説明

管継手

【課題】管を片手で操作するのみで簡単に着脱できる管継手であって、着脱性のより一層の向上、および圧接力のより一層高い設定が可能な管継手を提供する。
【解決手段】本発明に係る管継手1は、軸方向に管60が挿入される開口部21を有する筒状の本体2と、軸方向が本体2の軸方向と一致するように本体に内嵌固定される筒状のスリーブ3と、環状のリング部5およびリング部から軸方向に延出する複数の延出部6を有し、リング部5の軸方向とスリーブ3の軸方向とが一致するように、スリーブ3に移動可能に内嵌されるロック部材4とを備え、延出部6は径方向の内方に立設されるプレスツメ8を有し、対向するプレスツメ間距離は、管60に圧接可能に、管の外径よりも小さく構成され、ロック部材4もしくはスリーブ3は、一方に延出部縮径用テーパ面32(42)、他方に対応する当接部42(32)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関し、さらに詳細には、筒状に形成された本体を備え、本体の一端側の開口部から挿入された管を、本体に対してロックして保持可能な管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管継手の一例が、特許文献1に記載されている。
特許文献1記載の管継手は、パイプ状の継手本体と、一端側が継手本体内に圧入・固定されたガイド筒体と、ガイド筒体の一端側をかしめてガイド筒体内に固定されたストッパと、ガイド筒体の一端側に軸線方向に移動自在に保持された開放筒体と、シールリングと、ロック爪とを備え、外部流体機器の接続孔に接続される構成である(特許文献1 第1図、段落0008 参照)。
【0003】
これによれば、接続される管は、継手本体の管挿入口(開放筒体、ガイド筒体等が管挿入口を構成する)から継手本体内に挿入される。このとき、ロック爪は、管の先端によって外方に広げられ、先端が管の外周面上に当接する。この状態で管を抜脱方向に引動すると、ロック爪の先端が管の外壁に食い込むこととなり、抜脱が阻止される。また、管を抜脱するときは、開放筒体を押し込んでロック爪の管外壁への食い込みを解除すればよい(特許文献1 段落0009 参照)。
【0004】
ところで、流体を扱う外部流体機器においては、一般に、流体が出入りする接続孔、つまりは接続孔に接続される管継手が、互いに近接または密集して複数設けられていたり、外部流体機器を扱う作業者にとって届きにくい箇所や見えにくい箇所に設けられていたりすることが少なくない。
【0005】
特許文献1の管継手のような従来の管継手においては、継手本体から管を抜くときに、開放筒体を押し込むと共に管を抜脱方向に引き抜く操作が必要であるため、管継手および管を両手で同時に操作する必要があり、簡単に着脱操作を行えないという課題があった。
特に、前述の通り、管継手が、互いに近接または密集して複数設けられていたり、外部流体機器を扱う作業者にとって届きにくい箇所や見えにくい箇所に設けられていたりする場合には、管継手の開放筒体を押し込むなどの操作は容易でないという課題があった。
【0006】
当該課題を解決すべく、本願出願人の先願に係る特許文献2において、管を、片手で操作するのみで簡単に着脱できる管継手が開示されている(図21参照)。
この管継手100は、筒状に形成され、一端側の開口部106から管Pが挿入される継手本体102と、該継手本体102内に装着され、継手本体102に挿入された管Pを、継手本体102に対してロックして保持するロック部材104とを備える管継手であって、前記ロック部材104は、外周部が前記継手本体102の内周壁に摺接して、継手本体102の軸線方向に移動可能に設けられたリング部110と、該リング部110から前記継手本体102の前記開口部106側に向かって延び、先端部に、継手本体102の内方に向かう爪部112が形成された、可撓性を有する延出部114とから成り、前記継手本体102には、前記開口部106側が徐々に縮径し、前記ロック部材104が開口部106側に向けて移動した際に、前記延出部114の先端部が進入して該先端部を縮径させ、前記爪部112によって管Pをロックさせるテーパ部122が設けられている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−106772号公報
【特許文献2】特開2005−172218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、管を、片手で操作するのみで簡単に着脱できる管継手であって、従来の管継手と比較して、着脱性をより一層向上させることが可能であり、且つ、圧接力をより一層高く設定することが可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
この管継手は、筒状であって、軸方向に管が挿入される開口部を有する本体と、筒状であって、軸方向が前記本体の軸方向と一致するように該本体に内嵌されて固定されるスリーブと、環状のリング部および該リング部から軸方向に延出する複数の延出部を有し、該リング部の軸方向と前記スリーブの軸方向とが一致するように該スリーブに内嵌されて、前記スリーブ内を軸方向および周方向に移動可能なロック部材と、を備え、前記延出部は、径方向の内方に立設されるプレスツメを有し、且つ、軸中心に対向するプレスツメ間の距離は、挿入される管に圧接可能に、管の外径よりも小さく構成され、前記ロック部材もしくは前記スリーブは、少なくとも一方に延出部縮径用テーパ面が設けられ他方に該延出部縮径用テーパ面に対応する当接部が設けられて、前記延出部間に挿入され前記プレスツメにより圧接固定された管を回動させずに抜脱方向に引動したとき、前記ロック部材が抜脱方向に引動されて、前記延出部縮径用テーパ面と該テーパ面に対応する当接部とが当接・摺動して、前記延出部間が縮径されることを要件とする。
【0011】
これによれば、ロック部材内に挿入されて保持されている管を回動させずに抜脱方向に引動したときに、延出部同士の間、特に、管の外径よりも小さく構成されている対向するプレスツメ同士の間が縮径されて、管の抜脱を防止することが可能となる。
【0012】
また、前記ロック部材もしくは前記スリーブは、少なくとも一方にロック解除用テーパ面が設けられ他方に該ロック解除用テーパ面に対応する当接部が設けられて、前記延出部間に挿入され前記プレスツメにより圧接固定された管を回動させて、当該回動させた周方向位置において管を抜脱方向に引動したとき、前記ロック部材が抜脱方向に引動されて、前記ロック解除用テーパ面と該テーパ面に対応する当接部とが当接・摺動して、前記延出部間が拡径されて、前記プレスツメによる管の圧接が解除されることを要件とする。
【0013】
これによれば、所定の周方向位置における管の抜脱動作によって、対向する延出部間、すなわち対向するプレスツメ間が拡径されて、管の外径よりも大きく拡げられるため、当該プレスツメによる管の圧接が解除されて、管を抜脱させることが可能となる。
【0014】
また、前記ロック部材もしくは前記スリーブは、少なくとも一方に当接補助テーパ面が設けられ他方に該当接補助テーパ面に対応する当接部が設けられて、前記延出部間に挿入され前記プレスツメにより圧接固定された管を回動させたとき、前記当接補助テーパ面と該テーパ面に対応する当接部とが当接・摺動して、前記延出部間が拡径されることによって、前記ロック解除用テーパ面と該テーパ面に対応する当接部との当接が可能となることを要件とする。
【0015】
これによれば、管の回動により、対向する延出部間が拡径されることによって、はじめて、ロック解除用テーパ面と当接部との当接が可能な状態に移行することが可能となるため、不用意な管の抜脱が防止できる。
【0016】
また、前記ロック部材を管の抜脱方向に向かって付勢する第1の付勢部材が設けられることを要件とする。
【0017】
これによれば、ロック部材を管の抜脱方向に押動する付勢力を発生させることが可能となる。
【0018】
また、前記第1の付勢部材は、前記ロック部材と一体に、前記リング部から管の挿入方向に向かって螺旋状に延出する形状に形成されることを要件とする。
【0019】
これによれば、管の挿入に対して障害とならずに、挿入方向に押動されたときに前記付勢力を発生させることが可能となる。また一体形成により、製造コストの低減も可能となる。
【0020】
また、前記第1の付勢部材は、前記延出部の位置に対応させて前記リング部の軸に対して軸対称に二箇所設けられ、管を挿入したとき、前記ロック部材が挿入方向に押動されて、前記第1の付勢部材の先端部と対応する本体の当接部とが当接・摺動して、前記リング部が折れ曲がることによって前記延出部間が拡径されることを要件とする。
【0021】
これによれば、ロック部材が挿入方向に押動されたときに、リング部が折れ曲がることによって、対向する延出部間を拡径させる作用を生じさせることが可能となる。
【0022】
また、前記延出部は、挿入される管の先端部に当接可能な位置に、第1の延出部拡径用テーパ面が設けられて、管を挿入したとき、該管の先端部と前記第1の延出部拡径用テーパ面とが当接・摺動して、前記延出部間が拡径されることを要件とする。
【0023】
これによれば、管の挿入動作により、第1の延出部拡径用テーパ面が、管の先端部から、径方向の外方へ押し出される力を受けることによって、対向する延出部同士の間、特に、対向するプレスツメ同士の間が拡径されて、管の外径よりも大きく拡げられるため、管が当該プレスツメ間に進入することが可能となる。
【0024】
また、前記ロック部材もしくは前記スリーブは、少なくとも一方に第2の延出部拡径用テーパ面が設けられ他方に該第2の延出部拡径用テーパ面に対応する当接部が設けられて、管を挿入したとき、前記ロック部材が挿入方向に押動されて、前記第2の延出部拡径用テーパ面と該テーパ面に対応する当接部とが当接・摺動して、前記延出部間が拡径されることを要件とする。
【0025】
これによれば、管の挿入動作により、延出部拡径用テーパ面が対応する当接部から径方向の外方へ引かれる力を受けることによって、対向する延出部同士の間、特に、対向するプレスツメ同士の間が拡径されて、管の外径よりも大きく拡げられるため、管が当該プレスツメ間に進入することが可能となる。
【0026】
また、前記スリーブは、筒状の壁部を貫通する切欠穴を有し、前記ロック部材は、前記延出部において径方向の外方に向かって立設される突起部を有し、前記突起部が、前記切欠穴内に移動可能に係合されることを要件とする。
【0027】
これによれば、突起部が、切欠穴内内に移動可能に係合されることによって、ロック部材をスリーブ内に移動可能に保持することが可能となると共に、その移動領域を所定領域に規制することが可能となる。また、スリーブおよびロック部材のそれぞれに形成される前記各テーパ面と対応する当接部との当接・摺動を行うことが可能となる。
【0028】
また、前記切欠穴の軸方向における前記開口部側の後端部には、前記突起部が軸方向に進入可能な周方向幅を有する逃げ溝部が設けられることを要件とする。
【0029】
これによれば、付勢部材の付勢力によって、ロック部材の突起部が逃げ溝部に進入した状態で静止するため、管のロック状態において、突起部が周方向に回動しないように保持することが可能となる。
【0030】
また、前記ロック部材を周方向の所定位置に位置決めすると共に、該ロック部材が周方向に回転した場合に該所定位置まで戻す付勢力を発生させる第2の付勢部材が設けられることを要件とする。
【0031】
これによれば、ロック部材を周方向の所定位置に位置決めすると共に、当該ロック部材が周方向に回転した場合に該所定位置まで戻す付勢力を発生させることが可能となる。
【0032】
また、前記第2の付勢部材は、前記スリーブと一体に、前記逃げ溝部における前記開口部側の端部から軸方向に且つ前記切欠穴内に突出する形状であって、周方向の撓み変形が可能なクサビ状部を備える形状に形成されることを要件とする。
【0033】
これによれば、管継手の組立時および使用時に、突起部を切欠穴内の所定位置(逃げ溝部)に誘導するガイド作用が得られる。また、第2の付勢部材(クサビ状部)が周方向に撓むようにして変形することにより、当該撓み変形が復元しようとする力が付勢力となって、回動したロック部材を元の所定位置まで戻す作用を生じさせることができる。
【0034】
また、前記ロック部材は、前記突起部における径方向の内側に、軸方向に平行な溝状であって、前記クサビ状部が嵌合可能および通過可能なガイド溝を備えて、前記クサビ状部と前記ガイド溝との嵌合によって、前記ロック部材が周方向の所定位置に位置決めされることを要件とする。
【0035】
これによれば、ロック部材を軸方向に移動可能な状態としつつ、当該ロック部材を周方向の所定位置に位置決めすることが可能となる。
【0036】
また、前記第2の付勢部材は、前記ロック部材と一体に、該ロック部材から径方向の外方に延出する形状であって、周方向の撓み変形が可能な棒状部もしくは板状部を備える形状に形成されることを要件とする。
【0037】
これによれば、管継手の使用時に、突起部を切欠穴内の所定位置(逃げ溝部)に誘導するガイド作用が得られる。また、第2の付勢部材(棒状部もしくは板状部)がが周方向に撓むようにして変形することにより、当該撓み変形が復元しようとする力が付勢力となって、回動したロック部材を元の所定位置まで戻す作用を生じさせることができる。
【0038】
また、前記本体もしくは前記スリーブは、軸方向に平行な溝状であって、前記棒状部もしくは板状部の先端部が嵌合可能および通過可能なガイド溝を備えて、前記棒状部もしくは板状部の先端部と前記ガイド溝との嵌合によって、前記ロック部材が周方向の所定位置に位置決めされることを要件とする。
【0039】
これによれば、ロック部材を軸方向に移動可能な状態としつつ、当該ロック部材を周方向の所定位置に位置決めすることが可能となる。
【0040】
また、前記切欠穴の軸方向における前記開口部と逆側の先端部には、前記突起部が前記スリーブの外部から前記切欠穴の内部へ軸方向に進入可能な周方向幅を有するスリット部が設けられることを要件とする。
【0041】
これによれば、ロック部材の突起部を、スリーブの切欠穴に容易に進入させることができ、スリーブとロック部材との組立作業が非常に容易となる。
【0042】
また、前記切欠穴は、軸方向における前記開口部と逆側の先端部が、管の挿入方向に向かって周方向の幅が徐々に狭くなるように形成されることを要件とする。
【0043】
これによれば、管を挿入したときに、ロック部材の突起部が切欠穴の傾斜辺に案内されることにより、当該突起部の周方向位置を最狭部に一致させることが可能となる。
【0044】
また、前記逃げ溝部は、前記切欠穴の先端部における周方向の幅が最も狭い最狭部に対して軸方向で対向する位置に設けられることを要件とする。
【0045】
これによれば、管の挿入時に最狭部に案内された突起部が、付勢部材の付勢力によって、逃げ溝部に進入した状態で静止するため、管のロック状態において、突起部が周方向に回動しないように保持することが可能となる。
【0046】
また、前記スリット部は、前記切欠穴の先端部における周方向の幅が最も狭い最狭部に設けられることを要件とする。
【0047】
これによれば、スリット部を、周方向位置が逃げ溝部と一致する最狭部に設けることによって、スリーブとロック部材との組立作業の際に、ロック部材の突起部を、スリーブの切欠穴内の所定位置すなわち逃げ溝部まで直線的に進入させることが可能となり、当該作業の簡易化が図られる。
【0048】
また、前記延出部間に挿入され前記プレスツメにより圧接固定された管に対して軸方向および周方向の外力が作用しない状態のときに、前記第1の付勢部材、または前記第1の付勢部材および前記第2の付勢部材の付勢力によって、前記突起部の軸方向位置が前記逃げ溝部内に位置決めされることを要件とする。
【0049】
これによれば、管に対して軸方向および周方向の外力が作用しない状態のときには、ロック部材の突起部が逃げ溝部内に位置決めされて、周方向溝部への進入が不可能となるため、ロック解除の動作に移行することがなく、意に反して管のロックが解除されてしまうことが防止できる。
【0050】
また、前記ロック解除用テーパ面は、前記切欠穴における前記逃げ溝部の前記開口部と逆側の端部から周方向に、もしくは周方向に対して所定角度の方向に延びる辺部において、前記開口部と逆側に面し且つ管の抜脱方向に向かって拡径する形状に形成されることを要件とする。
【0051】
これによれば、管の抜脱方向への引動により、当該テーパ面と、これと対応してロック部材の突起部に設けられる当接部とを当接させて、延出部を拡径することが可能となる。
【0052】
また、前記第2の延出部拡径用テーパ面は、前記切欠穴の前記最狭部において、前記開口部側に面し且つ管の挿入方向に向かって拡径する形状に形成されることを要件とする。
【0053】
これによれば、管の挿入方向への押動により、当該テーパ面と、これと対応してロック部材の突起部に設けられる当接部とを当接させて、延出部を拡径することが可能となる。
【0054】
また、前記当接補助テーパ面は、前記切欠穴における管の挿入方向に向かって周方向の幅が徐々に狭くなる形状を規定する二つの辺部において、該切欠穴側から該辺に直交する方向に向かって拡径する形状に形成されることを要件とする。
【0055】
これによれば、管の周方向への回動により、当該テーパ面と、これと対応してロック部材の突起部に設けられる当接部とを当接させて、延出部を拡径することが可能となる。
【0056】
また、前記切欠穴には、前記管の挿入方向に向かって周方向の幅が徐々に狭くなる形状を規定する辺と、前記逃げ溝部の前記開口部と逆側の端部から周方向に、もしくは周方向に対して所定角度の方向に延びる辺とによって、軸方向の幅が規定される周方向溝部が設けられ、前記周方向溝部の入口部の幅は、前記突起部が設けられる延出部が拡径されなければ、該突起部が進入できない長さに形成されることを要件とする。
【0057】
これによれば、管を回動させない限り、突起部が周方向溝部に進入できないため、ロック解除用テーパ面と、対応する当接部とが不用意に当接することを防止できる。
【0058】
また、前記ロック解除用テーパ面は、前記突起部の前記開口部側の端部において、前記開口部側に面し且つ管の挿入方向に向かって縮径する形状に形成されることを要件とする。
【0059】
これによれば、管の抜脱方向への引動により、当該テーパ面と、これと対応してスリーブの切欠穴に設けられる当接部とを当接させて、延出部を拡径することが可能となる。
【0060】
また、前記ロック解除用テーパ面は、前記第1の延出部拡径用テーパ面を兼用することを要件とする。
【0061】
これによれば、構造の簡素化および製造コストの低減を図ることができる。
【0062】
また、前記第2の延出部拡径用テーパ面は、前記突起部の前記開口部と逆側の端部において、前記開口部と逆側に面し且つ管の抜脱方向に向かって縮径する形状に形成されることを要件とする。
【0063】
これによれば、管の挿入方向への押動により、当該テーパ面と、これと対応してスリーブの切欠穴に設けられる当接部とを当接させて、延出部を拡径することが可能となる。
【0064】
また、前記延出部縮径用テーパ面は、前記ロック部材の延出部の外周において、前記開口部側に面し且つ管の挿入方向に向かって拡径する形状に形成されることを要件とする。
【0065】
これによれば、管の抜脱方向への引動により、当該テーパ面と、これと対応してスリーブの切欠穴に設けられる当接部とを当接させて、延出部を縮径することが可能となる。
【0066】
また、前記延出部縮径用テーパ面は、前記スリーブの内周において、前記開口部と逆側に面し且つ管の抜脱方向に向かって縮径する形状に形成されることを要件とする。
【0067】
これによれば、管の抜脱方向への引動により、当該テーパ面と、これと対応してロック部材の延出部の外周に設けられる当接部とを当接させて、延出部を縮径することが可能となる。
【0068】
また、前記本体の前記開口部に、該本体および挿入される管に隙間なく密着するパッキンが設けられることを要件とする。
【0069】
これによれば、パッキンが本体および管に隙間なく密着することにより、通過させる流体が漏れないようにシールを行うことが可能となる。
【0070】
特に、前記本体、前記スリーブ、前記ロック部材は樹脂からなり、前記プレスツメはステンレス鋼からなることが好適である。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、片手で操作するのみで容易に管の着脱が可能な管継手が提供される。また、当該管継手において管を保持する圧接力をより一層高く設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る管継手1の例を示す概略図である。図2は、その管継手1の本体2の構成を示す概略図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は正面断面図である。図3は、その管継手1のスリーブ3の構成を示す概略図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は正面断面図、図3(c)は側面断面図である。図4は、その管継手1のロック部材4の構成を示す概略図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は正面図、図4(c)は側面断面図である。図5は、そのスリーブ3の切欠穴10の拡大図である。図6は、その管継手1の着脱方法を説明するための説明図である。
また、図7は、本発明の第二の実施形態に係る管継手1のスリーブ3の構成を示す概略図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は正面断面図、図7(c)は側面断面図である。図8は、そのスリーブ3の切欠穴10の拡大図である。
また、図9は、本発明の第三の実施形態に係る管継手1の例を示す概略図である。図10は、その管継手1のスリーブ3の構成を示す概略図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は正面断面図、図10(c)は側面断面図である。図11は、そのスリーブ3の切欠穴10の拡大図である。図12、図13は、その管継手1の着脱方法を説明するための説明図である。
また、図14は、本発明の第四の実施形態に係る管継手1の例を示す概略図である。図15は、その管継手1の本体2の構成を示す概略図であり、図15(a)は平面図、図15(b)は正面断面図である。図16は、その管継手1のスリーブ3の構成を示す概略図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は正面断面図、図16(c)は側面断面図である。図17は、その管継手1のロック部材4の構成を示す概略図であり、図17(a)は平面図、図17(b)は正面図、図17(c)は側面断面図である。図18は、そのスリーブ3の切欠穴50の拡大図である。図19、図20は、その管継手1の着脱方法を説明するための説明図である。なお、各図共通で、管の挿入方向を矢印A、管の抜脱方向を矢印Bで表す。
【0073】
(第一の実施形態)
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る管継手1は、筒状に形成され、一端側の開口部21から軸方向に管80が挿入される本体2を備える。本体2の他端23は、接続用ネジ部28によって、外部流体機器(不図示)の流体が出入する接続孔に接続される。
【0074】
また、本体2には、軸方向が本体2の軸方向と一致するようにして筒状のスリーブ3(図3参照)が内嵌されて固定される。
さらに、スリーブ3には、環状のリング部5および当該リング部5から軸方向に延出する複数の延出部6を有するロック部材4(図4参照)が内嵌される。このとき、ロック部材4は、リング部5の軸方向と前記スリーブ3の軸方向とが一致するように構成されると共に、スリーブ3内を軸方向に移動可能および周方向に回動可能なように構成される。
なお、符号22は、開口部21に設けられるゴム製のパッキンであり、本体2および挿入される管80に隙間なく密着することにより、通過させる流体が漏れないようにシールを行う。
【0075】
本体2の構成を図2(図2(a)は平面図、図2(b)は正面断面図)に示す。一例として、本体2は熱安定性や寸法精度、電気特性に優れるPBT(ポリブチレンテレフタレート)を用いて構成される。
なお、符号29は、本体2に内嵌されるスリーブ3が周方向に回動することを防止する回り止めであって、スリーブ3に設けられる回り止め62と嵌合される。
【0076】
図3にスリーブ3の構成を示す(図3(a)は平面図、図3(b)は正面断面図、図3(c)は側面断面図)。
スリーブ3は、筒状の壁部を貫通する、すなわち外周3aと内周3bとの間を貫通する切欠穴10が設けられる。本実施の形態では、切欠穴10は軸対象に二箇所設けられる。この切欠穴10には、ロック部材4の突起部7(後述)が係合される。
なお、符号62は、本体2内でスリーブ3が周方向に回動することを防止する回り止めである。
一例として、スリーブ3は、POM(ポリアセタール)等の樹脂材料を用いて形成される。
【0077】
ここで、切欠穴10は、図5の拡大図に示すように、軸方向における先端部11(本体2の開口部21側とは逆側の端部)は、辺16aと16bとによって、管の挿入方向(矢印A)に向かって周方向の幅L1が徐々に狭くなるように形成される。なお、先端部11における周方向の幅が最も狭い箇所を最狭部13と呼ぶ。
一方、切欠穴10の軸方向における後端部12(本体2の開口部21側の端部)には、前記最狭部13に対して軸方向において対向する位置に、ロック部材4の突起部7が軸方向に進入可能な周方向幅L2を有する逃げ溝部14が設けられる。
また、逃げ溝部14の先端部15(本体2の開口部21側とは逆側の端部)の両角部からそれぞれ周方向に延びる辺17a、17bと、前記辺16a、16bとによって、軸方向の幅L3が規定される周方向溝部18a、18bが設けられる。なお、符号19a、19bは、それぞれ周方向溝部18a、18bの入口である。
ただし、辺17a、17bは周方向に対して所定角度(0°〜45°程度)傾斜させても後述の作用効果を生じさせることができる。
【0078】
図4にロック部材4の構成を示す(図4(a)は平面図、図4(b)は正面図、図4(c)は側面断面図)。
本実施の形態では、延出部6はリング部5の軸を対称に二箇所設けられる。なお、延出部6の個数は二箇所でなくてもよいが、二箇所の場合には、金型パーティングラインが2つ割りとなることによって、生産性の向上が図られる。
本実施の形態では、延出部6は、円筒体を(スリットにより)2つ割りにした半円筒状の形態をなし、リング部5への接続部には、周方向に伸びる切欠が形成され、これにより両延出部6は、両外方へ弾力をもって屈曲可能となっている。
各延出部6の内周4dには、径方向の内方に向かって立設されるプレスツメ8が設けられる。このとき、軸中心に対向するプレスツメ8同士の間の距離D1は、挿入される管80に圧接させることが可能なように、管80の外径よりも小さく構成される。例えば、鋸刃状に形成することにより食い込み力、摩擦力をより高めることができる。
また、ロック部材4には、延出部6において径方向の外方に向かって立設される突起部7が設けられる。各突起部7は、対応する位置の前記切欠穴10内に進入し、当該切欠穴10内を移動可能な状態となっている。
なお、一例として、ロック部材4は、可撓性を有する樹脂材料からなり、プレスツメ8はステンレス鋼からなる。なお、当該樹脂材料としては、POM(ポリアセタール)が強度、弾性率、耐衝撃性、摺動特性に優れており好適である。
【0079】
ここで、突起部7における径方向の内側部位には、図4に示すように、軸方向に平行な溝状のガイド溝71を備える。作用効果の詳細については後述する。
【0080】
また、管継手1には、ロック部材4を管の抜脱方向(矢印B)に向かって付勢する付勢部材9(第1の付勢部材)が設けられる。本実施の形態においては、付勢部材9は、ロック部材4と一体に形成される構成を備え、より具体的には、リング部5から管の挿入方向(矢印A)に向かって螺旋状に延出する形状であって、リング部5の軸に対して軸対称に二箇所設けられる(図4参照)。もちろん、ロック部材4と別体に形成してもよく、コイル状等のように上記以外の形状であってもよい。
なお、各付勢部材9は、各延出部6に対応させてその下方から延出するように形成される構成を備える。これにより、管80をロック部材4に挿入したとき、当該ロック部材4が挿入方向に押動されて、付勢部材9の先端部と対応する本体2の当接部24とが当接・摺動して、リング部5が折れ曲がることによって対向する延出部6間が拡径される作用が生じる(図6(a)、(b)等参照)。
【0081】
続いて、本実施の形態に係る管継手1に特徴的な構成である各テーパ面(テーパ形状に形成される作用面)について説明する。
【0082】
まず、スリーブ3に延出部拡径用テーパ面31が設けられ、これに対応する当接部として、延出部拡径用テーパ面41がロック部材4に設けられる(図3〜5参照)。
より詳しくは、延出部拡径用テーパ面31は、切欠穴10の最狭部13において、その作用面が開口部21側に面して且つ管の挿入方向に向かって拡径する形状に形成される(図3(c)参照)。また、延出部拡径用テーパ面41は、突起部7の開口部21と逆側の端部において、その作用面が開口部21と逆側に面して且つ管の抜脱方向に向かって縮径する形状に形成される(図4(b)参照)。
【0083】
その作用として、管80を挿入したとき、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80の先端部によって挿入方向に押動されることにより、延出部拡径用テーパ面31と、該テーパ面に対応する当接部すなわち延出部拡径用テーパ面41とが当接して摺動する。このとき、延出部拡径用テーパ面41が延出部拡径用テーパ面31から受ける力(径方向の外方へ引かれる力)の作用によって、延出部拡径用テーパ面41が設けられている突起部7すなわち延出部6の開口部21側の端部が径方向の外方に向かって変位する。その結果、対向する延出部6同士の間、特に、管80の外径よりも小さく構成されている対向するプレスツメ8同士の間が拡径されて、管80の外径よりも大きく拡げられるため、管80が対向する延出部6の間(特に、対向するプレスツメ8同士の間)の空間部4cに進入することが可能となる(図6(b)参照)。なお、厳密には、管80がプレスツメ8に摺接しながら進入することとなる。
【0084】
なお、本実施の形態においては、延出部拡径用テーパ面31および延出部拡径用テーパ面41の双方をテーパ形状面に形成しているが、これに代えて、いずれか一方のみをテーパ形状面に形成し、対応する当接部となる他方を当該テーパ形状面に対して当接・摺動が可能な形状(テーパ形状以外)に形成することによって、必ずしも双方がテーパ形状面でなくても同様の作用を生じさせることが可能である。
【0085】
次に、スリーブ3に延出部縮径用テーパ面32が設けられ、これに対応する当接部として、延出部縮径用テーパ面42がロック部材4に設けられる(図3〜5参照)。
より詳しくは、延出部縮径用テーパ面32は、スリーブ3の内周3bにおいて、開口部21と逆側に面して且つ管の抜脱方向に向かって縮径する形状に形成される。また、延出部縮径用テーパ面42は、ロック部材4(ここでは延出部6)の外周4aにおいて、開口部21側に面して且つ管の挿入方向に向かって拡径する形状に形成される。
【0086】
その作用として、ロック部材4内に挿入されてロックされている管80を回動させずに抜脱方向に引動したとき(回動させる場合については後述)、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80と共に抜脱方向に引動されることにより、延出部縮径用テーパ面32と、該テーパ面に対応する当接部すなわち延出部縮径用テーパ面42とが当接して摺動する。このとき、延出部縮径用テーパ面42が延出部縮径用テーパ面32から受ける力(径方向の内方へ押される力)の作用によって、延出部縮径用テーパ面42が設けられている延出部6の開口部21側の端部が径方向の内方に向かって変位する。その結果、対向する延出部6同士の間、特に、管80の外径よりも小さく構成されている対向するプレスツメ8同士の間が縮径されて、当該プレスツメ8がより一層管80の外周に食い込むこととなる。すなわち、管80を抜脱方向に引動する力が大きければ大きいほど、プレスツメ8同士の間が一層縮径されることなり、プレスツメ8が管80の外周に食い込む力すなわち管80とプレスツメ8との圧接力が一層大きくなるため、前記引動力が大きくなっても管80の抜脱を防止することが可能となる。ちなみに、図6(c)がロックされている状態の図である。
【0087】
なお、本実施の形態においては、延出部縮径用テーパ面32および延出部縮径用テーパ面42の双方をテーパ形状面に形成しているが、これに代えて、いずれか一方のみをテーパ形状面に形成し、対応する当接部となる他方を当該テーパ形状面に対して当接・摺動が可能な形状(テーパ形状以外)に形成することによって、必ずしも双方がテーパ形状面でなくても同様の作用を生じさせることが可能である。
【0088】
次に、スリーブ3にロック解除用テーパ面33が設けられ、これに対応する当接部として、ロック解除用テーパ面43がロック部材4に設けられる(図3〜5参照)。
より詳しくは、ロック解除用テーパ面33は、切欠穴10の周方向溝部18a、18bの辺17a、17b部において、その作用面が開口部21と逆側に面して且つ管の抜脱方向に向かって拡径する形状に形成される。また、ロック解除用テーパ面43は、突起部7の開口部21側の端部において、その作用面が開口部21側に面して且つ管の挿入方向に向かって縮径する形状に形成される。
【0089】
その作用として、ロック部材4内に挿入されてロックされている管80を回動させ、当該回動させた周方向位置において抜脱方向に引動したとき(回動させない場合については前述)、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80と共に抜脱方向に引動されることにより、ロック解除用テーパ面33と、該テーパ面に対応する当接部すなわちロック解除用テーパ面43とが当接して摺動する。このとき、ロック解除用テーパ面43がロック解除用テーパ面33から受ける力(径方向の外方へ引かれる力)の作用によって、ロック解除用テーパ面43が設けられている延出部6の開口部21側の端部が径方向の外方に向かって変位する。その結果、対向する延出部6同士の間、特に、管80の外径よりも小さく構成されている対向するプレスツメ8同士の間が拡径されて、管80の外径よりも大きく拡げられるため、プレスツメ8による管の圧接が解除されて、管80を抜脱させることが可能となる(図6(f)参照)。なお、厳密には、当該圧接力がプレスツメ8と管80の外周との摩擦力を下回った状態となったときに、管80がプレスツメ8に摺接しながら抜脱されることとなる。
【0090】
なお、本実施の形態においては、ロック解除用テーパ面33およびロック解除用テーパ面43の双方をテーパ形状面に形成しているが、これに代えて、いずれか一方のみをテーパ形状面に形成し、対応する当接部となる他方を当該テーパ形状面に対して当接・摺動が可能な形状(テーパ形状以外)に形成することによって、必ずしも双方がテーパ形状面でなくても同様の作用を生じさせることが可能である。
【0091】
ここで、図3〜5に示すように、本実施の形態においては、ロック解除用テーパ面33が設けられる周方向溝部18a、18bの入口部19a、19bの幅L3が、ロック解除用テーパ面43が設けられる突起部7を外周に備える延出部6同士の間隔が拡径されなければ、当該突起部7が進入できない長さに形成されている。その結果、ロック解除用テーパ面33とロック解除用テーパ面43とが不用意に当接することを防止でき、誤って管80のロックが解除されることを防止できる。
【0092】
また、それに伴い、スリーブ3に当接補助テーパ面34が設けられ、これに対応する当接部として、当接補助テーパ面44がロック部材4に設けられて、挿入された管80を回動させたとき、当接補助テーパ面34と当接補助テーパ面44とが当接・摺動して、対向する延出部6同士の間隔が拡径されることによって、突起部7が周方向溝部18a(もしくは18b)に進入可能となり、その結果、ロック解除用テーパ面33とロック解除用テーパ面43との当接が可能となるように構成されている。
【0093】
より詳しくは、当接補助テーパ面34は、スリーブ3の切欠穴10の周方向溝部18a、18bの辺16a、16bそれぞれにおいて、その作用面が開口部21側に面して且つ切欠穴10の内方から当該辺16a、16bに直交する方向に向かって拡径する形状に形成される。なお、当接補助テーパ面44は、本実施の形態においては、構造の簡素化のため、延出部拡径用テーパ面41が当接補助テーパ面44を兼ねる構成としている。
その作用として、ロック部材4内に挿入されてロックされている管80を回動させたとき、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80と共に回動されて、当接補助テーパ面34と、該テーパ面に対応する当接部すなわち当接補助テーパ面44とが当接して摺動する。このとき、当接補助テーパ面44が当接補助テーパ面34から受ける力(径方向の外方へ引かれる力)の作用によって、当接補助テーパ面44が設けられている突起部7すなわち延出部6の開口部21側の端部が径方向の外方に向かって変位する。その結果、対向する延出部6同士の間が拡径されて、それにつれて、入口部19a(もしくは19bのいずれか一方)と接している箇所における突起部7の軸方向の長さL4が減少することとなる(これは、当該L4は上下の傾斜面つまりロック解除用テーパ面43と当接補助テーパ面44とで挟まれる長さのためである)。その結果、入口部19a(もしくは19b)の長さL3に対して、L3≧L4となるため、突起部7が周方向溝部18a(もしくは18b)に入り込むことが可能となる(図6(e)参照)。
【0094】
なお、本実施の形態においては、当接補助テーパ面34および当接補助テーパ面44の双方をテーパ形状面に形成しているが、これに代えて、いずれか一方のみをテーパ形状面に形成し、対応する当接部となる他方を当該テーパ形状面に対して当接・摺動が可能な形状(テーパ形状以外)に形成することによって、必ずしも双方がテーパ形状面でなくても同様の作用を生じさせることが可能である。
【0095】
次に、ロック部材4に延出部拡径用テーパ面48が設けられる(図4参照)。より詳しくは、延出部拡径用テーパ面48は、突起部7の開口部21側の端部において、挿入される管80の先端部に当接可能となるように径方向位置を合わせて、その作用面が開口部21側に面して且つ管の挿入方向に向かって縮径する形状に形成される。
なお、延出部拡径用テーパ面48は、本実施の形態においては、構造の簡素化のため、ロック解除用テーパ面43が延出部拡径用テーパ面48を兼ねる構成としている。
【0096】
その作用として、管80を挿入したとき、管80の先端部と、延出部拡径用テーパ面48とが当接して摺動する。このとき、延出部拡径用テーパ面48が管80の先端部から受ける力(径方向の外方へ押し出される力)の作用によって、延出部拡径用テーパ面48が設けられている突起部7すなわち延出部6の開口部21側の端部が径方向の外方に向かって変位する(なお、管80の先端部と、延出部拡径用テーパ面48との当接・摺動が完了すると、管80の中間外周部と、延出部拡径用テーパ面48との当接・摺動に移行する)。
その結果、対向する延出部6同士の間、特に、管80の外径よりも小さく構成されている対向するプレスツメ8同士の間が拡径されて、管80の外径よりも大きく拡げられるため、管80が対向する延出部6の間(特に、対向するプレスツメ8同士の間)の空間部4cに進入することが可能となる(図19(b)参照)。なお、厳密には、管80がプレスツメ8に摺接しながら進入することとなる。
【0097】
ちなみに、管80を挿入する際に延出部6の拡径作用を生じさせる上記各構成については、全てを採用してもよく、あるいはその中の一部を採用してもよい。
【0098】
以上のように、スリーブ3(特に、切欠穴10)には、様々なテーパ形状を有する各テーパ面が設けられる。つまり、スリーブ3および切欠穴10を設け、そこに各テーパ面を集約することによって、微細で複雑な当該各テーパ面を高精度且つ容易に形成することが可能となるのである。
ここで、仮に、当該各テーパ面をスリーブ3ではなく、本体2に設けるとすると、本体2の製造・加工あるいはそのための金型の製作が不可能もしくは極めて複雑、困難となってしまう。本実施形態(図1参照)のように、本体2の端部に接続用ネジ部28が一体で形成される場合には、なおさらである。
しかし、本実施形態によれば、スリーブ3を設けることによって、複雑な切欠穴10形状および当該各テーパ面を形成することが可能となり、しかも容易且つ低コストに実現することが可能となるため、製造面、特に実現可能性、量産性、製造コストの観点で極めて大きな効果が奏される。
【0099】
続いて、図6を用いて、管継手1に管80を取り付ける際の操作、および管継手1の動作の一例について説明する。
管80を取り付ける(挿入する)前の段階では、管継手1は、図1に示すように、ロック部材4が付勢部材9の付勢力で開口部21側に向かって付勢されて静止している。
【0100】
この図1の状態で、作業者は、管80を開口部21から挿入する(図6(a)参照)。このとき、管80の先端部と、延出部拡径用テーパ面48とが当接して摺動することによって、もしくは、管80の先端部が、延出部6に設けられたプレスツメ8の開口部21側上面に当接することによって、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80によって挿入方向に押動される。これにより、ロック部材4下部に設けられた付勢部材9の先端部と本体2の当接部24とが当接し、付勢部材9が付勢力を発生させるが、当該付勢力に抗して、さらに管80を押し込むと、付勢部材9の先端部と当接部24とが摺動して、リング部5が折れ曲がることによって対向する延出部6間(プレスツメ8間)が拡径される。これと同時に、スリーブ3内をロック部材4が押動されると、突起部7の先端部(延出部拡径用テーパ面41の先端部)が切欠穴10の傾斜辺16aもしくは16bに当接して、最狭部13へと案内される。それにより、突起部7に設けられる延出部拡径用テーパ面41と最狭部13に設けられる延出部拡径用テーパ面31とが必ず当接させることができ、前述の通り、対向する延出部6間(プレスツメ8間)が拡径される。したがって、空間部4cに管80が進入可能となる(図6(b)参照)。
なお、ロック部材4のリング部5には、管の進入量を規制するストッパ5a、5bが設けられているため、ロック部材4の内部において所定量以上に管80が進入することはない。
ちなみに、上記の動作中において、管80の先端部が当接する箇所は、延出部6間(プレスツメ8間)の拡径が進むにつれて、延出部拡径用テーパ面48もしくはプレスツメ8の開口部21側上面から、ストッパ5a、5bへと移行する。図6(a)は管80の先端部がストッパ5a、5bを押動している状態である。
【0101】
ここで、先願に係る特許文献2に記載された管継手100においては、管の挿入方法は延出部先端部に設けたテーパを管の先端部で押し広げる方法であった。
これと比較して、本実施形態においては、そのような従来方法を補助的に併用することを可能としつつ(延出部拡径用テーパ面48による作用を指す)、スリーブ3とロック部材4とを備えて、管80による押動力を延出部拡径用テーパ面31および41並びに付勢部材9に作用させて、対向する延出部6間を拡径して挿入を行う方法である。
通常、延出部6と管80との圧接力は、延出部6の強度によって定まるものであるが、先願の管継手100では、当該強度は管の径方向の強度により設定されるのに対し、本願の管継手1では、当該強度は管の軸方向の強度により設定される。一般的に、管状部材の径方向強度は中空部の圧縮となり相対的に弱く、また、管状部材の軸方向強度は中実部の圧縮となり相対的に強く、加えて本願ではロック部材4により管80の外周が覆われて外方への座屈状態が抑えられるため、より一層強度が増すこととなる。その結果、本願の管継手1において、先願の管継手100と比較して、圧接力をより一層高く設定することが可能となる。確実な管の接続が可能となり、高圧流体用としても好適である。
【0102】
作業者が、管80の挿入を停止することによって、自動的にロックが完了する。より詳しくは、強制的に拡径されている状態の延出部6が元に戻ろうとする復元力が生じるためである。また、そのためには、31と41との当接が解除される必要があるが、当該解除は前記復元力が面31と面41とを管80の挿入時と逆方向に摺動を生じさせることによって行われ、また、付勢部材9がロック部材4をスリーブ3内において抜脱方向へ付勢する力を生じさせることによって、その作用を補助している。
このとき、付勢部材9への押動力がなくなるため、リング部材5の折れ曲がりが元に戻ろうとする復元力も加わる。
【0103】
前述の通り、管80の挿入停止時点においては、突起部7は切欠穴10の傾斜辺16aもしくは16bに案内されることにより、周方向位置が最狭部13と一致して静止する。したがって、管80の挿入力を解除すると、付勢部材9がロック部材4を抜脱方向へ押動するため、突起部7は、最狭部13と周方向位置を変えずに抜脱方向へ移動して、逃げ溝部14に進入した状態で静止する。ちなみに、その移動をスムーズにするため、逃げ溝部14の先端部15は角取加工されている。
この状態では、突起部7が周方向に回動不可能であって、周方向溝部18a、18bへの進入も不可能であるため、ロック解除の動作に移行することがなく、意に反して管のロックが解除されてしまうことが防止できる(図6(c)参照)。
【0104】
ここで、先願に係る特許文献2に記載された管継手100においては、管のロック方法は管Pを挿入した後で、逆方向(抜脱方向)に管Pを引く動作を行ってロックさせる方法であった(特許文献2、段落番号0040 参照)。
これと比較して、本願の管継手1においては、管80の挿入を停止するだけで自動的にロックが可能となるため、より一層簡易な管の取付方法が実現する。なお、前述の通り、主として、拡径された延出部6の復元力によって管80のロックは完了するが、さらに、付勢部材9によってロック部材4が抜脱方向に移動されて、延出部縮径用テーパ面31と41とが密着するため、ロックがより一層確実なものとなる。
【0105】
このロック状態(図6(c)参照)においては、管80が抜脱方向に引かれても、前述の通り、ロックが解除されることはない。特に、本実施形態においては、スリーブ3とロック部材4とを備えて、管80による引動力を延出部縮径用テーパ面32および42に作用させて、対向する延出部6間が縮径されるため、引動力が強いほど、対向する延出部6間が縮径して、プレスツメ8が管80に強く食い込むため、確実に管80がロックされる。
【0106】
ちなみに、管80がロックされた状態においては、パッキン22の内周と管80の外周とが隙間無く密着し、パッキン22の外周と本体2の内周とが隙間無く密着するため、通過流体が外部に漏出することが防止される。
【0107】
続いて、管継手1から管80を取り外す操作、および管継手1の動作の一例について説明する。
図6(c)のロック状態から管80を取り外す際には、作業者はまず管80を挿入方向に押す(図6(d)参照)。すると、ロック部材4はスリーブ3内の奥方(開口部21側と逆側)に押動される。これに伴い、突起部7の先端部(延出部拡径用テーパ面41の先端部)が切欠穴10の傾斜辺16aもしくは16bに当接して、最狭部13へと案内される。このように、管80を一旦、押動するのは、突起部7を、その回動を制限する逃げ溝部14から外方(先端部15よりも最狭部13寄りの位置)へ移動させるためである。
【0108】
この状態で、作業者は、管80を、管80の軸線(継手本体2の軸線)を中心に若干回動させる(回動方向は左右いずれでも構わない)。プレスツメ8は管80に食い込んでおり、その周方向の摩擦力によって、ロック部材4は、管80と共に本体2に固定されたスリーブ3内において周方向に回動される。
その結果、ロック部材4に設けられた突起部7の先端部すなわち当接補助テーパ面44(本実施形態では延出部拡径用テーパ面41と兼用)が、スリーブ3の切欠穴10に設けられた傾斜辺16a(もしくは16b)部の当接補助テーパ面34に当接して、前述の通り、対向する延出部6間が拡径される(図6(e)参照)。
【0109】
その状態から、さらに同方向に回動を行うと、前述の通り、突起部7が周方向溝部18a(もしくは18b)に進入する。
【0110】
この状態で、作業者が管80を抜脱方向に引くと、ロック状態にあるロック部材4は管80に伴って開口部21側に移動する。このとき、突起部7の後端部(開口部21側の端部)が切欠穴10の辺17aもしくは17bに当接し、それによって、突起部7に設けられるロック解除用テーパ面43と辺17a、17bに設けられるロック解除用テーパ面33とが当接および摺動して、前述の通り、対向する延出部6間(プレスツメ8間)が拡径される。
その結果、対向するプレスツメ8間が管80の外径よりも大きく拡げられたところでプレスツメ8による管の圧接が解除されて、管80のみが抜脱される(図6(f)参照)。
【0111】
このように、本実施例に係る管継手1によれば、作業者は、管80を、挿入方向に押した後、若干回動させ、抜脱方向に引くだけで、管80を管継手1から取り外すことができる。また、これらの操作は片手のみで行うことができる。
【0112】
なお、管80の抜脱完了後に、作業者が管80の抜脱動作を停止すると、強制的に拡径されている状態の延出部6が元に戻ろうとする復元力が生じる。当該復元力は、ロック解除用テーパ面33とロック解除用テーパ面43とを管80の抜脱時と逆方向に摺動を生じさせる。これにより、ロック部材4は、管80の挿入方向に移動して再び図1の位置に復帰する。
【0113】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る管継手1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であって、スリーブ3の形状が一部相違する。
【0114】
図7に第二の実施形態に係るスリーブ3の構成を示す(図7(a)は平面図、図7(b)は正面断面図、図7(c)は側面断面図)。前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、相違点として、本実施形態に係るスリーブ3は、同図のように、切欠穴10先端部における最狭部13位置に、ロック部材4の突起部7がスリーブ3の外部から切欠穴10の内部へ軸方向に進入可能な周方向幅L8を有するスリット部60が設けられる。
なお、本実施形態においては、最狭部13にスリット部60が設けられるため、前記第一の実施形態における延出部拡径用テーパ面31は設けない構成となる。
【0115】
ここで、切欠穴10のスリット部60は、図8の拡大図に示すように、軸方向における先端部11(本体2の開口部21側とは逆側の端部)が、周方向幅L8(軸方向に平行な辺61a、62bにより規定される)で、本体2の開口部21側とは逆側方向に向かって開口するように形成される。このとき、ロック部材4の突起部7の周方向幅L9(図4参照)に対して、L8>L9となるように形成する。
なお、辺61a、62bは軸方向に平行である場合に限定されないが、少なくとも突起部7がスリット部60を軸方向に通過できる幅が確保される必要がある。
【0116】
上記構成を備える本発明の第二の実施形態に係る管継手1は、前述の第一の実施形態と同様の作用効果を奏することに加えて、スリット部60を有することにより、ロック部材4の突起部7を、スリーブ3の切欠穴10に容易に進入させることが可能となる。その結果、スリーブ3とロック部材4との組立作業が非常に容易となり、生産ラインの自動化を図る上で、顕著な効果を奏するものである。
【0117】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態に係る管継手1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であって、スリーブ3の形状が一部相違する。なお、本実施形態(第三の実施形態)に係る管継手1の例を図9に示す。
【0118】
図10に第三の実施形態に係るスリーブ3の構成を示す(図11(a)は平面図、図11(b)は正面断面図、図11(c)は側面断面図)。前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、相違点として、本実施形態に係るスリーブ3は、同図のように、付勢部材63(本実施形態に係る第二の付勢部材)が設けられる。図12はスリーブ3の正面図(拡大図)である。
なお、本実施形態(第三の実施形態)においては、前記第二の実施形態と同様にスリット部60を設ける構成としているが、スリット部60を設けずに、前記第一の実施形態と同様に最狭部13に延出部拡径用テーパ面31を設ける構成としてもよい。以下、スリット部60を備える構成を例として説明を行う。
【0119】
本実施形態に係る付勢部材63は、図11、図12のように、スリーブ3と一体に、各逃げ溝部14における開口部21側の端部から軸方向に且つ切欠穴10内に突出する形状であって、周方向の撓み変形が可能なクサビ状部を備える形状に形成される。したがって、本実施形態では、付勢部材63は軸対称に二箇所設けられる。
一方、前述の通り、ロック部材4の各突起部7には、該突起部7における径方向の内側に、軸方向に平行な溝状のガイド溝71が軸対称に二箇所設けられている。
ここで、クサビ状部(付勢部材63)はガイド溝71に対して嵌合可能および通過可能(軸方向に移動可能)であって(図9、図12等参照)、当該嵌合によって、ロック部材4がスリーブ3に対して周方向の所定位置に位置決めされる。
【0120】
したがって、本実施形態に係る管継手1は、前述の第一の実施形態と同様の作用効果を奏することに加えて、上記構成によって、スリーブ3とロック部材4との組立作業を行う際に、ロック部材4の突起部7のガイド溝71内に、クサビ状の付勢部材63の先端部が進入し、さらに、付勢部材63がガイド溝71に進入して嵌合した状態で、軸方向に通過(進入)することで、突起部7をスリーブ3の切欠穴10内の周方向の所定位置に位置決めすることができ、いわゆる組立ガイドとしての作用効果が得られる。
また、管継手として使用される際に、付勢部材63がガイド溝71内に嵌合可能および通過可能であることによって、突起部7を切欠穴10内の逃げ溝部に誘導するガイド作用が得られる。すなわち、ロック部材4に固定された管80に回動力が作用しない場合あるいは管80のねじれ等による微小な回動力が作用した場合であっても、ロック部材4の突起部7が周方向溝部18a、18bへ進入することが防止されるため、ロック解除の動作に移行することがなく、意に反して管のロックが解除されてしまうことが防止できる。
さらに、上記のように、ロック部材4を周方向の所定位置に位置決めすると共に、当該ロック部材4が周方向に回動した場合に該所定位置まで戻す付勢力を発生させることが可能となる。より具体的には、ロック部材4が周方向に回動すると、突起部7のガイド溝71とスリーブ3の付勢部材63とが嵌合された状態となっているため、付勢部材63が周方向に撓むようにして変形する(図13(c)参照)。この撓み変形が復元しようとする力が付勢力となって、回動したロック部材4を元の所定位置、すなわち突起部7と逃げ溝部14とが周方向で一致する位置まで戻す作用を生じさせるものである。
なお、本実施形態では付勢部材45(棒状部46、突出部47)は、可撓性を有する樹脂材料(ポリアセタール等)を用いてロック部材4と一体に形成する構成であるが、別体に形成してもよい。
【0121】
続いて、図19を用いて、管継手1に管80を取り付ける際の操作、および管継手1の動作の一例について説明する。なお、本実施形態に係る管継手1に特徴的な構成である各テーパ面(テーパ形状に形成される作用面)の作用効果については、前述の第一の実施形態と同様である。ただし、切欠穴10の最狭部13にスリット部60を設け、延出部拡径用テーパ面31を設けない場合には、当該延出部拡径用テーパ面31による作用効果が得られないことは言うまでもない。
【0122】
初めに、管80を取り付ける(挿入する)前の段階では、管継手1は、図9に示すように、ロック部材4が付勢部材9の付勢力で開口部21側に向かって付勢され、且つ付勢部材63の付勢力で周方向の所定位置に位置決めされて静止している。
なお、図9を90度異なる角度から視た場合の断面図を図13(a)に示す(管80は不図示)。当該図13(a)によって、スリーブ3の付勢部材63が突起部7のガイド溝71内に嵌合している様子がわかる。
【0123】
この図9の状態で、作業者は、管80を開口部21から挿入する(図12(a)参照)。このとき、管80の先端部と、延出部拡径用テーパ面48とが当接して摺動することによって、もしくは、管80の先端部が、延出部6に設けられたプレスツメ8の開口部21側上面に当接することによって、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80によって挿入方向に押動される。これにより、ロック部材4下部に設けられた付勢部材9の先端部と本体2の当接部24とが当接し、付勢部材9が付勢力を発生させるが、当該付勢力に抗して、さらに管80を押し込むと、付勢部材9の先端部と当接部24とが摺動して、リング部5が折れ曲がることによって対向する延出部6間(プレスツメ8間)が拡径される。したがって、空間部4cに管80が進入可能となる(図12(b)参照)。
なお、ロック部材4のリング部5には、管の進入量を規制するストッパ5a、5bが設けられているため、ロック部材4の内部において所定量以上に管80が進入することはない。
ちなみに、上記の動作中において、管80の先端部が当接する箇所は、延出部6間(プレスツメ8間)の拡径が進むにつれて、延出部拡径用テーパ面48もしくはプレスツメ8の開口部21側上面から、ストッパ5a、5bへと移行する。なお、図12(a)は管80の先端部が延出部拡径用テーパ面48に当接した状態である。
【0124】
図12(b)を90度異なる角度から視た場合の断面図を図13(b)に示す(管80は不図示)。当該図13(b)によって、突起部7(ガイド溝71)がスリーブ3の付勢部材63に案内され、移動した様子がわかる。
【0125】
ここで、先願に係る特許文献2に記載された管継手100においては、管の挿入方法は延出部先端部に設けたテーパを管の先端部で押し広げる方法であった。
これと比較して、本実施形態においては、そのような従来方法を補助的に併用することを可能としつつ(延出部拡径用テーパ面48による作用を指す)、ロック部材4を備えて、管80による押動力を付勢部材9に作用させて、対向する延出部6間を拡径して挿入を行う方法である。
通常、延出部6と管80との圧接力は、延出部6の強度によって定まるものであるが、先願の管継手100では、当該強度は管の径方向の強度により設定されるのに対し、本願の管継手1では、当該強度は管の軸方向の強度により設定される。一般的に、管状部材の径方向強度は中空部の圧縮となり相対的に弱く、また、管状部材の軸方向強度は中実部の圧縮となり相対的に強く、加えて本願ではロック部材4により管80の外周が覆われて外方への座屈状態が抑えられるため、より一層強度が増すこととなる。その結果、本願の管継手1において、先願の管継手100と比較して、圧接力をより一層高く設定することが可能となる。確実な管の接続が可能となり、高圧流体用としても好適である。
【0126】
作業者が、管80の挿入を停止することによって、自動的にロックが完了する。より詳しくは、強制的に拡径されている状態の延出部6が元に戻ろうとする復元力が生じるためである。このとき、付勢部材9への押動力がなくなるため、リング部材5の折れ曲がりが元に戻ろうとする復元力も加わる。
【0127】
管80の挿入停止時点においては、突起部7は付勢部材63(第2の付勢部材)の付勢力によって周方向の所定位置に位置決めされて静止する。したがって、管80の挿入力を解除すると、付勢部材9(第1の付勢部材)がロック部材4を抜脱方向へ押動するため、突起部7(ガイド溝71)が、所定の周方向位置のまま付勢部材63に案内されて抜脱方向へ移動するため、当該突起部7が逃げ溝部14に進入した状態で静止する。
この状態では、突起部7が周方向に回動不可能であって、周方向溝部18a、18bへの進入も不可能であるため、ロック解除の動作に移行することがなく、意に反して管のロックが解除されてしまうことが防止できる(図12(c)参照)。
【0128】
ここで、先願に係る特許文献2に記載された管継手100においては、管のロック方法は管Pを挿入した後で、逆方向(抜脱方向)に管Pを引く動作を行ってロックさせる方法であった(特許文献2、段落番号0040 参照)。
これと比較して、本願の管継手1においては、管80の挿入を停止するだけで自動的にロックが可能となるため、より一層簡易な管の取付方法が実現する。なお、前述の通り、主として、拡径された延出部6の復元力によって管80のロックは完了するが、さらに、付勢部材9によってロック部材4が抜脱方向に移動されて、延出部縮径用テーパ面32と42とが密着するため、ロックがより一層確実なものとなる。
【0129】
このロック状態(図12(c)参照)においては、管80が抜脱方向に引かれても、前述の通り、ロックが解除されることはない。特に、本実施形態においては、スリーブ3とロック部材4とを備えて、管80による引動力を延出部縮径用テーパ面32および42に作用させて、対向する延出部6間が縮径されるため、引動力が強いほど、対向する延出部6間が縮径して、プレスツメ8が管80に強く食い込むため、確実に管80がロックされる。
【0130】
ちなみに、管80がロックされた状態においては、パッキン22の内周と管80の外周とが隙間無く密着し、パッキン22の外周と本体2の内周とが隙間無く密着するため、通過流体が外部に漏出することが防止される。
【0131】
続いて、管継手1から管80を取り外す操作、および管継手1の動作の一例について説明する。
図12(c)のロック状態から管80を取り外す際には、作業者はまず管80を挿入方向に押す(図12(d)参照)。すると、ロック部材4はスリーブ3内の奥方(開口部21側と逆側)に押動される。これに伴い、突起部7は、付勢部材63よって案内されながら、逃げ溝部14内から出て、切欠穴10の端部側(本体2の開口部21側とは逆側の端部側)へと移動する。
これにより、それまで逃げ溝部14によって突起部7の回動が制限されていた状態が解除される。
【0132】
この状態で、作業者は、管80を、管80の軸線(継手本体2の軸線)を中心に若干回動させる(回動方向は左右いずれでも構わない)。プレスツメ8は管80に食い込んでおり、その周方向の摩擦力によって、ロック部材4は、管80と共に本体2に固定されたスリーブ3内において周方向に回動される(図12(e)参照)。
その結果、突起部7が周方向溝部18a(もしくは18b)に進入する。ちなみに、その進入をスムーズにするため、周方向溝部18a、18b(入口19a、19bの箇所)おいて、角取加工がなされている。
なお、図12(e)を90度異なる角度から視た場合の断面図を図13(c)に示す(管80は不図示)。当該図13(c)によって、ロック部材4(突起部7)が周方向に回動されることによって、付勢部材63が周方向に撓み変形している様子がわかる。
【0133】
この状態で、作業者が管80を抜脱方向に引くと、ロック状態にあるロック部材4は管80に伴って開口部21側に移動する。このとき、突起部7の後端部(開口部21側の端部)が、切欠穴10の辺17aもしくは17bに当接し、それによって、突起部7に設けられるロック解除用テーパ面43と辺17a、17bに設けられるロック解除用テーパ面33とが当接および摺動して、前述の通り、対向する延出部6間(プレスツメ8間)が拡径される。
その結果、対向するプレスツメ8間が管80の外径よりも大きく拡げられたところでプレスツメ8による管の圧接が解除されて、管80のみが抜脱される(図12(f)参照)。
【0134】
このように、本実施例に係る管継手1によれば、作業者は、管80を、挿入方向に押した後、若干回動させ、抜脱方向に引くだけで、管80を管継手1から取り外すことができる。また、これらの操作は片手のみで行うことができる。
【0135】
なお、管80の抜脱完了後に、作業者が管80の抜脱動作を停止すると、強制的に拡径されている状態の延出部6が元に戻ろうとする復元力が生じる。当該復元力は、ロック解除用テーパ面33とロック解除用テーパ面43とを管80の抜脱時と逆方向に摺動させる作用を生じさせる。
また、管80の抜脱が完了すると、ロック部材4に作用していた回動力も解除されるため、付勢部材63の付勢力によって、当該ロック部材4が周方向における所定位置まで戻される作用が生じる。
このようにして、ロック部材4は、再び図9に示すように所定位置に復帰する。
【0136】
(第四の実施形態)
図14に示すように、本発明の第四の実施形態に係る管継手1は、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であって、筒状に形成されて一端側の開口部21から軸方向に管80が挿入される本体2を備え、本体2には軸方向が本体2の軸方向と一致するようにして筒状のスリーブ3(図16参照)が内嵌されて固定され、スリーブ3には、環状のリング部5および当該リング部5から軸方向に延出する複数の延出部6を有するロック部材4(図17参照)が内嵌される。なお、当該ロック部材4は、リング部5の軸方向と前記スリーブ3の軸方向とが一致するように構成されると共に、スリーブ3内を軸方向および周方向に移動可能なように構成される点についても前述の第一の実施形態と同様である。
以下に、第一の実施形態と比較して、細部の形状が相違する本体2、スリーブ3、ロック部材4の構成について説明する。
【0137】
本体2の構成を図15(図15(a)は平面図、図15(b)は正面断面図)に示す。前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、相違点として、本実施形態に係る本体2は、軸方向に平行な溝状に形成されたガイド溝25を備える。この構成によれば、後述のようにロック部材3を周方向の所定位置に位置決めする作用を生じさせることができる。なお、変形例として、ガイド溝25をスリーブ3に設ける構成としてもよい。
ここで、符号26は、内嵌されるスリーブ3が周方向に回動することを防止する回り止め突起であって、スリーブ3に設けられる回り止め溝39と嵌合される。
【0138】
図16にスリーブ3の構成を示す(図16(a)は平面図、図16(b)は正面断面図、図16(c)は側面断面図)。前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、相違点として、本実施形態に係るスリーブ3は、筒状の壁部において、本体2の開口部21と逆側の端部に切欠穴50を備える。
本実施の形態では、切欠穴50は軸対象に二箇所設けられる。なお、切欠穴50には、ロック部材4の突起部7(後述)が係合される。
【0139】
ここで、切欠穴50は、図18の拡大図に示すように、軸方向における先端部51(本体2の開口部21側とは逆側の端部)が、周方向長さL5(軸方向に平行な辺56a、56bにより規定される)で開口するスリット部53が設けられると共に、当該スリット部53に連続するようにして、切欠穴50の軸方向における後端部52(本体2の開口部21側の端部)には、ロック部材4の突起部7が軸方向に進入可能な周方向幅L6を有する逃げ溝部54が設けられる。このとき、L6<L5となるように形成する。
また、逃げ溝部54の先端部55(本体2の開口部21側とは逆側の端部)の両角部からそれぞれ周方向に延びる辺57a、57bと、前記辺56a、56bとによって、軸方向の幅L7が規定される周方向溝部58a、58bが設けられる。ここで、符号59a、59bは、それぞれ周方向溝部58a、58bの入口である。ただし、辺57a、57bは周方向に対して所定角度(0°〜45°程度)傾斜させても後述の作用効果を生じさせることができる。
なお、辺56a、56bは軸方向に平行である場合に限定されないが、少なくとも逃げ溝部54の先端部55の両角部からそれぞれ周方向に延びる辺57a、57bが形成できなければならない。加えて、辺56a、56bによって規定される軸方向の幅L7は、後述のようにロック部材4を挿入方向に押動しつつ回動させたときに、突起部7が周方向溝部58a、58bに侵入可能なように、それぞれの形状寸法およびスリーブ3の本体2に対する固定位置等を勘案して適宜設定する。
【0140】
なお、符号39は(図16参照)、本体2に内嵌されるスリーブ3が周方向に回転することを防止する回り止め溝であって、本体2に設けられる回り止め突起26と嵌合される。
【0141】
図17にロック部材4の構成を示す(図17(a)は平面図、図17(b)は正面図、図17(c)は側面断面図)。前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、相違点として、本実施形態に係るロック部材4は、ロック部材から径方向の外方に延出する付勢部材45(本実施形態に係る第2の付勢部材)が設けられる。
本実施形態に係る付勢部材45は、各突起部7(本実施形態では軸対称に二箇所設けられる)の先端部(本体2の開口部21側とは逆側の端部)から管の挿入方向(矢印A)に延出する棒状部46が設けられ、当該棒状部46の先端部から径方向の外方に突出する突出部47が設けられ、当該突出部47は、前述の本体2のガイド溝25に対して、軸方向に移動(摺動)可能に嵌合される構成を備える。
この構成によって、ロック部材4を周方向の所定位置に位置決めすると共に、当該ロック部材4が周方向に回転した場合に該所定位置まで戻す付勢力を発生させることが可能となる。より具体的には、ロック部材4が周方向に回動すると、突出部47が本体2のガイド溝25に嵌合された状態となっているため、棒状部46が周方向に撓むようにして変形する(図20参照)。この撓み変形が復元しようとする力が付勢力となって、回動したロック部材4を元の所定位置、すなわち突出部47とがガイド溝25とが周方向で一致する位置まで戻す作用を生じさせるものである。
なお、本実施形態では付勢部材45(棒状部46、突出部47)は、可撓性を有する樹脂材料(ポリアセタール等)を用いてロック部材4と一体に形成する構成である。ただし、別体に形成してもよく、また上記構造に限定されず、例えば、ロック部材4から径方向の外方に延出する板状形状に形成する構成等も考えられる。
【0142】
また、各突起部7は、対応する位置の前記切欠穴50に対して、当該切欠穴50内を移動可能な状態で係合される。
【0143】
続いて、本実施の形態に係る管継手1に特徴的な構成である各テーパ面(テーパ形状に形成される作用面)について説明する。
【0144】
まず、スリーブ3に延出部縮径用テーパ面32が設けられ、これに対応する当接部として、延出部縮径用テーパ面42がロック部材4に設けられる(図16〜11参照)。
より詳しくは、延出部縮径用テーパ面32は、スリーブ3の内周3bにおいて、開口部21と逆側に面して且つ管の抜脱方向に向かって縮径する形状に形成される。また、延出部縮径用テーパ面42は、ロック部材4(ここでは延出部6)の外周4aにおいて、開口部21側に面して且つ管の挿入方向に向かって拡径する形状に形成される。
【0145】
その作用として、ロック部材4内に挿入されてロックされている管80を回動させずに抜脱方向に引動したとき(回動させる場合については後述)、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80と共に抜脱方向に引動されることにより、延出部縮径用テーパ面32と、該テーパ面に対応する当接部すなわち延出部縮径用テーパ面42とが当接して摺動する。このとき、延出部縮径用テーパ面42が延出部縮径用テーパ面32から受ける力(径方向の内方へ押される力)の作用によって、延出部縮径用テーパ面42が設けられている延出部6の開口部21側の端部が径方向の内方に向かって変位する。その結果、対向する延出部6同士の間、特に、管80の外径よりも小さく構成されている対向するプレスツメ8同士の間が縮径されて、当該プレスツメ8がより一層管80の外周に食い込むこととなる。すなわち、管80を抜脱方向に引動する力が大きければ大きいほど、プレスツメ8同士の間が一層縮径されることなり、プレスツメ8が管80の外周に食い込む力すなわち管80とプレスツメ8との圧接力が一層大きくなるため、前記引動力が大きくなっても管80の抜脱を防止することが可能となる。ちなみに、図19(c)がロックされている状態の図である。
【0146】
なお、本実施の形態においては、延出部縮径用テーパ面32および延出部縮径用テーパ面42の双方をテーパ形状面に形成しているが、これに代えて、いずれか一方のみをテーパ形状面に形成し、対応する当接部となる他方を当該テーパ形状面に対して当接・摺動が可能な形状(テーパ形状以外)に形成することによって、必ずしも双方がテーパ形状面でなくても同様の作用を生じさせることが可能である。
【0147】
次に、スリーブ3にロック解除用テーパ面33が設けられ、これに対応する当接部として、ロック解除用テーパ面43がロック部材4に設けられる(図16〜11参照)。
より詳しくは、ロック解除用テーパ面33は、切欠穴50の周方向溝部58a、58bの辺57a、57b部において、その作用面が開口部21と逆側に面して且つ管の抜脱方向に向かって拡径する形状に形成される。また、ロック解除用テーパ面43は、突起部7の開口部21側の端部において、その作用面が開口部21側に面して且つ管の挿入方向に向かって縮径する形状に形成される。
【0148】
その作用として、ロック部材4内に挿入されてロックされている管80を回動させ、当該回動させた周方向位置において抜脱方向に引動したとき(回動させない場合については前述)、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80と共に抜脱方向に引動されることにより、ロック解除用テーパ面33と、該テーパ面に対応する当接部すなわちロック解除用テーパ面43とが当接して摺動する。このとき、ロック解除用テーパ面43がロック解除用テーパ面33から受ける力(径方向の外方へ引かれる力)の作用によって、ロック解除用テーパ面43が設けられている延出部6の開口部21側の端部が径方向の外方に向かって変位する。その結果、対向する延出部6同士の間、特に、管80の外径よりも小さく構成されている対向するプレスツメ8同士の間が拡径されて、管80の外径よりも大きく拡げられるため、プレスツメ8による管の圧接が解除されて、管80を抜脱させることが可能となる(図19(f)参照)。なお、厳密には、当該圧接力がプレスツメ8と管80の外周との摩擦力を下回った状態となったときに、管80がプレスツメ8に摺接しながら抜脱されることとなる。
【0149】
なお、本実施の形態においては、ロック解除用テーパ面33およびロック解除用テーパ面43の双方をテーパ形状面に形成しているが、これに代えて、いずれか一方のみをテーパ形状面に形成し、対応する当接部となる他方を当該テーパ形状面に対して当接・摺動が可能な形状(テーパ形状以外)に形成することによって、必ずしも双方がテーパ形状面でなくても同様の作用を生じさせることが可能である。
【0150】
ここで、図16〜11に示すように、本実施の形態においては、ロック解除用テーパ面33が設けられる周方向溝部58a、58bの軸方向の位置を設定するにあたり、ロック部材4を管の挿入方向(矢印A)に付勢部材9の付勢力に抗して(すなわち付勢部材9を圧縮変形させて)押動してから回動させなければ、突起部7が進入できない位置となるように配設している。その結果、ロック部材4に軸方向および周方向の外力が作用しない状態の場合、換言すれば、延出部6間に挿入されてプレスツメ8により圧接固定された管80に対して軸方向および周方向の外力が作用しない状態の場合には、付勢部材9(第1の付勢部材)の付勢力、または付勢部材9および付勢部材45(第2の付勢部材)の付勢力によって、突起部7の軸方向位置が逃げ溝部54内に位置決めされるため、ロック解除用テーパ面33とロック解除用テーパ面43とが不用意に当接することを防止でき、誤って管80のロックが解除されることを防止できる。
【0151】
次に、ロック部材4に延出部拡径用テーパ面48が設けられる(図17参照)。より詳しくは、延出部拡径用テーパ面48は、突起部7の開口部21側の端部において、挿入される管80の先端部に当接可能となるように径方向位置を合わせて、その作用面が開口部21側に面して且つ管の挿入方向に向かって縮径する形状に形成される。
なお、延出部拡径用テーパ面48は、本実施の形態においては、構造の簡素化のため、ロック解除用テーパ面43が延出部拡径用テーパ面48を兼ねる構成としている。
【0152】
その作用として、管80を挿入したとき、管80の先端部と、延出部拡径用テーパ面48とが当接して摺動する。このとき、延出部拡径用テーパ面48が管80の先端部から受ける力(径方向の外方へ押し出される力)の作用によって、延出部拡径用テーパ面48が設けられている突起部7すなわち延出部6の開口部21側の端部が径方向の外方に向かって変位する(なお、管80の先端部と、延出部拡径用テーパ面48との当接・摺動が完了すると、管80の中間外周部と、延出部拡径用テーパ面48との当接・摺動に移行する)。
その結果、対向する延出部6同士の間、特に、管80の外径よりも小さく構成されている対向するプレスツメ8同士の間が拡径されて、管80の外径よりも大きく拡げられるため、管80が対向する延出部6の間(特に、対向するプレスツメ8同士の間)の空間部4cに進入することが可能となる(図19(b)参照)。なお、厳密には、管80がプレスツメ8に摺接しながら進入することとなる。
【0153】
ちなみに、管80を挿入する際に延出部6の拡径作用を生じさせる上記各構成については、全てを採用してもよく、あるいはその中の一部を採用してもよい。
【0154】
続いて、図19を用いて、管継手1に管80を取り付ける際の操作、および管継手1の動作の一例について説明する。
管80を取り付ける(挿入する)前の段階では、管継手1は、図14に示すように、ロック部材4が付勢部材9の付勢力で開口部21側に向かって付勢され、且つ付勢部材45の付勢力で周方向の所定位置に位置決めされて静止している。
【0155】
この図14の状態で、作業者は、管80を開口部21から挿入する(図19(a)参照)。このとき、管80の先端部と、延出部拡径用テーパ面48とが当接して摺動することによって、もしくは、管80の先端部が、延出部6に設けられたプレスツメ8の開口部21側上面に当接することによって、スリーブ3に内嵌されているロック部材4が管80によって挿入方向に押動される。これにより、ロック部材4下部に設けられた付勢部材9の先端部と本体2の当接部24とが当接し、付勢部材9が付勢力を発生させるが、当該付勢力に抗して、さらに管80を押し込むと、付勢部材9の先端部と当接部24とが摺動して、リング部5が折れ曲がることによって対向する延出部6間(プレスツメ8間)が拡径される。したがって、空間部4cに管80が進入可能となる(図19(b)参照)。
なお、ロック部材4のリング部5には、管の進入量を規制するストッパ5a、5bが設けられているため、ロック部材4の内部において所定量以上に管80が進入することはない。
ちなみに、上記の動作中において、管80の先端部が当接する箇所は、延出部6間(プレスツメ8間)の拡径が進むにつれて、延出部拡径用テーパ面48もしくはプレスツメ8の開口部21側上面から、ストッパ5a、5bへと移行する。なお、図19(a)は管80の先端部が延出部拡径用テーパ面48に当接した状態である。
【0156】
ここで、先願に係る特許文献2に記載された管継手100においては、管の挿入方法は延出部先端部に設けたテーパを管の先端部で押し広げる方法であった。
これと比較して、本実施形態においては、そのような従来方法を補助的に併用することを可能としつつ(延出部拡径用テーパ面48による作用を指す)、ロック部材4を備えて、管80による押動力を付勢部材9に作用させて、対向する延出部6間を拡径して挿入を行う方法である。
通常、延出部6と管80との圧接力は、延出部6の強度によって定まるものであるが、先願の管継手100では、当該強度は管の径方向の強度により設定されるのに対し、本願の管継手1では、当該強度は管の軸方向の強度により設定される。一般的に、管状部材の径方向強度は中空部の圧縮となり相対的に弱く、また、管状部材の軸方向強度は中実部の圧縮となり相対的に強く、加えて本願ではロック部材4により管80の外周が覆われて外方への座屈状態が抑えられるため、より一層強度が増すこととなる。その結果、本願の管継手1において、先願の管継手100と比較して、圧接力をより一層高く設定することが可能となる。確実な管の接続が可能となり、高圧流体用としても好適である。
【0157】
作業者が、管80の挿入を停止することによって、自動的にロックが完了する。より詳しくは、強制的に拡径されている状態の延出部6が元に戻ろうとする復元力が生じるためである。このとき、付勢部材9への押動力がなくなるため、リング部材5の折れ曲がりが元に戻ろうとする復元力も加わる。
【0158】
前述の通り、管80の挿入停止時点においては、突起部7は付勢部材45(第2の付勢部材)によって周方向の所定位置に位置決めされて静止している。したがって、管80の挿入力を解除すると、付勢部材9(第1の付勢部材)がロック部材4を抜脱方向へ押動するため、突起部7は、所定の周方向位置のままガイド溝25に案内されて抜脱方向へ移動して、逃げ溝部54に進入した状態で静止する。ちなみに、移動の際の引っ掛かりを防止するため、逃げ溝部54の先端部55は角取加工されている。
この状態では、突起部7が周方向に回動不可能であって、周方向溝部58a、58bへの進入も不可能であるため、ロック解除の動作に移行することがなく、意に反して管のロックが解除されてしまうことが防止できる(図19(c)参照)。
【0159】
ここで、先願に係る特許文献2に記載された管継手100においては、管のロック方法は管Pを挿入した後で、逆方向(抜脱方向)に管Pを引く動作を行ってロックさせる方法であった(特許文献2、段落番号0040 参照)。
これと比較して、本願の管継手1においては、管80の挿入を停止するだけで自動的にロックが可能となるため、より一層簡易な管の取付方法が実現する。なお、前述の通り、主として、拡径された延出部6の復元力によって管80のロックは完了するが、さらに、付勢部材9によってロック部材4が抜脱方向に移動されて、延出部縮径用テーパ面32と42とが密着するため、ロックがより一層確実なものとなる。
【0160】
このロック状態(図19(c)参照)においては、管80が抜脱方向に引かれても、前述の通り、ロックが解除されることはない。特に、本実施形態においては、スリーブ3とロック部材4とを備えて、管80による引動力を延出部縮径用テーパ面32および42に作用させて、対向する延出部6間が縮径されるため、引動力が強いほど、対向する延出部6間が縮径して、プレスツメ8が管80に強く食い込むため、確実に管80がロックされる。
【0161】
ちなみに、管80がロックされた状態においては、パッキン22の内周と管80の外周とが隙間無く密着し、パッキン22の外周と本体2の内周とが隙間無く密着するため、通過流体が外部に漏出することが防止される。
【0162】
続いて、管継手1から管80を取り外す操作、および管継手1の動作の一例について説明する。
図19(c)のロック状態から管80を取り外す際には、作業者はまず管80を挿入方向に押す(図19(d)参照)。すると、ロック部材4はスリーブ3内の奥方(開口部21側と逆側)に押動される。これに伴い、突起部7は、付勢部材45の突出部47が本体2のガイド溝25に案内されながら、逃げ溝部54内から切欠穴50の端部(本体2の開口部21側とは逆側の端部)へと移動する。
これにより、それまで逃げ溝部54によって突起部7の回動が制限されていた状態が解除される。
【0163】
この状態で、作業者は、管80を、管80の軸線(継手本体2の軸線)を中心に若干回動させる(回動方向は左右いずれでも構わない)。プレスツメ8は管80に食い込んでおり、その周方向の摩擦力によって、ロック部材4は、管80と共に本体2に固定されたスリーブ3内において周方向に回動される(図19(e)参照)。
その結果、突起部7が周方向溝部58a(もしくは58b)に進入する。ちなみに、その進入をスムーズにするため、周方向溝部58a、58b(入口59a、59bの箇所)おいて、角取加工がなされている。
なお、図19(e)を90度異なる角度から視た場合の断面図を図20に示す(管80は不図示)。当該図20によって、突起部7が周方向溝部58bに進入している様子や、付勢部材45(棒状部46)が周方向に撓み変形している様子がわかる。
【0164】
この状態で、作業者が管80を抜脱方向に引くと、ロック状態にあるロック部材4は管80に伴って開口部21側に移動する。このとき、突起部7の後端部(開口部21側の端部)が、切欠穴50の辺57aもしくは57bに当接し、それによって、突起部7に設けられるロック解除用テーパ面43と辺57a、57bに設けられるロック解除用テーパ面33とが当接および摺動して、前述の通り、対向する延出部6間(プレスツメ8間)が拡径される。
その結果、対向するプレスツメ8間が管80の外径よりも大きく拡げられたところでプレスツメ8による管の圧接が解除されて、管80のみが抜脱される(図19(f)参照)。
【0165】
このように、本実施例に係る管継手1によれば、作業者は、管80を、挿入方向に押した後、若干回動させ、抜脱方向に引くだけで、管80を管継手1から取り外すことができる。また、これらの操作は片手のみで行うことができる。
【0166】
なお、管80の抜脱完了後に、作業者が管80の抜脱動作を停止すると、強制的に拡径されている状態の延出部6が元に戻ろうとする復元力が生じる。当該復元力は、ロック解除用テーパ面33とロック解除用テーパ面43とを管80の抜脱時と逆方向に摺動させる作用を生じさせる。
また、管80の抜脱が完了すると、ロック部材4に作用していた回動力も解除されるため、付勢部材45の付勢力によって、当該ロック部材4が周方向における所定位置まで戻される作用が生じる。
このようにして、ロック部材4は、再び図14に示すように所定位置に復帰する。
【0167】
以上の説明のように、本発明に係る管継手は、片手のみの操作によって容易に管の着脱が可能であり、従来の管継手と比較して、その着脱性をより一層向上させることが可能であると共に、管を保持する圧接力をより一層高く設定することが可能である。
また、製造面においても、実現容易性、コスト削減等の点で大きな効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る管継手の例を示す概略図である。
【図2】図1の管継手の本体の構成を示す概略図である。
【図3】図1の管継手のスリーブの構成を示す概略図である。
【図4】図1の管継手のロック部材の構成を示す概略図である。
【図5】図3のスリーブの切欠穴の構成を示す拡大図である。
【図6】図1の管継手の着脱方法を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る管継手のスリーブの構成を示す概略図である。
【図8】図7のスリーブの切欠穴の構成を示す拡大図である。
【図9】本発明の第三の実施形態に係る管継手の例を示す概略図である。
【図10】図9の管継手のスリーブの構成を示す概略図である。
【図11】図10のスリーブの切欠穴の構成を示す拡大図である。
【図12】図9の管継手の着脱方法を説明するための説明図である。
【図13】図9の管継手の着脱方法を説明するための説明図である。
【図14】本発明の第四の実施形態に係る管継手の例を示す概略図である。
【図15】図14の管継手の本体の構成を示す概略図である。
【図16】図14の管継手のスリーブの構成を示す概略図である。
【図17】図14の管継手のロック部材の構成を示す概略図である。
【図18】図16のスリーブの切欠穴の構成を示す拡大図である。
【図19】図14の管継手の着脱方法を説明するための説明図である。
【図20】図14の管継手の着脱方法を説明するための説明図である。
【図21】従来の実施の形態に係る管継手の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0169】
1 管継手
2 本体
3 スリーブ
4 ロック部材
5 リング部
6 延出部
7 突起部
8 プレスツメ
9 付勢部材(第1の付勢部材)
10、50 切欠穴
21 開口部
22 パッキン
25 ガイド溝
31、41 延出部拡径用テーパ面(第2の延出部拡径用テーパ面)
32、42 延出部縮径用テーパ面
33、43 ロック解除用テーパ面
34、44 当接補助テーパ面
45、63 付勢部材(第2の付勢部材)
48 延出部拡径用テーパ面(第1の延出部拡径用テーパ面)
60 スリット部
71 ガイド溝
80 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であって、軸方向に管が挿入される開口部を有する本体と、
筒状であって、軸方向が前記本体の軸方向と一致するように該本体に内嵌されて固定されるスリーブと、
環状のリング部および該リング部から軸方向に延出する複数の延出部を有し、該リング部の軸方向と前記スリーブの軸方向とが一致するように該スリーブに内嵌されて、前記スリーブ内を軸方向および周方向に移動可能なロック部材と、を備え、
前記延出部は、径方向の内方に立設されるプレスツメを有し、且つ、軸中心に対向するプレスツメ間の距離は、挿入される管に圧接可能に、管の外径よりも小さく構成され、
前記ロック部材もしくは前記スリーブは、少なくとも一方に延出部縮径用テーパ面が設けられ他方に該延出部縮径用テーパ面に対応する当接部が設けられて、
前記延出部間に挿入され前記プレスツメにより圧接固定された管を回動させずに抜脱方向に引動したとき、前記ロック部材が抜脱方向に引動されて、前記延出部縮径用テーパ面と該テーパ面に対応する当接部とが当接・摺動して、前記延出部間が縮径されること
を特徴とする管継手。
【請求項2】
前記ロック部材もしくは前記スリーブは、少なくとも一方にロック解除用テーパ面が設けられ他方に該ロック解除用テーパ面に対応する当接部が設けられて、
前記延出部間に挿入され前記プレスツメにより圧接固定された管を回動させて、当該回動させた周方向位置において管を抜脱方向に引動したとき、前記ロック部材が抜脱方向に引動されて、前記ロック解除用テーパ面と該テーパ面に対応する当接部とが当接・摺動して、前記延出部間が拡径されて、前記プレスツメによる管の圧接が解除されること
を特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
前記ロック部材もしくは前記スリーブは、少なくとも一方に当接補助テーパ面が設けられ他方に該当接補助テーパ面に対応する当接部が設けられて、
前記延出部間に挿入され前記プレスツメにより圧接固定された管を回動させたとき、前記当接補助テーパ面と該テーパ面に対応する当接部とが当接・摺動して、前記延出部間が拡径されることによって、前記ロック解除用テーパ面と該テーパ面に対応する当接部との当接が可能となること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の管継手。
【請求項4】
前記ロック部材を管の抜脱方向に向かって付勢する第1の付勢部材が設けられること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の管継手。
【請求項5】
前記第1の付勢部材は、前記ロック部材と一体に、前記リング部から管の挿入方向に向かって螺旋状に延出する形状に形成されること
を特徴とする請求項4記載の管継手。
【請求項6】
前記第1の付勢部材は、前記延出部の位置に対応させて前記リング部の軸に対して軸対称に二箇所設けられ、
管を挿入したとき、前記ロック部材が挿入方向に押動されて、前記第1の付勢部材の先端部と対応する本体の当接部とが当接・摺動して、前記リング部が折れ曲がることによって前記延出部間が拡径されること
を特徴とする請求項5または請求項6記載の管継手。
【請求項7】
前記延出部は、挿入される管の先端部に当接可能な位置に、第1の延出部拡径用テーパ面が設けられて、
管を挿入したとき、該管の先端部と前記第1の延出部拡径用テーパ面とが当接・摺動して、前記延出部間が拡径されること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の管継手。
【請求項8】
前記ロック部材もしくは前記スリーブは、少なくとも一方に第2の延出部拡径用テーパ面が設けられ他方に該第2の延出部拡径用テーパ面に対応する当接部が設けられて、
管を挿入したとき、前記ロック部材が挿入方向に押動されて、前記第2の延出部拡径用テーパ面と該テーパ面に対応する当接部とが当接・摺動して、前記延出部間が拡径されること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の管継手。
【請求項9】
前記スリーブは、筒状の壁部を貫通する切欠穴を有し、
前記ロック部材は、前記延出部において径方向の外方に向かって立設される突起部を有し、
前記突起部が、前記切欠穴内に移動可能に係合されること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の管継手。
【請求項10】
前記切欠穴の軸方向における前記開口部側の後端部には、前記突起部が軸方向に進入可能な周方向幅を有する逃げ溝部が設けられること
を特徴とする請求項9記載の管継手。
【請求項11】
前記ロック部材を周方向の所定位置に位置決めすると共に、該ロック部材が周方向に回転した場合に該所定位置まで戻す付勢力を発生させる第2の付勢部材が設けられること
を特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の管継手。
【請求項12】
前記第2の付勢部材は、前記スリーブと一体に、前記逃げ溝部における前記開口部側の端部から軸方向に且つ前記切欠穴内に突出する形状であって、周方向の撓み変形が可能なクサビ状部を備える形状に形成されること
を特徴とする請求項11記載の管継手。
【請求項13】
前記ロック部材は、前記突起部における径方向の内側に、軸方向に平行な溝状であって、前記クサビ状部が嵌合可能および通過可能なガイド溝を備えて、
前記クサビ状部と前記ガイド溝との嵌合によって、前記ロック部材が周方向の所定位置に位置決めされること
を特徴とする請求項12記載の管継手。
【請求項14】
前記第2の付勢部材は、前記ロック部材と一体に、該ロック部材から径方向の外方に延出する形状であって、周方向の撓み変形が可能な棒状部もしくは板状部を備える形状に形成されること
を特徴とする請求項11記載の管継手。
【請求項15】
前記本体もしくは前記スリーブは、軸方向に平行な溝状であって、前記棒状部もしくは板状部の先端部が嵌合可能および通過可能なガイド溝を備えて、
前記棒状部もしくは板状部の先端部と前記ガイド溝との嵌合によって、前記ロック部材が周方向の所定位置に位置決めされること
を特徴とする請求項14記載の管継手。
【請求項16】
前記切欠穴の軸方向における前記開口部と逆側の先端部には、前記突起部が前記スリーブの外部から前記切欠穴の内部へ軸方向に進入可能な周方向幅を有するスリット部が設けられること
を特徴とする請求項9〜15のいずれか一項記載の管継手。
【請求項17】
前記切欠穴は、軸方向における前記開口部と逆側の先端部が、管の挿入方向に向かって周方向の幅が徐々に狭くなるように形成されること
を特徴とする請求項9〜16のいずれか一項記載の管継手。
【請求項18】
前記逃げ溝部は、前記切欠穴の先端部における周方向の幅が最も狭い最狭部に対して軸方向で対向する位置に設けられること
を特徴とする請求項17記載の管継手。
【請求項19】
前記スリット部は、前記切欠穴の先端部における周方向の幅が最も狭い最狭部に設けられること
を特徴とする請求項17または請求項18記載の管継手。
【請求項20】
前記延出部間に挿入され前記プレスツメにより圧接固定された管に対して軸方向および周方向の外力が作用しない状態のときに、前記第1の付勢部材、または前記第1の付勢部材および前記第2の付勢部材の付勢力によって、前記突起部の軸方向位置が前記逃げ溝部内に位置決めされること
を特徴とする請求項10〜19のいずれか一項記載の管継手。
【請求項21】
前記ロック解除用テーパ面は、前記切欠穴における前記逃げ溝部の前記開口部と逆側の端部から周方向に、もしくは周方向に対して所定角度の方向に延びる辺部において、前記開口部と逆側に面し且つ管の抜脱方向に向かって拡径する形状に形成されること
を特徴とする請求項10〜20のいずれか一項記載の管継手。
【請求項22】
前記第2の延出部拡径用テーパ面は、前記切欠穴の前記最狭部において、前記開口部側に面し且つ管の挿入方向に向かって拡径する形状に形成されること
を特徴とする請求項17〜21のいずれか一項記載の管継手。
【請求項23】
前記当接補助テーパ面は、前記切欠穴における管の挿入方向に向かって周方向の幅が徐々に狭くなる形状を規定する二つの辺部において、該切欠穴側から該辺に直交する方向に向かって拡径する形状に形成されること
を特徴とする請求項17〜21のいずれか一項記載の管継手。
【請求項24】
前記切欠穴には、前記管の挿入方向に向かって周方向の幅が徐々に狭くなる形状を規定する辺と、前記逃げ溝部の前記開口部と逆側の端部から周方向に、もしくは周方向に対して所定角度の方向に延びる辺とによって、軸方向の幅が規定される周方向溝部が設けられ、
前記周方向溝部の入口部の幅は、前記突起部が設けられる延出部が拡径されなければ、該突起部が進入できない長さに形成されること
を特徴とする請求項17〜23のいずれか一項記載の管継手。
【請求項25】
前記ロック解除用テーパ面は、前記突起部の前記開口部側の端部において、前記開口部側に面し且つ管の挿入方向に向かって縮径する形状に形成されること
を特徴とする請求項9〜24のいずれか一項記載の管継手。
【請求項26】
前記ロック解除用テーパ面は、前記第1の延出部拡径用テーパ面を兼用すること
を特徴とする請求項25記載の管継手。
【請求項27】
前記第2の延出部拡径用テーパ面は、前記突起部の前記開口部と逆側の端部において、前記開口部と逆側に面し且つ管の抜脱方向に向かって縮径する形状に形成されること
を特徴とする請求項9〜26のいずれか一項記載の管継手。
【請求項28】
前記延出部縮径用テーパ面は、前記ロック部材の延出部の外周において、前記開口部側に面し且つ管の挿入方向に向かって拡径する形状に形成されること
を特徴とする請求項1〜27のいずれか一項記載の管継手。
【請求項29】
前記延出部縮径用テーパ面は、前記スリーブの内周において、前記開口部と逆側に面し且つ管の抜脱方向に向かって縮径する形状に形成されること
を特徴とする請求項1〜28のいずれか一項記載の管継手。
【請求項30】
前記本体の前記開口部に、該本体および挿入される管に隙間なく密着するパッキンが設けられること
を特徴とする請求項1〜29のいずれか一項記載の管継手。
【請求項31】
前記本体、前記スリーブ、前記ロック部材は樹脂からなり、
前記プレスツメはステンレス鋼からなること
を特徴とする請求項1〜30のいずれか一項記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−101434(P2010−101434A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273555(P2008−273555)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【特許番号】特許第4355021号(P4355021)
【特許公報発行日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(302012822)有限会社浜インターナショナル (12)
【Fターム(参考)】