説明

端末装置

【課題】故障した基地局装置を検出する技術を提供する。
【解決手段】端末装置14は、端末装置間の通信を実行する。RF部52、変復調部54は、基地局装置から信号を報知可能な第1期間と、端末装置14から信号を報知可能な第2期間とが含まれたフレームのうち、第1期間において、基地局装置からの信号を受信する。記憶部74は、受信すべき信号を報知可能な基地局装置の位置情報を記憶する。推定部72は、記憶部74に記憶した位置情報の周辺にて、基地局装置からの信号を受信しない場合、当該基地局装置の故障を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に所定の情報が含まれた信号を送受信する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭の衝突事故を防止するために、路車間通信の検討がなされている。路車間通信では、路側機と車載器との間において交差点の状況に関する情報が通信される。路車間通信では、路側機の設置が必要になり、手間と費用が大きくなる。これに対して、車車間通信、つまり車載器間で情報を通信する形態であれば、路側機の設置が不要になる。その場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等によって現在の位置情報をリアルタイムに検出し、その位置情報を車載器同士で交換しあうことによって、自車両および他車両がそれぞれ交差点へ進入するどの道路に位置するかを判断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能が使用されている。そのため、当該無線LANでは、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。このようなCSMA/CAでは、端末装置間の距離や電波を減衰させる障害物の影響などによって、互いの無線信号が到達しない状況、つまりキャリア・センスが機能しない状況が発生する。キャリア・センスが機能しない場合、複数の端末装置から送信されたパケット信号が衝突する。
【0005】
一方、無線LANを車車間通信に適用する場合、不特定多数の端末装置へ情報を送信する必要があるために、信号はブロードキャストにて送信されることが望ましい。しかしながら、交差点などでは、車両数の増加、つまり端末装置数の増加がトラヒックを増加させることによって、パケット信号の衝突の増加が想定される。その結果、パケット信号に含まれたデータが他の端末装置へ伝送されなくなる。このような状態が、車車間通信において発生すれば、交差点の出会い頭の衝突事故を防止するという目的が達成されなくなる。さらに、車車間通信に加えて路車間通信が実行されれば、通信形態が多様になる。その際、車車間通信と路車間通信との間における相互の影響の低減が要求される。
【0006】
ここでは、路上に設置された基地局装置が故障する場合を想定する。携帯電話システムにおいて基地局装置が故障した場合、故障した基地局装置自体が故障を通知できるような状況であれば、故障が通知される。また、故障した基地局装置自体が故障を通知できるような状況でなくても、携帯電話サービスを受けることができないユーザによるクレームがなされることによって、故障が検知される。一方、車車間通信や路車間通信に使用される基地局装置は、特定の交差点のみに設置される可能性が高いので、ユーザはサービスを受けているかを認識していない。そのため、そのような基地局装置が故障しても、ユーザによってクレームがなされない可能性が高い。サービスを安定して提供するために、故障した基地局装置は検出されるべきである。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、故障した基地局装置を検出する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の端末装置は、端末装置間の通信を実行する端末装置であって、基地局装置から信号を報知可能な第1期間と、端末装置から信号を報知可能な第2期間とが含まれたフレームのうち、第1期間において、基地局装置からの信号を受信する受信部と、受信部において受信すべき信号を報知可能な基地局装置の位置情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶した位置情報の周辺にて、基地局装置からの信号を受信部が未受信である場合、当該基地局装置の故障を推定する推定部と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、故障した基地局装置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の基地局装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(d)は、図1の通信システムにおいて規定されるフレームのフォーマットを示す図である。
【図4】図3のサブフレームの構成を示す図である。
【図5】図5(a)−(b)は、図1の通信システムにおいて規定されるパケット信号に格納されるMACフレームのフォーマットを示す図である。
【図6】図1の車両に搭載された端末装置の構成を示す図である。
【図7】図6の端末装置における通信状態の認定手順を示すフローチャートである。
【図8】図6の端末装置における故障の通知手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の変形例に係る端末装置におけるデータベースの更新手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の変形例に係る端末装置におけるデータベースの消去手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の別の変形例に係る端末装置における故障情報の通知手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された端末装置間において車車間通信を実行するとともに、交差点等に設置された基地局装置から端末装置へ路車間通信も実行する通信システムに関する。車車間通信として、端末装置は、車両の速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の端末装置は、パケット信号を受信するとともに、データをもとに車両の接近等を認識する。また、路車間通信として、基地局装置は、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し規定する。基地局装置は、複数のサブフレームのいずれかを選択し、選択したサブフレームの先頭部分の期間において、制御情報等が格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。
【0013】
制御情報には、当該基地局装置がパケット信号をブローキャスト送信するための期間(以下、「路車送信期間」という)に関する情報が含まれている。端末装置は、制御情報をもとに路車送信期間を特定し、路車送信期間以外の期間においてパケット信号を送信する。このように、路車間通信と車車間通信とが時間分割多重されるので、両者間のパケット信号の衝突確率が低減される。つまり、端末装置が制御情報の内容を認識することによって、路車間通信と車車間通信との干渉が低減される。また、車車間通信を実行している端末装置が存在するエリアは、主として3種類に分類される。
【0014】
ひとつは、基地局装置の周囲に形成されるエリア(以下、「第1エリア」という)であり、もうひとつは、第1エリアの外側に形成されるエリア(以下、「第2エリア」という)であり、さらに別のひとつは、第2エリアの外側に形成されるエリア(以下、「第2エリア外」という)である。ここで、第1エリアと第2エリアでは、基地局装置からのパケット信号をある程度の品質で端末装置が受信可能であるのに対して、第2エリア外では、基地局装置からのパケット信号をある程度の品質で端末装置が受信できない。また、第1エリアは、第2エリアよりも、交差点の中心に近くなるように形成されている。第1エリアに存在する車両は、交差点の近くに存在している車両であるので、当該車両に搭載された端末装置からのパケット信号は、衝突事故の抑制の点から重要な情報といえる。
【0015】
このようなエリアの規定に対応して、車車間通信のための期間(以下、「車車送信期間」という)は、優先期間、一般期間の時間分割多重によって形成されている。優先期間は、第1エリアに存在する端末装置が使用するための期間であり、優先期間を形成している複数のスロットのうちのいずれかにおいて、端末装置はパケット信号を送信する。また、一般期間は、第2エリアに存在する端末装置が使用するための期間であり、端末装置は、一般期間においてCSMA方式にてパケット信号を送信する。なお、第2エリア外に存在する端末装置は、フレームの構成に関係なくCSMA方式にてパケット信号を送信する。ここで、車両に搭載された端末装置が、どのエリアに存在するかを判定する。
【0016】
ここで、故障した基地局装置が存在する場合、前述のような制御情報が送信されなくなるとともに、路車間通信も実行されなくなる。その結果、車車間通信にも影響が及ぼされる。そのため、故障した基地局装置は早期に検出されることが望ましい。本実施例において、端末装置は、各基地局装置が配置された位置に関する情報(以下、「位置情報」という)を記憶する。端末装置は、基地局装置から報知されたパケット信号を受信すると、そのタイミングでの位置情報を取得する。このような処理を繰り返すことによって、基地局装置が配置された位置から所定のエリア内において、当該基地局装置からのパケット信号を受信しなかった場合、端末装置は、当該基地局装置が故障していると推定する。
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、ネットワーク202を含む。なお、各車両12には、図示しない端末装置が搭載されている。また、第1エリア210は、基地局装置10の周囲に形成され、第2エリア212は、第1エリア210の外側に形成され、第2エリア外214は、第2エリア212の外側に形成されている。
【0018】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
【0019】
通信システム100は、交差点に基地局装置10を配置する。基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号や、図示しない他の基地局装置10にて形成されたフレームをもとに、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し生成する。ここで、各サブフレームの先頭部分に路車送信期間が設定可能であるような規定がなされている。基地局装置10は、複数のサブフレームのうち、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレームを選択する。基地局装置10は、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。基地局装置10は、路車送信期間に関する情報等が含まれた制御情報をパケット信号に格納する。また、基地局装置10は、所定のデータもパケット信号に格納する。基地局装置10は、設定した路車送信期間においてパケット信号を報知する。
【0020】
端末装置が、基地局装置10からのパケット信号を受信したときの受信状況に応じて、通信システム100の周囲に第1エリア210および第2エリア212が形成される。図示のごとく、基地局装置10の近くに、受信状況が比較的よい領域として、第1エリア210が形成される。第1エリア210は、交差点の中心部分の近くに形成されるともいえる。一方、第1エリア210の外側に、受信状況が第1エリア210よりも悪化している領域として、第2エリア212が形成される。さらに、第2エリア212の外側に、受信状況が第2エリア212よりもさらに悪化している領域として、第2エリア外214が形成されている。なお、受信状況として、パケット信号の誤り率、受信電力が使用される。
【0021】
複数の端末装置は、基地局装置10によって報知されたパケット信号を受信し、受信したパケット信号の受信状況をもとに、第1エリア210、第2エリア212、第2エリア外214のいずれに存在するかを推定する。第1エリア210あるいは第2エリア212に存在すると推定した場合、端末装置は、受信したパケット信号に含まれた制御情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の端末装置のそれぞれにおいて生成されるフレームは、基地局装置10において生成されるフレームに同期する。また、端末装置は、各基地局装置10によって設定されている路車送信期間を認識し、パケット信号の送信のために、車車送信期間を特定する。具体的には、第1エリア210に存在する場合には、優先期間が特定され、第2エリア212に存在する場合には、一般期間が特定される。さらに、端末装置は、優先期間においてTDMAを実行し、一般期間においてCSMA/CAを実行することによって、パケット信号を送信する。
【0022】
なお、端末装置は、次のフレームにおいても、相対的なタイミングが同一のサブフレームを選択する。特に、優先期間において、端末装置は、次のフレームにおいて、相対的なタイミングが同一のスロットを選択する。ここで、端末装置は、データを取得し、データをパケット信号に格納する。データには、例えば、存在位置に関する情報が含まれる。また、端末装置は、制御情報もパケット信号に格納する。つまり、基地局装置10から送信された制御情報は、端末装置によって転送される。一方、第2エリア外214に存在していると推定した場合、端末装置は、フレームの構成に関係なく、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を送信する。
【0023】
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、制御部30、ネットワーク通信部80を含む。RF部22は、受信処理として、図示しない端末装置や他の基地局装置10からのパケット信号をアンテナ20にて受信する。RF部22は、受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0024】
RF部22は、送信処理として、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、路車送信期間において、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0025】
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0026】
処理部26は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。処理部26は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、処理部26は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。なお、処理部26は、復調結果から制御情報を検出してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。その際の処理部26の処理の詳細は後述する。
【0027】
図3(a)−(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが10である場合、10msecの長さのサブフレームが規定される。図3(b)は、第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第1基地局装置10aは、第1サブフレームにおいて路車送信期間につづいて車車送信期間を設定する。車車送信期間とは、端末装置がパケット信号を報知可能な期間である。つまり、第1サブフレームの先頭期間である路車送信期間において第1基地局装置10aはパケット信号を報知可能であり、かつフレームのうち、路車送信期間以外の車車送信期間において端末装置がパケット信号を報知可能であるような規定がなされる。さらに、第1基地局装置10aは、第2サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間のみを設定する。
【0028】
図3(c)は、第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第2基地局装置10bは、第2サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第3サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。図3(d)は、第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第3サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第3基地局装置10cは、第3サブフレームにおける路車送信期間の後段、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。
【0029】
図4は、サブフレームの構成を示す。図示のごとく、ひとつのサブフレームは、路車送信期間、優先期間、一般期間の順に構成される。優先期間および一般期間が図3(b)等の車車送信期間に相当する。なお、サブフレームに路車送信期間が含まれない場合、サブフレームは、優先期間、一般期間の順に構成される。優先期間では、複数のスロットが時間分割多重されている。このような構成によって、複数のスロットを少なくとも含んだフレームが繰り返されている。図2に戻る。
【0030】
処理部26は、RF部22、変復調部24を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置からの復調結果を入力する。ここでは、復調結果として、パケット信号に格納されるMACフレームの構成を説明する。なお、処理部26に入力されるMACフレームと、処理部26から出力されるMACフレームとは、同様の構成を有する。図5(a)−(b)は、通信システム100において規定されるパケット信号に格納されるMACフレームのフォーマットを示す。図5(a)は、MACフレームのフォーマットを示す。MACフレームは、先頭から順に、「MACヘッダ」、「RSUコントロールヘッダ」、「アプリケーションデータ」、「CRC」を配置する。RSUコントロールヘッダが、前述の制御情報に相当する。アプリケーションデータには、事故情報等の端末装置へ通知すべきデータが格納される。
【0031】
図5(b)は、RSUコントロールヘッダのフォーマットを示す。RSUコントロールヘッダは、先頭から順に、「基本情報」、「タイマ値」、「転送回数」、「サブフレーム数」、「フレーム周期」、「使用サブフレーム番号」、「開始タイミング&時間長」を配置する。なお、RSUコントロールヘッダの構成は、図5(b)に限定されず、一部の要素が除外されてもよく、別の要素が含まれてもよい。転送回数は、基地局装置10から送信された制御情報、特にRSUコントロールヘッダの内容が、図示しない端末装置によって転送された回数を示す。ここで、処理部26から出力されるMACフレームに対して、基地局装置10とは、本基地局装置10に相当し、処理部26へ入力されるMACフレームに対して、基地局装置10とは、他の基地局装置10に相当する。これは、以下の説明においても共通である。
【0032】
処理部26から出力されるMACフレームは、転送回数を「0」に設定される。また、処理部26へ入力されるMACフレームに対して、転送回数は、「0」以上に設定されている。サブフレーム数は、ひとつのフレームを形成しているサブフレーム数を示す。フレーム周期は、フレームの周期を示し、前述のごとく、例えば「100msec」に設定される。使用サブフレーム番号は、基地局装置10が車車送信期間を設定しているサブフレームの番号である。図3(a)のごとく、フレームの先頭においてサブフレーム番号が「1」に設定される。開始タイミング&時間長では、サブフレームの先頭とした路車送信期間の開始タイミングと、路車送信期間の時間長が示される。図2に戻る。
【0033】
ここでは、路車送信期間を設定すべきサブフレームの選択手順を説明する。処理部26が、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成する処理を説明する。処理部26は、MACフレームのうち、転送回数が「0」に設定されたMACフレームを抽出する。これは、他の基地局装置10から直接送信されたパケット信号に相当する。処理部26は、抽出したMACフレームのうち、使用サブフレーム番号の値を特定する。これは、他の基地局装置10に使用されたサブフレームを特定することに相当する。処理部26は、既に特定したサブフレームの先頭に配置されたパケット信号の受信電力を測定する。これは、他の基地局装置10からのパケット信号の受信電力を測定することに相当する。
【0034】
処理部26は、MACフレームのうち、転送回数が「1」以上に設定されたMACフレームを抽出する。これは、他の基地局装置10から送信された後に端末装置によって転送されたパケット信号に相当する。処理部26は、抽出したMACフレームのうち、使用サブフレーム番号の値を特定する。これは、他の基地局装置10に使用されたサブフレームを特定することに相当する。なお、端末装置は、他の基地局装置10からのパケット信号を端末装置が受信したときのサブフレーム番号を転送している。
【0035】
処理部26は、これらのパケット信号の受信電力も測定する。また、処理部26は、取得した受信信号が、当該パケット信号にて制御情報を転送された他の基地局装置10からのパケット信号の受信電力であると推定する。処理部26は、路車送信期間を設定すべきサブフレームを特定する。具体的には、処理部26は、「未使用」のサブフレームが存在するかを確認する。存在する場合、処理部26は、「未使用」のサブフレームのうちのいずれかを選択する。ここで、複数のサブフレームが未使用である場合、処理部26は、ランダムにひとつのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、処理部26は、受信電力の小さいサブフレームを優先的に特定する。
【0036】
処理部26は、特定したサブフレーム番号のサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。処理部26は、パケット信号に格納すべきMACフレームを生成する。その際、路車送信期間の設定に応じて、処理部26は、MACフレームのRSUコントロールヘッダの値を決定する。これは、フレームの構成に関する制御情報に相当する。処理部26は、ネットワーク通信部80を介して所定の情報を取得し、所定の情報をアプリケーションデータに含める。ここで、ネットワーク通信部80は、図示しないネットワーク202に接続される。処理部26は、変復調部24、RF部22に対して、路車送信期間においてパケット信号をブロードキャスト送信させる。ここで、パケット信号には、制御情報と、本基地局装置10を識別するための識別情報とが含まれている。本基地局装置10を識別するための識別情報は、図5(a)のMACヘッダに含まれている。
【0037】
処理部26は、端末装置から受信したパケット信号の中に、故障している他の基地局装置10に関する情報(以下、「故障情報」という)が含まれている場合、故障情報をネットワーク通信部80に出力する。ネットワーク通信部80は、図示しないネットワーク202を介して、図示しない管理センタへ故障情報を通知する。つまり、管理センタへ故障の発見を通知する。なお、推定結果は、パケット信号に含まれて、処理部26、変復調部24、RF部22から報知されてもよい。制御部30は、基地局装置10全体の処理を制御する。
【0038】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0039】
図6は、車両12に搭載された端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含む。処理部56は、生成部64、タイミング特定部60、転送決定部90、通知部70、推定部72、記憶部74、測位部76を含む。また、タイミング特定部60は、抽出部66、選択部92、キャリアセンス部94を含む。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。そのため、ここでは、差異を中心に説明する。
【0040】
変復調部54、処理部56は、図示しない他の端末装置14や基地局装置10からのパケット信号を受信する。なお、前述のごとく、優先期間と一般期間とを時間多重したサブフレームが規定されており、サブフレーム内に路車送信期間が時間多重されていることもある。路車送信期間は、基地局装置10からパケット信号を報知可能な期間である。ここで、変復調部54、処理部56は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケット信号を受信する。パケット信号には、当該パケット信号の報知元になる基地局装置10を識別するための識別情報が含まれている。優先期間とは、基地局装置10の周囲に形成された第1エリア210に存在する端末装置14がパケット信号の報知に使用すべき期間である。優先期間に複数のスロットが含まれている。一般期間とは、第1エリア210の外側に形成された第2エリアに存在する端末装置14がパケット信号の報知に使用すべき期間である。また、複数のサブフレームを時間多重したフレームが規定されている。
【0041】
抽出部66は、基地局装置10からのパケット信号の受信電力を測定する。抽出部66は、測定した受信電力をもとに、第1エリア210に存在しているか、第2エリア212に存在しているか、第2エリア外214に存在しているかを推定する。例えば、抽出部66は、エリア判定用第1しきい値とエリア判定用第2しきい値とを記憶する。ここで、エリア判定用第1しきい値は、エリア判定用第2しきい値よりも大きくなるように規定されている。受信電力がエリア判定用第1しきい値よりも大きければ、抽出部66は、第1エリア210に存在していると決定する。受信電力がエリア判定用第1しきい値以下であり、エリア判定用第2しきい値よりも大きければ、抽出部66は、第2エリア212に存在していると決定する。受信電力がエリア判定用第2しきい値以下であれば、抽出部66は、第2エリア212外に存在すると決定する。なお、抽出部66は、受信電力の代わりに、誤り率を使用してもよく、受信電力と誤り率との組合せを使用してもよい。
【0042】
抽出部66は、推定結果をもとに、優先期間、一般期間、フレームの構成と無関係のタイミングのいずれかを送信期間として決定する。具体的に説明すると、抽出部66は、第2エリア外214に存在していることを推定すると、フレームの構成と無関係のタイミングを選択する。抽出部66は、第2エリア212に存在していることを推定すると、一般期間を選択する。抽出部66は、第1エリア210に存在していることを推定すると、優先期間を選択する。
【0043】
抽出部66は、変復調部54からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。また、抽出部66は、サブフレームのタイミングと、RSUコントロールヘッダの内容とをもとに、フレームを生成する。なお、フレームの生成は、前述の処理部26と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、抽出部66は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。また、抽出部66は、RSUコントロールヘッダの内容をもとに、路車送信期間を特定する。
【0044】
抽出部66は、優先期間を選択した場合、優先期間に関する情報を選択部92へ出力する。抽出部66は、一般期間を選択した場合、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部94へ出力する。抽出部66は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、キャリアセンスの実行をキャリアセンス部94に指示する。選択部92は、抽出部66から、優先期間に関する情報を受けつける。また、選択部92は、優先期間に含まれた複数のスロットから、いずれかのスロットを選択し、選択したスロットを送信タイミングとして決定する。ここで、スロットを選択するために、受信電力を使用してもよい。例えば、受信電力の小さいスロットが選択される。選択部92は、決定した送信タイミングを生成部64へ通知する。
【0045】
キャリアセンス部94は、抽出部66から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部94は、一般期間において、キャリアセンスを実行することによって、干渉電力を測定する。また、キャリアセンス部94は、干渉電力をもとに、一般期間における送信タイミングを決定する。具体的に説明すると、キャリアセンス部94は、所定のしきい値を予め記憶しており、干渉電力としきい値とを比較する。干渉電力がしきい値よりも小さければ、キャリアセンス部94は、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部94は、抽出部66から、キャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部94は、決定した送信タイミングを生成部64へ通知する。
【0046】
測位部76は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、図示しない車両12、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。測位部76は、存在位置等を生成部64へ出力する。
【0047】
生成部64は、測位部76から存在位置等を受けつける。生成部64は、図5(a)−(b)に示されたMACフレームを使用し、存在位置をアプリケーションデータに格納する。また、生成部64は、抽出部66から、識別情報を受けつけ、最も新しく受けつけた識別情報もアプリケーションデータに格納する。生成部64は、MACフレームが含まれたパケット信号を生成するとともに、選択部92またはキャリアセンス部94において決定した送信タイミングにて、変復調部54、RF部52、アンテナ50を介して、生成したパケット信号をブロードキャスト送信する。なお、送信タイミングは、車車送信期間に含まれている。
【0048】
転送決定部90は、RSUコントロールヘッダの転送を制御する。前述の抽出部66は、基地局装置10が情報源とされるパケット信号から、RSUコントロールヘッダを抽出する。前述のごとく、パケット信号が基地局装置10から直接送信されている場合には、転送回数が「0」に設定されているが、パケット信号が他の端末装置14から送信されている場合には、転送回数が「1以上」の値に設定されている。ここで、使用サブフレーム番号は、端末装置14によって転送される場合に変更されないので、使用サブフレーム番号を参照することによって、情報源となる基地局装置10にて使用されるサブフレームが特定される。
【0049】
転送決定部90は、情報源となる基地局装置10ごとに、転送回数に関する情報を取得する。具体的に説明すると、転送決定部90は、サブフレーム番号「1」に対応した転送回数を順次取得し、その後、他のサブフレーム番号に対応した転送回数に対しても同様の処理を実行する。さらに、転送決定部90は、情報源となる基地局装置10ごとに、当該基地局装置10に関連した転送回数に関する情報の中から、少ない方の転送回数、例えば最小の転送回数の値を取得する。つまり、転送回数取得部110は、サブフレーム番号「1」に対応した転送回数の最小値、サブフレーム番号「2」に対応した転送回数の最小値等をそれぞれ取得する。
【0050】
転送決定部90は、情報源となる基地局装置10ごとに、RSUコントロールヘッダ、つまり制御情報の抽出回数を計測する。また、転送決定部90は、情報源となる基地局装置10ごとに、転送決定部90において取得した転送回数の値が含まれた制御情報の抽出回数を選択する。具体的に説明すると、転送決定部90は、ひとつのサブフレーム番号に対して、転送回数ごとに制御情報の抽出回数を計測する。その結果、例えば、サブフレーム番号「1」に対して、転送回数「0」回の制御情報の抽出回数が「0」回になり、転送回数「1」回の制御情報の抽出回数が「4」回になり、転送回数「2」回の制御情報の抽出回数が「6」回になる。また、取得した転送回数が「1」回であれば、転送決定部90は、この転送回数が含まれた制御情報の抽出回数「4」を選択する。
【0051】
転送決定部90は、サブフレーム番号、転送回数、抽出回数を対応づけて記憶する。また、転送決定部90は、転送回数や抽出回数が更新された場合に、記憶内容を更新する。転送決定部90は、各基地局装置10に対する転送回数と抽出回数を取得する。転送決定部90は、これらの転送回数と抽出回数をもとに、少なくともひとつの基地局装置10に対応した制御情報を、転送すべき制御情報として選択する。具体的に説明すると、転送決定部90は、複数の基地局装置10に対して転送回数を比較した後に、抽出回数を比較する。つまり、転送回数が少ない方の制御情報、例えば、最小の転送回数を有した制御情報を選択した後に、選択した制御情報の中から、抽出回数が多い方の制御情報、最大の抽出回数を有した制御情報が選択される。
【0052】
このように、最小の転送回数を有した制御情報であって、かつ当該転送回数に対応した最大の抽出回数を有した制御情報が、転送決定部90によって選択される。転送回数が少ないほど、情報源となる基地局装置10の近くにおいて、制御情報が受信されているといえる。また、抽出回数が多いほど、無線環境の変動が少ない状況において、制御情報が受信されているといえる。そのため、前述の状況を満たすような制御情報を選択することによって、端末装置14は、なるべく近くに設置された基地局装置10からの制御情報を選択しているといえる。
【0053】
転送決定部90は、選択した制御情報をもとにRSUコントロールヘッダを生成するように、生成部64に指示する。転送決定部90は、制御情報をRSUコントロールヘッダに格納させる際に、転送回数に関する情報における転送回数を増加させる。生成部64は、このような指示に応じて、転送決定部90において選択された制御情報をもとにRSUコントロールヘッダを生成するとともに、その際に転送回数を増加させる。
【0054】
記憶部74は、RF部52、変復調部54、処理部56において受信すべきパケット信号を報知可能な基地局装置10の位置情報を記憶する。基地局装置10は、複数設置されているので、記憶部74は、複数の位置情報を記憶する。位置情報は、道路地図に対応づけられるように、緯度と経度とによって示されている。また、位置情報は、デジタルデータとして示されているので、記憶部74は、デジタルデータを記憶可能なハードディスク等の記憶媒体として構成されている。ここでは、説明を簡易にするために、位置情報は、予め記憶部74に記憶されているものとする。例えば、端末装置14の購入時にプリセットされている。
【0055】
推定部72は、測位部76から、測位された存在位置を順次受けつける。推定部72は、記憶部74に記憶された位置情報を中心にして所定の半径を有した円形の領域を想定する。このような領域は、例えば、図1の第1エリア210や第2エリア212に相当するが、ここでは、第2エリアに相当する。円形の領域は、複数の基地局装置10のそれぞれに対して想定される。推定部72は、連続して受けつけた存在位置が、円形の領域の外部から内部へ進入したことを検出することによって、当該円形の領域の中心に設置された基地局装置10の周辺に存在することを検出する。また、推定部72は、円形の領域内に存在している間に、基地局装置10からのパケット信号を受信するかを検出する。パケット信号を受信した場合、推定部72は、基地局装置10が正常に動作していると推定する。一方、パケット信号を受信しなかった場合、推定部72は、基地局装置10の故障を推定する。推定部72は、故障を推定した場合、生成部64と通知部70へその旨を出力する。
【0056】
生成部64は、推定部72から、故障の推定結果を受けつけた場合、故障の推定結果をアプリケーションデータに格納する。その結果、故障の推定結果は、車車送信期間において報知される。通知部70は、路車送信期間において、図示しない基地局装置10からのパケット信号を取得するとともに、車車送信期間において、図示しない他の端末装置14からのパケット信号を取得する。通知部70は、パケット信号に格納されたデータの内容に応じて、図示しない他の車両12の接近等を運転者へモニタやスピーカを介して通知する。さらに、通知部70は、推定部72から、故障の推定結果を受けつけた場合、推定した結果も運転者に対して通知する。通知がモニタを介してなされる場合、通知部70は、故障している基地局装置10が設置されている部分の表示色を赤色に表示する。また、通知部70は、基地局装置10が故障している旨をスピーカから出力してもよい。制御部58は、端末装置14全体の動作を制御する。
【0057】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図7は、端末装置14における通信状態の認定手順を示すフローチャートである。測位部76は、存在位置を取得する(S10)。第2エリア内に存在しなければ(S12のN)、ステップ10に戻る。第2エリア内に存在する場合(S12のY)、RF部52、変復調部54が、第2エリア内でパケット信号を受信すれば(S14のY)、推定部72は、正常と判定する(S16)。一方、RF部52、変復調部54が、第2エリア内でパケット信号を受信しなければ(S14のN)、スキップ16はスキップされる。
【0058】
図8は、端末装置14における故障の通知手順を示すフローチャートである。推定部72は、第2エリアから外へ移動したことを検出する(S20)。推定部72が正常と認定していなければ(S22のN)、通知部70は、故障を通知する(S24)。推定部72が正常と認定していれば(S22のY)、ステップ24はスキップされる。
【0059】
次に、本発明の変形例を説明する。変形例も、実施例と同様に、基地局装置10と端末装置14とを含む通信システム100に関する。実施例においては、基地局装置10の位置情報が記憶部74に予めプリセットされている。一方、変形例では、基地局装置10の位置情報が記憶部74に予めプリセットされておらず、受信したパケット信号に含まれた位置情報をもとに、記憶部74が位置情報を記憶する。つまり、変形例では、位置情報が自律的に更新される。変形例に係る通信システム100は、図1と同様のタイプであり、基地局装置10は、図2と同様のタイプであり、端末装置14は、図6と同様のタイプである。以下では、差異を中心に説明する。
【0060】
ここで、基地局装置10の処理部26は、当該基地局装置10の位置情報をパケット信号に含める。なお、位置情報は、RSUコントロールヘッダに含まれてもよく、アプリケーションデータに含まれてもよい。端末装置14の抽出部66は、パケット信号から、位置情報を抽出する。抽出部66は、位置情報を推定部72へ出力する。推定部72は、受けつけた位置情報が記憶部74に既に記憶されているかを確認する。位置情報が記憶されていない場合、推定部72は、記憶部74に位置情報を記憶させる。その際、位置情報に対応づけられて受信日時が記憶部74に記憶されてもよい。一方、位置情報が既に記憶されている場合、推定部72は、新たに受けつけた位置情報を記憶部74に記憶させない。なお、推定部72は、受信日時のみを更新してもよい。さらに、推定部72は、所定の期間よりも前の記録日時に対応した位置情報を記憶部74から削除してもよい。
【0061】
図9は、本発明の変形例に係る端末装置14におけるデータベースの更新手順を示すフローチャートである。RF部52、変復調部54は、パケット信号を受信する(S30)。基地局装置10の情報を登録済であれば(S32のY)、記憶部74は、受信日時を更新する(S34)。基地局装置10の情報を登録済でなければ(S32のN)、記憶部74は、端末装置14の情報を更新する(S36)。
【0062】
図10は、本発明の変形例に係る端末装置14におけるデータベースの消去手順を示すフローチャートである。期限満了の情報があれば(S40のY)、記憶部74は、情報を消去する(S42)。期限満了の情報がなければ(S40のN)、ステップ42はスキップされる。
【0063】
次に、本発明の別の変形例を説明する。別の変形例も、実施例と同様に、基地局装置10と端末装置14とを含む通信システム100に関する。実施例における端末装置14の推定部72は、基地局装置10の故障を自ら推定している。一方、別の変形例では、他の端末装置14から報知されたパケット信号に、故障の推定結果が含まれており、これをもとに故障した基地局装置10の存在を通知する。変形例に係る通信システム100は、図1と同様のタイプであり、基地局装置10は、図2と同様のタイプであり、端末装置14は、図6と同様のタイプである。以下では、差異を中心に説明する。
【0064】
実施例において説明したように、他の端末装置14から報知されるパケット信号には、故障の推定結果が含まれている。また、基地局装置10から報知されるパケット信号にも、故障の推定結果が含まれていてもよい。端末装置14の抽出部66は、パケット信号に故障の推定結果が含まれている場合、これを抽出する。抽出部66は、抽出した故障の推定結果を通知部70へ出力する。通知部70は、推定部72から、故障の推定結果を受けつけた場合、推定した結果も運転者に対して通知する。
【0065】
図11は、本発明の別の変形例に係る端末装置14における故障情報の通知手順を示すフローチャートである。RF部52、変復調部54は、パケット信号を受信する(S50)。故障情報が格納されている場合(S52のY)、通知部70は、故障情報を通知する(S54)。故障情報が格納されていなければ(S52のN)、ステップ54はスキップされる。
【0066】
本発明の実施例によれば、基地局装置が配置されている領域において、基地局装置からのパケット信号を受信しているかを監視しているので、故障している基地局装置を検出できる。また、領域内においてパケット信号を1回でも受信すれば、基地局装置が正常であると推定するので、通信品質が悪化している場合でも、基地局装置を故障していると誤って推定する確率を低減できる。また、故障した基地局装置を自動的に検出するので、故障の早期発見を可能にできる。また、故障が早期に発見されるので、通信システムへの影響を低減できる。また、故障の推定結果を運転者に通知するので、運転者に注意を促すことができる。また、故障の推定結果が含まれたパケット信号を報知するので、他の端末装置に対して、故障した基地局装置の存在を知らしめることができる。
【0067】
また、基地局装置の位置情報を予め記憶するので、処理量を低減できる。また、受信したパケット信号から、基地局装置の位置情報を抽出するので、基地局装置の位置情報を自律的に収集できる。また、基地局装置の位置情報が自律的に収集されるので、基地局装置の情報をプリセットするための処理を省略できる。また、基地局装置の位置情報が自律的に収集されるので、最新の基地局装置の位置情報を取得できる。また、所定期間経過すると、基地局装置の位置情報の記憶容量の増加を抑制できる。また、基地局装置からのパケット信号に、他の基地局装置の故障の推定結果が含まれているので、故障の検出処理を容易にできる。また、端末装置からのパケット信号に、基地局装置の故障の推定結果が含まれているので、故障の検出処理を容易にできる。
【0068】
第1エリアと第2エリアとを区別するために、受信電力を使用するので、伝搬損失が所定の程度に収まっている範囲を第1エリアに規定できる。また、伝搬損失が所定の程度に収まっている範囲が第1エリアに規定されているので、交差点の中心付近を第1エリアとして使用できる。また、優先期間ではスロットによる時間分割多重を実行するので、誤り率を低減できる。また、一般期間ではCSMA/CAを実行するので、柔軟に端末装置数を調節できる。
【0069】
また、他の基地局装置から直接受信したパケット信号だけではなく、端末装置から受信したパケット信号をもとに、他の基地局装置によって使用されているサブフレームを特定するので、使用中のサブフレームの特定精度を向上できる。また、使用中のサブフレームの特定精度が向上するので、基地局装置から送信されるパケット信号間の衝突確率を低減できる。また、基地局装置から送信されるパケット信号間の衝突確率が低減されるので、端末装置が制御情報を正確に認識できる。また、制御情報が正確に認識されるので、路車送信期間を正確に認識できる。また、路車送信期間が正確に認識されるので、パケット信号の衝突確率を低減できる。
【0070】
また、使用中のサブフレーム以外を優先的に使用するので、他の基地局装置からのパケット信号と重複したタイミングで、パケット信号を送信する可能性を低減できる。また、いずれのサブフレームも他の基地局装置によって使用されている場合に、受信電力の低いサブフレームを選択するので、パケット信号の干渉の影響を抑制できる。また、端末装置によって中継された制御情報の送信元になる他の基地局装置からの受信電力として、当該端末装置の受信電力を使用するので、受信電力の推定処理を簡易にできる。
【0071】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0072】
本発明の実施例において、記憶部74は、基地局装置10の位置情報を予め記憶しており、本発明の変形例において、記憶部74は、基地局装置10の位置情報を予め記憶せず、パケット信号に含まれた基地局装置10の位置情報を記憶している。しかしながらこれに限らず例えば、記憶部74は、基地局装置10の位置情報を予め記憶し、かつパケット信号に含まれた基地局装置10の位置情報も記憶してもよい。本変形例によれば、記憶部74は、パケット信号に含まれた基地局装置10の位置情報によって、予め記憶した基地局装置10の位置情報を更新できる。
【0073】
本発明の変形例において、記憶部74は、基地局装置10からのパケット信号に含まれた基地局装置10の位置情報を記憶している。しかしながらこれに限らず例えば、記憶部74は、端末装置14からのパケット信号に含まれた基地局装置10の位置情報を記憶してもよい。その際、端末装置14は、基地局装置10の位置情報が含まれたパケット信号を報知している。本変形例によれば、基地局装置10の位置情報が含まれたパケット信号の受信機会を増加できる。
【符号の説明】
【0074】
10 基地局装置、 12 車両、 14 端末装置、 20 アンテナ、 22 RF部、 24 変復調部、 26 処理部、 30 制御部、 50 アンテナ、 52 RF部、 54 変復調部、 56 処理部、 58 制御部、 60 タイミング特定部、 64 生成部、 66 抽出部、 70 通知部、 72 推定部、 74 記憶部、 76 測位部、 80 ネットワーク通信部、 90 転送決定部、 92 選択部、 94 キャリアセンス部、 100 通信システム、 202 ネットワーク、 210 第1エリア、 212 第2エリア、 214 第2エリア外。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置間の通信を実行する端末装置であって、
基地局装置から信号を報知可能な第1期間と、端末装置から信号を報知可能な第2期間とが含まれたフレームのうち、第1期間において、基地局装置からの信号を受信する受信部と、
前記受信部において受信すべき信号を報知可能な基地局装置の位置情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した位置情報の周辺にて、基地局装置からの信号を前記受信部が未受信である場合、当該基地局装置の故障を推定する推定部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記推定部において推定した結果をユーザに対して通知する通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
第2期間において、前記推定部において推定した結果が含まれた信号を報知する送信部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−205350(P2011−205350A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69943(P2010−69943)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】