説明

端末装置及び伝送制御方法

【課題】端末内に蓄積したコンテンツを、リスト表示などで選択させる場合に、自らの端末のリストの表示能力などのコンテンツ選択のための処理能力を簡単に向上させる。
【解決手段】クライアント処理とサーバ処理とを実行する端末に適用される。クライアント処理としては、他の端末と通信を行って、他の端末に保存されたコンテンツデータを受信する制御を行う。サーバ処理としては、他の端末と通信を行って、自らの端末内の保存されているコンテンツデータを他の端末に送信させる制御を行う。さらにサーバ処理として、クライアント処理により受信した、他の端末に保存されたコンテンツデータを、他の端末に送信させる制御を行う。このようにして、特定の端末が保存するコンテンツの提示を、その特定の端末以外のサーバ処理とクライアント処理とを行う端末の制御で行えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDLNA(Digital Living Network Alliance)方式と称されるネットワークに接続してコンテンツデータのやり取りを行う方式用のデータ伝送機能を備えた端末装置に適用して好適な端末装置、及びその端末装置に適用される伝送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話端末やポータブル音楽再生装置などの電子機器として、その機器が保持したオーディオデータやビデオデータなどの各種コンテンツの再生が行えるものが各種実用化されている。これらの機器で再生などを行う際には、機器が備える表示パネルに、保持したコンテンツのリストを表示させて、その表示されたリスト中から、ユーザがキー操作などで再生する曲などの指示を行うのが、一般的な再生操作である。
【0003】
リスト表示時にどのような形態で表示されるかは、機器が保持したコンテンツに付加されたデータと、その機器の能力に依存する。即ち、曲名の表示能力があり、保持したオーディオデータに曲名のデータが付加されている場合には、曲名の一覧が表示可能である。曲名の表示能力があっても、保持したオーディオデータに曲名のデータが付加されていない場合には、曲名表示は不可能である。逆に、アルバムタイトル、演奏者などの様々な付加データがあっても、再生する機器でのリスト表示能力として、曲名しか表示できない場合、これらの付加データの再生は不可能である。
【0004】
一方、近年、家庭内などの限られた範囲内でデータ伝送が行える無線LANなどのネットワークを利用して、オーディオデータやビデオデータなどのコンテンツデータを、複数の機器間でやり取りを行う方式の1つとして、DLNA方式が実用化されている。DLNA方式で伝送可能なコンテンツとしては、オーディオデータ、ビデオデータの他に、静止画像データなど、様々なコンテンツが適用可能である。
【0005】
DLNA方式でデータ伝送を行う構成としては、コンテンツデータを保持して、その保持したコンテンツデータを送出する送信側の端末と、その送出されたコンテンツデータを受信する受信側の端末とが必要である。送信側の端末はサーバとして機能し、受信側の端末はクライアントとして機能する。以下の説明では、送信側の端末はサーバ端末とも称し、受信側の端末はクライアント端末とも称する。
【0006】
サーバ端末では、自らの端末内に保持されたコンテンツデータの一覧を、相手の端末で表示させるためのコンテンツリストを作成し、その作成したコンテンツリストをクライアント端末に送信する。クライアント端末では、受信したコンテンツリストデータに基いて、コンテンツリストを表示させる。クライアント端末を操作するユーザは、表示されたコンテンツリストを見て、再生や表示させたいコンテンツを選択する。クライアント端末でコンテンツの選択があると、その選択指示がサーバ端末に伝送され、サーバ端末で指定されたコンテンツデータが読み出されて、サーバ端末から送出され、送出されたコンテンツデータがクライアント端末で受信される。クライアント端末でコンテンツデータを受信すると、その受信したコンテンツの再生や表示の処理が実行される。
【0007】
DLNA方式でコンテンツのやり取りを行う場合には、そのコンテンツのリストの表示形態は、サーバ端末の性能に依存する。即ち、DLNA方式の場合には、サーバ端末で作成されたコンテンツリストをクライアント端末に送信し、クライアント端末で受信したコンテンツリストを表示させる処理が実行される。
【0008】
特許文献1には、DLNA方式でサーバからクライアントにコンテンツデータの伝送を行うシステム構成についての開示がある。
【特許文献1】特開2006−345306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、各種電子機器において、コンテンツのリストを表示させる場合には、その機器のリスト表示能力に依存した形式でのリスト表示が行われる。従って、例えば同じ音楽データを携帯電話端末にダウンロードしても、リスト表示能力が異なれば、そのダウンロードした曲のリストの表示形式は、それぞれの携帯電話端末で異なることになる。
【0010】
上述したDLNA方式を利用すれば、自らの機器は、受信したコンテンツリストを作成する必要がないので、自らの機器でのリスト作成能力の問題とは無関係に、サーバ端末での能力に依存した高度なコンテンツリスト表示ができる可能性がある。
【0011】
ところが、DLNA方式などのネットワーク転送を行う方式の場合には、リスト表示可能なものは、サーバ側に蓄積されたコンテンツのリストであり、自らの機器が蓄積したコンテンツのリスト表示時には、自らの機器でのリスト作成能力を超えるリスト表示は不可能である。
【0012】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、端末内に蓄積したコンテンツを、リスト表示などで選択させる場合に、自らの端末のリストの表示能力などのコンテンツ選択のための処理能力を簡単に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、クライアント処理とサーバ処理とを実行する端末に適用される。クライアント処理としては、他の端末と通信を行って、他の端末に保存されたコンテンツデータを受信する制御を行う。サーバ処理としては、他の端末と通信を行って、自らの端末内の保存されているコンテンツデータを他の端末に送信させる制御を行う。さらにサーバ処理として、クライアント処理により受信した、他の端末に保存されたコンテンツデータを、他の端末に送信させる制御を行う。
【0014】
本発明によると、クライアント処理により受信した、他の端末に保存されたコンテンツデータを、他の端末に送信させるサーバ処理を実行することで、他の端末が保存するコンテンツデータを、この端末のサーバ処理により他の端末に提示できるようになる。従って、特定の端末が保存するコンテンツの提示を、その特定の端末以外のサーバ処理とクライアント処理とを行う端末の制御で行えるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、特定の端末が保存するコンテンツの提示を、その特定の端末以外のサーバ処理とクライアント処理とを行う端末の制御で行えるようになり、この制御する端末の機能に依存した高度なコンテンツの提示処理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
本実施の形態においては、携帯用として小型に構成された無線通信端末である、携帯電話端末を使用したネットワーク構成に適用した例としてある。
【0017】
図2は、ネットワークの構成例を示した図である。
本実施の形態では、無線LAN用通信機能を備えた携帯電話端末として構成される第1の端末1と第2の端末2を用意する。それぞれの端末1,2は、無線LAN用のアクセスポイント4を基地局とした近距離無線通信を行う構成としてある。ここでの近距離無線通信とは、例えばアクセスポイント4の設置位置を中心にして、最大でも半径100m程度までの距離で、一般には数mから十m程度の距離での近距離での無線通信を想定している。
【0018】
無線LAN用のアクセスポイント4は、例えばパーソナルコンピュータ装置3と接続させてあり、パーソナルコンピュータ装置3と各端末1,2とで相互にデータ転送が可能なネットワークが構成される。
ここで本例の第1の端末1と第2の端末2とは、それぞれDLNA方式に準拠したコンテンツデータの転送が可能な構成としてある。特に、それぞれの端末1,2は、DLNA方式でのサーバ機能とクライアント機能とを備える構成としてある。即ち、自らの端末内に保持されたコンテンツデータをネットワークに送出可能なサーバ機能を備え、さらに、相手の端末からネットワークに送出されたコンテンツデータを受信可能なクライアント機能を備える。各端末1,2の具体的な構成例については後述する。
【0019】
また、パーソナルコンピュータ装置3についても、DLNA方式に準拠したコンテンツデータの転送が可能な構成としてある。このように構成してあることで、例えばパーソナルコンピュータ装置3自身が保存した音楽データや画像データなどのコンテンツデータを、アクセスポイント4を経由した無線通信で、DLNA方式に基いた手順で端末1や端末2に転送して、再生や表示などが行える。端末1と端末2との間でも、一方の端末が保持しているコンテンツデータを、他の端末に転送することができる。
【0020】
図1は、各端末1及び2を構成する、携帯電話端末の全体構成例を示した図である。
図1に示すように、携帯電話端末は制御部11を備えて、この制御部11が、携帯電話端末内の各部の処理動作を制御する。制御部11は、制御ライン28を介して、端末内の各部とデータのやり取りをおこなう。本例の制御部11には、上述したDLNA方式に準拠してコンテンツデータの転送を行うための制御を行う、DLNA処理部11aが設けてある。このDLNA処理部11aの詳細については後述するが、本例の場合には、サーバ用制御処理部とクライアント用制御処理部の双方を備える。但し、本実施の形態の場合には、図2に示した2台の端末1,2の制御部11が備えるDLNA処理部11aは、同じ処理能力でないものを想定している。ここでは、端末1の方が端末2よりもDLNA方式での転送機能として高機能であるとする。
【0021】
また本実施の形態の携帯電話端末は、通信端末として必要な無線通信処理を行う無線電話用通信部12を備え、無線電話用通信部12にアンテナ13が接続してある。この無線電話用無線電話用12が、無線電話用の基地局と無線通信を行って、基地局との間で、双方向のデータ伝送を行う。無線電話用通信部12は、データライン29を介して、基地局側から受信したデータを端末内の各部に送出する。また、端末内の各部17からデータライン29を介して伝送されたデータを、基地局側に送信させる。
【0022】
データライン29には、無線電話用通信部12の他に、メモリ14と表示部15と音声処理部17と音楽再生処理部21とが接続してある。メモリ14は、本実施の形態の端末を動作させるために必要なプログラムや、ユーザが記憶させた各種データなどを記憶する。ダウンロードなどで得た音楽データや画像データなどのコンテンツデータの記憶についても、メモリ14が行う。
表示部15は、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイなどが表示手段として使用され、制御部11の制御で、各種情報の表示を行う。
操作部16は、携帯電話端末として必要な数字や記号などのダイヤルキー、各種機能キーなどで構成される。これらの操作部16を構成する各キーの操作情報は、制御部11に供給される。各種設定操作を行う際には、例えば表示部15で操作を案内する表示を行い、その表示に従ってユーザは操作部16で操作を行って、該当する設定が行われる。
【0023】
音声処理部17は、音声信号の処理を行う処理部であり、スピーカ18及びマイクロフォン19が接続してある。このスピーカ18及びマイクロフォン19は、通話時に受話器として使用されるものである。即ち、無線電話用通信部12から音声処理部17に供給される音声データを、音声処理部17で復調してアナログ音声信号とし、増幅などのアナログ処理を行ってスピーカ18から放音させる。また、マイクロフォン19が集音した音声信号を、音声処理部17でデジタル音声データに変調し、その変調された音声データを無線電話用通信部12に供給して、無線送信などを行う。
【0024】
また本実施の形態の携帯電話端末は、音楽再生処理部21を備える。音楽再生処理部21は、端末内のメモリ14に保存された音楽データや、外部から転送された音楽データを再生する処理を行う処理部である。
音楽再生処理部21で生成された音声信号は、携帯電話端末本体に内蔵された左右のチャンネル用の2つのスピーカ22L,22Rから出力させる場合と、出力端子23に接続されたヘッドホン(図示せず)から出力させる場合とがある。
なお、ヘッドホンから出力させる場合には、出力端子23にヘッドホンを直接接続していわゆる有線接続する場合の他に、例えばBluetooth(登録商標)方式や、次に説明する無線LAN方式などでヘッドホンと無線通信する近距離無線通信部を内蔵させて、その近距離無線通信部を介してヘッドホンに音声信号を供給する構成としてもよい。
【0025】
また本実施の形態の携帯電話端末は、近距離無線通信部である無線LAN部24を備える。無線LAN部24は、例えばIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11b方式などの無線LAN用の規格に準拠した無線通信を行う。無線LAN部24には、送信及び受信を行うアンテナ25が接続してある。無線LAN部24は、図2に示したネットワークシステムで他の端末や機器と無線通信を行う際に使用される。
【0026】
図3は、このように携帯電話端末として構成される端末1,2内の制御部11が備えるDLNA処理部11aの機能的な構成を示した図である。既に説明したように、第1の端末1が備えるDLNA処理部11aと、第2の端末2が備えるDLNA処理部11aは、コンテンツデータの転送などの基本的な機能は同じであるが、付加的な機能を異なり、第1の端末1の方がより高度な機能を備えている。即ち、それぞれの端末のDLNA処理部11aとして、サーバ機能部を備えて、コンテンツデータをDLNA規格に準拠した手順で他の端末に送出させる機能を備える。また、それぞれの端末のDLNA処理部11aとして、クライアント機能部を備えて、他の端末から送出されたコンテンツデータを、DLNA規格に準拠した手順で受信する機能を備える。本例の場合には、サーバ機能部で、提示可能なコンテンツのリストを表示させるコンテンツリストの提示形式が異なり、そのコンテンツリストを作成するのに必要な機能が異なる。このため、コンテンツデータを受信する側の端末で、コンテンツリストを表示させた際のコンテンツリストの表示形式は、送出側端末のサーバ機能部の機能に依存することになる。つまり、第1の端末1を送出側端末とした場合と第2の端末2を送出側端末とした場合とで、コンテンツリストの表示形式が異なったものになる。
【0027】
さらに第1の端末1については、DLNA処理部11a内のクライアント機能部で他の端末から提示されたコンテンツを、サーバ機能部で他の端末に提示することができる機能を備える。ここでのクライアント機能部が受信する他の端末と、サーバ機能部が提示する他の端末とは、同じ端末としてある。
【0028】
図3(a)は、第1の端末1のDLNA処理部11aの例を示し、図3(b)は、第2の端末2のDLNA処理部11aの例を示す。上述したように、各DLNA処理部11aは、サーバ機能部とクライアント機能部とを備えて、コンテンツデータのネットワークへの送出、及びネットワークを経由したコンテンツデータの受信が行える。
図3(a)に示した第1の端末1のDLNA処理部11aの構成例について説明すると、第1の端末1のDLNA処理部11aでは、サーバ機能部が、他の端末の疑似DLNAサーバとして機能する構成としてある。このために、DLNAダミーサーバ機能部を備える。このDLNAダミーサーバ機能部は、クライアント機能部が取得可能なコンテンツを、コンテンツリストなどから解析したり、或いは、クライアント機能部で実際にコンテンツのデータを取得して解析する等の処理を行う。そして、その解析結果に基づいて、CDS(Content Directory Service)作成機能部でコンテンツリストの作成処理が行われる。
【0029】
CDS作成機能部での解析処理としては、例えば音楽データの音階解析や、音楽データに付属するメタデータの解析などに基づいて、音楽のジャンルや属性などを解析し、その解析結果に基づいて、新たなコンテンツリストの作成処理を行う。或いは、メタデータなどの解析結果を使用してインターネットで検索を行って、音楽データのより詳細なデータを取得して、より詳細なコンテンツリストを作成してもよい。
これらの処理で得られた新しいコンテンツリストは、サーバ機能部で他の端末に対して提示する。なお、作成されたコンテンツリストは、自らの端末内で表示させてもよい。また、DLNAダミーサーバ機能部での処理は、クライアント機能部が接続した端末とサーバ機能部(ダミーサーバ機能部)が接続した端末とが同一の端末の場合にだけ、処理を実行するようにしてもよい。
【0030】
次に、図3(b)に示した第2の端末2のDLNA処理部11aの構成例について説明すると、第2の端末2のDLNA処理部11aでは、サーバ機能部が、一般的なコンテンツリストの作成処理を行う構成としてある。ここでの一般的なコンテンツリストの作成処理としては、例えばアーティスト検索などを行って分類したコンテンツリストなどが想定される。
【0031】
そして、図3(b)に示すように、この第2の端末2自身がコンテンツデータベースとして保持するコンテンツをリスト表示する際には、端末2自身が持つリスト作成機能を使って、表示させる。また、DLNAクライアント機能部を利用して、コンテンツリストを表示させる場合には、相手の端末のサーバ機能部で作成したコンテンツリストを表示させる処理が実行される。
【0032】
次に、図4を参照して、第1の端末1が備えるコンテンツリストの作成機能で作成されたコンテンツを表示させる例と、第2の端末2が備えるコンテンツリストの作成機能で作成されたコンテンツを表示させる例とを説明する。図4では、それぞれの端末に蓄積された音楽データを、コンテンツリストとして表示させる場合の例であり、DLNAサーバ機能を利用して他の端末にコンテンツリストを提示する場合にも、同じリスト表示が他の端末で行われるものとする。
【0033】
例えば、基本的なリスト作成機能しか持たない第2の端末2の場合には、図4(a)に示すように表示される。即ち、「音楽リスト」として、曲番号の一覧が表示され、それぞれの曲に曲名などのデータが場合には、番号に続いて曲目などを表示させる。
そして、比較的高度なリスト作成機能を持つ第1の端末1の場合には、図4(b)に示すような表示が可能となる。即ち、「ミュージックリスト」として、「アルバム一覧」、「ジャンル一覧」、「TOP25」などの様々な形態でのリスト表示が行われ、それぞれの形態のリストを選択することで、それぞれの形態ごとに曲名などのより詳細な表示が行われる。
なお、この図4は、2台の端末1,2で表示されるリストの違いがあることを概念的に示したものであり、具体的なリスト表示が図4の例に限定されるものではない。
【0034】
次に、図2に示したシステム構成で、第1の端末1と第2の端末2とが無線LANによるネットワークに接続された状態で、コンテンツの選択及び再生を行う処理例を、図5のシーケンス図を参照して説明する。
この図5の例は、基本的なコンテンツリスト表示機能だけを有する第2の端末2で、その端末2内のメモリに保持されたコンテンツリストを表示させて、コンテンツの選択及び再生を行う処理例である。この図5の処理を行う場合には、第1の端末1と第2の端末2のそれぞれが、DLNA規格に準拠したサーバ機能とクライアント機能を備えていることが前提である。また、ユーザ操作は、基本的に第2の端末2だけで行うものであり、第1の端末1側では特に操作を必要としない。
【0035】
まず、第2の端末2を所持するユーザの操作に基いて、第2の端末2のクライアント機能部は、サーバ機能を有する第1の端末1を検索する処理を実行する(ステップS11)。このサーバ検索で第1の端末1が検出されると、第1の端末1のクライアント機能で、第2の端末2のサーバ機能を確認する(ステップS12)。この確認でサーバ機能有りを確認すると、第2の端末の表示部で、第2の端末が持つ表示処理機能とは異なるコンテンツリスト表示処理を開始させる。
【0036】
この処理が開始されると、第2の端末2では、クライアント機能を利用して、接続先のサーバを選択させる画面を表示させ、そのサーバの候補の1つとして、第2の端末自身を表示させる(ステップS13)。この第2の端末自身が候補の1つになるのは、第1の端末のサーバ機能から送られた候補に、第2の端末が存在するからである。
【0037】
また、第1の端末のクライアント機能では、第2の端末のサーバ機能に対して指示を行って、第2の端末で作成されたコンテンツリストを取得する(ステップS14)。この第2の端末からのコンテンツリストの取得を、第1の端末のクライアント機能部で行うと、取得したコンテンツリストのデータを、第1の端末内のサーバ機能部に受け渡す。第1の端末内のサーバ機能部では、第1の端末に用意されたコンテンツリスト作成機能を利用して、取得したコンテンツリストの再構築を行う。このコンテンツリストの再構築により、高度なコンテンツリストの表示が可能となる。
【0038】
この状態で、ユーザによる第2の端末の操作で、表示されたサーバの候補の中からの選択として、自らの端末が選択されたとする(ステップS15)。このとき、第1の端末内で再構築されたコンテンツリストを、第2の端末のクライアント機能部に送信し、第2の端末の表示部に該当するコンテンツリストを表示させる(ステップS16)。ここで表示されるコンテンツは、第2の端末に保持されたコンテンツのリストである。
ここまでが、コンテンツリストの作成と表示に関する処理である。
【0039】
次に、引き続いて図5を参照して、このようにして表示されたコンテンツリストに基いて、コンテンツを選択して再生などを行う処理について、説明する。
第2の端末を操作するユーザは、このコンテンツリスト表示を見て、リストから再生させたいコンテンツ(曲など)を選択する操作を行う。この操作があると、操作で選択されたコンテンツを指定するデータを、第2の端末のクライアント機能部から第1の端末のサーバ機能部に対して送信する(ステップS17)。
【0040】
このコンテンツを指定するデータを第1の端末のサーバ機能部で受信すると、第1の端末のクライアント機能部に対して、コンテンツ指定があったことを伝える。そして、第1の端末のクライアント機能部から、第2の端末のサーバ機能部に対して、指定されたコンテンツを要求する(ステップS18)。この要求に基いて、第2の端末のサーバ機能部は、要求されたコンテンツのデータを第1の端末に対して送信し、第1の端末のクライアント機能部で受信する(ステップS19)。第1の端末で受信したコンテンツのデータは、第1の端末のサーバ機能部から第2の端末のクライアント機能部に対して送信し、コンテンツの配信を行う(ステップS20)。この配信があることで、第2の端末では、配信されたコンテンツ(即ち第2の端末が保持したコンテンツ)の再生などを実行する。
【0041】
このようにして、第2の端末が保持したコンテンツを、第1の端末で作成したコンテンツリストを利用して、第2の端末で提示することが可能となる。つまり、第2の端末で自らが保持したコンテンツのリストを表示させる際には、本来は、例えば図4(a)に示したように、基本的なコンテンツのリスト表示しかできない機種であっても、図4(b)に示したように、別の機種が持つ高度な表示が可能となる。
この場合、第1の端末と第2の端末のそれぞれは、DLNA規格に準拠したサーバ機能部とクライアント機能部の双方を持っていれば対処可能である。特に、ユーザが操作して再生などを行う端末である第2の端末側は、DLNA規格に準拠したサーバ機能部とクライアント機能部を持つ一般的な端末であれば対処可能である。本実施の形態の処理を行うためには、第1の端末側で、第2の端末を候補として見せる、図3に示した擬似的サーバ機能が必要であるが、第1の端末内のクライアント機能部サーバ機能部との間でデータを受け渡すだけであるので、比較的簡単に対応可能である。
【0042】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含むことは言うまでもない。
図4や図5の例では、端末が保持した音楽データを再生させる処理例について説明したが、その他のコンテンツデータの処理にも適用可能である。例えば、ビデオデータを再生させる場合や、静止画像データを表示させる場合などにも、それぞれのデータに適してコンテンツリストを再構築して表示させる処理に適用可能である。
例えばコンテンツとしてカメラで撮影した静止画像である場合に、その静止画像を撮影した日時や、撮影場所などの様々な要因でコンテンツリストを再構築して表示させるようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施の形態では、携帯電話端末として構成された端末装置に内蔵されたDLNA機能部を利用して、2台の端末間でデータ転送を行う処理として説明したが、DLNA機能部を有するその他の構成の各種情報処理装置に適用可能である。例えば、図2のシステム構成で示したパーソナルコンピュータ装置3が、第1の端末1の代りに擬似的なサーバ処理を行って、コンテンツリストを再構築させるようにしてもよい。
また、各端末間でのデータ転送についても、無線LANによる無線通信によるネットワークを利用した例について説明したが、その他の通信ネットワークを使用してもよい。さらに、コンテンツデータの伝送手順として、DLNA規格を適用したが、サーバ端末側がコンテンツリストを提示して、そのコンテンツリストに基づいてクライアント端末がコンテンツを選択する伝送処理を行うものであれば、その他のデータ転送規格を適用してもよい。
【0044】
また、上述した実施の形態では、端末装置(携帯電話端末)の制御部に、擬似的サーバ機能部を組み込む構成例について説明したが、例えば、上述した実施の形態で説明した擬似的サーバ機能部の処理を実行させるための各処理をプログラム(ソフトウェア)化して、そのプログラムを端末装置にインストールして実行させるようにしてよい。プログラムは、各種媒体に記録して、ユーザに配布するか、あるいはインターネットなどを経由して端末にダウンロードさせる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態を適用した携帯電話端末の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるシステム構成例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態による各端末内のDLNA処理部の機能的な構成例をブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態による各端末での表示例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態による2台の端末間での処理例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0046】
1…第1の端末、2…第2の端末、3…パーソナルコンピュータ装置、4…アクセスポイント、11…制御部、11a…DLNA処理部、12…通信部、13…アンテナ、14…メモリ、15…表示部、16…操作部、17…音声処理部、18…スピーカ、19…マイクロフォン、21…音楽再生部、22L,22R…スピーカ、23…出力端子、24…無線LAN部、25…アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の端末と通信を行う通信部と、
コンテンツデータを保存する保存部と、
前記通信部での通信で、他の端末に保存されたコンテンツデータを受信する制御を行うクライアントとして機能するクライアント機能部と、
前記通信部での通信で、自らの端末内の前記保存部に保存されているコンテンツデータを他の端末に送信させる制御を行うサーバとして機能すると共に、前記クライアント機能部の制御により前記通信部で受信した、他の端末の保存部に保存されたコンテンツデータを、他の端末に送信させるサーバとして機能するサーバ機能部とを備える
端末装置。
【請求項2】
前記通信部とは別の無線電話用通信部を備え、前記無線電話用通信部で、無線電話用基地局と無線通信を行う
請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記サーバ機能部が送信させるコンテンツデータの保存元の他の端末と、そのコンテンツデータの送信させる他の端末は、同一の端末である
請求項1又は2記載の端末装置。
【請求項4】
前記サーバ機能部は、送信可能なコンテンツのリストを設定された形式で作成して、その作成したリストを受信先の端末に送信させる
請求項3記載の端末装置。
【請求項5】
他の端末と通信を行って、他の端末に保存されたコンテンツデータを受信する制御を行うクライアント処理と、
他の端末と通信を行って、自らの端末内の保存されているコンテンツデータを他の端末に送信させる制御を行うと共に、前記クライアント処理により受信した、他の端末に保存されたコンテンツデータを、他の端末に送信させる制御を行うサーバ処理とを実行する
伝送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−267634(P2009−267634A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112998(P2008−112998)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】