説明

筐体係合構造及び画像形成装置

【課題】装置の美観を保ち、外力を受けた場合にも筐体の破損が生じない筐体係合構造を提供する。
【解決手段】ベース40の端部において、外側に切り欠き部を形成して係合部42を設け、カバー30の係合部31と対向して係合するように構成されているので、カバー30が外因によりカバー面に対して垂直方向の外力を受ける場合でも、係合部42によって支えられ、カバー30とベース40とは係合状態を保つことができる。更に、ベース40の背面には、係合部補強リブ50が複数配置されており、係合部補強リブ50は、係合部42より高く突出した突出部51と、突出部51の内側に傾斜された傾斜面52とを有している。このため、筐体が外部の力を受けても装置の美観を損なうことがなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における筐体係合構造、及びこれを用いた電子写真プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置等の機器の筐体は、通常、複数の部分から構成されており、この筐体において、2つの部分を係合する場合、互いに係合する面を並行に並べ、その隙間を筐体の寸法を調整して狭くすることにより外観性を保っていた。
【0003】
このような、画像形成装置等の筐体に関する技術は、例えば、下記の特許文献1に記載されている。特許文献1には、画像形成装置の筐体の一部であるカバーが支点を中心に回動可能に取り付けられており、このカバーが開いている状態からカバーを反時計回りに回動して閉じていき、ほぼ水平状態で画像形成ユニットの筐体と係合する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−167728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、2つの筐体の係合部に隙間ができてしまうため、次のような課題があった。
【0006】
(a) 装置の美観を損ねる。
【0007】
(b) 隙間から異物が進入するため、装置の故障の原因となる。
【0008】
(c) 筐体が外力を受けたときに筐体の外れや破損が発生し、外観がさらに悪くなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の筐体係合構造は、装置本体の外装を構成する第1の筐体と、前記第1の筐体と係合する第2の筐体とを備えた筐体における筐体係合構造であって、前記第2の筐体の端部において外側に切り欠き部が形成された第1の係合部と、
【0010】
前記第1の筐体において前記切り欠き部に対応する箇所に形成され、前記第1の係合部に係合する第2の係合部と、前記筐体本体内に設けられ、前記第1の係合部を内側から補強する1つ又は複数の第1の係合部補強リブとを備えている。
【0011】
本発明の画像形成装置は、前記筐体係合構造を有する筐体と、前記筐体内に収容され、印刷媒体に画像を形成する画像形成部とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の筐体係合構造によれば、次の(1)〜(5)のような効果がある。
【0013】
(1) 筐体本体から突出して設けられた第2の筐体の端部において、外側に切り欠き部を形成した第1の係合部を設け、第1の筐体において、第2の筐体の切り欠き部に対応する箇所に、切り欠き部に収容可能な厚みの第2の係合部を設け、第1の筐体と第2の筐体とが係合するように構成したので、装置の美観を損なうことなく、更に隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止する効果がある。
【0014】
(2) 筐体本体内に、第1の係合部を内側から補強する第1の係合部補強リブを設け、第1の係合部補強リブには、第1の係合部より高く突出した突出部と、この突出部の内側に傾斜した傾斜面又は断面弧状面とを設けたので、第1の筐体に対し垂直方向の外力を受けても筐体の外れや破損を防止できる。このため、装置の美観を損なうことなく、更に隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止する効果がある。
【0015】
(3) 前記(2)の構成を有するので、第1の筐体が斜め上方に外力を上受けても第1の筐体が弾性変形し、第2の係合部が傾斜面又は断面弧状面に沿って突出部に一旦乗り上げるが、外力が解消すると、第2の係合部が傾斜面又は断面弧状面に沿って下がり、正常な係合位置に戻る。このため、筐体が外部の力を受けても筐体の外れや破損を防止できるので、装置の美観を損なうことがなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止する効果がある。
【0016】
(4) 第1の係合部補強リブに加え、この第1の係合部補強リブに対してほぼ直交する第2の係合部補強リブと、第1の筐体の第2の係合部の上部から筐体本体の内側に向かって突起した複数の突起部を設けたので、第1の筐体に対し水平方向の外力を受けても筐体の外れや破損を防止できる。このため、装置の美観を損なうことがなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止することができる。
【0017】
(5) 画像形成装置等の装置を組み立てる際に、第1の筐体を傾斜面又は断面弧状面に沿って取り付けることができ、組立作業が容易にできるという効果が得られる。
【0018】
本発明の画像形成装置によれば、前記筐体係合構造を備えているので、次の(6)及び(7)のような効果がある。
【0019】
(6) 装置の美観を損なうことなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止できる。
【0020】
(7) 筐体が外部の力を受けても装置の美観を損なうことがなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の実施例1における画像形成装置を示す構成図である。
【図2】図2は図1の画像形成装置の内部を示す概略の構成図である。
【図3】図3は図1の画像形成装置の側面部を示す斜視図である。
【図4】図4は筐体係合構造の比較例を示す断面図である。
【図5】図5は図3中の側面部の筐体係合構造を示す斜視図である。
【図6】図5の凸嵌合部と凹嵌合部との嵌合構造を示す断面図である。
【図7】図7は図4の筐体係合構造の比較例において外力F1が加わった状態を示す断面図である。
【図8】図8は図1(b)の筐体係合構造において外力F1が加わった状態を示す断面図である。
【図9】図9は図1(b)の筐体係合構造において外力F2が加わった状態を示す断面図である。
【図10】図10は図1(b)の筐体係合構造の変形例において外力F2が加わった状態を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の実施例2における筐体係合構造の概略を示す断面図である。
【図12】図12は図11の筐体係合構造を示す背面図である。
【図13】図13は図11の筐体係合構造を示す斜視図である。
【図14】図14は図11の筐体係合構造において外力F3が加わった状態を示す断面図である。
【図15】図15は図14のA部の状態を示す部分拡大図である。
【図16】図16は図14の筐体係合構造の変形例において外力F3が加わった状態を示すA部の部分拡大図である。
【図17】図17は図11の筐体係合構造において外力F4が加わった状態を示す断面図である。
【図18】図18は図17のB部の状態を示す部分拡大図である。
【図19】図19は図11の筐体係合構造の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0023】
(実施例1の構成)
図1(a)、(b)は、本発明の実施例1における画像形成装置を示す構成図である。図1(a)は、画像形成装置の外観を示す斜視図であり、図1(b)は、画像形成装置の一部を示す部分拡大断面図である。
【0024】
図1(a)、(b)に示すように、本実施例1の画像形成装置は、例えば、電子写真方式のページプリンタであって、装置本体を収容する筐体本体を有している。筐体本体は、装置本体を載置する底部80と、この底部80上の収容空間を包囲する4面の側面部と、この4面の側面部の上端を覆う上面部とを有している。側面部1には、第1の筐体(例えば、カバー)30が設けられ、筐体の一部を構成している。
【0025】
側面部のうちの正面部の下部には、用紙カセット2が配置されており、その上部に手差しトレイ3が設けられている。正面部の上端には、利用者に装置の状態を知らせるランプ及びメッセージ表示部や操作ボタン等が配置された操作パネル4が設けられている。上面部には、印刷済みの用紙をスタックする用紙排出スタッカ5が設けられている。
【0026】
図1(b)には、側面部1の下部に設けられた本実施例1の筐体係合構造が示されている。側面部1の下方には、底部80の縁辺部から上方に突出した第2の筐体(例えば、ベース)40が設けられている。ベース40のベース本体41の上端部には段差部41aを有し、図1では図示しない切り欠き部41bが形成された第1の係合部42が設けられている。カバー30の下端部には、係合部42に対応して、その切り欠き部41bに収容可能な厚みを有する第2の係合部31が設けられている。この係合部42と係合部31とが係合することで、カバー30とベース40とが係合するように構成されている。
【0027】
係合部42の肉厚は、例えば、ベース本体41の肉厚2〜2.5mmに対して1〜l.5mmの厚さで突出され、カバー30の係合部31と対向するように形成されている。
【0028】
係合部31は、カバー30の内側部分をなだらかに切除し、先端部に行くほど、その肉厚を薄くするように形成されている。
【0029】
係合部42の背面には、底部80及びベース40とほぼ垂直に複数の第1の係合部補強リブ50(=50−1,50−2,・・・,50−N)が形成されている。係合部補強リブ50は、係合部補強リブ本体53と、この係合部補強リブ本体53の上部から上方に突出した第1の突出部51と、この突出部51の頂部から外側下方にかけて形成された第1の傾斜面52とから構成されている。
【0030】
図2は、図1の画像形成装置の内部を示す概略の構成図である。
画像形成装置は、筐体内部のほぼ中央部にブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の色ごとに配置された複数の画像形成ユニット20(=20K,20Y,20M,20C)を有している。複数の画像形成ユニット20の下方には、所定のタイミングで記録紙Pを搬送する転写ユニット11が配置されている。転写ユニット11は、無端状で記録紙Pの搬送を行う搬送ベルト11aと、この搬送ベルト11aを駆動するベルト駆動ローラ11bと、このベルト駆動ローラ11bの回転に従って従動回転するベルト従動ローラ11cとから構成されている。
【0031】
複数の画像形成ユニット20の下方には、搬送ベルト11aを挟んで、複数の転写ローラ12K,12Y,12M,12Cが配置されている。
【0032】
転写ユニット11の下方には、記録紙Pを複数枚入れておく用紙カセット2と、この用紙カセット2から分離用舌片等を併用して記録紙Pを1枚ずつ分離して取り出すための給紙ローラ6が配置されている。その記録紙Pの搬送方向下流には、記録紙Pを搬送する第1の搬送ローラ7と、転写ユニット11への記録紙Pの接近を検知するための入口センサ8と、記録紙Pを転写ユニット11へ送り込む第2の搬送ローラ9と、記録紙Pへの画像の書き込み時期を検知するための書き込みセンサ10とが配置されている。
【0033】
転写ユニット11の下流には、ハロゲンランプ等の発熱体を有し、記録紙Pを加熱及び加圧して記録紙Pに現像剤の定着を行う定着ユニット13が配置されている。定着ユニット13は、定着ローラ13a及び定着バックアップローラ13bから構成されている。定着ユニット13の下流には、記録紙Pを装置の外部に排出する排出ローラ14が配置されている。転写ユニット11の下方向には、両面印刷のための両面搬送ユニット16が配置されている。
【0034】
複数の画像形成ユニット20は、それぞれブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色を印刷するための感光体ドラム21(=21K,21Y,21M,21C)と、帯電ローラ22(=22K,22Y,22M,22C)と、現像ローラ23(=23K,23Y,23M,23C)と、トナー供給用スポンジローラ24(=24K,24Y,24M,24C)と、現像ブレード25(=25K,25Y,25M,25C)と、トナータンク26(=26K,26Y,26M,26C)と、クリーニング装置27(=27K,27Y,27M,27C)とから構成されている。
【0035】
複数の感光体ドラム21の上方には、露光により感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成する複数の発光ダイオード(以下「LED」という。)ヘッド15(=15K,15Y,15M,15C)が配置されている。
【0036】
各感光体ドラム21は、静電潜像を担持し、図示しない現像剤(例えば、トナー)の供給を受けて、可視化された現像剤像を担持する機能を有している。帯電ローラ22は、感光体ドラム21の表面を帯電するように構成されている。LEDヘッド15は、その帯電した感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成するように構成されている。現像ローラ部23は、トナーを感光体ドラム21に供給して感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を可視像化する機能を有している。
【0037】
各トナー供給用スポンジローラ24は、トナータンク26から供給されるトナーを現像ローラ23に供給する機能を有している。現像ブレード25は、現像ローラ23上のトナーを一定の厚さに形成する薄層形成機能を有している。クリーニング装置27は、感光体ドラム21上のトナーを掻き取る機能を有している。
【0038】
図3は、図1の画像形成装置の側面部を示す斜視図である。
画像形成装置の側面部1の下方には、底部80の縁辺部から上方に突出したベース40が設けられている。画像形成装置の外装を覆うためのカバー30の下部には、複数の突起である凸嵌合部32がカバー30の長手方向に一定間隔で形成され、ベース40に設けられた図示しない凹嵌合部45と嵌合するように構成されている。
【0039】
図4は、筐体係合構造の比較例を示す断面図である。
従来、カバー30とベース40との係合した部分は、図4に示されるように、互いに係合するカバー30の下端部の面30fとベース40の上端部の面40fが並行に並べられて、外観を良くする為に互いに係合する面30fと面40fとの間隙gを狭くするように構成されている。
【0040】
図5は、図3中の側面部の筐体係合構造を示す斜視図である。
カバー30の下部には、複数の突起である凸嵌合部32が形成されている。ベース40には、凸嵌合部32に対向する位置に凹嵌合部45が複数形成されている。凸嵌合部32の先端部には、傾斜面32aとベース40の背面側に対向する対向面32bとが形成されている。ベース40の上端部には、その外側に切り欠き部41bが形成された係合部42が設けられている。ベース40の背面、即ち、内側には一定の間隔で複数の傾斜面52(=52−1,52−2,・・・,52−N)を有する複数の係合部補強リブ50(=50−1,50−2,・・・,50−N)が形成されている。
【0041】
図6(a)、(b)は、図5の凸嵌合部32と凹嵌合部45との嵌合構造を示す断面図である。
【0042】
図6(a)は、凸嵌合部32と凹嵌合部45とが離間している状態を示しており、図6(b)は、凸嵌合部32と凹嵌合部45が嵌合した状態を示している。凸嵌合部32は、カバー30の下部に突出して形成されており、傾斜面32aと、ベース40の背面側に対向する対向面32bとを有している。凹嵌合部45は、ベース40の背面の凸嵌合部32に対向する位置に凸嵌合部32が嵌合するように設けられている。凸嵌合部32及び凹嵌合部45を設けたことにより、カバー30とベース40との係合を確実なものとする効果があり、特に、カバー30が外側方向にずれてしまうことを防止している。
【0043】
(実施例1における画像形成装置全体の動作)
図2において、用紙カセット2にセットされた記録紙Pは、給紙ローラ6によって繰り出され、第1の搬送ローラ7及び第2の搬送ローラ9を経由して転写ユニット11に搬送される。各画像形成ユニット20内の感光体ドラム21は、帯電ローラ22により表面を一様に帯電させられる。図示しない上位装置からの印刷ジョブは、図示しない制御部を介してLEDヘッド15に送られ、このLEDヘッド15の露光により印刷パターンに応じた静電潜像が感光体ドラム21上に形成される。
【0044】
現像ローラ23は、感光体ドラム21に当接しており、トナーをその感光体ドラム21上の静電潜像に付着させる。その後、感光体ドラム21上のトナーは、転写ローラ12との電界により記録紙P上に転写され、この記録紙P上のトナーが、定着ユニット13により加熱、加圧されて記録紙Pに定着させられる。記録紙Pは、排出ローラ14を経由して外部に排出され、用紙排出スタッカ5にスタックされる。
【0045】
(実施例1における筐体係合構造の動作)
図7は、図4の筐体係合構造の比較例において外力F1が加わった状態を示す断面図であり、図8は、図1(b)の筐体係合構造において外力F1が加わった状態を示す断面図である。
【0046】
カバー30が外因によりこのカバー面に対して垂直方向の外力F1を受ける場合について説明する。
【0047】
図7に示すように、比較例の筐体係合構造の構成において、カバー30がこのカバー面に対して垂直方向の外力F1を受けると、カバー30が変形し、ベース40の内側に入り込んでしまうという問題がある。
【0048】
しかし、本実施例1の筐体係合構造の構成においては、図8に示すように、カバー30が、このカバー面に対して垂直方向の外力F1を受けると、係合部31が対向する係合部42に垂直に力を伝える。係合部42に垂直に伝わった力は、係合部補強リブ50によって抑えられ、カバー30とベース40とが係合状態を保つ。
【0049】
図9は、図1(b)の筐体係合構造において外力F2が加わった状態を示す断面図である。
【0050】
カバー30が外因によりこのカバー面に対して斜方向の外力F2を受ける場合について説明する。
【0051】
図9に示すようにカバー30がこのカバー面に対して斜方向の外力F2を受けると、カバー30は、弾性変形してこのカバー30の係合部31が係合部補強リブ50の傾斜面52に沿って上昇し突出部51に乗り上げる。その後、外力F2が取り除かれると、カバー30の弾性変形が解消して、係合部31が、傾斜面52に沿って下り、元の位置まで戻る。その結果、係合部31と係合部42とが係合し、カバー30とベース40とは係合状態を保つ。
【0052】
図10は、図1の筐体係合構造の変形例において外力F2が加わった状態を示す断面図である。
【0053】
図10に示されるように、係合部補強リブ50の突出部51Aの形状を円弧形状として断面弧状面52Aを形成し、係合部補強リブ50Aをベース40の平行線上に沿って複数形成する。この場合において、カバー30は、このカバー面に対して斜方向の外力F2を受けると、弾性変形してカバー30の係合部31が係合部補強リブ50Aの突出部51Aの断面弧状面52Aに沿って上昇し突出部51Aに乗り上げる。その後、外力F2が取り除かれると、カバー30の弾性変形が解消して、係合部31が、断面弧状面52Aに沿って下がり、元の位置まで戻る。その結果、係合部31と係合部42とが係合し、カバー30とベース40とは係合状態を保つ。
【0054】
例えば、カバー30を画像形成装置に取り付ける場合においては、図9又は図10に示すように、カバー30の係合部31を係合部補強リブ50又は50Aの傾斜面52又は断面弧状面52Aに沿ってスライドさせることにより、カバー30の凸嵌合部32をベース40の凹嵌合部45に挿し込むことで、容易にカバー30の取り付けが可能となる。
【0055】
(実施例1の効果)
本実施例1の筐体係合構造及び画像形成装置によれば、次の(1)〜(4)のような効果がある。
【0056】
(1) ベース40の上部の端部において、外側部分を削除した切り欠き部41bが形成された係合部42を設け、カバー30の係合部31と対向して係合するように構成しているので、カバー30が外因によりこのカバー面に対して垂直方向の外力F1を受ける場合でも、ベース40によって支えられ、カバー30とベース40とが係合状態を保つことができる。このため、装置の美観を損なうことがなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止できる。
【0057】
(2) ベース40の背面には、ベース40に対して垂直に配置された係合部補強リブ50,50Aがベース40の平行線上に沿って複数配置されており、係合部補強リブ50,50Aが、係合部42より高く突出した突出部51,51Aと、突出部51,51Aの内側に傾斜された傾斜面52,52A又は断面弧状面52Aとを有している。
【0058】
このように構成されているので、カバー30が垂直方向の外力F1を受けたとき、ベース40に力が伝わるが、係合部補強リブ50,50Aによって外力F1を抑えてベース40が折れることはない。このため、このため、筐体が外部の力を受けても、装置の美観を損なうことがなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止できる。
【0059】
(3) カバー30が斜方向の外力F2を受けたとき、カバー30が弾性変形し、係合部31が斜面52又は断面弧状面52Aに沿って突出部51,51Aに一旦乗り上げるが、外力F2が解消すると、係合部31が、斜面52又は断面弧状面52Aに沿って下がり、正常な係合位置に戻る。このため、筐体が外部の力を受けても装置の美観を損なうことがなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止できる。
【0060】
(4) 画像形成装置を組み立てる際に、カバー30を傾斜面52又は断面弧状面52Aに沿ってスライドさせて取り付けることができ、組立作業が容易にできる。
【実施例2】
【0061】
(実施例2の構成)
図11は、本発明の実施例2における筐体係合構造の概略を示す断面図であり、実施例1を示す図1(b)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0062】
本実施例2の筐体係合構造は、図11に示されるように、係合部補強リブ50に対し、ほぼ直交する第2の係合部補強リブ60と、カバー30における係合部31の上部のカバー本体部33から筐体本体の内側に向かってほぼ平行に突起した複数の突起部34(34−1,34−2,・・・,34−N)とを有している。
【0063】
図12は、図11の筐体係合構造を示す背面図である。
係合部補強リブ60は、係合部補強リブ本体66の上端に形成され、突起部34−1を支持する第1の支持部63と、この支持部63に対向する位置に形成され、他の突起部34−2を支持する第2の支持部64と、これらの支持部63と支持部64との間から上方に突出した第2の突出部65と、この突出部65の頂部から下方向に形成された第2の傾斜面61及び62とを備えている。
【0064】
支持部63及び64の高さは、ベース40の高さと同一の高さに構成されている。この状態において、突起部34−1,35−2は、支持部63,64の面上に配置されている。係合部補強リブ60は、係合部補強リブ50に対して対称形状に形成されている。
【0065】
図13は、図11の筐体係合構造を示す斜視図であり、実施例1を示す図5中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0066】
図13に示す本実施例2の筐体係合構造は、図5に示す実施例1の筐体係合構造とほぼ同様である。実施例1との相違点は、カバー30から複数の突起部34(=34−1,34−2,・・・,34−N)が筐体本体の内側に突出して形成されており、係合部補強リブ50に対して直交して複数の係合部補強リブ60(=60−1,60−2,・・・,60−N)が形成されている点である。
【0067】
図13において、互いに直交する係合部補強リブ50−1及び60−1がベース40の背面に配置されており、その右側には、同様の構成の係合部補強リブ50−2及び60−2が配置されている。カバー30をベース40に装着したときには、凸嵌合部32と凹嵌合部45とが嵌合し、支持部63,64と同一の高さにおいて、カバー30とベース40とが係合状態となっている。この状態において、突起部34−1は、支持部63の面上に配置されている。
【0068】
(実施例2の動作)
図14は、図11の筐体係合構造において外力F3が加わった状態を示す断面図であり、図15は、図14のA部の状態を示す部分拡大図である。
【0069】
図14に示すように、カバー30が外因によりこのカバー面に対して平行方向の外力F3を受ける場合について説明する。
【0070】
カバー30は、外因によりこのカバー面平行方向の外力F3を受けると、図15に示すように、カバー30が、弾性変形し、突起部34が係合部補強リブ60の傾斜面61に沿って上昇して突出部65に乗り上げる。
【0071】
その後、外力F3が取り除かれると、カバー30は、弾性変形が解消されて元の状態に戻り、突起部34が傾斜面61に沿って下がり、カバー30とベース40とが再び係合される。
【0072】
図16は、図14の筐体係合構造の変形例において外力F3が加わった状態を示すA部の部分拡大図である。
【0073】
係合部補強リブ50に垂直に形成されている係合部補強リブ60の突出部65を円弧状として、断面弧状面61Aを形成する。このとき、カバー面に対して平行方向の外力F3がカバー30に加わると、突起部34は、断面弧状面61Aに沿って上昇して突出部65Aに乗り上げる。その後、外力F3が取り除かれると、突起部34は、カバー30の自重によって断面弧状面61Aを下降し、カバー30とベース40とが係合される。
【0074】
図17は、図11の筐体係合構造において外力F4が加わった状態を示す断面図であり、図18は、図17のB部の状態を示す部分拡大図である。
【0075】
図17は、カバー30が、図14における外力F3と反対方向の外力F4を受けた場合を示している。図18に示すように、突起部34は、図15に示す外力F3と反対方向の外力F4を受けるので、傾斜面62に沿って上昇して突出部65に乗り上げる。その後、外力F4が取り除かれると、突起部34は、カバー30の自重によって傾斜面62に沿って下降し、カバー30とベース40とが係合される。
【0076】
(実施例2の変形例)
図19は、図11の筐体係合構造の変形例を示す斜視図である。
【0077】
本変形例の画像形成装置の筐体本体は、図示しない底部80と、この底部80上の収容空間を包囲する4面の側面部と、この4面の側面部の上端部により形成された開口部とを有している。筐体本体の上部を覆う開閉部材としての第1の筐体(例えば、開閉カバー)72は、その1辺が開口部に設けられた回動軸72aに軸支され、この回動軸72aに対向する辺に回動自在に開放部73が設けられている。
【0078】
4面の側面部のうちの前方側面部である第2の筐体(例えば、フロントカバー)71の上部には、第1の係合部である係合部42が設けられている。開放部73の下部には、この係合部42に対向する位置に図示しない係合部31が設けられている。
【0079】
即ち、開閉カバー72は、回動軸72aに軸支されてフロントカバー71と離接可能に開閉し、その開放部73に設けられた係合部31とフロントカバー71に設けられた係合部42とが係合するように構成されている。
【0080】
更に、フロントカバー71の内側には、複数の係合部補強リブ50、60が設けられており、係合部42を内側から補強している。
【0081】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の筐体係合構造の効果に加え、次のような効果がある。
【0082】
即ち、実施例1においては、ベース40の背面にベース40及び底部80に垂直に係合部補強リブ50を設け、カバー30に対し、垂直方向の外力F1に対する補強を行っている。本実施例2では、係合部補強リブ50に対しほぼ直交する係合部補強リブ60を追加して設けたので、カバー30に対し垂直方向の外力F1に加え、水平方向の外力F5,F6に対しても補強している。このため、実施例1よりも多様な方向の外部の力を受けても、装置の美観を損なうことがなく、隙間からの異物の侵入を防止して装置の故障発生を抑止ができる。
【0083】
(他の変形例)
本発明は、上記実施例や変形例に限定されず、その他の種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次のようなものがある。
【0084】
(a) 実施例1、2では、本発明の筐体係合構造を画像形成装置に適応する例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、広く筐体一般に適用が可能である。
【0085】
(b) 実施例1では、外装用のカバー30をベース40に係合する例で説明したが、その他、例えば、カバー同士の係合等においても適用が可能である。
【0086】
(c) 実施例1、2では、画像形成装置としてカラーページプリンタを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ファクシミリ装置、複写機や複合機等にも適用できる。
【符号の説明】
【0087】
30 カバー
31 係合部
34 突起部
40 ベース
41 係合部本体
42 係合部
50,50A 係合部補強リブ
51,51A 突出部
52 傾斜面
52A 断面弧状面
53 係合部補強リブ本体
60 係合部補強リブ
61,62 傾斜面
63,64 支持部
65,65A 突出部
66 係合部補強リブ本体
71 フロントカバー
72 開閉カバー
73 開放部
80 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の外装を構成する第1の筐体と、
前記第1の筐体と係合する第2の筐体と、
を備えた筐体における筐体係合構造であって、
前記第2の筐体の端部において外側に切り欠き部が形成された第1の係合部と、
前記第1の筐体において前記切り欠き部に対応する箇所に形成され、前記第1の係合部に係合する第2の係合部と、
筐体本体内に設けられ、前記第1の係合部を内側から補強する1つ又は複数の第1の係合部補強リブと、
を備えたことを特徴とする筐体係合構造。
【請求項2】
前記筐体本体は、
前記装置本体を載置する底部と、
前記底部上の収容空間を包囲する複数の側面部と、
前記複数の側面部における上端部により形成された開口部とを有し、
前記第1の筐体は、
複数の辺を有する開閉部材であって、その1辺が前記開口部に設けられた回動軸に軸支され、前記回動軸に対向する辺に回動自在に設けられた開放部を有し、
前記第2の筐体は、
前記複数の側面部のうちの1つである前方側面部であり、
前記第1の係合部は、
前記前方側面部の上端部に形成され、
前記第2の係合部は、
前記開放部の下端部に形成されて前記第1の係合部と係合するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の筐体係合構造。
【請求項3】
前記第2の係合部の厚みは、前記第1の筐体の厚みより薄く形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の筐体係合構造。
【請求項4】
前記切り欠き部は、段差を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の筐体係合構造。
【請求項5】
前記第1の係合部補強リブは、
前記筐体本体内に設けられ、前記第1の係合部を内側から補強する係合部補強リブ本体と、
前記係合部補強リブ本体の上部から上方に突出した第1の突出部と、
前記第1の突出部の頂部から外側下方にかけて形成された第1の傾斜面と、
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の筐体係合構造。
【請求項6】
前記第1の係合部補強リブは、
前記筐体本体内に設けられ、前記係合部を内側から補強する係合部補強リブ本体と、
前記係合部補強リブ本体の上部から上方に突出した第1の突出部と、
前記第1の突出部の頂部から外側下方にかけて形成された第1の断面弧状面と、
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の筐体係合構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の筐体係合構造は、更に、
前記第1の係合部補強リブに対し、ほぼ直交する第2の係合部補強リブと、
前記第2係合部の上部から前記筐体本体の内側に向かってほぼ並行に突起した複数の突起部と、
を有することを特徴とする筐体係合構造。
【請求項8】
前記第2の係合部補強リブは、
前記第2の係合部補強リブの本体の上端に形成され、前記突起部を支持する第1の支持部と、
前記第1の支持部と対向する位置に形成され、他の前記突起部を支持する第2の支持部と、
前記第1の支持部と前記第2の支持部との間から上方に突出した第2の突出部と、
前記第2の突出部の頂部から下方向に形成された第2の傾斜面と、
を備えたことを特徴とする請求項7記載の筐体係合構造。
【請求項9】
前記第2の係合部補強リブは、
前記第2の係合部補強リブの本体の上端に形成され、前記突起部を支持する第1の支持部と、
前記第1の支持部と対向する位置に形成され、他の前記突起部を支持する第2の支持部と、
前記第1の支持部と前記第2の支持部との間から上方に突出した第2の突出部と、
前記第2の突出部の頂部から下方向に形成された第2の断面弧状面と、
を備えたことを特徴とする請求項7記載の筐体係合構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の筐体係合構造を有する前記筐体と、
前記筐体内に収容され、印刷媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−242511(P2011−242511A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113093(P2010−113093)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】