説明

符号化伝送方法、その装置、そのプログラム、およびその記録媒体

【課題】ディジタル信号の圧縮、伝送、伸張にかかる合計時間を効率的に短縮させる。
【解決手段】ディジタル信号をフレーム分割し(62)、前フレームの伝送終了までの伝送合計時間と(726)、各符号化方式による現フレームの現フレーム伝送時間と(746)、前フレームの圧縮終了までの圧縮合計時間と(720)、前フレームの伸張終了までの伸張合計時間と(732)、各符号化方式による現フレームの現フレーム圧縮時間と(738)、各符号化方式による現フレームの現フレーム伸張時間と(752)を算出もしくは推定して、圧縮合計時間と、伝送合計時間と、伸張合計時間と、現フレーム圧縮時間と、現フレーム伝送時間と、現フレーム伸張時間と、に基づいて、現フレームの伸張終了までの合計時間等が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する(70、S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮処理、伝送、伸張処理の一連の処理にかかる時間を短くすることを目的として、ファイル、音声情報、映像情報などを圧縮して伝送する符号化伝送方法、その装置、そのプログラム、およびその記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
音響信号データや映像情報データを通信路により伝送する場合や、情報記録媒体に記録する場合には、音響信号データや映像情報データを情報圧縮符号化により圧縮データに変換し、変換された圧縮データを伝送する方法や、変換された圧縮データを記録する方法が、伝送効率や記録効率の点で、有効である。
【0003】
図1は、例えば音声信号データを送信する送信側コンピュータと、送信された音声信号データを受信する受信側コンピュータの機能構成例を示したブロック図である。送信側コンピュータ2は送信側データ記憶部4、送信側フレーム分割部5、送信側データ圧縮部6、送信側データ送信部8とで構成されている。また、受信側コンピュータ10は受信側データ受信部12、受信側データ伸張部14、受信側データ蓄積部16、受信側データ記憶部18とで構成されている。
【0004】
まず送信側データ記憶部4で記憶されているディジタル化された音声信号が送信側フレーム分割部5に入力され、所定時間区間(以下、フレームという)ごとに分割される。フレーム分割された音声信号データはフレーム毎に、送信側データ圧縮部6に入力され、任意の圧縮方法でフレーム毎に圧縮される。この圧縮方法として、例えば非特許文献1示されているMPEG4 ALSやMPEG AACなどがある。また、画像信号データの圧縮方法として、MPEG Video等がある。
【0005】
圧縮された音声信号データは送信側データ送信部8に入力され、送信側データ送信部8から送信される。送信された音声信号データは、伝送路9を介して、受信側データ受信部12で受信される。受信された音声信号データは、受信側データ伸張部14に入力され、受信側データ伸張部14で圧縮方法と対応する伸張方法でフレーム毎に伸張される。伸張された音声信号データは受信側データ蓄積部16で蓄積される。受信側データ蓄積部16で、ある程度の音声信号データが蓄積されると、受信側データ記憶部18で記憶される。
【0006】
また、送信側コンピュータ2と受信側コンピュータ10との間に、サーバコンピュータが介する場合もある。図2は、例えば音声信号データをサーバコンピュータへ送信する送信側コンピュータと、サーバコンピュータを介して、送信された音声信号データを受信する受信側コンピュータの機能構成例を示したブロック図である。図1と同一機能構成部分には、同一参照番号を付け、重複説明を省略する。またこのことは以下の図面の説明においても同様である。サーバコンピュータ24はサーバ受信部26、サーバ伸張部28、サーバ圧縮部30、サーバ送信部32、とで構成されている。
【0007】
送信側データ送信部8から送信された圧縮後のフレームごとの音声信号データは伝送路22を介して、サーバコンピュータ24中のサーバ受信部26で受信される。受信された音声信号データはサーバ伸張部28で伸張される。伸張された音声信号データはサーバ圧縮部30に入力され、再び、任意の符号化方式で、圧縮される。圧縮されたフレームごとの音声信号データはサーバ送信部32から送信され、伝送路34を介して、受信側コンピュータ10へ送信される。
【0008】
しかし、全てのフレームについて圧縮処理を行うとすると、圧縮処理に計算時間を要する。このためフレームによっては、圧縮処理によるデータ量削減によって、伝送時間が短縮されたとしても、圧縮時間と伝送時間との合計時間(以下、伝送終了合計時間という)が、圧縮処理を行わない場合の伝送終了合計時間より長くなってしまう問題が生じる。
【0009】
この問題を解決した従来の符号化伝送装置を以下に説明する。図3は従来の符号化伝送装置41の機能構成例である。入力部40から入力されたディジタル化された音声信号データがフレーム分割部42に入力される。フレーム分割部42では、一定のフレーム間隔に分割される。フレーム分割された音声信号データはサイズ推定部44、およびスイッチ43に入力される。
【0010】
サイズ推定部44では、予め定められた任意の圧縮方法で圧縮された場合のサイズを推定する。推定されたサイズは圧縮判定部50に入力される。閾値テーブル記憶部52に記憶されている閾値テーブルを使用して、圧縮判定部50ではフレーム毎に、圧縮部46で圧縮した場合の伝送終了合計時間と、圧縮しない場合の伝送終了合計時間を比較して、伝送終了合計時間が短い方を選択する。以下にその原理を説明する。なお、具体的な処理の説明については以下で述べる。
【0011】
図4は、1フレームを無圧縮で伝送する場合と、圧縮して伝送する場合とを比較した図である。ここで、無圧縮の方式を符号化方式1とし、任意の符号化方式で圧縮する方式を符号化方式2とする。フレーム分割された全フレーム数をMとし(Mは2以上の整数)、第mフレームの符号化方式n(n=1、2)での圧縮時間をAmnと表し、伝送時間をBmnと表す。また、第mフレームの符号化方式nで圧縮した場合の圧縮時間Amnと伝送時間Bmnとの合計時間、つまり伝送終了合計時間をXmnと表す。簡略化のために、第1フレーム、第2フレーム、第3フレームについて説明する。つまりm=1〜3である。
【0012】
図4(A)、図4(B)、図4(C)は符号化方式1を採用した場合、つまり、無圧縮の場合の第1フレーム、第2フレーム、第3フレームの合計時間を示したものである。図4(A)、図4(B)、図4(C)では、無圧縮であるため、圧縮時間は考慮されず、伝送時間Bm1(m=1〜3)が伝送終了合計時間Xm1(m=1〜3)になる。
【0013】
図4(D)、図4(E)、図4(F)は符号化方式2を採用した場合、つまり、圧縮した場合の第1フレーム、第2フレーム、第3フレームの伝送終了合計時間を示したものである。つまり、Xm2(m=1〜3)はそれぞれ対応するフレームの圧縮時間Am2と伝送時間Bm2との和になる。
【0014】
図4(A)の伝送終了合計時間X11と図4(D)の伝送終了合計時間X12とを比較すると、伝送終了合計時間が図4(D)、つまり圧縮された場合の伝送終了合計時間X12の方が短い。よって、第1フレームでは、圧縮する、つまり、符号化方式2を選択する。
同様に、図4(B)の伝送終了合計時間X21と図4(E)の伝送終了合計時間X22とを比較すると、伝送終了合計時間が図4(B)つまり、無圧縮の場合の伝送終了合計時間X21のほうが短い。よって、第2フレームでは、無圧縮、つまり、符号化方式1を選択する。
同様に、図4(C)の伝送終了合計時間X31と図4(F)の伝送終了合計時間X32とを比較すると、伝送終了合計時間が図4(F)つまり、圧縮された場合の伝送終了合計時間X32のほうが短い。よって、第3フレームでは、圧縮する、つまり、符号化方式2を選択する。
つまり、第1フレーム、第3フレームでは符号化方式2が選択され、第2フレームでは符号化方式1が選択される。よって、第1〜3フレームの伝送終了合計時間の合計は図4(G)に示すようになる。
【0015】
図5(A)、(B)、(C)はそれぞれ、3フレームとも無圧縮した場合の伝送終了合計時間、3フレームとも圧縮した場合の伝送終了合計時間、符号化伝送装置41を適用した場合の伝送終了合計時間を比較したものである。図5(A)は、3フレームとも無圧縮の場合の伝送終了合計時間の合計であるX11+X21+X31(B11+B21+B31)を示し、図5(B)は、3フレームとも圧縮した場合の伝送終了合計時間の合計であるX12+X22+X32(A12+B12+A22+B22+A32+B32)を示し、図5(C)は、符号化伝送装置41を使用した場合の、3フレーム分の伝送終了合計時間の合計であるX12+X21+X32を示したものである。図5(C)から明らかなように、従来の技術を用いて、フレーム毎に伝送終了合計時間を短くするように、圧縮するか圧縮しないかを選択することで、全フレームの伝送終了合計時間を短くすることが出来る。
【0016】
次に、フレーム毎に、圧縮するか否かをどのように判別するかを具体的に説明する。以下の説明では、伝送するデータを画像データとし、この画像データに対してフレーム分割部42でフレーム(ブロック)化を行う。図6は、図3中の閾値テーブル記憶部52に記憶されているテーブルの具体例である。この具体例では、1フレームのデータサイズが1MBの場合の伝送路の伝送時間と圧縮時間に対する例である。伝送路の転送速度が1000kbit/s、圧縮時間が2秒の場合について説明する。圧縮せずに、つまり符号化方式1で、1フレームを伝送する場合の伝送時間は、1MBは8000kbitであることから、8000/1000=8秒となる。一方、圧縮して伝送する場合、つまり符号化方式2で1フレームを伝送する場合の伝送時間は、圧縮時間が2秒であるから、伝送時間が8−2=6秒以下でなければ、符号化方式1より長く時間がかかってしまう。よって、圧縮処理を行わない場合に8bit/pixelの画像に対して、サイズ(符号長)を6bit/pixel以下に圧縮できる場合は圧縮を行い、圧縮しても、それ以上のサイズにしかならない場合は、圧縮を行わないようにする。よって閾値テーブルで転送速度が1000kbit/s、圧縮時間が2秒の場合、最低値は6bit/pixelとなる。このようにして、圧縮判定部50では、サイズ推定部44で推定されたサイズを用いてフレーム毎に、圧縮するか否かを判定する。圧縮すると判定すれば、スイッチ43を432側に切替え、圧縮しないと判定すれば、スイッチ43を431側に切替える。圧縮すると判定されたフレームは、圧縮部46で圧縮され、圧縮したことを示すフラグ、例えば「1」を添付して、出力部48から出力される。圧縮しないと判定されたフレームは圧縮しないことを示すフラグ、例えば「0」を添付して、出力部48から出力される。
【非特許文献1】ISO/IEC 14496-3 AMENDMENT2:Audio Lossless Coding(ALS),new audio profiles and BSAC extensions
【特許文献1】特開2001−326930号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、従来の符号化伝送装置41では、フレーム毎に合計時間または推定合計時間が短くなるように、符号化方式1(無圧縮)もしくは符号化方式2(圧縮)が選択されている。そのため、フレーム毎の伝送に要する合計時間または推定合計時間は最短となっている。以下に、特許文献1に示す符号化伝送装置41の問題点を述べる。
【0018】
図7は、従来の符号化伝送装置41を実施した場合の、第m−1フレーム、第mフレーム、第m+1フレーム(m=1、...、M Mは全体のフレーム数)である圧縮時間、伝送時間を示した図である。この場合は、第m−1フレームと第m+1フレームについては、符号化方式2(圧縮)が選択され、第mフレームについては、符号化方式1(無圧縮)選択されている。
【0019】
図7に示すように、第m−1フレームを圧縮している時間A(m−1)2つまり図6に示すaの時間に、第m−2フレーム(図示せず)を伝送することができ、つまり、第m−2フレームの伝送時間B(m−2)2(図示せず)をaの時間に充てることが出来る。また、第m−1フレームの伝送時間B(m−1)2と第mフレームの伝送時間Bm1の時間であるbの時間に第m+1フレームを圧縮する、つまり圧縮時間A(m+1)2を充てることが出来る。同様に、第m+1フレームの圧縮時間A(m+1)2の時間であるcの時間に第m+1フレームの伝送時間B(m+1)2を充てることができる。同様に、第m+1フレームの伝送時間B(m+1)2である時間dに第m+2フレームを圧縮する場合は圧縮時間A(m+2)2を充て、圧縮しない場合は伝送時間B(m+2)1を充てることができる。よって複数のフレームで見ると、伝送に要する全体的な合計時間または推定合計時間は最短となっていない。
【0020】
また、従来の符号化伝送装置41では、圧縮されたフレームを受信する受信側の伸張処理にかかる時間である伸張時間が考慮されていない。よって、実際の処理では、受信側が圧縮されたフレームを伸張して、フレームを蓄積する場合が多いので、従来の符号化伝送装置では、正確に圧縮時間、伝送時間、伸張時間の全体的な合計時間または推定合計時間を縮小することは出来ない。
【0021】
また、符号化伝送装置では、符号化方式を2種類のみ、つまり、1種類の任意の符号化方式で圧縮するか、無圧縮かの2種類であった。よって、圧縮処理の柔軟性に欠けていた。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明によれば、ディジタル信号を所定時間区間(以下、フレームという)ごとに分割し、前フレームのディジタル信号の伝送終了までの合計時間または推定合計時間を伝送合計時間として算出し、各符号化方式による現フレームの伝送時間または推定伝送時間を現フレーム伝送時間として算出し、上記前フレームのディジタル信号の圧縮終了までの合計時間または推定合計時間を圧縮合計時間として算出し、上記前フレームのディジタル信号の伸張終了までの合計時間または推定合計時間を伸張合計時間として算出し、上記各符号化方式による現フレームの圧縮時間または推定圧縮時間を現フレーム圧縮時間として算出し、上記各符号化方式による現フレームの伸張時間または推定伸張時間を現フレーム伸張時間として算出し、上記圧縮合計時間と、上記伝送合計時間と、上記伸張合計時間と、上記現フレーム圧縮時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記現フレーム伸張時間と、に基づいて、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する。
【発明の効果】
【0023】
上記の構成により、フレーム毎に圧縮時間または推定圧縮時間、伝送時間または推定伝送時間、伸張時間または推定伸張時間のうち、最も、ボトルネックになる要素の稼働率を向上させる符号化方式を選択することができるため、複数フレーム単位で見ても、伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最短となるように、符号化方式を選択することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
まず、この発明の原理を説明する。この発明は、ファイル、音声情報、映像情報などのディジタル信号を伝送することができる。
この発明の原理の説明および以下で述べる実施例の説明で使用する用語、記号について説明する。また、この発明で使用される符号化方式は予め用意されており、N個(Nは2以上の任意の整数)であり、フレーム分割されたフレーム数をM個とする。図8に示すように、第mフレーム(m=1、...、M)の第n番目の符号化方式(n=1、...、N)で、送信側で圧縮処理にかかる時間を現フレーム圧縮時間Amn、送信側から出力された圧縮されたフレームが伝送路を経由して、受信側に到着するまでの伝送時間を現フレーム伝送時間Bmn、受信側で圧縮された受信フレームの伸張処理にかかる時間を現フレーム伸張時間Cmnと表す。また、第1フレームの圧縮開始時刻を0とすると、現フレーム(第mフレーム)の圧縮処理が終了するまでの合計時間を圧縮合計時間TAmn、現フレームの伝送処理が終了するまでの合計時間を伝送合計時間TBmn、現フレームの伸張処理が終了するまでの合計時間を伸張合計時間TCmnと表す。
【0025】
現フレームのフレーム番号をmとし、前フレームを現フレームの1つ前のフレームとし、過去のフレームを第1フレームから前フレームまで全てのフレームを示す。
【0026】
この発明は、全Mフレームの圧縮処理、伝送、伸張処理の総合計時間が最も短くなるように、予め用意されたN種類の符号化方式から、フレーム毎に符号化方式を選択するというものである。以下に具体的に説明する。
【0027】
発明の原理の説明については、簡略化のために、予め用意された符号化方式の数は3個(N=3)であり、無圧縮方式である符号化方式1、任意の圧縮方式である符号化方式2と符号化方式3とする。フレーム分割された信号のうち、第1フレーム、第2フレーム、第3フレームの信号、つまりフレーム番号m=1〜3について説明をする。
【0028】
図9Aは、第mフレームの信号に符号化方式1を適用した場合の伝送時間Bm1を示した図である。符号化方式1は無圧縮方式であるので、圧縮処理、伸張処理を行わず、圧縮時間、伸張時間については考慮されない。図9Bは第mフレームの信号に符号化方式2を適用した場合の圧縮時間Am2、伝送時間Bm2、伸張時間Cm2を示した図である。図9Cは第mフレームの信号に符号化方式3を適用した場合の圧縮時間Am3、伝送時間Bm3、伸張時間Cm3を示した図である。
【0029】
図10Aは符号化方式1が選択された場合の現フレームである第1フレームの信号の伝送時間B11を簡略的に破線で示したものである。符号化方式1は無圧縮方式であり、圧縮処理、伸張処理が行われないため、第1フレームの伸張処理が終了するまでの合計時間である伸張合計時間TC11は、TC11=B11になる。
【0030】
図10Bは符号化方式2が選択された場合の現フレームである第1フレームの信号の圧縮時間A12、伝送時間B12、伸張時間C12、を簡略的に破線で示したものである。この場合は、現フレームの伸張処理が終了するまでの合計時間である伸張合計時間TC12は、TC12=A12+B12+C12になる。
【0031】
図10Cは符号化方式3が選択された場合の現フレームである第1フレームの信号の圧縮時間A13、伝送時間B13、伸張時間C13、を簡略的に破線で示したものである。この場合は、現フレームの伸張処理が終了するまでの合計時間である伸張合計時間TC13は、TC13=A13+B13+C13になる。TC11、TC12、TC13を比較すると、図10A〜Cから明らかなように、TC11が最も短い。よって1フレーム目は符号化方式1が選択される。
【0032】
次に、現フレームが第2フレームの信号である場合について説明する。図11Aは符号化方式1が選択された場合の現フレームである第2フレームの信号の伝送時間B21を簡略的に破線で示したものである。この場合は、TC21=B11+B21になる。
【0033】
図11B、図11B’は符号化方式2が選択された場合の現フレームである第2フレームの信号の圧縮時間A22、伝送時間B22、伸張時間C22を簡略的に破線で示したものである。ここで、現フレームの圧縮終了時刻が前フレーム、つまり第1フレームの伝送終了時刻より早い場合と遅い場合がある。
【0034】
現フレームの圧縮終了時刻が前フレーム、つまり第1フレームの伝送終了時刻より早い場合は、図11Bに示すように、前フレーム、つまり第1フレームの伝送処理の間、つまり伝送時間B11の間に、第2フレームの信号を圧縮することが出来る。よって、TC22の値については、TC22=B11+B22+C22となる。
【0035】
現フレームの圧縮終了時刻が、前フレームつまり第1フレームの伝送終了時刻より遅い場合を図11B’に示す。現フレームの圧縮処理が終了した後でなければ、現フレームを伝送できない。前フレームの伝送終了時刻が前フレームの圧縮終了時刻がより早い場合は、TC22は図11B’に示すようになる。しかし、この場合は、符号化方式2であり、前フレームの伝送終了時刻と前フレームの圧縮終了時刻が同時であるので、図11Bのようになる。
【0036】
図11Cは符号化方式3が選択された場合の現フレームである第2フレームの信号の圧縮時間A23、伝送時間B23、伸張時間C23を簡略的に破線で示したものである。この場合は、TC23=B11+B23+C23になる。
図11A〜Cから明らかなように、TC22が最も短い。よって、符号化方式2が選択される。
【0037】
次に現フレームが第3フレームの場合について説明する。図12Aは符号化方式1が選択された場合の現フレームである第3フレームの信号の伝送時間B31を簡略的に破線で示したものである。符号化方式1は無圧縮方式であり、圧縮処理、伸張処理が行われない。また、前フレームつまり2フレーム目の信号の伝送終了時刻に、現フレームの伝送を行うことが出来、前フレームの伸張処理と並行して現フレームの伝送処理を行うことができるため、TC31=B11+B22+B31となる。
【0038】
図12Bは、符号化方式2が選択された場合の現フレームである第3フレームの信号の圧縮時間A32、伝送時間B32、伸張時間C32を簡略的に破線で示したものである。この場合、前フレームである第2フレームの信号の伝送終了時刻より、現フレームである第3フレームの信号の圧縮終了時刻の方が遅い。また、現フレームの信号は圧縮処理が終了しないと、伝送することが出来ない。よって、現フレームの圧縮処理が終了するまで、現フレームの伝送処理は始まらない。第3フレームの伸張処理が終了するまでの伸張合計時間TC32は図13Bに示すようになる。
【0039】
図12Cは符号化方式3を選択された場合の現フレームである第3フレームの信号の圧縮時間A33、伝送時間B33、伸張時間C33、を簡略的に破線で示したものである。この場合は、第3フレームである現フレームの信号の圧縮終了時刻が第2フレームである前フレームの信号の伝送終了時刻より早い。よって、前フレームの信号の伝送終了後、現フレームの伝送処理を開始することができる。第3フレームの伸張処理が終了するまでの伸張合計時間TC33は図12Cに示すようになる。
【0040】
図12A〜Cから明らかなように、TC33が最も短い。よって3フレーム目は符号化方式3が選択される。このようにして、フレーム毎に、現フレームである第mフレームの信号の伸張処理が終了するまでの伸張合計時間が最も短くなるように、フレーム毎に符号化方式を選択する。
【0041】
つまり、一般的なフレーム番号mを用いて、現フレームである第mフレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間であるTCmnは以下の式(1)で表すことができる。
TCmn=Cmn+max(Bmn+max(TA(m―1)n+Amn、TB(m―1)n)、TC(m―1)n) (1)
ただし、max()は大きい方の値を選択して返す関数である。この式(1)で求められるTCmnが最も短くなるように、フレーム毎に、符号化方式が選択される。
【実施例1】
【0042】
次に実施例1について説明する。以下で説明する実施例は、対象とするディジタル信号を音声ディジタル信号とし、この音声のディジタル信号をフレームに分割し、当該フレーム毎に、線形予測係数と線形予測残差信号を求めて処理を行う実施例について説明する。
【0043】
図13はこの実施例1の機能構成例を示した図である。入力部60から入力されたディジタル音声信号はフレーム分割部62に入力される。フレーム分割部62で、ディジタル音声信号は所定時間区間(以下、フレームという)、例えば10msの区間ごと分割される。分割されたフレーム数をM個とし、Mは1以上の任意の整数とする。以下の説明ではフレーム番号をm(m=1、...、M)として説明する。ディジタル音声信号はフレーム毎に、線形予測分析部66および、線形予測残差算出部64に入力される。
【0044】
線形予測分析部66では、フレーム毎のディジタル音声信号に対して、公知の技術である後方適応予測などを用いて、線形予測分析が行われ、フレーム毎に線形予測係数が求められる。求められた線形予測係数は線形予測係数符号化部67に入力される。線形予測係数符号化部67で、線形予測係数は任意の符号化方式で符号化され、符号決定部69に入力される。
【0045】
一方、線形予測残差算出部64では、フレームごとの線形予測残差信号が求められる。また、符号化方式制御部70で、予め用意されたN種類の符号化方式から、1つの符号化方式がフレームごとに選択される。選択された符号化方式で線形予測残差信号がフレーム毎に圧縮される。符号化方式が選択される基準は、第1フレームの圧縮を開始してから、最後のフレームである第Mフレームの受信側での伸張処理が終了するまでの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する。
【0046】
以下に符号化方式制御部70による符号化方式の選択処理について説明する。図14は、符号化方式制御部70の機能構成例であり、図15は符号化方式制御部70中の符号化方式選択部734の機能構成例であり、図16は、符号化方式を選択する主な手順を示したフローチャートである。図17は予め用意されたN種類の符号化方式を表したテーブル表の例であり、この例では予め用意された符号化方式は5種類、つまりN=5である。
例えば、符号化方式1は無圧縮であり、圧縮比は1であり、1フレームの圧縮に要する時間の最大値は0.1msであり、1フレームの伸張に要する時間の最大値は0.1msである。
【0047】
符号化方式2は、Rice符号化方式であり、予測次数は5であり、圧縮比は0.7であり、1フレームの圧縮に要する時間の最大値は5msであり、1フレームの伸張に要する時間の最大値は5msである。
【0048】
符号化方式3は、LTP符号化方式とRice符号化方式を組み合わせたものであり、予測次数は10であり、圧縮比は0.6であり、1フレームの圧縮に要する時間の最大値は20msであり、1フレームの伸張に要する時間の最大値は10msである。以下、符号化方式4、符号化方式5についても、図17に記載のとおりである。
【0049】
図14中の符号化方式制御部70は、所要時間記憶部702、テーブル記憶部706、制御部708、サイズ推定部710、圧縮合計時間算出部720、伝送合計時間算出部726、伸張合計時間算出部732、現フレーム圧縮時間算出部738、現フレーム伝送時間算出部746、現フレーム伸張時間算出部752とで構成されている。テーブル記憶部706で図17に示すテーブル表が記憶されている。
【0050】
更に、圧縮合計時間算出部720は前フレーム実測圧縮合計時間算出部722、前フレーム推定圧縮合計時間算出部724のうち少なくとも一方で構成され、伝送合計時間算出部726は前フレーム実測伝送合計時間算出部728、前フレーム推定伝送合計時間算出部730のうち少なくとも一方で構成され、伸張合計時間算出部732は前フレーム実測伸張合計時間算出部733、前フレーム推定伸張合計時間算出部736のうち少なくとも一方で構成され、現フレーム圧縮時間算出部738は現フレーム実測圧縮時間算出部740、現フレーム推定圧縮時間算出部742のうち少なくとも一方で構成され、現フレーム伝送時間算出部746は現フレーム実測伝送時間算出部748、現フレーム推定伝送時間算出部750のうち少なくとも一方で構成され、現フレーム伸張時間算出部752は現フレーム実測伸張時間算出部754、現フレーム推定伸張時間算出部756のうち少なくとも一方で構成される。
【0051】
図16記載のステップS2で、初期化として、TA0n=0、TB0n=0、TC0n=0、フレーム番号mについて、m=1とする。ステップS4で、図14記載の符号化方式制御部70中の制御部708が図13記載の線形予測残差信号記憶部65を見て、全てのフレームであるMフレームについての全ての処理が終了したか否かが判断される。なおステップS6以降の説明については、現フレームである第mフレームについて説明する。
【0052】
ステップS8では、前フレームの信号の圧縮終了までの合計時間または推定合計時間である圧縮合計時間TA(m−1)nと、前フレームの信号の伝送終了までの合計時間または推定合計時間である伝送合計時間TB(m−1)n、前フレームの信号の伸張終了までの合計時間または推定合計時間である伸張合計時間TC(m−1)nについて算出され、取得される。
【0053】
ここで、圧縮合計時間TA(m−1)n、伝送合計時間TB(m−1)n、伸張合計時間TC(m−1)nの求め方については算出する方法と推測する方法がある。まず算出する方法について、説明する。
図18は所要時間記憶部702の記憶形式の例である。この記憶形式の例では、フレーム番号mごとに、符号化方式の番号n(この例ではn=1〜5)、フレームの圧縮時間Amn、フレームの伝送時間Bmn、フレームの伸張時間Cmn、前フレームまでの圧縮合計時間TA(m−1)n、前フレームまでの伝送合計時間TB(m−1)n、前フレームまでの伸張合計時間TC(m−1)nを記憶する。第1フレームから前フレーム(第m−1フレーム)は既に伝送処理が終了したフレームである。そこで、図13中の送信部63から破線で示すように、実際の符号化方式や、圧縮処理、伝送、伸張処理にかかった時間を逐次、記憶していく。これらの各フレームの符号化方式を記憶しておけば、これらの圧縮時間であるA1n〜A(m―1)nを求めることが出来る。また圧縮比も符号化方式と対応しており、読み出すことが出来るので、1フレームのサイズに圧縮比を乗算して、伝送路の伝送速度で除算することで、フレーム毎に伝送時間B1n〜B(m―1)nも求めることが出来る。また、受信側のCPUなどの能力が分かっていれば、伸張時間C1n〜C(m―1)nも求めることが出来る。また受信側から実際、伸張処理にかかった時間C1n〜C(m―1)nを送り返してもらうことでも、伸張時間C1n〜C(m―1)nを記憶することが出来る。
【0054】
また同時にフレーム毎に、圧縮合計時間TA(m―1)n、伝送合計時間TB(m―1)n、伸張合計時間TC(m―1)nを計算して、所要時間記憶部702に、記憶する。
【0055】
前フレーム実測圧縮合計時間算出部722が所要時間記憶部702を読み込むことで、圧縮合計時間TA(m−1)nを求め、前フレーム実測伝送合計時間算出部728が所要時間記憶部702を読み込むことで、伝送合計時間TB(m−1)nを求め、前フレーム実測伸張合計時間算出部733が所要時間記憶部702を読み込むことで、伸張合計時間TC(m−1)nを求める。
【0056】
次に、圧縮合計時間TA(m−1)n、圧縮合計時間TB(m−1)n、伸張合計時間TC(m−1)nの推定方法について説明する。具体的にはテーブル記憶部706で記憶されている図17記載のテーブル表を用いて推定される。第1フレーム〜第m−1フレームの各フレームについての符号化方式が分かっているので、第1フレーム〜第m−1フレームの各フレームについての圧縮時間A1n〜A(m―1)n、伸張時間C1n〜C(m―1)nをテーブル表から読み込むことで推定することが出来る。伝送時間B1n〜B(m―1)nについては、圧縮比をテーブル表から読み込むことが出来る。よって、1フレームのサイズに圧縮比を乗算して、伝送路の伝送速度で除算することで、フレーム毎に推定することが出来る。第1フレームから第m−1フレームの圧縮時間A1n〜A(m―1)n、伝送時間B1n〜B(m―1)n、伸張時間C1n〜C(m―1)nを推定できれば、圧縮合計時間TA(m−1)n、伝送合計時間TB(m−1)n、伸張合計時間TC(m−1)nについても推定することが出来る。実際の処理は、前フレーム推定圧縮合計時間算出部724で圧縮合計時間TA(m−1)nが推定され、前フレーム推定伝送合計時間算出部730で伝送合計時間TB(m−1)nが推定され、前フレーム推定伸張合計時間算出部736で伸張合計時間TC(m−1)nが推定される。
【0057】
説明を図16に戻す。破線で示すステップS9では、符号化方式制御部70が、圧縮合計時間TA(m−1)nと、伝送合計時間TB(m−1)nと、伸張合計時間TC(m−1)nと、現フレーム圧縮時間Amnと、上記現フレーム伝送時間Bmnと、上記現フレーム伸張時間Cmnと、に基づいて、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する。具体的には、上記式(1)に示すTCmnの値が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する。ステップS10では、変数nと、変数最低値minJ、時間最低値minTCmn、が新たに導入される。初期化として、n=1、minJ=1とされ、minTCmnを十分大きな数にする。
【0058】
ステップS12では、図14中の制御部708により、変数nの値と符号化方式の数Nの値との比較が行われる。変数nの値の方が小さい場合は、つまり全ての符号化方式Nについて検討していない場合、ステップS14に進む。ステップS14では、各符号化方式n(n=1、...、N)による現フレームの圧縮時間または推定圧縮時間である現フレーム圧縮時間Amnと、各符号化方式nによる現フレームの伝送時間または推定伝送時間である現フレーム伝送時間Bmnと、各符号化方式nによる現フレームの伸張時間または推定伸張時間である現フレーム伸張時間Cmnが算出、または推定される。
【0059】
一方、現フレーム圧縮時間Amn、現フレーム伝送時間Bmn、現フレーム伸張時間Cmnの求め方については、算出する方法と推測する方法がある。まず算出する方法について、説明する。
【0060】
現フレーム圧縮時間Amnの算出については、上述した図18のように、所要時間記憶部702には第1フレームから第m−1フレームまでの信号の符号化方式などが記憶されている。よって、過去のフレーム、例えば第mフレームの信号と同一の符号化方式であれば、その第mフレームの圧縮時間を現フレーム実測圧縮時間算出部740が読み込むことで、現フレーム圧縮時間Amnを求めることが出来る。また、同じ装置で、違うディジタル信号中で圧縮処理にかかった時間とその圧縮処理に使用した符号化方式とを対応させたデータ(図示せず)を所要時間記憶部702に記憶させておけば、そのデータを使用して、圧縮時間を算出することが出来る。
【0061】
現フレーム伝送時間Bmnの算出については、符号化方式nでの圧縮比が分かっているので、圧縮後のサイズを求めることが出来る。求められた圧縮後のサイズを伝送路の伝送速度で除算することで、現フレーム伝送時間Bmnを求めることが出来る。
【0062】
現フレーム伸張時間Cmnの算出については、受信側のCPU等の性能がわかっていれば、現フレーム実測伸張時間算出部754で現フレーム伸張時間Cmnを求めることができる。また、例えば第mフレームの信号と同一の符号化方式であれば、その第mフレームの伸張時間を現フレーム実測伸張時間算出部が読み込むことで、現フレーム圧縮時間Amnを求めることが出来る。また、同一のディジタル信号内で、受信側で伸張した時間つまり現フレーム伸張時間Cmnを測定し、それを送信側に送り返すことで、現フレーム伸張時間Cmnを求めることが出来る。
【0063】
実際の処理としては、現フレーム実測圧縮時間算出部740で現フレーム圧縮時間Amnが算出され、現フレーム実測伝送時間算出部748で現フレーム伝送時間Bmnが算出され、現フレーム実測伸張時間算出部754で現フレーム伸張時間Cmnが算出される。
【0064】
次に、現フレーム圧縮時間Amn、現フレーム伝送時間Bmn、現フレーム伸張時間Cmnの推定について説明する。これらの推定は、テーブル記憶部706に記憶されている図17に示すテーブル表を用いて行われる。
【0065】
現フレーム圧縮時間Amnの推定については、テーブル表の符号化方式nに対応する圧縮時間の最大値を現フレーム推定圧縮時間算出部742が読み込むことで行われる。現フレーム伸張時間Cmnの推定については、テーブル表の符号化方式nに対応する圧縮時間の最大値を現フレーム推定伸張時間算出部が読み込むことで行われる。
【0066】
現フレーム伝送時間Bmnの推定については、上述したサイズ推定部710で推定されたサイズSmnを伝送路の伝送速度で除算することで求めることが出来る。
【0067】
実際の処理としては、現フレーム推定圧縮時間算出部742で現フレーム圧縮時間Amnが算出され、現フレーム推定伝送時間算出部750で現フレーム伝送時間Bmnが算出され、現フレーム推定伸張時間算出部756で現フレーム伸張時間Cmnが算出される。
【0068】
次のステップS16では、上記式(1)より伸張合計時間TCmnが推定される。以下に、伸張合計時間TCmnの推定方法の具体的な説明をする。
【0069】
TCmn=Cmn+max(Bmn+max(TA(m―1)n+Amn、TB(m―1)n)、TC(m―1)n) (1)
更に、式(1)を分けて、以下の式(2)〜(4)で示すことができる。
TAmn=TA(m−1)n+Amn (2)
TBmn=Bmn+max(TAmn、TB(m―1)n) (3)
TCmn=Cmn+max(TBmn、TC(m―1)n) (4)
図15は、符号化方式選択部734とそれに関係のある部分を示した機能構成例である。符号化方式選択部734は、例えば、第1の加算部800と、第1の選択部802と、第2の加算部804と、第2の選択部806と、第3の加算部808とで構成されている。
【0070】
まず圧縮合計時間算出部720よりの圧縮合計時間TA(m―1)nと、現フレーム圧縮時間算出部738よりの圧縮時間Amnとが第1の加算部800に入力され、第1の加算部800で、TA(m―1)nとAmnとの加算処理が行われる、つまり上記式(2)の演算が行われ、TAmnが求められる。
【0071】
次に、加算部800よりのTAmnと、伝送合計時間算出部726よりのTB(m―1)nとが第1の選択部802に入力される。第1の選択部802で、TAmnと、TB(m―1)nとの値の大小が比較され、値が大きい方が出力される、つまり、上記式(3)中のmax(TAmn、TB(m―1)n)の演算が行われ、この演算結果であるαが出力される。このmax(TAmn、TB(m―1)n)の演算の意味するところは第mフレームの圧縮処理と第m−1フレームの伝送処理のうち最もボトルネックになっている処理を考慮しているということである。
【0072】
第1の選択部802よりのαと現フレーム伝送時間算出部746よりのBmnとが第2の加算部804に入力される。
【0073】
第2の加算部804では、αとBmnとの加算処理が行われる、つまり上記式(3)の演算が行われ、TBmnが求められる。このTBmnと伸張合計時間算出部732よりのTC(m−1)nとが第2の選択部806に入力される。第2の選択部806では、TBmnとTC(m−1)nとの値の大小が比較され、値の大きい方が出力される、つまり上記式(4)中のmax(TBmn、TC(m―1)n)の演算が行われ、この演算結果であるβが出力される。このmax(TBmn、TC(m―1)n)の演算処理の意味するところは、第mフレームの伝送処理と第m−1フレームの伸張処理のうち最もボトルネックになっている処理を考慮しているということである。
【0074】
第2の選択部806よりのβと現フレーム伸張時間算出部752よりのCmnとが、第3の加算部808に入力される。第3の加算部808では、β+Cmnの演算、つまり、上記式(4)の演算が行われる。この演算により求められたTCmnが出力される。
【0075】
また、符号化方式選択部734の変形例である符号化方式選択部735を図19に示す。この変形例では、上記式(1)を異なる視点から見て、考えられる全ての合計を算出して、つまり以下の式(5)〜(7)を演算して、その合計の中で最も大である値をTCmnとして出力する。
mn=Cmn+Bmn+TA(m―1)n+Amn (5)
mn=Cmn+Bmn+TB(m―1)n (6)
mn=Cmn+TC(m―1)n (7)
この変形例では、符号化方式選択部735は、第1の加算部900、第2の加算部902、第3の加算部904、選択部906とで構成されている。
【0076】
第1の加算部900では上記式(5)が演算されてPmnが求められ、第2の加算部902では上記式(6)が演算されてQmnが求められ、第3の加算部904では上記式(7)が演算されてRmnが求められる。
【0077】
具体的には、圧縮合計時間算出部720よりのTA(m―1)nと、現フレーム圧縮時間算出部738よりのAmnと、現フレーム伝送時間算出部746よりのBmnと、現フレーム伸張時間算出部752よりのCmnとが第1の加算部900に入力される。第1の加算部900で、これら全てが加算され、つまり上記式(5)が演算され、Pmnが求められる。
【0078】
伝送合計時間算出部726よりのTB(m―1)nと、現フレーム伝送時間算出部746よりのBmnと、現フレーム伸張時間算出部752よりのCmnとが第2の加算部902に入力される。第2の加算部902で、これら全てが加算され、つまり、上記式(6)が演算され、Qmnが求められる。
【0079】
伸張合計時間算出部732よりのTC(m―1)nと現フレーム伸張時間算出部752よりのCmnとが第3の加算部904に入力される。第3の加算部904で、これら全てが加算され、つまり、上記式(7)が演算され、Rmnが求められる。
【0080】
第1の加算部900よりのPmnと、第2の加算部902よりのQmnと、第3の加算部よりのRmnとが選択部906に入力される。選択部906では、Pmn、Qmn、Rmnとの値の大小が比較され、最も大きな値であるものが、TCmnとして出力される。
【0081】
説明を図16に戻す。ステップS18において、図14中の制御部708が、TCmnと時間最低値minTCmnとが比較され、時間最低値minTCmnの方が大であれば、ステップS20に進む。ステップS20では、時間最低値minTCmnがTCmnの値に更新され、変数最低値minJが現在の符号化方式の番号であるnに更新される。ステップS22に進むと、符号化方式の番号であるnが「1」インクリメントされ、ステップS12に戻る。ステップS12で、J>Nの場合、つまり、予め用意されたN個の符号化方式を全て検討した場合はステップS24に進む。
【0082】
また、ステップS18において、時間最低値minTCmnの方が大であれば、時間最低値minTCmn、変数最低値minJの更新は行われない。
【0083】
ステップS24では、決定した符号化方式minJで第mフレームを圧縮する。次のステップS26ではmを「1」インクリメントして、ステップS4に戻る。今度は第m+1フレームについて同様の処理を行う。M個のフレーム全てについて、符号化選択方式が決定して、全てのフレームが圧縮されれば、ステップS4で処理が終了となる。
【0084】
以上の説明から、ステップS9全体で、現フレームである第mフレームにおいて、全ての符号化方式n(n=1、...、N)を検討することで、上記式(1)に示すTCmnが最も短くなる符号化方式minJが現フレームmの符号化方式として選択されていることが理解できよう。
【0085】
以上のような処理を行うことで、前フレームの伝送をしている間に現フレームの圧縮を行うことができ、前フレームの伸張をしている間に現フレームの伝送を行うことが出来る。よって、従来の符号化伝送装置41と比較して、より短い時間で、圧縮処理、伝送、伸張処理を行うことが出来る。
【0086】
また、フレーム毎に現フレーム圧縮時間Amn、現フレーム伝送時間Bmn、現フレーム伝送時間Cmn、のうち最もボトルネックになる要素の可動率を向上させる符号化方式を選択することができるため、圧縮処理、伝送、伸張処理全てを含む送受信処理の時間が最短となる符号化方式を選択することができる。
【実施例2】
【0087】
この実施例2では、受信側でデータを伸張する必要がなく、圧縮されたまま蓄積する場合つまり、伸張処理の演算処理量の制限がない場合は、現フレーム伸張時間Cmn、伸張合計時間TCmnを考慮する必要がない。また、受信側で圧縮されたまま蓄積するので、圧縮されたデータのサイズは小さいほうが保存効率が良い。その点を踏まえて、実施例1と相違している部分を中心に説明する。
【0088】
この実施例2を実施例1と比較すると、図13中の符号化方式制御部70が符号化方式制御部70’に置き換えられ、そのほかの部分については同一である。
【0089】
図20は符号化方式制御部70’の機能構成例である。符号化方式制御部70と比較して、伸張合計時間算出部732、現フレーム伸張時間算出部752が削除されており、その他の部分に関しては同様の処理を行う。この実施例2の主な処理の流れを図21に示す。実施例1の説明で使用した図16と違っているステップについては「’」を付している。以下に相違している部分について説明する。
【0090】
ステップS2’においては、初期化として、TC=0とする必要がない。ステップS8’においては、TCm−1を取得する必要がない。ステップS10’においては、minTCmnを十分大きな数とするのではなく、minTBmnを十分大きな数とする。また、符号化方式nを使用して圧縮した第mフレームの信号のサイズをSmnと表し、このサイズの最低値をminSmnと表すと、初期化として、ステップS10’では、サイズ最低値minSmnを十分大きな数とする。
【0091】
ステップS14’では、Cmnの推定を行わず、図20中のサイズ推定部710で新たに符号化方式nによる圧縮後のサイズSmnを推定する。ここで、サイズSmnの推定方法として、サイズ推定部710が第mフレームの圧縮前のサイズに符号化方式nの圧縮比をテーブル記憶部706から読み込み、この圧縮比と当該フレームのサイズを乗算することで、圧縮後のサイズSmnを推定することが出来る。ステップS16’では以下の式(8)を計算する。
【0092】
TBmn=Bmn+max(TA(m―1)n+Amn、TB(m―1)n) (8)
図22は図19中の符号化方式選択部734’とその他関係のある部分の機能構成例である。実施例1で説明した符号化方式選択部734と比較して、第2の選択部806、第3の加算部808が省略されている。そのほかの処理については同じであるので、符号化方式選択部734’で上記式(8)を演算してTBmnを求めることが出来る。
【0093】
ステップS18’で、TBmnとminTBmnとの比較が行われる。minTBmnの値の方が大きい場合は、ステップS20’に進む。ステップS20’では、minTBmnがTBmnに更新され、minSmnがSmnに更新され、minJがnに更新される。
【0094】
ステップS18’でTBmnの値がminTBmnの値以下である場合は、ステップS24に進む。ステップS24では、TBmnの値とminTBmnの値とが等しく、かつ現フレームである第mフレームの圧縮サイズSmnがminSmnより小さいか否かを判定する。この判定の意味は、受信側では圧縮されたデータを蓄積する際に、サイズが小さければ、記憶効率が良いことから、現在のサイズ最低値minSmnより現フレームのサイズSmnが小さければ、ステップS20’に進んで、更新するということである。
【0095】
また、ステップS24でTBmnの値とminTBmnの値とが等しくない場合、またはTBmnの値とminTBmnの値とが等しくても、現フレームである第mフレームの圧縮サイズSmnの値がminSmnの値以上である場合は、ステップS20’に進まず、ステップS22に進む。
【0096】
図23は符号化方式選択部734’の変形例である符号化方式選択部735’の機能構成例であり、符号化方式選択部735と対応するものである。符号化方式選択部735と比較して、第3の加算部904が省かれており、対応する部分については、「’」を付ける。
【0097】
また演算する式は以下の式(5’)(6’)である。
P’mn=Bmn+TA(m―1)n+Amn (5’)
Q’mn=Bmn+TB(m―1)n (6’)
第1の加算部900’で(5’)を演算して、P’mnを求め、第2の加算部902’で式(6’)を演算して、Q’mnを求める。P’mnとQ’mnはそれぞれ選択部906に入力され、両者の値がどちらが大であるかを選択し、大である方をTBmnとして出力する。
また、この実施例2では、実施例1で説明した符号化方式制御部70の処理において、TC(m―1)n、Cmnを「0」として実施しても問題はない。
【実施例3】
【0098】
この実施例3では、送信側で、既にデータを圧縮しており、その圧縮したものを伝送する場合など、圧縮処理の演算処理量の制限がない場合は、現フレーム圧縮時間Amn、圧縮合計時間TAmnを考慮する必要がない。また送信側の保存状態は、圧縮されたデータと、適用されている圧縮符号化方式nとを対応させて、保存させること等が考えられる。
【0099】
この実施例3と実施例1とを比較して、図13中の符号化方式制御部70が符号化方式制御部70”に置き換えられ、そのほかの部分については同一である。
【0100】
図24は符号化方式制御部70”の機能構成例である。符号化方式制御部70と比較して、圧縮合計時間算出部720、現フレーム圧縮時間算出部738が削除されており、その他の部分に関しては同様の処理を行う。この実施例3の主な処理の流れを図25に示す。実施例1の説明で使用した図16と違っているステップについては「”」を付している。以下に相違している部分について説明する。
【0101】
ステップS2”においては、初期化として、TA=0とする必要がない。ステップS8”においては、TAm−1を取得する必要はない。ステップS14”では、Amnの推定を行わない。ステップS16”では以下の式(9)を計算する。
【0102】
TCmn=Cmn+max(TB(m―1)n+Bmn、TC(m―1)n) (9)
図26は図24中の符号化方式選択部734”とその他関係のある部分の機能構成例である。実施例1で説明した符号化方式選択部734と比較して、第1の加算部800、第1の選択部802が省略されている。そのほかの処理については同じであるので、符号化方式選択部734”で上記式(9)を演算してTCmnを求めることが出来る。
図27は符号化方式選択部734”の変形例である符号化方式選択部735”の機能構成例であり、符号化方式選択部735と対応するものである。対応する部分については「“」を付する。演算する式は、以下の式である。
【0103】
P”mn=Cmn+Bmn (5”)
mn=Cmn+Bmn+TB(m―1)n (6)
mn=Cmn+TC(m―1)n (7)
第1の加算部900では上記式(5”)が演算されてP”mnが求められ、第2の加算部902では上記式(6)が演算されてQmnが求められ、第3の加算部904では上記式(7)が演算されてRmnが求められる。P”mn、Qmn、Rmnはそれぞれ選択部906に入力されて、3者の値の大小が比較され、最も大きな値であるものが、TCmnとして出力される。
また、この実施例3では、実施例1で説明した符号化方式制御部70の処理において、TAmn、Amnを「0」として実施しても問題はない。
【0104】
以上で説明した実施例1〜実施例3において、図16、図21、図25に示す破線で示すステップS27、ステップS27’、ステップS27”で、ステップS8、S8’、S8”で取得されたTA(m―1)n、TB(m―1)n、TC(m―1)nを補正することが出来る。具体的には、図14、図20、図24に破線で示すテーブル補正部711または所要時間補正部712で補正をすることが出来る。
【0105】
まず、テーブル補正部711による補正を説明する。具体的な補正をする箇所は、図14中に示すテーブル記憶部706に記憶されているテーブル表(図17参照)中の圧縮時間の最大値、伸張時間の最大値である。
【0106】
テーブル表中の圧縮時間の最大値を、過去のフレームの実際の圧縮処理にかかった時間に基づいて更新補正し、テーブル表中の伸張時間の最大値を、過去のフレームにおける伸張処理にかかった時間に更新補正をする。この補正されたテーブル表中の値を用いることにより、現フレーム圧縮時間A、圧縮合計時間TA(m−1)n、現フレーム伝送時間B、伝送合計時間TB(m−1)n、現フレーム伸張時間C、伸張合計時間TC(m−1)n、のうち少なくとも1つを補正することが出来る。
【0107】
所要時間補正部712によるもう一つの補正を図28を用いて、以下に説明する。以下の説明では、簡略化のために現フレーム伝送時間Bおよび伝送合計時間TBmnの推定値の補正について説明するが、現フレーム圧縮時間A、圧縮合計時間TA(m−1)n、現フレーム伸張時間C、伸張合計時間TC(m−1)n、についても同様に補正することが出来る。
【0108】
前フレームを第m−1フレームとし、現フレームを第mフレームとし、図28を用いて説明する。現在の時刻を符号化方式2で圧縮した第mフレームの伝送中(つまり現フレーム伝送時間Bm2中の任意の時間)とする。図28(A)に示す伝送時間B’(m―1)1は推定された時間であり、図28(B)に示す伝送時間B”(m―1)1は実際にかかった時間とする。この場合、図28(A)のハッチングを付している部分が推定された伝送時間と、実際にかかった伝送時間との差をγとする。図28(C)に示すように、この差γを、推定された伝送時間B”(m―1)1から差し引くことで、伝送時間をB’’’(m―1)1として補正すれば、第mフレームの伝送開始時刻をより正確にすることが出来て、より正確な第mフレーム伝送合計時間TBm2、第mフレーム伸張合計時間TCm2を推定することができる。この値を用いて、以降のフレームに関する処理を行う。
【0109】
また、実際にかかった伝送時間B”(m―1)1を補正後の伝送時間B’’’(m―1)1とすることも出来る。具体的には、所要時間記憶部702による記憶形式において、図18に破線で示すように、過去のフレームの推定圧縮時間A’mn、推定伝送時間B’mn、推定伸張時間C’mn、を記憶しておくことで、所要時間補正部712の補正をすることが出来る。
【0110】
実施例1〜3では、線形予測をして、線形予測係数、および線形予測残差信号を求める方式を説明したが、例えばZIP方式であれば、これらを求める必要はない。
【0111】
以上の実施例1〜3の説明では、現フレームである第mフレームの圧縮時間Amn、伝送時間Bmn、伸張時間Cmn、圧縮合計時間TA(m−1)n、伝送合計時間TB(m−1)n、伸張合計時間TC(m−1)nを用いた場合を説明した。以下で説明するこの発明の変形例では、第mフレームのみなならず、未来のフレームつまり第m+1フレーム、第m+2フレーム、...、第Mフレームの伸張合計時間を検討して実施することが出来る。
【0112】
以下の説明では、第mフレームと第m+1フレームを検討した場合を説明する。図29は実施例1〜3の変形例を説明するための概念図である。四角がフレームを表し、四角内の○内の数字が符号化方式の番号nを示している。矢印で示すように、第mフレームでは符号化方式n(n=1、...、N)を選択した場合の伸張合計時間TCmnと、第m+1フレームでは符号化方式nを選択した場合の伸張合計時間TC(m+1)nを推定して、検討する。つまり、N個の伸張合計時間を推定することになる。この方式による符号化方式決定方法において、決定される符号化方式はあくまで、第mフレームの符号化方式であり、第m+1フレームの符号化方式について決定されるのではないことに留意されたい。
【0113】
以下に、具体的な処理の流れを説明する。なお、これらの処理は符号化方式制御部70内の制御部708が行う。図30は、この変形例の主な処理の流れを示したフローチャートである。図30の破線で示すステップS100は、図16中のステップS9と同様に、TCmnが最小となるような符号化方式を選択するステップである。しかし、ステップS100の具体的な処理についてはステップS9とは違う。また、図16のステップ番号と同一であるステップについては、説明を省略する。
【0114】
ステップS16で、TCmnが推定されると、ステップS102に進み、第m+1フレームが存在するか否かが判定される。第m+1フレームが存在する場合は、ステップS104に進む。
【0115】
ステップS104では、新たな変数kが導入される。変数kは第m+1フレームの符号化方式の番号である(k=1、...、N)。初期化として、k=1、伸張合計時間最低値minTC(m+1)を十分大きな数、変数最低値mink=1、サイズ最低値minSを十分大きな数とする。ステップS106で、kとNの値の大小が比較される。kの方が小さくない場合は、ステップS108に進み、ステップS108で、第m+1フレームの符号化方式kが選択された場合の圧縮時間A(m+1)k、伝送時間B(m+1)k、伸張時間C(m+1)k、圧縮後のサイズS(m+1)kが推定、または算出される。
【0116】
ステップS110で、上記式(1)を用いて、第m+1フレームの伸張終了の合計時間TC(m+1)kが推定される。ステップS112では、minTC(m+1)kの値とTC(m+1)kの値との大小が比較され、TC(m+1)kがminTC(m+1)kより小である場合は、ステップS114に進む。
【0117】
ステップS114では更新処理として、minTC(m+1)kがTC(m+1)kに更新され、minkがkに更新され、minSがS(m+1)kに更新される。更新処理が終了すると、kを「1」インクリメントする、つまり、第m+1フレームで、次の符号化方式が選択される。また、ステップS112で、TC(m+1)kがminTC(m+1)kより小でない場合は、ステップS114の更新処理は行われず、ステップS116に進む。ステップS116でkを「1」インクリメントした後、ステップS106に進む。
【0118】
また、ステップS112で、第m+1フレームが存在しない、つまり、第mフレームが最後のフレームである場合は、ステップS117に進む。ステップS117で、minTC(m+1)がTCmnに更新され、minSがSmnに更新される。ステップS118で、minTC(m+1)の値とminTCの値との大小が比較される。minTC(m+1)の値よりminTCの値の方が大であると、ステップS120では以下の更新処理が行われる。つまり、minTCがminTCm+1に更新され、minJがnに更新され、minSがminSに更新される。ステップS122で、nの値を「1」インクリメントする、つまり、第mフレームにおいて、次の符号化方式が選択される。
【0119】
ステップS118で、minTC(m+1)の値よりminTCの値の方が小であると、ステップS120の更新処理は行われず、ステップS122に進む。
また、ステップS106で、kの値がNの値より大きい場合、つまり、第m+1フレームで全ての符号化方式が検討された場合には、ステップS118に進む。
よって以上の説明から分かるように、検討するフレーム数が多ければ多いほど、一連の処理(圧縮処理、伝送、伸張処理)の合計時間がより短い符号化方式を選択することができる。
【0120】
なお、実施例2や実施例3で説明したように、圧縮処理について考えなくて良い場合、伸張処理を考えなくて良い場合についても、この変形例を実施することが出来る。また、破線で示すステップS27で、TA(m―1)n、TB(m―1)n、TC(m―1)nに対する上述した補正をテーブル補正部711、所要時間補正部712により(例えば図14参照)することが出来る。
【実施例4】
【0121】
次に、実施例4を説明する。この実施例4は、実施例1〜3で説明した符号化方式選択方法と比べて、簡易に符号化方式を選択できる実施例である。
実施例1〜3では、1フレームごとの圧縮処理、伝送、伸張処理にかかる合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択した。しかし、この実施例4は、全フレームの合計時間Tを算出し、その合計時間Tが最小となるように、各フレームの符号化方式を選択するというものである。
【0122】
図31は第m−4フレームから第m+2フレームの圧縮時間、伝送時間、伸張時間を示した概念図である。図31に示すように、この実施例4では、図31に示すように、第m−1フレームの圧縮処理、第m−2フレームの伝送、第m−3フレームの伸張処理が全て終了してから、第mフレームの圧縮処理、第m−1フレームの伝送、第m−2フレームの伸張処理が同時に行われると考える。
【0123】
具体的には、この実施例4では、分割されたMフレーム、それぞれについて、全ての符号化方式n(n=1、...、N)を適用し、圧縮処理、伝送、伸張処理にかかる合計時間Tを算出する。この算出した合計時間Tから最も短い合計時間を選び出し、その場合の符号化方式を選択する。
【0124】
全体のフレーム数Mが「1」の場合の合計時間のうちもっとも短い合計時間をT、全体のフレーム数Mが「2」の場合の合計時間のうちもっとも短い合計時間をT、全体のフレーム数MがM≧3の場合の合計時間のうちもっとも短い合計時間をTとすると、T、T、Tは以下の式で表すことができる。
M=1の場合 T=A+B+C (10)
M=2の場合 T=A+max(A、B)+max(B、C)+C
(11)
M≧3の場合 T=A+max(A、B)+Σm=3max(A、Bm−1、Cm−2)+max(B、BM−1)+C (12)
なお、上述した図31の各列は式(12)のmax(A、Bm−1、Cm−2)を示している。
【0125】
の値、つまり符号化方式を変更することで、T、T、Tが最小となるように、制御部708(図14、図20、図24参照)が制御する。
【0126】
このことはM≧3の場合ではA、Bm−1、Cm−2のうち、最大のものが小さくなるように符号化方式を制御する、つまり最もスループットが悪いものを休ませないように制御しているということである。
【0127】
また上記式(10)〜(12)を更に簡略化すると、合計時間Tは以下の式(13)のように表すことができる。
T=Σm=1N+2max(A、Bm−1、Cm−2) (13)
ただし、AN+1=AN+2=B=BN+1=C=C−1=0
上記式(10)〜(13)に示した伝送時間であるB、B、Bの値は、上述の通り、該当するフレームの圧縮後のサイズに比例する。
【0128】
また、実施例2で説明したように、フレームの伸張時間を考慮しない場合には、上記式(10)中のC、上記式(11)中のC、C、上記式(12)、(13)中のCm−2の値を全て常に0にする。そしてAの値がBm−1の値以下であり、最も圧縮率が高くなるように符号化方式を制御すれば良い。
【0129】
次に、この発明の受信側について説明する。図32は受信側の受信コンピュータの機能構成例を示すブロック図である。送信側で送信された符号化信号が受信部950で受信されると、符号分離部951に入力される。符号分離部951で、符号化方式を示す情報が圧縮された選択符号、線形予測係数が符号化された係数符号、線形予測残差信号が符号化された予測残差符号がそれぞれ、復号処理選択部952、線形予測係数復号部960、スイッチ954に入力される。
【0130】
まず復号処理選択部952で、選択符号が伸張され、符号化方式を示す情報、例えば、nの値が求められる。nの値は、スイッチ954、予測残差復号化部956n(n=1、...、N)、スイッチ958に入力される。スイッチ954、スイッチ958により、nの値に応じて、対応する予測残差復号化部956nに切り替えられる。予測残差符号は対応する予測残差復号化部956nにフレーム毎に入力され、予測残差符号は伸張され、線形予測合成部962に入力される。
【0131】
一方、線形予測係数復号部960で、係数符号が伸張され、線形予測係数が求められる。求められた線形予測係数は線形予測合成部962に入力される。線形予測合成部962で、符号化方式の情報と線形予測係数とを用いて、フレーム毎にディジタル信号が求められる。求められたディジタル信号は復号信号蓄積出力部964で、蓄積されて、ディジタル信号が出力される。
以上で説明した実施例は上述したサーバコンピュータを途中に介しても実施することが出来る。
【0132】
以上の各実施形態の他、本発明である符号化伝送装置は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、符号化伝送装置において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0133】
また、この発明の符号化伝送装置における処理をコンピュータによって実現する場合、符号化伝送装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、符号化伝送装置における処理機能がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(DigitalVersatileDisc)、DVD−RAM(RandomAccessMemory)、CD−ROM(CompactDiscReadOnlyMemory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto−Opticaldisc)等を、半導体メモリとしてEEP−ROM(ElectronicallyErasableandProgrammable−ReadOnlyMemory)等を用いることができる。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0134】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(ApplicationServiceProvider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0135】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、符号化伝送装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】従来技術の符号化伝送装置の機能構成例を示すブロック図。
【図2】従来技術の符号化伝送装置にサーバコンピュータ24を加えた機能構成図。
【図3】従来技術の符号化伝送装置41の機能構成例を示すブロック図。
【図4】従来技術の符号化伝送装置41を用いて、第1〜3フレームに符号化方式を適用した場合の圧縮時間、伝送時間を示す概念図であり、図4Aは第1フレームに符号化方式1を適用した場合、図4Bは第2フレームに符号化方式2を適用した場合、図4Cは第3フレームに符号化方式1を適用した場合、図4Dは第1フレームに符号化方式2を適用した場合、図4Eは第2フレームに符号化方式2を適用した場合、図4Fは第3フレームに符号化方式2を適用した場合、図4Gは第1〜3フレームまでの圧縮時間、伝送時間の合計を示した図。
【図5】第1〜3フレームに符号化方式を適用した場合の圧縮時間、伝送時間の合計時間を示す概念図であり、図5Aは3フレームとも無圧縮の場合、図5Bは3フレームとも圧縮した場合、図5Cは従来の技術を適用した場合を示した図である。
【図6】従来の符号化伝送装置の閾値テーブル記憶部52に記憶されている閾値テーブルの例を示した図。
【図7】従来の符号化伝送装置の問題点を説明するための図。
【図8】この発明の用語の説明をした図。
【図9】この発明の原理を説明する際の1フレームに符号化方式1〜3を適用した圧縮処理、伝送、伸張処理の合計時間を示した概念図。
【図10】この発明の原理を説明する際の第1フレームに符号化方式1〜3を適用した場合にかかる時間を示す図。
【図11】この発明の原理を説明する際の第2フレームに符号化方式1〜3を適用した場合にかかる時間を示す図。
【図12】この発明の原理を説明する際の第3フレームに符号化方式1〜3を適用した場合にかかる時間を示す図。
【図13】この発明の実施例1〜3の符号化伝送装置の機能構成例を示すブロック図。
【図14】この発明の実施例1の符号化方式制御部70の機能構成例を示すブロック図。
【図15】この発明の実施例1の符号化方式選択部734の機能構成例を示すブロック図。
【図16】この発明の実施例1の主な処理の流れを示すフローチャート。
【図17】この発明の実施例1〜3のテーブル記憶部706に記憶されているテーブルの一例を示す図。
【図18】この発明の実施例1〜3の所要時間記憶部702に記憶されている記憶形態の一例を示す図。
【図19】この発明の実施例1〜3の符号化方式選択部735の機能構成例を示すブロック図。
【図20】この発明の実施例2の符号化方式制御部70’の機能構成例を示すブロック図。
【図21】この発明の実施例2の主な処理の流れを示すフローチャート。
【図22】この発明の実施例2の符号化方式選択部734’の機能構成例を示すブロック図。
【図23】この発明の実施例2の符号化方式選択部735’の機能構成例を示すブロック図。
【図24】この発明の実施例3の符号化方式制御部70”の機能構成例を示すブロック図。
【図25】この発明の実施例3の主な流れを示すフローチャート。
【図26】この発明の実施例3の符号化方式選択部734”の機能構成例を示すブロック図。
【図27】この発明の実施例3の符号化方式選択部735”の機能構成例を示すブロック図。
【図28】この発明の実施例1〜3において、補正をして、処理時間が短縮されていることを示す概念図。
【図29】この発明の実施例1〜3の変形例を説明するための概念図。
【図30】この発明の実施例1の変形例の主な処理の流れを示したフローチャート。
【図31】この発明の実施例4の処理時間を説明するための概念図。
【図32】この発明の実施例1〜4の送信側に対応する受信側の受信コンピュータの機能構成例を示したブロック図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル信号を所定時間区間(以下、フレームという)ごとに分割する分割過程と、
前フレームのディジタル信号の伝送終了までの合計時間または推定合計時間を伝送合計時間として算出する伝送合計時間算出過程と、
各符号化方式による現フレームの伝送時間または推定伝送時間を現フレーム伝送時間として算出する現フレーム伝送時間算出過程と、
上記前フレームのディジタル信号の圧縮終了までの合計時間または推定合計時間を圧縮合計時間として算出する圧縮合計時間算出過程と、上記前フレームのディジタル信号の伸張終了までの合計時間または推定合計時間を伸張合計時間として算出する伸張合計時間算出過程とのうち、どちらか一方の過程(以下、符号化方式による処理合計時間算出過程という)と、
上記各符号化方式による現フレームの圧縮時間または推定圧縮時間を現フレーム圧縮時間として算出する現フレーム圧縮時間算出過程と、上記各符号化方式による現フレームの伸張時間または推定伸張時間を現フレーム伸張時間として算出する現フレーム伸張時間算出過程とのうち、上記符号化方式による処理合計時間算出過程と対応する過程(以下、符号化方式による現フレーム処理時間算出過程という)と、
上記伝送合計時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記符号化方式による処理合計時間算出過程で算出した処理合計時間と、上記符号化方式による現フレーム処理時間算出過程で算出した現フレーム処理時間とに基づいて、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間と、現フレームの伝送終了までの合計時間または推定合計時間とのうち、上記符号化方式による処理合計時間算出過程に対応するどちらか一方が最小となる上記符号化方式を上記現フレームの符号化方式として選択する符号化方式選択過程と、を有することを特徴とする符号化伝送方法。
【請求項2】
請求項1記載の符号化伝送方法において、
上記符号化方式による処理合計時間算出過程が上記圧縮合計時間算出過程である場合、
上記符号化方式選択過程は、max()を大きい方の値を選択して返す関数とし、各符号化方式n(n=1、...、N Nは符号化方式の数であり、1以上の整数である)による上記圧縮合計時間をTA(m−1)nとし、上記伝送合計時間をTB(m−1)nとし、上記現フレーム圧縮時間をAmnとし、上記現フレーム伝送時間をBmnとし、Bmn+max(TA(m−1)n+Amn、TB(m−1)n)又はこれと等価な式を演算することで、現フレームの伝送終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する過程であることを特徴とする符号化伝送方法。
【請求項3】
請求項1記載の符号化伝送方法において、
上記符号化方式による処理合計時間算出過程が上記伸張合計時間算出過程である場合、
上記符号化方式選択過程は、max()を大きい方の値を選択して返す関数とし、各符号化方式n(n=1、...、N Nは符号化方式の数であり、1以上の整数である)による上記伝送合計時間をTB(m−1)nとし、上記伸張合計時間をTC(m−1)nとし、上記現フレーム伝送時間をBmnとし、上記現フレーム伸張時間をCmnとして、Cmn+max(TB(m−1)n+Bmn、TC(m−1)n)又はこれと等価な式を演算することで、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する過程であることを特徴とする符号化伝送方法。
【請求項4】
ディジタル信号を所定時間区間(以下、フレームという)ごとに分割する分割過程と、
前フレームのディジタル信号の伝送終了までの合計時間または推定合計時間を伝送合計時間として算出する伝送合計時間算出過程と、
各符号化方式による現フレームの伝送時間または推定伝送時間を現フレーム伝送時間として算出する現フレーム伝送時間算出過程と、
上記前フレームのディジタル信号の圧縮終了までの合計時間または推定合計時間を圧縮合計時間として算出する圧縮合計時間算出過程と、
上記前フレームのディジタル信号の伸張終了までの合計時間または推定合計時間を伸張合計時間として算出する伸張合計時間算出過程と、
上記各符号化方式による現フレームの圧縮時間または推定圧縮時間を現フレーム圧縮時間として算出する現フレーム圧縮時間算出過程と、
上記各符号化方式による現フレームの伸張時間または推定伸張時間を現フレーム伸張時間として算出する現フレーム伸張時間算出過程と、
上記圧縮合計時間と、上記伝送合計時間と、上記伸張合計時間と、上記現フレーム圧縮時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記現フレーム伸張時間と、に基づいて、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する符号化方式選択過程と、を有することを特徴とする符号化伝送方法。
【請求項5】
請求項4記載の符号化伝送方法において、
上記符号化方式選択過程は、max()を大きい方の値を選択して返す関数とし、各符号化方式n(n=1、...、N Nは符号化方式の数であり、1以上の整数である)による上記圧縮合計時間をTA(m−1)nとし、上記伝送合計時間をTB(m−1)nとし、上記伸張合計時間をTC(m−1)nとし、上記現フレーム圧縮時間をAmnとし、上記現フレーム伝送時間をBmnとし、上記現フレーム伸張時間をCmnとして、Cmn+max(Bmn+max(TA(m−1)n+Amn、TB(m−1)n)、TC(m−1)n)又はこれと等価な式を演算することで、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する過程であることを特徴とする符号化伝送方法。
【請求項6】
請求項1〜3の何れかに記載の符号化伝送方法において、
過去のフレームの圧縮時間または推定圧縮時間と、過去のフレームの伸張時間または推定伸張時間とのうち上記符号化方式による処理合計時間算出過程と対応する一方と、過去のフレームの伝送時間または推定伝送時間とのうち少なくとも1つを補正することで、上記現フレーム圧縮時間と、上記圧縮合計時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記伝送合計時間と、上記現フレーム伸張時間と、上記伸張合計時間のうち少なくとも1つを補正する補正過程を有することを特徴とする符号化伝送方法。
【請求項7】
請求項4または5に記載の符号化伝送方法において、
過去のフレームの圧縮時間または推定圧縮時間と、過去のフレームの伝送時間または推定伝送時間と、過去のフレームの伸張時間または推定伸張時間と、のうち少なくとも1つを補正することで、上記現フレーム圧縮時間と、上記圧縮合計時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記伝送合計時間と、上記現フレーム伸張時間と、上記伸張合計時間のうち少なくとも1つを補正する補正過程を有することを特徴とする符号化伝送方法。
【請求項8】
ディジタル信号を所定時間区間(以下、フレームという)ごとに分割する分割手段と、
前フレームのディジタル信号の伝送終了までの合計時間または推定合計時間を伝送合計時間として算出する伝送合計時間算出手段と、
各符号化方式による現フレームの伝送時間または推定伝送時間を現フレーム伝送時間として算出する現フレーム伝送時間算出手段と、
上記前フレームのディジタル信号の圧縮終了までの合計時間または推定合計時間を圧縮合計時間として算出する圧縮合計時間算出手段と、上記前フレームのディジタル信号の伸張終了までの合計時間または推定合計時間を伸張合計時間として算出する伸張合計時間算出手段とのうち、どちらか一方の手段(以下、符号化方式による処理合計時間算出手段という)と、
上記各符号化方式による現フレームの圧縮時間または推定圧縮時間を現フレーム圧縮時間として算出する現フレーム圧縮時間算出手段と、上記各符号化方式による現フレームの伸張時間または推定伸張時間を現フレーム伸張時間として算出する現フレーム伸張時間算出手段とのうち、上記符号化方式による処理合計時間算出手段と対応する手段(以下、符号化方式による現フレーム処理時間算出手段という)と、
上記伝送合計時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記符号化方式による処理合計時間算出手段で算出した処理合計時間と、上記符号化方式による現フレーム処理時間算出手段で算出した現フレーム処理時間とに基づいて、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間と、現フレームの伝送終了までの合計時間または推定合計時間とのうち、上記符号化方式による処理合計時間算出手段に対応するどちらか一方が最小となる上記符号化方式を上記現フレームの符号化方式として選択する符号化方式選択手段と、を有することを特徴とする符号化伝送装置。
【請求項9】
請求項8記載の符号化伝送装置において、
上記符号化方式による処理合計時間算出手段が上記圧縮合計時間算出手段である場合、
上記符号化方式選択手段は、max()を大きい方の値を選択して返す関数とし、各符号化方式n(n=1、...、N Nは符号化方式の数であり、1以上の整数である)による上記圧縮合計時間をTA(m−1)nとし、上記伝送合計時間をTB(m−1)nとし、上記現フレーム圧縮時間をAmnとし、上記現フレーム伝送時間をBmnとし、Bmn+max(TA(m−1)n+Amn、TB(m−1)n)又はこれと等価な式を演算することで、現フレームの伝送終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する手段であることを特徴とする符号化伝送装置。
【請求項10】
請求項8記載の符号化伝送装置において、
上記符号化方式による処理合計時間算出手段が上記伸張合計時間算出手段である場合、
上記符号化方式選択手段は、max()を大きい方の値を選択して返す関数とし、各符号化方式n(n=1、...、N Nは符号化方式の数であり、1以上の整数である)による上記伝送合計時間をTB(m−1)nとし、上記伸張合計時間をTC(m−1)nとし、上記現フレーム伝送時間をBmnとし、上記現フレーム伸張時間をCmnとして、Cmn+max(TB(m−1)n+Bmn、TC(m−1)n)又はこれと等価な式を演算することで、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する手段であることを特徴とする符号化伝送装置。
【請求項11】
ディジタル信号を所定時間区間(以下、フレームという)ごとに分割する分割手段と、
前フレームのディジタル信号の伝送終了までの合計時間または推定合計時間を伝送合計時間として算出する伝送合計時間算出手段と、
各符号化方式による現フレームの伝送時間または推定伝送時間を現フレーム伝送時間として算出する現フレーム伝送時間算出手段と、
上記前フレームのディジタル信号の圧縮終了までの合計時間または推定合計時間を圧縮合計時間として算出する圧縮合計時間算出手段と、
上記前フレームのディジタル信号の伸張終了までの合計時間または推定合計時間を伸張合計時間として算出する伸張合計時間算出手段と、
上記各符号化方式による現フレームの圧縮時間または推定圧縮時間を現フレーム圧縮時間として算出する現フレーム圧縮時間算出手段と、
上記各符号化方式による現フレームの伸張時間または推定伸張時間を現フレーム伸張時間として算出する現フレーム伸張時間算出手段と、
上記圧縮合計時間と、上記伝送合計時間と、上記伸張合計時間と、上記現フレーム圧縮時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記現フレーム伸張時間と、に基づいて、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する符号化方式選択手段と、を有することを特徴とする符号化伝送装置。
【請求項12】
請求項11記載の符号化伝送装置において、
上記符号化方式選択手段は、max()を大きい方の値を選択して返す関数とし、各符号化方式n(n=1、...、N Nは符号化方式の数であり、1以上の整数である)による上記圧縮合計時間をTA(m−1)nとし、上記伝送合計時間をTB(m−1)nとし、上記伸張合計時間をTC(m−1)nとし、上記現フレーム圧縮時間をAmnとし、上記現フレーム伝送時間をBmnとし、上記現フレーム伸張時間をCmnとして、Cmn+max(Bmn+max(TA(m−1)n+Amn、TB(m−1)n)、TC(m−1)n)又はこれと等価な式を演算することで、現フレームの伸張終了までの合計時間または推定合計時間が最小となる符号化方式を現フレームの符号化方式として選択する手段であることを特徴とする符号化伝送装置。
【請求項13】
請求項8〜10の何れかに記載の符号化伝送装置において、
過去のフレームの圧縮時間または推定圧縮時間と、過去のフレームの伸張時間または推定伸張時間とのうち上記符号化方式による処理合計時間算出過程と対応する一方と、過去のフレームの伝送時間または推定伝送時間とのうち少なくとも1つを補正することで、上記現フレーム圧縮時間と、上記圧縮合計時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記伝送合計時間と、上記現フレーム伸張時間と、上記伸張合計時間のうち少なくとも1つを補正する補正手段を有することを特徴とする符号化伝送装置。
【請求項14】
請求項11または12に記載の符号化伝送装置において、
過去のフレームの圧縮時間または推定圧縮時間と、過去のフレームの伝送時間または推定伝送時間と、過去のフレームの伸張時間または推定伸張時間と、のうち少なくとも1つを補正することで、上記現フレーム圧縮時間と、上記圧縮合計時間と、上記現フレーム伝送時間と、上記伝送合計時間と、上記現フレーム伸張時間と、上記伸張合計時間のうち少なくとも1つを補正する補正手段を有することを特徴とする符号化伝送装置。
【請求項15】
請求項1〜7の何れかに記載の符号化伝送方法の各過程をコンピュータに実行させるための符号化伝送プログラム。
【請求項16】
請求項15記載の符号化伝送プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2008−160535(P2008−160535A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347760(P2006−347760)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】