説明

範囲設定用リミットスイッチ

【課題】 操作性を向上させ、かつ操作ミスを低減させる。
【解決手段】 範囲設定用リミットスイッチ1は、互いに逆回転する複数桁の数字車からなる一対の第1および第2のカウンタ3A,3Bを備える。これら両カウンタ3A,3Bは、数字車の軸線方向に沿って上下・左右が互いに対称となるように前記軸線方向と直交する方向に並設されている。両カウンタ3A,3Bには、全ての数字車を一斉に特定値に復帰させる特定値復帰手段が設けられ、両カウンタ3A,3Bが総桁下げされ特定値に達っすると最高位桁の数字車から信号が送出される。この範囲設定用リミットスイッチ1は、一本のリセットシャフト46を一つの設定レバー5によって操作することで、両カウンタ3A,3Bがそれぞれ特定値に復帰される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ等の上限および下限の位置を設定するための範囲設定用リミットスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の範囲設定用リミットスイッチとしては、互いに逆回転する複数桁の数字車からなる一対のカウンタを備え、これら両カウンタに全ての数字車を一斉に特定値に復帰させる特定値復帰手段を設けるとともに、両カウンタの総桁下げ後に最高位桁の数字車から信号を送出するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載されたものでは、一方のカウンタの特定値復帰手段により当該カウンタの数字車を特定値に復帰させた状態を保持したまま、シャッタを下降させ、シャッタが下限に位置したら特定値復帰手段による復帰動作を解除する。この状態で、一方のカウンタの数字車は特定値、すなわち「999」が表示され、この一方のカウンタによってシャッタの下限位置が設定される。
【0004】
次いで、他方のカウンタの特定値復帰手段により当該カウンタの数字車を特定値に復帰させた状態を保持したまま、シャッタを上昇させ、シャッタが上限に位置したら特定値復帰手段による復帰動作を解除する。この状態で、他方のカウンタの数字車は特定値、すなわち「999」が表示され、この他方のカウンタによってシャッタの上限位置が設定される。
【0005】
したがって、モータを駆動しシャッタを下降させると、一方のカウンタが任意の数値から減算され、「000」から「999」へ総桁下げされると、一方のカウンタからモータへ駆動停止の信号が送出され、シャッタは下限位置で停止する。一方、モータを駆動しシャッタを上昇させると、他方のカウンタが任意の数値から減算され、「000」から「999」へ総桁下げされると、他方のカウンタからモータへ駆動停止の信号が送出され、シャッタは上限位置で停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3125589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来の範囲設定用リミットスイッチにおいては、各カウンタに備えられている特定値復帰手段を作動させるリセットシャフトが各特定値復帰手段毎に二本設けられている。このため、シャッタの上限位置と下限位置とを設定するときに、操作者は操作すべきリセットシャフトを選択する必要があるばかりか、リセットシャフトの回動操作方向が互いに逆方向のために、操作間違いによる操作ミスが発生しやすいという問題があった。
【0008】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、操作性を向上させ、かつ操作ミスを低減させた範囲設定用リミットスイッチを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、互いに逆回転する複数桁の数字車からなる一対のカウンタを備え、これら両カウンタに全ての数字車を一斉に特定値に復帰させる特定値復帰手段を設けるとともに、これら両カウンタが総桁下げすることにより前記特定値に達したときに最高位桁の数字車から信号を送出して、両カウンタにより範囲を設定する範囲設定用リミットスイッチにおいて、前記一対のカウンタを、数字車の軸線方向に沿って上下・左右が互いに対称となるように前記軸線方向と直交する方向に並設し、前記両カウンタのそれぞれに互いに対向するように揺動自在に支持され、揺動することにより前記特定値復帰手段を移動させ前記数字車を一斉に特定値に復帰させる一対の特定値復帰仲介部材と、この特定値復帰仲介部材を個別に揺動させるリセットピンが設けられ回動自在に支持された一本のリセットシャフトと、このリセットシャフトを回動操作する一つの設定レバーとを備え、前記リセットピンは、前記リセットシャフトの一方向への回動操作によって、一方の前記リセットピンによって一方の前記カウンタの特定値復帰仲介部材のみを揺動させ、前記リセットシャフトの前記一方向と反対の他方向への回動操作によって、他方の前記リセットピンによって他方の前記カウンタの特定値復帰仲介部材のみを揺動させるものである。
【0010】
本発明は、前記発明において、数字車が特定値を表示することにより最高位桁の数字車に設けた凹部に嵌合し、嵌合することによりリミットスイッチをオフにするスイッチレバーを備え、前記特定値復帰手段によって全ての数字車を一斉に特定値に復帰させた状態で、前記特定値復帰仲介部材が前記スイッチレバーの前記凹部への嵌合を規制するものである。
【0011】
本発明は、前記発明のうちのいずれか一つの発明において、前記両カウンタにより設定される範囲を、シャッタの上限位置と下限位置とし、前記設定レバーの前記リセットシャフトを回動中心とした上方への回動操作によって前記上限位置が設定され、前記設定レバーの前記リセットシャフトを回動中心とした下方への回動操作によって前記下限位置が設定されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のように二本のリセットシャフトを必要とせずに、一本のリセットシャフトを互いに逆方向に回動操作することにより、範囲の設定ができるため、操作性が向上するとともに操作ミスが低減される。
【0013】
前記発明のうちの一つの発明によれば、範囲を設定しているときに信号が送出するようなことがないため、範囲設定値と信号を送出する特定値とが一致することにより、正確な範囲を設定することができる。
【0014】
前記発明のうちの一つの発明によれば、設定レバーの上方への回動操作によってシャッタの上限位置を設定し、設定レバーの下方への回動操作によってシャッタの下限位置を設定するというように、シャッタの上、下限位置の設定方向と設定レバーの回動操作方向とが一致する。このため、シャッタの上、下限位置を設定するに当たり、設定レバーによる操作ミスが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る範囲設定用リミットスイッチにおいて、シャッタの上限を設定している状態を示し、同図(A)は側面図、同図(B)は図4における I(B)-I(B)線断面図である。
【図2】本発明に係る範囲設定用リミットスイッチにおいて、リセットピンを中立の位置に位置付け、シャッタの昇降をカウンタによって計数する状態を示し、同図(A)は側面図、同図(B)は図4におけるI(B)-I(B) 線断面図である。
【図3】本発明に係る範囲設定用リミットスイッチにおいて、シャッタの下限を設定している状態を示し、同図(A)は側面図、同図(B)は図4における I(B)-I(B)線断面図である。
【図4】図1(A)におけるIV矢視図である。
【図5】図1(A)におけるV矢視図である。
【図6】本発明に係る範囲設定用リミットスイッチを、シャッタの開閉の際のシャッタの上限および下限を設定するための回路図である。
【図7】本発明に係る範囲設定用リミットスイッチを手動シャッタに取り付けた状態を示す正面図である。
【図8】本発明に係る範囲設定用リミットスイッチを固定パイプに固定した状態を一部破断して示す正面図である。
【図9】本発明に係る範囲設定用リミットスイッチにおいて、両カウンタの数字車を歩進させる駆動系を説明するための図8におけるIX-IX 線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図9に基づいて説明する。
【0017】
図1に全体を符号1で示す範囲設定用リミットスイッチは、フレーム2と、このフレーム2に支持される第1および第2のカウンタ3A,3Bと、これら第1および第2のカウンタ3A,3Bを個別に特定値に復帰させる一つの設定レバー5とを備えている。
【0018】
フレーム2は、円板状に形成された一対の側板10,11を備え、これら両側板10,11は、図4,5に示すようにステータ12を介して互いに対向しており、これら両側板10,11の中央部には、図1に示すように後述する手動シャッタ用の中心取付軸72が遊挿される遊挿孔10a,11aが設けられている。
【0019】
第1および第2のカウンタ3A,3Bは、共に同じ構造を有しているので、ここでは第1のカウンタ3Aについてのみ詳細に説明し、第2のカウンタ3Bについては必要に応じて説明する。
【0020】
第1のカウンタ3Aには、図5に示すように、側面にハートカム15a,16a,17aが一体形成された三個の数字車、すなわち周面の所定位置に凹部15bが凹設された百位桁数字車15、十位桁数字車16および一位桁数字車17が、フレーム2の側板10とフレーム2に一体に突設されたサブフレーム20との間に横架された軸18に、送り歯車19Aとともに同軸上に回転自在に支持されている。
【0021】
これら数字車15ないし17の周面には、通常のカウンタのような数字が付されていないが、10進法が採用され、後述する桁上げピニオン25により下位桁の数字車が10歩進すると、上位桁数字車が1歩進するように構成されている。以下、説明の便宜上、通常のカウンタと同様の数字が数字車15ないし17の周面に付されているものと仮定して説明する。
【0022】
これら第1および第2のカウンタ3A,3Bは、図4および図5に示すように、数字車15ないし17の軸18の軸線方向(矢印A−B方向)に沿って上下・左右が互いに対称となるように前記軸線方向と直交する方向(矢印C−D方向)に並設された状態でフレーム2に取り付けられている。
【0023】
すなわち、これら第1および第2のカウンタ3A,3Bは、図1に示すように、フレーム2の遊挿孔10a,11aの周りを互いに円周方向に90°だけ位相を違えて配置されており、両カウンタ3A,3Bのそれぞれの送り歯車19A,19Bが、図9に示すように遊挿孔10a,11aを中心とした同一の円R1上に位置している。
【0024】
したがって、第1のカウンタ3Aは、図5に示すように送り歯車19Aが矢印A方向(フレーム10側)に設けられ、百位桁数字車15が矢印B方向(フレーム11側)に設けられている。一方、第2のカウンタ3Bは、図4に示すように送り歯車19Bが矢印B方向(フレーム11側)に設けられ、百位桁数字車15が矢印A方向(フレーム10側)に設けられている。
【0025】
また、これら第1および第2のカウンタ3A,3Bは、図1(A)に示すように側面視においてフレーム2の外周端2aと遊挿孔10a,11aの外周端との間に収容されるように位置付けられている。
【0026】
図1(B)において、22A,22Bはこれら第1および第2のカウンタ3A,3Bのそれぞれに備えられた第1および第2の復帰ブラケットであって、上記したハートカム15a,16a,17aを押圧する三個のハートカム押圧片23が一体形成され、小軸24を揺動中心としてフレーム2の両側板10,11間に揺動自在に支持されている。
【0027】
25は桁上げピニオンであって、復帰ブラケット22の両側面部に両端部を突出して横架されたピニオンシャフト26に回動自在に支持され、小軸24に軸装されたコイルスプリング(図示せず)により、通常、数字車15ないし17の側面に一体形成されたセグメントギアおよび送り歯車19A,19Bに噛合している。
【0028】
このような構成において、送り歯車19A,19Bに後述する中間歯車81A,81Bを介して内歯歯車76からの回転が伝達されると、一位桁数字車17の1回転毎に、十位桁数字車16が桁上げピニオン25を介して一歩進され、順次十位桁数字車16の1回転毎に、百位桁数字車15が桁上げピニオン25を介して一歩進する。
【0029】
図1において、30A,30Bはそれぞれ作動杆30aを有する第1および第2のリミットスイッチであって、上記した各第1および第2のカウンタ3A,3Bに対応して設けられており、これら第1および第2のリミットスイッチ30A,30Bは、図4および図5に示すように共に一方の側板10に固定されている。
【0030】
図1および図4、図5において、35A,35Bは第1および第2のカウンタ3A,3Bのそれぞれに備えられた第1および第2のスイッチレバーであって、それぞれ第1および第2のリミットスイッチ30A,30Bを作動させる。
【0031】
これら第1および第2のスイッチレバー35A,35Bは、後述する作動部38A,38Bが共に一方の側板10側に設けられている点以外は、共に同じ構造を有している。
【0032】
すなわち、第1のスイッチレバー35Aは、図1および図5に示すようにフレーム2の両側板10,11間にシャフト36を介して揺動自在に支持されており、上記した百位桁数字車15の周面に当接するレバー部37Aと、第1のリミットスイッチ30Aの作動杆30aを作動させる作動部38Aと、後述する第1の特定値復帰仲介部材40Aの係合部40aが係合する被係合突起39aが形成された被係合部39Aとからなる。レバー部37Aの揺動端部には、上記した百位桁数字車15の凹部15bに嵌合する嵌合突起37aが設けられている。
【0033】
第1のスイッチレバー35Aは、シャフト36に巻回されたコイルスプリング(図示せず)のねじりモーメントによって、シャフト36を回動中心として図1中反時計方向に付勢されている。
【0034】
一方、第2のスイッチレバー35Bは、図1および図4に示すようにフレーム2の両側板10,11間にシャフト36を介して揺動自在に支持されており、上記した百位桁数字車15の周面に当接するレバー部37Bと、第2のリミットスイッチ30Bの作動杆30aを作動させる作動部38Bと、後述する第2の特定値復帰仲介部材40Bの係合部40aが係合する被係合突起39aが形成された被係合部39Bとからなる。レバー部37Bの揺動端部には、上記した百位桁数字車15の凹部15bに嵌合する嵌合突起37aが設けられている。
【0035】
また、第2のスイッチレバー35Bは、シャフト36に巻回されたコイルスプリング(図示せず)のねじりモーメントによって、シャフト36を回動中心として図1中時計方向に付勢されている。
【0036】
この状態で、第1のカウンタ3Aの百位桁数字車15が「9」以外を表示しているときは、第1のスイッチレバー35Aのレバー部37Aの嵌合突起37aが、図3(B)に示すように百位桁数字車15の周面に当接し、同図(A)に示すように作動部38Aによって第1のリミットスイッチ30Aの作動杆30aが作動され、第1のリミットスイッチ30AはON状態になる。
【0037】
同様に、第2のカウンタ3Bの百位桁数字車15が「9」以外を表示しているときは、第2のスイッチレバー35Bのレバー部37Bの嵌合突起37aが、図1(B)に示すように百位桁数字車15の周面に当接し、同図(A)に示すように作動部38Bによって第2のリミットスイッチ30Bの作動杆30aが作動され、第2のリミットスイッチ30BはON状態になる。
【0038】
一方、第1のカウンタ3Aの百位桁数字車15が「9」を表示すると、図1(B)に示すように嵌合突起37aが凹部15bに嵌合し、第1のスイッチレバー35Aがシャフト36を回動中心として図中反時計方向に回動するので、作動部38Aによる第1のリミットスイッチ30Aの作動杆30aの作動が解除され、同図(A)に示すように第1のリミットスイッチ30AがOFF状態になる。
【0039】
同様に、第2のカウンタ3Bの百位桁数字車15が「9」を表示すると、図3(B)に示すように嵌合突起37aが凹部15bに嵌合し、第2のスイッチレバー35Bがシャフト36を回動中心として図中時計方向に回動するので、作動部38Bによる第2のリミットスイッチ30Bの作動杆30aの作動が解除され、同図(A)に示すように第2のリミットスイッチ30BがOFF状態になる。
【0040】
図1および図4、図5において、40A,40Bは第1および第2のカウンタ3A,3Bのそれぞれに備えられた第1および第2の特定値復帰仲介部材であって、それぞれ第1および第2のカウンタ3A,3Bの第1および第2の復帰ブラケット22A,22Bを揺動させ、第1および第2のカウンタ3A,3Bを特定値「999」に復帰させる。これら第1および第2の特定値復帰仲介部材40A,40Bは、共に同じ構造を有している。
【0041】
すなわち、第1の特定値復帰仲介部材40Aは、図5に示すようにフレーム2の両側板10,11間にシャフト41を介して揺動自在に支持されており、図1に示すように第1のスイッチレバー35Aの被係合突起39aに係合する係合部40aと、上記したピニオンシャフト26の端部が係合する係合溝40bと、後述する第1のリセットピン50Aが係合する被係合部40cとが設けられている。
【0042】
この第1の特定値復帰仲介部材40Aは、シャフト41に巻回されたコイルスプリング(図示せず)のねじりモーメントにより、シャフト41を回動中心として図1中時計方向に付勢されている。
【0043】
この状態で、図1(A)に示すように係合部40aは第1のスイッチレバー35Aの被係合突起39aと被係合状態になっており、同図(B)に示すように係合溝40bはピニオンシャフト26と被係合状態になっている。
【0044】
この状態から、後述するように、図3(A)に示す第1のリセットピン50Aが第1の特定値復帰仲介部材40Aの被係合部40cに係合し、さらにリセットシャフト46が軸心周りに図中時計方向に回動されると、第1の特定値復帰仲介部材40Aがシャフト41を回動中心として反時計方向に回動する。
【0045】
この回動によって、第1の特定値復帰仲介部材40Aの係合部40aが第1のスイッチレバー35Aの被係合突起39aに係合し、被係合部39を介して第1のスイッチレバー35Aがシャフト36を回動中心として時計方向に回動する。
【0046】
したがって、第1のスイッチレバー35Aの作動部38によって第1のリミットスイッチ30Aの作動杆30aが作動され、第1のリミットスイッチ30Aは強制的にON状態になる。
【0047】
同時に、第1の特定値復帰仲介部材40Aがシャフト41を回動中心として反時計方向に回動することによって、図3(B)に示すように第1の特定値復帰仲介部材40Aの係合溝40bがピニオンシャフト26に係合し、第1の復帰ブラケット22Aが小軸24を回動中心として時計方向に回動する。
【0048】
この回動によって、桁上げピニオン25と数字車15ないし17のセグメントギアおよび送り歯車19Aとの噛合が解除されるとともに、ハートカム押圧片23がハートカム15a,16a,17aを押圧することにより、第1のカウンタ3Aは特定値「999」に復帰する。したがって、ピニオンシャフト26、第1の復帰ブラケット22A、ハートカム押圧片23、ハートカム15a,16a,17aが、特定値復帰手段を構成している。
【0049】
一方、第2の特定値復帰仲介部材40Bは、図4に示すようにフレーム2の両側板10,11間にシャフト41を介して揺動自在に支持されており、図1に示すように第2のスイッチレバー35Bの被係合突起39aに係合する係合部40aと、上記したピニオンシャフト26の端部が係合する係合溝40bと、後述する第2のリセットピン50Bが係合する被係合部40cとが設けられている。
【0050】
この第2の特定値復帰仲介部材40Bは、シャフト41に巻回されたコイルスプリング(図示せず)のねじりモーメントにより、シャフト41を回動中心として図中反時計方向に付勢されている。
【0051】
この状態で、図3(A)に示すように係合部40aは第2のスイッチレバー35Bの被係合突起39aと被係合状態になっており、同図(B)に示すように係合溝40bはピニオンシャフト26と被係合状態になっている。
【0052】
この状態から、後述するように、図1(A)に示すように第2のリセットピン50Bが第2の特定値復帰仲介部材40Bの被係合部40cに係合し、さらにリセットシャフト46が軸心周りに図中反時計方向に回動されると、第2の特定値復帰仲介部材40Bがシャフト41を回動中心として時計方向に回動する。
【0053】
この回動によって、第2の特定値復帰仲介部材40Bの係合部40aが第2のスイッチレバー35Bの被係合突起39aに係合し、被係合部39を介して第2のスイッチレバー35Bがシャフト36を回動中心として反時計方向に回動する。
【0054】
したがって、第2のスイッチレバー35Bの作動部38によって第2のリミットスイッチ30Bの作動杆30aが作動され、第2のリミットスイッチ30Bは強制的にON状態になる。
【0055】
同時に、第2の特定値復帰仲介部材40Bがシャフト41を回動中心として時計方向に回動することによって、図1(B)に示すように第2の特定値復帰仲介部材40Bの係合溝40bがピニオンシャフト26に係合し、第2の復帰ブラケット22Bが小軸24を回動中心として反時計方向に回動する。
【0056】
この回動によって、桁上げピニオン25と数字車15ないし17のセグメントギアおよび送り歯車19Bとの噛合が解除されるとともに、ハートカム押圧片23がハートカム15a,16a,17aを押圧することにより、第2のカウンタ3Bは特定値「999」に復帰する。したがって、ピニオンシャフト26、第2の復帰ブラケット22B、ハートカム押圧片23、ハートカム15a,16a,17aが、特定値復帰手段を構成している。
【0057】
このように構成された第1および第2のカウンタ3A,3Bは、図1(A)に示すようにフレーム2の外周端2aの外側に突出することなく、遊挿孔10a,11aの外周端とフレーム2の外周端2aとの間に収容されている。
【0058】
図4および図5において、46はフレーム2の両側板10,11間に回動自在に支持され、数字車15,16,17の軸18の軸線方向に延在する1本のリセットシャフトであって、一方の端部が側板11の外側に突出し、突出部46aを形成している。
【0059】
このリセットシャフト46は、図1(A)に示すように、遊挿孔10a,11aを中心としたフレーム2の円周方向において、第1のカウンタ3Aと第2のカウンタ3Bとの間に設けられている。したがって、リセットシャフト46は第1および第2のカウンタの上方または下方に位置するようなことがない。
【0060】
また、このリセットシャフト46の突出部46aの端部には、設定レバー5の基端部が軸着されており、この設定レバー5の回動端部5aを指等で操作することにより、図1においてリセットシャフト46が軸線周りに図中時計方向または反時計方向に回動するように構成されている。
【0061】
図4および図5に示すように、リセットシャフト46の側板11に近接した部位であって、フレーム2の内側には、第1のカウンタ3Aの第1の特定値復帰仲介部材40Aの被係合部40cに係合する第1のリセットピン50Aが植設されている。
【0062】
また、リセットシャフト46の側板10に近接した部位であって、フレーム2の内側には、第2のカウンタ3Bの第2の特定値復帰仲介部材40Bの被係合部40cに係合する第2のリセットピン50Bが植設されている。これら第1および第2のリセットピン50A,50Bは、互いに略反対方向に突設されている。
【0063】
このような構成において、図3に示すように設定レバー5の時計方向への回動操作によって、リセットシャフト46が時計方向に回動することで、第1のリセットピン50Aの端部が第1のカウンタ3Aの第1の特定値復帰仲介部材40Aの被係合部40cに係合するとともに、第2のリセットピン50Bの端部が第2のカウンタ3Bの第2の特定値復帰仲介部材40Bの被係合部40cから離間する。
【0064】
したがって、この状態から、設定レバー5をさらに時計方向に回動させることにより、第1のカウンタ3Aの第1の特定値復帰仲介部材40Aのみがシャフト41を回動中心として反時計方向に回動し、上述したように第1のカウンタ3Aが特定値「999」に復帰するとともに、第1のリミットスイッチ30Aが強制的にON状態になる。
【0065】
このように、第1のリセットピン50Aが第1のカウンタ3Aの第1の特定値復帰仲介部材40Aの被係合部40cのみに係合し、第1の特定値復帰仲介部材40Aのみを揺動させるとともに、第2のリセットピン50Bが第2のカウンタ3Bの第2の特定値復帰仲介部材40Bの被係合部40cから離間し、第2の特定値復帰仲介部材40Bを揺動させない、第1および第2のリセットピン50A,50Bの位置を、以下、第1の位置という。
【0066】
一方、図1に示すように設定レバー5の反時計方向への回動操作によって、リセットシャフト46が反時計方向に回動することで、第2のリセットピン50Bの端部が第2のカウンタ3Bの第2の特定値復帰仲介部材40Bの被係合部40cに係合するとともに、第1のリセットピン50Aの端部が第1のカウンタ3Aの第1の特定値復帰仲介部材40Aの被係合部40cから離間する。
【0067】
したがって、この状態から、設定レバー5をさらに反時計方向に回動させることにより、第2のカウンタ3Bの第2の特定値復帰仲介部材40Bのみがシャフト41を回動中心として時計方向に回動し、上述したように第2のカウンタ3Bが特定値「999」に復帰するとともに、第2のリミットスイッチ30Bが強制的にON状態になる。
【0068】
このように、第2のリセットピン50Bが第2のカウンタ3Bの第2の特定値復帰仲介部材40Bの被係合部40cのみに係合し、第2の特定値復帰仲介部材40Bのみを揺動させるとともに、第1のリセットピン50Aが第1のカウンタ3Aの第1の特定値復帰仲介部材40Aの被係合部40cから離間し、第1の特定値復帰仲介部材40Aを揺動させない、第1および第2のリセットピン50A,50Bの位置を、以下、第2の位置という。
【0069】
また、設定レバー5を回動操作し、図2に示すように第1のリセットピン50Aが第1のカウンタ3Aの第1の特定値復帰仲介部材40Aの被係合部40cに係合するとともに、第2のリセットピン50Bが第2のカウンタ3Bの第2の特定値復帰仲介部材40Bの被係合部40cと係合する第1および第2のリセットピン50A,50Bの位置、すなわち、上記第1の位置と第2の位置との間で第1および第2の特定値復帰仲介部材40A,40Bを共に揺動させないリセットピン50A,50Bの位置を、以下、中立の位置という。
【0070】
図6において、60は正・逆の駆動を切替自在で後述するシャッタ77を昇降させるACモータ、61はACモータ60の正・逆の駆動を切り替えてシャッタ77を昇降させるモータ切替スイッチ、62はACモータ60とモータ切替スイッチ61に接続されたAC100Vの電源である。
【0071】
上記した第1のリミットスイッチ30Aは、ACモータ60とモータ切替スイッチ61の「下」端子の間に介在している。また、上記した第2のリミットスイッチ30Bは、ACモータ60とモータ切替スイッチ61の「上」端子の間に介在している。
【0072】
次に、主に図7ないし図9を用いて、このように構成された範囲設定用リミットスイッチ1を手動シャッタに適用する場合について説明する。図7において、70,70はガレージの入口を構成するフレームであって、互いに対向するように地面からガレージの入口の天井に向かって立設されており、これらフレーム70,70のそれぞれには、手動シャッタ枠71,71が互いに対向するように取り付けられている。
【0073】
72は一方のフレーム70の上部に水平方向に片持ち支持された中心取付軸であって、この中心取付軸72に巻回されたトーションばね73の一端がこの中心取付軸72の周面に固着されている。
【0074】
このトーションばね73の他端は、中心取付軸72を回動中心とし、シャッタの上端部が固着された回転部材(いずれも図示せず)に固着されている。したがって、シャッタを手動によって上昇させると、シャッタは回転部材に巻き付けられ、シャッタを手動によって降下させると、シャッタが回転部材から巻き解かれる。
【0075】
図8において、75は内部に範囲設定用リミットスイッチ1が取り付けられた固定パイプであって、範囲設定用リミットスイッチ1の遊挿孔10a,11aに中心取付軸72が遊挿されるように、ガレージの一方のフレーム70に固定されており、図9に示すように互いに円周方向に90°位相がずれた部位に、後述する中間歯車81A,81Bが臨む一対の窓75a,75aが設けられている。
【0076】
このように固定パイプ75を介してフレーム70に固定された範囲設定用リミットスイッチ1は、図1において矢印E−F方向が天地方向と一致するように位置付けられている。
【0077】
76は円筒状に形成された巻取りパイプであって、固定パイプ75の外周部に回転自在に支持されており、ACモータ60(図6参照)によって図9中時計方向または反時計方向に回転する。
【0078】
この巻取りパイプ76の外周の一部には、中心取付軸72に取り付けられていたシャッタ77の一端部77aが取り付け替えられる。したがって、図6においてモータ切替スイッチ61を「上」端子に切り替え、ACモータ60を起動させると、巻取りパイプ76が図中反時計方向に回転する。
【0079】
この巻取りパイプ76の反時計方向への回転により、シャッタ77は巻取りパイプ76に巻き取られ、シャッタ77が巻き上げられることによりガレージの入口が開く。一方、モータ切替スイッチ61を「下」端子に切り替え、ACモータ60を起動させると、巻取りパイプ76が図中時計方向に回転し、シャッタ77は巻取りパイプ76から巻き解かれ、シャッタ77が降下することによりガレージの入口がシャッタ77によって閉じる。
【0080】
図9において、78は円筒状に形成された回転伝達用パイプであって、図8に示すように一端側に内歯歯車78aが形成され、他端側に軸受部78bが形成されており、軸受部78bが巻取りパイプ76の一端部に嵌合固定されている。これら回転伝達用パイプ78と巻取りパイプ76とは、固定パイプ75に前記中心取付軸72と同心円上となるように回転自在に支持されている。したがって、この回転伝達用パイプ78は、軸受部78bを介して固定パイプ75の周りを巻取りパイプ76と一体的に回転する。
【0081】
図9において、82A,82Bはフレーム2の両側板10,11間に回転自在に支持された伝達軸であって、図4および図5に示すようにこれら伝達軸82A,82Bの側板11の外側に突出した部位には、回転伝達用パイプ78の内歯歯車78aに噛合する伝達歯車80A,80Bが軸着されている。
【0082】
これら伝達歯車80A,80Bは、図9に示すように遊挿孔10a,11aを中心とした同一の円R2上に位置付けられている。この円R2と回転伝達用パイプ78の内歯歯車78aとは、遊挿孔10a,11aを中心とした同心円上に位置付けられている。
【0083】
伝達軸82Aの側板10に近接した部位には、図5に示すように送り歯車19Aに噛合する中間歯車81Aが軸着されている。伝達軸82Bの側板11に近接した部位には、図4に示すように送り歯車19Bに噛合する中間歯車81Bが軸着されている。
【0084】
このように構成されていることにより、モータ切替スイッチ61を「上」端子に切り替え、ACモータ60を起動させシャッタ77を巻き上げると、巻き上げパイプ76が図9中反時計方向に回転する。
【0085】
したがって、回転伝達用パイプ78の内歯歯車78aが図9中反時計方向に一体的に回転することにより、伝達歯車80A,80Bが反時計方向に回転するため送り歯車19A,19Bが時計方向に回転する。この送り歯車19A,19Bの時計方向への回転によって、第1のカウンタ3Aは加算し、第2のカウンタ3Bは減算する。
【0086】
一方、モータ切替スイッチ61を「下」端子に切り替え、ACモータ60を起動させると、シャッタ77が巻取りパイプ76から巻き解かれ、巻き上げパイプ76が図9中時計方向に回転する。
【0087】
したがって、回転伝達用パイプ78の内歯歯車78aが図9中時計方向に一体的に回転することにより、伝達歯車80A,80Bが時計方向に回転するため送り歯車19A,19Bが反時計方向に回転する。この送り歯車19A,19Bの反時計方向への回転によって、第1のカウンタ3Aは減算し、第2のカウンタ3Bは加算する。
【0088】
このように、範囲設定用リミットスイッチ1の両側板10,11に手動シャッタに必要な中心取付軸72を遊挿する遊挿孔10a,11aが設けられているため、中心取付軸72を取り付けたままで、範囲設定用リミットスイッチ1を装着することができるから、手動シャッタから電動シャッタに切り替える作業が容易になる。
【0089】
また、第1および第2のカウンタ3A,3Bが遊挿孔10a,11aの周りに円周方向に並設されているため、中心取付軸72の周りのドーナツ状に形成されたスペース内に範囲設定用リミットスイッチ1を収容することが可能になる。
【0090】
また、上述したようにリセットシャフト46は、図1(A)に示すように、遊挿孔10a,11aを中心としたフレーム2の円周方向において、第1のカウンタ3Aと第2のカウンタ3Bとの間に設けられており、リセットシャフト46は第1および第2のカウンタの上方または下方に位置するようなことがない。したがって、フレーム2の外周端2aと遊挿孔10a,11aの外周端との間の間隔Hを最小限に形成することができる。このため、中心取付軸72の周りの限られたスペース内にシャッタ開閉用リミットスイッチ1を収容することが可能になる。
【0091】
次に、図1ないし図3および表1を用いて、このような構成の範囲設定用リミットスイッチ1を使用してシャッタ77の上限および下限を設定する動作について説明する。
【0092】
【表1】

【0093】
まず、シャッタ77の下限位置を設定するには、モータ切替スイッチ61を操作し、シャッタ77を下降させるように「下」端子に切り替える。同時に、設定レバー5を操作し、図3に示すようにリセットシャフト46を軸心周りに時計方向に回動させ、第1のリセットピン50Aを第1の位置に位置付けた後に、さらにリセットシャフト46を軸心周りに時計方向に回動させる。
【0094】
この回動によって、第1のカウンタ3Aの第1の特定値復帰仲介部材40Aがシャフト41を回動中心として反時計方向に回動するため、上述したように、第1の復帰ブラケット22Aが小軸24を回動中心として時計方向に回動し、第1のカウンタ3Aが特定値「999」に復帰する。
【0095】
同時に、第1のスイッチレバー35Aがシャフト36を回動中心として時計方向に回動するため、第1のリミットスイッチ10Aは強制的にON状態になり、ACモータ60が起動してシャッタ77は下降する。
【0096】
この間、第1のカウンタ3Aは減算方向に駆動されるが、設定レバー5を作動し続けているので、第1のカウンタ3Aは「999」のままである。そして、下降するシャッタ77が下限に位置したら、設定レバー5の回動操作を解除し、第1のリセットピン50Aを中立の位置に位置付ける。
【0097】
このとき、第1のカウンタ3Aは「999」のままであり、スイッチレバー35の嵌合突起37aが、百位桁数字車15の凹部15bに嵌合するので、第1のリミットスイッチ10AがOFFになり、ACモータ60が停止する。この間、第2のカウンタ3Bは加算されて、任意の数値となっている。
【0098】
このように、シャッタ77の下限位置を設定するのに、図3に示すように設定レバー5をリセットシャフト46を回動中心として時計方向に回動させる操作、すなわち設定レバー5を下方に向かって操作するようにしている。
【0099】
このため、シャッタ77の下限位置の設定方向と設定レバー5の回動操作方向とが一致することにより、シャッタ77の下限位置を設定するに当たり、設定レバー5による操作ミスが低減される。
【0100】
次に、シャッタ77の上限位置を設定するには、モータ切替スイッチ61を操作し、シャッタ77を上昇させるように「上」端子に切り替える。同時に、設定レバー5を操作して、図1に示すようにリセットシャフト46を軸心周りに反時計方向に回動させ、第2のリセットピン50Bを第2の位置に位置付けた後に、さらにリセットシャフト46を軸心周りに反時計方向に回動させる。
【0101】
この回動によって、第2のカウンタ3Bの第2の特定値復帰仲介部材40Bがシャフト41を回動中心として時計方向に回動するため、上述したように、第2の復帰ブラケット22Bが小軸24を回動中心として反時計方向に回動し、第2のカウンタ3Bが特定値「999」に復帰する。
【0102】
同時に、第2のスイッチレバー35Bがシャフト36を回動中心として反時計方向に回動するため、第2のリミットスイッチ30Bは強制的にON状態になり、ACモータ60が起動してシャッタ77は上昇する。
【0103】
この間、第2のカウンタ3Bは減算方向に駆動されるが、設定レバー5を作動し続けているので、第2のカウンタ3Bは「999」のままである。そして、上昇するシャッタ77が上限に位置したら、設定レバー5の回動操作を解除する。
【0104】
このとき、第2のカウンタ3Bは「999」のままであり、第2のスイッチレバー35Bの嵌合突起37aが、百位桁数字車15の凹部15bに嵌合するので、第2のリミットスイッチ30BがOFFになり、ACモータ60が停止する。この間、第1のカウンタ3Aは加算されて、シャッタ77の上昇に相当する数値、本実施例では「050」となっている。
【0105】
このように、シャッタ77の上限位置を設定するのに、図1に示すように設定レバー5をリセットシャフト46を回動中心として反時計方向に回動させる操作、すなわち設定レバー5を上方に向かって操作するようにしている。
【0106】
このため、シャッタ77の上限位置の設定方向と設定レバー5の回動操作方向とが一致することにより、シャッタ77の上限位置を設定するに当たり、設定レバー5による操作ミスが低減される。
【0107】
次に、このようにシャッタ77の上限と下限とを第1および第2のカウンタ3A,3Bに設定した後のシャッタ77の制御動作を説明する。例えば、上限にシャッタ77が位置しているときは、第1のカウンタ3Aは「050」を表示して第1のリミットスイッチ10AはON状態となっている。
【0108】
モータ切替スイッチ61を「下」端子に切り替えると、ACモータ60が起動してシャッタ77は下降し始め、下限位置に達すると、第1のリミットスイッチ10Aが「999」となり、第1のリミットスイッチ10AがOFFになり、ACモータ60は停止し、シャッタ77は設定された下限位置に停止する。
【0109】
ここで、シャッタ77は前述した第1のカウンタ3Aによって下限位置に設定した「999」と同じ表示「999」で停止するので、停止位置の精度が設定された位置と同じとなる。すなわち、シャッタ77は第1のカウンタ3Aによって設定された下限位置と同一の位置で停止する。
【0110】
したがって、シャッタ77の下端と地面との間に不用意な隙間が発生したりするようなこともなく、シャッタ77の下端が地面に接地した後もACモータ60が駆動されるようなこともないから、ACモータ60等に無用な負荷をかけることもない。このとき、第2のカウンタ3Bは「050」となり、第2のリミットスイッチ30BはON状態となっている。
【0111】
次に、シャッタ77を下限位置から上限位置まで上昇させるには、モータ切替スイッチ61を「上」端子に切り替える。ACモータ60が起動するとシャッタ77が上昇し、同時に第2のカウンタ3Bが「050」から減算する。
【0112】
シャッタ77が上限位置に達すると、第2のカウンタ3Bが「999」となり、第2のリミットスイッチ30BがOFFになり、ACモータ60は停止し、シャッタ77は設定された上限位置に停止する。
【0113】
ここで、シャッタ77は上述した下限位置での停止と同様に第2のカウンタ3Bで上限位置に設定した「999」と同じ「999」で停止するので、停止位置の精度が設定された位置と同じとなる。すなわち、シャッタ77は第2のカウンタ3Bによって設定された上限位置と同一の位置で停止する。
【0114】
したがって、シャッタ77の上端がガレージの天井に達せずにガレージが開けきらないというようなことがないとともに、シャッタ77の上端がガレージの天井に達した後もACモータ60が駆動されるようなこともないから、ACモータ60等に無用な負荷をかけることもない。
【0115】
このように、従来のように二本のリセットシャフトを必要とせずに、一本のリセットシャフト46を一つの設定レバー5によって回動操作することによって、両カウンタ3A,3Bのそれぞれを特定値に復帰させるようにしたことにより、シャッタ77の上限位置と下限位置とを設定する際にリセットシャフトを選択する必要がない。また、一つの設定レバー5を時計方向または反時計方向へ回動操作するだけで特定値を設定することができるから操作性が向上する。
【0116】
また、第1のカウンタ3Aと第2のカウンタ3Bとを互いに逆方向に歩進させるために、第1および第2のカウンタ3A,3Bを、数字車15,16,17の軸線方向に沿って上下・左右が互いに対称となるように並設したことにより、第1および第2のカウンタ3A,3Bが同一のカウンタを使用することができる。このため、新たな構造のカウンタを開発する必要がないので、開発費が削減でき廉価な範囲設定用リミットスイッチを提供することができる。
【0117】
また、第1および第2のカウンタ3A,3Bを互いに逆方向へ歩進させるのに、第1および第2のカウンタ3A,3Bを、数字車15,16,17の軸線方向に沿って上下・左右が互いに対称となるように軸線方向と直交する方向に並設し、一つの内歯歯車78aによって、二つの伝達歯車80A,80Bを同時に回転させ、これら伝達歯車80A,80Bを介して、第1および第2のカウンタ3A,3Bの送り歯車19A,19Bを歩進させるようにしている。
【0118】
このため、第1および第2のカウンタ3A,3Bを互いに逆方向へ歩進させるための歯車列が不要となり、構造が簡素化され部品点数も削減される。また、内歯歯車78aと伝達歯車80A,80Bとを採用したことにより、スペースを有効に利用できるため小型化を図ることができる。
【0119】
なお、本実施の形態においては、数字車の周面に数字を付さなかったが、従来から広く知られているカウンタのように、数字を表示するようにしてもよい。また、特定値を「999」としたが、カウンタを9進法として、特定値を「888」としてもよいし、要は特定値を総桁下げしたときの値とすればよい。また、本実施の形態においては、範囲設定用リミットスイッチ1によってシャッタ77の開閉を制御する例を説明したが、これに限定されることなく、他の産業用機器の動作範囲を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…範囲設定用リミットスイッチ、2…フレーム、3A…第1のカウンタ、3B…第2のカウンタ、5…設定レバー、10,11…側板、15…百位桁数字車、15a,16a,17a…ハートカム、22A…第1の復帰ブラケット、22B…第2の復帰ブラケット、23…ハートカム押圧片、25…桁上げピニオン、26…ピニオンシャフト、30A…第1のリミットスイッチ、30B…第2のリミットスイッチ、35A…第1のスイッチレバー、35B…第2のスイッチレバー、37a…嵌合突起、38…作動部、39a…被係合突起、40A…第1の特定値復帰仲介部材、40B…第2の特定値復帰仲介部材、40a…係合部、40b…係合溝、40c…被係合部、46…リセットシャフト、50A…第1のリセットピン、50B…第2のリセットピン、60…ACモータ、61…モータ切替スイッチ、72…中心取付軸、76…巻取りパイプ、77…シャッタ、78a…内歯歯車、80A,80B…伝達歯車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆回転する複数桁の数字車からなる一対のカウンタを備え、これら両カウンタに全ての数字車を一斉に特定値に復帰させる特定値復帰手段を設けるとともに、これら両カウンタが総桁下げすることにより前記特定値に達したときに最高位桁の数字車から信号を送出して、両カウンタにより範囲を設定する範囲設定用リミットスイッチにおいて、
前記一対のカウンタを、数字車の軸線方向に沿って上下・左右が互いに対称となるように前記軸線方向と直交する方向に並設し、
前記両カウンタのそれぞれに互いに対向するように揺動自在に支持され、揺動することにより前記特定値復帰手段を移動させ前記数字車を一斉に特定値に復帰させる一対の特定値復帰仲介部材と、
この特定値復帰仲介部材を個別に揺動させる二つのリセットピンが設けられ軸心周りに回動自在に支持された一本のリセットシャフトと、
を備え、
前記リセットピンは、前記リセットシャフトの一方向への回動操作によって、一方の前記リセットピンによって一方の前記カウンタの特定値復帰仲介部材のみを揺動させ、前記リセットシャフトの前記一方向と反対の他方向への回動操作によって、他方の前記リセットピンによって他方の前記カウンタの特定値復帰仲介部材のみを揺動させることを特徴とする範囲設定用リミットスイッチ。
【請求項2】
数字車が特定値を表示することにより最高位桁の数字車に設けた凹部に嵌合し、嵌合することによりリミットスイッチをオフにするスイッチレバーを備え、
前記特定値復帰手段によって全ての数字車を一斉に特定値に復帰させた状態で、前記特定値復帰仲介部材が前記スイッチレバーの前記凹部への嵌合を規制することを特徴とする請求項1記載の範囲設定用リミットスイッチ。
【請求項3】
前記両カウンタにより設定される範囲を、シャッタの上限位置と下限位置とし、
前記設定レバーの前記リセットシャフトを回動中心とした上方への回動操作によって前記上限位置が設定され、前記設定レバーの前記リセットシャフトを回動中心とした下方への回動操作によって前記下限位置が設定されることを特徴とする請求項1記載の範囲設定用リミットスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−54189(P2012−54189A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197751(P2010−197751)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【出願人】(000105660)サクサプレシジョン株式会社 (8)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】