説明

【課題】 従来の箱はICタグとアンテナが一箇所に集中して設けられていたため、例えば箱の前後が逆になっていた場合、ICタグと送受信機等が交信できずにエラーになる。従って従来の箱で物品を流通させる場合、箱の向きに常に注意して取り扱う必要があるため、使い勝手が非常に悪かった。また、送受信機等がハンディタイプである場合、ICタグの位置を確認してそこに送受信機等を向かわせるまでの作業が時間のロスになっていた。
【解決手段】 周壁構成板3a〜3dの上部にICタグ7を設置すると共に開口部4の周りをICタグ用のアンテナ8で環状に囲うようにした箱1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として物品の保管又は輸送に使用する箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ICタグとアンテナを備え、受信機又は送受信機とICタグ間でデータを交信するようにした箱が例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2002−234542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の箱はICタグとアンテナが一箇所に集中して設けられていたため、例えば箱の前後が逆になっていた場合、ICタグと送受信機等が交信できずにエラーになる。従って従来の箱で物品を流通させる場合、箱の向きに常に注意して取り扱う必要があるため、使い勝手が非常に悪かった。また、送受信機等がハンディタイプである場合、ICタグの位置を確認してそこに送受信機等を向かわせるまでの作業が時間のロスになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載したように、周壁構成板の上部にICタグを設置すると共に開口部の周りをICタグ用のアンテナで環状に囲うようにした箱を提供する。
また、請求項2に記載したように、周壁構成板の上端に枠材を被せて上面の開口縁をその枠材で縁取りし、その枠材内の任意の場所にICタグを設置すると共に枠材内にICタグ用のアンテナを設けた請求項1記載の箱を提供する。
また、請求項3に記載したように、前記周壁構成板の上端を多重に形成し、その周壁構成板の重合面間に前記アンテナを設けるようにした請求項1又は2記載の箱を提供する。
また、請求項4に記載したように、前記周壁構成板の上部に切欠を形成し、その切欠内にICタグを収めるようにした請求項1乃至3の何れか1項に記載の箱を提供する。
また、請求項5に記載したように、前記ICタグは、ICチップと、そのICチップを収めるチップホルダーで形成し、さらにチップホルダーにアンテナの巻回部を設けてなる請求項4記載の箱を提供する。
【発明の効果】
【0005】
ICタグ用のアンテナで開口部の周りを環状に囲ったため、箱が前後左右のどちらを向いていても送受信機等とICタグとの通信が可能であり、従って箱の向きに注意を払う煩わしさがない。また、物品を出し入れする際に物品がアンテナで囲われた領域を通過するため、ICタグに物品情報を記録するような場合にも都合がよい。
【0006】
また、請求項2のように周壁構成板の上端に枠材を被せてその中にICタグやアンテナを設けるようにすれば、ICタグやアンテナが外部に露出しないため損傷等の危険がなく、また、ICタグが悪戯や盗み目的で外されるおそれもない。特に請求項3のように周壁構成板を多重にしてその重合面間にアンテナを挟むようにすれば、アンテナの安全性がさらに向上する。
【0007】
また、請求項4のように周壁構成板の上部に切欠を形成してその切欠内にICタグを収めるようにすれば、ICタグが周壁構成板の厚みに没するから外部に出っ張りにくい。
【0008】
また、請求項5のようにICタグをICチップとチップホルダーの組み合わせとした場合には、チップホルダーの外形を周壁構成板の切欠に合わせて形成すると共にそのチップホルダーに安価な市販のICチップを収めるチップ座を形成する、というようにチップホルダー次第で如何様にも対応できるため、切欠にフィットするICタグが安価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施形態1]
以下に本発明の実施形態1を図1〜図4に基づき説明する。なお、図1は箱の分解斜視図、図2は箱の斜視図、図3は箱の縦断面図、図4(a)はICタグの分解斜視図、図4(b)はICタグの斜視図である。
【0010】
箱1は、図1,図2に示したように、例えば四角い底板2の周囲に矩形の周壁構成板3a〜3dを立設して上面に開口部4を形成したものである。底板2と周壁構成板3a〜3dの材質は、紙、木、合成樹脂等何でもよい。また、箱1は、周壁構成板3a〜3dの上端に断面下向きコ字状の枠材5a〜5dを被せて開口縁をその枠材5a〜5dで縁取りし、さらに開口部4のコーナーにコーナー部材6,6…を固着してなる。各コーナー部材6は合成樹脂の一体成型品であって、平面視L字型の水平板6aと、その水平板6aの両側縁から下向きに垂設した二片のクランプ板6b,6bと、水平板6aの外側縁に上向きに突設した囲い枠6cとからなり、二片のクランプ板6b,6bを前記枠材5a〜5dの外側に被せてその枠材5a〜5dに溶着、接着、鋲着、嵌め殺し等の適宜な手段で固着する。従って4本の枠材5a〜5dはコーナー部材6,6…によって額縁状に連結される。
【0011】
しかして本発明は、周壁構成板3a〜3dの上部にICタグ7を設置すると共に開口部4の周りをICタグ7用のアンテナ8で環状に囲ったことを要旨とする。
【0012】
前記ICタグ7は、図4(a),(b)に示したように、合成樹脂製のチップホルダー7aとICチップ7bを組み合わせてなる。
前記ICチップ7bは公知のものであり、コイン形態のケース内に例えば無線用の送受信機と、情報を記録するメモリと、受信した情報のメモリへの書込やメモリ情報を読み出して送信する情報処理用の中央演算処理装置、等を有する。なお、ICタグ7のICチップ7bはバッテリーレスであり、アンテナ8を介して無接触にて外部から電源電圧を得る。
【0013】
前記チップホルダー7aは、合成樹脂の成型品であり、ICチップ7bを保持するチップ座7cを備えた主板7dと、その主板7dの裏側にあって線状のアンテナ8を巻き付ける巻線部7eを有する副板7fで構成される。主板7dの前記チップ座7cはICチップ7bがぴったり収まる円形の窪みであり、実施形態ではその窪みの外縁の一部にICチップ7bの縁に指を掛けやすくするための凹欠部7gが設けてある。この凹欠部7gを使えばチップ座7cからICチップ7bが容易に取り外せるため、箱1のリサイクルに際しICチップ7bの分離・回収が効率よく簡単に行える。一方、前記副板7fは主板7dより横長にして横方向に張り出させ、その張出部7hにアンテナ8を通す上下2本の案内突起7i,7jが設けてある。この案内突起7i,7jは上下何れか一方(実施形態では下)の案内突起7j(又は7i)を高くしてある。こうすることにより、高い方の案内突起7j(又は7i)に当たったアンテナ8が案内突起7i,7j間に自然に導かれるから、案内突起7i,7j間にアンテナ8を通す作業の作業性が向上する。
【0014】
前記アンテナ8は1本の連続した長い導電線であり、図1に示したようにICタグ7の前記巻線部7eにICチップ7bの仕様に従い複数回(例えば3回)巻き付け、さらに両端同士を例えば撚るなどして環状に繋いだものである。
【0015】
以上の構成よりなるICタグ7とアンテナ8は前記箱1に対し次のようにして取り付けられている。すなわち、図1に示したように箱1の周壁構成板3aの上縁にICタグ7のチップホルダー7aにフィットする切欠9を形成し、その切欠9にICタグ7を収める。一方、全ての周壁構成板3a〜3dの上部外周に横向きの凹溝10を形成し、その凹溝10にアンテナ8を収める。なお、アンテナ8の両端を撚って繋いだ部分は太くなるため、周壁構成板3a又は3bのコーナー部分に設けた逃がしスペース11に収めておく。なお、図9に示したようにICタグ7を設けた周壁構成板3aと対向する周壁構成板3cにICチップ7bを設けない空のチップホルダー7aを設置し、そのチップホルダー7aの巻線部7eにアンテナ8を複数回巻き付けるようにすればアンテナ8の感度を高めることができる。
【0016】
次ぎに周壁構成板3a〜3dの上端に枠材5a〜5dを被せて開口縁をその枠材5a〜5dで縁取りする。そうすると、ICタグ7とアンテナ8の全てが枠材5a〜5d内に隠れ、外部から全く見えない状態になる。そしてさらに枠材5a〜5d同士をコーナー部材6,6…で連結する。
【0017】
実施形態1の箱1は以上の構成であってICタグ7のアンテナ8が開口部4の周りを環状に囲っているため、ICタグ7の位置に関係なく受信機や送受信機が箱1の周りのどの方向にあっても確実に交信することができる。また、アンテナ8が開口部4の周りを囲っているため、アンテナ8の感度次第では開口部4の上からでもICタグ7と送受信機等が交信できる。
【0018】
[実施形態2]
図5〜図8は本発明の実施形態2を示すもので、図5は箱の分解斜視図、図6は箱の斜視図、図7は箱の縦断面図、図8は箱のさらなる分解斜視図である。なお、図5〜図8及び図9,図10において実施形態1と同符号の部材は、特段の説明がない限り実施形態1と同一又は同機能の部材である。
【0019】
実施形態2の箱1は、折り畳み自在構造であって、向かい合う二つの周壁構成板3b,3dをその上縁の折曲線12を中心にして内向き揺動自在となし、残る二つの周壁構成板3a,3cを図7二点鎖線に示したように、中央の折曲線13を中心にして屏風折り自在とし、そのような周壁構成板3a〜3dの組み合わせにより扁平な状態に折り畳み得る。
【0020】
箱1を構成する底板2や周壁構成板3a〜3dは、ポリプロピレンを発泡させた合成樹脂板(以下発泡板という。)の両面にポリプロピレンの薄いフィルムを貼着した複合構造であって全体が約5mm程度の厚さである。前記周壁構成板3a〜3dの各ヒンジ部(折曲線12,13等)は、発泡板の深さの途中まで切込線を入れ、片方のフィルムを無傷のまま残しその残ったフィルムをヒンジの中心にして曲げ伸ばしするようにしたものである(以下このような切込線を「ハーフカットの切込線」という。)。
【0021】
各周壁構成板3a〜3dの上端はハーフカットの切込線を設けて折り返すことにより2重となし、その重合面間に前記アンテナ8を挟み込む。一方、そのような多重折返し部に対応する枠材5a(枠材5b〜5dも同じ。)は、周壁構成板3a(周壁構成板3b〜3dも同じ。)が2枚収まる広さの角穴を有するパイプ状であって周壁構成板3aが1枚通る開口14を底に設けた形態であり、周壁構成板3aに対して横からスライドさせて装着する。よって枠材5aは、周壁構成板3aに対して特段の固着手段を設けなくとも折返し部による引っ掛かりがあるため上向きに引いても抜けるおそれがない。
【0022】
また、実施形態2の箱1には1つの枠材5cに基端を取り付けた開閉自在な蓋15が設けられている。この蓋15に対応するため枠材5cは、中央に水平な仕切16を設けて角穴を上下に分割し、下半分の角穴で周壁構成板3cに対応すると共に上半分の角穴で蓋15に対応する。すなわち、枠材5cの下半分の角穴に周壁構成板3cの上端の折返しを嵌め、上半分の角穴に蓋15の基端に設けた折返しを嵌める。なお、蓋15の基端の折返しは、周壁構成板3cの折返しと同じであってハーフカットの切込線で形成する。
一方、蓋15は、自由端側の先端に熱変形させて折り曲げた鍵部17が形成されており、この鍵部17を枠材5aの縁に係合させる。これにより蓋15が無用にばたつかない。
【0023】
その他、図中、符号18は周壁構成板3b,3dに設けた把手であり、前記周壁構成板3b,3dの折り返した上端部と同形状にした頭部18aが枠材5b,5cに嵌まる。なお、この把手18の頂部には凹状の窪み18bが設けてあり、この窪み18bの中を前記アンテナ8が通る。
【0024】
以上本発明を実施形態1,2について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態ではアンテナ8を導電線で形成したが、カーボン等を混練して導電性を持たせた印刷インキで印刷してアンテナ8としてもよい。その場合もアンテナ8を周壁構成板3a〜3dの折り返した重合面に位置させるようにするとよい。そうすることにより周壁構成板3a〜3dの上端に枠材5a〜5dを嵌めるとき、周壁構成板3a〜3dと枠材5a〜5dが擦れ合っても印刷されたアンテナ8が傷付きにくい。図10は印刷によりアンテナ8を形成した場合の箱1のコーナーを示したものであり、この図10に示したようにコーナーに対し導電性のジョイント19を導電性の接着剤で接着するようにしてもよい。
【0025】
また、実施形態ではICタグ7をICチップ7bとチップホルダー7aの組み合わせとして例示したが、ICチップ7bのみで箱1に装着できる場合にはチップホルダー7aはなくてもよい。この場合はICチップ7b自体がICタグ7となる。
また、図11に示したように把手18をICタグ7のチップホルダー7aとして利用し、把手18に設けたチップ座7cにICチップ7bを装着するようにしてもよい。把手18は合成樹脂の成型品であるため、そのような加工には柔軟に対応できる。
また、実施形態ではICタグ7とアンテナ8を枠材5a〜5d内に収めるようにしたが、枠材5a〜5dを設けなくとも本発明が達成しようとする最低限の機能は果たし得る。
また、箱1を構成する材質は、上記した発泡板以外にプラスチック段ボールでももちろんよい。
また、箱1の形状は実施形態のような直方体に限定されず、円柱形や多角柱形(3角、5角、6角、7角、8角等)でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】箱の分解斜視図である。
【図2】箱の斜視図である。
【図3】箱の縦断面図である。
【図4】(a)はICタグの分解斜視図、(b)はICタグの斜視図である。
【図5】箱の分解斜視図である。
【図6】箱の斜視図である。
【図7】箱の縦断面図である。
【図8】箱のさらなる分解斜視図である。
【図9】他の形態を示す箱の斜視図である。
【図10】(a),(b)は他の形態を示す箱の要部拡大斜視図である。
【図11】他の形態を示す把手の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 …箱
3a〜3d…周壁構成板
4 …開口部
5a〜5d…枠材
7 …ICタグ
7a…チップホルダー
7b…ICチップ
7e…巻線部
8 …アンテナ
9 …切欠
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として物品の保管又は輸送に使用する箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ICタグとアンテナを備え、受信機又は送受信機とICタグ間でデータを交信するようにした箱が例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2002−234542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の箱はICタグとアンテナが一箇所に集中して設けられていたため、例えば箱の前後が逆になっていた場合、ICタグと送受信機等が交信できずにエラーになる。従って従来の箱で物品を流通させる場合、箱の向きに常に注意して取り扱う必要があるため、使い勝手が非常に悪かった。また、送受信機等がハンディタイプである場合、ICタグの位置を確認してそこに送受信機等を向かわせるまでの作業が時間のロスになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載したように、周壁構成板の上部にICタグを設置すると共に開口部の周りをICタグ用のアンテナで環状に囲うようにした箱を提供する。
また、請求項2に記載したように、周壁構成板の上端に枠材を被せて上面の開口縁をその枠材で縁取りし、その枠材内の任意の場所にICタグを設置すると共に枠材内にICタグ用のアンテナを設けた請求項1記載の箱を提供する。
また、請求項3に記載したように、前記周壁構成板の上端を多重に形成し、その周壁構成板の重合面間に前記アンテナを設けるようにした請求項1又は2記載の箱を提供する。
また、請求項4に記載したように、前記周壁構成板の上部に切欠を形成し、その切欠内にICタグを収めるようにした請求項1乃至3の何れか1項に記載の箱を提供する。
また、請求項5に記載したように、前記ICタグは、ICチップと、そのICチップを収めるチップホルダーで形成し、さらにチップホルダーにアンテナの巻回部を設けてなる請求項4記載の箱を提供する。
【発明の効果】
【0005】
ICタグ用のアンテナで開口部の周りを環状に囲ったため、箱が前後左右のどちらを向いていても送受信機等とICタグとの通信が可能であり、従って箱の向きに注意を払う煩わしさがない。また、物品を出し入れする際に物品がアンテナで囲われた領域を通過するため、ICタグに物品情報を記録するような場合にも都合がよい。
【0006】
また、請求項2のように周壁構成板の上端に枠材を被せてその中にICタグやアンテナを設けるようにすれば、ICタグやアンテナが外部に露出しないため損傷等の危険がなく、また、ICタグが悪戯や盗み目的で外されるおそれもない。特に請求項3のように周壁構成板を多重にしてその重合面間にアンテナを挟むようにすれば、アンテナの安全性がさらに向上する。
【0007】
また、請求項4のように周壁構成板の上部に切欠を形成してその切欠内にICタグを収めるようにすれば、ICタグが周壁構成板の厚みに没するから外部に出っ張りにくい。
【0008】
また、請求項5のようにICタグをICチップとチップホルダーの組み合わせとした場合には、チップホルダーの外形を周壁構成板の切欠に合わせて形成すると共にそのチップホルダーに安価な市販のICチップを収めるチップ座を形成する、というようにチップホルダー次第で如何様にも対応できるため、切欠にフィットするICタグが安価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施形態1]
以下に本発明の実施形態1を図1〜図4に基づき説明する。なお、図1は箱の分解斜視図、図2は箱の斜視図、図3は箱の縦断面図、図4(a)はICタグの分解斜視図、図4(b)はICタグの斜視図である。
【0010】
箱1は、図1,図2に示したように、例えば四角い底板2の周囲に矩形の周壁構成板3a〜3dを立設して上面に開口部4を形成したものである。底板2と周壁構成板3a〜3dの材質は、紙、木、合成樹脂等何でもよい。また、箱1は、周壁構成板3a〜3dの上端に断面下向きコ字状の枠材5a〜5dを被せて開口縁をその枠材5a〜5dで縁取りし、さらに開口部4のコーナーにコーナー部材6,6…を固着してなる。各コーナー部材6は合成樹脂の一体成型品であって、平面視L字型の水平板6aと、その水平板6aの両側縁から下向きに垂設した二片のクランプ板6b,6bと、水平板6aの外側縁に上向きに突設した囲い枠6cとからなり、二片のクランプ板6b,6bを前記枠材5a〜5dの外側に被せてその枠材5a〜5dに溶着、接着、鋲着、嵌め殺し等の適宜な手段で固着する。従って4本の枠材5a〜5dはコーナー部材6,6…によって額縁状に連結される。
【0011】
しかして本発明は、周壁構成板3a〜3dの上部にICタグ7を設置すると共に開口部4の周りをICタグ7用のアンテナ8で環状に囲ったことを要旨とする。
【0012】
前記ICタグ7は、図4(a),(b)に示したように、合成樹脂製のチップホルダー7aとICチップ7bを組み合わせてなる。
前記ICチップ7bは公知のものであり、コイン形態のケース内に例えば無線用の送受信機と、情報を記録するメモリと、受信した情報のメモリへの書込やメモリ情報を読み出して送信する情報処理用の中央演算処理装置、等を有する。なお、ICタグ7のICチップ7bはバッテリーレスであり、アンテナ8を介して無接触にて外部から電源電圧を得る。
【0013】
前記チップホルダー7aは、合成樹脂の成型品であり、ICチップ7bを保持するチップ座7cを備えた主板7dと、その主板7dの裏側にあって線状のアンテナ8を巻き付ける巻線部7eを有する副板7fで構成される。主板7dの前記チップ座7cはICチップ7bがぴったり収まる円形の窪みであり、実施形態ではその窪みの外縁の一部にICチップ7bの縁に指を掛けやすくするための凹欠部7gが設けてある。この凹欠部7gを使えばチップ座7cからICチップ7bが容易に取り外せるため、箱1のリサイクルに際しICチップ7bの分離・回収が効率よく簡単に行える。一方、前記副板7fは主板7dより横長にして横方向に張り出させ、その張出部7hにアンテナ8を通す上下2本の案内突起7i,7jが設けてある。この案内突起7i,7jは上下何れか一方(実施形態では下)の案内突起7j(又は7i)を高くしてある。こうすることにより、高い方の案内突起7j(又は7i)に当たったアンテナ8が案内突起7i,7j間に自然に導かれるから、案内突起7i,7j間にアンテナ8を通す作業の作業性が向上する。
【0014】
前記アンテナ8は1本の連続した長い導電線であり、図1に示したようにICタグ7の前記巻線部7eにICチップ7bの仕様に従い複数回(例えば3回)巻き付け、さらに両端同士を例えば撚るなどして環状に繋いだものである。
【0015】
以上の構成よりなるICタグ7とアンテナ8は前記箱1に対し次のようにして取り付けられている。すなわち、図1に示したように箱1の周壁構成板3aの上縁にICタグ7のチップホルダー7aにフィットする切欠9を形成し、その切欠9にICタグ7を収める。一方、全ての周壁構成板3a〜3dの上部外周に横向きの凹溝10を形成し、その凹溝10にアンテナ8を収める。なお、アンテナ8の両端を撚って繋いだ部分は太くなるため、周壁構成板3a又は3bのコーナー部分に設けた逃がしスペース11に収めておく。なお、図9に示したようにICタグ7を設けた周壁構成板3aと対向する周壁構成板3cにICチップ7bを設けない空のチップホルダー7aを設置し、そのチップホルダー7aの巻線部7eにアンテナ8を複数回巻き付けるようにすればアンテナ8の感度を高めることができる。
【0016】
次ぎに周壁構成板3a〜3dの上端に枠材5a〜5dを被せて開口縁をその枠材5a〜5dで縁取りする。そうすると、ICタグ7とアンテナ8の全てが枠材5a〜5d内に隠れ、外部から全く見えない状態になる。そしてさらに枠材5a〜5d同士をコーナー部材6,6…で連結する。
【0017】
実施形態1の箱1は以上の構成であってICタグ7のアンテナ8が開口部4の周りを環状に囲っているため、ICタグ7の位置に関係なく受信機や送受信機が箱1の周りのどの方向にあっても確実に交信することができる。また、アンテナ8が開口部4の周りを囲っているため、アンテナ8の感度次第では開口部4の上からでもICタグ7と送受信機等が交信できる。
【0018】
[実施形態2]
図5〜図8は本発明の実施形態2を示すもので、図5は箱の分解斜視図、図6は箱の斜視図、図7は箱の縦断面図、図8は箱のさらなる分解斜視図である。なお、図5〜図8及び図9,図10において実施形態1と同符号の部材は、特段の説明がない限り実施形態1と同一又は同機能の部材である。
【0019】
実施形態2の箱1は、折り畳み自在構造であって、向かい合う二つの周壁構成板3b,3dをその上縁の折曲線12を中心にして内向き揺動自在となし、残る二つの周壁構成板3a,3cを図7二点鎖線に示したように、中央の折曲線13を中心にして屏風折り自在とし、そのような周壁構成板3a〜3dの組み合わせにより扁平な状態に折り畳み得る。
【0020】
箱1を構成する底板2や周壁構成板3a〜3dは、ポリプロピレンを発泡させた合成樹脂板(以下発泡板という。)の両面にポリプロピレンの薄いフィルムを貼着した複合構造であって全体が約5mm程度の厚さである。前記周壁構成板3a〜3dの各ヒンジ部(折曲線12,13等)は、発泡板の深さの途中まで切込線を入れ、片方のフィルムを無傷のまま残しその残ったフィルムをヒンジの中心にして曲げ伸ばしするようにしたものである(以下このような切込線を「ハーフカットの切込線」という。)。
【0021】
各周壁構成板3a〜3dの上端はハーフカットの切込線を設けて折り返すことにより2重となし、その重合面間に前記アンテナ8を挟み込む。一方、そのような多重折返し部に対応する枠材5a(枠材5b〜5dも同じ。)は、周壁構成板3a(周壁構成板3b〜3dも同じ。)が2枚収まる広さの角穴を有するパイプ状であって周壁構成板3aが1枚通る開口14を底に設けた形態であり、周壁構成板3aに対して横からスライドさせて装着する。よって枠材5aは、周壁構成板3aに対して特段の固着手段を設けなくとも折返し部による引っ掛かりがあるため上向きに引いても抜けるおそれがない。
【0022】
また、実施形態2の箱1には1つの枠材5cに基端を取り付けた開閉自在な蓋15が設けられている。この蓋15に対応するため枠材5cは、中央に水平な仕切16を設けて角穴を上下に分割し、下半分の角穴で周壁構成板3cに対応すると共に上半分の角穴で蓋15に対応する。すなわち、枠材5cの下半分の角穴に周壁構成板3cの上端の折返しを嵌め、上半分の角穴に蓋15の基端に設けた折返しを嵌める。なお、蓋15の基端の折返しは、周壁構成板3cの折返しと同じであってハーフカットの切込線で形成する。
一方、蓋15は、自由端側の先端に熱変形させて折り曲げた鍵部17が形成されており、この鍵部17を枠材5aの縁に係合させる。これにより蓋15が無用にばたつかない。
【0023】
その他、図中、符号18は周壁構成板3b,3dに設けた把手であり、前記周壁構成板3b,3dの折り返した上端部と同形状にした頭部18aが枠材5b,5cに嵌まる。なお、この把手18の頂部には凹状の窪み18bが設けてあり、この窪み18bの中を前記アンテナ8が通る。
【0024】
以上本発明を実施形態1,2について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態ではアンテナ8を導電線で形成したが、カーボン等を混練して導電性を持たせた印刷インキで印刷してアンテナ8としてもよい。その場合もアンテナ8を周壁構成板3a〜3dの折り返した重合面に位置させるようにするとよい。そうすることにより周壁構成板3a〜3dの上端に枠材5a〜5dを嵌めるとき、周壁構成板3a〜3dと枠材5a〜5dが擦れ合っても印刷されたアンテナ8が傷付きにくい。図10は印刷によりアンテナ8を形成した場合の箱1のコーナーを示したものであり、この図10に示したようにコーナーに対し導電性のジョイント19を導電性の接着剤で接着するようにしてもよい。
【0025】
また、実施形態ではICタグ7をICチップ7bとチップホルダー7aの組み合わせとして例示したが、ICチップ7bのみで箱1に装着できる場合にはチップホルダー7aはなくてもよい。この場合はICチップ7b自体がICタグ7となる。
また、図11に示したように把手18をICタグ7のチップホルダー7aとして利用し、把手18に設けたチップ座7cにICチップ7bを装着するようにしてもよい。把手18は合成樹脂の成型品であるため、そのような加工には柔軟に対応できる。
また、実施形態ではICタグ7とアンテナ8を枠材5a〜5d内に収めるようにしたが、枠材5a〜5dを設けなくとも本発明が達成しようとする最低限の機能は果たし得る。
また、箱1を構成する材質は、上記した発泡板以外にプラスチック段ボールでももちろんよい。
また、箱1の形状は実施形態のような直方体に限定されず、円柱形や多角柱形(3角、5角、6角、7角、8角等)でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】箱の分解斜視図である。
【図2】箱の斜視図である。
【図3】箱の縦断面図である。
【図4】(a)はICタグの分解斜視図、(b)はICタグの斜視図である。
【図5】箱の分解斜視図である。
【図6】箱の斜視図である。
【図7】箱の縦断面図である。
【図8】箱のさらなる分解斜視図である。
【図9】他の形態を示す箱の斜視図である。
【図10】(a),(b)は他の形態を示す箱の要部拡大斜視図である。
【図11】他の形態を示す把手の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 …箱
3a〜3d…周壁構成板
4 …開口部
5a〜5d…枠材
7 …ICタグ
7a…チップホルダー
7b…ICチップ
7e…巻線部
8 …アンテナ
9 …切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップを保持するチップ座を備えた主板と、その主板の裏側にあって線状のアンテナを巻き付ける巻線部を有する副板で形成したことを特徴とするICタグ用のチップホルダー。
【請求項2】
前記副板の両横に張出部を形成して主板より横長に形成し、前記張出部にアンテナを通す上下2本の案内突起を設けたことを特徴とする請求項1記載のICタグ用のチップホルダー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁構成板の上部にICタグを設置すると共に開口部の周りをICタグ用のアンテナで環状に囲うようにしたことを特徴とする箱
【請求項2】
周壁構成板の上端に枠材を被せて上面の開口縁をその枠材で縁取りし、その枠材内の任意の場所にICタグを設置すると共に枠材内にICタグ用のアンテナを設けたことを特徴とする請求項1記載の箱
【請求項3】
前記周壁構成板の上端を多重に形成し、その周壁構成板の重合面間に前記アンテナを設けるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の箱
【請求項4】
前記周壁構成板の上部に切欠を形成し、その切欠内にICタグを収めるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の箱
【請求項5】
前記ICタグは、ICチップと、そのICチップを収めるチップホルダーで形成し、さらにチップホルダーにアンテナの巻回部を設けてなることを特徴とする請求項4記載の箱

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−188282(P2006−188282A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39911(P2005−39911)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【分割の表示】特願2004−378654(P2004−378654)の分割
【原出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(392030324)株式会社アパックス (14)
【Fターム(参考)】