説明

箱詰め装置

【課題】構造を簡素化して製造コストを低減できる箱詰め装置を提供する。
【解決手段】箱詰め装置10は、複数の物品Tを列状に並べて整列させる物品整列装置14と、整列させられた複数の物品Tを列の側方に同時に押し出す物品押出し装置16と、物品押出し装置16で押し出されてきた複数の物品Tの上端部を把持する複数のチャック90を有し、複数の物品Tを外装箱Uの内部に押し込む物品押込み装置18と、物品押出し装置16で押し出されてきた複数の物品Tの上端部を複数のチャック90に押出し方向から案内する複数のアッパーガイド110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立可能な袋に内容物を充填した複数の物品を、段ボールケース等の外装箱の内部に収容する、箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー及びパスタソース等の液状物の包装には、自立可能な袋(以下、「スタンディングパウチ」という。)が用いられることがある。このスタンディングパウチは、一般に、側面視形状が略三角形となる立体形状(円錐形状等)に形成されており、スタンディングパウチに内容物を充填した物品も、スタンディングパウチとほぼ同じ形状になっている。つまり、スタンディングパウチを用いた物品の上部は、上方に向けて楔状に尖っている。そのため、当該物品を真空吸着パッドで上方から吸着することは困難であり、従来の箱詰め装置では、当該物品を外装箱の内部に自然落下させる方式や、把持手段で把持して外装箱の内部に押し込む方式(特許文献1,2参照)が採用されていた。
【0003】
特許文献1に記載された従来の箱詰め装置は、グリップ部を有する方向転換部と、把持爪部を有するアームとを備えている。そして、物品の第1側縁部がグリップ部で把持されることによって、物品が方向転換部に対して位置決めされ、方向転換部が回動されることによって、物品の第2側縁部が把持爪部に対して位置決めされる。また、物品の第2側縁部がアームの把持爪部で把持され、アームが駆動されることによって、物品が外装箱の内部に押し込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−208606号公報(図7)
【特許文献2】特開2010−6416号公報(図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の箱詰め装置(特許文献1)では、方向転換部によって物品の第2側縁部を把持爪部に対して正確に位置決めすることができるので、把持爪部で第2側縁部を確実に把持することができる。しかし、方向転換部の構成が複雑であるため、装置全体の製造コストが高くなるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、構造を簡素化して製造コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の箱詰め装置は、複数の物品を列状に並べて整列させる物品整列装置と、整列させられた前記複数の物品を列の側方に同時に押し出す物品押出し装置と、前記物品押出し装置で押し出されてきた前記複数の物品の上端部を把持する複数のチャックを有し、前記上端部を前記チャックで把持して前記複数の物品を外装箱の内部に押し込む物品押込み装置と、前記物品押出し装置で押し出されてきた前記複数の物品の上端部を前記複数のチャックに押出し方向から案内する複数のアッパーガイドとを備える。
【0008】
この構成では、物品押出し装置で押し出されてきた複数の物品のそれぞれの上端部を、複数のアッパーガイドによって対応するチャックに対して正確に位置決めすることができる。アッパーガイドは、物品の上端部を押出し方向からチャックに案内するものであり、例えば、一対のアッパーガイド片によって簡単に製造することができる。
【0009】
前記複数のアッパーガイドのそれぞれは、前記押出し方向に対して直交する方向に間隔を隔てて配置された第1アッパーガイド片及び第2アッパーガイド片を有し、前記第1アッパーガイド片と前記第2アッパーガイド片との間隔は、前記物品整列装置側の端部から前記物品押込み装置側の端部に向けて狭くなっていてもよい。
【0010】
この構成では、第1アッパーガイド片と第2アッパーガイド片との間隔が、物品整列装置側の端部から物品押込み装置側の端部に向けて狭くなっているので、物品の上端部を、物品を押し出す過程で徐々に位置調整しながら、対応するチャックに対して正確に案内することができる。
【0011】
前記第1アッパーガイド片及び前記第2アッパーガイド片の互いに対向する内面は、内側に向けて膨らむように湾曲して形成されていてもよい。
【0012】
この構成では、平面視で第1アッパーガイド片及び第2アッパーガイド片の内面に接する接線の方向を、物品押込み装置側の端部において押出し方向に近づけることができるので、物品の上端部を対応するチャックに対してより正確に案内することができる。
【0013】
前記複数のアッパーガイドを支持する支持部材と、前記支持部材に前記複数のアッパーガイドを前記押出し方向に対して直交する方向に移動可能に取り付ける取付部とを備えてもよい。
【0014】
この構成では、アッパーガイドを押出し方向に対して直交する方向に移動させることができるので、同時に箱詰めされる物品の数やサイズが変更される場合でも、容易に対応することができる。
【0015】
前記物品押出し装置で押し出される前記複数の物品の押出し経路において前記支持部材を着脱可能に支持するガイド支持部を備えてもよい。
【0016】
この構成では、支持部材、取付部及び複数のアッパーガイドの全体をガイド支持部に対して着脱することが可能であり、これらの全体をガイド支持部から取り外すことによって、アッパーガイドの位置調整等を簡単に行うことができる。
【0017】
前記取付部は、前記支持部材に前記押出し方向に対して直交する方向に延びて形成された長孔と、前記複数のアッパーガイドのそれぞれに設けられた雌ねじ部材と、前記長孔に挿通されるとともに、前記雌ねじ部材に螺合される雄ねじ部材とを有してもよい。
【0018】
この構成では、長孔と雌ねじ部材と雄ねじ部材とによって取付部を簡単に製造することができる。
【0019】
前記第1アッパーガイド片及び前記第2アッパーガイド片は互い独立して設けられ、前記第1アッパーガイド片及び前記第2アッパーガイド片のそれぞれに前記雌ねじ部材が設けられてもよい。
【0020】
この構成では、第1アッパーガイド片と第2アッパーガイド片との間隔を適宜調整することができる。
【0021】
前記物品押出し装置は、前記複数のアッパーガイドの下方において、前記複数の物品を前記押出し方向に押圧する押出し部を有してもよい。
【0022】
この構成では、複数のアッパーガイドのそれぞれと押出し部とが干渉するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、アッパーガイドの構造を簡素化して、装置全体の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係る箱詰め装置の構成を示す正面図である。
【図2】実施形態に係る箱詰め装置の構成を示す平面図である。
【図3】実施形態に係る箱詰め装置の主要部の構成を示す斜視図である。
【図4】物品押込み装置の主要部の構成を示す斜視図である。
【図5】ガイド装置の構成を示す平面図である。
【図6】ガイド装置の主要部の構成を示す斜視図である。
【図7】チャックとアッパーガイドと物品と押圧部との位置関係を示す正面図である。
【図8】チャックを閉じた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
[箱詰め装置の全体構成]
図1は実施形態に係る箱詰め装置10の構成を示す正面図であり、図2は実施形態に係る箱詰め装置10の構成を示す平面図であり、図3は実施形態に係る箱詰め装置10の主要部の構成を示す斜視図である。なお、図面中の矢印で示すように、以下の説明で用いる前、後、左、右、上、下の方向は、箱詰め装置10を正面(図1)から見たときの方向と一致する。
【0027】
図1に示すように、箱詰め装置10は、複数(本実施形態では4個)の物品Tを整列させて物品集合体Xを構成するとともに、これらの物品Tを、物品集合体Xを単位として段ボールケースやダース箱等の外装箱Uの内部に自動収容するものである。ここで、物品Tは、シャンプー及びパスタソース等の液状物をスタンディングパウチで包装したものであり、物品Tの上部は上方に向けて楔状に尖っている。
【0028】
図1及び図2に示すように、箱詰め装置10は、縦ピロー包装機等のような前段の装置(図示省略)から物品Tを導入する物品導入装置12と、複数の物品Tを列状に並べて整列させる物品整列装置14と、整列させられた複数の物品Tからなる物品集合体Xを前方に押し出す物品押出し装置16と、押し出されてきた物品集合体Xを外装箱Uの内部に押し込む物品押込み装置18と、押し出されてきた複数の物品Tの上端部を物品押込み装置18に押出し方向から案内するガイド装置20とを備えている。また、箱詰め装置10は、これらの装置を支持するフレーム22と、装置12,14,16,18を統一的に制御する制御装置24(図1)とを備えている。
【0029】
図1に示すように、フレーム22は、パイプ状又は棒状の部材や板状の部材を互いに接合することによって構成されており、図2に示すように、フレーム22の前部には、物品集合体Xが上から下に通過する開口Wが設けられている。そして、フレーム22の後部には、物品導入装置12及び物品整列装置14が左右に並んで設けられており、フレーム22の前部における開口Wと対応する部分には、物品押込み装置18が設けられている。また、フレーム22の上部における物品整列装置14と物品押込み装置18とに跨る領域には、物品押出し装置16が設けられている。さらに、物品押出し装置16における押出し経路Rには、ガイド装置20が設けられている。制御装置24(図1)は、CPUと、制御プログラム及び各種のデータを記憶する記憶装置とを有しており、CPUで制御プログラムが実行されることによって、装置12,14,16,18による一連の箱詰め動作が実行される。
【0030】
[物品導入装置の構成]
図1に示すように、物品導入装置12は、左右方向に間隔を隔てて配置された一対のローラ26(右側のローラ26は図示省略)と、一対のローラ26間に掛け渡された無端ベルト28と、一対のローラ26のうち少なくとも一方を駆動するモータ(図示省略)とを有している。縦ピロー包装機等のような前段の装置(図示省略)から物品導入装置12に複数の物品Tが順次供給されると、これらの物品Tは、無端ベルト28に載置されて左方に向けて搬送され、無端ベルト28の左側の端部から物品整列装置14に与えられる。
【0031】
[物品整列装置の構成]
図1及び図2に示すように、物品整列装置14は、複数の物品Tを立てた状態で一列に整列させるものであり、複数の物品Tを一方向(本実施形態では左方向)に搬送する搬送面30aを有する無端軌道30と、無端軌道30の搬送面30aに搬送方向に間隔を隔てて設けられた複数のフィン32とを有している。
【0032】
図3に示すように、無端軌道30は、前方から後方に向けて互いに平行に並んで配置された第1ベルト34a、第2ベルト34b、第3ベルト34c及び第4ベルト34dを有しており、これらのベルト34a〜34dの表面が搬送面30aとなっている。そして、第1ベルト34a及び第3ベルト34cが、左右方向に間隔を隔てて設けられた一対のプーリー36(左側のプーリー36は図示省略)間に掛け渡されており、第2ベルト34b及び第4ベルト34dが、左右方向に間隔を隔てて設けられた一対のプーリー38(左側のプーリー38は図示省略)間に掛け渡されている。
【0033】
図1に示すように、一対のプーリー36(図3)のうち少なくとも一方には、第1駆動部37が接続されており、一対のプーリー38(図3)のうち少なくとも一方には、第2駆動部39が接続されている。第1駆動部37及び第2駆動部39のそれぞれは、高精度の位置制御が可能なモータ(ステッピングモータ及びサーボモータ等)37a,39aを有しており、これらのモータ37a,39aが制御装置24に電気的に接続されている。
【0034】
図3に示すように、複数のフィン32は、複数の物品Tを立てた状態で保持する板状部材であり、本実施形態では、4個の物品Tを保持する5枚のフィン32が1組となって1つのフィン群40が構成されており、複数のフィン郡40が無端軌道30の搬送面30a上に所定の間隔を隔てて配置されている。2枚のフィン32間に物品Tを立てた状態において、物品Tを後方又は前方から見たときの形状は略三角形(図1)であり、物品Tを左方又は右方から見たときの形状は略四角形(図3から推測できる。)であり、物品Tを上方又は下方から見たときの形状は略楕円形(図2)である。
【0035】
各フィン郡40において、隣接するフィン32どうしの間隔は、物品Tの厚さよりも大きく設計されている。そして、搬送面30a上に並ぶ複数のフィン郡40に連続番号を付したと仮定すると、奇数番号が付されたフィン郡40を構成する各フィン32が、第1ベルト34a及び第3ベルト34cに取り付けられており、偶数番号が付されたフィン郡40を構成する各フィン32が、第2ベルト34b及び第4ベルト34dに取り付けられている。したがって、奇数番目のフィン郡40と偶数番目のフィン郡40とを別々に駆動させることができる。例えば、図3に示すように、先行するフィン郡40を物品整列位置P1で停止させた状態で、後続するフィン郡40を物品受入れ位置P2で停止させたり、或いは、物品整列位置P1に向けて移動させたりすることができる。
【0036】
[物品押出し装置の構成]
図2に示すように、物品押出し装置16は、列状に並べられた複数の物品Tを物品整列位置P1から列の側方(本実施形態では前方)に向けて同時に押し出すものであり、直動機構44と、押出し部46と、ロアガイド48と、ストッパ部50とを有している。
【0037】
図2に示すように、直動機構44は、前後方向に延びて配置されたリニアレール52と、リニアレール52に対して往復移動可能に取り付けられた往復テーブル54と、リニアレール52の前端部及び後端部の近傍に配置された一対のプーリー56a,56bと、これらのプーリー56a,56b間に掛け渡された無端ベルト58と、一方のプーリー56aを駆動するモータ60とを有している。そして、無端ベルト58に対して往復テーブル54が固定されている。モータ60は、高精度の位置制御が可能なステッピングモータ及びサーボモータ等であり、モータ60が制御装置24(図1)に電気的に接続されている。したがって、モータ60でプーリー56aを正転又は逆転させると、無端ベルト58が正転又は逆転され、これに伴って往復テーブル54が前方又は後方に往復移動される。
【0038】
図3に示すように、押出し部46は、複数の物品Tを物品押込み装置18に向けて押し出すものであり、左右方向に延びる支持アーム62と、支持アーム62に取り付けられた複数(本実施形態では4枚)の押出しプレート64とを有している。押出しプレート64は、2枚のフィン32間に収容された物品Tを押出し方向に押圧する略四角形の板状部材であり、隣り合う2枚の押出しプレート64の間には、フィン32が通るスリット64aが形成されている。そして、押出しプレート64の上端部が、支持アーム62に固定されており、支持アーム62の端部が往復テーブル54に固定されている。
【0039】
図2に示すように、ロアガイド48は、複数の物品T(物品集合体X)の下部を物品押込み装置18に対して押出し方向から案内するものであり、押出し部46で押し出されてきた複数の物品T(物品集合体X)の列方向両側に配置された第1ロアガイド片48a及び第2ロアガイド片48bを有している。第1ロアガイド片48a及び第2ロアガイド片48bのそれぞれは、互いに対向して配置された略四角形の板状部材であり、第1ロアガイド片48aと第2ロアガイド片48bとの間隔は、フィン群40の両側に位置する2枚のフィン32間の間隔とほぼ同じか、それよりも大きく、かつ、複数の押出しプレート64の全体の幅(左右方向長さ)より大きく設計されている。図3に示すように、ストッパ部50は、複数の物品T(物品集合体X)を受け止める板状部材であり、開口Wの前端縁に沿って配置されている。
【0040】
[物品押込み装置の構成]
図4は、物品押込み装置18の主要部の構成を示す斜視図である。図3に示すように、物品押込み装置18は、シャッタ66と、物品保持部68と、複数の物品Tを把持して外装箱Uの内部に押し込む押込み部70と、外装箱搬送装置72とを備えている。
【0041】
図3に示すように、シャッタ66は、フレーム22(図2)の開口Wを開閉するものであり、開口Wに移動可能に設けられた左右一対の開閉プレート74a,74bを有している。図2に示すように、物品保持部68は、開閉プレート74a,74bの上面に載置された複数の物品T(すなわち物品集合体X)を左右方向から保持するものであり、左右一対の保持プレート76a,76bと、保持プレート76a,76bを複数の物品T(物品集合体X)に押し当てる押圧装置78a,78bとを有している。図1に示すように、押込み部70は、フレーム22に設けられた昇降タワー80と、昇降タワー80に昇降自在に取り付けられた昇降アーム82と、昇降アーム82の下端部に取り付けられたチャックユニット84と、昇降アーム82を昇降させる昇降装置(図示省略)と、フレーム22に設けられ、エア供給口86a,86bを支持する支柱88とを有している。
【0042】
図4に示すように、チャックユニット84は、物品押出し装置16で押し出されてきた複数の物品Tのそれぞれの上端部を個別に把持する複数(本実施形態では4つ)のチャック90と、複数のチャック90を支持する基台92とを有している。複数のチャック90のそれぞれは、エアによって開閉駆動される左右一対の把持部90a,90bを有しており、把持部90a,90bの互いに対向する内面には、ウレタンゴム等からなる緩衝部材93が取り付けられている。基台92は、複数のチャック90を上方から支持する板状部材であり、基台92の上面の周縁部には、継ぎ手部94、第1エア分配部96及び第2エア分配部98が設けられている。そして、エア供給口86a(図1)と、継ぎ手部94と、第1エア分配部96と、複数のチャック90のそれぞれとが第1系統のエアチューブ(図示省略)を介して接続されており、エア供給口86b(図1)と、継ぎ手部94と、第2エア分配部98と、複数のチャック90のそれぞれとが第2系統のエアチューブ(図示省略)を介して接続されている。
【0043】
図1に示すように、外装箱搬送装置72は、外装箱昇降装置100と、外装箱搬入装置102と、外装箱搬出装置104とを有している。外装箱昇降装置100は、空の外装箱Uを開口Wの直下に位置する所定の箱詰位置P3まで上昇させるとともに、複数の物品Tが収容された外装箱Uを所定の降下位置P4まで降下させるものであり、外装箱Uを支持するテーブル100aと、テーブル100aを昇降させる昇降機構100bとを有している。
【0044】
[ガイド装置の構成]
図5はガイド装置20の構成を示す平面図であり、図6はガイド装置20の主要部の構成を示す斜視図である。また、図7はチャック90とアッパーガイド110と物品Tと押出し部46との位置関係を示す正面図であり、図8はチャック90を閉じた状態を示す正面図である。
【0045】
図5及び図6に示すように、ガイド装置20は、複数のアッパーガイド110と、複数のアッパーガイド110を支持する支持部材112と、支持部材112に複数のアッパーガイド110を押出し方向に対して直交する方向に移動可能に取り付ける取付部114とを有している。
【0046】
図1に示すように、複数のアッパーガイド110のそれぞれは、物品押出し装置16で押し出されてきた複数の物品Tの上端部を複数のチャック90に押出し方向から案内するものであり、図6に示すように、押出し方向に対して直交する方向に間隔を隔てて配置された第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bを有している。
【0047】
図6に示すように、第1アッパーガイド片116aは、物品Tの上端部を左方から案内する板状の第1ガイド本体118aと、第1ガイド本体118aの下端縁から外側に突出して形成された第1補強部120aと、第1ガイド本体118aの外面に上下方向に延びて設けられた少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の第1雌ねじ部材122aとを有している。一方、第2アッパーガイド片116bは、物品Tの上端部を右方から案内する板状の第2ガイド本体118bと、第2ガイド本体118bの下端縁から外側に突出して形成された第2補強部120bと、第2ガイド本体118bの外面に上下方向に延びて設けられた少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の第2雌ねじ部材122bとを有している。
【0048】
第1アッパーガイド片116aと第2アッパーガイド片116bとの間隔は、物品整列装置14側(後側)の端部から物品押込み装置18側(前側)の端部に向けて徐々に狭くなっており、第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bの互いに対向する内面、すなわち第1ガイド本体118a及び第2ガイド本体118bの互いに対向する内面は、内側に向けて膨らむように湾曲して形成されている。これにより、平面視において第1ガイド本体118a及び第2ガイド本体118bのそれぞれの内面に接する接線の方向が、物品押込み装置18側(前側)の端部において押出し方向(すなわち押出し方向に延びる直線に対して平行方向)に近づけられており、物品Tの上端部を対応するチャック90(図1)に対して正確に案内できるようになっている。
【0049】
第1ガイド本体118a及び第2ガイド本体118bのそれぞれの前後方向長さは、特に限定されるものではないが、図3に示すように、本実施形態では、物品整列位置P1に配置されたフィン32の前端部からチャック90の後端部までの距離とほぼ同じ長さに設計されている。したがって、フィン32から押し出された直後から物品Tをアッパーガイド110で案内することが可能であり、物品Tの転倒を防止しつつ、これをチャック90に確実に案内することができる。
【0050】
図6に示すように、第1雌ねじ部材122a及び第2雌ねじ部材122bのそれぞれは、上部内面に雌ねじが形成された管状の部材であり、第1雌ねじ部材122a及び第2雌ねじ部材122bの長さによって、支持部材112に対する第1ガイド本体118a及び第2ガイド本体118bの相対的な高さ方向位置が決められている。
【0051】
図5に示すように、支持部材112は、左右方向に延びて互いに平行に配置された略棒状の第1部材124a及び第2部材124bと、前後方向に延びて互いに平行に配置された略棒状の第3部材124c及び第4部材124dとによって、平面視略四角形の枠状に形成されている。そして、第1部材124a及び第2部材124bのそれぞれには、左右方向に延びる第1長孔126a及び第2長孔126bが形成されている。また、第2部材124bと第3部材124cとで構成されたコーナ部、及び第2部材124bと第4部材124dとで構成されたコーナ部のそれぞれには、フレーム22に固定される板状の固定部128が形成されており、図6に示すように、固定部128には、ねじ孔128aが形成されている。
【0052】
一方、図5に示すように、フレーム22は、ガイド装置20の支持部材112を複数の物品Tの押出し経路Rにおいて着脱可能に支持する「ガイド支持部」としての機能を有している。つまり、フレーム22は、固定部128に対して上方から当接する板状の当接部22aを有しており、当接部22aにおけるねじ孔128a(図6)と対応する位置には、貫通孔又はスリット(図示省略)が形成されている。そして、当該貫通孔又はスリットには、上方から固定ねじ130が挿通されており、この固定ねじ130がねじ孔128aに螺合されることによって、固定部128が当接部22aに着脱可能に固定されている。本実施形態では、固定ねじ130がハンドル130aを有しており、固定ねじ130を人の手で操作できるようになっている。
【0053】
図6に示すように、取付部114は、支持部材112に形成された第1長孔126a及び第2長孔126bと、第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bのそれぞれに形成された第1雌ねじ部材122a及び第2雌ねじ部材122bと、ボルト等の雄ねじ部材132とを有している。そして、第1長孔126a及び第2長孔126bに上方から雄ねじ部材132が挿通され、この雄ねじ部材132が第1雌ねじ部材122aに螺合されることによって、第1アッパーガイド片116aが支持部材112に取り付けられている。また、第1長孔126a及び第2長孔126bに上方から他の雄ねじ部材132が挿通され、この雄ねじ部材132が第2雌ねじ部材122bに螺合されることによって、第2アッパーガイド片116bが支持部材112に取り付けられている。
【0054】
雄ねじ部材132を緩めた状態では、第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bを、第1長孔126a及び第2長孔126bに沿って左右方向に移動させることができる。これにより、第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bの左右方向位置を個別に調整できるとともに、これらの間隔を左右方向において適宜調整することができる。
【0055】
図7に示すように、本実施形態では、第1ガイド本体118a及び第2ガイド本体118bが物品Tの上端部を押出し部46の上方で案内できるように、フレーム22に対する支持部材112の固定位置(図5)が設計されており、また、第1雌ねじ部材122a及び第2雌ねじ部材122bの長さ(図6)が設計されている。したがって、押出し部46が前後方向に往復移動する際には、アッパーガイド110が押出し部46に接触するのを防止できる。また、図7に示すように、本実施形態では、第1ガイド本体118a及び第2ガイド本体118bのそれぞれの前端部の内面が開状態にあるチャック90の内面(本実施形態では緩衝部材93の内面)より内側に配置されるように、第1ガイド本体118a及び第2ガイド本体118bの左右方向の位置が調整される。したがって、物品押出し装置16で押し出されてきた物品Tの上端部をチャック90の内側の領域に確実に案内することが可能であり、その後の工程では、物品Tの上端部をチャック90で確実に把持することができる。
【0056】
[箱詰め装置の動作]
制御装置24(図1)で制御プログラムが実行されると、物品導入工程、物品整列工程、物品押出し工程及び物品押込み工程がこの順に実行される。
【0057】
図2に示すように、物品導入工程では、縦ピロー包装機等のような前段の装置(図示省略)から供給された複数の物品Tが、物品導入装置12によって物品整列装置14に向けて順次搬送される。物品整列工程では、導入された複数の物品Tが列状に並べられ、物品集合体Xが構成される。図3に示すように、物品押出し工程では、物品押出し装置16による複数の物品Tの押出し動作が実行され、複数の物品Tが開閉プレート74a,74bの上面まで押し出される。このとき、複数の物品Tのそれぞれの上端部がアッパーガイド110によって対応するチャック90に対して正確に案内される。図8に示すように、物品押込み工程では、まず、複数の物品Tが複数のチャック90で把持される。また、図1中の二点鎖線で示すように、空の外装箱Uが、外装箱搬送装置72の外装箱搬入装置102及び外装箱昇降装置100によって箱詰位置P3まで搬送される。そして、開口Wが開かれるとともに昇降アーム82およびチャックユニット84が降下され、チャック90で把持された複数の物品Tが外装箱Uの内部に押し込まれる。外装箱Uに所定数の物品Tが収容されると、外装箱Uが降下位置P4まで降下され、外装箱搬出装置104によって搬出される。
【0058】
本実施形態によれば、物品押出し装置16で押し出されてきた複数の物品Tのそれぞれの上端部を、複数のアッパーガイド110によって対応するチャック90に対して正確に位置決めすることができるので、チャック90による物品Tの把持を確実にして、物品Tの落下による箱詰め不良を防止できる。また、アッパーガイド110は、金属板等によって簡単に製造することができるので、装置全体の製造コストを低減することができる。
【0059】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、物品押出し装置16の押出し経路Rに、複数の物品Tの上端部を案内する複数のアッパーガイド110が設けられているが、他の実施形態では、物品押込み装置18のチャックユニット84にアッパーガイドが設けられてもよい。例えば、チャックユニット84の基台92に複数のアッパーガイドが取り付けられてもよいし、チャック90の把持部90a,90bにアッパーガイドの一対のアッパーガイド片が取り付けられてもよい。ただし、これらの場合には、アッパーガイドがチャックユニット84と共に開口Wを通過するので、アッパーガイドの全体が、平面視で開口Wの内側に配置される必要がある。
【符号の説明】
【0060】
T… 物品
10… 箱詰め装置
14… 物品整列装置
16… 物品押出し装置
18… 物品押込み装置
22… フレーム(ガイド支持部)
46… 押出し部
90… チャック
110… アッパーガイド
112… 支持部材
114… 取付部
116a… 第1アッパーガイド片
116b… 第2アッパーガイド片
122a,122b… 雌ねじ部材
126a,126b… 長孔
132… 雄ねじ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を列状に並べて整列させる物品整列装置と、
整列させられた前記複数の物品を列の側方に同時に押し出す物品押出し装置と、
前記物品押出し装置で押し出されてきた前記複数の物品の上端部を把持する複数のチャックを有し、前記上端部を前記チャックで把持して前記複数の物品を外装箱の内部に押し込む物品押込み装置と、
前記物品押出し装置で押し出されてきた前記複数の物品の上端部を前記複数のチャックに押出し方向から案内する複数のアッパーガイドとを備える、箱詰め装置。
【請求項2】
前記複数のアッパーガイドのそれぞれは、前記押出し方向に対して直交する方向に間隔を隔てて配置された第1アッパーガイド片及び第2アッパーガイド片を有し、
前記第1アッパーガイド片と前記第2アッパーガイド片との間隔は、前記物品整列装置側の端部から前記物品押込み装置側の端部に向けて狭くなっている、請求項1に記載の箱詰め装置。
【請求項3】
前記第1アッパーガイド片及び前記第2アッパーガイド片の互いに対向する内面は、内側に向けて膨らむように湾曲して形成されている、請求項2に記載の箱詰め装置。
【請求項4】
前記複数のアッパーガイドを支持する支持部材と、
前記支持部材に前記複数のアッパーガイドを前記押出し方向に対して直交する方向に移動可能に取り付ける取付部とを備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の箱詰め装置。
【請求項5】
前記物品押出し装置で押し出される前記複数の物品の押出し経路において前記支持部材を着脱可能に支持するガイド支持部を備える、請求項4に記載の箱詰め装置。
【請求項6】
前記取付部は、
前記支持部材に前記押出し方向に対して直交する方向に延びて形成された長孔と、
前記複数のアッパーガイドのそれぞれに設けられた雌ねじ部材と、
前記長孔に挿通されるとともに、前記雌ねじ部材に螺合される雄ねじ部材とを有する、請求項4又は5に記載の箱詰め装置。
【請求項7】
前記第1アッパーガイド片及び前記第2アッパーガイド片は互い独立して設けられ、
前記第1アッパーガイド片及び前記第2アッパーガイド片のそれぞれに前記雌ねじ部材が設けられる、請求項6に記載の箱詰め装置。
【請求項8】
前記物品押出し装置は、前記複数のアッパーガイドの下方において、前記複数の物品を前記押出し方向に押圧する押出し部を有する、請求項1ないし7のいずれかに記載の箱詰め装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−18516(P2013−18516A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152799(P2011−152799)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】