端末装置及びそのプログラム
【課題】表示対象画像の部分画像を任意に設定された経路に応じて自動的にスクロールして表示させることができる端末装置を提供する。
【解決手段】コード化パターンが印刷された専用紙2に描かれたペン・ダウンからペン・アップまでのストロークSに対応する記入情報を電子ペン1で生成して端末装置3に送信し、受信した記入情報に基づいて端末装置3のディスプレイ上に表示対象画像の部分画像を表示するに際して、あらかじめ専用紙2のサイズと表示対象画像のサイズとを縮尺情報で対応付けることで、専用紙2上に描いたストロークSが拡大されて表示対象画像上のストローク経路Saとなるようにしておく。そして、ストローク経路Saの始点がディスプレイの表示枠Dの左上端から所定距離だけ内側に位置するように部分画像を表示し、この状態でストロークとディスプレイの表示枠Dの交点を求め、その交点をストロークが通るように部分画像をスライドさせていく。
【解決手段】コード化パターンが印刷された専用紙2に描かれたペン・ダウンからペン・アップまでのストロークSに対応する記入情報を電子ペン1で生成して端末装置3に送信し、受信した記入情報に基づいて端末装置3のディスプレイ上に表示対象画像の部分画像を表示するに際して、あらかじめ専用紙2のサイズと表示対象画像のサイズとを縮尺情報で対応付けることで、専用紙2上に描いたストロークSが拡大されて表示対象画像上のストローク経路Saとなるようにしておく。そして、ストローク経路Saの始点がディスプレイの表示枠Dの左上端から所定距離だけ内側に位置するように部分画像を表示し、この状態でストロークとディスプレイの表示枠Dの交点を求め、その交点をストロークが通るように部分画像をスライドさせていく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペン又はスキャナで専用紙上に描いたストロークに基づきディスプレイ上に表示対象画像の部分画像を表示する技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのアノト(Anoto)社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている(特許文献1参照)。このアノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙と共に使用されるもので、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、データ通信ユニットを搭載している。
【0003】
利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字、画像などの記入情報が取得される。この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される。
【0004】
このアノトペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、上述のパーソナルコンピュータやキーボードの使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすい。そのため、現在、各種ビジネス上の書類、申込書、契約書等に記入されたデータをデジタル化する手法として、電子ペンを利用したシステムが普及しつつある(例えば特許文献2参照)。
【0005】
一方、スタイラスにおける画面スクロール方法として、ストロークを描いた後に電子ペンでスタイラス上をタップすると、描いたストロークの時系列的に一番現在に近い点を軸に、タップしたポイントへ平行移動させるストローク方法や、ストロークを描いた後で電子ペンでスタイラス上の2点をタップすると、その2点間のベクトル量だけ、描いたストロークを平行移動させるストローク方法が知られている(例えば特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2004−153612号公報
【特許文献3】特開平6−149464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記アノト社の技術に見られるような電子ペンを用いると、所定のドットパターンが印刷された専用紙に文字や絵柄などを記入し、その記入情報に対応した文字や絵柄を端末装置に送信してディスプレイに表示させることができる。しかしながら、用紙サイズが端末装置の表示画面サイズよりも大きい場合には、記入されたストローク全体が表示されない場合を生じるという問題がある。
【0008】
このようなストロークの表示位置を制御する方法として、例えば上記の特開平6−149464号公報(特許文献3)には、電子ペンでタップした2点間のベクトル量だけストロークを平行移動させる方法が開示されている。ところが、この特許文献3に記載の方法では、記入したストロークを移動させるために電子ペンで2点をタップして行われるスクロールは、2点間の直線的な画像移動であり、複雑な経路をたどるスクロールはできなかった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示対象画像の部分画像を任意に設定された経路に応じて自動的にスクロールして表示させる機能を有する端末装置及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る端末装置は、コード化パターンが印刷された専用紙に電子ペン又はスキャナで描かれたストロークに対応して電子ペン又はスキャナで生成され送信される記入情報を受信する端末装置であって、記入情報を受信する受信手段と、受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる処理手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この端末装置によれば、利用者が専用紙に電子ペン又はスキャナでストロークを描くと、電子ペン又はスキャナによって記入情報が端末装置に送信され、端末装置は、受信手段によって、電子ペン又はスキャナから送られてきた記入情報を受信し、処理手段によって、受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる。したがって、専用紙に任意の経路をストロークで描けば、そのストローク経路に応じて、表示対象画像を移動させながらその部分画像をディスプレイに表示させることができる。
【0012】
この端末装置において、前記処理手段は、ストローク経路の始点がディスプレイの表示枠内に位置するように部分画像を表示し、この状態でストローク経路とディスプレイの表示枠の交点を求め、その交点をストローク経路が通るように部分画像をスライドさせるとよい。これにより、ストローク経路に沿って表示対象画像を移動させて部分画像を表示することができる。
【0013】
また、本発明に係るプログラムは、コード化パターンが印刷された専用紙に電子ペン又はスキャナで描かれたストロークに対応して電子ペン又はスキャナで生成され送信される記入情報を受信する端末装置に、記入情報を受信する受信手段、受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる処理手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
また、上記プログラムにおいて、処理手段は、ストローク経路の始点がディスプレイの表示枠内に位置するように部分画像を表示し、この状態でストローク経路とディスプレイの表示枠の交点を求め、その交点をストローク経路が通るように部分画像をスライドさせるとよい。
【0015】
このプログラムにより本発明に係る端末装置を構成させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る端末装置及びそのプログラムによれば、表示対象画像のサイズが表示サイズよりも大きい場合に、専用紙に記入されたストローク情報に基づいて部分画像を自動的にスクロールして表示させるので、一々ペン動作をしなくても、効率よく表示対象画像を表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0018】
[画像表示システムのシステム構成]
図1は、本実施形態の端末装置3を用いた画像表示システム4のシステム構成図を示している。図1に示すように、この画像表示システム4では、電子ペン1で専用紙2にストローク(ペン・ダウンからペン・アップまでの筆跡)を描くと、端末装置3は、ディスプレイに、表示対象画像の部分画像をスクロール表示するようになっている。ここで使用する専用紙2には、ドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。また、電子ペン1は、通常のインクペンと同様のペン先部6を備えており、利用者が通常のインクペンと同様にペン先部6によって専用紙2にストロークを書くと、電子ペン1は、ペン先部6の移動した軌跡(筆跡)に沿って、専用紙2に印刷されたドットパターンを局所的、連続的に読み取り、専用紙2におけるその局所位置の座標を演算し、その位置座標データとともに、電子ペン1を識別する電子ペン識別ID、筆記された時刻情報(タイムスタンプ)等を関連付ける。
【0019】
[専用紙]
まず、本画像表示システム4で使用する専用紙2について説明する。専用紙2は、用紙にドットパターンが印刷され、さらにその上に表示対象画像である絵画Aが縮小されて印刷されたものである(参照図7:専用紙2の絵画図示は省略)。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷される。また、縮小印刷された絵画Aの図案は、カーボンを含まない通常のインキにより印刷される。これらのドットパターンと図案とは用紙に対して同時に印刷してもよいし、どちらかを先に印刷してもよい。
【0020】
[ドットパターン]
続いて、専用紙2に印刷されるドットパターンについて説明する。電子ペン1によって読み取られるドットパターンは、上述のアノト技術を採用している。図2は、専用紙2に印刷されるドットパターンのドットの位置とそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図2に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点:格子点)から上下左右のどの方向にシフトされているかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換される。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、ドットパターンは、専用紙2における位置座標が決定されるよう構成されている。
【0021】
図3(a)は、専用紙2における、ある局所部のドットパターンの配列を示している。図3(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、専用紙2上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36(=6×6)個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがその専用紙2上のどの位置にあるのか)を保持している。図3(b)は、図3(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図2に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0022】
[電子ペン]
次に、電子ペン1について説明する。図4に示すように、電子ペン1は、その筐体7の内部に、プロセッサ8、メモリ9、スピーカ10、データ通信ユニット11、バッテリー12、LED13、CMOSカメラ14、クロック15、圧力センサ16、及びインクカートリッジ17を備える。インクカートリッジ17の先端は、ペン先部6となっており、利用者は、電子ペン1のペン先部6を専用紙2に当接させながらストローク等を描くことができる。
【0023】
LED13とCMOSカメラ14は、電子ペン1のペン先部6付近に取り付けられており、筐体7におけるLED13及びCMOSカメラ14と対向する部分には、開口部18が形成されている。LED13は、専用紙2上のペン先部6近傍(領域19:図1参照)に向けて赤外線を照明する。領域19は、ペン先部6が専用紙2に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ14は、LED13によって照明された領域19内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ8に供給する。
【0024】
ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED13によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。したがって、CMOSカメラ14の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。たとえ撮影領域に絵画Aの図案が印刷されてあったとしても、図案のインクには、カーボンが含まれていないため、ドットパターンを認識することができる。なお、CMOSカメラ14による撮影領域は、図3(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ14の撮影は毎秒75回行われる。
【0025】
バッテリー12は電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。圧力センサ16は、利用者が電子ペン1により専用紙2上に文字などを書く際にペン先部6に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ8へ供給する。
【0026】
プロセッサ8は、圧力センサ16から与えられる筆圧データに基づいて、LED13及びCMOSカメラ14のスイッチのオン/オフを切換える。即ち、利用者が電子ペン1で専用紙2上に文字などを書くと、ペン先部6には筆圧がかかり、圧力センサ16によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ8は、利用者が記入を開始したと判定して、LED13及びCMOSカメラ14を作動させる。
【0027】
プロセッサ8は、利用者の記入が行われる間、CMOSカメラ14によって供給される画像データのドットパターンから、利用者が記入するストロークの専用紙20上におけるX,Y座標の位置座標(単に「座標データ」とも呼ぶ)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ8は、CMOSカメラ14によって供給される、図3(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図3(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、所定の規則に従ってX座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを演算する。またプロセッサ8は、専用紙2の頁ごと或いは種類ごとに設定されているドットパターンアドレスをドットパターンの配列から演算する。そしてプロセッサ8は、クロック15から発信される現在時刻(タイムスタンプ)、筆圧データ及びX,Y座標データとを関連付ける。なお、専用紙2における6×6のドットパターンは、その専用紙2内で重複することはないため、利用者が電子ペン1で必要事項を記入すると、記入された位置が専用紙2のどの位置に当たるかを、プロセッサ8による座標演算により特定することができる。
【0028】
メモリ9には、電子ペン1を識別するための電子ペン識別IDが記憶されており、また、プロセッサ8によって演算される座標データが時刻情報(タイムスタンプ)と共に時系列順に配列されて記憶されていく。スピーカ10は、プロセッサ8によって指示された内容を音声で出力する。
【0029】
そして、データ通信ユニット11は、電子ペン識別情報と、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、X,Y座標データとを関連付けて、記入情報として端末装置3へ送信する。データ通信ユニット11による送信は、 Bluetooth(登録商標)方式の無線送信によって、端末装置3へ向けて即時的かつ逐次的に行われる。
【0030】
[端末装置の構成]
次に、端末装置3について図5を参照して説明する。図5は、端末装置3の機能ブロック図である。図示の如く端末装置3は、機能的には、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置や受信回路等からなる受信手段31、ROMやRAM、ハードディスクといったメモリからなる記憶手段32、CPU等のプロセッサからなる処理手段33、ディスプレイ等からなる表示手段34、マウスやキーボードといった入力手段35、現在時刻を発信するクロック36、及び送信手段37を備えるパーソナルコンピュータ等で構成される。そして、端末装置3は、電子ペン1から受信した記入情報を用いて専用アプリケーションを実行することで所定の処理を行う。
【0031】
[専用アプリケーション]
続いて、端末装置3にインストールされる専用アプリケーション(プログラム)40について図6を参照して説明する。図6は、専用アプリケーション40のモジュール構成を示す。図6に示すように、専用アプリケーション40は、受信モジュール41と、記憶モジュール42と、処理モジュール43とを有している。
【0032】
受信モジュール41は、受信手段31に対して、各電子ペン1から送信された特定のプロトコルで作成された記入情報を受信させる機能を有し、端末装置3にアンテナ、受信回路等によって受信手段31を構成させるモジュールである。
【0033】
記憶モジュール42は、専用紙2におけるドットパターンアドレスに対応させて、表示対象画像である絵画Aを表示手段34に表示するための画像データやウィンドウ情報、各種設定情報、また、専用紙2のドットパターンアドレスと、表示対象画像に対する専用紙2の縮尺情報との対応関係を保持して記憶手段32に記憶させたり、電子ペン1から取得した記入情報を所定の形式で記憶させたりするモジュールであって、端末装置3に記憶手段32を構成させるモジュールである。
【0034】
処理モジュール43は、表示手段34に対して、種々の形態で専用紙2に描かれたストロークに基づいて、表示対象画像をスクロールしながら表示させる機能を有し、端末装置3にプロセッサ等によって処理手段33を構成させるモジュールである。
【0035】
[専用アプリケーションの実行による端末装置の表示処理機能]
端末装置3にインストールされた専用アプリケーション40で行う処理は、利用者が電子ペン1で任意に描いたストロークに基づいて、表示手段34のディスプレイに表示対象画像の部分画像を自動的にスクロールして表示させる処理である。この専用アプリケーション40の実行により端末装置3が行う処理の概要を図7〜図10により説明する。
【0036】
図7は、表示対象画像である絵画Aとそれに対応する専用紙2を示す図である。図7に示すように、専用紙2は、絵画Aよりもサイズが小さく、あらかじめ専用紙2のサイズと絵画Aのサイズは縮尺情報で対応付けられており、縮尺情報は、専用紙2のドットパターンアドレス及び絵画Aの画像データに関連付けられて、端末装置3の記憶手段32に記憶されている。絵画Aは、端末装置3のディスプレイの表示枠Dよりも大きLものを想定しており、専用紙2としては絵画Aよりも小さいサイズのものが使用される。
【0037】
図8は、専用紙2に描かれるストロークSと、ディスプレイにより表示対象画像である絵画Aを表示する表示枠Dと、ストロークSに対応した表示対象画像上のストローク経路Saとを示す図である。図8に示すように、スクロール開始前において、処理手段33はは、ディスプレイに表示される絵画Aの初期位置は、絵画Aの左上付近の領域に設定されている。この状態において、電子ペン1で専用紙2にストロークS(ペン・ダウンからペン・アップまでに描かれる線分)が記入され、電子ペン1からストロークSの記入情報が端末装置3へ Bluetooth(登録商標)方式で無線送信されると、端末装置3では、受信手段31が記入情報を受信し、処理手段33に記入情報を伝送する。処理手段33は、受信した記入情報を記憶手段31に記憶させるとともに、記入情報にあるドットパターンアドレスに関連付けられた縮尺情報を記憶手段32から読み出し、専用紙2に描かれたストロークSの絵画A上における対応位置となるストローク経路Saを演算する。
【0038】
そして、処理手段33は、図9に示すように、ストローク経路Saの始点がディスプレイの表示枠Dの左上端から(X1,Y1)だけ内側の座標に位置するように部分画像を表示させる。そして、処理手段33は、この状態での、ストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dとの交点Tを求める。
【0039】
さらに、図10(a)〜(c)に示すように、処理手段33は、ストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dとの交点Tを、ストローク経路Saが通るように部分画像をスライドさせていき、ストローク経路Saの終点が交点Tに達した時点で部分画像のスライドを終了する。このようにして、専用アプリケーション40がインストールされた端末装置3によって、表示手段34のディスプレイに表示される絵画Aの部分画像が自動スクロールされる。
【0040】
[画像表示システムによるディスプレイ表示の処理フロー]
次に、本実施形態の画像表示システム4により行われる処理について、図11のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0041】
電子ペン1は、利用者が電子ペン1を専用紙2にペン・ダウンしてストロークを描き、ペン・アップするまでの間、そのストロークに対応する記入情報を生成して端末装置3へ送信する。すなわち、利用者がストロークを描くために電子ペン1のペン先部6を専用紙2に接触(ペン・ダウン)させると、電子ペン1は圧力センサ16によって所定値以上の筆圧が検出されたことにより専用紙2への接触を検知し(ステップS11)、LED13によって赤外線を照射しつつCMOSカメラ14によってドットパターンを撮像し、プロセッサ8によって、撮像されたドットパターンの画像データから専用紙2への接触位置における座標データ及びドットパターンアドレスを演算する。そしてプロセッサ8は、ドットパターンアドレス、座標データ、筆圧データ、及び現在時刻表示(タイムスタンプ)を関連付けた記入情報を生成し、その記入情報を、データ通信ユニット11を介して端末装置3へ送信させる(ステップS12)。
【0042】
このように電子ペン1は、利用者が専用紙2にストロークSを描き続けている間、そのストロークSの記入情報を生成し続け、端末装置3へ送信し続ける。そして、利用者が電子ペン1を専用紙2から離脱(ペン・アップ)させると、プロセッサ8は、圧力センサ16により検出される筆圧が所定値未満となったことを認識し(ステップS13)、端末装置3への送信を中断する。利用者が続けて次の自動スクロール用のストロークを描くために接触(ペン・ダウン)させた場合(ステップS14;イエス)は、そのストロークの記入情報を再び生成して端末装置3へ送信するプロセス(ステップS12)を繰り返す。その一方、利用者が電子ペン1でストロークを描かない場合は、ペン・ダウンが検知されないため(ステップS14;ノー)、電子ペン1から端末装置3への記入情報の送信はそのまま中止されることになる。
【0043】
端末装置3においては、処理手段33は、専用アプリケーションを起動して記憶手段32に記憶されたウィンドウ情報や各種設定情報を読み出し、専用紙2に描かれるストロークに対応して絵画Aの部分画像を表示手段34に表示できる初期状態、すなわち図8に示すように、絵画Aの左上付近の領域を表示させる(ステップS15)。
【0044】
その状態で、端末装置3が、電子ペン1によって送信された記入情報を受信手段31により受信する(ステップS16)と、処理手段33は、受信した記入情報を記憶手段32に記憶させるとともに、絵画Aの部分画像をストローク経路Saに沿って連続的に表示する自動スクロール処理を行う(ステップS17)。
【0045】
すなわち、処理手段33は、記入情報からドットパターンアドレスを抽出し、そのドットパターンアドレスに関連付けられた縮尺情報を記憶手段32から読み出し、記入情報の座標データ及び縮尺情報に基づいて、専用紙2に描かれたストロークSの絵画A上における対応位置となるストローク経路Saを演算する。そして、処理手段33は、図9に示すように、ストローク経路Saの始点がディスプレイの表示枠Dの左上端から(X1,Y1)だけ内側の座標に位置するように部分画像を表示させるとともに、ストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dとの交点Tを求め、さらに、図10(a)〜(c)に示すように、処理手段33は、ストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dとの交点Tを、ストローク経路Saが通るように部分画像をスライドさせていき、ストローク経路Saの終点が交点Tに達した時点で部分画像のスライドを終了する。
【0046】
そして、処理手段33は、利用者によってアプリケーションの終了操作が行われていないかどうかを判定し(ステップS18)、終了操作を検知していない場合(ステップS18;ノー)は、ステップS16に戻り、記入情報受信の待機状態となる。一方、処理手段33は、利用者による終了操作を検知すると(ステップS18;イエス)、自動スクロールのアプリケーションを終了させる。
【0047】
[本実施形態の作用効果]
この端末装置3を利用した画像表示システム4によれば、利用者が電子ペン1で専用紙2に任意の形状のストロークSを描くと、電子ペン1は、描かれたストロークSの位置座標を所定間隔で演算し、当該位置座標を含む記入情報を生成し、即時的かつ逐次的に当該記入情報を端末装置3へ送信する。そして、端末装置3は、電子ペン1から記入情報を取得し、当該記入情報に基づいて絵画A上で拡大されたストローク経路Saの始点がディスプレイの表示枠Dの左上端から(X1,Y1)だけ内側に位置するように部分画像を表示し、この状態におけるストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dの交点Tを求め、その交点Tをストローク経路Saが通るように部分画像をスライドさせることによって、ストロークSに沿って絵画Aの部分画像を自動的にスクロールして表示する。したがって、絵画Aが縮小して印刷された専用紙2上で、拡大して端末装置3のディスプレイに表示させたい領域に沿って電子ペン1でストロークSを描くことにより、利用者は、表示させたい領域を端末装置3のディスプレイで鑑賞することができる。
【0048】
[他の実施形態]
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
【0049】
上記実施形態では、専用紙2に文字や絵柄を描く装置として電子ペン1を使用したが、インクカートリッジの付いていないペン型スキャナを用いてもよい。また、表示対象画像は絵画に限らず、動植物の画像や、地図等であってもよい。また、処理手段33は、表示手段34にスクロール表示させている間に、次のストロークSの記入情報を受信して処理する場合には、現段階で行っているスクロール表示を中止し、即座に次のストロークSに対応するストローク経路Saに沿ったスクロール表示を開始させるようにするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示システムのシステム構成図である。
【図2】専用紙に印刷されたドットパターンによる情報の表現方法の説明図である。
【図3】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す説明図である。
【図4】図1に示す電子ペンを模式的に示す説明図である。
【図5】図1に示す端末装置の機能ブロック図である。
【図6】端末装置における専用アプリケーションのモジュール構成図である。
【図7】表示対象画像とそれに対応する専用紙を示す説明図である。
【図8】専用紙上に描いたストロークと表示対象画像上で対応するストロークとの関係を示す説明図である。
【図9】ストロークの始点がディスプレイの表示枠の左上端から所定距離だけ内側に位置するように部分画像を表示した状態を示す説明図である。
【図10】表示対象画像の部分画像を自動的にスクロールさせてディスプレイに表示する様子を示す説明図である。
【図11】実施形態の画像表示システムにより行うディスプレイ表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…電子ペン、2…専用紙、3…端末装置、4…画像表示システム、6…ペン先部、7…筐体、8…プロセッサ、9…メモリ、10…スピーカ、11…データ通信ユニット、12…バッテリー、13…LED、14…CMOSカメラ、15…クロック、16…圧力センサ、17…インクカートリッジ、18…開口部、19…領域、31…受信手段、32…記憶手段、33…処理手段、34…表示手段、35…入力手段、36…クロック、37…送信手段、40…専用アプリケーション(プログラム)、41…受信モジュール、42…記憶モジュール、43…処理モジュール、A…絵画、D…ディスプレイの表示枠、S…ストローク、Sa…ストローク経路、T…交点。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペン又はスキャナで専用紙上に描いたストロークに基づきディスプレイ上に表示対象画像の部分画像を表示する技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのアノト(Anoto)社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている(特許文献1参照)。このアノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙と共に使用されるもので、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、データ通信ユニットを搭載している。
【0003】
利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字、画像などの記入情報が取得される。この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される。
【0004】
このアノトペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、上述のパーソナルコンピュータやキーボードの使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすい。そのため、現在、各種ビジネス上の書類、申込書、契約書等に記入されたデータをデジタル化する手法として、電子ペンを利用したシステムが普及しつつある(例えば特許文献2参照)。
【0005】
一方、スタイラスにおける画面スクロール方法として、ストロークを描いた後に電子ペンでスタイラス上をタップすると、描いたストロークの時系列的に一番現在に近い点を軸に、タップしたポイントへ平行移動させるストローク方法や、ストロークを描いた後で電子ペンでスタイラス上の2点をタップすると、その2点間のベクトル量だけ、描いたストロークを平行移動させるストローク方法が知られている(例えば特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2004−153612号公報
【特許文献3】特開平6−149464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記アノト社の技術に見られるような電子ペンを用いると、所定のドットパターンが印刷された専用紙に文字や絵柄などを記入し、その記入情報に対応した文字や絵柄を端末装置に送信してディスプレイに表示させることができる。しかしながら、用紙サイズが端末装置の表示画面サイズよりも大きい場合には、記入されたストローク全体が表示されない場合を生じるという問題がある。
【0008】
このようなストロークの表示位置を制御する方法として、例えば上記の特開平6−149464号公報(特許文献3)には、電子ペンでタップした2点間のベクトル量だけストロークを平行移動させる方法が開示されている。ところが、この特許文献3に記載の方法では、記入したストロークを移動させるために電子ペンで2点をタップして行われるスクロールは、2点間の直線的な画像移動であり、複雑な経路をたどるスクロールはできなかった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示対象画像の部分画像を任意に設定された経路に応じて自動的にスクロールして表示させる機能を有する端末装置及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る端末装置は、コード化パターンが印刷された専用紙に電子ペン又はスキャナで描かれたストロークに対応して電子ペン又はスキャナで生成され送信される記入情報を受信する端末装置であって、記入情報を受信する受信手段と、受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる処理手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この端末装置によれば、利用者が専用紙に電子ペン又はスキャナでストロークを描くと、電子ペン又はスキャナによって記入情報が端末装置に送信され、端末装置は、受信手段によって、電子ペン又はスキャナから送られてきた記入情報を受信し、処理手段によって、受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる。したがって、専用紙に任意の経路をストロークで描けば、そのストローク経路に応じて、表示対象画像を移動させながらその部分画像をディスプレイに表示させることができる。
【0012】
この端末装置において、前記処理手段は、ストローク経路の始点がディスプレイの表示枠内に位置するように部分画像を表示し、この状態でストローク経路とディスプレイの表示枠の交点を求め、その交点をストローク経路が通るように部分画像をスライドさせるとよい。これにより、ストローク経路に沿って表示対象画像を移動させて部分画像を表示することができる。
【0013】
また、本発明に係るプログラムは、コード化パターンが印刷された専用紙に電子ペン又はスキャナで描かれたストロークに対応して電子ペン又はスキャナで生成され送信される記入情報を受信する端末装置に、記入情報を受信する受信手段、受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる処理手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
また、上記プログラムにおいて、処理手段は、ストローク経路の始点がディスプレイの表示枠内に位置するように部分画像を表示し、この状態でストローク経路とディスプレイの表示枠の交点を求め、その交点をストローク経路が通るように部分画像をスライドさせるとよい。
【0015】
このプログラムにより本発明に係る端末装置を構成させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る端末装置及びそのプログラムによれば、表示対象画像のサイズが表示サイズよりも大きい場合に、専用紙に記入されたストローク情報に基づいて部分画像を自動的にスクロールして表示させるので、一々ペン動作をしなくても、効率よく表示対象画像を表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0018】
[画像表示システムのシステム構成]
図1は、本実施形態の端末装置3を用いた画像表示システム4のシステム構成図を示している。図1に示すように、この画像表示システム4では、電子ペン1で専用紙2にストローク(ペン・ダウンからペン・アップまでの筆跡)を描くと、端末装置3は、ディスプレイに、表示対象画像の部分画像をスクロール表示するようになっている。ここで使用する専用紙2には、ドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。また、電子ペン1は、通常のインクペンと同様のペン先部6を備えており、利用者が通常のインクペンと同様にペン先部6によって専用紙2にストロークを書くと、電子ペン1は、ペン先部6の移動した軌跡(筆跡)に沿って、専用紙2に印刷されたドットパターンを局所的、連続的に読み取り、専用紙2におけるその局所位置の座標を演算し、その位置座標データとともに、電子ペン1を識別する電子ペン識別ID、筆記された時刻情報(タイムスタンプ)等を関連付ける。
【0019】
[専用紙]
まず、本画像表示システム4で使用する専用紙2について説明する。専用紙2は、用紙にドットパターンが印刷され、さらにその上に表示対象画像である絵画Aが縮小されて印刷されたものである(参照図7:専用紙2の絵画図示は省略)。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷される。また、縮小印刷された絵画Aの図案は、カーボンを含まない通常のインキにより印刷される。これらのドットパターンと図案とは用紙に対して同時に印刷してもよいし、どちらかを先に印刷してもよい。
【0020】
[ドットパターン]
続いて、専用紙2に印刷されるドットパターンについて説明する。電子ペン1によって読み取られるドットパターンは、上述のアノト技術を採用している。図2は、専用紙2に印刷されるドットパターンのドットの位置とそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図2に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点:格子点)から上下左右のどの方向にシフトされているかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換される。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、ドットパターンは、専用紙2における位置座標が決定されるよう構成されている。
【0021】
図3(a)は、専用紙2における、ある局所部のドットパターンの配列を示している。図3(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、専用紙2上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36(=6×6)個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがその専用紙2上のどの位置にあるのか)を保持している。図3(b)は、図3(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図2に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0022】
[電子ペン]
次に、電子ペン1について説明する。図4に示すように、電子ペン1は、その筐体7の内部に、プロセッサ8、メモリ9、スピーカ10、データ通信ユニット11、バッテリー12、LED13、CMOSカメラ14、クロック15、圧力センサ16、及びインクカートリッジ17を備える。インクカートリッジ17の先端は、ペン先部6となっており、利用者は、電子ペン1のペン先部6を専用紙2に当接させながらストローク等を描くことができる。
【0023】
LED13とCMOSカメラ14は、電子ペン1のペン先部6付近に取り付けられており、筐体7におけるLED13及びCMOSカメラ14と対向する部分には、開口部18が形成されている。LED13は、専用紙2上のペン先部6近傍(領域19:図1参照)に向けて赤外線を照明する。領域19は、ペン先部6が専用紙2に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ14は、LED13によって照明された領域19内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ8に供給する。
【0024】
ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED13によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。したがって、CMOSカメラ14の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。たとえ撮影領域に絵画Aの図案が印刷されてあったとしても、図案のインクには、カーボンが含まれていないため、ドットパターンを認識することができる。なお、CMOSカメラ14による撮影領域は、図3(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ14の撮影は毎秒75回行われる。
【0025】
バッテリー12は電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。圧力センサ16は、利用者が電子ペン1により専用紙2上に文字などを書く際にペン先部6に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ8へ供給する。
【0026】
プロセッサ8は、圧力センサ16から与えられる筆圧データに基づいて、LED13及びCMOSカメラ14のスイッチのオン/オフを切換える。即ち、利用者が電子ペン1で専用紙2上に文字などを書くと、ペン先部6には筆圧がかかり、圧力センサ16によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ8は、利用者が記入を開始したと判定して、LED13及びCMOSカメラ14を作動させる。
【0027】
プロセッサ8は、利用者の記入が行われる間、CMOSカメラ14によって供給される画像データのドットパターンから、利用者が記入するストロークの専用紙20上におけるX,Y座標の位置座標(単に「座標データ」とも呼ぶ)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ8は、CMOSカメラ14によって供給される、図3(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図3(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、所定の規則に従ってX座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを演算する。またプロセッサ8は、専用紙2の頁ごと或いは種類ごとに設定されているドットパターンアドレスをドットパターンの配列から演算する。そしてプロセッサ8は、クロック15から発信される現在時刻(タイムスタンプ)、筆圧データ及びX,Y座標データとを関連付ける。なお、専用紙2における6×6のドットパターンは、その専用紙2内で重複することはないため、利用者が電子ペン1で必要事項を記入すると、記入された位置が専用紙2のどの位置に当たるかを、プロセッサ8による座標演算により特定することができる。
【0028】
メモリ9には、電子ペン1を識別するための電子ペン識別IDが記憶されており、また、プロセッサ8によって演算される座標データが時刻情報(タイムスタンプ)と共に時系列順に配列されて記憶されていく。スピーカ10は、プロセッサ8によって指示された内容を音声で出力する。
【0029】
そして、データ通信ユニット11は、電子ペン識別情報と、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、X,Y座標データとを関連付けて、記入情報として端末装置3へ送信する。データ通信ユニット11による送信は、 Bluetooth(登録商標)方式の無線送信によって、端末装置3へ向けて即時的かつ逐次的に行われる。
【0030】
[端末装置の構成]
次に、端末装置3について図5を参照して説明する。図5は、端末装置3の機能ブロック図である。図示の如く端末装置3は、機能的には、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置や受信回路等からなる受信手段31、ROMやRAM、ハードディスクといったメモリからなる記憶手段32、CPU等のプロセッサからなる処理手段33、ディスプレイ等からなる表示手段34、マウスやキーボードといった入力手段35、現在時刻を発信するクロック36、及び送信手段37を備えるパーソナルコンピュータ等で構成される。そして、端末装置3は、電子ペン1から受信した記入情報を用いて専用アプリケーションを実行することで所定の処理を行う。
【0031】
[専用アプリケーション]
続いて、端末装置3にインストールされる専用アプリケーション(プログラム)40について図6を参照して説明する。図6は、専用アプリケーション40のモジュール構成を示す。図6に示すように、専用アプリケーション40は、受信モジュール41と、記憶モジュール42と、処理モジュール43とを有している。
【0032】
受信モジュール41は、受信手段31に対して、各電子ペン1から送信された特定のプロトコルで作成された記入情報を受信させる機能を有し、端末装置3にアンテナ、受信回路等によって受信手段31を構成させるモジュールである。
【0033】
記憶モジュール42は、専用紙2におけるドットパターンアドレスに対応させて、表示対象画像である絵画Aを表示手段34に表示するための画像データやウィンドウ情報、各種設定情報、また、専用紙2のドットパターンアドレスと、表示対象画像に対する専用紙2の縮尺情報との対応関係を保持して記憶手段32に記憶させたり、電子ペン1から取得した記入情報を所定の形式で記憶させたりするモジュールであって、端末装置3に記憶手段32を構成させるモジュールである。
【0034】
処理モジュール43は、表示手段34に対して、種々の形態で専用紙2に描かれたストロークに基づいて、表示対象画像をスクロールしながら表示させる機能を有し、端末装置3にプロセッサ等によって処理手段33を構成させるモジュールである。
【0035】
[専用アプリケーションの実行による端末装置の表示処理機能]
端末装置3にインストールされた専用アプリケーション40で行う処理は、利用者が電子ペン1で任意に描いたストロークに基づいて、表示手段34のディスプレイに表示対象画像の部分画像を自動的にスクロールして表示させる処理である。この専用アプリケーション40の実行により端末装置3が行う処理の概要を図7〜図10により説明する。
【0036】
図7は、表示対象画像である絵画Aとそれに対応する専用紙2を示す図である。図7に示すように、専用紙2は、絵画Aよりもサイズが小さく、あらかじめ専用紙2のサイズと絵画Aのサイズは縮尺情報で対応付けられており、縮尺情報は、専用紙2のドットパターンアドレス及び絵画Aの画像データに関連付けられて、端末装置3の記憶手段32に記憶されている。絵画Aは、端末装置3のディスプレイの表示枠Dよりも大きLものを想定しており、専用紙2としては絵画Aよりも小さいサイズのものが使用される。
【0037】
図8は、専用紙2に描かれるストロークSと、ディスプレイにより表示対象画像である絵画Aを表示する表示枠Dと、ストロークSに対応した表示対象画像上のストローク経路Saとを示す図である。図8に示すように、スクロール開始前において、処理手段33はは、ディスプレイに表示される絵画Aの初期位置は、絵画Aの左上付近の領域に設定されている。この状態において、電子ペン1で専用紙2にストロークS(ペン・ダウンからペン・アップまでに描かれる線分)が記入され、電子ペン1からストロークSの記入情報が端末装置3へ Bluetooth(登録商標)方式で無線送信されると、端末装置3では、受信手段31が記入情報を受信し、処理手段33に記入情報を伝送する。処理手段33は、受信した記入情報を記憶手段31に記憶させるとともに、記入情報にあるドットパターンアドレスに関連付けられた縮尺情報を記憶手段32から読み出し、専用紙2に描かれたストロークSの絵画A上における対応位置となるストローク経路Saを演算する。
【0038】
そして、処理手段33は、図9に示すように、ストローク経路Saの始点がディスプレイの表示枠Dの左上端から(X1,Y1)だけ内側の座標に位置するように部分画像を表示させる。そして、処理手段33は、この状態での、ストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dとの交点Tを求める。
【0039】
さらに、図10(a)〜(c)に示すように、処理手段33は、ストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dとの交点Tを、ストローク経路Saが通るように部分画像をスライドさせていき、ストローク経路Saの終点が交点Tに達した時点で部分画像のスライドを終了する。このようにして、専用アプリケーション40がインストールされた端末装置3によって、表示手段34のディスプレイに表示される絵画Aの部分画像が自動スクロールされる。
【0040】
[画像表示システムによるディスプレイ表示の処理フロー]
次に、本実施形態の画像表示システム4により行われる処理について、図11のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0041】
電子ペン1は、利用者が電子ペン1を専用紙2にペン・ダウンしてストロークを描き、ペン・アップするまでの間、そのストロークに対応する記入情報を生成して端末装置3へ送信する。すなわち、利用者がストロークを描くために電子ペン1のペン先部6を専用紙2に接触(ペン・ダウン)させると、電子ペン1は圧力センサ16によって所定値以上の筆圧が検出されたことにより専用紙2への接触を検知し(ステップS11)、LED13によって赤外線を照射しつつCMOSカメラ14によってドットパターンを撮像し、プロセッサ8によって、撮像されたドットパターンの画像データから専用紙2への接触位置における座標データ及びドットパターンアドレスを演算する。そしてプロセッサ8は、ドットパターンアドレス、座標データ、筆圧データ、及び現在時刻表示(タイムスタンプ)を関連付けた記入情報を生成し、その記入情報を、データ通信ユニット11を介して端末装置3へ送信させる(ステップS12)。
【0042】
このように電子ペン1は、利用者が専用紙2にストロークSを描き続けている間、そのストロークSの記入情報を生成し続け、端末装置3へ送信し続ける。そして、利用者が電子ペン1を専用紙2から離脱(ペン・アップ)させると、プロセッサ8は、圧力センサ16により検出される筆圧が所定値未満となったことを認識し(ステップS13)、端末装置3への送信を中断する。利用者が続けて次の自動スクロール用のストロークを描くために接触(ペン・ダウン)させた場合(ステップS14;イエス)は、そのストロークの記入情報を再び生成して端末装置3へ送信するプロセス(ステップS12)を繰り返す。その一方、利用者が電子ペン1でストロークを描かない場合は、ペン・ダウンが検知されないため(ステップS14;ノー)、電子ペン1から端末装置3への記入情報の送信はそのまま中止されることになる。
【0043】
端末装置3においては、処理手段33は、専用アプリケーションを起動して記憶手段32に記憶されたウィンドウ情報や各種設定情報を読み出し、専用紙2に描かれるストロークに対応して絵画Aの部分画像を表示手段34に表示できる初期状態、すなわち図8に示すように、絵画Aの左上付近の領域を表示させる(ステップS15)。
【0044】
その状態で、端末装置3が、電子ペン1によって送信された記入情報を受信手段31により受信する(ステップS16)と、処理手段33は、受信した記入情報を記憶手段32に記憶させるとともに、絵画Aの部分画像をストローク経路Saに沿って連続的に表示する自動スクロール処理を行う(ステップS17)。
【0045】
すなわち、処理手段33は、記入情報からドットパターンアドレスを抽出し、そのドットパターンアドレスに関連付けられた縮尺情報を記憶手段32から読み出し、記入情報の座標データ及び縮尺情報に基づいて、専用紙2に描かれたストロークSの絵画A上における対応位置となるストローク経路Saを演算する。そして、処理手段33は、図9に示すように、ストローク経路Saの始点がディスプレイの表示枠Dの左上端から(X1,Y1)だけ内側の座標に位置するように部分画像を表示させるとともに、ストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dとの交点Tを求め、さらに、図10(a)〜(c)に示すように、処理手段33は、ストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dとの交点Tを、ストローク経路Saが通るように部分画像をスライドさせていき、ストローク経路Saの終点が交点Tに達した時点で部分画像のスライドを終了する。
【0046】
そして、処理手段33は、利用者によってアプリケーションの終了操作が行われていないかどうかを判定し(ステップS18)、終了操作を検知していない場合(ステップS18;ノー)は、ステップS16に戻り、記入情報受信の待機状態となる。一方、処理手段33は、利用者による終了操作を検知すると(ステップS18;イエス)、自動スクロールのアプリケーションを終了させる。
【0047】
[本実施形態の作用効果]
この端末装置3を利用した画像表示システム4によれば、利用者が電子ペン1で専用紙2に任意の形状のストロークSを描くと、電子ペン1は、描かれたストロークSの位置座標を所定間隔で演算し、当該位置座標を含む記入情報を生成し、即時的かつ逐次的に当該記入情報を端末装置3へ送信する。そして、端末装置3は、電子ペン1から記入情報を取得し、当該記入情報に基づいて絵画A上で拡大されたストローク経路Saの始点がディスプレイの表示枠Dの左上端から(X1,Y1)だけ内側に位置するように部分画像を表示し、この状態におけるストローク経路Saとディスプレイの表示枠Dの交点Tを求め、その交点Tをストローク経路Saが通るように部分画像をスライドさせることによって、ストロークSに沿って絵画Aの部分画像を自動的にスクロールして表示する。したがって、絵画Aが縮小して印刷された専用紙2上で、拡大して端末装置3のディスプレイに表示させたい領域に沿って電子ペン1でストロークSを描くことにより、利用者は、表示させたい領域を端末装置3のディスプレイで鑑賞することができる。
【0048】
[他の実施形態]
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
【0049】
上記実施形態では、専用紙2に文字や絵柄を描く装置として電子ペン1を使用したが、インクカートリッジの付いていないペン型スキャナを用いてもよい。また、表示対象画像は絵画に限らず、動植物の画像や、地図等であってもよい。また、処理手段33は、表示手段34にスクロール表示させている間に、次のストロークSの記入情報を受信して処理する場合には、現段階で行っているスクロール表示を中止し、即座に次のストロークSに対応するストローク経路Saに沿ったスクロール表示を開始させるようにするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示システムのシステム構成図である。
【図2】専用紙に印刷されたドットパターンによる情報の表現方法の説明図である。
【図3】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す説明図である。
【図4】図1に示す電子ペンを模式的に示す説明図である。
【図5】図1に示す端末装置の機能ブロック図である。
【図6】端末装置における専用アプリケーションのモジュール構成図である。
【図7】表示対象画像とそれに対応する専用紙を示す説明図である。
【図8】専用紙上に描いたストロークと表示対象画像上で対応するストロークとの関係を示す説明図である。
【図9】ストロークの始点がディスプレイの表示枠の左上端から所定距離だけ内側に位置するように部分画像を表示した状態を示す説明図である。
【図10】表示対象画像の部分画像を自動的にスクロールさせてディスプレイに表示する様子を示す説明図である。
【図11】実施形態の画像表示システムにより行うディスプレイ表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…電子ペン、2…専用紙、3…端末装置、4…画像表示システム、6…ペン先部、7…筐体、8…プロセッサ、9…メモリ、10…スピーカ、11…データ通信ユニット、12…バッテリー、13…LED、14…CMOSカメラ、15…クロック、16…圧力センサ、17…インクカートリッジ、18…開口部、19…領域、31…受信手段、32…記憶手段、33…処理手段、34…表示手段、35…入力手段、36…クロック、37…送信手段、40…専用アプリケーション(プログラム)、41…受信モジュール、42…記憶モジュール、43…処理モジュール、A…絵画、D…ディスプレイの表示枠、S…ストローク、Sa…ストローク経路、T…交点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード化パターンが印刷された専用紙に電子ペン又はスキャナで描かれたストロークに対応して電子ペン又はスキャナで生成され送信される記入情報を受信する端末装置であって、
記入情報を受信する受信手段と、
受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる処理手段と
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記処理手段は、ストローク経路の始点がディスプレイの表示枠内に位置するように部分画像を表示し、この状態でストローク経路とディスプレイの表示枠の交点を求め、その交点をストローク経路が通るように部分画像をスライドさせることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
コード化パターンが印刷された専用紙に電子ペン又はスキャナで描かれたストロークに対応して電子ペン又はスキャナで生成され送信される記入情報を受信する端末装置に、
記入情報を受信する受信手段、
受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる処理手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項4】
前記処理手段は、ストローク経路の始点がディスプレイの表示枠内に位置するように部分画像を表示し、この状態でストローク経路とディスプレイの表示枠の交点を求め、その交点をストローク経路が通るように部分画像をスライドさせることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項1】
コード化パターンが印刷された専用紙に電子ペン又はスキャナで描かれたストロークに対応して電子ペン又はスキャナで生成され送信される記入情報を受信する端末装置であって、
記入情報を受信する受信手段と、
受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる処理手段と
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記処理手段は、ストローク経路の始点がディスプレイの表示枠内に位置するように部分画像を表示し、この状態でストローク経路とディスプレイの表示枠の交点を求め、その交点をストローク経路が通るように部分画像をスライドさせることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
コード化パターンが印刷された専用紙に電子ペン又はスキャナで描かれたストロークに対応して電子ペン又はスキャナで生成され送信される記入情報を受信する端末装置に、
記入情報を受信する受信手段、
受信した記入情報に基づくストロークの経路に対応して、ディスプレイに表示対象画像を移動させながら当該画像の部分画像を表示させる処理手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項4】
前記処理手段は、ストローク経路の始点がディスプレイの表示枠内に位置するように部分画像を表示し、この状態でストローク経路とディスプレイの表示枠の交点を求め、その交点をストローク経路が通るように部分画像をスライドさせることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−157420(P2009−157420A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331525(P2007−331525)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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