説明

端子箱付電動機

【課題】端子箱付電動機の組み付け作業性の向上、かつ端子箱から電動機本体内に粉塵あるいは水が浸入する不具合を防止できる端子箱付電動機を提供する。
【解決手段】電動機外枠に端子箱を設け、電動機外枠から導出された内部リード線を端子箱内において外部から導入された外部線と接続するようにした端子箱付電動機において、電動機出力軸と反対側の電動機外枠25の端面25aに内部リード線28を導出するための孔29を設け、導出孔29を覆うように端子箱3を設け、該端子箱3内に配置される基板台40に、端子台60と共にプリント基板50を組付け、前記基板台40に、内部リード線28の周囲を保護する保護壁部44を一体に形成し、内部リード線導出孔29に合致させるようにして前記基板台40を電動機外枠端面25aに組み付け、端子箱3内に導入される内部リード線28の周囲を前記保護壁部44によって覆うようにしたことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の内部リード線と電源ケーブル等の外部線を接続する端子箱を備えた端子箱付電動機に関する。詳しくは、電動機外枠に対する端子箱の配置と端子箱に設けられた端子台の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の端子箱付電動機としては、端子箱は、電動機外枠の側面に取付けられており、電動機外枠の側面に設けられた孔から内部リード線を引き出し、端子箱内の端子板に組み付けられている。
【特許文献1】特開昭57−25133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の端子箱付電動機にあっては、端子箱が電動機外枠の側面に設けられていたため、狭いスペースに端子箱付電動機を取り付けるのに邪魔になることがあった。 また、電源ケーブルを端子台に接続する配線作業がしにくいという問題もあった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決し、端子箱付電動機の組み付け作業性の向上が図れ、かつ端子箱から電動機本体内に粉塵あるいは水が浸入する不具合を防止することができる端子箱付電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、電動機外枠に端子箱を設け、電動機外枠から導出された内部リード線を端子箱内において外部から導入された外部線と接続するようにした端子箱付電動機において、電動機出力軸と反対側の電動機外枠の端面に内部リード線を導出するための孔を設け、前記内部リード線導出孔を覆うように端子箱を設けるとともに、該端子箱内に配置される基板台に、端子台と共にプリント基板を組付け、前記基板台に、内部リード線の周囲を保護する保護壁部を一体に形成し、該保護壁部を前記内部リード線導出孔に合致させるようにして前記基板台を電動機外枠端面に組み付け、前記電動機外枠から端子箱内に導入される内部リード線の周囲を前記保護壁部によって覆うようにしたことにある。
また、本発明は、前記端子箱の側壁面に、外部線の導入口を設け、この外部線導入口の軸線延長線上に、該軸線延長線と交叉する方向の斜面部を前記基板台に設け、該斜面部の向きを前記外部線を前記端子台に案内するように形成したことにある。
さらに、本発明は、前記基板台の保護壁部を、前記内部リード線導出孔に、保護壁部の先端が挿入される筒部に形成したことにある。
【発明の効果】
【0006】
請求項1においては、電動機出力軸と反対側の端面に設けたリード線導出孔を端子箱で覆うように構成しているため、リード線導出孔から粉塵や水滴が電動機内部に侵入することがない。基板台の保護壁部が内部リード線導出孔の周囲を覆って内部リード線を保護しているので、内部リード線が損傷することがない。また、基板台の保護壁部が内部リード線導出孔の周囲を覆うようになっているため、その部分によって基板台全体が簡易的に位置決めされ、基板台の組み付け作業がし易くなる。さらに、端子台が、電動機出力軸と反対側の端面に設けられ、電動機本体の側面には設けられていないため、狭いスペースであっても端子箱付電動機を取り付けることができる。
請求項2においては、外部線の導入に際して、外部線が基板台の斜面部に沿って端子台の方向に案内されるので、配線作業が容易である。
請求項3において、基板台の保護壁部の先端を筒部に形成して、筒部を内部リード線導出孔に挿入するようにしたので、基板台の位置決めが図れ、組み付け作業の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図示の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、端子箱付電動機の内部構造を示す縦断面図、図2は図1の端子箱の蓋を外した状態の概念図、図3(a)(b)(c)は電動機外枠を示す概念図、図4、図5は基板台を前後から示す斜視図、図6(a)(b)(c)は、基板台を示す図である。
【0008】
図1および図2において、1は電動機本体2および端子箱3からなる端子箱付電動機である。
電動機本体2は、電動機ハウジング20内に固定子21および回転子22を同心状に配置したもので、回転子22を支持する回転軸23が軸受け24を介して電動機ハウジング20に回転自在に支持されている。電動機ハウジング20は、一方を閉塞した筒状の外枠25と、外枠25の他方開口端を塞ぐフランジあるいはブラケット26とで構成されており、ブラケット26の略中心に設けられた開口穴26aから出力軸となる回転軸23の一端23aが外部に導出されている。回転軸23は外枠25の閉塞された端面25aに設けられたボス部27aと、ブラケット26のボス部27bにそれぞれ嵌入された前記軸受け24を介して回転自在に支持されている。
【0009】
前記外枠25の端面25aには、内部リード線28を電動機ハウジング20から引き出すための導出孔29が形成されており、この導出孔29を介して固定子21への電力供給用あるいは位置検出などを行う検出部用の内部リード線28が端子箱3内に導入されている。
【0010】
前記端子箱3は、電動機ハウジング20の外枠25と外形が略同一形状の円筒形に形成されており、外枠25の端面25aに図示しない螺子を介して組み付け固定されることによって、電動機本体2と一体的に構成されている。この端子箱3は、一方開口端を電動機ハウジング20に組みつけられた筒状の端子箱ケース31と、端子箱ケース31の他方開口端に設けられた蓋部32とで構成されており、端子箱ケース31のフランジ部31aに設けられた螺子孔31bに螺子33を介して蓋部32が螺着されている。
【0011】
前記端子箱ケース31の内部には、合成樹脂製の基板台40が組みつけられており、この基板台40にはプリント基板50とともに端子台60が螺子留めにより組み付けられている。
前記基板台40は、図4ないし図6(a)(b)(c)に示すように、凹部41aを有する四角形の枠体41と、枠体41の両側に設けられた張り出し部42と、枠体41の上面に設けられ、かつ上方に延びる略円錐台形状の延出部43と、枠体41の下面に設けられ、かつ前後方向に延びる円筒状の保護壁部44とで構成されている。前記張り出し部42には、前後方向に貫通する取付孔42aが設けられ、この取付孔42aと、前記電動機ハウジング20の外枠25の端面25aに形成された螺子孔25cとに螺子45を挿通して、前記外枠25に前記基板台40が螺子留め固定されている。
【0012】
前記略円錐台形状の延出部43は、前記基板台40の上面に、一体成形、または別体で設けられており、この延出部43は、前記蓋部32側に対向する背面を上方に向けて徐々に電動機側に傾斜させて傾斜面43aに形成されている。この延出部43の傾斜面43aは、電源ケーブル等の外部線(図示せず)を案内するもので、前記端子箱ケース31の上部側側壁面31cに形成された金口と呼ばれる導入口35から導入される外部線を斜面に沿って案内するものである。
前記基板台40の傾斜面43aの位置は、外部線導入口35の軸線延長線上に、該軸線延長線と交叉する方向に設けられ、かつ該斜面部43aの向きを、前記外部線が斜面に沿って前記端子台60の側まで案内されるように形成されている。
【0013】
前記円筒状の保護壁部44は、前記基板台40を前記電動機ハウジング20の外枠25の端面25aに組み付けることによって、先端筒部44aが導出孔29の内部に挿入されて組みつけられており、この保護壁部44の壁面によって、前記電動機ハウジング20から導出される内部リード線28の周囲を覆って保護するものである。電動機ハウジング20から端子箱3に引き出された内部リード線28は、反転させて前記プリント基板50にハンダ等によって接着されている。前記プリント基板50には、端子台60が装着されており、この端子台60に螺子61を介して外部線が取付けられて内部リード線28と電気的に接続されている。
【0014】
次に、前記内部リード線28と外部線との接続手順を説明すると、まず、基板台40を前記電動機ハウジング20の外枠25の外側端面25aに組み付ける。このとき、円筒状の保護壁部44の先端筒部44aを導出孔29の内部に挿入して基板台40の位置決めが図られる。
そして、保護壁部44内を挿通して端子箱3内に引き出された内部リード線28は、反転されてプリント基板50にハンダ等によって接着される。プリント基板50は端子台60とともに基板台40に螺子留めして組みつけられている。次に、基板台40を電動機ハウジング20の外枠25の外側端面25aの螺子孔25cに螺子45を介して螺着する。端子台60は、プリント基板50に組みつけることで、内部リード線28との電気的な接続を行う。そして、端子箱ケース31を電動機ハウジング20の外枠25の外側端面25aに組み付け、導入口35から外部線を引き入れる。端子箱3内に導入された外部線は、延出部43の傾斜面43aに沿って、端子台60の側に案内される。こうして、外部線を端子台60に接続して、電気的な接続を行う。最後に、端子箱ケース31に、蓋部32を組み付けて、組みつけが完了する。
【0015】
以上のように、上記実施の形態によれば、基板台40の組みつけに際して、円筒状の保護壁部44の先端筒部44aを導出孔29の内部に挿入して位置決めが図られるので、基板台40の組みつけを容易に行うことができる。また、外部線は、延出部43の傾斜面43aに沿って、引き入れられ、端子台60の側に案内されるので、外部線を容易に端子台60に接続することができる。
【0016】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、円筒状の保護壁部44は、内部リード線28の周囲を保護するものであれば、必ずしも円筒形状である必要はなく、また、延出部43の傾斜面43aは、外部線を案内できるものであれば、角度、あるいは傾斜面43aの長さは任意に設定することができる。等、その他本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜、変形して実施し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態による端子箱付電動機を示めす縦断面図である。
【図2】端子箱の蓋部を外して示す図1の概念図である。
【図3】図1の電動機ハウジングの外枠を示し、(a)は外枠の端面を示す正面図、(b)は(a)の裏面側を示す背面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図4】基板台を示す背面側の斜視図である。
【図5】基板台を示す正面側の斜視図である。
【図6】基板台を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は(a)のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 端子箱付電動機
2 電動機本体
3 端子箱
20 電動機ハウジング
25 外枠
25a 端面
28 内部リード線
29 導出孔
31 端子箱ケース
31a フランジ部
32 蓋部
33 螺子
40 基板台
50 プリント基板
60 端子台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機外枠に端子箱を設け、電動機外枠から導出された内部リード線を端子箱内において外部から導入された外部線と接続するようにした端子箱付電動機において、電動機出力軸と反対側の電動機外枠の端面に内部リード線を導出するための孔を設け、前記内部リード線導出孔を覆うように端子箱を設けるとともに、該端子箱内に配置される基板台に、端子台と共にプリント基板を組付け、前記基板台に、内部リード線の周囲を保護する保護壁部を一体に形成し、該保護壁部を前記内部リード線導出孔に合致させるようにして前記基板台を電動機外枠端面に組み付け、前記電動機外枠から端子箱内に導入される内部リード線の周囲を前記保護壁部によって覆うようにしたことを特徴とする端子箱付電動機。
【請求項2】
前記端子箱の側壁面に、外部線の導入口を設け、この外部線導入口の軸線延長線上に、該軸線延長線と交叉する方向の斜面部を前記基板台に設け、該斜面部の向きを前記外部線を前記端子台に案内するように形成したことを特徴とする請求項1に記載の端子箱付電動機。
【請求項3】
前記基板台の保護壁部を、前記内部リード線導出孔に、保護壁部の先端が挿入される筒部に形成したことを特徴とする請求項1に記載の端子箱付電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−263673(P2008−263673A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102767(P2007−102767)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】