィックス10は、図2に示すように、前述のソケット20が実装されたソケットボード30と、テストヘッド4にコネクタ71を介して接続されるパフォーマンスボード70と、ソケットボード30とパフォーマンスボード70とを電気的に接続する同軸ケーブルモジュール40と、を備えている。なお、図2では、ソケット20を2つのみ図示しているが実際には64個、128個といった多数のソケット20が設けられている。また、図2における符号60は、後述する第1〜第3の端子60A〜60Cの総称である。
【0023】
先ず、本実施形態における同軸ケーブルモジュール40について説明する。
【0024】
本実施形態では、同軸ケーブルモジュール40として、図3A、図6及び図8に示すような3種類の同軸ケーブルモジュール40A〜40Cが用意されている。
【0025】
先ず、第1の同軸ケーブルモジュール40Aについて説明する。なお、第2及び第3の同軸ケーブルモジュール40B,40Cにおいて第1の同軸ケーブルモジュール40Aと同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】
図3A及び図3Bは本実施形態における第1の同軸ケーブルモジュールを示す図、図4は本実施形態における同軸ケーブルを示す図、図5A〜図5Cは本実施形態における第1の端子を示す図である。
【0027】
第1の同軸ケーブルモジュール40Aは、図3A及び図3Bに示すように、7本の同軸ケーブル50と、これら同軸ケーブル50をまとめてソケットボード30に接続するための第1の端子60Aと、を備えている。
【0028】
同軸ケーブル50は、図4に示すように、信号線51と、信号線51の外周に配置された絶縁層52と、例えば金属線を編組して構成され、絶縁層52の外周に配置されたシールド層53と、これらを被覆している被覆層54と、を有している。なお、同図に示すように、この同軸ケーブル50の両端は、モジュール化に当たり、信号線51とシールド層53とがそれぞれ所定量露出するように予め処理されている。
【0029】
第1の端子60Aは、図5A〜図5Cに示すように、本体部61と、ソケットボード30のスルーホールに挿入される複数(本例では4本)の突出部63と、を備えている。
【0030】
この第1の端子60Aは、金属材料等の導電性を有する材料から構成されており、例えば一枚の板材をプレス加工や打抜加工することで形成されている。このように、一枚の板材から第1の端子60Aを形成することで、第1の端子60Aのコスト低減を図ることができる。特に、第1の端子60Aはひとつのハイフィックス10において大量に使用されるため、その効果は顕著である。
【0031】
第1の端子60Aの本体部61には、図5Aに示すように、同軸ケーブル50のシールド層53が固定される7つの固定部62が第1のピッチP1で並列に設けられている。なお、この固定部62は、本体部61において同軸ケーブル50のシールド層53と半田付けによって固定される部位であり、例えば、本実施形態では、本体部61において当該本体部61を貫通する開口621の周囲の領域(図5Aにおいて一点鎖線で囲む領域)である。
【0032】
また、本体部61の下部には、8つのリブ623が立設されている。これら8つのリブ623は、図5A及び図5Bに示すように、固定部62の両側にそれぞれ位置するように、実質的に等間隔に配置されている。
【0033】
この固定部62に同軸ケーブル50のシールド層53を密着させると共に、当該固定部62に隣接する2つのリブ623の間に同軸ケーブル50を挟んだ状態で、シールド層53と固定部62とが半田付けによって固定されている。この半田付けによって、固定部62に固定されたシールド層53は、本体部61を介して突出部63に電気的に導通する。
【0034】
一方、図5Aにおける固定部62の上部は開放されており、固定部62に固定された同軸ケーブル50の信号線51は、同図において上方に突出するようになっている(図3A参照)。
【0035】
第1の端子60Aの突出部63は、固定部62に固定された同軸ケーブル50の信号線51と実質的に同一方向に突出するように、本体部61から延在している。この第1の端子60Aでは、4本の突出部63が、上述の第1のピッチP1の2倍である第2のピッチP2で設けられており(P2=P1×2)、突出部63は、固定部62に対して一つ置きに配置されている。なお、第1の端子60Aに固定される同軸ケーブル50の数よりも当該第1の端子60Aの突出部63の数の方が少ない限り、これらの数は特に限定されない。
【0036】
このように本実施形態では突出部63が固定部62に対して一つ置きに配置されているので、図5Bに示す平面視において、隣接する突出部63同士の間に凹部631がそれぞれ形成されている。この凹部631は、第1の端子60Aでは特に使用されないが、後述する第2及び第3の端子60B,60Cでは、一方の端子の突出部63が他方の端子の凹部631に入り込むことで、ソケットボード30上の限られたスペースに多くの同軸ケーブル50を接続することが可能となっている。
【0037】
図3A及び図3Bに示すように、同軸ケーブル50の他方の端部には、パフォーマンスボード70のスルーホール(不図示)に、同軸ケーブル50の信号線51とシールド層54を電気的に接続するために、同図に示すような端子64が個別的に取り付けられている。
【0038】
図6は本実施形態における第2の同軸ケーブルモジュールを示す図、図7A及び図7Bは本実施形態における第2の端子を示す図である。
【0039】
第2の同軸ケーブルモジュール40Bは、図6に示すように、15本の同軸ケーブル50と、これら同軸ケーブル50をまとめてソケットボード30に接続するための第2の端子60Bと、を備えている。
【0040】
第2の端子60Bは、固定部62の数と突出部63の数とが第1の端子60Aと相違している。この第2の端子60Bには、15本の同軸ケーブル50が固定されることに伴って、図7A及び図7Bに示すように、15個の固定部62が本体部61に設けられていると共に、8本の突出部63が本体部61から突出している。
【0041】
図8は本実施形態における第3の同軸ケーブルモジュールを示す図、図9A及び図9Bは本実施形態における第3の端子を示す図、図10は本実施形態において第2の端子と第3の端子を互いに合わせた状態を示す平面図である。
【0042】
第3の同軸ケーブルモジュール40Cも、第2の同軸ケーブルモジュール40Bと同様に、図8に示すように、15本の同軸ケーブル50と、これら同軸ケーブル50をまとめてソケットボード30に接続する第3の端子60Cと、を備えている。
【0043】
第3の端子60Cは、図9A及び図9Bに示すように、固定部62の数が第2の端子60Bと同様であるのに対し、突出部63の数とその配置が第2の端子60Bと相違している。
【0044】
この第3の端子60Cでは、7本の突出部63が、第2の端子60Bの突出部63とは逆周期(互い違い)で本体部61から突出している。このため、図10に示すように、第2の端子60Bと第3の端子60Cとを合わせると、第2の端子60Bの突出部63が第3の端子60Cの凹部631に入り込むと共に、第3の端子60Cの突出部63が第2の端子60Bの凹部631に入り込み、結果的に、第2及び第3の端子60B,60Cの全ての突出部63がほぼ一列に整列されるようになっている。これにより、ソケットボード30においてソケット20間の狭いスペース(図11参照)に多くの同軸ケーブル50を接続することが可能となっている。
【0045】
以上に説明した第1〜第3の同軸ケーブルモジュール40A〜40Cは、ソケットボード30に接続される。
【0046】
図11は本実施形態におけるソケットボードを示す平面図、図12は図11のXII部の拡大図、図13は図11のXIII部の拡大図である。
【0047】
このソケットボード30に実装されたソケット20は、DUTの入出力端子に電気的に接触するコンタクトピン(不図示)を多数有している。それぞれコンタクトピンは、ソケットボード30に形成された配線パターン(不図示)を介して、図11に示すスルーホール31a,31b,32a,32b,32c,33aに接続されており、本実施形態では、これらのスルーホール31a,31b,32a,32b,32c,33aによって、3種類の第1〜第3のスルーホール群31〜33が構成されている。
【0048】
第1のスルーホール群31は、上述の第1の同軸ケーブルモジュール40Aが接続されるスルーホール群であり、ひとつのソケットボード30に4つ設けられている。それぞれの第1のスルーホール群31は、2行7列に配列された14個のスルーホール31a,31bから構成されている。
【0049】
図12に示す第1のスルーホール群を例にとって具体的に説明すると、ソケット20(図11において破線にて示す。)に近い方の行(図11及び図12において下側の行)に、第1の同軸ケーブルモジュール40Aの同軸ケーブル50の信号線51が挿入される信号用スルーホール31aが配置されている。
【0050】
一方、ソケット20から離れた方の行(図11及び図12において上側の行)には、第1の同軸ケーブルモジュール40Aの第1の端子60Aの突出部63が挿入されるグランド用スルーホール31bが配置されている。因みに、本実施形態の第1のスルーホール群31では、一部のグランド用スルーホール31bは使用されない。
【0051】
これに対し、第2のスルーホール群32は、第2及び第3の同軸ケーブル40B,40Cが接続されるスルーホール群であり、ひとつのソケットボード30に1つだけ設けられており、2つのソケット20の間に配置されている。この第2のスルーホール群32は、図11に示すように、15行3列に配列された45個のスルーホール32a,32b,32cから構成されている。
【0052】
この第2のスルーホール群32には、図10に示すように第2及び第3の端子60B,60Cを相互に合わせた状態で、第2及び第3の同軸ケーブルモジュール40B,40Cが接続される。なお、図13の拡大図において、模様を付したスルーホール32a,32cに第2の同軸ケーブルモジュール40Bが接続される。一方、同図において白抜きのスルーホール32b,32cに第3の同軸ケーブルモジュール40cが接続される。
【0053】
具体的には、図13に示すように、例えば、第1列(同図中の左列)の信号用スルーホール32aには、第2の同軸ケーブルモジュール40Bの同軸ケーブル50の信号線51がそれぞれ挿入される。
【0054】
これに対し、第3列(同図中の右列)の信号用スルーホール32bには、第3の同軸ケーブルモジュール40Cの同軸ケーブルモジュール50の信号線51がそれぞれ挿入される。
【0055】
そして、第2列(同図中の中央列)には、第2及び第3の同軸ケーブルモジュール40B,40Cの突出部63が交互に挿入される。すなわち、奇数行のグランド用スルーホール32cには、第2の同軸ケーブルモジュール40Bの突出部63が挿入される。一方、偶数行のグランド用スルーホール32cには、第3の同軸ケーブルモジュール40Cの突出部63が挿入される。
【0056】
なお、第3のスルーホール群33は、テストの際にDUTへ電源供給するためのケーブルが接続される電源供給用スルーホール33aから構成されるスルーホール群であり、本実施形態における同軸ケーブルモジュール40A〜40Cが接続されるものではない。
【0057】
従って、一つのソケットボード30に対して、4本の第1の同軸ケーブルモジュール40Aが接続されると共に、第2及び第3の同軸ケーブルモジュール40B,40Cがそれぞれ1本ずつ接続される。スルーホール31a,31b,32a,32b,32cに挿入された信号線51や突出部63は、半田付けによってソケットボード30に固定されている。
【0058】
一方、各同軸ケーブルモジュール40A〜40Cの同軸ケーブル50の他端(第1〜第3の端子60A〜60Cが設けられていない側の端部)は、端子64によってパフォーマンスボード70のスルーホール(不図示)に個別的に接続されている。
【0059】
以上のように、本実施形態では、複数の同軸ケーブル50を第1〜第3の端子60A〜60Cによってソケットボード30にまとめて接続することができるので、ハイフィックス10の製造期間の短縮化を図ることができる。
【0060】
特に、本実施形態では、第1〜第3の端子60A〜60Cの突出部63と、同軸ケーブル50の信号線51とが実質的に同一方向に突出しているので、これらをソケットボード30のスルーホール31a,31b,32a,32b,32cに同時に挿入することができる。
【0061】
因みに、一般的にソケットボードはDUTの品種等に応じてその構成が相違するが、本実施形態では、DUTの品種が異なるソケットボード間であっても図11に示す配列と同一の配列でスルーホールが形成されており、ソケットボードの共通化が図られている。
【0062】
また、本実施形態では、テスタ3が入出力可能な全ての信号に対応した数のスルーホールがソケットボード30に形成されている。そして、個々のソケットボード30は、対象のDUTに必要な信号のみがスルーホール31a,31b,32a,32b,32cからソケット20に伝達されるように配線設計されており、不要な信号がソケット20に伝送されないようになっている。
【0063】
本実施形態では、このような設計を行うことで、汎用性の高いパフォーマンスボード70から同軸ケーブルモジュール40A〜40Cの接続を先に開始し、その後に、汎用性の低いソケットボード30に同軸ケーブルユニット40A〜40Cを接続することができ、ハイフィックス10の製造期間の一層の短縮を図ることができるようなっている。
【0064】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0065】
例えば、第1〜第3の端子60A〜60Cに固定される同軸ケーブル50の本数(すなわち、第1〜第3の端子60A〜60Cにおける固定部62の数)は特に上記に限定されず、必要に応じて任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0066】
4…テストヘッド
10…ハイフィックス(インタフェース装置)
20…ソケット
30…ソケットボード
31…第1のスルーホール群
32…第2のスルーホール群
33…第3のスルーホール群
40A〜40B…同軸ケーブルモジュール
50…同軸ケーブル
51…信号線
52…絶縁層
53…シールド層
54…被覆層
60A…第1の端子
61…本体部
62…固定部
621…開口
623…リブ
63…突出部
631…凹部
60B…第2の端子
60C…第3の端子
70…パフォーマンスボード
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の同軸ケーブルを回路基板に接続するための端子、並びに、それを備えた同軸ケーブルモジュール及びインタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路素子等の電子部品を試験する電子部品試験装置では、被試験電子部品(DUT:Device Under Test)とテストヘッドとの電気的な接続を中継するためにインタフェース装置が用いられている。
【0003】
こうしたインタフェース装置として、被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、テストヘッドと電気的に接続されるパフォーマンスボードとの間を、多数の同軸ケーブルによって電気的に接続するCCN(Cable Connection)タイプのインタフェース装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このCCNタイプのインタフェース装置は、ソケットボードとパフォーマンスボードとが同軸ケーブルによって直接接続されていることから、高品質な試験が要求されるDUTに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−78048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のCCNタイプのインタフェース装置では、ソケットボードのスルーホールに一本ずつ同軸ケーブルを挿入して半田付けによって固定する必要があるため、インタフェース装置の製造期間が長くなるという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、インタフェース装置の製造期間の短縮化を図ることが可能な端子、同軸ケーブルモジュール、及びインタフェース装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明に係る端子は、複数の同軸ケーブルを回路基板に電気的に接続するための端子であって、前記同軸ケーブルの信号線を突出させつつ前記同軸ケーブルのシールド層がそれぞれ固定される複数の固定部が並列に設けられた本体部と、前記同軸ケーブルの信号線と実質的に同一方向に前記本体部から突出しており、前記回路基板に形成されたスルーホールに挿入される複数の突出部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
[2]上記発明において、前記本体部から突出する前記突出部の数は、前記本体部に設けられた前記固定部の数よりも少なく、平面視において隣接する前記突出部の間に凹部が形成されていてもよい。
【0010】
[3]上記発明において、前記固定部は、前記本体部上において第1のピッチで配置されているのに対し、前記突出部は、前記第1のピッチの実質的に2倍である第2のピッチで配置されており、前記突出部は、前記固定部に対して一つ置きに配置されていてもよい。
【0011】
[4]上記発明において、前記固定部は、前記同軸ケーブルのシールド層と半田付けで固定されていてもよい。
【0012】
[5]上記発明において、前記端子は単一の金属板材を加工して構成されていてもよい。
【0013】
[6]本発明に係る同軸ケーブルモジュールは、上記の端子と、シールド層が前記端子にそれぞれ固定された複数の同軸ケーブルと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
[7]本発明に係るインタフェース装置は、被試験電子部品とテストヘッドとの間の電気的な接続を中継するインタフェース装置であって、前記被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、前記テストヘッドに電気的に接続されるパフォーマンスボードと、前記ソケットボードと前記パフォーマンスボードとを電気的に接続する上記の複数の同軸ケーブルモジュールと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
[8]本発明に係るインタフェース装置は、被試験電子部品とテストヘッドとの間の電気的な接続を中継するインタフェース装置であって、前記被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、前記テストヘッドに電気的に接続されるパフォーマンスボードと、前記ソケットボードと前記パフォーマンスボードとを電気的に接続する上記の複数の同軸ケーブルモジュールと、を備えており、前記本体部から突出する前記突出部の数は、前記本体部に設けられた前記固定部の数よりも少なく、平面視において、隣接する前記突出部の間に凹部が形成され、前記同軸ケーブルモジュールの端子の突出部が、他の前記同軸ケーブルモジュールの端子の凹部に入り込んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、複数の同軸ケーブルを端子によって回路基板にまとめて接続することができるので、インタフェース装置の製造期間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施形態における電子部品試験装置を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態におけるテストヘッド及びハイフィックスの概略断面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施形態における第1の同軸ケーブルモジュールを示す正面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す第1の同軸ケーブルモジュールの側面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態における同軸ケーブルを示す正面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態における第1の端子を示す正面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す第1の端子の平面図である。
【図5C】図5Cは、図5AのVC-VC線に沿った断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態における第2の同軸ケーブルモジュールを示す正面図である。
【図7A】図7Aは、本発明の実施形態における第2の端子を示す正面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す第2の端子の平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態における第3の同軸ケーブルモジュールを示す正面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の実施形態における第3の端子を示す正面図である。
【図9B】図9Bは、図9Aに示す第3の端子の平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態において第2の端子と第3の端子を互いに合わせた状態を示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態におけるソケットボードを示す平面図である。
【図12】図12は、図11のXII部の拡大図である。
【図13】図13は、図11のXIII部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本実施形態における電子部品試験装置を示す概略断面図、図2は本実施形態におけるテストヘッド及びハイフィックスの概略断面図である。
【0020】
本実施形態における電子部品試験装置1は、図1に示すように、被試験電子部品DUTを取り廻すためのハンドラ2と、テスト時にDUTと電気的に接続されるテストヘッド4と、テストヘッド4を介してDUTに対して試験信号を送出し、DUTのテストを実行するテスタ本体(メインフレーム)3と、から構成されている。この電子部品試験装置1は、DUTに高温又は低温の熱ストレスを印加した状態でDUTの電気的特性等を試験し、当該試験結果に応じてDUTを分類する。
【0021】
図1に示すように、テストヘッド4の上部には、DUTとテストヘッド4との間の電気的な接続を中継するハイフィックス(HIFIX:High Fidelity Tester Access Fixture)10が装着されている。さらに、このハイフィックス10の上部には、DUTと電気的に接触するソケット20が設けられている。このソケット20は、ハンドラ2に形成された開口2aを介してハンドラ2の内部に臨んでおり、ハンドラ2内を搬送されてきたDUTがこのソケット20に押し付けられる。なお、ハンドラ2としては、ヒートプレートタイプやチャンバタイプのものを用いることができる。
【0022】
ハイフィックス10は、図2に示すように、前述のソケット20が実装されたソケットボード30と、テストヘッド4にコネクタ71を介して接続されるパフォーマンスボード70と、ソケットボード30とパフォーマンスボード70とを電気的に接続する同軸ケーブルモジュール40と、を備えている。なお、図2では、ソケット20を2つのみ図示しているが実際には64個、128個といった多数のソケット20が設けられている。また、図2における符号60は、後述する第1〜第3の端子60A〜60Cの総称である。
【0023】
先ず、本実施形態における同軸ケーブルモジュール40について説明する。
【0024】
本実施形態では、同軸ケーブルモジュール40として、図3A、図6及び図8に示すような3種類の同軸ケーブルモジュール40A〜40Cが用意されている。
【0025】
先ず、第1の同軸ケーブルモジュール40Aについて説明する。なお、第2及び第3の同軸ケーブルモジュール40B,40Cにおいて第1の同軸ケーブルモジュール40Aと同様の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0026】
図3A及び図3Bは本実施形態における第1の同軸ケーブルモジュールを示す図、図4は本実施形態における同軸ケーブルを示す図、図5A〜図5Cは本実施形態における第1の端子を示す図である。
【0027】
第1の同軸ケーブルモジュール40Aは、図3A及び図3Bに示すように、7本の同軸ケーブル50と、これら同軸ケーブル50をまとめてソケットボード30に接続するための第1の端子60Aと、を備えている。
【0028】
同軸ケーブル50は、図4に示すように、信号線51と、信号線51の外周に配置された絶縁層52と、例えば金属線を編組して構成され、絶縁層52の外周に配置されたシールド層53と、これらを被覆している被覆層54と、を有している。なお、同図に示すように、この同軸ケーブル50の両端は、モジュール化に当たり、信号線51とシールド層53とがそれぞれ所定量露出するように予め処理されている。
【0029】
第1の端子60Aは、図5A〜図5Cに示すように、本体部61と、ソケットボード30のスルーホールに挿入される複数(本例では4本)の突出部63と、を備えている。
【0030】
この第1の端子60Aは、金属材料等の導電性を有する材料から構成されており、例えば一枚の板材をプレス加工や打抜加工することで形成されている。このように、一枚の板材から第1の端子60Aを形成することで、第1の端子60Aのコスト低減を図ることができる。特に、第1の端子60Aはひとつのハイフィックス10において大量に使用されるため、その効果は顕著である。
【0031】
第1の端子60Aの本体部61には、図5Aに示すように、同軸ケーブル50のシールド層53が固定される7つの固定部62が第1のピッチP1で並列に設けられている。なお、この固定部62は、本体部61において同軸ケーブル50のシールド層53と半田付けによって固定される部位であり、例えば、本実施形態では、本体部61において当該本体部61を貫通する開口621の周囲の領域(図5Aにおいて一点鎖線で囲む領域)である。
【0032】
また、本体部61の下部には、8つのリブ623が立設されている。これら8つのリブ623は、図5A及び図5Bに示すように、固定部62の両側にそれぞれ位置するように、実質的に等間隔に配置されている。
【0033】
この固定部62に同軸ケーブル50のシールド層53を密着させると共に、当該固定部62に隣接する2つのリブ623の間に同軸ケーブル50を挟んだ状態で、シールド層53と固定部62とが半田付けによって固定されている。この半田付けによって、固定部62に固定されたシールド層53は、本体部61を介して突出部63に電気的に導通する。
【0034】
一方、図5Aにおける固定部62の上部は開放されており、固定部62に固定された同軸ケーブル50の信号線51は、同図において上方に突出するようになっている(図3A参照)。
【0035】
第1の端子60Aの突出部63は、固定部62に固定された同軸ケーブル50の信号線51と実質的に同一方向に突出するように、本体部61から延在している。この第1の端子60Aでは、4本の突出部63が、上述の第1のピッチP1の2倍である第2のピッチP2で設けられており(P2=P1×2)、突出部63は、固定部62に対して一つ置きに配置されている。なお、第1の端子60Aに固定される同軸ケーブル50の数よりも当該第1の端子60Aの突出部63の数の方が少ない限り、これらの数は特に限定されない。
【0036】
このように本実施形態では突出部63が固定部62に対して一つ置きに配置されているので、図5Bに示す平面視において、隣接する突出部63同士の間に凹部631がそれぞれ形成されている。この凹部631は、第1の端子60Aでは特に使用されないが、後述する第2及び第3の端子60B,60Cでは、一方の端子の突出部63が他方の端子の凹部631に入り込むことで、ソケットボード30上の限られたスペースに多くの同軸ケーブル50を接続することが可能となっている。
【0037】
図3A及び図3Bに示すように、同軸ケーブル50の他方の端部には、パフォーマンスボード70のスルーホール(不図示)に、同軸ケーブル50の信号線51とシールド層54を電気的に接続するために、同図に示すような端子64が個別的に取り付けられている。
【0038】
図6は本実施形態における第2の同軸ケーブルモジュールを示す図、図7A及び図7Bは本実施形態における第2の端子を示す図である。
【0039】
第2の同軸ケーブルモジュール40Bは、図6に示すように、15本の同軸ケーブル50と、これら同軸ケーブル50をまとめてソケットボード30に接続するための第2の端子60Bと、を備えている。
【0040】
第2の端子60Bは、固定部62の数と突出部63の数とが第1の端子60Aと相違している。この第2の端子60Bには、15本の同軸ケーブル50が固定されることに伴って、図7A及び図7Bに示すように、15個の固定部62が本体部61に設けられていると共に、8本の突出部63が本体部61から突出している。
【0041】
図8は本実施形態における第3の同軸ケーブルモジュールを示す図、図9A及び図9Bは本実施形態における第3の端子を示す図、図10は本実施形態において第2の端子と第3の端子を互いに合わせた状態を示す平面図である。
【0042】
第3の同軸ケーブルモジュール40Cも、第2の同軸ケーブルモジュール40Bと同様に、図8に示すように、15本の同軸ケーブル50と、これら同軸ケーブル50をまとめてソケットボード30に接続する第3の端子60Cと、を備えている。
【0043】
第3の端子60Cは、図9A及び図9Bに示すように、固定部62の数が第2の端子60Bと同様であるのに対し、突出部63の数とその配置が第2の端子60Bと相違している。
【0044】
この第3の端子60Cでは、7本の突出部63が、第2の端子60Bの突出部63とは逆周期(互い違い)で本体部61から突出している。このため、図10に示すように、第2の端子60Bと第3の端子60Cとを合わせると、第2の端子60Bの突出部63が第3の端子60Cの凹部631に入り込むと共に、第3の端子60Cの突出部63が第2の端子60Bの凹部631に入り込み、結果的に、第2及び第3の端子60B,60Cの全ての突出部63がほぼ一列に整列されるようになっている。これにより、ソケットボード30においてソケット20間の狭いスペース(図11参照)に多くの同軸ケーブル50を接続することが可能となっている。
【0045】
以上に説明した第1〜第3の同軸ケーブルモジュール40A〜40Cは、ソケットボード30に接続される。
【0046】
図11は本実施形態におけるソケットボードを示す平面図、図12は図11のXII部の拡大図、図13は図11のXIII部の拡大図である。
【0047】
このソケットボード30に実装されたソケット20は、DUTの入出力端子に電気的に接触するコンタクトピン(不図示)を多数有している。それぞれコンタクトピンは、ソケットボード30に形成された配線パターン(不図示)を介して、図11に示すスルーホール31a,31b,32a,32b,32c,33aに接続されており、本実施形態では、これらのスルーホール31a,31b,32a,32b,32c,33aによって、3種類の第1〜第3のスルーホール群31〜33が構成されている。
【0048】
第1のスルーホール群31は、上述の第1の同軸ケーブルモジュール40Aが接続されるスルーホール群であり、ひとつのソケットボード30に4つ設けられている。それぞれの第1のスルーホール群31は、2行7列に配列された14個のスルーホール31a,31bから構成されている。
【0049】
図12に示す第1のスルーホール群を例にとって具体的に説明すると、ソケット20(図11において破線にて示す。)に近い方の行(図11及び図12において下側の行)に、第1の同軸ケーブルモジュール40Aの同軸ケーブル50の信号線51が挿入される信号用スルーホール31aが配置されている。
【0050】
一方、ソケット20から離れた方の行(図11及び図12において上側の行)には、第1の同軸ケーブルモジュール40Aの第1の端子60Aの突出部63が挿入されるグランド用スルーホール31bが配置されている。因みに、本実施形態の第1のスルーホール群31では、一部のグランド用スルーホール31bは使用されない。
【0051】
これに対し、第2のスルーホール群32は、第2及び第3の同軸ケーブル40B,40Cが接続されるスルーホール群であり、ひとつのソケットボード30に1つだけ設けられており、2つのソケット20の間に配置されている。この第2のスルーホール群32は、図11に示すように、15行3列に配列された45個のスルーホール32a,32b,32cから構成されている。
【0052】
この第2のスルーホール群32には、図10に示すように第2及び第3の端子60B,60Cを相互に合わせた状態で、第2及び第3の同軸ケーブルモジュール40B,40Cが接続される。なお、図13の拡大図において、模様を付したスルーホール32a,32cに第2の同軸ケーブルモジュール40Bが接続される。一方、同図において白抜きのスルーホール32b,32cに第3の同軸ケーブルモジュール40cが接続される。
【0053】
具体的には、図13に示すように、例えば、第1列(同図中の左列)の信号用スルーホール32aには、第2の同軸ケーブルモジュール40Bの同軸ケーブル50の信号線51がそれぞれ挿入される。
【0054】
これに対し、第3列(同図中の右列)の信号用スルーホール32bには、第3の同軸ケーブルモジュール40Cの同軸ケーブルモジュール50の信号線51がそれぞれ挿入される。
【0055】
そして、第2列(同図中の中央列)には、第2及び第3の同軸ケーブルモジュール40B,40Cの突出部63が交互に挿入される。すなわち、奇数行のグランド用スルーホール32cには、第2の同軸ケーブルモジュール40Bの突出部63が挿入される。一方、偶数行のグランド用スルーホール32cには、第3の同軸ケーブルモジュール40Cの突出部63が挿入される。
【0056】
なお、第3のスルーホール群33は、テストの際にDUTへ電源供給するためのケーブルが接続される電源供給用スルーホール33aから構成されるスルーホール群であり、本実施形態における同軸ケーブルモジュール40A〜40Cが接続されるものではない。
【0057】
従って、一つのソケットボード30に対して、4本の第1の同軸ケーブルモジュール40Aが接続されると共に、第2及び第3の同軸ケーブルモジュール40B,40Cがそれぞれ1本ずつ接続される。スルーホール31a,31b,32a,32b,32cに挿入された信号線51や突出部63は、半田付けによってソケットボード30に固定されている。
【0058】
一方、各同軸ケーブルモジュール40A〜40Cの同軸ケーブル50の他端(第1〜第3の端子60A〜60Cが設けられていない側の端部)は、端子64によってパフォーマンスボード70のスルーホール(不図示)に個別的に接続されている。
【0059】
以上のように、本実施形態では、複数の同軸ケーブル50を第1〜第3の端子60A〜60Cによってソケットボード30にまとめて接続することができるので、ハイフィックス10の製造期間の短縮化を図ることができる。
【0060】
特に、本実施形態では、第1〜第3の端子60A〜60Cの突出部63と、同軸ケーブル50の信号線51とが実質的に同一方向に突出しているので、これらをソケットボード30のスルーホール31a,31b,32a,32b,32cに同時に挿入することができる。
【0061】
因みに、一般的にソケットボードはDUTの品種等に応じてその構成が相違するが、本実施形態では、DUTの品種が異なるソケットボード間であっても図11に示す配列と同一の配列でスルーホールが形成されており、ソケットボードの共通化が図られている。
【0062】
また、本実施形態では、テスタ3が入出力可能な全ての信号に対応した数のスルーホールがソケットボード30に形成されている。そして、個々のソケットボード30は、対象のDUTに必要な信号のみがスルーホール31a,31b,32a,32b,32cからソケット20に伝達されるように配線設計されており、不要な信号がソケット20に伝送されないようになっている。
【0063】
本実施形態では、このような設計を行うことで、汎用性の高いパフォーマンスボード70から同軸ケーブルモジュール40A〜40Cの接続を先に開始し、その後に、汎用性の低いソケットボード30に同軸ケーブルユニット40A〜40Cを接続することができ、ハイフィックス10の製造期間の一層の短縮を図ることができるようなっている。
【0064】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0065】
例えば、第1〜第3の端子60A〜60Cに固定される同軸ケーブル50の本数(すなわち、第1〜第3の端子60A〜60Cにおける固定部62の数)は特に上記に限定されず、必要に応じて任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0066】
4…テストヘッド
10…ハイフィックス(インタフェース装置)
20…ソケット
30…ソケットボード
31…第1のスルーホール群
32…第2のスルーホール群
33…第3のスルーホール群
40A〜40B…同軸ケーブルモジュール
50…同軸ケーブル
51…信号線
52…絶縁層
53…シールド層
54…被覆層
60A…第1の端子
61…本体部
62…固定部
621…開口
623…リブ
63…突出部
631…凹部
60B…第2の端子
60C…第3の端子
70…パフォーマンスボード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同軸ケーブルを回路基板に電気的に接続するための端子であって、
前記同軸ケーブルの信号線を突出させつつ前記同軸ケーブルのシールド層がそれぞれ固定される複数の固定部が並列に設けられた本体部と、
前記同軸ケーブルの信号線と実質的に同一方向に前記本体部から突出しており、前記回路基板に形成されたスルーホールに挿入される複数の突出部と、を備えていることを特徴とする端子。
【請求項2】
請求項1記載の端子であって、
前記本体部から突出する前記突出部の数は、前記本体部に設けられた前記固定部の数よりも少なく、
平面視において隣接する前記突出部の間に凹部が形成されていることを特徴とする端子。
【請求項3】
請求項2記載の端子であって、
前記固定部は、前記本体部上において第1のピッチで配置されているのに対し、
前記突出部は、前記第1のピッチの実質的に2倍である第2のピッチで配置されており、
前記突出部は、前記固定部に対して一つ置きに配置されていることを特徴とする端子。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の端子であって、
前記固定部は、前記同軸ケーブルのシールド層と半田付けで固定されることを特徴とする端子。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の端子であって、
単一の金属板材を加工することで構成されていることを特徴とする端子。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の端子と、
シールド層が前記端子にそれぞれ固定された複数の同軸ケーブルと、を備えたことを特徴とする同軸ケーブルモジュール。
【請求項7】
被試験電子部品とテストヘッドとの間の電気的な接続を中継するインタフェース装置であって、
前記被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、
前記テストヘッドに電気的に接続されるパフォーマンスボードと、
前記ソケットボードと前記パフォーマンスボードとを電気的に接続する請求項6記載の複数の同軸ケーブルモジュールと、を備えたことを特徴とするインタフェース装置。
【請求項8】
被試験電子部品とテストヘッドとの間の電気的な接続を中継するインタフェース装置であって、
前記被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、
前記テストヘッドに電気的に接続されるパフォーマンスボードと、
前記ソケットボードと前記パフォーマンスボードとを電気的に接続する請求項6記載の複数の同軸ケーブルモジュールと、を備えており、
前記本体部から突出する前記突出部の数は、前記本体部に設けられた前記固定部の数よりも少なく、
平面視において、隣接する前記突出部の間に凹部が形成され、前記同軸ケーブルモジュールの端子の突出部が、他の前記同軸ケーブルモジュールの端子の凹部に入り込んでいることを特徴とするインタフェース装置。
【請求項1】
複数の同軸ケーブルを回路基板に電気的に接続するための端子であって、
前記同軸ケーブルの信号線を突出させつつ前記同軸ケーブルのシールド層がそれぞれ固定される複数の固定部が並列に設けられた本体部と、
前記同軸ケーブルの信号線と実質的に同一方向に前記本体部から突出しており、前記回路基板に形成されたスルーホールに挿入される複数の突出部と、を備えていることを特徴とする端子。
【請求項2】
請求項1記載の端子であって、
前記本体部から突出する前記突出部の数は、前記本体部に設けられた前記固定部の数よりも少なく、
平面視において隣接する前記突出部の間に凹部が形成されていることを特徴とする端子。
【請求項3】
請求項2記載の端子であって、
前記固定部は、前記本体部上において第1のピッチで配置されているのに対し、
前記突出部は、前記第1のピッチの実質的に2倍である第2のピッチで配置されており、
前記突出部は、前記固定部に対して一つ置きに配置されていることを特徴とする端子。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の端子であって、
前記固定部は、前記同軸ケーブルのシールド層と半田付けで固定されることを特徴とする端子。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の端子であって、
単一の金属板材を加工することで構成されていることを特徴とする端子。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の端子と、
シールド層が前記端子にそれぞれ固定された複数の同軸ケーブルと、を備えたことを特徴とする同軸ケーブルモジュール。
【請求項7】
被試験電子部品とテストヘッドとの間の電気的な接続を中継するインタフェース装置であって、
前記被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、
前記テストヘッドに電気的に接続されるパフォーマンスボードと、
前記ソケットボードと前記パフォーマンスボードとを電気的に接続する請求項6記載の複数の同軸ケーブルモジュールと、を備えたことを特徴とするインタフェース装置。
【請求項8】
被試験電子部品とテストヘッドとの間の電気的な接続を中継するインタフェース装置であって、
前記被試験電子部品と電気的に接触するソケットが実装されたソケットボードと、
前記テストヘッドに電気的に接続されるパフォーマンスボードと、
前記ソケットボードと前記パフォーマンスボードとを電気的に接続する請求項6記載の複数の同軸ケーブルモジュールと、を備えており、
前記本体部から突出する前記突出部の数は、前記本体部に設けられた前記固定部の数よりも少なく、
平面視において、隣接する前記突出部の間に凹部が形成され、前記同軸ケーブルモジュールの端子の突出部が、他の前記同軸ケーブルモジュールの端子の凹部に入り込んでいることを特徴とするインタフェース装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−108387(P2011−108387A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259575(P2009−259575)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
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