説明

管路内進行装置

【課題】遠隔操作を必要とせず、しかも細い管路内でも種々の検査を行うことができ、応答が速く、かつ、人手を要することのない完全な自走式の管路内進行装置を提供する。
【解決手段】複数のユニット1〜9が揺動可能に連結手段10により連結され、複数のユニットは、壁面の状態を検出する探査ユニット1と、管路の内壁と係合したり、解除したりする支持ユニット2と、自動停止センサ3と、支持ユニット2のアームを制御するロックユニット4と、自動停止センサ3に接続される第1のガイドドライバユニット5aと、曲管センサ(検出ユニット)6と、検出ユニット6に接続される第2のガイドドライバユニット5bと、各ユニットを前進または後進させる駆動ユニット7と、コントローラユニット8と、コントローラユニット8およびガイドドライバユニット5a、5bを経由して各ユニットに電源を供給するバッテリーユニット9を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーごみ発電プラントのスーパーヒータ配管や、ガス配管、配水管、さらには体腔内などを自走して、管内の状況を検査することができる管路内進行装置に関する。さらに詳しくは、外部から離れた距離にある管路内でも、外部から遠隔操作をすることなく、確実に管路内の検査をすることができる管路内進行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス配管などの細い配管内を移動しながら配管の内壁などを点検する配管内進行装置としては、たとえば通信、位置決め、肉厚測定などの機能を分散してそれぞれ球状のカプセルに収納し、それらカプセルを相互に可撓的に連結し、連結されたカプセル間の距離を一定のシーケンス制御で伸縮できるようにして、前進・後退するようにした配管内移動ロボットが知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
この配管内移動ロボットは、たとえば図13に示されるように、通過断面積の小さい管内を通過できるように、たとえば通信、検査、位置決め、移動などの各機能を分散させたカプセルa1〜aNを連結手段b1〜bN-1により鎖状に連結して、地中に埋設された管路1000内に設置し、地表ステーション2000からの指令により、管路1000の適宜箇所の肉厚などを測定し、送受信機3000を介してそのデータを地表ステーション2000に送信するなどの処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−36988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のようなカメラなどにより管路内の探査を行う自走式の管路内進行装置は知られている。この管路内進行装置は、カメラなどから得られる管路1000内の情報を管路外にある地表ステーション2000内のオペレータコンソールなどの制御部へ送り、その情報を基に制御部が進行方向などの指示を、送受信機3000を介して出すことによって、管路1000内の進行が制御されている。しかし、このような管路内進行装置では、管路1000内の状況を検出する部位(たとえばカプセルa1)と制御部とが離れており、また、制御部に様々な制御を行わせているため、制御に時間がかかるうえ、人の操作により制御部に指示を出す必要があるため、管路1000内の状況に瞬時に対応して進行することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、遠隔操作を必要とせず、しかも細い管路内でも種々の検査を行うことができ、応答が速く、かつ、人手を要することのない自走式の管路内進行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管路内進行装置は、複数のユニットを揺動可能に連結した管路内進行装置であって、前記複数のユニットは、
管路の壁面の状態を検出する探査ユニットと、
管路の内壁と係合したり、解除したりする支持ユニットと、
隣り合うユニットを前進または後退させる駆動力を発生する駆動ユニットと、
前記管路の延びる方向を検出する検出ユニットと、
前記探査ユニット、前記支持ユニット、前記駆動ユニットおよび前記検出ユニットに接続される少なくとも一つのガイドドライバユニットと、
前記ガイドドライバユニットを制御する制御部、および前記制御部の起動スイッチを有するコントローラユニットと、
前記コントローラユニットおよび前記ガイドドライバユニットを経由して、前記探査ユニット、前記支持ユニット、前記駆動ユニットおよび前記検出ユニットに電力を供給するバッテリーユニットとを含むように構成されており、
前記制御部は、前記起動スイッチが操作されたときに管路内の進行制御および探査制御を開始し、前記支持ユニットが管路外へ出たときに管路内の進行制御および探査制御を停止するようにされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
探査ユニット、支持ユニット、駆動ユニットおよび検出ユニットにそれぞれ接続される少なくとも一つのガイドドライバユニットを有していることにより、ガイドドライバユニットに接続された各ユニットから得られる情報によってガイドドライバユニットが単独でユニットを制御するため、制御部は各ユニットを個別に制御する必要がなく、管路内の状況に瞬時に対応して進行することが可能となる。また、起動スイッチの操作によって管路内の進行制御および探査制御が開始され、支持ユニットが管路の外へ出たときに自動的に管路内の進行制御および探査制御が停止するように制御されるため、外部と通信して制御することなく管路内の自走が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の管路内進行装置の一実施形態の構成図である。
【図2】図1に示される管路内進行装置の各ユニット間を接続する接続手段の一例を示す図である。
【図3】図1に示される装置の支持ユニットの具体的構成例を示す図で、アームが閉じた状態と開いた状態を示す断面説明図である。
【図4】図1に示される装置の支持ユニットのアームの動作を制御するロックユニットの一例を示す説明図である。
【図5】図1に示される装置の自動停止センサの一例を示す説明図である。
【図6】図1に示される装置の曲管センサの一例を示す説明図である。
【図7】図1に示される装置の駆動ユニットの一例を示す説明図である。
【図8】図1に示される装置のコントローラユニットに設けられる起動スイッチの一例を示す説明図である。
【図9】図1に示される装置の支持ユニットと駆動ユニットを用いて、各ユニットを蠕動させる動作の一例を示す説明図である。
【図10】図1に示される装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】図10のSW受付ステップをさらに説明するフローチャートである。
【図12】図10の動作のステップをさらに説明するフローチャートである。
【図13】従来の配管内進行装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、添付図面を参照しながら、本発明の管路内進行装置を詳細に説明する。
【0011】
本発明の管路内進行装置50は、図1にその一実施形態の構成例が示されるように、各機能を分担した複数のユニット1〜9(3aなどアルファベットの付加されたものを含む)が揺動可能に連結手段10により連結され、蠕動運動をしながら管内を進行して、管路内の異常などを検出するように構成されている。図1に示される例では、たとえば管路の壁面の状態を検出する探査ユニット1と、管路の内壁と係合したり、その係合を解除したりする支持ユニット2と、管路内進行装置50が管路内から出たときに管路内進行装置50の駆動を自動的に停止させる自動停止センサ3と、支持ユニット2のアームを制御するロックユニット4と、自動停止センサ3に電気的に接続される第1ガイドドライバユニット5aと、管路の延びる方向を検出する曲管センサ(検出ユニット)6と、曲管センサ(検出ユニット)6に電気的に接続される第2ガイドドライバユニット5bと、各ユニットを前進または後進させる駆動力を発生する駆動ユニット7と、各ユニットを制御し、起動スイッチを有するコントローラユニット(メインコントローラ)8と、各ユニットに電力を供給するバッテリーユニット9とを有している。さらに、これらのユニットを逆に接続した構成の、第2バッテリーユニット9a、第2駆動ユニット7a、第3ガイドドライバユニット5c、第2曲管センサ(検出ユニット)6a、第4ガイドドライバユニット5d、第2ロックユニット4a、第2自動停止センサ(検出ユニット)3a、第2支持ユニット2a、および後スイッチ8aとが、バッテリーユニット9の後につながるように構成されている。なお、図示されていないが、後スイッチ8aの先端にさらに第2探査ユニットを接続して、逆進するように構成することもできるし、探査ユニット1の後ろ側(探査ユニット1と支持ユニット2との間)に管路内を転がりやすくするための車輪のようなガイドローラユニット(図示せず)を別途設けることもできる。
【0012】
これらの各ユニットの多くは、たとえば図2に示されるように、硬質プラスティックで形成された球状体で動きやすく形成されたカプセル100の内部にカメラとか、検査部品とか、モータなどを含むアクチュエータなどが配設されている。これらの各ユニットは、たとえば連結手段10により連結されている。この連結手段10は、たとえば棒状部101の両端に球状部102が形成された鉄アレイのような形状をしたもので、各ユニットの連結部104に形成される球状凹部103内に嵌合されることにより、球状凹部103と連結手段10の球状部102とは相対的に自由に回転できるように形成されている。このように、球状部102と球状凹部103との嵌合構造にしているため、連結されるユニットは相互に揺動しながら、すなわち連結されるユニット同士が直線状に配列していなくて、管路の曲がりに応じて、その曲がった方向にも連結しながら進行することができる。また、各ユニットは機能が分散化されているため、後述するように、駆動部と実際に駆動される部分とが別のユニットに形成されており、その駆動力を別のユニットに伝達するワイヤ105などはこの連結手段10の内部を貫通して連結されるように形成されている。
【0013】
探査ユニット1は、管路内進行装置50の先頭に設けられ、たとえば内視鏡の先端と同様の構成で、カメラなどが搭載され、管路内を管路に沿って進行しながら管路の内壁の損傷等の状態を検出し、その写真や映像のデータを探査ユニット1内に有するメモリなどに保存する。
【0014】
支持ユニット2(第2支持ユニット2aも同様)は、各ユニットを蠕動させるための管路内部での滑り止め的な機能(係合)を有するもので、たとえば図3に示されるように、両端部に形成された前後のユニットとの連結部21、22の間に本体23が固定されると共に、アーム24が支点25の周りに回動して外側に開いたり(図3(b)参照)、図3(a)に示されるように閉じた状態になったりするように形成されている。後述するロックユニット4が駆動され、ワイヤ105が引っ張られることにより、アーム24の支点25が設けられたスライド部27が図中右方向にスライドしてスプリング26が縮まる。スライド部27のスライドにより、公知のリンク機構により、図3(a)および(b)に示されるように、支点25を中心にアーム24が外側に開く。このとき、管路は細いため、開いたアーム24は管路の内壁に当り、内壁と係合される。すなわち、アーム24が管路の内壁に当接した後も、ワイヤ105が引っ張られ、アーム24にさらに外側に開こうとする力が加わり、引張り余力を残した状態でアーム24が管路の内壁に当って止まるため、支持ユニット2は管路の内壁に係合される。一方、ワイヤ105の引っ張り力が解除されると、スプリング26が伸びてスライド部27およびアーム24が元に戻るように形成されている。その結果、アーム24の開閉により、内壁と係合したり、その係合を解除したりすることができる。なお、このアーム部24を用いて蠕動運動をする動作については、後述する。アーム24は、図3(a)では1個しか見えていないが、たとえば円周方向に3等分した120°間隔で3個形成することができる。しかし、その個数には限定されない。このアーム24は、いわば蠕動運動するときの滑り止めとするもので、少なくとも複数個、好ましくは3個以上設けられていることが安定性の点から好ましい。連結部21、22には、前述のカプセル100の連結部と同様の球状凹部103が形成されており、その球状凹部103に連結手段10の球状部102が嵌め合されて、各ユニットが揺動できる(種々の方向に曲がる)ようになっている。
【0015】
ロックユニット4(第2ロックユニット4aも同様)は、この支持ユニット2のアーム24を開くか閉じるかの駆動を行う。このロックユニット4の例が図4に示されているように、駆動部本体41の中心部に駆動スライド部42がスライドするように設けられ、モータ43により第1歯車44が回転することにより、第1歯車44と噛み合う中心部の第2歯車45が回転し、第2歯車45の内側に形成された雌ねじ状のギヤと駆動スライド部42の外側に形成された雄ねじ状のギヤ42aとの噛み合せにより、駆動スライド部42を図中左右にスライドさせることができる構造になっている。この駆動スライド部42の端部42bに、前述のワイヤ105の他端部が抜け出ないように保持されている。そのため、このモータ43の駆動により、ワイヤ105を引っ張ったり、押し出したりする制御をすることができる。前述のように、ワイヤ105が前方に押し出されたとき(図4に示される状態)ではアーム24は閉じ、駆動スライド部42が図中右側にスライドしてワイヤ105が引っ張られたときはアーム24が開く。図4では、モータ43およびそのモータ43に連結される第1歯車44が1個ずつしか見えていないが、実際には、この組も円周方向に3等分して3個ずつ設けられている。このモータ43の制御は、予めプログラムしておくことにより、起動スイッチ82(図8参照)を入れたとき各ユニットの動作と連動させて制御することができる。なお、モータ43は3個の必要はなく、1個でも2個でも、また、4個でも構わないが、ユニットのカプセル自体が小さくてもある程度の駆動力を得るには、3個使用することが好ましい。このロックユニット4は、前述の支持ユニット2の中に設けられてもよい。
【0016】
自動停止センサ3(第2自動停止センサ3aも同様)は、たとえば図5に一例が示されるように、基板31上にホール素子32が設けられており、そのホール素子32と磁石33とを対向させるか、管路内進行装置50の進行方向に関して一定距離だけ離れた位置で対向するように設置しておき、そのホール素子32または磁石33をワイヤ105と連結した構成にされている。ワイヤ105は、ロックユニット4の駆動スライド部42と、ホール素子32または磁石33を収容する収容部34との間を連結し、さらに収容部34と、支持ユニット2のスライド部27との間を連結している。このような構成にすることにより、たとえば探査ユニット1および支持ユニット2が管路から外に出ると、ロックユニット4によりアーム24が開かれたときに、支持ユニット2のアーム24は管路の内壁に当らなくなるため、管路内にある場合よりも大きく開く。その結果、ワイヤ105も多く引っ張られるため、管路内でアーム24が開かれた場合と比べて、前述のホール素子32と磁石33との位置関係が変り、ホール素子32により受信する磁束が変化する。そのため、ホール素子32による磁束を測定していることにより、管内進行装置が管路を出たことを認識することができる。このホール素子32により検出する磁束は、随時後述する第1ガイドドライバユニット5aに送られており、第1ガイドドライバユニット5aは、磁束の変化により先頭部分が管路の外に出たことを確認したら、直ちに停止する信号を第1ガイドドライバユニット5aからコントローラユニット8に送り、コントローラユニット8の制御部80はバッテリーユニット9の電源をオフにすることができるような構成になっている。そのため、図1に示されるように、自動停止センサ3と第1ガイドドライバユニット5aとの間、および第1ガイドドライバユニット5aとコントローラユニット8および他のガイドドライバユニット5b〜5dとの間は、配線108により接続されている。この配線108は、各ユニットの外側に沿わすこともできるし、前述のワイヤ105のように、連結手段10の内部を通すこともできる。
【0017】
第1ガイドドライバユニット5a(第2〜第4ガイドドライバユニット5b〜5dもほぼ同じ構成)は、構成例が図示されていないが、たとえば前述の構造のカプセル100内に基板が設けられ、その基板上に回路が形成されて、たとえば前述の自動停止センサ3からの磁束のデータを受け取り、そのデータが予め設定された磁束の値と比較をして、そのデータが所定値を下回ったときに、たとえば先頭のユニットが管路から出たという判断をして、その停止信号を後述するコントローラユニット8に送るように構成されている。すなわち、本発明では、第1ガイドドライバユニット5a、第2ガイドドライバユニット5bなどとコントローラユニット8とで制御を分担してコントローラユニット8の制御部80は起動スイッチ82(図8参照)のオンオフを主任務としているため、地上の制御部80に信号を送って、地上から制御する必要がなく、管路内進行装置50内だけで支持ユニット2が管路から出たことを自動停止センサ3により感知したとき、第1ガイドドライバユニット5aによりスイッチをオフにする信号をコントローラユニット8に送信するだけで、起動スイッチ82を即座にオフすることができ、非常に早い応答で処理をすることができる。そのため、いずれかのガイドドライバユニット5a、5bは、探査ユニット1、支持ユニット2、駆動ユニット7とも電気的に接続され、バッテリーユニット9からの電力は、コントローラユニット8および第1および第2のガイドドライバユニット5a、5bを介して、探査ユニット1、支持ユニット2、駆動ユニット7および検出ユニット6に供給される。このガイドドライバユニット5a〜5dは、1個でも構わないが、前述のように、小さいユニット内に配設し、速い応答をするためには、できるだけ制御の必要があるユニットごとに設けられることが好ましい。
【0018】
曲管センサ(検出ユニット)6(第2曲管センサ6aも同様)は、たとえば図6に示されるように、カプセル100の内部に固定された基板61上にホール素子62が固定され、そのホール素子62と対向するように磁石63が磁石固定部64を介して連結手段10の球状部102に固着されている。また、図6では、カプセル100の断面図が示されており、基板61などをカプセル100内に配設した後に残りの半球部分をネジなどで固着する構造になっている。このような構造にすることにより、たとえばカプセル100が曲がり角を越えて進み、後ろ側の連結手段10がまだ曲がり角を曲がっていない場合には、図6に示される状態から、右側の連結手段10はそのままの方向で、左側の連結手段10およびカプセル100の部分が下側を向く。そうすると、極端な場合、基板61と磁石63とは対向状態から直角方向の位置関係になる。そのため、ホール素子62で検知する磁束は大きく減少し、管路が曲がっており、その曲がり部分を通過中であることを検出することができる。この曲がりの検出は、90°の曲がりではなく、鈍角の曲がりでも、その曲がりの程度に応じてホール素子62により検出する磁束の強さが変化するため、どの程度の曲がりかも検出することができる。この曲がりの判断は、第2ガイドドライバユニット5bにより判断される。すなわち、曲管センサ6により検出した磁束の大きさを、予め設定した基準値と比較することにより、所定値よりも小さければ曲がりを通過したという判断をすることができる。また、管路内進行装置50を駆動してから、駆動ユニット7における蠕動運動の回数をカウントし記憶する場合、曲がりが検出されたカウント数により、どの位置で管路内に曲がりがあったかを判断することができる。また、検出された磁束の大きさに応じて、どの程度の角度の曲がりを通過したかを記録することもできる。このように、曲管センサ6により管路の延びる方向を検出することができる。
【0019】
このような管路の曲がりを検出していくことにより、たとえば管路内部の異常が探査ユニット1により見つかった場合に、その異常が見つかった場所の検査開始からの時間(または蠕動運動のカウント数)と、その検査開始からの時間で曲がりがいくつあるかにより、その異常があった部分の場所を検査終了後に特定することができる。すなわち、地上でカメラからの映像を検出しながら制御していると、長い管路の場合には、相互の通信時間がかかり、必ずしも正確な場所を特定したり、即座の停止などの処理を行ったりすることができないが、本発明では、そのデータを隣接する第2ガイドドライバユニット5bに送り、そのデータを第2ガイドドライバユニット5bに記憶すると共に、曲がりによる異常があれば、直ちにコントローラユニット8と配線108を介して信号連絡をすることができ、その異常に基づく処理をすることができる。そのため、非常に早くて正確な応答をすることができる。
【0020】
駆動ユニット7(第2駆動ユニット7aも同様)は、前述の各ユニットを前進または後進させるための駆動部を司っている。すなわち、たとえば図7に示されるように、本体71の中心部に突出および引っ込み(収納)ができるようにストローク部72が設けられており、前述のロックユニット4と同様に3個のモータ73により第1歯車74を介して第2歯車75を駆動させることにより、ストローク部72を図中左右にスライドできるように構成されている。管路内進行装置50の進行方向に対して後側の第2支持ユニット2aのアーム24を開いて管壁と係合させたうえで、このストローク部72を突出させることにより、駆動ユニット7の前方にある隣り合うユニットを前に押し出す。その状態で、前側の支持ユニット2のアーム24を開いて管壁と係合させ、バックしないように支持しながら、後側の第2支持ユニット2aのアーム24を閉じたうえ、モータ73を逆回転させることにより、本体71が前方に移動してストローク部72が引っ込んだ(収納した)状態になる。この際、駆動ユニット7より後方にある隣り合うユニットも連結手段10により連結されているため、前方に引っ張られて全体のユニットを前進させることができる。この前進・後進の具体的方法に関しては、後で詳細に説明をする。そのため、この駆動ユニット7のストローク部72の突出または収納を制御することにより他のユニットも押されたり引っ張られたりして、前進または後進をすることができる。
【0021】
コントローラユニット(メインコントローラ)8は、ガイドドライバユニットを制御する制御部80、および図8に示されるような制御部80の起動スイッチ(メインスイッチ)82を有している。制御部80は、起動スイッチ82が操作されたときに管路内の進行制御および探査制御を開始し、支持ユニット2が管路外へ出たときに管路内の進行制御および探査制御を停止するように動作する。この制御部80は、第1〜第4ガイドドライバユニット5a〜5dとも配線108により接続されており、第1〜第4ガイドドライバユニット5a〜5dからの信号に基づいて、スイッチ機能などを制御するように図示しない回路が基板81に形成されている。起動スイッチ82は、たとえば動作開始時にオンにするもので、図8に示されるように、基板81上に設けられた起動スイッチ82を上側から押すことにより、突起部83が起動スイッチ82のボタンを押してオンにできる構造のものが用いられているが、このような構造に限らず、リモート制御するスイッチにすることもできる。このようなリモート制御のスイッチにすれば、後述する後スイッチ8aも不要になる。なお、図示されていないが、このコントローラユニット8には、LEDが設けられており、起動スイッチ82をオンにすると、LEDが3回点滅する構造になっている。
【0022】
バッテリーユニット(第2バッテリーユニット9aも同様)9は、図示はされていないが、前述のようなカプセル100内にバッテリーを内蔵することにより構成されている。このバッテリーとしては、所望の電圧が得られる種々の電池を使用することができる。図1に示されるような構成で管路内進行装置50を形成する場合、探査ユニット1からコントローラユニット8までの各ユニットの電源として前方のバッテリーユニット9が用いられ、第2バッテリーユニット9aがそれより後方の各ユニットに電源を供給するように構成されている。
【0023】
図1に示される例では、装置の最後尾に後スイッチ8aが設けられているが、これは装置の進行を開始する際にマニュアルでオンさせるために、装置を管路内に設置した後に装置全体を起動させるためのスイッチで、前述のように、リモート制御によりオンさせる構成にすれば、この後スイッチ8aはなくてもよい。また、図1には示されていないが、最後尾側に第2探査ユニットを設けることによりバックしながら再度検査をすることができる。また、探査しないで戻す場合には、図1に示される構成で、そのままバックさせることもできる。この装置の動作については後述する。
【0024】
なお、第2支持ユニット2aと第2ロックユニット4aは必要であるが、他のバッテリーユニット9より後ろの各ユニットはなくてもよい。逆に、さらに他の検査項目がある場合には、その各機能を有する検出ユニットを設けることができ、その場合、その機能ごとにガイドドライバユニットを設けることが、小さなユニットにより確実に制御を行うことができる点で好ましい。
【0025】
つぎに、この管路内進行装置50の動作について、図9〜12を参照しながら説明をする。
【0026】
まず、図10にフローチャートが示されるように、スイッチ(SW)をオン(ON)にして電源を投入する(S1)。プログラム上の流れとしては、前スイッチ(コントローラユニット8の起動スイッチ82)がオンであるか否かをチェックし(S2)、オンであれば(YES)、後スイッチ8aがオンであるかをチェックし(S3)、オンであれば(YES)スイッチ受付の工程に進む(S4)。いずれかのスイッチでオンになっていなければ(NO)、オンになるまでステップS2およびS3を繰り返す。
【0027】
スイッチ受付の工程(S4)は、両スイッチがオンにされることにより、いわゆる初期化が行われることを意味し、図11に示されるように、つぎの状態になる。すなわち、スイッチがオンであることは、LEDの点滅が3回行われることにより確認でき(S41)、全てのデータはクリアされる(S42)。また、支持ユニット2および第2支持ユニット2aのアーム24が閉じた状態、すなわち、ロックユニット4および第2ロックユニット4aの駆動スライド部42が押し出された状態で停止(オフに)されている。さらに、駆動ユニット7および第2駆動ユニット7aは、共に収納した状態で、停止(オフに)されている(S43)。なお、この状態では、曲管センサ6(第2曲管センサ6a)、自動停止センサ3(第2自動停止センサ3a)も、動作しないオフ状態になっている。この状態で管路内にセットされて、第2支持ユニット2aが作動可能、すなわち第2支持ユニット2aのアーム24aが開いた場合に管路の内壁に係合できる状態で、かつ、後スイッチ8aが操作できる状態にセットする。
【0028】
その後、後スイッチ8aがオンにされているかを確認し(S5)、後スイッチ8aがオンであれば(YES)、LEDが3回点滅してオンであることを表示する(S6)。オンになっていなければ(NO)、オンになるまで確認を繰り返す。LEDが点滅すれば、管路内の検査の動作に入る(S7)。
【0029】
つぎに、動作について図9および図12を参照しながら説明する。なお、図9では、支持ユニット2、駆動ユニット7、第2駆動ユニット7aおよび第2支持ユニット2aを主体に説明し、他のユニットは省略してある。まず、図9(a)に示されるように、支持ユニット2のアーム24は閉じた状態で、第2支持ユニット2aのアーム24aを開いた状態にする(S71)。なお、この際、アーム24aが管路内にきっちり係合しているかどうかを確認するために、第2自動停止センサ3aは不作動であることをチェックする。第2自動停止センサ3aが作動している場合、アーム24aが管路内に係合できていないため、管路内進行装置50が停止してしまうからである。つぎに、図9(b)に示されるように、駆動ユニット7および第2駆動ユニット7aのストローク部72、72aを突出させる(S72)。突出した状態で駆動ユニット7のモータ73を一旦オフにする。このストローク部72、72aを突出させた回数を初期化された状態からカウントアップ(UP)する(S73)。つぎに、図9(c)に示されるように、支持ユニット2のアーム24を開き(S74)、第2支持ユニット2aのアーム24aを閉じる(S75)。その後、駆動ユニット7および第2駆動ユニット7aのストローク部72、72aを収納する動作をさせると、支持ユニット2のアーム24がストッパとなって後ろに戻れないため、ストローク部72の突出分だけ駆動ユニット7および第2駆動ユニット7aが前進し、同様にストローク部72aの突出分だけ第2支持ユニット2aが前進してストローク部72、72aが収納され、全体のユニットが前進する。この動作を繰り返すことにより、駆動ユニット7のストローク部72および第2駆動ユニット7aのストローク部72aの長さの合計分ずつ前進することができ、蠕動する。
【0030】
この蠕動を繰り返して、探査ユニット1により管壁の状況を検出しながら進み、曲管センサ6が作動したか否かを調べる(S8)。曲管センサ6がオンのとき(YES)曲管動作をする(S9)。曲管動作は、曲管センサ6のオンデータを測定データカウントにマークすることにより行う。このときの駆動ユニット7のインチング(1ストローク分の前進の回数)をnインチングとして同時に記録する。その後は動作ステップS7に戻り、動作を続ける。曲管センサ6がオンでない場合(NO)、進行を続け異常の有無を検査し(S10)、異常がある場合(YES)、スタンバイ(S14)に飛んで停止する(S15)。異常とは、たとえば一定時間内に自動停止センサ3が作動した場合、すなわちまだ管路を出る時間ではないのに自動停止センサ3が作動した場合は完全異常と見なして終了させる。また、曲管センサ6がnストローク以上作動し続けたら、すなわち曲管センサ6が、同じ場所をぐるぐる回っているような曲がりを検出している場合は異常と見なす。この場合、t時間後再起動させる。しかし、2回目の異常が発生したら、完全に異常と見なして停止へ向かわせる。異常がない場合(NO)、自動停止センサ3がオンしているかをチェックする(S11)。自動停止センサ3がオンになっていないとき(NO)、ステップS7に戻り動作を繰り返す。自動停止センサ3がオンになっているとき(YES)、停止状態に入る(S12)。停止状態では、支持ユニット2および第2支持ユニット2aのアーム24、24aが開の状態で電源がオフになる。その後、コントローラユニット8の起動スイッチ(前SW)82をオンにし(S13)、オンであれば(YES)データを除いた他の部分がスタンバイ状態になり(S14)、起動スイッチ82のLEDが3回点滅して取出し可能となって停止する(S15)。起動スイッチ82がオンでなければ(NO)オンになるまで待機する。
【0031】
なお、スタート時の工程で、作動異常が発生した場合、支持ユニット2、第2支持ユニット2aのアーム24、24aが閉じた状態で、駆動ユニット7のストローク部72を収納した状態で電源をオフにする。この場合、管路内進行装置50そのものは、水流に流れやすい状態で停止させて、管路内の水流等により回収する。
【0032】
以上のように、本発明によれば、第1〜第4のガイドドライバユニット5a〜5dが設けられているため、制御部80で集中的に制御する必要がなく、各ユニットの近傍でその検出情報に基づいて直ちにその制御をすることができる。さらに、それぞれのガイドドライバユニットにより、個々の制御をすることができるため、その制御回路を小さくすることができ、カプセル自体を小さくすることができ、細い管路にも適用できる管内進行装置にすることができる。しかし、ガイドドライバユニットは、検出ユニットごとに設ける必要はなく、複数の検出ユニットの制御を受けもつことができる。そのため、ガイドドライバユニットは、1つですむ場合もある。
【符号の説明】
【0033】
1 探査ユニット
2 支持ユニット
2a 第2支持ユニット
3 自動停止センサ
3a 第2自動停止センサ
4 ロックユニット
4a 第2ロックユニット
5a〜5d 第1ないし第4ガイドドライバユニット
6 曲管センサ(検出ユニット)
6a 第2曲管センサ(検出ユニット)
7 駆動ユニット
7a 第2駆動ユニット
8 コントローラユニット
8a 後スイッチ
9 バッテリーユニット
9a 第2バッテリーユニット
10 連結手段
24 アーム
32、62 ホール素子
33、63 磁石
42 駆動スライド部
50 管路内進行装置
72 ストローク部
80 制御部
82 起動スイッチ
100 カプセル
101 棒状部
102 球状部
103 球状凹部
105 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットを揺動可能に連結した管路内進行装置であって、前記複数のユニットは、
管路の壁面の状態を検出する探査ユニットと、
管路の内壁と係合したり、解除したりする支持ユニットと、
隣り合うユニットを前進または後退させる駆動力を発生する駆動ユニットと、
前記管路の延びる方向を検出する検出ユニットと、
前記探査ユニット、前記支持ユニット、前記駆動ユニットおよび前記検出ユニットに接続される少なくとも一つのガイドドライバユニットと、
前記ガイドドライバユニットを制御する制御部、および前記制御部の起動スイッチを有するコントローラユニットと、
前記コントローラユニットおよび前記ガイドドライバユニットを経由して、前記探査ユニット、前記支持ユニット、前記駆動ユニットおよび前記検出ユニットに電力を供給するバッテリーユニットとを含むように構成されており、
前記制御部は、前記起動スイッチが操作されたときに管路内の進行制御および探査制御を開始し、前記支持ユニットが管路外へ出たときに管路内の進行制御および探査制御を停止するようにされていることを特徴とする管路内進行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−220478(P2012−220478A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90307(P2011−90307)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】