説明

端子およびそれを有する充電器

【課題】携帯機器の外観を損なわず、かつ品質を維持させることができる、端子とそれを有する充電器を提供する。
【解決手段】本発明の端子3は、中空の円柱状をした外枠部4と、外枠部4の内部に設けられ、外枠部4の内部から突出する部分を有する軸部と、を有する。外枠部4には、外枠部4の側部に位置し、一方の端部から他方の端部に、かつ周方向に向かって延びる切欠き部10と、一方の端部の中心に位置する開口部と、が設けられている。軸部には、円柱状の胴部と、胴部の一方の端の中心から外枠部4の一方の端部の開口部から突出するピン6と、胴部の側部から突出し、外枠部4の切欠き部10内に位置する突起部7と、が設けられている。そして、軸部が外枠部4の軸方向に移動すると、突起部7は切欠き部10に沿って摺動し、胴部と軸部とが周方向に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子、特に携帯機器用の充電器の端子に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、携帯型ゲーム機、PDA(Personal Data Assistance)などの携帯機器では、携帯機器の内部に設けられた充電池に予め充電しておき、使用時には、充電池に溜めた電気を使用する場合が多い。
【0003】
関連技術の一例の充電器の外観概略図を図4に示す。また、図5に図4の充電器の端子の構造の概略構成図を示す。充電器21には、携帯機器31を受け入れ支持するための窪みである受け入れ部22が設けられている。受け入れ部22の底部には、充電器21の端子23が設けられている。また、携帯機器31の端部の、充電器21の端子23に対応する位置に端子32が設けられている。
【0004】
充電器21の受け入れ部22に携帯機器31が挿入され、携帯機器31の端子32と充電器21の端子23とが当接することで、充電器21から携帯機器31へ電気が供給される。
【0005】
充電器21の端子23は、一部を除いて充電器21内に位置している。また、端子23は、両端部の間の一部がコイル状になっている金属板であり、一方の端部は充電器21内の基板25に取り付けられている。他方の端部は自由端になっており、携帯機器31の端子32と接触する接触部24となっている。この接触部24は充電器21の内部から受け入れ部22に突出している。
【0006】
携帯機器31を充電器21の受け入れ部22に挿入すると、充電器21の端子23の接触部24が押し込まれる。携帯機器31を充電器21から取り外すと、充電器21の端子23は一部がコイル状になっているため、弾性力によって、接触部24は元の位置に戻るようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−32105公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6に、携帯機器31を充電器21の受け入れ部22に挿入するときの様子を示す。実線が携帯機器31の端子32と充電器21の端子23とが接触を始めたときであり、破線が携帯機器31を充電器21の受け入れ部22に挿入し切ったときである。
【0009】
携帯機器31の端子32と充電器21の端子23とが接触をしてから、携帯機器31を充電器21の受け入れ部22に挿入し切るまでに、充電器21の端子23の接触部24と携帯機器31の端子32の表面との接点が移動する。そのため、携帯機器31の端子32は一定以上の大きさが必要となり、このことにより、携帯機器31の外観を損なってしまう。
【0010】
また、図7に関連技術の一例の他の充電器21の端子23の概略構成図を示す。この端子23は中空の円柱状の筒26の一方の端部から棒状のピン27が突出しており、筒26の内部に設けたバネ(不図示)によって、ピン27が上下方向、つまり筒26の内部に向かう方向または筒26から突出する方向に移動可能である。この端子23の場合、充電器21の端子23と携帯機器31の端子32の接点は動かないため、携帯機器31の端子32を小さくでき、携帯機器31の外観を損なわない。
【0011】
しかしながら、この構造の場合、携帯機器31の端子32と充電器21の端子23とが擦れあわないため、各端子23、32の表面がほとんど摩耗しない。そのため、金属酸化膜が各端子23、32の表面に形成されてしまい、接触不良を起こす可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、携帯機器の外観と品質を両立させることは困難である、といった課題を解決する、端子およびそれを有する充電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の端子は、中空の円柱状をした外枠部と、外枠部の内部に設けられ、外枠部の内部から突出する部分を有する軸部と、を有する。外枠部には、外枠部の側部に位置し、一方の端部から他方の端部に、かつ周方向に向かって延びる切欠き部と、一方の端部の中心に位置する開口部と、が設けられている。軸部には、円柱状の胴部と、胴部の一方の端の中心から外枠部の一方の端部の開口部から突出するピンと、胴部の側部から突出し、外枠部の切欠き部内に位置する突起部と、が設けられている。そして、軸部が外枠部の軸方向に移動すると、突起部は切欠き部に沿って摺動し、胴部と軸部とが周方向に回転する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、携帯機器の外観を損なわず、かつ品質を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る携帯機器用の充電器の一実施形態の概略構成図である。
【図2】本発明の充電器に使用する端子の外観概略図である。
【図3】図2の端子の分解図である。
【図4】関連技術の一例の充電器の外観概略図である。
【図5】図4の充電器の端子の構造の概略構成図である。
【図6】携帯機器を充電器の受け入れ部に挿入するときの様子を示す図である。
【図7】関連技術の他の一例の充電器の端子の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態の詳細について説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0017】
図1に、本発明に係る携帯機器用の充電器の一実施形態の概略構成図を示す。また、図2に、本発明の充電器に使用する端子の外観概略図、図3に、図2の端子の分解図を示す。
【0018】
充電器1には、携帯機器11を受け入れ支持するための窪みである受け入れ部2が設けられている。また、充電器1の内部には端子3が設けられており、この端子3の一部であるピン6(図2、図3参照)が、受け入れ部2の底部で充電器1の内部から突出している。受け入れ部2に携帯機器11を挿入すると、携帯機器11の端子12と充電器1の端子3のピン6とが当接し、充電器1から携帯機器11に通電が可能となる。
【0019】
次に、図2、3を用いて、充電器1に使用される端子3について詳細に説明する。端子3は、中空の円筒状をした外枠部4、外枠部4の内部に設けられ、胴部5とピン6と突起部7とを有する軸部8、および外枠部4の内部に設けられるバネ(不図示)を有している。
【0020】
外枠部4は、一方の端部の中心に、外枠部4の内部から外部に貫通する開口部9が設けられている。また、外枠部4の側面の一部には、外枠部4の内部から外部に貫通する、周方向かつ長手方向に延びる切欠き部10が設けられている。
【0021】
軸部8は、導電性を有しており、外枠部4の内部に設けられ、外枠部4よりも短くなっている。胴部5は円柱状をしており、一方の端部の中心には端部から突出するピン6が設けられている。このピン6は、外枠部4の開口部9を介して外枠部4の外部に突出するようになっている。また、胴部5には、側部から突出する突起部7が設けられている。この突起部7は、胴部5の一方の端部が最も外枠部4の一方の端部に近づいているときに、外枠部4の切欠き部10の最も一方の端部側に位置するように配置されている。
【0022】
バネは、外枠部4の内部に設けられ、外枠部4の内部であって、他方の端部と軸部8とに挟まれるように位置している。
【0023】
なお、図示していないが、端子3は、外部電源や、充電器1内の基板(不図示)に接続されている。
【0024】
以上のように構成された充電器1の端子3のピン6が他方の端部側に押し込まれると、突起部7が外枠部4の切欠き部10に沿って移動するため、軸部8は胴部5の周方向に回転する。そのため、ピン6も同様に回転する。したがって、充電器1の受け入れ部2に携帯機器11を挿入すると、携帯機器11の端子12と充電器1の端子3のピン6とが当接し、ピン6は押し込まれる。すると、上述したように、突起部7が外枠部4の切欠き部10に沿って移動するため、軸部8は回転を行いながら、外枠部4の他方の端部方向に移動する。そのため、ピン6の、携帯機器11の端子12との当接部分は、携帯機器11の端子12の表面を擦りながら回転をするため、携帯機器11の端子12と充電器1の端子3との間で摩耗が生じる。したがって、それぞれの端子3、12の表面に金属酸化膜が生成してしまうことを防止することができる。また、充電器1の受け入れ部2に携帯機器11を挿入し始めたときと、挿入し切ったときとで、充電器1の端子3と携帯機器11の端子12との接点の位置に変化がないため、携帯機器11の端子12の面積を大きくする必要がない。そのため、携帯機器11の外観を損なうことを防止することができる。
【0025】
なお、本発明の充電器1で充電できる携帯機器は、携帯電話機、携帯型ゲーム機、PDAなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【符号の説明】
【0026】
1 充電器
2 受け入れ部
3 端子
4 外枠部
5 胴部
6 ピン
7 突起部
8 軸部
9 開口部
10切欠き部
11携帯機器
12端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の円柱状をした外枠部と、前記外枠部の内部に設けられる導電性を有する軸部と、を有する端子であって、
前記外枠部には、前記外枠部の側部に位置し、一方の端部から他方の端部に、かつ周方向に向かって延びる切欠き部と、前記一方の端部の中心に位置する開口部と、が設けられており、
前記軸部には、円柱状の胴部と、前記胴部の一方の端の中心から前記外枠部の前記一方の端部の前記開口部を介して突出するピンと、前記胴部の側部から突出し、前記外枠部の前記切欠き部内に位置する突起部と、が設けられており、
前記軸部が前記外枠部の軸方向に移動すると、前記突起部は前記切欠き部に沿って摺動し、前記胴部と前記軸部とが周方向に回転する、端子。
【請求項2】
前記外枠部の内部であって、前記軸部と前記外枠部の他方の端部との間にバネが設けられている、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の端子を有しており、
前記端子は、外部電源または基板に接続されている、充電器。
【請求項4】
中空の円柱状をした外枠部と、前記外枠部の内部に設けられ、導電性を有する軸部と、を有する端子の製造方法であって、
前記外枠部の内部に配置した前記軸部に、前記外枠部の一方の端部の中心に形成した開口部から突出するようにピンと、前記外枠部の側部に形成した、前記一方の端部から他方の端部に、かつ周方向に向かって延びる切欠き部から突出するように突起部と、を形成し、
前記外枠部の内部の前記他方の端部と前記軸部との間にバネを配置する、端子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−27279(P2013−27279A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163053(P2011−163053)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】