説明

管継手、熱交換チューブと管継手の接合構造、および熱交換チューブと管継手の接合方法

【課題】管継手の簡素化と、熱交換チューブと管継手との接合箇所のろう付け品質の安定化とを両立させる。
【解決手段】第1チューブ21内の第1流体と第2チューブ22内の第2流体とが熱交換可能に配置された熱交換チューブ20が接合される管継手であって、第1チューブ21は、第2チューブ22の端部よりも外側に突出した突出端部21bを有し、第1ブロック32と、第2ブロック33と、連結部34とを備え、第1、第2ブロック32、33は、所定間隔の隙間をあけて配置され、第1ブロック32には、突出端部21bの先端部を接合する第1接合穴部32aが形成され、第2ブロック33には、突出端部21bを接合する第2接合穴部33a、および第2チューブ22を接合する第3接合穴部33bが形成され、熱交換チューブ20を挿入した状態で、隙間から突出端部21bと第1、第2接合穴部32a、33aとの接合箇所が外部に露出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手、熱交換チューブと管継手の接合構造、熱交換チューブと管継手の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1流体が流通する第1チューブと第2流体が流通する第2チューブとを有し、第1、第2チューブ内を流れる第1、第2流体が熱交換可能な熱交換チューブが接合される管継手がある。このような管継手としては、例えば、特許文献1、2に記載のように、第1流体が流通する内管、および内管の外周側に配置されて第2流体が流通する外管を有し、内管の端部に外管の端部よりも外方に突出する突出端部(内管突出部)が設けられた二重管を外部配管に接続するものが知られている。
【0003】
この特許文献1では、2つのタイプの二重管用の管継手が開示されている。一方の二重管用の管継手(第1の管継手)は、外管の端部に取り付けられて内管の突出端部(外部に露出した部位)を囲繞するとともに第1流体を流す通路が形成された本体部と、本体部に形成された開口部と接続されて本体部内の通路に連通する接続管と、第1流体を案内する第1外部配管に内管の端部(突出端部の端部)を連結する第1接続部と、第2流体を第2外部配管に接続管を連結する第2接続部とで構成されている。
【0004】
また、他方の二重管用の管継手(第2の管継手)は、外管の端部に取り付けられて第2流体を流す内部通路が形成されたブロック形状の本体部と、本体部に形成されて第1流体を案内する第1外部配管に内管の端部(突出端部の端部)を連結する第1接続部と、第1接続部同様に本体部に形成されて第2流体を第2外部配管に外管の端部を連結する第2接続部とで構成されている。なお、特許文献2には、特許文献1の第2の管継手(本体部がブロック形状)と同様な構成の二重管用の管継手が開示されている。
【特許文献1】特開2001−235081号公報
【特許文献2】特開2006−3071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の第1の管継手では、第2の管継手に比べて、第1、第2接続部の他に接続管等の構成が必要となり、また、それぞれを接合するためのろう付け箇所が増え、気密確認検査のための工数が増えるといった問題がある。一方、特許文献1に記載の第2の継手(二重管と管継手の接合構造)では、本体部に第1、第2接続部を形成する構成であるため、第1の継手に対して、二重管用の管継手の構成が簡素となるとともに、ろう付け箇所が少なくなる。
【0006】
しかしながら、実際に特許文献1、2に記載の第2の管継手と二重管とをろう付けにより接合する場合、第2の管継手における内管との接合箇所(ろう付け箇所)が本体部の第2接続部内部に隠れてしまい、接合箇所を外部から目視確認できない。そのため、内管と本体部とのろう付け作業が難しくなっている。例えば、内管および外管のろう付け箇所にろう材を配置してトーチろう付けを行なう際に、ろう付け作業時に内管のろう材の溶け具合を直接確認できず、外管のろう材の溶け具合から推定する必要がある。さらに、ろう付けした箇所の気密検査を行なう際に、気密漏れを外部から目視確認することができず、気密漏れの確認が困難であった。そのため、二重管用の管継手として第2の管継手を採用する場合には、第1の管継手を採用する場合に比べて、ろう付け不良の割合が高くなり易く、ろう付け品質が安定しないといった問題がある。なお、このような問題は、二重管と管継手の接合構造に限らず、第1、第2流体が熱交換可能な熱交換チューブと管継手との接合構造であれば発生し得るものである。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、管継手の簡素化と、熱交換チューブと管継手との接合箇所におけるろう付け品質の安定化とを両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1流体が通過する第1チューブ(21)および第2流体が通過する第2チューブ(22)を有し、第1チューブ(21)を通過する第1流体と第2チューブ(22)を通過する第2流体とが熱交換可能に配置された熱交換チューブ(20)が接合される管継手であって、第1チューブ(21)は、第2チューブ(22)の端部よりも第2チューブ(22)の長手方向外側に突出した突出端部(21b)を有し、第1チューブ(21)内と連通して第1流体を流入出させる第1連通穴(32b)が形成された第1ブロック(32)と、第2チューブ(22)内と連通して第2流体を流入出させる第2連通穴(33b)が形成された第2ブロック(33)と、第1ブロック(32)と第2ブロック(33)とを連結する連結部(34)とを備え、第1ブロック(32)と第2ブロック(33)は、所定間隔の隙間をあけて対向するように配置され、第1ブロック(32)には、第2ブロック(33)と対向する外周面に、突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で接合するための第1接合穴部(32a)が形成され、第2ブロック(33)には、第1ブロック(32)と対向する外周面に開口して、突出端部(21b)を貫通させて挿入した状態で接合するための第2接合穴部(33a)、および第1ブロック(32)と対向する面の反対側の面に、第2チューブ(22)を挿入した状態で接合するための第3接合穴部(33b)が形成され、突出端部(21b)が第1、第2接合穴部(32a、33a)に挿入され、第2チューブ(22)が第3接合穴部(33b)に挿入された状態で、隙間から突出端部(21b)と第1、第2接合穴部(32a、33a)との接合箇所が外部に露出していることを特徴とする。
【0009】
これによれば、従来の本体部、接続管、第1接続部、および第2接続部を備える管継手に比べて、接続管等の構成を省略することができため、管継手(30)の構成を簡素化することができる。さらに、管継手(30)における接合箇所(ろう付け箇所)を少なくすることができるため、気密確認検査の工数を低減させることができる。
【0010】
さらにまた、管継手(30)は、第1チューブ(21)を第1、第2ブロック(32、33)に挿入した状態で、第1ブロック(32)と第2ブロック(33)との間の隙間から、突出端部(21b)の外周が外部に露出する構成であるため、ろう付け作業時または気密確認検査等において、突出端部(21b)と管継手(30)との接合箇所を目視確認することができる。
【0011】
従って、管継手(30)の簡素化と、熱交換チューブ(20)と管継手(30)との接合箇所におけるろう付け品質の安定化とを両立させることができる。ここで、本発明における「チューブ」および「管」には、流体の流通方向に直交する断面形状が円形状だけなく、扁平形状、矩形状等となるものも含まれている。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、所定間隔は、突出端部(21b)の先端部と第1接合穴部(32a)との接合箇所、および突出端部(21b)と第2接合穴部(33a)との接合箇所を一度にろう付け接合できるように微小間隔に設定されていることを特徴とする。
【0013】
このように、突出端部(21b)と第1接合穴部(32a)および第2接合穴部(33a)の接合箇所を一度にろう付け接合することで、ろう付け作業の効率向上を図ることができる。また、突出端部(21b)と第1接合穴部(32a)、および突出端部(21b)と第2接合穴部(33a)といった二箇所の接合箇所が近接するため、ろう付け作業時などに二箇所同時に目視確認することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2のいずれか1つに記載の発明において、第1ブロック(32)および第2ブロック(33)における隙間を挟んで対向する角部には、面取り部(32e、33f)が設けられていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、第1ブロック(32)と第2ブロック(33)との間の隙間から接合箇所の目視確認を行い易くすることができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の発明において、隙間は、第1、第2ブロック(32、33)の間であって、第1接合穴部(32a)および第2接合穴部(33a)を横断するように設ける構成とすることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発明において、熱交換チューブ(20)を、第2チューブ(22)が第1チューブの外周を囲むように配置される構成としてもよい。
【0018】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発明において、熱交換チューブ(20)を、第1チューブ(21)と第2チューブ(22)とが並列に配置された状態で連結される構成としてもよい。
【0019】
また、請求項7に記載の発明では、熱交換チューブ(20)と、熱交換チューブ(20)が接合される管継手(30)とを備える熱交換チューブと管継手の接合構造であって、第1チューブ(21)は、第2チューブ(22)の端部よりも第2チューブ(22)の長手方向外側に突出した突出端部(21b)を有し、管継手(30)は、第1ブロック(32)と、第2ブロック(33)と、第1ブロック(32)と第2ブロック(33)とを連結する連結部(34)とを有して構成され、第1、第2ブロック(32、33)は、所定間隔の隙間をあけて対向するように配置され、第1ブロック(32)には、第2ブロック(33)と対向する外周面に、突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で接合するための第1接合穴部(32a)が形成され、第2ブロック(33)には、第1ブロック(32)と対向する外周面に開口して、突出端部(21b)を貫通させて挿入した状態で接合するための第2接合穴部(33a)、および第1ブロック(32)と対向する面の反対側の面に、第2チューブ(22)を挿入した状態で接合するための第3接合穴部(33b)が形成され、突出端部(21b)が第1、第2接合穴部(32a、33a)に挿入され、第2チューブ(22)が第3接合穴部(33b)に挿入された状態で、隙間から突出端部(21b)と第1、第2接合穴部(32a、33a)との接合箇所が外部に露出していることを特徴とする。
【0020】
このような熱交換チューブと管継手の接合構造によれば、管継手(30)の構成を、従来の管継手に比べて簡素化することができ、突出端部(21b)と第1、第2ブロック(32、33)のろう付け接合箇所を目視確認することができる。従って、熱交換チューブと管継手の接合構造の簡素化と熱交換チューブ(20)と管継手(30)とのろう付け接合箇所のろう付け品質の安定化とを両立させることができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発明において、突出端部(21b)における隙間から露出した部位の外周全周がろう材により覆われるようにろう付け接合されていることを特徴とする。
【0022】
これによれば、熱交換チューブ(20)と管継手(30)とをろう付け接合した後、突出端部(21b)の外周が外部に露出しない構成となるため、突出端部(21b)の耐食性を向上させることができる。
【0023】
また、請求項9に記載のように、請求項7または8に記載の発明において、熱交換チューブ(20)および管継手(30)は、第1ブロック(32)と突出端部(21b)との接合箇所、第2ブロック(33)と第1チューブ(21)との接合箇所、および第2ブロック(33)と第2チューブ(22)との接合箇所の三箇所でろう付け接合される構成とすることができる。
【0024】
また、請求項10に記載の発明では、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換チューブと管継手の接合方法であって、熱交換チューブ(20)および管継手(30)を準備する準備工程と、第1接合穴部(32a)に突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で仮固定するとともに、第2接合穴部(33a)に突出端部(21b)を挿入した状態、および第3接合穴部(33b)に第2チューブ(22)を挿入した状態で仮固定する仮固定工程と、仮固定工程後に、第1ブロック(32)と突出端部(21b)との接合箇所、第2ブロック(33)と第1チューブ(21)との接合箇所、および第2ブロック(33)と第2チューブ(22)との接合箇所をろう付け接合するろう付け接合工程とを有することを特徴とする。
【0025】
これによれば、ろう付け接合工程において、第1接合穴部(32a)と突出端部(21b)の先端部との接合箇所、第2ブロック(32)と突出端部(21b)との接合箇所、および第2ブロック(33)と第2チューブ(22)との接合箇所を、それぞれ目視確認することができるため、熱交換チューブ(20)と管継手(30)とのろう付け箇所のろう付け品質の安定化とを図ることができる。
【0026】
また、請求項11に記載の発明では、熱交換チューブ(20)と、熱交換チューブ(20)が接合される管継手(30)とを備える熱交換チューブと管継手の接合構造であって、第1チューブ(21)は、第2チューブ(22)の端部よりも第2チューブ(22)の長手方向外側に突出した突出端部(21b)を有し、管継手(30)は、第1ブロック(32)と、第2ブロック(33)とを有して構成され、第1、第2ブロック(32、33)は、所定間隔の隙間をあけて対向するように配置され、第1ブロック(32)には、第2ブロック(33)と対向する外周面に、突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で接合するための第1接合穴部(32a)が形成され、第2ブロック(33)には、第1ブロック(32)と対向する外周面に開口して、突出端部(21b)を貫通させて挿入した状態で接合するための第2接合穴部(33a)、および第1ブロック(32)と対向する面の反対側の面に、第2チューブ(22)を挿入した状態で接合するための第3接合穴部(33b)が形成され、突出端部(21b)が第1、第2接合穴部(32a、33a)に挿入され、第2チューブ(22)が第3接合穴部(33b)に挿入された状態で、隙間から突出端部(21b)と第1、第2接合穴部(32a、33a)との接合箇所が外部に露出しており、所定間隔は、突出端部(21b)の先端部と第1接合穴部(32a)との接合箇所、および突出端部(21b)と第2接合穴部(33a)との接合箇所を一度にろう付け接合できるように微小間隔に設定されていることを特徴とする。
【0027】
このような熱交換チューブと管継手の接合構造によれば、管継手(30)の構成を簡素化することができるとともに、突出端部(21b)と第1、第2ブロック(32、33)の接合箇所を目視確認することができる。従って、熱交換チューブと管継手の接合構造の簡素化と、熱交換チューブ(20)と管継手(30)との接合箇所のろう付け品質の安定化とを両立させることができる。
【0028】
さらに、突出端部(21b)の先端部と第1接合穴部(32a)との接合箇所、および突出端部(21b)と第2ブロック(33)との接合箇所を二箇所同時に目視確認等できるとともに、第1チューブ(21)を構成する材料を第2チューブ(22)に比べて耐食性の劣る材料を用いることが可能となる。
【0029】
また、請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の熱交換チューブと管継手の接合方法であって、熱交換チューブ(20)および管継手(30)を準備する準備工程と、第1ブロック(32)と第2ブロック(33)とを微小間隔の隙間をあけて配置し、第1接合穴部(32a)に突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で仮固定するとともに、第2接合穴部(33a)に突出端部(21b)を挿入した状態、および第3接合穴部(33b)に第2チューブ(22)を挿入した状態で仮固定する仮固定工程と、仮固定工程後に、第1ブロック(32)と突出端部(21b)との接合箇所、第2ブロック(33)と第1チューブ(21)との接合箇所、および第2ブロック(33)と第2チューブ(22)との接合箇所をろう付け接合するろう付け接合工程とを有することを特徴とする。
【0030】
これによれば、ろう付け接合工程において、第1接合穴部(32a)と突出端部(21b)の先端部の接合箇所、第2ブロック(33a)と突出端部(21b)との接合箇所、および第2ブロック(33b)と第2チューブ(22)との接合箇所を目視確認することができるため、ろう付け箇所のろう付け品質の安定化を図ることができる。
【0031】
さらに、突出端部(21b)と内管接合穴部(32a)および貫通穴部(33a)との接合箇所を一度にろう付け接合することで、突出端部(21b)における二箇所の接合箇所を一度に目視確認等できる。
【0032】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両用冷凍サイクル装置の構成図である。
【0034】
本実施形態では、車両用冷凍サイクル装置10の内部熱交換器16に本発明を適用しており、冷凍サイクルの冷媒としてフロン系、HC系の代替フロン等を用いた亜臨界の冷凍サイクル装置10にて構成されている。
【0035】
図1に示すように、圧縮機11は、走行用駆動源等の外部駆動源から動力を得て冷媒を吸入圧縮して吐出するものである。凝縮器(コンデンサ)12は、圧縮機11から吐出した高圧冷媒と外気とを熱交換して高圧冷媒を冷却する高圧側熱交換器である。
【0036】
レシーバ15は、凝縮器12より流出した低圧冷媒を気液分離する気液分離器であり、気相冷媒のみを後述する内部熱交換器16に流入させるとともに、液相冷媒を冷凍サイクル中の余剰冷媒として貯えるものである。
【0037】
膨張弁13は、後述する内部熱交換器16から流出した高圧冷媒を減圧する減圧手段であり、本実施形態では、可変絞り機構等により構成している。蒸発器14は、膨張弁13にて減圧された低圧冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器であり、低圧冷媒と車室内に吹き出す空気とを熱交換して低圧冷媒を蒸発させることにより、冷凍能力を発生させるものである。
【0038】
内部熱交換器16は、高圧側通路(凝縮器12とレシーバ15との間の冷媒通路)を流れる高圧冷媒と低圧側通路(蒸発器14と圧縮機11との間の冷媒通路)を流れる低圧冷媒との間で熱交換を行い、圧縮機11の吸入冷媒温度を上昇させるものである。
【0039】
ここで、内部熱交換器16では、蒸発器14出口側の低温の低圧冷媒と、凝縮器12出口側の高温の高圧冷媒とが熱交換する。そのため、膨張弁13に流入する冷媒が冷却されて蒸発器14に流入する冷媒のエンタルピが、内部熱交換器16を設定しない場合に比べて、内部熱交換器16での熱交換量相当分だけ小さくなる。
【0040】
したがって、蒸発器14の入口と出口とのエンタルピ差が、内部熱交換器16を設定しない場合に比べて、上記蒸発器入口冷媒のエンタルピ減少分だけ大きくなるので、蒸発器14での冷却能力を向上できる。
【0041】
ここで、本実施形態の内部熱交換器16端部における熱交換チューブ20と管継手30の接合構造について図2、図3に基づいて説明する。ここで、図2は本実施形態の内部熱交換器16端部における熱交換チューブと管継手の接合構造を示す模式図であり、図3は本実施形態の熱交換チューブの斜視図である。なお、図2(a)は熱交換チューブと管継手の接合構造の平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。
【0042】
本実施形態の内部熱交換器16は、熱交換チューブ20を二重管で構成した二重管式の熱交換器を採用している。具体的には、図2に示すように、内部熱交換器16の端部は、内管(第1チューブ)21と外管(第2チューブ)22とで構成される二重管(熱交換チューブ20)と、二重管の端部に接続される二重管用の管継手30とで構成される二重管と管継手の接合構造となっている。ここで、本実施形態の熱交換チューブ20および管継手30は、ろう付けにより接合可能なように、例えば、アルミニウム材等の材料で構成されている。
【0043】
以下、本実施形態の内部熱交換器16端部における熱交換チューブと管継手の接合構造について説明する。まず、本実施形態の熱交換チューブ20は、図3に示すように、円筒状の内管21と内管21の外周側に配置された円筒状の外管22とを有する二重管で構成されている。内管21および外管22は、同心軸上に配置されており、外管22と内管21との間に隙間ができるように外管22の内径が内管21の外径よりも大きくなっている。なお、内管21と外管22は同心軸上に配置する構成に限らず、内管21と外管22のそれぞれの軸心をずらして配置する構成でもよい。
【0044】
具体的には、内管21の内部には、高圧冷媒が流通する第1流体通路21aが形成され、外管22と内管21との間には、低圧冷媒が流通する第2流体通路22aが形成されている。ここで、本実施形態の二重管は、第1流体通路21aを流通する高圧冷媒と第2流体通路22aを流通する低圧冷媒とが、内管21の壁面を介して熱交換可能に形成されている。なお、第1流体通路21aに低圧冷媒を流通させ、第2流体通路22aに高圧冷媒を流通させる構成としてもよい。
【0045】
熱交換チューブ(二重管)20の内管21は、外管22よりも長手方向(冷媒流通方向)の寸法が長くなっている。つまり、内管21内に形成された第1流体通路21aが、内管21と外管22との間に形成された第2流体通路22aよりも通路長さが長くなっている。
【0046】
そのため、外管22内に内管21を挿入した状態では、内管21の端部が、外管22の端部から外方(外管22の長手方向)に突出する。ここで、内管21における外管22の端部から突出した部位が突出端部21bとなっている。
【0047】
図2に戻り、本実施形態の二重管用の管継手30は、二重管の熱交換チューブ20の端部が接続されるブロック形状の本体部31で構成されている。本体部31は、四角柱状の第1、第2ブロック32、33と第1、第2ブロック32、33の一端を連結する連結部34を有して一体に構成されている。
【0048】
本体部31は、第1ブロック32と第2ブロック33とが所定間隔(W)の隙間を介して互いに対向するように設けられている。ここで、本体部31における第1ブロック32、第2ブロック33、および連結部34を含む断面形状(図3(b)の断面形状)が略コの字型となっている。
【0049】
本実施形態における第1ブロック32と第2ブロック33との隙間の所定間隔(W)は、隙間から第1ブロック32および第2ブロック33と内管21の突出端部21bとの接合箇所が目視可能な間隔となっている。
【0050】
第1ブロック32と第2ブロック33の隙間は、本体部31における外周面の一面側から後述する内管接合穴部(第1接合穴部)32aおよび貫通穴部(第2接合穴部)33aの径方向に沿って延びるとともに、内管接合穴部32aおよび貫通穴部33aを横断するように設けられている。
【0051】
第1ブロック32は、内管21と第1外部配管41とを接続するものであり、第2ブロック33は、外管22と第2外部配管42とを接続するものである。ここで、各ブロック32、33と各外部配管41、42との間には、第1ブロック32と第1外部配管41とを接続するとともに、第2ブロック33と第2外部配管42とを接続するための接続ブロック40が介在されている。
【0052】
第1ブロック32は、隙間を介して第2ブロック33と対向する面に内管接合穴部(第1接合穴部)32aが形成されている。この内管接合穴部32aは、内管21の突出端部21bの先端部を挿入した状態で、突出端部21bの先端部と第1ブロック32とを接合するために形成されている。なお、内管接合穴部32aの穴径は、突出端部21bの外周が嵌合可能な大きさに形成されている。
【0053】
ここで、第1ブロック32と第2ブロック33の間には隙間が設けられているため、内管接合穴部32aおよび後述する第2ブロック33の貫通穴部33aに突出端部21bを挿入した状態で、この隙間から突出端部21bと内管接合穴部32aの接合箇所を目視確認することができる。これにより、内管接合穴部32aと突出端部21bの先端部とをろう付け接合する場合に、外部からろう付け状態等を目視確認することができる。
【0054】
また、第1ブロック32には、一端側が内管接合穴部32a内と連通するとともに、他端側が接続ブロック40内の冷媒通路40aを介して第1外部配管41内と連通する第1連通路(第1連通穴)32bが形成されている。つまり、内管接合穴部32aに突出端部21bの先端部が接合された状態で、第1連通路32b等を介して、突出端部21b内の第1流体通路21aと第1外部配管41内とが連通する。
【0055】
本実施形態の第1外部配管41は、内部熱交換器16の内管21端部と膨張弁13入口側若しくはレシーバ15出口側とを接続するための配管である。この第1外部配管41は、接続ブロック40に形成された第1外部配管41と嵌合する嵌合穴部40bを介して、第1ブロック32における内管接合穴部32aの軸方向に直交する方向に突出する第1環状突出部32cに接続されている。なお、第1外部配管41は、図2(b)における破線で示す左側の配管である。
【0056】
ここで、第1環状突出部32cは、内管接合穴部32aの軸方向に直交する方向に突出している。そのため、第1ブロック32内を流通する高圧冷媒は、その流れ方向が第1環状突出部32cと内管接合穴部32aとの間で約90°曲げられることとなる。
【0057】
また、第1環状突出部32cの外周は、接続ブロック40に形成された第1環状突出部32cと嵌合する嵌合穴部40cに接続されている。そして、第1環状突出部32cには、リング溝32dが形成されている。このリング溝32dにOリング等からなるシール材36が取り付けられて、第1環状突出部32cと接続ブロック40の嵌合穴部40cとの接続箇所からの冷媒漏れが防止されている。
【0058】
一方、第2ブロック33には、隙間を介して第1ブロック32と対向する面に開口する貫通穴部(第2接合穴部)33aが形成されている。この貫通穴部33aは、内管21の突出端部21bが貫通して挿入された状態で、突出端部21bと第2ブロック33とを接合するために形成されている。
【0059】
ここで、貫通穴部33aの穴径は、突出端部21bの外周が嵌合可能な大きさに形成されている。また、貫通穴部33aは、中心軸が第1ブロック32の内管接合穴部32aと同心軸上となるように軸方向を一致させて形成されるとともに、その穴径も同一寸法となるように形成されている。
【0060】
上述のように、第1ブロック32と第2ブロック33の間には隙間が設けられているため、内管接合穴部32aおよび貫通穴部33aに突出端部21bを挿入した状態で、この隙間から突出端部21bと貫通穴部33aの接合箇所を目視確認することができる。これにより、貫通穴部33aと突出端部21bの外周とをろう付け接合する場合に、外部からろう付け状態等を確認することができる。
【0061】
また、第2ブロック33には、第1ブロック32と対向する面の反対側の面に外管接合穴部(第3接合穴部)33bが形成されている。この外管接合穴部33bは、外管22の端部が挿入された状態で、外管22端部と第2ブロック33とを接合するために形成されている。ここで、外管接合穴部33bの穴径は、外管22の端部の外周が嵌合可能な大きさに形成されている。なお、外管接合穴部33bは、第2ブロック33との接合箇所(ろう付け箇所)が外部に露出しているため、外部からろう付け状態等を確認することができる。
【0062】
また、第2ブロック33には、一端側が外管接合穴部33bと連通するとともに、他端側が接続ブロック40内の冷媒通路40dを介して第2外部配管42内と連通する第2連通路(第2連通穴)33cが形成されている。つまり、外管接合穴部33bに外管22端部が接合された状態で、第2連通路33c等を介して、内管21と外管22との間の第2流体通路22aと第2外部配管42内とが連通する。
【0063】
本実施形態の第2外部配管42は、内部熱交換器16の外管22端部と圧縮機11入口側若しくは蒸発器14出口側とを接続する配管である。第2外部配管42は、接続ブロック40に形成された第2外部配管42と嵌合する嵌合穴部40eを介して、第2ブロック33における外部接合穴部33bの軸方向に直交する方向に突出する第2環状突出部33dに接続されている。なお、第2外部配管42は、図2(b)における破線で示す右側の配管である。
【0064】
ここで、第2環状突出部33dは、第1環状突出部32cの突出方向と同じ方向に突出している。そのため、第2ブロック33内を流通する低圧冷媒は、第1ブロック32内を流通する高圧冷媒と同様に、その流れ方向が第2環状突出部33dと外部接合穴部33bとの間で約90°曲げられることとなる。
【0065】
つまり、本実施形態では、管用継手30の本体部31によって、内管22および外管23内と第1、第2外部配管41、42とを流通する冷媒の導入出方向を約90°変更する構成となっている。
【0066】
また、第2環状突出部33dの外周は、接続ブロック40に形成された第2環状突出部33cと嵌合する嵌合穴部40fに接続されている。そして、第2環状突出部33dには、リング溝33eが形成されている。このリング溝33eにOリング等からなるシール材37が取り付けられて、第2環状突出部33dと接続ブロック40の嵌合穴部40fとの接続箇所からの冷媒漏れが防止されている。
【0067】
また、本実施形態の連結部34には、管継手30の周辺機器をボルト等の締結手段によって取り付け固定するための一対の取り付け穴部34a、34bが形成されている。取り付け穴部34a、34bは、第1、第2環状突出部32c、33dの突出方向、つまり第1、第2外部配管41、42が延びる方向と並行に形成されている。ここで、管継手30の周辺機器としては、膨張弁13等が挙げられる。
【0068】
これによれば、管継手30の周辺機器を連結部34の取り付け穴部34a、34bに取り付け固定することで、周辺機器を固定するための部材を省略することができる。なお、取り付け穴部34a、34bは、貫通穴で構成してもよいし、ねじ穴等で構成してもよい。また、周辺機器の連結部34への取り付けは、取り付け穴部34a、34bに限らず、一般的に用いられる一対のだるま形状の嵌め込み式継手で構成してもよい。
【0069】
次に、上記構成の熱交換チューブ(二重管)20と管継手30との組み付け工程(接合工程)を図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態の熱交換チューブ20と管継手30との組み付け工程を説明する説明図である。
【0070】
まず、上述の構成の熱交換チューブ20と管継手30とを準備する(準備工程)。ここで、本実施形態の準備工程について説明すると、熱交換チューブ20として、外管22と外管22よりも通路長さの長い内管21を用意する。そして、外管22内に内管21を挿入して、外管22の端部から内管21の一部(突出端部21b)が突出した状態にする。
【0071】
一方、管継手30は、ブロック形状の本体部31に、穴あけ加工、切削加工等によって突出端部21bを嵌合可能な嵌合穴部32a、33a、外管接合穴部33b、第1連通路32b、第2連通路33c、第1、第2環状突出部32c、33d等を形成する。
【0072】
その後、本体部31の外周面側に切欠き溝35を形成する。この切欠き溝35は、連結部34に相当する部位を残して嵌合穴部32a、33aをその径方向に横断するように本体部31を切削して形成することができる。
【0073】
これにより、本体部31に、第1、第2ブロック32、33、内管接合穴部32a、貫通穴部33a、外管接合穴部33b等を形成することができる。ここで、切欠き溝部35によって第1、第2ブロック32、33の間に所定間隔の隙間が形成されることとなる。なお、この準備工程における熱交換チューブ20および管継手30の準備方法は、一例であって他の方法を採用してもよい。
【0074】
そして、図4(a)に示すように、準備した熱交換チューブ20を矢印方向に移動させて管継手30に挿入する。具体的には、内管21の突出端部21bを、貫通穴部33aおよび内管接合穴部32aに挿入し、突出端部21bの先端部を内管接合穴部32aに嵌合するとともに、突出端部21bの外周を貫通穴部33aに嵌合する。さらに、外管22端部を外管接合穴部33bに挿入して嵌合する。
【0075】
熱交換チューブ(二重管)20と管継手30とを嵌合させた状態では、図4(b)に示すように、第1ブロック32と第2ブロック33との間に形成された隙間から突出端部21bの外周が外部に露出している。この状態でかしめ仮固定治具等の仮固定手段により仮固定する(仮固定工程)。
【0076】
そして、仮固定された熱交換チューブ(二重管)20と管継手30とをろう付けにより接合する(ろう付け接合工程)。具体的な熱交換チューブ20と管継手30とのろう付け箇所は、図4(c)に示すように、内管接合穴部32aと突出端部21bの先端部の外周(図中A部分)、貫通穴部33aと突出端部21bの外周(図中B部分)、および外管接合穴部33bと外管33の端部の外周(図中C部分)の3箇所である。
【0077】
ここで、熱交換チューブ20と管継手30とのろう付け作業は、例えば、トーチろう付けや炉内ろう付により行なうことができる。なお、トーチろう付けにより熱交換チューブ20と管継手30のろう付け接合を行なう場合、ろう材としては、例えば、差しろうやリング状の置きろうを用いることができる。また、炉内ろう付けにより熱交換チューブ20と管継手30のろう付け接合を行なう場合、ろう材としては、例えば、リング状の置きろうを用いることができる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態の熱交換チューブ20と管継手30の接合構造によれば、管継手30の本体部31に第1、第2ブロック32、33を形成する構成であるため、従来の本体部、接続管、第1接続部、および第2接続部を備える管継手に比べて、接続管等の構成を省略することができる。そのため、管継手30の構成を簡素化することができ、さらに、熱交換チューブ20および管継手30における接合箇所を少なくすることができる。その結果、熱交換チューブ20と管継手30の接合構造における気密確認検査の工数を低減させることができる。
【0079】
また、本実施形態の管継手30は、従来のブロック形状の第1接続部および第2接続部を備える管継手に比べて、内管21を第1、第2ブロック32、33に挿入した状態で突出端部21bの一部が外部に露出する構成となっている。これにより、外部に露出した突出端部21bと第1、第2ブロック32、33とのろう付け作業時に接合箇所を目視確認することができるともに、気密確認検査においても突出端部21bと第1、第2ブロック32、33との接合箇所を目視確認できる。
【0080】
従って、内管21を接続する第1ブロック32と外管22を接続する第2ブロック33を備える管継手30において、管継手30の簡素化と、内管21と第1、第2ブロック32、33とのろう付け接合箇所のろう付け品質の安定化とを両立させることができる。
【0081】
具体的な例をあげると、例えば、トーチろう付けを行なう場合は、トーチを接合箇所に直接当てることができ、ろう材の溶け具合を確認することができる。また、炉中ろう付けする場合には、炉内温度分布が変化した場合でも接合箇所を目視確認できる。これにより、ろう付け不良の発生を抑制することができ、ろう付け品質の安定化を実現することができる。
【0082】
さらに、気密確認検査において、ろう付け不良箇所があった場合、従来までは目視確認等できなかったためにろう付け不良箇所の手直しができなかったが、本実施形態の熱交換チューブ20と管継手30の接合構造によれば、ろう付け不良箇所の目視確認等ができるため手直しが可能となる。これにより、ろう付け不良による廃棄不良品の低減を図ることができる。
【0083】
また、本実施形態の熱交換チューブ20と管継手30の接合構造では、熱交換チューブ(二重管)20と管継手30との接合をろう付け手段のみによって行なっている。そのため、例えば、配管を穴部内で拡管してかしめ固定する無ろう付け手段とろう付け手段とを組み合わせるような接合構造に比べて、組み付け工程を簡易化することができ、ろう付け不良の発生を抑制することができる。
【0084】
その理由としては、配管を接合穴部内で拡管してかしめ固定する場合には、加工油を使用することとなるため、近接するろう付けする箇所において加工油の油分が侵入する虞があり、それを防止するために組み付け工数が複雑となるからである。また、接合穴部において、接合穴部の拡管時の加工油の油分を完全に除去することは難しいため、本実施形態の構成に比べて、ろう回り不良等が発生し易くなるからである。
【0085】
また、本実施形態の熱交換チューブ20と管継手30の接合構造では、本体部31の第1ブロック32と第2ブロック33との間の隙間を切欠き溝35で形成しているため、管継手30を全体の重量を軽量化することが可能となる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図5に基づいて説明する。ここで、図5は、本実施形態の内部熱交換器16端部における熱交換チューブと管継手の接合構造を示す模式図であり、なお、図5(a)は熱交換チューブと管継手の接合構造の平面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B断面図である。
【0087】
上記第1実施形態では、管継手30の本体部31によって、内管22および外管23内と第1、第2外部配管41、42とを流通する冷媒の導入出方向を約90°変更する構成となっている。
【0088】
本実施形態の熱交換チューブ20と管継手30の接合構造は、図5に示すように、管継手30の本体部31によって、内管22および外管23内と第1、第2外部配管41、42とを流通する冷媒の導出入方向を変更しない構成としている。なお、本実施形態の説明では、上記第1、第2実施形態と同様または均等な部分について同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
本実施形態の第1ブロック32に形成された第1環状突出部32cは、内管接合穴部32aの軸方向に突出しており、第1環状突出部32c内の第1連通路32bが内管接合穴部32aと同心軸上となるように形成されている。そのため、第1ブロック32内を流通する高圧冷媒は、その流れ方向が第1環状突出部32cと内管接合穴部32aとの間で変化しないこととなる。
【0090】
また、本実施形態の第2ブロック33に形成された第2環状突出部33dは、第1環状突出部32cの突出方向と同じ方向に突出しており、第2環状突出部33d内の第2連通路33cが外管接合穴部33bの軸方向と並行となるように形成されている。そのため、第2ブロック33内を流通する低圧冷媒は、その流れ方向が第2環状突出部33dと外部接合穴部33bにおいて並行となる。
【0091】
ここで、本実施形態の連結部34は、第1環状突出部32cと第2環状突出部33dの間に1つの取り付け穴部34aがねじ穴として形成されている。
【0092】
ところで、上述の第1実施形態のように、第1ブロック32と第2ブロック33との間の隙間が大きい構成では、突出端部21bと内管接合穴部32aおよび貫通穴部33aのろう付け接合箇所のそれぞれに配置されたろう材を一回ずつトーチで加熱して融解させる必要がある。
【0093】
そこで、本実施形態では、管継手30の本体部31において、第1ブロック32と第2ブロック33との間に形成された隙間を微小間隔に設定している。この微小間隔は、突出端部21bの先端部と内管接合穴部32aとの接合箇所と突出端部21bの外周と貫通穴部33aと接合箇所を、一度にろう付け接合できる程度の間隔に設定されている。
【0094】
例えば、微小間隔としては、突出端部21bにおける隙間から露出した外周に配置したろう材を一本のトーチで加熱する場合、突出端部21bと内管接合穴部32aおよび貫通穴部33aのろう付け接合箇所のそれぞれに配置されたろう材を、一本のトーチで同時に加熱して融解させることができる程度の間隔(8mm以下)に設定すればよい。
【0095】
これによれば、突出端部21bと内管接合穴部32aおよび貫通穴部33aとの二箇所の接合箇所を一度にろう付け接合することで、ろう付け作業の効率を向上させることができる。
【0096】
さらに、第1ブロック32および第2ブロック33が熱交換チューブ(二重管)20にろう付けによって接合された状態で、突出端部21bにおける微小間隔の隙間から露出した部位の外周全周がろう材により覆われるようにしている。この微小間隔は、例えば、ろう材としてリングろう材を使用する場合、リングろう材の線径の2倍よりも若干大きめの間隔とすることができる。
【0097】
これにより、突出端部21bと内管接合穴部32aおよび貫通穴部33aとをろう付け接合した際に、溶け出したろう材により突出端部21bにおける外部に露出した部位の外周が覆われる。内管21の突出端部21bの耐食性を向上させることができる。
【0098】
ここで、本実施形態のように熱交換チューブ20として二重管を用いた場合、内管21における外部に露出する部位は、突出端部21bの一部となるため、内管21を構成する材料を外管22に比べて耐食性の劣る材料(例えば、銅)を用いてもよい。
【0099】
さらにまた、本実施形態の第1ブロック32および第2ブロック33は、それぞれ微小間隔に設定された隙間を挟んで対向する角部(内管接合穴部32aおよび貫通穴部33aから遠く離れた角部)には、面取り部32e、33fが設けられている。この面取り部33e、33fは、第1ブロック32と第2ブロック33との間の隙間が、内管接続穴部32aおよび貫通穴部33aの径方向外側に向かって徐々に広がるように形成されている。
【0100】
これによれば、第1ブロック32と第2ブロック33との間の微小間隔の隙間から接合箇所の目視確認を行い易くすることができる。また、例えば、トーチろう付けを行なう場合には、トーチを接合箇所に当て易くすることができる。なお、第1実施形態における第1、第2ブロック32、33に上記面取り部32e、33fを設けてもよい。
【0101】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図6、図7に基づいて説明する。ここで、図6は、本実施形態における内部熱交換器16端部における熱交換チューブと管継手の接合構造を示す模式図である。なお、図6(a)は熱交換チューブと管継手の接合構造の平面図であり、図6(b)は図6(a)のC−C断面図である。
【0102】
上記第1実施形態では、二重管用の管継手30を第1ブロック32、第2ブロック33、および連結部34を有するブロック形状の本体部31で構成している。本実施形態では、図6に示すように、管継手30をブロック形状の第1ブロック32および第2ブロック33で構成し、第1、第2ブロック32、33と連結部34で連結しない構成としている。なお、本実施形態の説明では、上記第1、第2実施形態と同様または均等な部分について同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
本実施形態の管継手30では、第1ブロック32と第2ブロック33とを、所定間隔(W)の隙間を介して互いに対向するように配置するとともに、第1ブロック32と第2ブロック33との間に形成された隙間を微小間隔に設定している。
【0104】
この微小間隔は、第2実施形態と同様に、突出端部21bの先端部と内管接合穴部32aとの接合箇所と突出端部21bの外周と貫通穴部33aとの接合箇所を、一度にろう付け接合できる程度の間隔に設定されている。
【0105】
さらに、第1ブロック32および第2ブロック33が熱交換チューブ(二重管)20にろう付けによって接合された状態で、突出端部21bにおける微小間隔の隙間から露出した部位の外周全周がろう材により覆われるようにしている。
【0106】
次に、本実施形態の管継手30と熱交換チューブ(二重管)20との組み付け工程を図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態における内部熱交換器の端部における熱交換チューブ20と管継手30の組付工程を説明する説明図である。
【0107】
まず、上述の構成の管継手30と熱交換チューブ(二重管)20とを準備する(準備工程)。管継手30の準備工程について説明すると、管継手30は、ブロック形状の第1ブロック32と第2ブロック33とを用意する。
【0108】
そして、切削加工や穴あけ加工により、第1ブロック32に内管接合穴部32a、第1連通路32b、第1環状突出部32c等を形成し、第2ブロック33に貫通穴部33a、外管接合穴部33b、第2連通路33c、第2環状突出部33d等を形成する。そして、第1ブロック32の内管接合穴部32aが形成された面と第2ブロック33の貫通穴部33aが形成された面とを隙間をあけて対向するように配置する。
【0109】
その後、図7(a)に示すように、熱交換チューブ(二重管)20を矢印方向に移動させて管継手30に挿入する。具体的には、内管21の突出端部21bを、貫通穴部33aおよび内管接合穴部32aに挿入し、突出端部21bの端部を内管接合穴部32aに嵌合するとともに、突出端部21bの外周を貫通穴部33aに嵌合する。さらに、外管22端部を外管接合穴部33bに挿入して嵌合する。
【0110】
熱交換チューブ20と管継手30とを嵌合させた状態で、図7(b)に示すように、第1ブロック32と第2ブロック33との間の隙間を微小間隔に設定し、この微小間隔の隙間から突出端部21bの軸方向の一部の外周を外部に露出させる。この状態でかしめ仮固定治具等の仮固定手段により仮固定する(仮固定工程)。
【0111】
そして、仮固定された熱交換チューブ(二重管)20と管継手30とをろう付けにより接合する(ろう付け接合工程)。具体的には、熱交換チューブ(二重管)20と管継手30とのろう付け箇所は、図7(c)に示すように、内管接合穴部32aと突出端部21bの先端部の外周および貫通穴部33aと突出端部21bの外周(図中D部分)、および外管接合穴部33bと外管33の端部の外周(図中E部分)である。
【0112】
なお、第1ブロック32と第2ブロック33との間の隙間が微小間隔とすることで、内管接合穴部32aと突出端部21bの先端部の接合箇所および貫通穴部33aと突出端部21bの外周(図中D部分)の接合箇所を一度にろう付け接合することができる。従って、本実施形態のろう付け箇所は、図中C部分とD部分との2箇所とすることができる。
【0113】
このような構成によっても、上述の第1、第2実施形態で説明した構成と同様に、熱交換チューブ20と管継手30の接合構造の簡素化と熱交換チューブ(二重管)20と管継手30とのろう付け接合箇所のろう付け品質の安定化とを両立させることができる。
【0114】
また、内管20と第1、第2ブロック32、33との接合箇所を一度にろう付け接合することで、ろう付け作業の効率向上を図ることができる。さらに、内管21を構成する材料を外管22に比べて耐食性の劣る材料を用いることができる。
【0115】
さらにまた、本実施形態の管継手30は、第1ブロック32と第2ブロック33とを連結部34で連結しない構成であっても、第1ブロック32と第2ブロック33とを、微小間隔の隙間で溶け出したろう材によって連結することができる。これにより、第1実施形態の構成に比べて、連結部34の重量分だけ管継手30を軽量化することができる。
【0116】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図8、図9に基づいて説明する。ここで、図8は、本実施形態における熱交換チューブの斜視図であり、図9は本実施形態における内部熱交換器16端部における熱交換チューブと管継手の接合構造を示す模式図である。なお、図9(a)は熱交換チューブと管継手の接合構造の平面図であり、図9(b)は図9(a)のD−D断面図である。
【0117】
上記第1〜第3実施形態では、内部熱交換器16の熱交換チューブ20を、図3に示すように、内管21と外管22とを有する二重管によって高圧冷媒と低圧冷媒を熱交換可能に構成した例を説明した。
【0118】
本実施形態では、内部熱交換器16の熱交換チューブ20を、内部を高圧冷媒が通過する高圧チューブ(第1チューブ)21と、内部を低圧冷媒が通過する低圧チューブ(第2チューブ)22とが並列に配置されるとともに、熱交換可能に連結される構成としている。
【0119】
具体的には、熱交換チューブ20は、図8に示すように、高圧チューブ21と低圧チューブ(第2チューブ)22を一体に形成したフラットチューブ(断面扁平形状となるチューブ)によって高圧冷媒と低圧冷媒を熱交換可能に構成している。
【0120】
以下、本実施形態の内部熱交換器16端部における熱交換チューブ20と管継手30の接合構造について説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1〜第3実施形態と同様または均等な部分について同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
本実施形態の内部熱交換器16の端部は、上述の熱交換チューブ(フラットチューブ)20と、熱交換チューブ20の端部に接続される管継手30で構成されている。
【0122】
熱交換チューブ20の高圧チューブ21(図中下段側)には、高圧冷媒が流通する第1流体通路21aとして複数の貫通穴が形成されている。また、低圧チューブ22(図中上段側)には、低圧冷媒が流通する第2流体通路22aとして複数の貫通穴が形成されている。ここで、高圧チューブ21および低圧チューブ22は、第1流体通路21aを流通する高圧冷媒と第2流体通路22aを流通する低圧冷媒とが、互いを離隔する壁面を介して熱交換可能に形成されている。
【0123】
高圧チューブ21は、低圧チューブ22よりも長手方向(冷媒流通方向)の寸法が長くなっている。つまり、高圧チューブ21内に形成された第1流体通路21aが、低圧チューブ22に形成された第2流体通路22aよりも通路長さが長くなっている。
【0124】
そのため、高圧チューブ21と低圧チューブ22とを接合した状態では、高圧チューブ21の端部が、低圧チューブ22の端部から外方(低圧チューブ22の長手方向)に突出する。高圧チューブ21における低圧チューブ22の端部から突出した部位が突出端部21bを構成している。
【0125】
本実施形態の管継手30は、高圧チューブ21と低圧チューブ22の端部が接続されるブロック形状の本体部31で構成され、第1、第2ブロック32、33および連結部34を有して一体に構成されている。
【0126】
第1ブロック32には、第2ブロック33と対向する面に第1接合穴部32aが形成されている。この第1接合穴部32aは、高圧チューブ21の突出端部21bの先端部と第1ブロック32とを接合するために形成されている。なお、第1接合穴部32aは、突出端部21bの外周が嵌合可能な大きさに形成されている。
【0127】
一方、第2ブロック33には、第1ブロック32と対向する面に第2接合穴部33aが形成されている。この第2接合穴部33aは、高圧チューブ21の突出端部21bを貫通して挿入した状態で、突出端部21bを接合するために形成されている。ここで、第2接合穴部33aは、第2ブロック33を貫通する貫通穴となっている。なお、第2接合穴部33aは、突出端部21bの外周が嵌合可能な大きさに形成されている。
【0128】
また、第2ブロック33には、第1ブロック32と対向する面の反対側の面に第3接合穴部33bが形成されている。この第3接合穴部33bは、低圧チューブ22が挿入された状態で、低圧チューブ22と第2ブロック33とを接合するために形成されている。なお、第3接合穴部33bは、熱交換チューブの外周が嵌合可能な大きさに形成されている。
【0129】
ここで、本実施形態の第2接合穴部33aと第3接合穴部33bは、第2ブロック33における第1ブロック32と対向する面の反対側において、1つの接合穴として開口している。つまり、熱交換チューブ20は、第2、第3接合穴部33a、33bに挿入された状態で、第2ブロック33に接合される。
【0130】
上記構成の第1、第2ブロック32、33に熱交換チューブ20を挿入し、突出端部21bと第1接合穴部32a、高圧チューブ21と第2接合穴部33a、および低圧チューブ22と第3接合穴部33bの各接合箇所をろう付けにより接合する。
【0131】
本実施形態の熱交換チューブ20と管継手30の接合構造では、第1ブロック32と第2ブロック33の間の隙間から、高圧チューブ21の突出端部21bと第1接合穴部32aの接合箇所、および突出端部21bと第2接合穴部33aの接合箇所を目視確認することができる。
【0132】
これにより、突出端部21bと第1接合穴部32aの接合箇所、および突出端部21bと第2接合穴部33aの接合箇所をろう付け接合する場合に、外部からろう付け状態等を目視確認することができる。なお、高圧チューブ21および低圧チューブ22と第3接合穴部33bの接合箇所は、外部に露出しているため、外部からろう付け状態等を確認することができる。
【0133】
従って、内部熱交換器16を図8に示す熱交換チューブ20で構成した場合にも、上述の第1〜第3実施形態で説明した構成と同様に、熱交換チューブ20と管継手30の接合構造の簡素化と熱交換チューブ20と管継手30とのろう付け接合箇所のろう付け品質の安定化とを両立させることができる。
【0134】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
【0135】
(1)上述の第1〜第4実施形態では、熱交換チューブ20を二重管若しくはプレートチューブで構成しているが、これらに限定されるものではない。熱交換チューブは、一方のチューブが他方のチューブよりも長手方向寸法が長い構成であればよく、例えば、第1チューブの外周と第2チューブの外周とを接触させて、チューブ内を流れる流体同士を熱交換させる熱交換チューブ等で構成してもよい。また、熱交換チューブ20は、冷媒の流れ方向に直交する断面形状が、円形状に限らず、扁平形状、矩形状等となるものを用いていてもよい。
【0136】
(2)上述の第1〜第3実施形態では、熱交換チューブ20として、図3に示す内管21と外管22とから構成される二重管を用いているが、二重管は、図3に示すものに限定されない。例えば、図10に示すように、二重管を、内管21、外管22、および両管21、22との間を連結する連結リブ20aを押し出し加工により一体に構成してもよい。この場合、二重管の端部において、外管22と連結リブを切削除去することで突出端部21bを形成すればよい。
【0137】
また、二重管の内管21、外管22の形状は、円筒状に限定されるものではない。例えば、図11に示すように、円筒状の内管21に螺旋状の溝21cを形成したものでもよいし、三角筒、四角筒等の多角筒としてもよい。この場合、内管21に低圧冷媒を流通させ、外管22に高圧冷媒を流通させてもよいし、逆に、内管21に高圧冷媒を流通させ、外管22に低圧冷媒を流通させてもよい。
【0138】
なお、熱交換チューブ20としては、二重管に限らず、三重管、四重管といった多重管で構成してもよい。この場合には、外側のチューブよりも内側のチューブの長手方向寸法を長くし、管継手30を、各チューブとの接合箇所が外部に露出するように構成すればよい。
【0139】
(3)上述の第4実施形態では、高圧チューブ21を低圧チューブ22よりも長手方向寸法が長い構成、つまり、高圧チューブ21の端部が突出端部21bとなる構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、低圧チューブを高圧チューブよりも長手方向寸法が長い構成、つまり、低圧チューブの端部が突出端部となる構成としてもよい。
【0140】
(4)上述の第1、第2、第4実施形態では、本体部31に第1ブロック32、第2ブロック33、および連結部34を一体に形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1ブロック32および第2ブロック33の間に別体の連結部34を介在させ、第1、第2ブロック32、33と連結部34とをボルト等の締結手段によりそれぞれを締結してもよい。
【0141】
(5)上述の第2実施形態では、連結部34に1つの取り付け穴部34aを形成する構成としているがこれに限定されるものではない。連結部34の取り付け穴部34aは、管継手30の周辺機器の形状等に合わせて形成すればよい。
【0142】
例えば、図12に示すように、管継手30の第1環状突出部32cと第2環状突出部33dの間に一対の取り付け穴部34a、34bを第1、第2環状突出部32c、33dの並び方向と交差するように形成してもよい。
【0143】
また、図13に示すように、一対の取り付け穴部34a、34bを第1環状突出部32cと第2環状突出部33dの並び方向と並行に形成してもよい。なお、上述の取り付け穴部34aの変形例を第1、第3実施形態の管継手30にも適用することができる。なお、図12、図13は、取り付け穴部の形成位置を変更した熱交換チューブと管継手の接合構造を示す模式図である。
【0144】
(6)上述の各実施形態では、第1外部配管41および第2外部配管42を管継手に接続するために、本体部31の連結部34に雄型の第1環状突出部32cと第2環状突出部33dを設ける構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、図14に示すように、第1、第2外部配管41、42の外周と嵌合する雌型の嵌合穴部32f、33gを設ける構成としてもよい。なお、図14は、第1、第2外部配管41、42の接続構造を変更した熱交換チューブと管継手の接合構造を示す模式図である。
【0145】
(7)上述の各実施形態では、冷凍サイクルの冷媒として代替フロン等を用いた亜臨界の冷凍サイクル装置10の内部熱交換器16に本発明を適用したが、これに限定されるものではない。冷凍サイクルの冷媒として二酸化炭素等を用いた超臨界の冷凍サイクル装置10の内部熱交換器16に適用してもよい。
【0146】
(8)上述の各実施形態では、熱交換チューブ20と管継手30からなる熱交換チューブ20と管継手30の接合構造を車両用冷凍サイクル装置10の内部熱交換器16に適用したが、これに限定されず、他の装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】第1実施形態に係る冷凍サイクル装置の構成図である。
【図2】第1実施形態に係る熱交換チューブと管継手の接合構造の模式図である。
【図3】第1実施形態に係る熱交換チューブの斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る熱交換チューブと管継手の組み付け工程を説明する説明図である。
【図5】第2実施形態に係る熱交換チューブと管継手の接合構造の模式図である。
【図6】第3実施形態に係る熱交換チューブと管継手の接合構造の模式図である。
【図7】第3実施形態に係る熱交換チューブと管継手の組み付け工程を説明する説明図である。
【図8】第4実施形態に係る熱交換チューブの斜視図である。
【図9】第4実施形態に係る熱交換チューブと管継手の接合構造の模式図である。
【図10】他の実施形態に係る熱交換チューブの斜視図である。
【図11】他の実施形態に係る熱交換チューブの斜視図である。
【図12】他の実施形態に係る熱交換チューブと管継手の接合構造の模式図である。
【図13】他の実施形態に係る熱交換チューブと管継手の接合構造の模式図である。
【図14】他の実施形態に係る熱交換チューブと管継手の接合構造の模式図である。
【符号の説明】
【0148】
20 熱交換チューブ(二重管、フラットチューブ)
21 内管、高圧チューブ(第1チューブ)
21a 第1流体通路
21b 突出端部
22 外管、低圧チューブ(第2チューブ)
22a 第2流体通路
30 管継手
31 本体部
32 第1ブロック
32a 内管接合穴部(第1接合穴部)
32b 第1連通部(第1連通穴)
33 第2ブロック
33a 貫通穴部(第2接合穴部)
33b 外管接合穴部(第3接合穴部)
33c 第2連通部(第2連通穴)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が通過する第1チューブ(21)および第2流体が通過する第2チューブ(22)を有し、前記第1チューブ(21)を通過する前記第1流体と前記第2チューブ(22)を通過する前記第2流体とが熱交換可能に配置された熱交換チューブ(20)が接合される管継手であって、
前記第1チューブ(21)は、前記第2チューブ(22)の端部よりも前記第2チューブ(22)の長手方向外側に突出した突出端部(21b)を有し、
前記第1チューブ(21)内と連通して前記第1流体を流入出させる第1連通穴(32b)が形成された第1ブロック(32)と、
前記第2チューブ(22)内と連通して前記第2流体を流入出させる第2連通穴(33c)が形成された第2ブロック(33)と、
前記第1ブロック(32)と前記第2ブロック(33)とを連結する連結部(34)とを備え、
前記第1ブロック(32)と前記第2ブロック(33)は、所定間隔の隙間をあけて対向するように配置され、
前記第1ブロック(32)には、前記第2ブロック(33)と対向する外周面に、前記突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で接合するための第1接合穴部(32a)が形成され、
前記第2ブロック(33)には、前記第1ブロック(32)と対向する外周面に開口して、前記突出端部(21b)を貫通させて挿入した状態で接合するための第2接合穴部(33a)、および前記第1ブロック(32)と対向する面の反対側の面に、前記第2チューブ(22)を挿入した状態で接合するための第3接合穴部(33b)が形成され、
前記突出端部(21b)が前記第1、第2接合穴部(32a、33a)に挿入され、前記第2チューブ(22)が前記第3接合穴部(33b)に挿入された状態で、前記隙間から前記突出端部(21b)と前記第1、第2接合穴部(32a、33a)との接合箇所が外部に露出していることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記所定間隔は、前記突出端部(21b)の先端部と前記第1接合穴部(32a)との接合箇所、および前記突出端部(21b)と前記第2接合穴部(33a)との接合箇所を一度にろう付け接合できるように微小間隔に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記第1ブロック(32)および前記第2ブロック(33)における前記隙間を挟んで対向する角部には、面取り部(32e、33f)が設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載の管継手。
【請求項4】
前記隙間は、前記第1、第2ブロック(32、33)の間であって、前記第1接合穴部(32a)および前記第2接合穴部(33a)を横断するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の管継手。
【請求項5】
前記熱交換チューブ(20)は、前記第2チューブ(22)が前記第1チューブ(21)の外周を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の管継手。
【請求項6】
前記熱交換チューブ(20)は、前記第1チューブ(21)と前記第2チューブ(22)とが並列に配置されるとともに、熱交換可能に連結されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の管継手。
【請求項7】
第1流体が通過する第1チューブ(21)および第2流体が通過する第2チューブ(22)を有し、前記第1チューブ(21)を通過する前記第1流体と前記第2チューブ(22)を通過する前記第2流体とが熱交換可能に配置された熱交換チューブ(20)と、前記熱交換チューブ(20)が接合される管継手(30)とを備える熱交換チューブと管継手の接合構造であって、
前記第1チューブ(21)は、前記第2チューブ(22)の端部よりも前記第2チューブ(22)の長手方向外側に突出した突出端部(21b)を有し、
前記管継手(30)は、前記第1チューブ(21)内と連通して前記第1流体を流入出させる第1連通穴(32b)が形成された第1ブロック(32)と、前記第2チューブ(22)内と連通して前記第2流体を流入出させる第2連通穴(33c)が形成された第2ブロック(33)と、前記第1ブロック(32)と前記第2ブロック(33)とを連結する連結部(34)とを有して構成され、
前記第1、第2ブロック(32、33)は、所定間隔の隙間をあけて対向するように配置され、
前記第1ブロック(32)には、前記第2ブロック(33)と対向する外周面に、前記突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で接合するための第1接合穴部(32a)が形成され、
前記第2ブロック(33)には、前記第1ブロック(32)と対向する外周面に開口して、前記突出端部(21b)を貫通させて挿入した状態で接合するための第2接合穴部(33a)、および前記第1ブロック(32)と対向する面の反対側の面に、前記第2チューブ(22)を挿入した状態で接合するための第3接合穴部(33b)が形成され、
前記突出端部(21b)が前記第1、第2接合穴部(32a、33a)に挿入され、前記第2チューブ(22)が前記第3接合穴部(33b)に挿入された状態で、前記隙間から前記突出端部(21b)と前記第1、第2接合穴部(32a、33a)との接合箇所が外部に露出していることを特徴とする熱交換チューブと管継手の接合構造。
【請求項8】
前記突出端部(21b)における前記隙間から露出した部位の外周全周がろう材により覆われるようにろう付け接合されていることを特徴とする請求項7に記載の熱交換チューブと管継手の接合構造。
【請求項9】
前記熱交換チューブ(20)および前記管継手(30)は、前記第1ブロック(32)と前記突出端部(21b)との接合箇所、前記第2ブロック(33)と前記第1チューブ(21)との接合箇所、および前記第2ブロック(33)と前記第2チューブ(22)との接合箇所の三箇所でろう付け接合されていることを特徴とする請求項7または8に記載の熱交換チューブと管継手の接合構造。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換チューブと管継手の接合方法であって、
前記熱交換チューブ(20)および前記管継手(30)を準備する準備工程と、
前記第1接合穴部(32a)に前記突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で仮固定するとともに、前記第2接合穴部(33a)に前記突出端部(21b)を挿入した状態、および前記第3接合穴部(33b)に前記第2チューブ(22)を挿入した状態で仮固定する仮固定工程と、
前記仮固定工程後に、前記第1ブロック(32)と前記突出端部(21b)との接合箇所、前記第2ブロック(33)と前記第1チューブ(21)との接合箇所、および前記第2ブロック(33)と前記第2チューブ(22)との接合箇所をろう付け接合するろう付け接合工程とを有することを特徴とする熱交換チューブと管継手の接合方法。
【請求項11】
第1流体が通過する第1チューブ(21)および第2流体が通過する第2チューブ(22)を有し、前記第1チューブ(21)を通過する前記第1流体と前記第2チューブ(22)を通過する前記第2流体とが熱交換可能に配置された熱交換チューブ(20)と、前記熱交換チューブ(20)が接合される管継手(30)とを備える熱交換チューブと管継手の接合構造であって、
前記第1チューブ(21)は、前記第2チューブ(22)の端部よりも前記第2チューブ(22)の長手方向外側に突出した突出端部(21b)を有し、
前記管継手(30)は、前記第1チューブ(21)内と連通して前記第1流体を流入出させる第1連通穴(32b)が形成された第1ブロック(32)と、前記第2チューブ(22)内と連通して前記第2流体を流入出させる第2連通穴(33c)が形成された第2ブロック(33)とを有して構成され、
前記第1、第2ブロック(32、33)は、所定間隔の隙間をあけて対向するように配置され、
前記第1ブロック(32)には、前記第2ブロック(33)と対向する外周面に、前記突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で接合するための第1接合穴部(32a)が形成され、
前記第2ブロック(33)には、前記第1ブロック(32)と対向する外周面に開口して、前記突出端部(21b)を貫通させて挿入した状態で接合するための第2接合穴部(33a)、および前記第1ブロック(32)と対向する面の反対側の面に、前記第2チューブ(22)を挿入した状態で接合するための第3接合穴部(33b)が形成され、
前記突出端部(21b)が前記第1、第2接合穴部(32a、33a)に挿入され、前記第2チューブ(22)が前記第3接合穴部(33b)に挿入された状態で、前記隙間から前記突出端部(21b)と前記第1、第2接合穴部(32a、33a)との接合箇所が外部に露出しており、
前記所定間隔は、前記突出端部(21b)の先端部と前記第1接合穴部(32a)との接合箇所、および前記突出端部(21b)と前記第2接合穴部(33a)との接合箇所を一度にろう付け接合できるように微小間隔に設定されていることを特徴とする熱交換チューブと管継手の接合構造。
【請求項12】
請求項11に記載の熱交換チューブと管継手の接合方法であって、
前記熱交換チューブ(20)および前記管継手(30)を準備する準備工程と、
前記第1ブロック(32)と前記第2ブロック(33)とを微小間隔の隙間をあけて配置し、前記第1接合穴部(32a)に前記突出端部(21b)の先端部を挿入した状態で仮固定するとともに、前記第2接合穴部(33a)に前記突出端部(21b)を挿入した状態、および前記第3接合穴部(33b)に前記第2チューブ(22)を挿入した状態で仮固定する仮固定工程と、
前記仮固定工程後に、前記第1ブロック(32)と前記突出端部(21b)との接合箇所、前記第2ブロック(33)と前記第1チューブ(21)との接合箇所、および前記第2ブロック(33)と前記第2チューブ(22)との接合箇所をろう付け接合するろう付け接合工程とを有することを特徴とする熱交換チューブと管継手の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−96225(P2010−96225A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266096(P2008−266096)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】