説明

等速自在継手

【課題】パッキンが半径方向内側へ位置ずれすることを未然に防止し、エンドプレートおよびブーツアダプタのシール性を確保する。
【解決手段】両端が開口し、軸方向に延びる複数のトラック溝12が形成された外輪10と、軸方向に延びる複数のトラック溝22が形成された内輪20と、トラック溝12とトラック溝22との間に介在してトルクを伝達する複数のボール30と、ボール30を保持するケージ40とを備え、外輪10の開口端面にエンドプレート50およびブーツアダプタ64を、パッキン52,66を介して密着させた等速自在継手であって、エンドプレート50におけるパッキン52の半径方向内側部位に、外輪10の開口端面に向けて突出する環状の隆起部70を形成し、ブーツアダプタ64におけるパッキン66の半径方向内側部位に、外輪10の開口端面に向けて突出させた環状の隆起部80を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種産業機械の動力伝達機構において使用され、例えば4WD車やFR車などで使用されるプロペラシャフトやドライブシャフトに組み込まれる摺動式等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば4WD車やFR車などの自動車で使用されるプロペラシャフトは、トランスミッションとディファレンシャル間の相対位置変化による角度変位に対応できる構造とするためにクロスグルーブ型と称される摺動式等速自在継手を具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5はディスクタイプのクロスグルーブ型等速自在継手を例示する。この等速自在継手は、外輪110、内輪120、ボール130およびケージ140を主要な構成要素としている。
【0004】
外輪110は、複数の直線状トラック溝112が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に沿って円筒状内周面114に形成されている。内輪120は、複数の直線状トラック溝122が軸線に対して外輪110のトラック溝112と反対方向に傾斜した状態で軸方向に沿って球面状外周面124に形成されている。ボール130は、外輪110のトラック溝112と内輪120のトラック溝122との交叉部に組み込まれて両者間でトルクを伝達する。ケージ140は、外輪110の円筒状内周面114と内輪120の球面状外周面124との間に介在してボール130を保持する。内輪120の軸孔140aにはシャフト200がスプライン嵌合により連結され、スナップリング190により軸孔140aからの抜けが防止されている。なお、図6に図5のD−D断面図(断面を示すハッチングは省略)を示し、図7に図5の円枠M部分の拡大図を示した。
【0005】
継手内部に充填した潤滑剤の漏洩を防ぐと共に異物の侵入を防止するため、外輪110の一方の開口端部116(図5左側)には金属製のエンドプレート150が外輪110に形成された孔118を利用してボルト締めにより固定され、外輪110の他方の開口端部111(図5右側)とシャフト200との間には密封装置160が装着されている。
【0006】
エンドプレート150は、図5に示すように外輪110の一方の開口端面に形成された凹所113にゴム製パッキン152が嵌め込まれ、このパッキン152を介してエンドプレート150を外輪110の開口端部116に圧入することによりシール性を確保するようにしている。なお、パッキン152の位置決めを容易にするため、エンドプレート150の外輪対向面に粘着シート154でパッキン152を貼着し、エンドプレート150の外輪110への圧入により外輪110の凹所113にパッキン152を嵌め込んで圧壊させ、エンドプレート150を外輪110の開口端面に密着させるようにしている。
【0007】
また、密封装置160は、ブーツ162と金属製のブーツアダプタ164とからなる。ブーツ162は小端部と大端部を有し、中間にてV字形に折り返した格好になっている。ブーツアダプタ164は円筒形で、一端に外輪110の外周面と嵌合するフランジを有し、エンドプレート150と共に孔118を利用してボルト締めにより外輪110に固定される。ブーツ162の小端部はシャフト200に取り付けてブーツバンドで締め付けられている。ブーツ162の大端部はブーツアダプタ164の端部を加締めて保持されている。
【0008】
このブーツアダプタ164も、前述のエンドプレート150と同様、外輪110の他方の開口端面に形成された凹所115にゴム製パッキン166が嵌め込まれ、このパッキン166を介してブーツアダプタ164を外輪110の開口端部111に圧入することによりシール性を確保するようにしている。なお、パッキン166の位置決めを容易にするため、ブーツアダプタ164の外輪対向面に粘着シート168でパッキン166を貼着し、ブーツアダプタ164の外輪110への圧入により外輪110の凹所115にパッキン166を嵌め込んで圧壊させ、ブーツアダプタ164を外輪110の開口端面に密着させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−223523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前述したディスクタイプのクロスグルーブ型等速自在継手は、継手内部に充填された潤滑剤の漏洩を防止するため、外輪110の一方の開口端部116にエンドプレート150を密着させ、外輪110の他方の開口端部111にブーツアダプタ164を密着させた構造を具備する。
【0011】
これらエンドプレート150およびブーツアダプタ164によるシール性を確保するため、エンドプレート150およびブーツアダプタ164と外輪110の開口端面との間にゴム製パッキン152,166を介在させている。このパッキン152,166は、外輪110の開口端面に形成された凹所113,115に嵌め込まれ、その凹所113,115の周壁面113a,115aでパッキン152,166の外周を規制することで半径方向外側への逃げを防止し、ボルト締めによりエンドプレート150およびブーツアダプタ164を外輪110へ押圧してパッキン152,166を圧壊することによりそのエンドプレート150およびブーツアダプタ164を外輪110の開口端面に密着させてシール性を確保するようにしている。
【0012】
しかしながら、このタイプの等速自在継手では、ボルトの締め付け状況によってはパッキン152,166の反力により、そのパッキン152,166が半径方向内側へ位置ずれすることがある。このような位置ずれが生じると、エンドプレート150およびブーツアダプタ164と外輪110の開口端面との間にパッキン152,166が介在しなくなり、シール性を確保することが困難になる。
【0013】
なお、エンドプレート150およびブーツアダプタ164に粘着シート154,168でパッキン152,166を貼着した場合であっても、高温下で使用されると、粘着シート154,168の粘着力がなくなることにより、前述したようにパッキン152,166が半径方向内側へ位置ずれすることでシール性を確保することが困難になる問題が発生する可能性がある。
【0014】
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、パッキンが半径方向内側へ位置ずれすることを未然に防止し、エンドプレートおよびブーツアダプタのシール性を確保し得る等速自在継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、少なくとも一方の端部が開口し、内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面に外側継手部材のトラック溝と対をなして軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールを保持するケージとを備え、外側継手部材の開口端面にシール部材をリング状のパッキンを介して密着させた等速自在継手であって、前記シール部材におけるパッキンの半径方向内側部位に、前記外側継手部材の開口端面に向けて突出してパッキンの位置を規制する凸部を形成したことを特徴とする。
【0016】
本発明では、シール部材におけるパッキンの半径方向内側部位に、外側継手部材の開口端面に向けて突出してパッキンの位置を規制する凸部を形成したことにより、シール部材の外側継手部材への圧入により、パッキンの反力でもってパッキンが半径方向内側へ位置ずれしようとしても、シール部材に形成された凸部でパッキンが係止され、半径方向内側への位置ずれを規制することができ、シール部材によるシール性を確保することが容易となる。
【0017】
本発明における凸部としては、シール部材を彎曲成形させることにより形成された隆起部とすることが望ましい。このようにすれば、凸部を簡単な加工で形成することができる点で有効である。なお、凸部は、前述したようにシール部材と一体的に形成する以外に、シール部材と別体で形成することもできる。
【0018】
凸部は、外側継手部材の開口端面に接触させるのが望ましい。この場合、パッキンが半径方向内側へ位置ずれしようとしても、パッキンをシール部材の凸部に確実に係止させることができるため、パッキンの半径方向内側への位置ずれを確実に防止することができる。なお、凸部は、パッキンが半径方向内側に位置ずれしようとした際にパッキンの半径方向内側に係止させることができるのであれば、外側継手部材の開口端面に必ずしも接触させる必要はない。
【0019】
また、シール部材に外側継手部材の開口端面側へ突出する凸部を形成する場合、周方向の複数箇所に形成するのが望ましい。この場合、パッキンが周方向の複数箇所で径方向内側へ位置ずれしようとしても、これを凸部により防止することができる。さらに、本発明において凸部をシール部材の周方向の複数箇所に等間隔で形成するようにすると、凸部がシール部材の周方向で均等配置されるため、パッキンの半径方向内側への位置ずれを凸部により確実に防止することができる。また、本発明における凸部を環状とすれば、その凸部がシール部材の全周に亘って配置されるため、パッキンの半径方向内側への位置ずれをより一層確実に防止することができる。
【0020】
本発明では、シール部材とパッキンとの間に粘着シートを介在させた構造が望ましい。このようにすれば、シール部材を外側継手部材の開口端部に圧入するに際して、シール部材と外側継手部材のパッキン接触面との間にパッキンを確実に介在させることが容易となる。
【0021】
これまでに述べた本発明は、外側継手部材のトラック溝が、外側継手部材の球面状の内周面に形成され、前記内側継手部材のトラック溝が、内側継手部材の球面状の外周面に形成されている等速自在継手、つまり、固定型等速自在継手の一つであるバーフィールド型等速自在継手(BJ)に適用するのが有効である。
【0022】
或いは、本発明は、外側継手部材のトラック溝が軸線に対して傾斜した状態で直線状に形成され、内側継手部材のトラック溝が軸線に対して前記外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で直線状に形成され、ボールが外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交叉部に組み込まれている等速自在継手、つまり、レブロ型(クロスグルーブ型:LJ)等速自在継手に適用することが有効である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、シール部材におけるパッキンの半径方向内側部位に、外側継手部材の開口端面に向けて突出してパッキンの位置を規制する凸部を形成したことにより、シール部材の外側継手部材への圧入により、パッキンの反力でもってパッキンが半径方向内側へ位置ずれしようとしても、シール部材に形成された凸部でパッキンが係止され、半径方向内側への位置ずれを未然に防止することができ、シール部材のシール性を確保することが容易となる。その結果、信頼性の向上が図れ、高品質で長寿命の等速自在継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明における実施形態で、ディスクタイプのクロスグルーブ型等速自在継手の主要部構成を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】(A)は図1のエンドプレートの拡大図であり、(B)は(A)の白抜矢印A方向における正面図である。
【図4】図1のX部の拡大断面図である。
【図5】従来におけるディスクタイプのクロスグルーブ型等速自在継手の主要部構成を示す断面図である。
【図6】図5のD−D線に沿う断面図である。
【図7】図5のM部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜図4は、本発明の実施形態で、ディスクタイプのクロスグルーブ型等速自在継手を例示する。本発明は、ディスクタイプのみならず、フランジタイプやベルタイプのクロスグルーブ型等速自在継手にも適用可能である。
【0026】
また、このクロスグルーブ型等速自在継手は、ケージ40の最小内径を内輪20の最大外径よりも小さく設定することにより、ケージ40と内輪20の干渉により軸方向変位量を規制するフロートタイプと、ケージ40の最小内径を内輪20の最大外径よりも大きく設定することにより、ボール30とケージ40の干渉により軸方向変位量を規制するノンフロートタイプの二種類に大別され、両タイプはプロペラシャフトやドライブシャフトが装備される車両の特性(スライド量や負荷容量など)に応じて使い分けられている。この実施形態では、フロートタイプを例示するが、ノンフロートタイプにも適用可能である。
【0027】
この実施形態の等速自在継手は、図1およびそのA−A断面図である図2(断面を示すハッチングは省略)に示すように外側継手部材である外輪10、内側継手部材である内輪20、ボール30およびケージ40を主要な構成要素としている。
【0028】
外輪10は、複数の直線状トラック溝12が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に沿って円筒状内周面14に形成されている。内輪20は、複数の直線状トラック溝22が軸線に対して外輪10のトラック溝12と反対方向に傾斜した状態で軸方向に沿って球面状外周面24に形成されている。ボール30は、外輪10のトラック溝12と内輪20のトラック溝22との交叉部に組み込まれて両者間でトルクを伝達する。ケージ40は、外輪10の円筒状内周面14と内輪20の球面状外周面24との間に介在してボール30を保持する。内輪20の軸孔40aにはシャフト100がスプライン嵌合により連結され、スナップリング90により軸孔40aからの抜けが防止されている。
【0029】
継手内部に充填した潤滑剤の漏洩を防ぐと共に異物の侵入を防止するため、外輪10の一方の開口端部16(図1左側)にはシール部材である金属製のエンドプレート50が外輪10に形成された孔18を利用してボルト締めにより固定され、外輪10の他方の開口端部11(図1右側)とシャフト100との間には密封装置60が装着されている。
【0030】
エンドプレート50は、外輪10の一方の開口端面に形成された凹所13にリング状のゴム製パッキン52が嵌め込まれ、このパッキン52を介してエンドプレート50を外輪10の開口端部16に圧入することによりシール性を確保するようにしている。なお、パッキン52の位置決めを容易にするため、エンドプレート50の外輪対向面に粘着シート54でパッキン52を貼着し、エンドプレート50の外輪10への圧入により外輪10の凹所13にパッキン52を嵌め込んで圧壊させ、エンドプレート50を外輪10の開口端面に密着させるようにしている。
【0031】
また、密封装置60は、ブーツ62とシール部材である金属製のブーツアダプタ64とからなる。ブーツ62は小端部と大端部を有し、中間にてV字形に折り返した格好になっている。ブーツアダプタ64は円筒形で、一端に外輪10の外周面と嵌合するフランジを有し、エンドプレート50と共に孔18を利用してボルト締めにより外輪10に固定される。ブーツ62の小端部はシャフト100に取り付けてブーツバンドで締め付けられている。ブーツ62の大端部はブーツアダプタ64の端部を加締めて保持されている。
【0032】
このブーツアダプタ64も、前述のエンドプレート50と同様、外輪10の他方の開口端面に形成された凹所15にリング状のゴム製パッキン66が嵌め込まれ、このパッキン66を介してブーツアダプタ64を外輪10の開口端部11に圧入することによりシール性を確保するようにしている。なお、パッキン66の位置決めを容易にするため、ブーツアダプタ64の外輪対向面に粘着シート68でパッキン66を貼着し、ブーツアダプタ64の外輪10への圧入により外輪10の凹所15にパッキン66を嵌め込んで圧壊させ、ブーツアダプタ64を外輪10の開口端面に密着させるようにしている。
【0033】
図1および図2に示す実施形態では、図1の円枠X部の拡大図である図4に示すように、シール部材であるエンドプレート50に、パッキン52の位置を規制する凸部として外輪10の開口端面側へ突出させた環状の隆起部70を形成し、パッキン52の内周面の径方向内側に配置する。この隆起部70は、エンドプレート50を彎曲成形させることにより形成され、外輪10の開口端面に接触させている。また、シール部材であるブーツアダプタ64には、外輪10の開口端面側へ突出させた環状の隆起部80を形成し、パッキン66の内周面の径方向内側に配置する。隆起部80は、ブーツアダプタ64を彎曲成形させることにより形成され、外輪10の開口端面に接触させている。なお、図3(A)にエンドプレート50の拡大図を示し、この図3(A)の白抜矢印A方向における正面図を図3(B)に示した。また、図3(A)および図3(B)において、同じ部位に50、51a〜51d、70の符号を付した。
【0034】
この実施形態では、エンドプレート50およびブーツアダプタ64の外輪10への圧入により、パッキン52,66が外輪10の開口端面の凹所13,15に嵌め込まれ、その凹所13,15の周壁面13a,15aでパッキン52,66の外周を規制することで半径方向外側への逃げを防止することができる。また、エンドプレート52およびブーツアダプタ66の外輪10への圧入により、パッキン52,66の反力でもってパッキン52,66が半径方向内側へ位置ずれしようとしても、エンドプレート50およびブーツアダプタ64に形成された隆起部70,80にパッキン52,66が引っ掛かって係止され、半径方向内側への位置ずれを確実に規制することができ、エンドプレート50およびブーツアダプタ64のシール性を確保することが容易となる。なお、環状の隆起部70,80は、エンドプレート50およびブーツアダプタ64の成形と同時に形成できるため、その形成が極めて容易である。
【0035】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0036】
例えば、エンドプレート50やブーツアダプタ64に形成する凸部は、本実施形態では、エンドプレート50やブーツアダプタ64を彎曲させて一体で形成したが、エンドプレート50やブーツアダプタ64と別体で形成するようにしてもよい。
【0037】
また、隆起部70,80を外輪10の開口端面に接触させたが、パッキン52,66が半径方向内側へ位置ずれしようとした際、このパッキン52,66の半径方向内側の部位を隆起部70,80に係止させることができるのであれば、隆起部70,80によりパッキン52,66の半径方向内側への位置ずれを防止できるため、隆起部70,80は、外輪10の開口端面に必ずしも接触させる必要はない。しかし、隆起部70,80を外輪10の開口端面に接触させる方が、パッキン52,66が半径方向内側へ位置ずれしようとした際、パッキン52,66の半径方向内側の部位を隆起部70,80に確実に係止させることができてパッキン52,66の半径方向内側への位置ずれを確実に防止できる点で望ましい。
【0038】
なお、本実施形態では、摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手に本発明を適用したが、等速自在継手の種類は特に限定されるものではない。例えば、外輪のトラック溝が、外輪の球面状の内周面に形成され、内輪のトラック溝が、内輪の球面状の外周面に形成された固定型等速自在継手の一つであるバーフィールド型等速自在継手にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 外側継手部材(外輪)
11 端部
12 トラック溝
14 内周面
16 端部
20 内側継手部材(内輪)
22 トラック溝
24 外周面
30 ボール
40 ケージ
50 シール部材(エンドプレート)
52 パッキン
54 粘着シート
64 シール部材(ブーツアダプタ)
66 パッキン
68 粘着シート
70、80 凸部(隆起部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の端部が開口し、内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、外周面に前記外側継手部材のトラック溝と対をなして軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在して前記ボールを保持するケージとを備え、前記外側継手部材の開口端面にシール部材をリング状のパッキンを介して密着させた等速自在継手であって、前記シール部材におけるパッキンの半径方向内側部位に、前記外側継手部材の開口端面に向けて突出して前記パッキンの位置を規制する凸部を形成したことを特徴とする等速自在継手。
【請求項2】
前記凸部は、前記シール部材を彎曲成形させることにより形成された隆起部である請求項1に記載の等速自在継手。
【請求項3】
前記凸部は、前記シール部材と別体で形成されている請求項1に記載の等速自在継手。
【請求項4】
前記凸部は、前記外側継手部材の開口端面に接触している請求項1〜3のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項5】
前記凸部は、周方向の複数箇所に形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項6】
前記凸部は、周方向等間隔に形成されている請求項5に記載の等速自在継手。
【請求項7】
前記凸部は、環状をなす請求項1〜4のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項8】
前記シール部材とパッキンとの間に粘着シートを介在させた請求項1〜7のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項9】
前記外側継手部材のトラック溝は、外側継手部材の球面状の内周面に形成され、前記内側継手部材のトラック溝は、内側継手部材の球面状の外周面に形成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項10】
前記外側継手部材のトラック溝は軸線に対して傾斜した状態で直線状に形成され、前記内側継手部材のトラック溝は軸線に対して前記外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で直線状に形成され、前記ボールは前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交叉部に組み込まれている請求項1〜8のいずれか一項に記載の等速自在継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−261532(P2010−261532A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113687(P2009−113687)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】