説明

管内洗浄装置

【課題】洗浄対象である管の内壁面における洗浄ムラを防止することができる管内洗浄装置を提供する。
【解決手段】管13の内部に挿入される挿入部11と、挿入部11の側面に取り付けられ、超音波振動Sを発生させる超音波振動子12と、管13の内壁面位置における超音波振動Sの大きさを調節する振動調節手段とを備える管内洗浄装置を提供する。具体的には、振動調節手段は、管13の内壁面位置における超音波振動Sが予め設定された振幅となるように、管13の内壁面と超音波振動子12との間隔または超音波振動子12の周波数を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療機器の管路内を洗浄する管内洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波振動を用いた医療機器の管内洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この管内洗浄装置では、超音波振動子を備える洗浄カテーテルを医療機器の管路内に挿入して、超音波振動子を振動させると共に、洗浄カテーテルを管路内で移動させる。これにより、管路内表面に超音波振動を伝達し、管路内表面に付着した付着物を剥離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−112963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、超音波振動の振幅は超音波振動子からの距離によって変化するため、その洗浄性能も超音波振動子からの距離によって変化する。しかしながら、特許文献1に開示されている管内洗浄装置によれば、超音波振動子と内視鏡チャンネル内壁面までの距離が一定ではないため、洗浄ムラができてしまうという不都合がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、洗浄対象である管の内壁面における洗浄ムラを防止することができる管内洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、管の内部に挿入される挿入部と、該挿入部の側面に取り付けられ、超音波振動を発生させる超音波振動子と、前記管の内壁面位置における超音波振動の大きさを調節する振動調節手段とを備える管内洗浄装置を採用する。
【0007】
本発明によれば、例えば医療機器等に用いられる管の内部に挿入部を挿入し、該挿入部の側面に取り付けられた超音波振動子を作動させることで、超音波振動を発生させ、この超音波振動により管路内の洗浄を行うことができる。
【0008】
この場合において、振動調節手段により、管の内壁面位置における超音波振動の大きさが調節される。したがって、例えば、管の内壁面位置において超音波振動が大きくなるように、管の内壁面と超音波振動子との間隔や超音波振動子の周波数を調節することで、管の内壁面の洗浄効果を高めることができ、管の内壁面に付着した付着物等を剥離することができる。
【0009】
上記発明において、前記振動調節手段が、前記管の内壁面位置における超音波振動が予め設定された振幅となるように、前記管の内壁面と前記超音波振動子との間隔を規定する間隔規定手段であることとしてもよい。
このようにすることで、間隔規定手段により、管の内壁面と超音波振動子との間隔を一定に規定することができ、管の内壁面位置における超音波振動を予め設定された振幅にして、管の内壁面の洗浄性を安定させることができる。
【0010】
上記発明において、前記間隔規定手段が、前記管の内壁面位置における超音波振動が最大振幅となるように、前記管の内壁面と前記超音波振動子との間隔を規定することとしてもよい。
このようにすることで、間隔規定手段により、管の内壁面位置における超音波振動が最大振幅となるように、管の内壁面と超音波振動子との間隔を規定することができ、管の内壁面の洗浄性を向上することができる。
【0011】
上記発明において、前記間隔規定手段が、前記挿入部の側面に設けられ、前記挿入部の半径方向外方に延びて、前記管の内壁面と前記挿入部の側面との間隔を調節する間隔調節部材であることとしてもよい。
このようにすることで、間隔調節部材により、管の内壁面と前記挿入部の側面との間隔、すなわち、管の内壁面と超音波振動子との間隔を一定に調節することができる。これにより、管の内壁面位置における超音波振動を予め設定された振幅にして、管の内壁面の洗浄性を安定させることができる。
【0012】
上記発明において、前記超音波振動子が前記挿入部の側面に全周にわたって設けられ、前記間隔調節部材が、前記挿入部を前記管内の中心に配置させることとしてもよい。
このようにすることで、間隔調節部材により、挿入部を管内の中心に配置させること、すなわち、管の内壁面全周にわたって超音波振動子との間隔を一定に規定することができる。これにより、管の内壁面位置における超音波振動が予め設定された振幅となる状態で、管の内壁面全周にわたって洗浄することができる。
【0013】
上記発明において、前記振動調節手段が、前記管の内壁面と前記超音波振動子との距離を測定する距離測定手段と、該距離測定手段により測定された前記管の内壁面と前記超音波振動子との距離に応じて、前記超音波振動子の周波数を制御する制御部とを備えることとしてもよい。
【0014】
このようにすることで、距離測定手段により管の内壁面と超音波振動子との距離を測定し、測定された距離に応じて超音波振動子の周波数を制御部により制御することができる。これにより、例えば管の内壁面位置において超音波振動が大きくなるように、超音波振動子の周波数を調節することができ、管の内壁面の洗浄性を安定させるとともに、管の内壁面の洗浄効果を向上することができる。
【0015】
上記発明において、前記制御部が、前記管の内壁面位置において前記超音波振動子による超音波振動が最大振幅となるように、前記超音波振動子の周波数を制御することとしてもよい。
このようにすることで、管の内壁面位置において超音波振動を最大振幅にすることができ、管の内壁面の洗浄効果を向上することができる。
【0016】
上記発明において、前記制御部が、前記管の内壁面位置において前記超音波振動子による超音波振動が最大振幅となる状態を含むように、前記超音波振動子の周波数を変化させることとしてもよい。
このようにすることで、管の内壁面位置において超音波振動を最大振幅にするとともに、管の内部において超音波振動が最大振幅となる位置を変化させることができる。これにより、管の内壁面において高い洗浄性を確保しつつ、内壁面以外も洗浄することが出来るため、管内における洗浄性を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、洗浄対象である管の内壁面における洗浄ムラを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る管内洗浄装置の模式図である。
【図2】図1の管内洗浄装置において、超音波振動素子から発生し、管内を伝わる超音波振動を示す図である。
【図3】図1の管内洗浄装置に間隔調節部材が取り付けられた状態を示す模式図である。
【図4】図3の間隔調節部材の模式図である。
【図5】図3の間隔調節部材(変形例)の模式図である。
【図6】図1の管内洗浄装置の第1の変形例を示す模式図である。
【図7】図1の管内洗浄装置の第2の変形例を示す模式図である。
【図8】図7の管内洗浄装置の機能ブロック図である。
【図9】図1の管内洗浄装置の第3の変形例を示す模式図であり、(a)は超音波振動子を周方向に部分的に配置した状態、(b)は複数の間隔調節部材を備えた状態、(c)複数の超音波振動子および間隔調節部材を備えた状態をそれぞれ示している。
【図10】図1の管内洗浄装置の第4の変形例を示す模式図である。
【図11】図1の管内洗浄装置の第5の変形例を示す模式図である。
【図12】図11の管内洗浄装置を管に挿入した状態を示す図である。
【図13】図11の管内洗浄装置の横断面図である。
【図14】図11の管内洗浄装置(変形例)の横断面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る管内洗浄装置の模式図である。
【図16】図15の管内洗浄装置において、超音波振動素子から発生し、管内を伝わる超音波振動を示す図である(半波長)。
【図17】図15の管内洗浄装置において、超音波振動素子から発生し、管内を伝わる超音波振動を示す図である(複数波長)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る管内洗浄装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る管内洗浄装置1は、図1に示されるように、管13の内部を洗浄する装置であって、管13の内部に挿入される挿入部11と、挿入部11の側面に取り付けられた超音波振動子12と、超音波振動子12のON/OFFを切り替える制御部14とを備えている。
【0020】
管13は、例えば内視鏡等の医療機器に用いられる管路であり、その内部は洗浄液で満たされている。洗浄液としては、例えば、脂質分解酵素液、蛋白質分解酵素液、無菌水、蒸留水、RO水、エチルアルコール、生理食塩水などを使用する。
【0021】
挿入部11は、管13の内部に挿入可能な細長い形状を有しており、その先端近傍の側面には略全周に渡って超音波振動子12が取り付けられている。
超音波振動子12は、例えば数10ヘルツ〜数ギガヘルツの周波数の超音波振動を発生させる素子である。具体的には、超音波振動子12として、例えば、圧電セラミック振動子、金属磁気歪み振動子、フェライト磁気歪振動子、圧電セラミック振動子、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系圧電セラミック振動子等を使用する。
【0022】
超音波振動子12は、挿入部11の内部に挿通された配線15により制御部14に接続されている。超音波振動子12は、制御部14からの信号に基づいてON/OFFが切り替えられる。
【0023】
制御部14は、超音波振動子12のON/OFFを切り替えるとともに、超音波振動子12の周波数を調節する機能を有している。図2に示すように、超音波振動子12から発生される超音波振動Sは、振幅の大きな領域(超音波振動Sの腹の位置)Aにおいて振動エネルギーが最大となるため、その洗浄効果も最も高くなる。そこで、制御部14は、管13の内壁面位置において、超音波振動Sが最大振幅となるように、超音波振動子12の周波数を調節する。
【0024】
挿入部11の側面には、図3に示すように、管13の内壁面と挿入部11の側面との距離を調節する間隔調節部材(間隔規定手段)16が設けられている。
間隔調節部材16は、図4に示すように、挿入部11が挿入されるリング状の内円部材16aと、内円部材16aから半径方向外方に放射状に延びる放射部材16bと、管13の内径と略同じ外径を有するリング状の外円部材16cとを備えている。
【0025】
内円部材16aと外円部材16cとは、同心円状に配置されており、放射部材16bにより接続されている。このような構成を有することで、間隔調節部材16は、挿入部11を管13内の中心に配置させるようになっている。すなわち、間隔調節部材16は、管13の内壁面と超音波振動子12との距離を規定するようになっている。
【0026】
具体的には、水中の音速は1500m/sなので、超音波振動子12の周波数が1メガヘルツの場合には、1波長は以下のように算出される。
1波長=音速/周波数=1.5mm
したがって、約0.75mmごとに振幅の大きな領域(超音波振動Sの腹の位置)Aが発生する(図2参照)。そこで、間隔調節部材16は、超音波振動子12と管13の内壁面との距離が、0.75mmの倍数となるように、管13の内壁面と超音波振動子12との距離を規定する。
【0027】
なお、間隔調節部材16は、図5に示すように、リング状の外円部材16cに代えて、管13の内径と略同じ半径を有する円弧状の円弧部材16dとしてもよい。このような構成としても、間隔調節部材16は、挿入部11を管13内の中心に配置させることができ、管13の内壁面と超音波振動子12との距離を規定することができる。
【0028】
上記のように間隔調節部材16により規定された管13の内壁面と挿入部11の側面との距離において、制御部14は、管13の内壁面位置において、超音波振動が最大振幅となるように超音波振動の周波数を調節する。なお、間隔調節部材16により管13の内壁面に対する挿入部11の半径方向の位置が再現されるので、超音波振動の周波数については一度設定すればよい。すなわち、超音波振動の周波数を調節する機能については、制御部14以外の外部装置に持たせて、この外部装置を初期設定時のみ管内洗浄装置1に接続することとしてもよい。
また、本実施形態では、ある決められた周波数に対して、管13の内壁面での超音波振動が最大振幅となるような距離をとるように間隔調整部材16が設計されている。しかしながら、管13の内壁面との距離が最初に規定された間隔調節部材16を用いた上で、制御部14により、管13の内壁面で最大振幅となるように周波数を調節することとしてもよい。
【0029】
上記構成を有する管内洗浄装置1の動作について以下に説明する。
まず、図3に示すように、管13の内部に洗浄液を満たした状態で、管13の内部に、間隔調節部材16が取り付けられた挿入部11を挿入する。すると、間隔調節部材16により、管13の内壁面と超音波振動子12との距離が規定される。この状態において、制御部14により挿入部11の側面に取り付けられた超音波振動子12を作動させることで、超音波振動子12から超音波振動を発生させ、この超音波振動により管13の内部の洗浄が行われる。
【0030】
この場合において、本実施形態に係る管内洗浄装置1は、制御部14により、管13の内壁面位置において、超音波振動子12からの超音波振動が最大振幅となるように、超音波振動の周波数が調節されている。したがって、本実施形態に係る管内洗浄装置1によれば、管13の内壁面位置において、音波振動の振動エネルギーを効率的に使用して、管13の内壁面に付着した付着物等を剥離することができ、管13の内壁面の洗浄効果を高めることができる。
【0031】
また、間隔調節部材16を用いることで、管13の内壁面と超音波振動子12との距離を一定に維持することができ、管13の内壁面位置における超音波振動を予め設定された所定の振幅(本実施形態では最大振幅)にして、管13の内壁面の洗浄性を安定させることができる。
【0032】
なお、本実施形態において、管13の内壁面位置において超音波振動が最大振幅となるように、超音波振動の周波数を調節することとして説明したが、本発明は最大振幅に限定されることはない。例えば、管13の内壁面位置において超音波振動が所定の振幅以上となるように、超音波振動の周波数を調節することとしてもよい。
【0033】
[第1の変形例]
本実施形態の第1の変形例として、図6に示すように、洗浄液を収容する洗浄液タンク21と、洗浄液タンク21内の洗浄液を管13内に送るポンプ22と、これらを接続する配管23とを備えることとしてもよい。
このようにすることで、ポンプ22により洗浄液を管13内に流通させながら、超音波振動子12による超音波洗浄を行うことができ、管13の内部を効率的に洗浄することができる。
【0034】
[第2の変形例]
本実施形態の第2の変形例として、図7に示すように、洗浄液を満たした洗浄容器25の中に、洗浄対象である管13と管内洗浄装置1とを配置し、管内洗浄装置1を軸線方向に動作させて管13内に挿入する駆動部26を備えることとしてもよい。
【0035】
この場合において、図8に示すように、ユーザは、モニタ31と入力部32を用いて、洗浄する内視鏡のチャンネル(管13の種類)を選択する。洗浄を行うには、管内洗浄装置1により超音波振動を発生させながら、駆動部26により管内洗浄装置1を内視鏡チャンネル内を軸線方向に移動させる。
【0036】
発生させる超音波振動の周波数は、管13の内壁面において最大振幅となるような周波数とする。メモリ33には内視鏡チャンネルの内径などの情報が保持されており、この情報とユーザが最初に入力した管13の種類から、管13の内壁面位置において超音波振動が最大振幅となる周波数がCPU34により算出される。そして、超音波振動子制御部35は、超音波振動子12を制御して、CPU34により算出された周波数で超音波振動を発生させる。
【0037】
[第3の変形例]
また、本実施形態の第3の変形例として、図9(a)に示すように、超音波振動子12を挿入部11の周方向において部分的に配置することとしてもよい。この場合には、挿入部11を管13の内部に挿入した状態で、挿入部11の軸線回りに回転させることで、管13の内部(内壁面)を全周にわたって洗浄することができる。
【0038】
また、図9(b)に示すように、間隔調節部材16を挿入部11の軸線方向に複数設けることしてもよい。このようにすることで、管13内における挿入部11の半径方向の位置を安定させることができ、管13の内壁面と超音波振動子12との距離を一定に維持することができる。これにより、管13の内壁面における洗浄性を安定させることができる。
【0039】
また、図9(c)に示すように、間隔調節部材16だけでなく、超音波振動子12を挿入部11の軸線方向に複数設けることしてもよい。このようにすることで、挿入部11を軸線方向に動作させることなく、挿入部11の軸線回りに回転させることで、管13の内部(内壁面)を全周にわたって洗浄することができる。
【0040】
[第4の変形例]
本実施形態の第4の変形例として、図4に示される間隔調節部材16に代えて、図10に示すような間隔調節部材17を用いることとしてもよい。
間隔調節部材17は、図10に示すように、挿入部11が挿入されるリング状の内円部材17aと、内円部材17aから半径方向外方に放射状に延びる放射部材17bと、放射部材17bの先端に設けられた樹脂17cとを備えている。
【0041】
放射部材17bは、例えば板ばね、樹脂、ゴム等の弾性部材であり、複数の放射部材17bは、同じ長さおよび同じ材質で構成されている。
樹脂17cは、管13の内壁面との摩擦を低減するための部材である。
【0042】
上記構成を有する間隔調節部材17が取り付けられた挿入部11を管13の内部に挿入すると、複数の放射部材17bが管13の内径に合わせて屈曲する。
この場合において、複数の放射部材17bは、同じ長さおよび同じ材質で構成されているため、同じ状態で屈曲する。これにより、挿入部11は管13の中心に配置される。
【0043】
また、異なる内径の管13に挿入部11を挿入した場合にも、複数の放射部材17bが管13の内径に合わせて屈曲する。この場合にも、常に、挿入部11は管13の中心に配置される。すなわち、本変形例に係る管内洗浄装置によれば、洗浄対象である管13の内径に関わらず、管13の内壁面と超音波振動子12との距離を一定に規定することができ、管13の内壁面位置における超音波振動を予め設定された所定の振幅にして、管13の内壁面の洗浄効果を高めることができる。
【0044】
[第5の変形例]
本実施形態の第5の変形例として、図4に示される間隔調節部材16に代えて、図11に示すような間隔調節部材18を用いることとしてもよい。
間隔調節部材18は、図11に示すように、挿入部11が挿入されるリング状の内円部材18aと、内円部材18aから半径方向外方に放射状に延びる放射部材18b,18dと、放射部材18b,18dの先端に設けられた樹脂18cとを備えている。
【0045】
放射部材18bは、例えば板ばね、樹脂、ゴム等の弾性部材であり、複数の放射部材17bは、同じ長さおよび同じ材質で構成されている。
放射部材18dは、例えば金属等の非変形部材である。
【0046】
このような構成を有することで、図12に示すように、新円以外の横断面を有する管13の場合にも、放射部材18bを管13の内径に合わせて屈曲させて、挿入部11を挿入することができる。この場合には、非変形部材である放射部材18dは変形しないため、挿入部11の側面の放射部材18dが取り付けられた位置と管13の内壁面との距離とを一定に保つことができる。
【0047】
したがって、図13に示すように、挿入部11の側面の放射部材18dが取り付けられた位置に超音波振動子12を配置することで、管13の内壁面と超音波振動子12との距離を一定に規定することができ、管13の内壁面位置における超音波振動を予め設定された所定の振幅にして、管13の内壁面の洗浄効果を高めることができる。
【0048】
なお、本変形例において、図14に示すように、間隔調節部材18が複数の放射部材18dを備え、挿入部11の側面の放射部材18dが取り付けられた位置に超音波振動子12を複数配置することとしてもよい。
【0049】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る管内洗浄装置2について、図面を参照して以下に説明する。以降では、本実施形態の管内洗浄装置2について、第1の実施形態の管内洗浄装置1と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0050】
本実施形態に係る管内洗浄装置2は、図15に示されるように、管13の内部を洗浄する装置であって、管13の内部に挿入される挿入部11と、挿入部11の側面に取り付けられた超音波振動子12と、超音波振動子12と管13の内壁面との距離を測定するセンサ(距離測定手段)30と、超音波振動子12のON/OFFを切り替える制御部14とを備えている。
【0051】
センサ30は、例えば赤外線センサ等の超音波振動子12と管13の内壁面との距離を測定するセンサである。
また、センサ30に代えて、超音波振動子12から1波長分の超音波振動を発生させ、超音波振動を発生させてから、管13の内壁面からの反射波を超音波振動子12で受信するまでの時間を計測することで、超音波振動子12と管13の内壁面との距離を求めることとしてもよい。
【0052】
制御部14は、超音波振動子12のON/OFFを切り替えるとともに、センサ30により測定された超音波振動子12と管13の内壁面との距離に応じて超音波振動子12の周波数を調節するようになっている。具体的には、制御部14は、管13の内壁面位置において超音波振動が最大振幅となるように、超音波振動子12の周波数を調節する。
【0053】
上記構成を有する本実施形態に係る管内洗浄装置2によれば、センサ30により管13の内壁面と超音波振動子12との距離を測定し、測定された距離に応じて超音波振動子12の周波数を制御部14により制御することができる。これにより、図16に示すように、管13の内壁面位置において超音波振動Sが最大振幅となるように、超音波振動子12の周波数を調節することができ、管13の内壁面の洗浄効果を向上することができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る管内洗浄装置2において、制御部14が、管13の内壁面位置において超音波振動子12による超音波振動が最大振幅となる状態を含むように、超音波振動子12の周波数を変化させることとしてもよい。
【0055】
このようにすることで、図17に示すように、管13の内壁面位置において超音波振動Sを最大振幅にするとともに、管13の内部において超音波振動Sが最大振幅となる位置を変化させることができる。これにより、管13の内壁面において高い洗浄性を確保しつつ、内壁面以外も洗浄することが出来るため、管13内における洗浄性を向上することができる。
【0056】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および各変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよい。
【0057】
また、前述の各実施形態において、洗浄液として、オゾンナノバブル水を使用することとしてもよい。ここで、オゾンナノバブルとは、例えば直径100nm以下のオゾンの気泡のことであり、直径50μm以下のオゾンのマイクロバブルを水中で圧壊させることで生成される。このオゾンナノバブルが溶け込んだオゾンナノバブル水は、体温程度の温度で殺菌洗浄効果が高いという特性を有している。
【0058】
具体的には、オゾンナノバブル水は、以下のような利点を有している。
(1)殺菌力は従来用いられている次亜塩素酸の6倍以上である。
(2)微細気泡の為、洗浄対象のより深部まで殺菌可能である。
(3)耐性菌が生じない。
(4)次亜塩素酸と比較して生体為害性が極めて少ない。
(5)金属腐食性が無く、装置へのダメージが無い。
【0059】
このようなオゾンナノバブル水を洗浄液として使用し、図16に示すように、管13の内壁面位置においてのみ超音波振動を最大振幅とすることで、オゾンナノバブルの圧壊を管13の内壁面位置でのみ発生させて、管13の内壁面位置以外でのオゾンナノバブルの消費を抑えることができる。また、図17に示すように、管13の内壁面位置以外においても超音波振動を最大振幅とすることで、管13内の任意の領域においてオゾンナノバブルを圧壊させて管13内の殺菌等を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
1,2 管内洗浄装置
11 挿入部
12 超音波振動子
13 管
14 制御部
16,17,18 間隔調節部材(間隔規定手段)
30 センサ(距離測定手段)
S 超音波振動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内部に挿入される挿入部と、
該挿入部の側面に取り付けられ、超音波振動を発生させる超音波振動子と、
前記管の内壁面位置における超音波振動の大きさを調節する振動調節手段とを備える管内洗浄装置。
【請求項2】
前記振動調節手段が、前記管の内壁面位置における超音波振動が予め設定された振幅となるように、前記管の内壁面と前記超音波振動子との間隔を規定する間隔規定手段である請求項1に記載の管内洗浄装置。
【請求項3】
前記間隔規定手段が、前記管の内壁面位置における超音波振動が最大振幅となるように、前記管の内壁面と前記超音波振動子との間隔を規定する請求項2に記載の管内洗浄装置。
【請求項4】
前記間隔規定手段が、前記挿入部の側面に設けられ、前記挿入部の半径方向外方に延びて、前記管の内壁面と前記挿入部の側面との間隔を調節する間隔調節部材である請求項2に記載の管内洗浄装置。
【請求項5】
前記超音波振動子が前記挿入部の側面に全周にわたって設けられ、
前記間隔調節部材が、前記挿入部を前記管内の中心に配置させる請求項4に記載の管内洗浄装置。
【請求項6】
前記振動調節手段が、
前記管の内壁面と前記超音波振動子との距離を測定する距離測定手段と、
該距離測定手段により測定された前記管の内壁面と前記超音波振動子との距離に応じて、前記超音波振動子の周波数を制御する制御部とを備える請求項1に記載の管内洗浄装置。
【請求項7】
前記制御部が、前記管の内壁面位置において前記超音波振動子による超音波振動が最大振幅となるように、前記超音波振動子の周波数を制御する請求項6に記載の管内洗浄装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記管の内壁面位置において前記超音波振動子による超音波振動が最大振幅となる状態を含むように、前記超音波振動子の周波数を変化させる請求項6に記載の管内洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−50712(P2012−50712A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196187(P2010−196187)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】