説明

管内探査装置および案内装置

【課題】 管内を前進・後進移動する走行体に、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとを備えると共に、地下に配設される管内へ容易に搬入可能な管内探査装置および案内装置を提供することである。
【解決手段】 ケーブルKを牽引しつつ管内を前進・後進移動する走行体3を先頭走行体31と後方走行体32とに分割し、前記先頭走行体31と前記後方走行体32とを屈曲自在に連結する構成の管内探査装置Rとし、前記先頭走行体を水平に、前記後方走行体を前記先頭走行体から上方にほぼ鉛直に屈曲させた状態で降下して、前記屈曲状態を水平状態に復帰して前進可能とする案内装置Gを用いて管内に搬入する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載されたレンズ付きカメラにより、管の損傷等を内部を走行しながら探査すると共に、空洞探査用レーダーにより管の周辺地層中の空洞を探査することが可能な自走式の管内探査装置に関し、特に、小さな管内を探査可能とすると共に、地下に配設される管内へ容易に搬入可能な管内探査装置および案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の管路の内部状態を点検するために、管内を前進・後進して管路内状態を探査する自走式の探査装置が既に公開されている。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、このような自走式の探査装置は、レンズ付きカメラと照明装置を搭載して、走行する管内を照らしながら管内の全体を撮像し、損傷等の異常を探査するものであり、撮影された画像をケーブルを介して地上に送信するよう構成されている。
【0004】
地下に埋設される管は、管の破裂による土砂の落下や、地下水等による土砂の流失等により、管の上部に空洞が生じることがあり、この空洞を探査するためには空洞探査用のレーダーを用いることができる。
【0005】
そのために、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとを備える管内探査装置とすると、前記レンズ付きカメラを管のほぼ中央部に配置すると共に、前記空洞探査用レーダーを管の上部側に配置する必要がある。
【0006】
さらには、駆動走行車体と検査車体とを備える管内検査装置も既に公開されている。(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−64230号公報(第1−4頁、第1図)
【特許文献2】実開平6−82555号公報(第1−2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとを備える管内探査装置とすると、それらを垂直方向に上下に装着すると探査装置の高さが高くなり、小さな管内を探査することは困難となる。
【0008】
また、それらを単に水平方向に並べて構成とすると、高さは低くできるが、長さが長くなり、小さな管内に上から搬入するには、その長さに相当する程度の大きな開口部が必要となる。
【0009】
地下に埋設されている管内に、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとを備える管内探査装置を搬入する構成では、前述した通り、前記カメラを管のほぼ中央部に配置して、前記レーダーを管の上部側に配置する必要がある。そのために、それらの高さ位置を予め設定した状態で前記探査装置を搬入することが好適であり、その大きさはできるだけ小さくまた、その長さも短いほうが好適である。
【0010】
そのために、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとを備えると共に、探査する管の内径に応じたカメラ位置とレーダー位置とに容易に設定可能であり、地下に埋設される管
が小さくても、管内に容易に搬入可能な管内探査装置が望まれている。
【0011】
本発明の目的は、管内を前進・後進移動する走行体に、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとを備えると共に、地下に配設される管内へ容易に搬入可能な管内探査装置および案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、管内を前進・後進移動する走行体に、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーを備えた管内探査装置において、前記走行体を先頭走行体と後方走行体とで構成し、前記先頭走行体に前記カメラをその高さ位置を調整自在に搭載し、前記後方走行体に前記レーダーをその高さ位置を調整自在に搭載すると共に、前記走行体が備える所定の車軸を回転中心として、前記先頭走行体と前記後方走行体とが屈曲自在となる構成としたことを特徴としている。
【0013】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとを別の走行体に搭載することで高さ方向を小型にすることができる。さらに、先頭走行体と後方走行体とを屈曲自在とすることで、管内探査装置の運搬や管内への搬入または走行時の自由度を大きくすることができる。
【0014】
請求項2に係る発明は、前記走行体が前輪と中間輪と後輪との三対の走行輪を備え、それぞれ一対の走行輪が車軸と該車軸の両側に配設される車輪とから構成されており、前記先頭走行体が前記前輪と前記中間輪とを備え、前記後方走行体が前記中間輪と前記後輪とを備えており、前記中間輪の車軸を回転中心として前記先頭走行体と前記後方走行体とがほぼ直角状態にまで屈曲自在であることを特徴としている。
【0015】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、中間輪を介して屈曲自在に連結される先頭走行体と後方走行体とを備える管内探査装置とすることができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、前記後方走行体に走行用の駆動デバイスを配設して前記中間輪と前記後輪とをチェーンで連結して、前記駆動デバイスにより共に積極駆動する構成としていることを特徴としている。
【0017】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、空洞探査用レーダーと駆動デバイスを備える後方走行体の前後の走行輪が積極駆動されるので、平坦でない管内でも確実に走行することができる。さらに、先頭走行体と後方走行体とが屈曲する回転中心となる中間輪が積極駆動されるので、先頭走行体と後方走行体とが屈曲状態でも走行することができる。
【0018】
請求項4に係る発明は、前記カメラが前記先頭走行体に第一パンタグラフ部材を介して搭載されており、前記レーダーが前記後方走行体に第二パンタグラフ部材を介して搭載されていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとの設置位置をそれぞれ管の大きさに応じた適当な位置とすることができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、地下に配設される管の連通口となるマンホール等の竪穴部に設置され、請求項1から4のいずれかに記載の管内探査装置を保持すると共に、前記竪穴部を降下して管内へ搬入する案内装置であって、前記竪穴の大きさが、前記先頭走行体を水平に、前記後方走行体を前記先頭走行体から上方にほぼ直角に屈曲させた状態で搬入可能な程度の大きさであり、前記先頭走行体を載置する載置台を設け、該載置台を、前記竪穴
内の上下に昇降する昇降手段と、前記管内探査装置が牽引するケーブルをガイドすると共に、該ケーブルの移動距離を計測可能なガイド部材とを備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、先頭走行体と後方走行体とを屈曲した状態の管内探査装置を、竪穴部を降下して地下の管内に搬入可能となり、小さな大きさの竪穴部から搬入可能な案内装置とすることができる。
【0022】
請求項6に係る発明は、前記載置台に屈曲状態で載置される管内探査装置の、前記先頭走行体が前記載置台から離れて前進して移動する際に、鉛直状態に屈曲した前記後方走行体が走行しながら当接して水平状態に復帰するガイド手段を前記載置台に配設したことを特徴としている。
【0023】
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、先頭走行体と後方走行体とを屈曲した状態で管内探査装置を地下の管内に搬入した後、前記管内探査装置を前進させるだけで屈曲状態の後方走行体を水平状態に復帰して戻すことができ、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとで管内を探査することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による管内探査装置は、先頭走行体と後方走行体とが屈曲自在であるので、運搬や管内への搬入または走行時の自由度を大きくすることができる。また、本発明に係る案内装置によれば、さらに先頭走行体と後方走行体とを屈曲した状態の管内探査装置を、竪穴部を降下して地下の管内に搬入可能となり、小さな大きさの竪穴部から搬入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
管内を前進・後進移動する走行体に、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーとを備えると共に、地下に配設される管内へ容易に搬入可能な管内探査装置および案内装置を得るという目的を、管内を前進・後進移動する走行体を先頭走行体と後方走行体とで構成し、前記先頭走行体と前記後方走行体とをほぼ直角状態にまで屈曲自在に連結する構成の管内探査装置とし、前記先頭走行体を水平に、前記後方走行体を前記先頭走行体から上方にほぼ直角に屈曲させた状態で管内へ搬入する案内装置とすることで実現した。
【実施例】
【0026】
以下、本発明に係る管内探査装置および案内装置の実施例について、図1から図4に基づいて説明する。
【0027】
先ず、図3により本発明に係る管内探査装置について説明する。図3は本発明に係る管内探査装置の全体斜視図を示している。管内探査装置Rは、ケーブルを牽引しつつ管内を前進・後進移動する走行体3に、レンズ付きカメラ1と空洞探査用レーダー2を備えている。また、前記走行体3を前記レンズ付きカメラ1を備える先頭走行体31と、前記空洞探査用レーダー2を備える後方走行体32とに分割し、前記先頭走行体31と前記後方走行体32とを屈曲自在に連結した構成としている。
【0028】
先頭走行体31に備えられるレンズ付きカメラ1は略円筒形のケーシング2に装着されており、該ケーシング2は第一パンタグラフ部材4により昇降自在な構成である。つまり、前記レンズ付きカメラ1は第一パンタグラフ部材4により、その高さ位置を調整自在とされている。
【0029】
また、前記空洞探査用レーダー2は第二パンタグラフ部材5を介して後方走行体32に
装着されており、該第二パンタグラフ部材5によりその高さ位置が調整自在であり、探査する管の大きさに応じて最適な位置に設置可能とされている。
【0030】
前記走行体3は前輪3Aと中間輪3Bと後輪3Cとの三対の走行輪を備えている。それぞれの走行輪は、それぞれ車軸3aと該車軸3aの両側に配設される車輪3bとから構成されており、前記先頭走行体31が前記前輪3Aと前記中間輪3Bとを備え、前記後方走行体32が前記中間輪3Bと前記後輪3Cとを備えている。
【0031】
また、先頭走行体31のフレーム31Aを前記中間輪3Bの車軸3aに回転自在に装着することで、前記車軸3aを回転中心として前記先頭走行体31と前記後方走行体32とが屈曲自在となる。
【0032】
前記後方走行体32に走行用の駆動デバイス33を配設して前記中間輪3Bと前記後輪3Cとをチェーン34で連結して、前記駆動デバイス33により共に積極駆動する構成としている。また、前輪3Aは従動輪であり、前記中間輪3Bもしくは前記後輪3Cの駆動により前進・後進移動する構成とされている。
【0033】
前記チェーン34は車軸3aの両側に配設される車輪3bの両方共に設けることが好ましく、前記中間輪3Bと前記後輪3Cとを備える後方走行体32は、その車輪全てが駆動輪となって、いわゆる四輪駆動式の走行体となっている。
【0034】
先頭走行体31と後方走行体32とは前述したように中間輪3Bの車軸3aを回転中心として屈曲自在であり、図2に示すように、前記前記先頭走行体31を水平にしたときに、前記後方走行体32が前記先頭走行体31からほぼ直角に屈曲して、上方にほぼ鉛直した状態となる。
【0035】
この状態で駆動デバイス33を駆動すると、中間輪3Bが駆動されるので、先頭走行体31自体でも走行可能となる。
【0036】
次に図4により管内探査装置Rを管内へ搬入する案内装置Gについて説明する。
【0037】
本発明に係る案内装置Gは、地下に配設される管の連通口となるマンホール等の竪穴部に設置されると共に、前記管内探査装置Rを前記竪穴部を降下して管内へ搬入する案内装置であって、立設する縦枠6と上部に配設する横枠6Aとを備えており、前記縦枠6を所定の竪穴上部の地面に載置するものである。そして、前記横枠6Aに装着される滑車61に巻回されるワイヤー62を介して、前記管内探査装置Rを保持する載置台60を装着している。
【0038】
載置台60は、前記管内探査装置Rの先頭走行体31を水平に、後方走行体32を前記先頭走行体31から上方にほぼ直角に屈曲させた状態で、前記先頭走行体31を支持する構成である。そのために、前記載置台60の大きさは、前記先頭走行体31の前輪3Aと中間輪3Bとが載置して前記先頭走行体31を支持する程度の大きさであって、前記管内探査装置Rを地下に埋設される管内に搬入する竪穴を小さくすることができる。
【0039】
前記載置台60の四隅にワイヤー支持部60aに、滑車61に巻回されるワイヤー62が固定されており、別に配設する滑車駆動手段(不図示)により前記滑車61を一体に回転駆動して前記載置台60を上下(図中の矢印方向)に駆動して昇降自在な構成とされている。
【0040】
つまり、滑車60とワイヤー62と不図示の滑車駆動手段により、前記載置台を前記竪
穴内の上下に昇降する昇降手段を構成している。
【0041】
また、前記載置台60には、支持板64を介してガイドローラ65が設けられている。このガイドローラ65は図中の奥の方に延設している回転自在なガイドローラであって、先頭走行体31と後方走行体32とがほぼ直角に屈曲した状態の管内探査装置Rを、載置台60に載置した時にはどこにも干渉しないが、前記先頭走行体31が前進すると、立設している後方走行体のレーダー部が当接する位置に配設されている。
【0042】
さらに、案内装置Gには前記横枠6Aの上方にケーブルガイドローラ63が配設されている。該ケーブルガイドローラ63は、前記管内探査装置が牽引するケーブルKをガイドすると共に、その回転度合いから前記ケーブルKの移動距離を計測可能なガイド部材となっている。
【0043】
前記ケーブルKは、モータ駆動のための給電線、およびカメラやレーダーからの信号線等がまとめられたケーブルであって、レンズ付きカメラ1により撮影された映像や空洞探査用レーダー2により得られるレーダー信号等をケーブルKを介して地上に送信する構成である。
【0044】
そのために、管内探査装置RはケーブルKを牽引しつつ管内を前進・後進移動する構成とされている。
【0045】
次に、図1により管内探査装置Rを地中に埋設されている管T2に搬入することについて説明する。
【0046】
T1は管T2に連なる竪穴である。この竪穴T1の上部に前述の案内装置Gの縦枠6を立設する。もちろんこの竪穴T1の大きさは、前輪3Aと中間輪3Bを備える先頭走行体31を水平にして搬入できる程度の穴である。
【0047】
前記案内装置Gの滑車61を介してワイヤー62により吊下げられている載置台60に、先頭走行体31と後方走行体32とがほぼ直角に屈曲した状態の管内探査装置Rを図示する姿勢で載置する。
【0048】
この位置で前記ケーブルKを前記ケーブルガイドローラ63に掛け回した後で、不図示の滑車駆動手段により前記滑車61を駆動して前記管内探査装置Rを竪穴T1内に降下していく。
【0049】
この降下距離は前述したように、前記ケーブルガイドローラ63の回転度合いにより計測することができる。管内探査装置Rが竪穴T1の底に到達すると前記ワイヤー62が弛むことを検出して検知可能となる。または、前記ケーブルKの送り出しが停止することでも、管内探査装置Rが備えるレンズ付きカメラ1からの映像が停止画像となることからも容易に検知することが可能であり、いずれの方法を採用してもよい。
【0050】
前記竪穴T1は、地下に埋設している管T2に連通する穴であるので、その底部は管T2に連なっている。そのために、いずれかの方法により管内探査装置Rが竪穴T1の底に到達したことを検知すると、前記管内探査装置Rのレンズ付きカメラ1の前方に探査すべき管T2が開口していることになる。
【0051】
そのために、前記管内探査装置Rが竪穴T1の底に到達した後で、走行用の駆動デバイス33を駆動開始すると、後輪3Cと中間輪3Bが回転駆動されることになり、接地している中間輪3Bにより先頭走行体31が前進駆動される。
【0052】
先頭走行体31と後方走行体32とがほぼ直角に屈曲した状態の管内探査装置Rを前進させると、立設している後方走行体32が前記ガイドローラ65に当接する。
【0053】
前記ガイドローラ65は回転自在であると共に、前記後方走行体32は前記中間輪3Bの車軸3aを介して、前記先頭走行体31と屈曲自在であるので、前記後方走行体32が前記ガイドローラ65に当接しながら前記先頭走行体31が前進移動するに連れて、図中の矢印A1方向に回動して徐々に水平状態となっていく。
【0054】
徐々に水平となり最後には後方走行体32の自重により後輪3Cが接地するまで回動して、屈曲状態から水平状態に復帰する構成である。そのために、前輪3A、中間輪3B、後輪3Cが全て接地状態で管T2内を走行して探査することができる。
【0055】
また、前記後方走行体32が徐々に水平に復帰する時に、竪穴T1の壁面T1aと干渉する位置に案内ローラ7を設ける構成とすると、立設した状態から水平状態となるまでの回動移動の最中に、回転ローラである案内ローラ7が壁面T1aと当接して移動することになり、管内探査装置Rの前進移動をスムーズに行うことができ好適である。
【0056】
ただし、後輪3Cが後方走行体32の最後尾に位置するような構成では、前進移動中のために回転している後輪3C自体が壁面T1aに当接して案内ローラとなるので、新たな案内ローラ7を設ける必要はない。
【0057】
上記のような構成としているので、地下に埋設される管T2内では、前記管内探査装置Rは水平状態に復帰して、前輪3A、中間輪3B、後輪3Cとが全て接地した状態で管内を走行して探査することができる。
【0058】
管内探査装置Rが備えるレンズ付きカメラ1と空洞探査用レーダー2とで、管内を探査あるいは管の上部の空洞を検知していくが、この管内探査装置Rの走行距離は前述したケーブルガイドローラ63の回転度合いにより計測することができる。
【0059】
また、管T2内を走行中に、ケーブルKを牽引しつつ管内を前進・後進移動する際に、そのケーブルKを、回転自在なガイドローラ65がガイドする構成であり、管内探査装置Rの移動に応じてケーブルKを容易に送り出し・巻き取ることができる。
【0060】
つまり、前記ガイドローラ65は、鉛直方向に立設した後方走行体32を水平状態に復帰さす際のガイド手段であると共に、管内探査装置Rが管内を前進・後進移動する際に牽引するケーブルKをガイドするガイド手段ともなっている。
【0061】
所定の管径をした管内を探査する際には、そのレンズ付きカメラ1と空洞探査用レーダー2の高さ位置を前記管径に応じた位置に設定する必要がある。そのためには、予め、レンズ付きカメラ1の高さを調整する第一パンタグラフ部材4や、空洞探査用レーダー2の高さ位置を調整する第二パンタグラフ部材5の高さを調整した状態で、管内探査装置Rを搬入すればよい。また、それぞれのパンタグラフ部材を昇降駆動する駆動部材を設けておいて、管内に搬入した後で、それぞれの高さ位置を調整することも可能である。
【0062】
管T2の探査を所定長さした後で、前記管内探査装置Rを管T2から引き出す際には、前記した駆動デバイス33により、中間輪3Bと後輪3Cとを逆回転して、前記管内探査装置Rを後進移動する。この時、前記ケーブルKを地上に設置する巻取装置により巻き取りながら後進する構成とすれば、ケーブルKが弛まずに、後進移動の邪魔とはならず好適である。
【0063】
管内探査装置Rが後進移動して、後方走行体32が竪穴T1部に到達すると、その底部に待機している前記した載置台60に乗り上げる。また、この後方走行体32の最後尾(後進移動する際の最前列)に装着されている案内ローラ7が竪穴T1の壁面T1aに最初に当接する。
【0064】
前述したように、ケーブルKを巻き取りながら後進移動しているので、前記後方走行体32は、竪穴T1部に到達した後、徐々に上に向けて引き上げられる構成となり、中間輪3Bの車軸3aを回転中心として、徐々に先頭走行体31から折れ曲がり、屈曲状態となっていく。
【0065】
先頭走行体31が完全に載置台60上に載置されるのを確認した後で、滑車61によりワイヤー62を巻き上げて管内探査装置Rを地上に搬出することができる。
【0066】
上記の先頭走行体31が完全に載置台60上に載置されたことの確認は、前記管T2が比較的浅い部分に埋設された状態では、竪穴T1部から肉眼で覗き込んで確認することもできる。また、前記ケーブルKの巻き取り長さを検出して確認することもできる。
【0067】
一箇所の管内探査が終了すると、次の竪穴部にこの案内装置Gを設置して同様の手順で行うことができる。また、本発明に係る管内探査装置Rは、レンズ付きカメラ1が第一パンタグラフ部材4を備え、空洞探査用レーダー2が第二パンタグラフ部材5を備えているので、これらのパンタグラフ部材の調整範囲にある管径の管内を走行して探査することができる。
【0068】
上記したように、本発明に係る管内探査装置Rは、走行体3を先頭走行体31と後方走行体32とに分割し、前記先頭走行体31にレンズ付きカメラ1をその高さ位置を調整自在に搭載し、前記後方走行体32に空洞探査用レーダー2をその高さ位置を調整自在に搭載すると共に、先頭走行体31と後方走行体32とを屈曲自在としたので、運搬や管内への搬入または走行時の自由度を大きくすることができる。
【0069】
また、本発明に係る案内装置Gによれば、さらに先頭走行体31と後方走行体32とをほぼ直角に屈曲した状態の管内探査装置Rを、竪穴T1部を降下して、その後で前記屈曲状態を復帰して地下の管T2内に搬入可能となるので、管内探査装置Rの走行体3のほぼ半分程度の小さな大きさの竪穴部から搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る案内装置を用いて管内探査装置を管内に搬入しているところを示す断面図である。
【図2】本発明に係る管内探査装置が屈曲した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る管内探査装置を示す全体斜視図である。
【図4】本発明に係る案内装置に管内探査装置を載置したところを示す側面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 レンズ付きカメラ
2 空洞探査用レーダー
3 走行体
3A 前輪
3B 中間輪
3C 後輪
31 先頭走行体
32 後方走行体
3a 車軸
3b 車輪
4 第一パンタグラフ部材
5 第二パンタグラフ部材
60 載置台
61 滑車(昇降手段)
62 ワイヤー(昇降手段)
63 ケーブルガイドローラ(ガイド部材)
65 ガイドローラ(ガイド手段)
K ケーブル
G 案内装置
R 管内探査装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内を前進・後進移動する走行体に、レンズ付きカメラと空洞探査用レーダーを備えた管内探査装置において、
前記走行体を先頭走行体と後方走行体とで構成し、前記先頭走行体に前記カメラをその高さ位置を調整自在に搭載し、前記後方走行体に前記レーダーをその高さ位置を調整自在に搭載すると共に、
前記走行体が備える所定の車軸を回転中心として、前記先頭走行体と前記後方走行体とが屈曲自在となる構成としたことを特徴とする管内探査装置。
【請求項2】
前記走行体が前輪と中間輪と後輪との三対の走行輪を備え、それぞれ一対の走行輪が車軸と該車軸の両側に配設される車輪とから構成されており、前記先頭走行体が前記前輪と前記中間輪とを備え、前記後方走行体が前記中間輪と前記後輪とを備えており、前記中間輪の車軸を回転中心として前記先頭走行体と前記後方走行体とがほぼ直角状態にまで屈曲自在であることを特徴とする請求項1に記載の管内探査装置。
【請求項3】
前記後方走行体に走行用の駆動デバイスを配設して前記中間輪と前記後輪とをチェーンで連結して、前記駆動デバイスにより共に積極駆動する構成としていることを特徴とする請求項2に記載の管内探査装置。
【請求項4】
前記カメラが前記先頭走行体に第一パンタグラフ部材を介して搭載されており、前記レーダーが前記後方走行体に第二パンタグラフ部材を介して搭載されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の管内探査装置。
【請求項5】
地下に埋設される管の連通口となるマンホール等の竪穴部に設置され、請求項1から4のいずれかに記載の管内探査装置を保持すると共に、前記竪穴部を降下して管内へ搬入する案内装置であって、
前記竪穴の大きさが、前記先頭走行体を水平に、前記後方走行体を前記先頭走行体から上方にほぼ直角に屈曲させた状態で搬入可能な程度の大きさであり、
前記先頭走行体を載置する載置台を設け、該載置台を、前記竪穴内の上下に昇降する昇降手段と、
前記管内探査装置が牽引するケーブルをガイドすると共に、該ケーブルの移動距離を計測可能なガイド部材とを備えていることを特徴とする案内装置。
【請求項6】
前記載置台に屈曲状態で載置される管内探査装置の、前記先頭走行体が前記載置台から離れて前進して移動する際に、鉛直状態に屈曲した前記後方走行体が走行しながら当接して水平状態に復帰するガイド手段を前記載置台に配設したことを特徴とする請求項5に記載の案内装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−52961(P2006−52961A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233061(P2004−233061)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】