説明

端子板の放熱構造

【課題】回路基板上の端子板により通気が妨げられ、回路素子の放熱が速やかに行われない。
【解決手段】ハウジング2上面に端子1を設け、ハウジング2を回路基板8に取付けて端子1の端子線5を回路基板8に接続する端子板100であって、ハウジング2は、端子線5を覆う端子線カバー部4と、端子線カバー部4間に設けられたスリット形状の開口部3とを備える第一の面と、第一の面に対向し、全面が開口された第二の面と、からなることを特徴とする端子板100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子を備える端子板に関し、特に端子板の放熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、テレビ受像機などの製品における基板サイズの縮小化のため部品実装密度が上がり、端子板などの大型部品の影響で通風が十分に確保できず、大型の放熱板が必要になるなどコストにも影響がでてきている。
【0003】
図12は、従来の端子板300の(a)前面から見た斜視図(b)背面から見た斜視図である。
【0004】
従来の端子板300は、複数の端子1と、複数の端子1をその上面に備えるハウジング22と、ハウジング22の前面に設けられその端部がハウジング22の下面から露見した端子1の端子線25(信号線またはグランド線)と、係止爪9とからなる。端子板300は、係止爪9を回路基板(図示せず)に嵌め込み係止することにより取付けられるとともに、端子線25を回路基板に挿入しその端を半田付けすることで、回路基板に固定される。
【0005】
図13は、従来の端子板300を回路基板8に設置した際の空気の流れを示す図である。
【0006】
回路基板8上には、端子板300と、端子板300の周辺に回路素子7とが設置されており、回路基板8がテレビ受像機等の製品に取付けられた状態で、端子板300が回路素子7の下方に来るように設置されている。このように端子板300および回路素子7が設置された際の空気の流れ20が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−79278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図13に示すように、回路基板8は地面に対して垂直に設置されているので、温度の高い空気が下から上へ通り抜ける。その際、端子板300により通気が妨げられ、回路素子7の放熱が速やかに行われない。そのため回路素子7に放熱板(図示せず)を取り付け、放熱を促す必要があるなどコストにも大きな影響がでている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係わる端子板は、ハウジング上面に端子を設け、前記ハウジングを回路基板に取付けて前記端子の端子線を前記回路基板に接続する端子板であって、前記ハウジングは、前記端子線を覆う端子線カバー部と、前記端子線カバー部間に設けられたスリット形状の開口部とを備える第一の面と、前記第一の面に対向し、全面が開口された第二の面と、からなることを特徴とする。
【0010】
本発明に係わる端子板によれば、端子板のハウジングに、スリット形状の開口部を備える第一の面と、第一の面に対向し全面が開口された第二の面とを設けることで空気の流れを速やかにし、端子板周辺に配置された回路素子等の放熱効果を良好にすることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係わる端子板は、ハウジング上面に端子を設け、前記ハウジングを回路基板に取付けて前記端子の端子線を前記回路基板に接続する端子板であって、前記ハウジングは、全面が開口された第一の面と、前記第一の面に対向し、全面が開口された第二の面と、前記端子線を覆い、前記第一の面および前記第二の面と垂直に一体形成される第三の面と、からなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係わる端子板は、前記ハウジングは、さらに、前記端子線を覆い、前記第三の面に対向し、前記第一の面および前記第二の面と垂直に一体形成される第四の面と、からなることを特徴とする。
【0013】
本発明に係わる端子板によれば、端子板のハウジングに、全面が開口された第一の面と、第一の面に対向し全面が開口された第二の面とを設けることで空気の流れをより速やかにし、端子板周辺に配置された回路素子等の放熱効果をより良好にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係わる端子板によれば、端子板のハウジングに、スリット形状の開口部を備える第一の面と、第一の面に対向し全面が開口された第二の面とを設けることで空気の流れを速やかにし、端子板周辺に配置された回路素子等の放熱効果を良好にすることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係わる端子板によれば、端子板のハウジングに、全面が開口された第一の面と、第一の面に対向し全面が開口された第二の面とを設けることで空気の流れをより速やかにし、端子板周辺に配置された回路素子等の放熱効果をより良好にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係わる端子板の(a)前面から見た斜視図(b)背面から見た斜視図
【図2】本発明の実施例1に係わる端子板の上面図
【図3】本発明の実施例1に係わる端子板の前面図
【図4】本発明の実施例1に係わる端子板の背面図
【図5】本発明の実施例1に係わる端子板の(a)右側面図(b)左側面図
【図6】本発明の実施例2に係わる端子板の前面から見た斜視図
【図7】本発明の実施例2に係わる端子板の上面図
【図8】本発明の実施例2に係わる端子板の前面図
【図9】本発明の実施例2に係わる端子板の背面図
【図10】本発明の実施例2に係わる端子板の(a)右側面図(b)左側面図
【図11】本発明の実施例1および実施例2に係わる端子板を回路基板上に設置した際の空気の流れを示す図
【図12】従来の端子板の(a)前面から見た斜視図(b)背面から見た斜視図
【図13】従来の端子板を回路基板上に設置した際の空気の流れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
図1から図5は、本発明の実施例1に係わる端子板100の各図である。
【0019】
図1は、端子板100の(a)前面から見た斜視図(b)背面から見た斜視図、図2は端子板100の上面図、図3は端子板100の前面図、図4は端子板100の背面図、図5は端子板100の(a)右側面図(b)左側面図である。
【0020】
端子1は、外部からの映像信号、音声信号、輝度信号、色差信号をそれぞれ回路基板(図示せず)上に取り込むピンジャックであり、ハウジング2の上面に複数個(複数行、複数列)配置されている。
【0021】
ハウジング2は、樹脂から成り、その上面に端子1を複数個(複数行、複数列)配置し、回路基板上(図示せず)に取り付けられる。またハウジング2は、前面の一部、背面全面が開口されており、側面は開口されていない。ハウジング2の前面は、前面開口部3と端子線カバー部4とから構成され、交互に複数部ずつ配置されることにより、スリット状に開口され、外部との空気の吸排気が可能な構造となっている。ハウジング2の背面は背面開口部6から構成され、ハウジング2の前面同様、外部との空気の吸排気が可能な構造となっている。
【0022】
端子1の端子線5は、外部からの映像信号、音声信号、輝度信号、色差信号をそれぞれ回路基板上に取り込む信号線または、回路基板上のグランドと外部から取り込むそれぞれの信号のグランドを接続するグランド線である。端子線5は、複数本を1つの束として所定の間隔でハウジング2の前面に設けられ、その端部をハウジング2の下方から露見するようにハウジング2の端子線カバー部4で覆われている。端子板100は、ハウジング2の端子線5の端部が回路基板に挿入された状態で半田付けされることにより回路基板に固定される。
【0023】
回路素子7は、外部から取り込まれた信号の処理等を行う素子で、回路基板上に複数個設置されており、この回路素子7が動作中にそれぞれ熱を発生させることが、放熱対策が必要な要因となっている。
【0024】
図11は、本発明の実施例1に係わる端子板100を回路基板8上に設置した際の空気の流れを示す図である。回路基板8上には、端子板100と、端子板100の周辺に回路素子7とが設置されており、回路基板8がテレビ受像機などの製品に取付けられた状態で、端子板100が回路素子7の下方に来るように設置されている。このように端子板100および回路素子7が設置された際の空気の流れ10が示されている。空気の流れ10が示すように、温度の高い空気は、端子板100でその流れを妨げられることなく、前面開口部3から背面開口部6を通って、下から上へ速やかに流れることが可能となる。なお、端子板100の側面が開口されていないことにより、温度の高い空気の下から上への流れは妨げられない。
【0025】
以上、本発明に係わる端子板によれば、端子板のハウジングに、スリット形状の開口部を備える第一の面と、第一の面に対向し全面が開口された第二の面とを設けることで空気の流れを速やかにし、端子板周辺に配置された回路素子等の放熱効果を良好にすることが可能となる。
【実施例2】
【0026】
図6から図10は、本発明の実施例2に係わる端子板200の各図である。
【0027】
図6は端子板200の前面から見た斜視図、図7は端子板200の上面図、図8は端子板200の前面図、図9は端子板200の背面図、図10は端子板200の(a)右側面図(b)左側面図である。
【0028】
本発明の実施例2に係わる端子板200が、実施例1に係わる端子板100と異なる点は、ハウジング12の前面に全面が開口された前面開口部13を備える点、端子1の端子線15をハウジング12の両側面に備える点である。
【0029】
図11は、本発明の実施例2に係わる端子板200を回路基板8上に設置した際の空気の流れを示す図である。回路基板8上には、端子板200の周辺に回路素子7とが設置されており、回路基板8がテレビ受像機などの製品に取付けられた状態で、端子板200が回路素子7の下方に来るように設置されている。このように端子板200および回路素子7が設置された際の空気の流れ10が示されている。空気の流れ10が示すように、温度の高い空気は、端子板200でその流れを妨げられることなく、前面開口部13から背面開口部6を通って、下から上へ速やかに流れることが可能となる。前面開口部13はハウジング12前面が全面開口されているので、端子板200は、実施例1に係わる端子板100と比べ、空気の流れがより速やかとなり、端子板200周辺に配置された回路素子7等の放熱効果をより良好にすることが可能となる。なお、端子板200の側面が開口されていないことにより、温度の高い空気の下から上への流れは妨げられない。
【0030】
以上、本発明に係わる端子板によれば、端子板のハウジングに、全面が開口された第一の面と、第一の面に対向し全面が開口された第二の面とを設けることで空気の流れをより速やかにし、端子板周辺に配置された回路素子等の放熱効果をより良好にすることが可能となる。
【0031】
なお、本実施例では、端子板200が、端子1の端子線15をハウジング12の両側面に備えるとしたが、端子線15はハウジング12の一方の側面にのみ備える構成であっても良い。
【0032】
なお、端子板200と回路基板8が接触する端子板200の4辺の内、両側面の端子線15を回路基板8に挿入し半田付けにより固定することで、端子板200の回路基板8への取付け強度が増すことにより、従来の端子板300が備える係止爪9および回路基板8に係止爪9を取付けるための取り付け穴(図示せず)が不要となり、コスト削減や製造工程削減といった効果を得ることも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、端子板のハウジングに、スリット形状の開口部を備える第一の面と、第一の面に対向し全面が開口された第二の面とを設けることで空気の流れを速やかにし、端子板周辺に配置された回路素子等の放熱効果を良好にすることが可能となるので、端子板の放熱構造として有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 端子
2、12、22 ハウジング
3、13 前面開口部
4 端子線カバー部
5、15、25 端子線
6 背面開口部
7 回路素子
8 回路基板
9 係止爪
10、20 空気の流れ
100、200、300 端子板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング上面に端子を設け、前記ハウジングを回路基板に取付けて前記端子の端子線を前記回路基板に接続する端子板であって、
前記ハウジングは、
前記端子線を覆う端子線カバー部と、前記端子線カバー部間に設けられたスリット形状の開口部とを備える第一の面と、
前記第一の面に対向し、全面が開口された第二の面と、からなる
ことを特徴とする端子板。
【請求項2】
ハウジング上面に端子を設け、前記ハウジングを回路基板に取付けて前記端子の端子線を前記回路基板に接続する端子板であって、
前記ハウジングは、
全面が開口された第一の面と、
前記第一の面に対向し、全面が開口された第二の面と、
前記端子線を覆い、前記第一の面および前記第二の面と垂直に一体形成される第三の面と、からなる
ことを特徴とする端子板。
【請求項3】
前記ハウジングは、さらに、
前記端子線を覆い、前記第三の面に対向し、前記第一の面および前記第二の面と垂直に一体形成される第四の面と、からなる
ことを特徴とする請求項2記載の端子板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−228152(P2011−228152A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97631(P2010−97631)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】