説明

符号化および復号化の方法およびシステム

nビットのバイナリコードでタグを符号化する方法および装置。ひとつ以上の個別に検出可能な特性がタグに関連付けられ、各特性は、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグのIDを符号化および復号化する方法およびシステムと、その用途とに関する。
【背景技術】
【0002】
自動識別は、各種のバーコード、IDタグ(identification tag)などさまざまな方法において実施することができ、物品および人物を識別する目的に使用することができる。
【0003】
RFID(無線ICタグ:Radio Frequency Identification)は、用途がバーコード技術に似ている自動識別技術であるが、光信号の代わりに無線周波数を使用する。RFIDシステムは、2つの主要構成要素として、リーダと、タグまたはカードとから成る。これらの構成要素は、協働して、人、動物、または物体を一意に識別するための非接触型ソリューションをエンドユーザに提供する。リーダはいくつかの機能を実行し、その1つは、リーダからRFIDタグへの電力の「搬送波」としての役割を果たす低レベルの無線周波数磁界を発生させることである。
【0004】
受動的なRFIDタグは、アンテナと集積回路(IC)とを含む。ICは、最小限の電力のみで機能する。このタグにおけるアンテナは、リーダによって発生する磁界中に存在するエネルギを集める手段を有し、そのエネルギをICが使用するための電気信号に変換する。リーダによって発生した磁界中にタグが持ち込まれると、収集されたエネルギによってICに電力が供給され、メモリ内のデータによって変調された電磁信号がタグのアンテナによって伝送される。タグから伝送される電磁信号は、リーダ内のアンテナによって収集され、元の電気形式に変換される。リーダは、高感度の受信システムを含んでおり、このシステムは、微弱なタグ信号の検出および処理を行うように設計されており、タグメモリに格納された元のデータを復調する。
【0005】
受動的なタグとは対照的に、能動的なタグは、IC用の動作電力を供給する小型バッテリを含む。ICは、リーダにより問い合わせられると、自身を識別する信号を、リーダの高感度の検出回路およびデータ伝送回路に送信する。これにより、能動的なタグは、受動的な同等物よりもリーダから相当に離れた距離においてデータの送信を開始することができる。さらに、能動的なタグは、バッテリのエネルギを使用して、かなり強い電磁応答信号を生成する。これらの結果、読取り範囲は受動的なタグよりもより広くなる。
【0006】
現在および将来的に登場する多くの用途では、離れた場所から物体を自動的に識別する能力が要求される。RFIDにより与えられるこの要求はある程度までであり、リーダとタグとの間の見通し環境が必要ないという利点を有する。このことは、バーコードなど、光リーダが識別対象物から見通し環境にあることを必要とする光学的認識技術とは異なる。また、ほとんどの光学的読取技術では、識別コードの指向性復号化も必要であり、コードの一部としてのスタートビットとストップビットとを生じさせる。従来のリニアバーコードにおいては、バーが現れる順序は重要であり、この順序を変更すると別のコードになる。これと同じことは、RFIDタグにも当てはまり、RFIDタグにおいては、一般にはタグ内のリフレクタを使用してRF信号が変調され、従って、結果としてタグが戻すコードはリフレクタの有無によって影響を受ける。
【0007】
特許文献1(「RF tagging system and RF tags and method」、モトローラ社(イリノイ州シャインバーグ)に譲渡、1995年公開)には、タグ上に複数の共振回路を有するRFタグシステムが開示されている。タグが検出範囲に入ると、システムは、各共振回路の共振周波数を決定し、対応するコードを生成する。共振周波数の検出は、タグの回路に対応する可能性のある各共振周波数を持つ信号を同時に放射することによって実施される。このシステムは、手荷物や生産在庫品目など任意の物品を符号化するのに有用である。
【0008】
特許文献1におけるリーダは、位置が固定された複数の多重送信器周波数プローブを有するアンテナアレイを備える。タグは、複数の受動的な共振回路を備えており、受動的な共振回路のそれぞれは、複数の所定の既知の共振周波数から選択される任意の異なる周波数において共振することができる。共振回路のそれぞれは、タグの平面上の異なる位置に固定される。タグは、位置が固定された複数のプローブに対して自身の位置が固定されるように、ガイドレール間に配置される。周波数が調整された回路の列がプローブの真下を通るようにタグを動かすことにより、あるいは、周波数が調整された回路の真上に位置が合うように、別の方法でプローブを配置させることにより、それぞれのプローブは、いずれかの回路の共振周波数に一致する可能性のある共振周波数信号を同時に放射する。
【0009】
そのようなシステムは図1に概略的に示してあり、この図においては、タグ10は、リーダ11によって識別されるコードが生成されるように複数の周波数源によって符号化される。従って、図示したように、タグ10は、3つの異なる周波数源(それぞれf、f、fによって表す)のみを有する。図示したように、これらの周波数源はそれぞれ複数回使用することができ、周波数源がタグに存在している状態および存在していない状態が、それぞれ「Y」および「N」によって表される。このため不確定性が生じることはない。その理由として、周波数源は空間的に隔てられており、リーダ11は、各周波数源(不確定性がある)をその位置(つねに一意である)に関連付けて読み取ることがあげられる。従って、周波数源がリーダ11に信号を伝送すると、その周波数源が既知の位置に存在することを示し、リーダによって解釈される結果のコードにおける対応位置を、論理「1」に(または負論理が使用されている場合は論理「0」に)設定することができる。各周波数源の位置は一意でなければならないため、伝送される周波数のうちのひとつ以上がたとえ同じであっても、結果のコードはやはり一意である。
【0010】
識別に磁気共鳴(MR)を使用することも知られている。例えば、磁気共鳴映像法(MRI)あるいは核磁気共鳴分光法(NMR分光法)の分野における場合である。さらには、並列に検出される複数の共鳴周波数を識別することが可能である。例えば、特許文献2(「Magnetic resonance imaging apparatus」、(株)東芝に譲渡、1994年公開)によると、非対称エコーデータからデータを生成し、こうして生成されたデータからMR画像を再構築する。
【0011】
特許文献3(「Method for labeling, verification and/or identifying and device for implementing the method」、Micro Tag Temed社に譲渡、1999年に公開)には、紙、クレジットカード/IDカード、紙幣、物品、またはその他の物体の、ラベリング、認証、識別のうち少なくとも1つを行う方法が開示されている。この特許文献3の方法では、磁気的に配置されている材料における核磁気共鳴現象と、核四重極共鳴現象と、周波数が無線周波数帯域である、シュタルク−ゼーマン副殻(Stark−Zeeman sub−levels)間の電気双極子遷移/磁気双極子遷移またはトンネル遷移の現象を使用する。少なくとも1つの少量の認証物質を物体に加える。この物質は、室温で無線周波数領域において識別可能な一意の強い応答を有する。外部の支持静電界が存在しないもとで分光法を行い、識別の基準として特定の応答(強度、線幅、線形状、スプリッティング、自由誘導減衰、スピンエコー、またはこれらの組合せ)を使用する。
【0012】
データ符号化の分野においては、音響信号などの非共振周波数も使用されている。例えば、特許文献4(「Perceptually improved encoding of acoustic signals」、Telefonaktiebolaget
LM Ericsson社に譲渡、2003年に公開)には、符号化される情報から再構築される信号が聴覚的に高音質を有するように音響源信号を符号化する方法が開示されている。音響源信号は、音響信号の重要な聴覚特性を表す少なくとも1つの基本符号化信号に符号化される。符号器は、少なくとも1つのスペクトル平滑化装置を有し、この装置は、基本符号化信号が基づく信号成分の少なくとも1つを受信し、これに応じて、対応する平滑化された信号成分を生成する。音響信号の検出および測定は、周波数に関して行われることを理解されたい。
【0013】
周波数以外に、この分野において知られている別の検出可能な特性があり、その一例が応力である。例えば、特許文献5(「Method of measuring strain」、東京測器研究所に譲渡、2000年に公開)によると、物体のひずみをブリッジによって測定し、このブリッジは、1つのアームに、物体に生じるひずみに応じて抵抗を変化させるひずみゲージを備えており、残りの3つのアームはそれぞれ抵抗器を備える。これらの抵抗器は、物体に生じるひずみには関係なくそれぞれの抵抗値を持つ。ひずみゲージの対角的に向かい合う一対の結合部に一対の電力コーナー(power corner)が配置され、他方の対角的に向かい合う一対の結合部に一対の信号コーナー(signal corner)が配置される。ひずみゲージによってひずみが検出されない間、ブリッジの電力コーナー間に電源電圧を印加し、信号コーナー間の出力電圧eを検出して物体のひずみを検出し、ブリッジの信号コーナー間の出力電圧を検出することにより、ひずみを初期不平衡出力電圧eとして測定する。
【0014】
臭気は、検出可能な特性の別の例である。特許文献6(「Methods and devices for the detection of odorous substances and applications」、Alpha M.O.S.社に譲渡、1998年公開)には、臭気を検出する方法を実行する装置が開示されている。特許文献6の装置は、複数のチャンバを備え、各チャンバは検出手段として複数の半導体ガスセンサを有する。さらに、この装置は、チャンバ内にガス流を形成する変流量ガスポンプと、検出手段を動作させる電子測定デバイスと、検出手段を使用して得られた臭覚的印象をファイルに記録し、臭気を識別および認識することができるように検出された印象とファイル内の印象とを比較するデータ処理ユニットと、を含む。
【特許文献1】米国特許第5,381,137号明細書
【特許文献2】米国特許第5,341,099号明細書
【特許文献3】米国特許第5,986,550号明細書
【特許文献4】米国特許第6,611,798号明細書
【特許文献5】米国特許第6,148,675号明細書
【特許文献6】米国特許第5,801,297号明細書
【特許文献7】米国特許第5,241,160号明細書
【発明の開示】
【0015】
(発明の概要)
本発明の目的は、リーダとタグとの間に所定の空間的関係を必要としない、代替的な符号化方法およびシステムを提供することである。
【0016】
この目的は、本発明の広範な一態様によると、nビットのバイナリコード(n>1)を有するタグを符号化する方法により実現され、この方法は、
(a)タグに、個別に検出可能なひとつ以上の異なる特性を関連付けるステップであり、各特性は、電気的特性、化学的特性、機械的特性を含む群に含まれ、
(b)各特性に、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置を関連付けるステップと、
を有する。
【0017】
本発明はさらに、ひとつ以上の個別に識別可能な異なる特性と関連付けられたタグを有する店内からの窃盗容疑を警告する方法を有し、前記各特性は、前記タグの特徴であるnビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置がそれぞれに関連付けられ、前記方法は、
(a)店内から出るタグによって放射されるnビットのバイナリコードを検出するステップと、
(b)nビットのバイナリコードのうちのひとつ以上が、許可なしに前記店内から移動されるタグに一致しているか否かを判定するステップと、
(c)一致している場合、警報を発するステップと、
を有する。
【0018】
さらに、本発明は、ひとつ以上の個別に識別可能な異なる特性が関連付けられるタグによる在庫管理の方法を有し、前記各特性は、各タグを特徴付けるnビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置が関連付けられ、前記方法は
(a)各タグのnビットのバイナリコードをそれぞれ在庫リストに記録するステップと、
(b)在庫から品目が取り出されるとき、前記タグのnビットのバイナリコードをそれぞれ検出し、検出結果に応じて在庫リストを更新するステップと、
を有する。
【0019】
さらに、本発明は、ひとつ以上の個別に識別可能な異なる特性が関連付けられる手術器具を追跡することにより手術室における安全性を向上させる方法を有し、前記各特性は、各手術器具の特徴であるnビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置がそれぞれに関連付けられ、前記方法は、
(a)手術室の作業領域内に手術器具を移動させるときに、手術器具のそれぞれのnビットのバイナリコードを検出するステップと、
(b)作業領域内にあるすべての手術器具の使用状況リスト(running list)を管理するステップと、
(c)外科手術が終了した時点で、すべての手術器具を確認するステップと、
を有する。
【0020】
さらに、本発明は、ひとつ以上の個別に識別可能な異なる特性に関連付けられた認証タグを身につけている操作者(operative)が使用する認証コードを少なくともひとつ有する電気器具を認証する方法を有し、前記各特性は、各電気器具の特徴であるnビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置がそれぞれに関連付けられ、前記方法は、
(a)認証タグによって放射されるnビットのバイナリコードを検出するステップと、
(b)nビットのバイナリコードのうちの少なくとも1つが、電気器具の特徴であるnビットのバイナリコードに合致するか否かを判定するステップと、
(c)合致する場合、電気器具の動作を許可するステップと、
を有する。
【0021】
さらに、本発明は、ひとつ以上の個別に識別可能な異なる特性に関連付けられたタグにより符号化されたnビットのバイナリコードを復号化する方法を有し、前記各特性はnビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置がそれぞれに関連付けられ、前記方法は、
(a)タグに関連付けられる特性を検出するステップと、
(b)前記nビットのバイナリコードの各位置に、nビットのバイナリコードにおける各位置が関連付けられた特性の有無に従い、バイナリ値をそれぞれ代入するステップと、
を有する。
【0022】
さらに、本発明は、nビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置がそれぞれに関連付けられる個別に検出可能であるひとつ以上の特性によって符号化されるタグを有する。
【0023】
さらに、本発明は、nビットのバイナリコード(n>1)を有するタグを符号化する符号器を有し、前記符号器は、nビットのバイナリコードに応答して、既知の各特性を有し、かつ、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられるひとつ以上の要素を、タグに関連して(in association with)配置する要素リソース装置、を有する。
【0024】
本発明は、nビットのバイナリコードを有するタグを復号化する復号器を有し、前記復号器は、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置がそれぞれに関連付けられるひとつ以上の異なる特性に応答して、nビットのバイナリコードの各位置に、nビットのバイナリコードにおける各位置が関連付けられるそれぞれの特性の有無に従い、各バイナリ値を代入する復号装置を有する。
【0025】
さらに、本発明は、nビットのバイナリコードを有するタグを符号化する方法を有し、前記方法は、
(a)既知の異なる各特性を生成するひとつ以上の所定の特性要素を、タグ上に、またはタグに対応して印刷するステップと、
(b)特性のそれぞれに、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置を関連付けるステップと、
を有する。
【0026】
さらに、本発明は、ひとつ以上の所定の特性要素によって符号化されたタグを有し、特性要素はタグに、またはタグに関連して印刷され、かつ、それぞれnビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられた、既知の所定の各特性に関連付けられる。
【0027】
(詳細な説明)
本発明および本発明を実施する方法を理解するため、本発明を制限することのない例としての好ましい実施の形態について添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【0028】
図2を参照すると、リーダ21によって識別されるnビットのコードが生成されるように複数の周波数源によって符号化されている、本発明に係るタグ20が示されている。以下では、一例として9ビットコードに関して説明するが、本発明の原理は、1より大きい任意の整数値nに容易に適用することができる。
【0029】
9ビットコードの場合、リーダ21は、9つの異なる周波数(f,f,…,fとして表す)を、9ビットコードにおける一意の各位置に事前に割り当てる。第1の周波数源fは最下位ビット(LSB)に割り当てられ、従って一方、周波数源fは最上位ビット(MSB)に割り当てられ、9ビットコードの他の7つのビットは、それぞれ対応する周波数f〜fに割り当てられる。タグ20は、必要なコードに反映される周波数源のみを供給することによって符号化される。従って、110101101を符号化するためには、周波数源f、f、f、f、f、fのみが必要である(正論理が使用されていると想定する)。なお、負論理を代用することができ、それによると、周波数が存在しないときにコードの対応する位置に論理「1」が生じることを理解されたい。
【0030】
いずれの場合にも、周波数源f、f、f、f、f、fは、空間的に制約されていない。すなわち、タグ内にこれらが現れる順序と、これらの相対的な空間的位置とのいずれも重要ではない。実際には、存在している周波数源すべての存在をリーダが識別できる限りは、すべての周波数源を他の周波数源の上に空間的に重ねることができる。従って、図1に示した先行技術のシステムとは異なり、本発明においては、図示したように、既知の異なるそれぞれの特徴周波数を生成し、かつ、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置がそれぞれに関連付けられる複数の所定の周波数源によってタグを符号化することによってのみ、ユニークコードが得られる。
【0031】
周波数源を二回以上使用することができるが、同じ特徴周波数がリーダによって検出され、nビットコードの1つのビットのみに影響するため、同じ周波数源を複数使用することは意味がない。
【0032】
タグを構成している周波数源は、必ずしも、ある体積内に分散している必要はないことに留意されたい。例えば、非常に小さい周波数源をインクに混合して、識別される物体、例えば紙に印刷することができる。別の例としては、繊維を着色するのに使用される顔料と周波数源とを混合することによって、隠れたタグを繊維に印刷することが可能である(使用する顔料が繊維と同じ色である場合)。この方式では、任意の数の周波数源を印刷できることに留意されたい。
【0033】
同様に、強磁性体要素などのさまざまな周波数源の分散体(dispersion)またはコロイドを形成することができ、結果としての分散体またはコロイドは、存在している周波数源に応じてユニークコードを符号化するタグとしての役割を果たす。
【0034】
さらに、これらの周波数源の特徴周波数は、共振周波数である必要はなく、特に高鋭度である必要もないことに留意されたい。従って、互いには区別されないにしても、各帯域内の周波数範囲が隣りの周波数帯域の周波数範囲と区別可能であれば、各周波数は周波数帯域によって実現することが可能となり、各周波数帯域を明確に検出することが可能となる。この場合、特定の帯域内のすべての周波数を通過させ、それ以外の周波数すべてを遮断することによって各周波数帯域を明確に検出することができるように、一連のバンドパスフィルタを使用することができる。
【0035】
図3は、3ビットコードを符号化および復号化する目的で組み合わされているタグ30とリーダ31とを概略的に表しており、3ビットコードは、f、f、fで表されている3つの異なる周波数源(それぞれ、LSB、第2ビット、MSBを符号化する)の有無によって特徴付けられる。リーダ31は、タグ30によって放射される特徴周波数を検出し、以下の論理に従って3ビットコードを作成する。
・3つの周波数源のいずれもタグに存在しない場合、生成される組合せは000である。
・fが存在し、他の2つの周波数源が存在しない場合、生成される組合せは001である。
・fが存在し、他の2つの周波数源が存在しない場合、生成される組合せは010である。
・fおよびfが存在し、fが存在しない場合、生成される組合せは011である。
・fが存在し、他の2つの周波数源が存在しない場合、生成される組合せは100である。
・fおよびfが存在し、fが存在しない場合、生成される組合せは101である。
・fおよびfが存在し、fが存在しない場合、生成される組合せは110である。
・3つの周波数源すべてがタグに存在している場合、生成される組合せは111である。
【0036】
上記の説明から理解されるように、受信される複数の周波数は、それらが対応するタグを識別する役割を果たす。この推論は、タグに対応するnビットのバイナリ文字列を復号化するとき、特定の周波数源がタグに対応するか否かを推論することが可能であることにおいても成り立つ。従って、本例によるnビットのバイナリ文字列において、左から3番目のビットが1であるならば、この文字列は、周波数源fが対応するタグを符号化したものであることを意味する。
【0037】
タグによって符号化することのできるコードの数を増やすことが望ましいときには、ひとつ以上の新しいビットを割り当てなければならず、このことは、一意の特徴共振周波数をそれぞれが有するひとつ以上の新しい周波数源を供給し、新しい周波数源をそれぞれバイナリ文字列における既知の一意の位置に割り当てることを意味する。例えば、図面のうちの図3を参照しながら上述した3ビットコードを4ビットコードに拡張するためには、4ビットコードのMSBに追加の第4の周波数源fを関連付ける。
【0038】
一般的には、周波数源fを導入するためには、fの有無を表すビットを、nビットコードにおける既知の一意の位置に割り当てる必要がある。
【0039】
図4は、本発明による符号器によって実行される主要な動作を示しているフローチャートである。M=1に対応するLSBから開始して、各ビットを連続的に符号化する。対応するビットを1に設定する場合、そのビットに対応する周波数源をタグ上に配置する。次いで、Mの値を増やし、nビットコードにおける連続するビットについてこの処理を繰り返す。
【0040】
図5は、本発明による復号器によって実行される主要な動作を示しているフローチャートである。M=1に対応するLSBから開始して、各ビットを連続的に復号化する。各ビットに対応する周波数が検出される場合、対応するビットを1に設定する。次いで、Mの値を増やし、nビットコードにおける連続するビットについてこの処理を繰り返す。なお、この方法では、任意の数の周波数源を復号化できることに留意されたい。
【0041】
図4および図5に示したフローチャートは、nビットコードを符号化および復号化する方法として、本発明を制限することのない模範的な方法を表しており、当技術分野における当業者には他の形態が明らかであろうことに留意されたい。また、復号器がタグ上に配置されている周波数源を検出する方法は、nビットコードを復号化する方法には影響を与えないことも理解されるであろう。従って、復号器は、特徴周波数のそれぞれを順次選択的に受信し、対応する値を、その特徴周波数に関連付けられるビットに割り当てるように構成することができる。あるいは、復号器は、すべての特徴周波数を複合信号として同時に受信し、リーダから受信される複合信号に対して周波数分離を実行するように構成することができる。この場合、タグに対応する一意の特徴周波数すべてのリストを作成するように、タグによって放射される分離周波数を記録する。逐次復号の場合は、その後、次の復号化を続けることができる。適用可能な周波数分離手法の一例が、上記の特許文献2に記載されている。
【0042】
さらに、ここまで説明した実施の形態においては、周波数源(f,f,…,f)はタグに関連付けられてnビットのバイナリタグを構成し、リーダ204は、これら周波数源によって生成される対応する特徴共振周波数を検出することに留意されたい。使用する周波数源は、能動的な周波数源としてもよい。能動的な周波数源は、例えば、バッテリによって作動するRFIDにおいて使用される回路のような共振回路としてもよい。また、受動的な周波数源を使用することもできる。
【0043】
受動的な周波数源の例として、リーダによって伝送されるエネルギによって作動する共振回路があげられる。そのような共振回路は、スマートカード技術においてよく知られており、例えば、特許文献7(「A System and Method for the Non−Contact Transmission of Data」、On Track Innovations社に譲渡、1993年8月31日発行)に記載されている。他の手法として、核磁気共鳴(NMR)分光法あるいは磁気共鳴映像法(MRI)などの分野における精通者に知られている方法において、共鳴要素を使用することがあげられる。
【0044】
強磁性体要素などの共鳴要素は、それらを所定の励起周波数の中に置くことによって誘起される特徴共振周波数を持つ。従って、共鳴要素は、本発明によるタグにおける受動的な周波数源として使用することができる。なお、共鳴要素は、液体、気体、固体など任意の物理状態をとることができることに留意されたい。
【0045】
当技術分野に精通している者には、上記に使用した用語「特徴周波数」は、リーダによって一意に検出され得る限りは、電磁スペクトルにおける任意の周波数範囲に適用できることが理解できるであろう。例えば、音響信号も使用することができ、あるいは、異なる範囲の組合せを使用することもできる。特徴周波数が一意であり(従って、一意の特徴周波数を形成しており)、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられており、かつ、一意に検出され得る限りは、任意の範囲の特徴周波数を伝達するタグを、本発明に従ってnビットのバイナリコードによって符号化することができる。
【0046】
なお、ここまで説明した実施の形態において、nビットのバイナリコードを有するタグの符号化を可能にする検出可能な特性は、周波数であった。しかし、本発明の別の実施の形態においては、検出可能な別の特性の一例としてひずみを利用できることを理解されたい。この実施の形態によると、(例えば、異なるばねを接続することによって、あるいは異なる材料を使用することによって)異なるひずみレベルをタグに対応させることができる。ひずみレベルのそれぞれには、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置を対応させることができる。タグを特徴付けるひずみレベルの測定は、ひずみゲージを使用するなど、それ自体知られている任意の方法において行うことができる。
【0047】
ひずみは、機械的特性の一例であることに留意されたい。さらに、別の機械的特性を使用することもできる。例えば、温度、速度、寸法などを、個別に検出可能な特性として使用することができる。
【0048】
機械的特性としての寸法の一例は、長さである。所定の長さを持つ線体をタグに接続することができ、所定の長さはそれぞれ、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられる。
【0049】
また、本発明は、電磁特性および機械的特性には限定されず、個別に検出可能である他の任意の特性をタグの符号化に使用できることを理解されたい。別の実施の形態として、例えば臭気の化学的特性を利用することができ、この場合、検出可能な異なる臭気に、nビットのバイナリコードにおける一意の位置を関連付けることができる。
【0050】
上述した実施の形態に従ってnビットのバイナリコードによって符号化することのできるタグは、物体の自動識別など、多くの用途において利用することができる。例えば、衣料品店においては、周波数源の一意の組合せを含むタグによって各製品をマークすることが可能であり、それによって製品を識別する。例えば、店に同じシャツが2枚存在している場合、それぞれのシャツに一意のタグを与えることができる。本符号化方法では、2個の異なるnビットのバイナリコードが可能であり、すなわち、例えば30個の異なる周波数源を使用すると、1000万個以上の異なるタグを用意することが可能であり、これは、平均的な店舗におけるすべての製品に一意のタグを付けるのに十分である。当然ながら、周波数源の数がさらに多ければ、より多くの数の識別タグが可能になる。
【0051】
図6は、窃盗容疑を警告する目的で、タグを使用して製品が一意に符号化されている万引き防止システムにおいて復号器を使用する場合、そのような実施の形態に係る復号器によって実行される主要な動作を示すフローチャートである。タグが受動的な周波数源を有する場合、この万引き防止システムは、所定の励起周波数を発生させる送信器と、タグによって放射される特徴共振周波数を検出するリーダ204とを有する必要がある。送信器の影響を受ける範囲内にタグが置かれると、タグは共振周波数を伝達し、この周波数がリーダによって検出される。リーダ(またはリーダに結合されているプロセッサ)は、タグを復号化し、対応するnビットのバイナリコードを生成する。
【0052】
あるいは、タグは、特徴共振周波数を伝達するために送信器を必要としない能動的な周波数源を有することができる。
【0053】
店舗内の各製品は、それぞれのnビットのバイナリコードを保持している一意のタグを担持しており、これによって、製品のタイプと、特定の品目さえも識別することができる。従って、特定の品目の購入時、その品目のタグの復号化が可能であり、そのnビットのバイナリコードを生成する。このnビットのバイナリコードを、店舗の建物を出ることが許可された品目のリストに加えることができる。
【0054】
店内のすべての出口に周波数リーダを配置して、店内の出口が少なくともリーダの範囲の一部を形成するようにする。これにより、リーダの範囲を形成する出口を通過するタグを復号化することができる。復号化されたnビットのバイナリ文字列が、店内を出ることが許可された品目リストに見つからない場合、それは窃盗容疑とみなされる。
【0055】
なお、この例は本発明を制限するものではなく、当技術分野における当業者には他の実施の形態が明らかであることに留意されたい。例えば、店内を出ることが許可された品目リストを維持する代わりに、店内のすべての品目のリストを作成し、持ち出すことが許可されたときに(すなわちレジにおいて支払を受けた時点で)その品目をリストから削除することが可能である。消費者が店内を出るときに買物カゴの内容物を復号化し、得られたコードが品目リスト内の物品に一致する場合、その物品はその場所から離れることを許可されていないという疑いが生じる。さらに別の手法は、出口においてリーダが共振周波数を検出できないように、有効なタグを遮蔽することである。
【0056】
上記の例に関連して、例えば、店舗あるいは図書館の中の品目にそのようなタグを関連付けることによって、タグを使用して自動的な精算、あるいは自動的な在庫管理が可能となることを理解されたい。
【0057】
図7は、他の実施の形態に係る復号器によって実行される主要な動作を示すフローチャートであり、この実施の形態では、手術室における安全性を高める目的で医療処置中に手術器具を追跡する。手術室においては、ガーゼパッド、鉗子、外科用メスなどの手術器具および手術材料がときとして患者の身体の中に残され、これによって患者に相当な障害が引き起こされる問題が知られている。この危険性を克服する1つの方法は、医師が縫合を開始する前に、スタッフが器具を数えて、すべての器具が行方不明になっていないことを確認することである。この手順は誤りが起こりやすく、本発明に係るタグによって各品目を一意にマークすることによって自動化することができる。手術室の作業領域内に手術器具を移動させる時点で、すべての手術器具それぞれのnビットのバイナリコードを復号化し、作業領域内にあるすべての手術器具の使用状況リストに入れることができる。手術器具が作業領域から出るときには、そのnビットのバイナリコードを使用状況リストから削除する。手術の終了時、リストを調べて、すべての手術器具を確認するようにする。
【0058】
品目を事前に符号化しておくこともできる。例えば、本発明に係るタグを各ガーゼパッドに印刷することが可能である。ガーゼパッドは、数枚をまとめて1つのパッケージに入れることがしばしばある。ガーゼパッドを詰めるときに、詰めるガーゼパッドに関連付けられるnビットのバイナリコードのリストを管理することが可能である。このリスト自体は、例えばパッケージに印刷可能なタグを符号化する一意のnビットのバイナリコードによって識別することができる。
【0059】
タグによってマークされているパッケージを作業領域の中に移動するとき、そのコードが検出され、含まれているガーゼパッドのコードすべてを、作業領域内にあるすべての手術器具の使用状況リストに加える。同時に、ゴミ箱がリーダの範囲内に位置するように、ゴミ箱の近くに周波数リーダを取り付けることが可能である。ガーゼパッドがゴミ箱の中に捨てられると、そのnビットのバイナリコードが使用状況リストから削除される。
【0060】
図8は、さらに別の実施の形態による復号器によって実行される主要な動作を示しているフローチャートであり、この実施の形態では、電気器具を条件付きで使用可能および使用不可にする。例えば、自動車には、所定のキーを使用しないと点火しないようにするエンジン始動ロックが一般に使用されている。そのような所定のキーとして、本発明に係るタグを使用することができる。自動車の中のリーダは、ひとつ以上のnビットのバイナリコードを認識するようにプログラムされている。認証される運転者は、ひとつ以上の所定の周波数源が関連付けられる対応するタグを携帯する必要があり、周波数源はそれぞれ既知の異なる特徴周波数を生成し、特徴周波数はそれぞれnビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置に関連付けられる。タグを復号器に近づけると、タグが復号化され、対応するnビットのバイナリコードが供給される。次いで、エンジン始動ロックは、検出されたnビットのバイナリコードが、認識されているnビットのバイナリコードのいずれかと一致するか否かを判定し、一致する場合、自動車のエンジンに点火できるようにし、一致しない場合、エンジンは点火されないままとなる。
【0061】
さらに、例えば、多数の自動車を保有する会社においては、会社の自動車を運転することが認められている従業員全員のIDを、会社の自動車すべてのリーダにプログラムされるnビットのバイナリコードとして使用し、これにより、認められている従業員のみが会社の自動車を運転できるようにすることができる。また、従業員による会社の自動車の使用に関連するパラメータを監視するリストを作成することも可能である。例えば、そのようなリストによって、ある自動車を運転している各従業員のID、その自動車が使われた日付、走行距離などを追跡管理することが可能になる。
【0062】
図9は、コードリポジトリ41に格納されているnビットのバイナリコードによってタグ40を符号化する符号器の機能を示すブロック図である。周波数源装置42は、コードリポジトリ41に結合されており、コードリポジトリ41に格納されているnビットのバイナリコードに応答して、ひとつ以上の所定の周波数源をタグ40に関連して配置する。周波数源は、既知の異なるそれぞれの特徴周波数を生成し、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられる。
【0063】
図10は、nビットのバイナリコードを有するタグ51を復号化する復号器50の機能を示すブロック図である。この復号器は、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置にそれぞれが関連付けられる、ひとつ以上の異なる特徴周波数を検出する検出器52からなる。検出器52には復号化ユニット53が結合されており、復号化ユニット53は、nビットのバイナリ文字列のそれぞれの位置に、nビットのバイナリコードにおける各位置が関連付けられるそれぞれの特徴周波数の有無に従い各バイナリ値を代入する。
【0064】
上記の説明では、タグには特徴周波数が関連付けられることを説明した。しかしながら、別の電気的特性、例えば振幅等の使用も可能であり、その場合、異なる所定の振幅にnビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられる。従って、一般的には、「所定の周波数」と称する代わりに、「電気的特性」と称することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ユニークコードが生成されるように空間的に制約されている複数の周波数源によって符号化されている先行技術のタグを概略的に示す図
【図2】ユニークコードが生成されるように空間的には制約されていない複数の周波数源によって符号化されている本発明に係るタグを概略的に示す図
【図3】3ビットコードを符号化するように構成されているタグおよびリーダの組合せを概略的に表す図
【図4】本発明に係る符号器によって実行される主要な動作を示しているフローチャート
【図5】本発明に係る復号器によって実行される主要な動作を示しているフローチャート
【図6】本発明に係る在庫管理システムによって実行される主要な動作を示しているフローチャート
【図7】本発明に係る手術器具追跡システムによって実行される主要な動作を示しているフローチャート
【図8】本発明に係る認証システムによって実行される主要な動作を示しているフローチャート
【図9】本発明に係る符号器を機能的に示しているブロック図
【図10】本発明に係る復号器を機能的に示しているブロック図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
nビットのバイナリコード(n>1)でタグを符号化する方法であって、
(a)前記タグに、共振回路を前記タグに関連付ける必要なしに、個別に検出可能である、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれるひとつ以上の異なる特性を関連付けるステップと、
(b)前記特性のそれぞれに、前記nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置を関連付けるステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記電気的特性は、所定の周波数である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電気的特性は、所定の振幅である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記化学的特性は、臭気である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記機械的特性は、ひずみレベルである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記機械的特性は、温度である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記機械的特性は、寸法である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記所定の周波数は、前記タグに関連付けられるそれぞれの周波数源によって放射される、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記周波数源の少なくとも一部は、受動的な周波数源である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記受動的な周波数源は共鳴要素である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記周波数源の少なくとも一部は、能動的な周波数源である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記特徴周波数は、共振周波数である、請求項2記載の方法。
【請求項13】
前記特徴周波数は音響信号を構成する、請求項2記載の方法。
【請求項14】
共振回路をタグに関連付ける必要なしに個別に検出可能であり、前記タグを特徴付けるnビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置に関連付けられるひとつ以上の異なる特性と関連付けられるタグによる、店内からの窃盗容疑を警告する方法であって、
(a)店内から出るタグによって放射されるnビットのバイナリコードを検出するステップと、
(b)nビットのバイナリコードのひとつ以上が、許可なしに前記店内から移動されるタグに一致しているか否かを判定するステップと、
(c)一致している場合、警報を発するステップと、
を有する方法。
【請求項15】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
共振回路をタグに関連付ける必要なしに個別に検出可能であり、前記タグをそれぞれ特徴付けるnビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置に関連付けられるひとつ以上の異なる特性が関連付けられるタグによる在庫管理の方法であって、
(a)各タグの前記nビットのバイナリコードをそれぞれ在庫リストに記録するステップと、
(b)在庫から品目が取り出されるとき、前記タグの前記nビットのバイナリコードをそれぞれ検出し、検出結果に応じて前記在庫リストを更新するステップと、
を有する方法。
【請求項17】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項16記載の方法。
【請求項18】
共振回路をタグに関連付ける必要なしに個別に検出可能であり、手術器具をそれぞれ特徴付けるnビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置に関連付けられるひとつ以上の異なる特性と関連付けられた手術器具の追跡を行うことにより、手術室における安全性を向上させる方法であって、
(a)前記手術室の作業領域内に手術器具を移動させる際に、前記手術器具の前記nビットのバイナリコードをそれぞれ検出するステップと、
(b)前記作業領域内にあるすべての手術器具の使用状況リストを管理するステップと、
(c)外科手術が終了した時点で、すべての手術器具が行方不明になっていないことを確認するステップと、
を有する方法。
【請求項19】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項18記載の方法。
【請求項20】
共振回路をタグに関連付ける必要なしに個別に検出可能であり、電気器具をそれぞれ特徴付けるnビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置に関連付けられるひとつ以上の異なる特性と関連付けられた認証タグを身につけている操作者により、使用される認証コードを少なくともひとつ有する電気器具を認証する方法であって、
(a)前記認証タグによって放射されるnビットのバイナリコードを検出するステップと、
(b)前記nビットのバイナリコードの少なくとも1つが、前記電気器具の特徴であるnビットのバイナリコードに一致するか否かを判定するステップと、
(c)一致する場合、前記電気器具の動作を許可するステップと、
を有する方法。
【請求項21】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
共振回路をタグに関連付ける必要なしに個別に検出可能であり、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置と関連付けられるひとつ以上の異なる特性と関連付けられたタグにより符号化されたnビットのバイナリコードを復号化する方法であって、
(a)前記タグに関連付けられる特性を検出するステップと、
(b)前記nビットのバイナリコードの各位置に、前記nビットのバイナリコードにおける前記各位置が関連付けられる前記各特性の有無に従い、バイナリ値を代入するステップと、
を有する方法。
【請求項23】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記電気的特性は、所定の周波数である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記所定の周波数の少なくとも1つは、共振周波数である、請求項22記載の方法。
【請求項26】
前記所定の周波数の少なくとも1つは、音響信号を構成している、請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記所定の周波数の少なくとも一部を並列に検出するステップを含む、請求項22記載の方法。
【請求項28】
前記所定の周波数の少なくとも一部を順次検出するステップを含む、請求項22記載の方法。
【請求項29】
共振回路をタグに関連付ける必要なしに個別に検出可能であり、ひとつ以上の特性により符号化されたタグであって、前記各特性は、nビットのバイナリコード(n>1)における既知の一意の位置とそれぞれ関連付けられているタグ。
【請求項30】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項29記載のタグ。
【請求項31】
前記電気的特性は、所定の周波数である、請求項30記載のタグ。
【請求項32】
nビットのバイナリコード(n>1)でタグを符号化する符号器であって、
共振回路を前記タグに関連付ける必要なしに、既知の各特性を有し、かつ、前記nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられるひとつ以上の要素を、前記nビットのバイナリコードに応答して、前記タグに関連して配置する要素リソース装置、
を有する符号器。
【請求項33】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項32記載の符号器。
【請求項34】
nビットのバイナリコードを有するタグを復号化する復号器であって、
前記nビットのバイナリコードにおける、既知の一意の位置がそれぞれに関連付けられるひとつ以上の異なる特性に応答して、前記nビットのバイナリコードの各位置に、前記nビットのバイナリコードにおける前記各位置が関連付けられる前記それぞれの特性の有無に従い各バイナリ値を代入する復号ユニット、
を有する復号器。
【請求項35】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項34記載の復号器。
【請求項36】
nビットのバイナリコードを有するタグを符号化する方法であって、
(a)既知の異なる各特性を生成するひとつ以上の所定の特性要素を、前記タグ上にまたは前記タグに対応して印刷するステップと、
(b)前記特性のそれぞれに、前記nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置を関連付けるステップと、
を有する方法。
【請求項37】
前記特性は、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれている、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記電気的特性は、所定の周波数である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記特性要素のうちの少なくとも1つは、周波数源である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記周波数源は、受動的な周波数源である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記受動的な周波数源は、共鳴要素である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記周波数源は、能動的な周波数源である、請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記所定の周波数の少なくとも1つは、共振周波数である、請求項38記載の方法。
【請求項44】
前記特徴周波数の少なくとも1つは音響信号を構成している、請求項38記載の方法。
【請求項45】
前記タグ上に、または前記タグに対応して印刷された、ひとつ以上の所定の特性要素によって符号化されたタグであって、前記特性要素は、それぞれ既知の各所定の特性に関連付けられ、前記所定の特性は、nビットのバイナリコードにおける既知の一意の位置が関連付けられているタグ。
【請求項46】
前記所定の特性は、それぞれ、電気的特性、化学的特性および機械的特性を含む群に含まれており、前記所定の特性は、共振回路を前記タグに関連付ける必要なしに個別に検出可能である、請求項45記載のタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−506204(P2007−506204A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527570(P2006−527570)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000879
【国際公開番号】WO2005/029401
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(506096165)
【Fターム(参考)】