説明

端面検査装置

【課題】半導体ウェハ等の被検査体の端部の欠陥の種類を効率的に自動判別することが可能な検査装置を提供する。
【解決手段】 被検査体の端部を第1の偏光状態の光で照明する照明部と、前記端部で拡散反射される反射光の第2の偏光状態の成分を透過する透過部と、前記透過部を透過した成分により前記端部の第1の像を形成する第1の像形成部と、を有することを特徴とする端部検査装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物体の端部の表面における欠陥を検査する装置に関し、特に半導体ウェハの端部における斜め曲線部(BEBEL)を含む表面欠陥検査する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年需要の拡大する半導体の製造工程において、特に線幅の微細化が最大の課題であり、最近では液浸露光工程が行われるようになった。この液浸露光を行うために、ウェハの端部における欠陥の発見、除去がウェハの製造工程において重要な技術的課題となってきた。またウェハの様々な処理工程において、処理材がウェハ端部に残存し、また傷や異物が残るという問題があり、それらの欠陥を検査したいというニーズも従来からあった。しかし、従来の検査対象であったウェハの平坦な中央部分と異なり、端部はBEBELと呼ばれる斜め曲線形状部及びAPEXと呼ばれる頭頂部からなり、ウェハの上下または左右からの平行光線の照射による明視野での撮像では欠陥の種類の判定が効率的に行えないという問題があった。
【0003】
従来例における半導体ウェハの端面の検査装置の2つの構成を図10、11に示す。図10は第1の構成を示し、保持テーブル2上に保持される半導体ウェハ1と、保持テーブル2を回転させる回転駆動部3、回転駆動部を保持し水平移動させる水平駆動部6と、検査対象となるウェハ端部を拡散照明により照明する拡散照明部5と、落射照明により照明する落射照明装置を内蔵するカメラユニット4と、制御部7および画像処理部8から構成される。図10の構成では、光学系は1つのカメラユニットと2つの拡散照明部から構成され、カメラユニットは半導体ウェハの端面の側面に対向して配置される。一方、図11の第2の構成では、光学系は2つのカメラユニット4と1つの拡散照明部5から構成され、カメラユニットは半導体ウェハの端面の上面および下面に対向して配置される。
また検査対象となる半導体ウェハの端部は図12に示されるように、頭頂部(APEX)9、それに続く斜め曲線部(BEVEL)10,さらにそれに続きウェハ中心方向に延在する平坦部11からなる。
【0004】
上記従来例では、拡散照明および落射照明(カメラユニット4に内蔵)からの反射光をカメラユニットで捉え、画像処理部で処理する。
例として図15の模式図にウェハ1の端面の斜め曲線部(BEVEL)10に存在する主な4つの欠陥、即ち、「膜残り」欠陥A、「欠け」欠陥B、「異物」欠陥C、および「傷」欠陥Dを示す。図16−1から16−4は、それぞれウェハを横断する線a,b,c,dでウェハを切断した断面図を示す。
また矢印Gは「異物」欠陥Cおよび「傷」欠陥Dで照明光が乱反射される様子を示す。「膜残り」欠陥は半導体製造工程において除去されるはずのレジストやトップコート等の膜が部分的に残ったもの、「欠け」欠陥は比較的広範囲に渡ってウェハが欠けたもの、「異物」欠陥は小さな異物が残ったもの、「傷」欠陥はウェハ上の小さな傷である。
これらの欠陥A−Dを図10(第1の構成)および図11(第2の構成)の構成で撮影した画像をそれぞれ図13、図14の画像でしめす。しかしこれらの画像から得られる2次元の形状情報だけでは、欠陥A−Dの欠陥の種類の判別は難しい。
【0005】
このような被検査体の端部の傾斜部分に存在する欠陥を精度良く検査するため、特許文献1には平板形状の被検査物体の上方または下方から撮像し、事前に準備された参照画像と比較することにより検査の精度を向上させる検査装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−303853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術による検査装置では、明視野のみの検査なので、「膜残り」と「異物」の違いなどのように、欠陥の種類が判別しにくいという課題があった。
そこで、本発明は、半導体ウェハ等の被検査体の端部における欠陥の種類を判別することが可能な検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、被検査体の端部を第1の偏光状態の光で照明する照明部と、前記端部で拡散反射される反射光の第2の偏光状態の成分を透過する透過部と、前記透過部を透過した成分により前記端部の第1の像を形成する第1の像形成部と、を有することを特徴とする端部検査装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体ウェハ等の被検査体の端部における欠陥の種類を効率的に自動判別する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1における第1の動作状態の概念図である。
【図2】本発明の実施例1における第2の動作状態の概念図である。
【図3】本発明の実施例2における第1の動作状態の概念図である。
【図4】本発明の実施例2における第2の動作状態のである。
【図5】本発明のクロスニコル検査時のウェハの側面方向からの撮像画像である。
【図6】本発明のクロスニコル検査時のウェハの上方向からの撮像画像である。
【図7】本発明の検査実施手順のうち、条件出し工程の詳細フロー図である。
【図8】本発明の実施例1における検査手順フロー図である。
【図9】本発明の実施例2における検査手順フロー図である。
【図10】従来例の端部検査装置の第1の動作状態の概念図である。
【図11】従来例の端部検査装置の第2の動作状態の概念図である。
【図12】ウェハ端部の各検査領域を示す側面図である。
【図13】従来例のウェハ端部の側面方向からの撮像画像である。
【図14】従来例のウェハ端部の上方向からの撮像画像である。
【図15】ウェハ端部のBEVEL部の欠陥の模式図である。
【図16】ウェハ端部のBEVEL部の欠陥の断面図である。
【図17】乱反射による偏光状態の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図2は本発明に基づく実施例1の2つの動作状態を示す側面から見た概念図である。被検査体は半導体ウェハ1である。図1は第1の動作状態を示し、照明光源として、拡散照明部5をウェハ1の上下に2つ備え、また落射照明光源19を、照明光の光軸がウェハ1の上面または下面に対して直交するように1つ備える。像形成部であるカメラ20はウェハ1の頭頂部(APEX)9に対向し、落射照明光源19の光軸と撮像光軸が直交するように1台配置される。落射照明光源19とカメラ20のそれぞれの光軸が直角に交わる交点には1つのハーフミラー17が照明光の光軸が撮像光軸と一致するように配置され、ハーフミラー17とウェハ1の頭頂部(APEX)9の間の光軸上には1つの対物レンズ18が配置される。また上下2つの拡散照明部5の前面には偏光子15a、落射照明光源19の前面には偏光子15bが配置され、照明光を1つの偏光面内に直線偏光させる。一方、受光側のカメラ20の前面には、偏光子15a、15bとクロスニコルの関係に設定された透過部である検光子16が配置される。なお、検光子は不図示の駆動機構によって挿抜および回転可能に配置されている。
【0012】
拡散照明部5から照射される拡散光は偏光子15aを通った後、前述図3に示すウェハ1の端部の上面と下面の平坦部11、斜め曲線部(BEVEL)10および頭頂部(APEX)9を照射する。そこで拡散反射および正反射した反射光の一部は対物レンズ18、ハーフミラー17および検光子16を経由してカメラ20に入射し、像を形成する。
また落射照明光源19から出た光は偏光子15bを通り、ハーフミラー17で反射しウェハ1の頭頂部(APEX)9方向に方向を変えられた後、対物レンズ18を通過してウェハ1の頭頂部(APEX)9付近に焦点を結ぶ。そこで正反射した反射光および拡散反射した反射光の一部は対物レンズ18を通過した後ハーフミラー17を透過して、検光子16を通りカメラ20に入射して像を形成する。カメラ20で撮像された画像は、そこに欠陥が存在する場合、情報処理部21においてその欠陥が種類別に自動分類される。
このように撮像された前記欠陥A−Dの画像を図5にしめす。図5に示すように、実施例1の第1の動作状態ではウェハ1の斜め曲線部(BEVEL)10及び頭頂部(APEX)9を撮像することが出来る。
【0013】
次に、図2に本発明の実施例1の第2の動作状態の概略側面図を示す。図1の第1の動作状態ではカメラ20がウェハ1の側面に対向して配置されるのに対し、第2の動作状態ではカメラ20がウェハ1の上面および下面にそれぞれ対向して配置される。落射照明光源19、ハーフミラー17および対物レンズ18の構成要素は、図1の第1の動作状態と実質的に同じ相対的位置関係でカメラ20に対し配置される。
このような構成の光学系において、上記拡散照明部5及び落射照明光源19からの光により上面に配置されたカメラ20で撮像された欠陥A−Dを図6に示す。この図6から明らかなように、実施例1の第2の動作状態ではウェハの斜め曲線部(BEVEL)10および平たん部11を撮像することが出来る。
【0014】
本発明の実施例1の端部検査装置は上記図1に示す動作状態1と図2に示す動作状態2を取ることができる。動作状態1と動作状態2の共通光学要素、例えば拡散照明部5、落下照明光源19、カメラ20等は共有してもよい。また、動作状態1の端部検査装置と動作状態2の端部検査装置との両方をそれぞれ別に備えることもできる。その場合は、動作状態1の端部検査装置と動作状態2の端部検査装置とウェハ外周上の位置をずらして配置する。
このように動作状態1および動作状態2を取ることのできる本発明の実施例1の端部検査装置は、拡散照明及び落射照明の2つの種類の光源から発せられる複数の方向からの照明光により、ウェハの端部の全体、即ち頭頂部(APEX)9、斜め曲線部(BEVEL)10および平坦部11を一括して撮像することが出来、そこに存在する欠陥の画像を一括して表示することが出来る。
なお、検査対象のウェハ1は不図示の回転駆動機構によりウェハの円中心を回転駆動軸として回転可能となっている。回転駆動機構によりウェハの検査位置をずらしながら検査することによりウェハ全周の検査が可能となっている。また、ウェハが偏芯して置かれる場合は不図示の端部位置検出装置で回転中心とウェハ端部位置との距離を求めて、観察位置(撮像光軸方向および撮像光軸方向と直交する軸方向)が所望の位置となるように、端部検査装置とウェハとを相対移動することもできる。
【0015】
ここで、従来例で既述した図15、図16に記載される欠陥A−Dがウェハの端部の表面にある場合を想定する。欠陥Aのような「膜残り」あるいは欠陥Bのような大きな凹みである「欠け」の場合は、表面は比較的滑らかであり、光は乱反射されない。一方、欠陥Cのような「異物」および欠陥Dのような「傷」の場合は、光は乱反射(拡散反射)される。乱反射された反射光は、偏光方向が乱れ、偏光子15による直線偏光方向と直交する偏光方向成分を有するようになり、その成分が偏光子15とクロスニコルに設定された検光子16を透過して「漏れ光」としてカメラ20に撮像される。
【0016】
この乱反射により反射光の偏光方向が乱れる様子を図17に概念的に示す。図17の縦軸は電界成分(振動方向)が入射面に平行なP波の偏光方向を示し、横軸は電界成分(振動方向)が入射光に垂直なS波の偏光方向を示す。各照明部即ち拡散照明部5および落射照明光源19から発し、それぞれ偏光子15a,15bを通過した照明光の偏光状態(以下「第1の偏光状態」と呼ぶ)はある1つの偏光面内にある。欠陥Aからの反射光の偏光状態は、正反射(鏡面反射)のため偏光方向が変わらず第1の偏光状態と同じ偏光状態にある。これらの偏光面はP偏光とS偏光の混ざった縦軸と横軸との間にあり、第1の実線の矢印で示される。一方欠陥Cからの反射光は欠陥Cにおける乱反射(拡散反射)により偏光状態が変化し、第1の偏光状態の偏光面と直交する偏光状態(以下「第2の偏光状態」と呼ぶ)の成分を有するようになる。この欠陥Cで乱反射した反射光の偏光方向を第2の実線の矢印で示す。この2つの実線の矢印の間の変化が欠陥Cにおける乱反射による反射光の偏光状態の変化、「ずれ」を示す。
【0017】
検光子16は偏光子15a,15bとクロスニコルの関係(偏光透過軸が略直交する関係)に設定されているため、検光子の偏光方向(偏光透過軸の方向、以下適宜偏光方向と呼ぶ)は第1の実線の矢印と直交する方向であり、点線の矢印で示される。第2の実線の矢印の点線の矢印方向(検光子16の偏光方向)への成分が太い実線矢印で示される。この太い実線矢印が乱反射した反射光の第2の偏光状態の成分であり、この成分は検光子の偏光方向と同じため、検光子を透過してカメラ20において「漏れ光」として撮像される。一方欠陥Aからの反射光は、正反射のため反射により偏光方向が変わらず、検光子16の偏光方向(点線の矢印)への成分を持たないため、撮像されない。
【0018】
このように図1、図2の動作状態において第1の像形成部として機能するカメラ20により暗視野で撮像された欠陥A−Dの第1の像をそれぞれ図5、図6に示す。これらの図から明らかなように「異物」欠陥Cおよび「傷」欠陥Dのみが明るく撮像され、検出されている。
カメラ20にて撮像された画像に存在する欠陥は、情報処理部21においてその種類を「異物」や[傷」のように入射光を乱反射する欠陥と、「膜残り」や「欠け」のように入射光を乱反射しない欠陥に自動分類される。
従って実施例1の端部検査装置は、図1、図2に示す動作状態による暗視野検査により、被検査体の端部の欠陥を、入射光を乱反射する「異物」及び「傷」の欠陥と、入射光を乱反射しない「膜残り」及び「欠け」の欠陥に自動分類することが出来る。また、乱反射する欠陥について形状解析を行い、「異物」と「傷」に分類することができる。同様に、乱反射しない欠陥についても形状解析を行い「膜残り」と「欠け」に自動分類することができる。
【0019】
また、実施例1の図1と図2の動作状態において偏光子と検光子をオープンニコルな関係(偏光子の偏光方向と検光子の偏光方向が略一致する関係)に設定し、あるいは偏光子と検光子の一方または両方を取り除いた構成において第2の像形成部として機能するカメラ20により第2の像を撮像し、様々な欠陥の明視野での画像を得ることが可能である。これらは例えば、欠陥A−Dに対する従来例の撮像画像、図13、図14と同じである。これらの明視野での欠陥の第2の像と、上記の暗視野での欠陥の第1の像とを情報処理部21において比較することにより、効率的に欠陥の種類を自動判定することが可能となる。
【0020】
本発明の実施例1の端面検査装置は、第1の動作状態(図1)および第2の動作状態(図2)を取ることが出来るため、第1の動作状態(図1)では頭頂部(APEX)9、斜め曲線部(BEVEL)10を一度に一括して撮像でき、第2の動作状態(図2)では平坦部11と斜め曲線部(BEBEL)を一度に一括して撮像することが出来る。このように、ウェハ1の端部の全域、即ち頭頂部(APEX)9、斜め曲線部(BEVEL)10及び平坦部11をして撮像し、端部の欠陥を検査することが可能である。
また偏光子15a、15bと検光子16をクロスニコルとオープンニコルの両方の関係となるように調整することにより、暗視野と明視野の両方における欠陥の画像を得ることが出来、それらの比較によりウェハ端部の欠陥を効率的に自動分類することができる。
【0021】
本発明に基づく実施例2の概略側面図の2つの動作状態を図3および図4に示す。図3はその第1の動作状態を示す。実施例1の第1の動作状態(図1)との違いは受光側の検光子16の手前に第2のハーフミラー17bを設け、光路を2つに分け、それぞれの光路の先に2つのカメラ20a,20bを配置して撮像することである。この2つのカメラ20a,20bのうち、ウェハの頭頂部(APEX)9に対向する第1の像形成部である第1のカメラ20aにのみ前面に検光子を配置し、ウェハ1に対し落射照明光源19と平行して配置される、第2の像形成部である第2のカメラ20bには検光子を設けない。
【0022】
拡散照明部5からの光は偏光子15aを通りウェハ1の端部の上面と下面の平坦部11、斜め曲線部(BEVEL)10および頭頂部(APEX)9を照明する。そこで正反射または乱反射した反射光の一部は対物レンズ18、第1のハーフミラー17aを経由して、一部は第2のハーフミラー17bを透過し検光子16を通過して第1のカメラ20aに入射し、一部は第2のハーフミラー17bで反射して第2のカメラ20bに入射し、それぞれ像を形成する。
落射照明光源19から出た光は偏光子15bを通り、第1のハーフミラー17aで直角に方向を変えられて、対物レンズ18を通過してウェハ1の頭頂部(APEX)9付近に焦点を結ぶ。そこで正反射または乱反射した反射光の一部は対物レンズ18を通り第1のハーフミラー17aを透過して、一部は第2のハーフミラー17bを透過し検光子16を通り第1のカメラ20aに入射し、一部は第2のハーフミラーで反射して検光子を持たない第2のカメラ20bに入射し、それぞれ第1の像(第1のカメラ20aの像)及び第2の像(第1のカメラ20bの像)を形成する。第1のカメラ20aと第2のカメラ20bで撮像された画像に存在する欠陥は情報処理部21において欠陥の種類が自動分類される。
【0023】
図4は実施例2の第2の動作状態を示す図である。この動作状態では実施例2の第1の動作状態において第1のカメラ20aがウェハ1の頭頂部(APEX)9に対向しているのに対し、ウェハ1の端部の上面および下面に対向するようにそれぞれ1つの第1のカメラ20aを配置し、その他の光学系構成要素即ち,第2のカメラ20b,落射照明光源19、対物レンズ18、第1および第2のハーフミラー17a,17bおよび検光子16は、図3の第1の動作状態と実質的に同じ相対的位置関係でカメラ20aに対し配置される。
この第2の動作状態では撮像範囲はウェハの斜め曲線部(BEVEL)10および平たん部11を網羅する。
【0024】
この検光子16を前面に持つ第1のカメラ20aは、検光子16を拡散照明部5と落射照明光源19のそれぞれの偏光子15a,15bとクロスニコルの関係に設定して撮像可能であり、一方検光子16を持たない第2のカメラ20bはオープンニコルの関係で撮像可能である。
従って実施例2は、実施例1において、偏光子と検光子の関係をクロスニコルに設定して一度カメラ20で撮像し、次にオープンニコルに設定して再び撮像するという2段階の撮像ステップを、2つのカメラ20a,20bを設けることにより1度に撮像することを可能とした構成であり、ウェハ1の端部検査の工程が省力化されるという利点を有する。
【0025】
(検査フロー)
ここで各実施例におけるウェハ端部の検査手順を述べる。図8は本発明の実施例1の検査フロー図であり、図7はその第1のステップであるステップ11の「条件出し」に関する詳細フロー図である。
まず図8のステップ11において、ウェハ1の斜め曲線部(BEVEL)10の範囲内で品質が良好である箇所を選定し、その良品箇所において偏光子15a,15bおよび検光子16の条件出しを行う。ここにおいて、良品箇所とは異物、傷、欠け、膜残りなどの欠陥が存在しない場所である。ウェハ端部の検査では、様々な方向から曲面を照明するため、実際には位置によって照明光の偏光方向が若干異なっている。そのため、ウェハの端部の全域において照明光を直線偏光する偏光子の偏光方向と検光子の偏光方向がほぼクロスニコルになるように偏光子と検光子を調整する。即ち、偏光子および検光子を使用した状態で、ウェハ端部の良品箇所全域からの正反射の反射光の平均輝度で表示される信号が最小になる、偏光子と検光子の偏光面方向の角度の組合せを求めることとなる。
【0026】
このステップ11は詳細には図7に示される以下のステップからなる;
ステップ102:偏光子および検光子の偏光方向を所定の角度に設定する。
ステップ103:検光子の偏光方向を所定の角度ずつ回転させながら、その角度でのウェハ端部全域の平均輝度を算出する。
ステップ104:平均輝度が局所的に最小(極小)となる検光子偏光方向の角度、および平均輝度の極小値を求める。
ステップ105:平均輝度の極小値と閾値を比較する。
ステップ106:平均輝度の極小値が閾値より小さい場合、平均輝度が極小になる偏光子と検光子の偏光方向の角度の組合せを検査可能条件とし、条件出しを終了する。
ステップ107:平均輝度の極小値が閾値以上である場合、偏光子を所定の角度だけ回転して、ステップ103に戻る。
ここにおいて、閾値、偏光子及び検光子の偏光方向の回転角度ピッチは個別に設定することが出来る。
ここで得られた偏光子と検光子の条件、即ち偏光子の偏光方向の角度と検光子の偏光方向の角度の組み合わせを、本検査装置内または外部の記憶装置(不図示)に記憶し、次回の検査時に使用して調整を省略することが出来る。また検査ごとに調整を実施してもよい。
【0027】
次に図8に戻り、ステップ12において偏光子と検光子の偏光方向がクロスニコルな状態で撮像し、ステップ13において「漏れ光」のある部分を欠陥として検出する。次にステップ14において「漏れ光」の明るさ、及び形状等に基づいて欠陥を異物欠陥、傷欠陥、欠け欠陥、膜残り欠陥等に自動分類する。次にステップ15において偏光子と検光子の偏光方向の関係をオープンニコルにするか、又は偏光子または検光子を外して撮像を行い、ステップ16において撮像結果を画像処理して欠陥を検出する。最後にステップ17において、ステップ12、13において検出、分類された欠陥(クロスニコル状態での欠陥)以外の、ステップ16で検出された欠陥について、形状等に基づいて自動分類する。
【0028】
実施例2の検査フローを図9に示す。実施例1の検査フロー(図8)との 違いは、図8のステップ12におけるクロスニコル状態での撮像とステップ 15におけるオープンニコル状態での撮像を並行して同時に行う点である。
即ち、ステップ11においてウェハの斜め曲線部(BEVEL)10の良 品箇所において偏光子15a,15bおよび検光子16の条件出しを行う。 次にステップ12において偏光子と検光子の偏光方向がクロスニコルな関係 で撮像し、ステップ13において「漏れ光」のある部分を欠陥として検出す る。ステップ12と同時に並行してステップ14において偏光子と検光子の 偏光方向の関係をオープンニコルにするか又は偏光子又は検光子を外して撮 像を行い、ステップ15においてその撮像結果を画像処理して欠陥を検出す る。
【0029】
ステップ13及びステップ15の終了後、ステップ16においてステップ 12およびステップ13でクロスニコル状態において撮像、検出された「漏 れ光」の明るさ、及び形状等に基づいて欠陥を異物欠陥、傷欠陥、欠け欠陥 、膜残り欠陥等に自動分類する。次にステップ17において、ステップ16 において分類された欠陥(クロスニコル状態での欠陥)以外の、ステップ1 4およびステップ15でオープンニコル状態において撮像、検出された欠陥 について、形状等に基づいて自動分類する。
【0030】
本発明の実施例では半導体ウェハを被検査体の例として説明して来たが、本発明の被検査体は半導体ウェハに限らず、液晶ガラス基板などの平面形状の被検査体や球状やその他の形状の被検査体を含む。
【符号の説明】
【0031】
1 半導体ウェハ
5 拡散照明部
9 頭頂部(APEX)
10 斜め曲線部(BEVEL)
11 平坦部
15 偏光子
16 検光子
17 ハーフミラー
19 落射照明光源
20 カメラ
21 情報処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の端部を第1の偏光状態の光で照明する照明部と、
前記端部で拡散反射される反射光の第2の偏光状態の成分を透過する透過部と、
前記透過部を透過した成分により前記端部の第1の像を形成する第1の像形成部と、
を有することを特徴とする端部検査装置。
【請求項2】
前記照明部は複数の方向から前記端部を照明することを特徴とする請求項1に記載の端部検査装置。
【請求項3】
前記第1の偏光状態と前記第2の偏光状態とは互いにクロスニコルの関係にあることを特徴とする請求項1または2に記載の端部検査装置。
【請求項4】
前記端部で反射される正反射を含む反射光を前記透過部を経由せず直接受光し、前記端部の第2の像を形成する第2の像形成部をさらに有することを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の端部検査装置。
【請求項5】
前記第1の像から前記照明部の光の偏光状態に変化を与える欠陥の情報を検出し、前記第2の像から前記照明部の光の偏光状態に変化を与えない欠陥の情報を検出する情報処理部をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の端部検査装置。
【請求項6】
前記情報処理部は、前記第1の像に存在する前記端部の欠陥と前記第2の像に存在する前記端部の欠陥とを比較することにより前記端部の欠陥を自動的に分類することを特徴とする請求項4に記載の端部検査装置。
【請求項7】
前記照明部は拡散照明光源と、落射照明光源と、を有することを特徴とする請求項1−6のいずれかに記載の端部検査装置。
【請求項8】
前記照明部は前記第1の偏光状態の光を作り出す偏光子を有することを特徴とする請求項1−7のいずれかに記載の端部検査装置。
【請求項9】
前記透過部は前記拡散反射された反射光を検光する検光子を有することを特徴とする請求項1−8のいずれかに記載の端部検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−83125(P2012−83125A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227306(P2010−227306)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】