説明

端末試験装置

【課題】被試験端末の1台あたりの試験時間を従来のものより短縮することができる端末試験装置を提供すること。
【解決手段】時分割同期符号多重通信方式に準拠して通信する被試験端末の試験を行う端末試験装置であって、被試験端末として複数の携帯端末2a乃至2eに下り方向の試験データを送信する送信部10と、試験データを受信した複数の携帯端末2a乃至2eによってそれぞれ送信された上り方向の被試験データを受信する受信部11と、時分割同期符号多重通信方式におけるフレームを構成するタイムスロットのうち、複数の携帯端末2a乃至2eに対する一方向のデータを複数のタイムスロットに1つずつ割り当て、複数の携帯端末2a乃至2eに対する他方向の符号多重化されたデータを少なくとも1つのタイムスロットに割り当てるよう送信部10および受信部11を制御する制御部18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末試験装置に関し、特に、時分割同期符号多重通信方式に準拠して通信する被試験端末の試験を行う端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の端末試験装置としては、被試験端末に対して送信スロット数、各スロットの電力およびスロット間の電力の変化量のうち少なくとも1つの変化を要求し、この要求に応じて被試験端末から送信された応答情報に基づいて被試験端末から送信された被試験データに割り当てられたスロットを検出し、検出した各スロットの電力やスロット間の電力変化量を検出することにより被試験端末の動作判定を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−46431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の端末試験装置においては、試験コストを低減させるため、被試験端末の1台あたりの試験時間を短縮することが課題となっている。
【0004】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、被試験端末の1台あたりの試験時間を従来のものより短縮することができる端末試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の端末試験装置は、時分割同期符号多重通信方式に準拠して通信する被試験端末の試験を行う端末試験装置であって、複数の被試験端末(2a乃至2e)に下り方向の試験データを送信する送信部(10)と、前記試験データを受信した前記複数の被試験端末によってそれぞれ送信された上り方向の被試験データを受信する受信部(11)と、前記時分割同期符号多重通信方式におけるフレームを構成するタイムスロットのうち、前記複数の被試験端末に対する一方向のデータを複数のタイムスロットに1つずつ割り当て、前記複数の被試験端末に対する他方向の符号多重化されたデータを少なくとも1つのタイムスロットに割り当てるよう前記送信部および前記受信部を制御する制御部(18)とを備えた構成を有している。
【0006】
この構成により、本発明の端末試験装置は、複数の被試験端末の試験を並行することができるため、被試験端末の1台あたりの試験時間を従来のものより短縮することができる。
【0007】
なお、本発明の端末試験装置は、前記被試験データのビット誤り率を測定するビット誤り率測定部(14)を備え、前記制御部は、前記各被試験端末に対する前記試験データを各タイムスロットに割り当てて送信するよう前記送信部を制御すると共に、前記複数の被試験端末によって符号多重化され、少なくとも1つのタイムスロットに割り当てられて送信された前記被試験データを受信するよう前記受信部を制御するようにしてもよい。
【0008】
この構成により、本発明の端末試験装置は、複数の被試験端末のビット誤り率の測定を並行することができるため、被試験端末の1台あたりのビット誤り率の測定にかかる試験時間を従来のものより短縮することができる。
【0009】
また、前記ビット誤り率測定部は、前記複数の被試験端末のうち、所定の試験時間が経過しても合否の判定ができない被試験端末がある場合には、該被試験端末に対する合否の判定結果を保留として前記ビット誤り率の測定を終了するようにしてもよい。
【0010】
この構成により、本発明の端末試験装置は、合否の判定ができない被試験端末のために試験時間が長引いてしまうことを防止することができる。
【0011】
また、前記送信部は、前記試験データが前記送信部から送信されてから前記各被試験端末に受信されるまでに損失する各ロスレベルを補償するよう前記試験データの送信電力を前記被試験端末毎に調整するようにしてもよい。
【0012】
この構成により、本発明の端末試験装置は、下り方向のロスレベル、特に、端末試験装置と各被試験端末とを同軸ケーブルで接続する場合には、主に、同軸ケーブルで損失するロスレベルを考慮して各被試験端末のビット誤り率の測定を行うことができる。
【0013】
なお、本発明の端末試験装置は、前記各被試験端末の送信電力を測定する電力測定部(16)を備え、前記制御部は、前記複数の被試験端末から各タイムスロットに割り当てられて送信された前記被試験データを受信するよう前記受信部を制御すると共に、前記各被試験端末に対する前記試験データを符号多重化して少なくとも1つのタイムスロットに割り当てて送信するよう前記送信部を制御するようにしてもよい。
【0014】
この構成により、本発明の端末試験装置は、複数の被試験端末の送信電力の測定を並行することができるため、被試験端末の1台あたりの送信電力の測定にかかる試験時間を従来のものより短縮することができる。
【0015】
前記電力測定部は、前記被試験データが前記各被試験端末から送信されてから前記受信レベル部に受信されるまでに損失する各ロスレベルを補償するよう前記被試験データの測定レベルを前記被試験端末毎に調整するようにしてもよい。
【0016】
この構成により、本発明の端末試験装置は、上り方向のロスレベル、特に、端末試験装置と各被試験端末とを同軸ケーブルで接続する場合には、主に、同軸ケーブルで損失するロスレベルを考慮して各被試験端末の送信電力の測定を行うことができる。
【0017】
また、本発明の端末試験方法は、時分割同期符号多重通信方式に準拠して通信する被試験端末の試験を端末試験装置を用いて行う端末試験方法であって、前記時分割同期符号多重通信方式におけるフレームを構成するタイムスロットのうち、前記複数の被試験端末に対する一方向のデータを複数のタイムスロットに1つずつ割り当て、前記複数の被試験端末に対する他方向の符号多重化されたデータを少なくとも1つのタイムスロットに割り当てる。
【0018】
したがって、本発明の端末試験方法は、複数の被試験端末の試験を並行することができるため、被試験端末の1台あたりの試験時間を従来のものより短縮することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、被試験端末の1台あたりの試験時間を従来のものより短縮することができる端末試験装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、時分割同期符号多重通信方式(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access、以下、「TD−SCDMA」という。)に準拠して通信する携帯端末を被試験端末として試験する端末試験装置に本発明の端末試験装置を適用した例について説明する。
【0021】
まず、本発明の実施の形態について説明するのに先立って、TD−SCDMAのフレームフォーマットについて説明する。図1に示すように、TD−SCDMAのフレームは、10ms周期のラジオフレーム(Radio frame)からなり、このラジオフレームは、2つのサブフレーム(sub-frame)からなる。
【0022】
各サブフレームには、タイムスロット#0からタイムスロット#6までの7つのタイムスロット(timeslot)が含まれ、タイムスロット#0とタイムスロット#1との間に、下り方向の同期用信号を含む区間DwPTS(Downlink Pilot Time Slot)と、無信号区間GP(Guard Period)と、上り方向の同期用信号を含む区間UpPTS(Uplink Pilot Time Slot)とが含まれている。
【0023】
タイムスロット#0は、基地局すなわち端末試験装置1を各端末に検出させるための下り方向の報知情報の通信に用いられ、タイムスロット#1は、上り方向の通信に用いるように規定されている。なお、タイムスロット#2からタイムスロット#6までは、何れの方向にも用いることができる。また、各タイムスロットに割り当てられるデータは、符号多重化されていてもよい。
【0024】
図2に示すように、本発明の実施の形態における端末試験装置1は、複数の携帯端末2a乃至2eが接続できるようになっている。なお、本実施の形態においては、端末試験装置1と、携帯端末2a乃至2eとは、同軸ケーブル3a乃至3eでそれぞれ接続され、有線で通信するものとするが、無線で通信するようにしてもよい。
【0025】
端末試験装置1は、携帯端末2a乃至2eに下り方向の試験データを送信する送信部10と、試験データを受信した携帯端末2a乃至2eによってそれぞれ送信された上り方向の被試験データを受信する受信部11と、送信部10と受信部11とを電気的に結合する結合器12と、結合器12と同軸ケーブル3a乃至3eとを電気的に結合する結合器13と、被試験データのビット誤り率を測定するビット誤り率測定部14と、試験データが予め格納された試験データ格納部15と、各携帯端末2a乃至2eの送信電力を測定する電力測定部16と、試験データが送信部10によって送信されてから各携帯端末2a乃至2eに受信されるまでに損失する各ロスレベル(以下、「下りロスレベル」という。)および各携帯端末2a乃至2eから送信された被試験データが受信部11に受信されるまでに損失する各ロスレベル(以下、「上りロスレベル」という。)を表すテーブルを格納するロスレベル格納部17と、送信部10、受信部11、ビット誤り率測定部14および電力測定部16を制御するプロセッサよりなる制御部18と、不図示の表示装置、記録装置およびコンピュータ装置等にビット誤り率測定部14や電力測定部16の測定結果を出力する出力部19とを備えている。
【0026】
送信部10は、TD−SCDMAにおけるフレームを構成するタイムスロットのうち制御部18に指示されたタイムスロットに該当するタイミングで、試験データ格納部15に格納された試験データを各携帯端末2a乃至2eに送信するようになっている。
【0027】
ここで、送信部10は、制御部18によって設定された送信電力で各携帯端末2a乃至2eに試験データを送信するようになっている。さらに、送信部10は、各下りロスレベルをロスレベル格納部17に格納されたテーブルから取得し、取得した下りロスレベル分だけ各携帯端末2a乃至2eに送信する試験データの送信電力を増大させるようになっている。なお、下りロスレベルは、試験前の測定等により予め得られているものとする。
【0028】
受信部11は、TD−SCDMAにおけるフレームを構成するタイムスロットのうち、制御部18に指示されたタイムスロットに該当するタイミングで、各携帯端末2a乃至2eから送信された被試験データを受信するようになっている。
【0029】
なお、送信部10は、制御部18によって試験データの符号多重化が指示された場合には、当該試験データを符号多重化するようになっている。一方、受信部11は、制御部18によって被試験データの分離が指示された場合には、符号多重化された被試験データを分離するようになっている。また、送信部10および受信部11は、各携帯端末2a乃至2eと呼接続を確立するようになっている。
【0030】
ビット誤り率測定部14は、受信部11に受信されたフレームを構成するタイムスロットのうち制御部18に指示されたタイムスロットに該当するタイミングで受信部11によって受信されて分離された試験データと、試験データ格納部15に格納された試験データとを比較することによって、各携帯端末2a乃至2eによって送信された被試験データのビット誤り率を測定するようになっている。
【0031】
なお、本実施の形態においては、各携帯端末2a乃至2eは、受信した試験データをそのまま被試験データとして端末試験装置1に送信するようになっているものとする。
【0032】
ここで、ビット誤り率測定部14は、測定したビット誤り率と、予め定められた閾値とを比較し、測定したビット誤り率が予め定められた閾値以上である時間と、測定したビット誤り率が予め定められた閾値未満である時間との割合によって、該当する携帯端末の合否を判定するようになっている。
【0033】
なお、ビット誤り率測定部14は、予め定められた試験時間が経過しても合否の判定ができない携帯端末がある場合には、この携帯端末の合否の判定結果を「保留」としてビット誤り率の測定を終了するようになっている。
【0034】
電力測定部16は、TD−SCDMAにおけるフレームを構成するタイムスロットのうち、制御部18によって指示されたタイムスロットに該当するタイミングで、受信部11に受信される被試験データの受信レベルを測定することにより、各携帯端末2a乃至2eの送信電力を測定するようになっている。
【0035】
ここで、電力測定部16は、各上りロスレベルをロスレベル格納部17に格納されたテーブルから取得し、取得した上りロスレベル分だけ各携帯端末2a乃至2eに対する測定レベルを調整するようになっている。なお、各上りロスレベルは、試験前の測定等により予め得られているものとする。
【0036】
制御部18は、ビット誤り率測定部14にビット誤り率の測定を行わせる場合には、例えば、図3に示すように、携帯端末2a乃至2eによって符号多重化され、タイムスロット#1に割り当てられて送信された被試験データを受信して分離するよう受信部11を制御すると共に、各携帯端末2a乃至2eに対する試験データを各タイムスロット#2乃至#6に割り当てて送信するよう送信部10を制御するようになっている。
【0037】
また、制御部18は、電力測定部16に各携帯端末2a乃至2eの送信電力の測定を行わせる場合には、例えば、図4に示すように、各携帯端末2a乃至2eに対する試験データを符号多重化してタイムスロット#6に割り当てて送信するよう送信部10を制御すると共に、各携帯端末2a乃至2eから各タイムスロット#1乃至#5に割り当てられて送信された被試験データを受信するよう受信部11を制御するようになっている。
【0038】
以上のように構成された端末試験装置1について図5乃至図7を用いてその動作を説明する。図5は、端末試験装置1のビット誤り率の試験動作を示すフローチャートであり、図6は、ビット誤り率の試験動作から実行されるビット誤り率の判定動作を示すフローチャートである。
【0039】
なお、図5においては、図3に示したように、タイムスロット#1乃至#6を用いて、5台の携帯端末2a乃至2eのビット誤り率の試験を並行して行う例について説明するが、5台未満の携帯端末2a乃至2eのビット誤り率の試験を並行して行うようにしてもよい。
【0040】
まず、端末試験装置1と各携帯端末2a乃至2eとの呼接続が制御部18に制御された受信部11および送信部10によって確立される(S1)。次いで、送信部10による試験データの送信電力が制御部18によって予め規定された最大レベルに設定される(S2)。ここで、ロスレベル格納部17に格納されたテーブルに基づいて各下りロスレベルが補償されるよう、各タイムスロットの送信電力が送信部10によって調整される。
【0041】
次に、図6に示す、ビット誤り率の判定動作が実行される(S3)。ビット誤り率の判定動作では、まず、携帯端末2a乃至2eに対する試験データの送信が送信部10によって開始される(S11)。ここで、各携帯端末2a乃至2eに対する試験データは、各タイムスロット#2乃至#6に割り当てられて送信される。
【0042】
一方で、各携帯端末2a乃至2eから送信された被試験データの受信が受信部11によって開始される(S12)。ここで、被試験データは、符号多重化されてタイムスロット#1に割り当てられて各携帯端末2a乃至2eから送信される。このため、被試験データは、受信部11によって携帯端末2a乃至2e毎に分離される。
【0043】
次に、ビット誤り率測定部14によって各被試験データのビット誤り率の測定が開始され、測定されたビット誤り率に基づいた各携帯端末2a乃至2eの合否の判定がビット誤り率測定部14によって開始される(S13)。
【0044】
次に、試験データが送信されてから予め定められた試験時間が経過しているか否かがビット誤り率測定部14によって判断される(S14)。ここで、試験データが送信されてから予め定められた試験時間が経過していると判断された場合には、合否が判定されていない携帯端末の判定結果は、ビット誤り率測定部14によって「保留」とされ(S15)、ビット誤り率の判定動作は、終了する。
【0045】
一方、試験データが送信されてから予め定められた試験時間が経過していないと判断された場合には、合否の判定結果が得られた携帯端末があるか否かがビット誤り率測定部14によって判断される(S16)。
【0046】
ここで、合否の判定結果が得られた携帯端末があると判断された場合には、この携帯端末の合否の判定が終了し、当該携帯端末に対する試験データの送信を終了するよう送信部10が制御部18によって制御される(S17)。
【0047】
次いで、試験対象の全ての携帯端末2a乃至2eの合否の判定結果が得られたか否かがビット誤り率測定部14によって判断され(S18)、試験対象の全ての携帯端末2a乃至2eの合否の判定結果が得られたと判断された場合には、ビット誤り率の判定動作は、終了する。一方、試験対象の全ての携帯端末2a乃至2eの合否の判定結果が得られていないと判断された場合には、ビット誤り率の判定動作は、ステップS14に戻る。
【0048】
図5において、次に、送信部10による試験データの送信電力が制御部18によって予め規定された最小レベルに設定される(S4)。ここで、ロスレベル格納部17に格納されたテーブルに基づいて各下りロスレベルが補償されるよう、各タイムスロットの送信電力が送信部10によって調整される。次いで、図6に示した、ビット誤り率の判定動作が実行される(S5)。
【0049】
このように得られた各携帯端末2a乃至2eの合否の判定結果は、出力部19に出力され(S6)、例えば、表示装置に表示されたり、記録装置に記録されたりする。
【0050】
図7は、端末試験装置1のCLPC(Closed Loop Power Control:基地局側から携帯端末の送信電力を制御する機能)試験動作を示すフローチャートである。なお、図7においては、図4に示したように、タイムスロット#1乃至#6を用いて、5台の携帯端末2a乃至2eの試験を並行して行う例について説明するが、5台未満の携帯端末2a乃至2eの試験を並行して行うようにしてもよい。
【0051】
まず、端末試験装置1と各携帯端末2a乃至2eとの呼接続が制御部18に制御された受信部11および送信部10によって確立される(S31)。次いで、携帯端末2a乃至2eに対する試験データの送信が送信部10によって開始される(S32)。ここで、各携帯端末2a乃至2eに対する試験データは、送信部10によって符号多重化され、タイムスロット#6に割り当てられて送信される。
【0052】
一方で、各携帯端末2a乃至2eから送信された被試験データの受信が受信部11によって開始される(S33)。ここで、被試験データは、各タイムスロット#1乃至#5に割り当てられて各携帯端末2a乃至2eから送信される。
【0053】
次いで、各携帯端末2a乃至2eの送信電力が予め定められた最大電力に設定される(S34)。なお、携帯端末の送信電力が最大電力に予め設定されている場合には、CLPC試験動作は、ステップS34をスキップする。
【0054】
ここで、携帯端末の送信電力の設定について簡単に説明する。携帯端末の送信電力は、試験データと共に送信されるTPC(Transmitter Power Control)コマンドにしたがって段階的に変化することになっている。
【0055】
すなわち、本実施の形態において、各携帯端末2a乃至2eの送信電力は、各携帯端末2a乃至2eの試験データと共に符号多重化されてタイムスロット#6に割り当てられるTPCコマンドについて、増加または減少のコマンドを指定することにより、スロット間の電力の変化量の設定値であるステップサイズ毎に段階的に変化する。
【0056】
このステップサイズは、端末試験装置1から各携帯端末2a乃至2eに予め設定されている。端末試験装置1から各携帯端末2a乃至2eの何れかに送信される1回の増加または減少のTPCコマンドに対して、対応する携帯端末は、設定されたステップサイズ分だけ(一段階)送信電力を増加または減少させる。
【0057】
このため、端末試験装置1から増加のTPCコマンドを十分な回数連続して送信することにより、対応する携帯端末の送信電力を最大電力に設定することができる。逆に、端末試験装置1から減少のTPCコマンドを十分な回数連続して送信することにより、対応する携帯端末の送信電力を最小電力に設定することができる。
【0058】
このように、各携帯端末2a乃至2eの送信電力が予め定められた最大電力に設定されると、各携帯端末2a乃至2eの送信電力が、予め定められた最小電力に設定されるまで、一段階ずつ減少するよう設定される(S35)。
【0059】
各携帯端末2a乃至2eの送信電力が一段階ずつ減少するよう設定される度に、各タイムスロット#1乃至#5の電力が電力測定部16によって測定される(S36)。ここで、ロスレベル格納部17に格納されたテーブルに基づいて各上りロスレベルが補償されるよう、各タイムスロットの測定結果が電力測定部16によって調整される。
【0060】
また、電力測定部16によって測定され調整された測定結果は、出力部19に出力され(S37)、例えば、記録装置に記録される。
【0061】
各携帯端末2a乃至2eの送信電力が最小電力に設定されると(S38)、各携帯端末2a乃至2eの送信電力が、最大電力に設定されるまで、一段階ずつ増大するよう設定される(S39)。
【0062】
各携帯端末2a乃至2eの送信電力が一段階ずつ増大するよう設定される度に、各タイムスロット#1乃至#5の電力が電力測定部16によって測定される(S40)。ここで、ロスレベル格納部17に格納されたテーブルに基づいて各上りロスレベルが補償されるよう、各タイムスロットの測定結果が電力測定部16によって調整される。
【0063】
また、電力測定部16によって測定され調整された測定結果は、出力部19に出力され(S41)、例えば、記録装置に記録される。各携帯端末2a乃至2eの送信電力が最大電力に設定されると(S42)、CLPC試験動作は、終了する。
【0064】
以上に説明したCLPC試験動作は、各携帯端末2a乃至2eの送信電力の変化を測定するものであるが、同様にTPCコマンドを用いて各携帯端末2a乃至2eの送信電力を最大送信電力または最小送信電力に設定し、そのときの電力値を測定する送信レベル測定を行うこともできる。
【0065】
この際、前述と同様に、各上りロスレベルが補償されるように、測定結果が調整される。また、この他に、隣接チャネル漏洩電力、周波数エラー、送信スプリアス、ピークコードメインエラーおよび波形品質等の送信測定について、複数の携帯端末2a乃至2eに対して並行に行うこともできる。
【0066】
このように、本発明の一実施の形態の端末試験装置1は、複数の携帯端末2a乃至2eの試験を並行することができるため、被試験端末の1台あたりの試験時間を従来のものより短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】TD−SCDMAのフレームフォーマットを説明するための説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態の端末試験装置のブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態の端末試験装置によるビット誤り率の測定時のタイムスロットの割り当ての一例を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施の形態の端末試験装置による携帯端末の送信電力測定時のタイムスロットの割り当ての一例を示す概念図である。
【図5】本発明の一実施の形態の端末試験装置のビット誤り率の試験動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態の端末試験装置のビット誤り率の判定動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態の端末試験装置のCLPC試験動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 端末試験装置
2a〜2e 携帯端末
3a〜3e 同軸ケーブル
10 送信部
11 受信部
12、13 結合器
14 ビット誤り率測定部
15 試験データ格納部
16 電力測定部
17 ロスレベル格納部
18 制御部
19 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割同期符号多重通信方式に準拠して通信する被試験端末の試験を行う端末試験装置であって、
複数の被試験端末(2a乃至2e)に下り方向の試験データを送信する送信部(10)と、
前記試験データを受信した前記複数の被試験端末によってそれぞれ送信された上り方向の被試験データを受信する受信部(11)と、
前記時分割同期符号多重通信方式におけるフレームを構成するタイムスロットのうち、前記複数の被試験端末に対する一方向のデータを複数のタイムスロットに1つずつ割り当て、前記複数の被試験端末に対する他方向の符号多重化されたデータを少なくとも1つのタイムスロットに割り当てるよう前記送信部および前記受信部を制御する制御部(18)とを備えた端末試験装置。
【請求項2】
前記被試験データのビット誤り率を測定するビット誤り率測定部(14)を備え、
前記制御部は、前記各被試験端末に対する前記試験データを各タイムスロットに割り当てて送信するよう前記送信部を制御すると共に、前記複数の被試験端末によって符号多重化され、少なくとも1つのタイムスロットに割り当てられて送信された前記被試験データを受信するよう前記受信部を制御することを特徴とする請求項1に記載の端末試験装置。
【請求項3】
前記ビット誤り率測定部は、前記複数の被試験端末のうち、所定の試験時間が経過しても合否の判定ができない被試験端末がある場合には、該被試験端末に対する合否の判定結果を保留として前記ビット誤り率の測定を終了することを特徴とする請求項2に記載の端末試験装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記試験データが前記送信部から送信されてから前記各被試験端末に受信されるまでに損失する各ロスレベルを補償するよう前記試験データの送信電力を前記被試験端末毎に調整することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の端末試験装置。
【請求項5】
前記各被試験端末の送信電力を測定する電力測定部(16)を備え、
前記制御部は、前記複数の被試験端末から各タイムスロットに割り当てられて送信された前記被試験データを受信するよう前記受信部を制御すると共に、前記各被試験端末に対する前記試験データを符号多重化して少なくとも1つのタイムスロットに割り当てて送信するよう前記送信部を制御することを特徴とする請求項1に記載の端末試験装置。
【請求項6】
前記電力測定部は、前記被試験データが前記各被試験端末から送信されてから前記受信レベル部に受信されるまでに損失する各ロスレベルを補償するよう前記被試験データの測定レベルを前記被試験端末毎に調整することを特徴とする請求項5に記載の端末試験装置。
【請求項7】
時分割同期符号多重通信方式に準拠して通信する被試験端末の試験を端末試験装置を用いて行う端末試験方法であって、
前記時分割同期符号多重通信方式におけるフレームを構成するタイムスロットのうち、前記複数の被試験端末に対する一方向のデータを複数のタイムスロットに1つずつ割り当て、前記複数の被試験端末に対する他方向の符号多重化されたデータを少なくとも1つのタイムスロットに割り当てることを特徴とする端末試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−218999(P2009−218999A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62357(P2008−62357)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】