説明

等速自在継手

【課題】 外輪に対してブーツが位相ずれすることなく、高作動角時においてもシール性を十分に確保する。
【解決手段】 一端に開口部11を有し、内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝12が形成された外輪10と、その外輪10のトラック溝12との間に配されたローラ30を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達するトリポード部材20とを備え、外輪10の開口部11を閉塞する筒状のブーツ40の大径端部42を外輪10の開口部外周面に装着した等速自在継手であって、ブーツ40の大径端部42の内周面にその円周方向全周に亘って径方向内側へ突出して外輪10の開口部端面13に当接するリブ41を形成すると共に、そのリブ41におけるトラック溝12と対応する部位に、ブーツ開口側へ延びて外輪10の開口部内周面15に当接する凸部43を付設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用され、例えば自動車のドライブシャフト等に組み込まれ、継手外部からの異物侵入や継手内部からの潤滑剤漏洩を防止するブーツを備えた等速自在継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達する手段として使用される等速自在継手には、固定式等速自在継手と摺動式等速自在継手の二種がある。これら両者の等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を備えている。
【0003】
自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトは、エンジンと車輪との相対的位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、エンジン側(インボード側)に摺動式等速自在継手を、駆動車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手をそれぞれ装備し、両者の等速自在継手をシャフトで連結した構造を具備する。
【0004】
例えば、このドライブシャフトに組み込まれる摺動式等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手は、図6および図7に示すように内周面に軸方向に延びる三本のトラック溝112が形成され、各トラック溝112の両側でそれぞれ軸方向に延びるローラ案内面114を有する外輪110と、半径方向に突出した三本の脚軸124を有するトリポード部材120と、そのトリポード部材120の脚軸124と外輪110のローラ案内面114との間に回転自在に収容されたローラ130とを主要な構成要素とし、トリポード部材120およびローラ130が外輪110に軸方向摺動自在に収容された構造を具備する。この種の等速自在継手では、継手内部に封入されたグリース等の潤滑剤の漏洩を防ぐと共に継手外部からの異物侵入を防止するため、筒状のブーツ140を装着した構造が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このブーツ140は、外輪110の開口部111の外周面にブーツバンド152により締め付け固定された大径端部142と、トリポード部材120から延びるシャフト160の外周面にブーツバンド154により締め付け固定された小径端部144と、大径端部142と小径端部144とを繋ぎ、山部と谷部とが交互に連続的に形成されて大径端部142から小径端部144へ向けて縮径した蛇腹部146とで構成されている。
【0006】
この等速自在継手の外輪110は、隣接するトラック溝112同士の間に位置する外周面に軸方向に延びる凹部118を形成することにより、その除肉分で軽量化を図っている。これに対して、ブーツ140の大径端部142は、図8に示すようにその内周面が前述の外輪110の外形形状に合致させた形状を有する。つまり、外輪110の外周面に形成された凹部118と対応する部位に凸部148を形成している。
【0007】
従って、このブーツ140の大径端部142を外輪110の開口部111の外周面に装着するに際しては、外輪110の凹部118に対する円周方向の位置合わせ(凸部148との位相合わせ)を行った上で、外輪110の開口部111の外周面にブーツ140の大径端部142を嵌合させるようにしている。
【0008】
この等速自在継手では、外輪110およびブーツ140の内部空間に潤滑剤を封入することにより、外輪110に対してシャフト160が作動角をとりながら回転する動作時において、継手内部の摺動部位、つまり、外輪110、トリポード部材120およびローラ130で構成される摺動部位での潤滑性を確保するようにしている。
【0009】
一方、ブーツ140の大径端部142は、その内周面から径方向内側へ向けて突出するリブ141を全周に亘って形成し、そのリブ141を外輪110の開口部端面113に当接させるようにしている。このようにブーツ140の大径端部142のリブ141を外輪110の開口部端面113に当接させることにより、ブーツ組付け時の軸方向位置決めを容易にすると共に、潤滑剤に対するシール性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−263730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来の等速自在継手では、前述したように外周面に凹部118が形成された外輪110の外形形状に対して、ブーツ140の大径端部142の内周面をその外輪110の外形形状と合致させることにより、ブーツ140の大径端部142を外輪110の開口部111に嵌合させてブーツバンド152により締め付け固定してシール性を確保するようにしている。また、ブーツ140の大径端部142の内周面にリブ141を設け、そのリブ141を外輪110の開口部端面113に当接させることにより、シール性の向上を図っている。
【0012】
しかしながら、何らかの原因、例えばブーツ140の組み付け時や継手の低温使用時などで外輪110に対してブーツ140が位相ずれすると、外輪110とブーツ140とのシール面にすきまが発生し、そのすきまを介して継手内部から潤滑剤が漏洩する可能性がある。また、ブーツ140の蛇腹部146の設計によっては、図9(図ではブーツ140の下側を省略している)に示すように高作動角時にリブ141と外輪110の開口部端面113との間にすきまmが発生し、そのすきまmを介してポンプ作用により継手内部から潤滑剤が漏洩する可能性もある。
【0013】
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、外輪に対してブーツが位相ずれすることなく、高作動角時においてもシール性を十分に確保し得る等速自在継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、一端に開口部を有し、内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、その外側継手部材のトラック溝との間に配されたトルク伝達部材を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備え、外側継手部材の開口部を閉塞する筒状のブーツの端部を外側継手部材の開口部外周面に装着した等速自在継手であって、ブーツの端部の内周面にその円周方向全周に亘って径方向内側へ突出して外側継手部材の開口部端面に密着するリブを形成すると共に、そのリブにおけるトラック溝の少なくとも両端と対応する部位に、ブーツ開口側へ延びて外側継手部材の開口部内周面に密着する凸部を付設したことを特徴とする。
【0015】
本発明では、ブーツの端部の内周面にその円周方向全周に亘って径方向内側へ突出するリブを形成すると共に、そのリブにおけるトラック溝の少なくとも両端と対応する部位に、ブーツ開口側へ延びる凸部を付設したことにより、そのブーツのリブを外側継手部材の開口部端面に当接させると共に凸部を外側継手部材の開口部内周面に当接させる。つまり、凸部が外側継手部材の開口部を径方向内側から押さえ込み、外側継手部材の開口部を凸部と端部とで挟み込む形態となる。
【0016】
これにより、高作動角時であっても、凸部と外側継手部材の開口部端面との間にすきまが発生することを回避でき、その結果、シール性を十分に確保することができる。また、外側継手部材の開口部をブーツの端部と凸部で挟み込むことにより、ブーツの端部が外側継手部材から外れ難くなって装着性の向上が図れる。
【0017】
また、前述の凸部をリブにおけるトラック溝の少なくとも両端と対応する部位に設けたことにより、その凸部がブーツの組み付け時にガイドとして機能することで、外側継手部材に対してブーツが位相ずれすることを未然に防止できる。さらに、ブーツの組み付け後、継手の低温使用などにより外側継手部材に対してブーツが位相ずれすることも抑制することができる。
【0018】
本発明における外側継手部材は、外周面のトラック溝間と対応する部位に軸方向に延びる凹部が形成された外形形状をなすことが望ましい。このような外形形状を有する外側継手部材を使用した場合、凹部形成による除肉分で軽量化が図れる点で有効である。なお、この外側継手部材は、外周面が円形形状をなすものであってもよい。
【0019】
本発明における凸部は、ブーツ開口側へ向けて肉厚が小さくなる先細り形状、ブーツ開口側へ向けて肉厚が同一で先端部が角形状、あるいは、ブーツ開口側へ向けて肉厚が同一で先端部がR形状のいずれであってもよい。これらいずれの形状であっても、外側継手部材の開口部をブーツの端部と凸部で挟み込むことにより、ブーツの端部が外側継手部材から外れ難くなって装着性の向上が図れる。
【0020】
本発明における凸部はブーツのリブと一体的に形成されていることが望ましい。このように凸部をブーツのリブと一体的に形成すれば、凸部の形成が容易であって加工性の向上が図れる。なお、凸部を一体的に形成するブーツは、ゴム製あるいは樹脂製のいずれであってもよい。
【0021】
また、本発明は、内周面に軸方向に延びる三本のトラック溝が形成され、各トラック溝の両側でそれぞれ軸方向に延びるローラ案内面を有する外側継手部材と、半径方向に突出した三本の脚軸を有する内側継手部材(トリポード部材)と、その内側継手部材の脚軸に回転自在に支持されると共に外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されたトルク伝達部材(ローラ)とを備え、そのトルク伝達部材をローラ案内面に沿って外側継手部材の軸方向に移動可能とした等速自在継手、つまり、トリポード型等速自在継手に適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、ブーツの端部の内周面にその円周方向全周に亘って径方向内側へ突出するリブを形成すると共に、そのリブにおける外側継手部材のトラック溝の少なくとも両端と対応する部位にブーツ開口側へ延びる凸部を付設したことにより、そのブーツのリブを外側継手部材の開口部端面に当接させると共に凸部を外側継手部材の開口部内周面に当接させる。つまり、凸部が外側継手部材の開口部を径方向内側から押さえ込み、その外側継手部材の開口部を凸部と端部とで挟み込む形態となる。
【0023】
これにより、高作動角時であっても、凸部と外側継手部材の開口部端面との間にすきまが発生することを回避でき、その結果、シール性を十分に確保することができる。また、外側継手部材の開口部をブーツの端部と凸部で挟み込むことにより、ブーツの端部が外側継手部材から外れ難くなって装着性の向上が図れる。
【0024】
また、前述の凸部をリブにおけるトラック溝の少なくとも両端と対応する部位に設けたことにより、その凸部がブーツの組み付け時にガイドとして機能することで、外側継手部材に対してブーツが位相ずれすることを未然に防止できる。さらに、ブーツの組み付け後、継手の低温使用などにより外側継手部材に対してブーツが位相ずれすることも抑制することができる。
【0025】
その結果、ブーツを外側継手部材に組み付ける組み付け性、ブーツを外側継手部材に固定する装着性、およびブーツで外側継手部材の開口部を密封するシール性に優れた等速自在継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る等速自在継手の実施形態で、トリポード型等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態で、図1のトリポード型等速自在継手の全体構成を示す横断面図である。
【図3】本発明の実施形態で、図1のブーツを大径端部側から見た側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態で、図1のブーツを大径端部側から見た側面図である。
【図5】ブーツのリブおよび凸部で、(a)は図1の実施形態で先細り形状の凸部を示す部分拡大断面図、(b)は角形状の凸部を示す部分拡大断面図、(c)はR形状の凸部を示す部分拡大断面図である。
【図6】等速自在継手の従来例で、トリポード型等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。
【図7】図6のトリポード型等速自在継手の全体構成を示す横断面図である。
【図8】図6のブーツを大径端部側から見た側面図である。
【図9】図6の等速自在継手が作動角をとった状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。以下の実施形態では、ドライブシャフトやプロペラシャフト等に組み込まれ、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し、しかも、軸方向の相対変位をも許容することができる構造を備えた摺動式等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手を例示する。
【0028】
図1は継手軸線に対する縦断面図を示し、図2は継手軸線に対する横断面図を示す。この実施形態のトリポード型等速自在継手は、外側継手部材である外輪10と、内側継手部材であるトリポード部材20と、トルク伝達部材であるローラ30とを主要部として構成し、トリポード部材20およびローラ30が外輪10に軸方向摺動自在に収容された構造を具備する。
【0029】
外輪10は、一端に開口部11を有するカップ状をなし、図示しないが、その底部中央に回転軸が一体的に形成されている。外輪10の内周面には、軸方向に延びる三本のトラック溝12が円周方向等間隔に形成される。各トラック溝12は、その両側に互いに対向する一対のローラ案内面14を有する。ローラ案内面14は円弧状断面を有し、外輪10の軸線方向に直線状に延びる。
【0030】
トリポード部材20は、円筒状をなすボス部22の外周面に三本の脚軸24が円周方向等間隔(120°間隔)で放射状に一体形成されたものである。ボス22の軸孔に回転軸60の軸端がスプライン嵌合により連結される。各脚軸24の先端は、トラック溝12の底面付近まで半径方向に延在し、その外周面は円筒面とされている。
【0031】
外輪10のトラック溝12のローラ案内面14と脚軸24の外周面との間に針状ころ32を介してローラ30が配設される。ローラ30の外周面は縦断面円弧状とされ、ローラ案内面14と線接触するように構成される。一方、ローラ30の内周面は、円筒状に形成されている。ローラ30の内周面と脚軸24の外周面との間に、複数の針状ころ32が単列総ころ状態で配設される。針状ころ32は、脚軸24の付根部と先端部に配されたワッシャ34,36で挟持された状態で止め輪38により抜け止めされている。
【0032】
この種の等速自在継手は、継手内部に封入されたグリース等の潤滑剤の漏洩を防ぐと共に継手外部からの異物侵入を防止するため、例えばゴム製あるいは樹脂製の筒状ブーツ40が装着されている。ブーツ40は、外輪10の開口部11の外周面にブーツバンド52により締め付け固定された大径端部42と、トリポード部材20から延びるシャフト60の外周面にブーツバンド54により締め付け固定された小径端部44と、大径端部42と小径端部44とを繋ぎ、山部と谷部とが交互に連続的に形成されて大径端部42から小径端部44へ向けて縮径した蛇腹部46とで構成されている。
【0033】
なお、外輪10の外周面は、軽量化のため、隣接するトラック溝12間と対応する部位が除肉されて凹所18が軸方向に形成されている。これに対して、ブーツ40の大径端部42は、図3に示すようにその内周面が前述の外輪10の外形形状に合致させた形状を有する。つまり、外輪10の外周面に形成された凹部18と対応する部位に凸部48を形成している。
【0034】
この等速自在継手では、外輪10およびブーツ40の内部空間に潤滑剤を封入することにより、外輪10に対してシャフト60が作動角をとりながら回転する動作時において、継手内部の摺動部位、つまり、外輪10、トリポード部材20およびローラ30で構成される摺動部位での潤滑性を確保するようにしている。
【0035】
外輪10の開口部11に装着されるブーツ40の大径端部42に、図1および図3に示すようにその内周面に円周方向全周に亘って径方向内側へ突出するリブ41を形成すると共に、そのリブ41におけるトラック溝12と対応する部位に、ブーツ開口側へ延びる凸部43を付設する。このリブ43を形成する軸方向位置は、外輪10の開口部11の端面13と対応する部位、つまり、蛇腹部46が繋がる大径端部42の最奥部位としている。一方、凸部43はブーツ40のリブ41と一体的に形成されている。この凸部43をブーツ40のリブ41と一体的に形成することにより、凸部43の形成が容易であって加工性の向上が図れる。
【0036】
このように、ブーツ40の大径端部42の内周面にその円周方向全周に亘って径方向内側へ突出するリブ41を形成すると共に、そのリブ41におけるトラック溝12と対応する部位に、ブーツ開口側へ延びる凸部43を付設することにより、そのブーツ40のリブ41を外輪10の開口部11の端面13に当接させると共に凸部43を外輪10の開口部11の内周面15に当接させる。
【0037】
つまり、凸部43が外輪10の開口部11を径方向内側から押さえ込み、その外輪10の開口部11を大径端部42と凸部43とで挟み込む形態となる。これにより、高作動角時であっても、リブ42と外輪10の開口部11の端面13との間にすきまが発生することを回避でき、その結果、シール性を十分に確保することができる。また、外輪10の開口部11をブーツ40の大径端部42と凸部43とで挟み込むことにより、ブーツ40の大径端部42が外輪10から外れ難くなって装着性の向上が図れる。
【0038】
また、前述の凸部43を外輪10のトラック溝12と対応する部位に設けたことにより、その凸部43がブーツ40の組み付け時にガイドとして機能することで、外輪10に対してブーツ40が位相ずれすることを未然に防止できる。さらに、ブーツ40の組み付け後、継手の低温使用などにより外輪10に対してブーツ40が位相ずれすることも抑制することができる。
【0039】
なお、前述の実施形態では、凸部43を外輪10のトラック溝12の全幅と対応する部位に設けた場合について説明したが、ブーツ40の組み付け時や継手の低温使用時におけるブーツ40の位相ずれを防止するのみであれば、図4に示すように凸部45を外輪10のトラック溝12の両端と対応する部位のみに形成することも可能である。
【0040】
また、図1に示す実施形態では、凸部43は、図5(a)に示すようにブーツ開口側へ向けて肉厚が小さくなる先細り形状を有する場合を例示するが、本発明はこれに限定されることなく、図5(b)に示すようにブーツ開口側へ向けて肉厚が同一で先端部が角形状をなす凸部45や、図5(c)に示すようにブーツ開口側へ向けて肉厚が同一で先端部がR形状をなす凸部47が可能であり、その凸部の形状は任意である。
【0041】
これらいずれの形状であっても、外輪10の開口部11をブーツ40の大径端部42と凸部43(45,47)で挟み込むことにより、ブーツ40の大径端部42が外輪10から外れ難くなって装着性の向上が図れる。
【0042】
なお、以上の実施形態では、外輪10の外周面が、軽量化のため、隣接するトラック溝12間と対応する部位が除肉されてその外周面に凹所18が軸方向に形成された外形形状を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、外輪の外周面が円形形状をなす場合についても適用可能である。
【0043】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0044】
10 外側継手部材(外輪)
11 開口部
12 トラック溝
13 開口部端面
14 ローラ案内面
15 開口部内周面
18 凹部
20 内側継手部材(トリポード部材)
24 脚軸
30 トルク伝達部材(ローラ)
40 ブーツ
41 リブ
42 端部(大径端部)
43,45,47 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口部を有し、内周面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝との間に配されたトルク伝達部材を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備え、前記外側継手部材の開口部を閉塞する筒状のブーツの端部を前記外側継手部材の開口部外周面に装着した等速自在継手であって、
前記ブーツの端部の内周面にその円周方向全周に亘って径方向内側へ突出して前記外側継手部材の開口部端面に当接するリブを形成すると共に、そのリブにおける前記トラック溝の少なくとも両端と対応する部位に、ブーツ開口側へ延びて前記外側継手部材の開口部内周面に当接する凸部を付設したことを特徴とする等速自在継手。
【請求項2】
前記外側継手部材は、外周面のトラック溝間と対応する部位に軸方向に延びる凹部が形成された外形形状をなす請求項1に記載の等速自在継手。
【請求項3】
前記外側継手部材は、外周面が円形形状をなす請求項1に記載の等速自在継手。
【請求項4】
前記凸部は、ブーツ開口側へ向けて肉厚が小さくなる先細り形状をなす請求項1〜3のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項5】
前記凸部は、ブーツ開口側へ向けて肉厚が同一で先端部が角形状をなす請求項1〜3のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項6】
前記凸部は、ブーツ開口側へ向けて肉厚が同一で先端部がR形状をなす請求項1〜3のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項7】
前記凸部をブーツのリブと一体的に形成した請求項1〜6のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項8】
前記ブーツはゴム製である請求項1〜7のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項9】
前記ブーツは樹脂製である請求項1〜7のいずれか一項に記載の等速自在継手。
【請求項10】
前記外側継手部材は、内周面に軸方向に延びる三本のトラック溝が形成され、各トラック溝の両側でそれぞれ軸方向に延びるローラ案内面を有すると共に、前記内側継手部材は、半径方向に突出した三本の脚軸を有し、前記トルク伝達部材は、脚軸に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されて前記ローラ案内面に沿って外側継手部材の軸方向に移動可能とした請求項1〜9のいずれか一項に記載の等速自在継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−270825(P2010−270825A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123008(P2009−123008)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】