説明

米飯加工食品用包装材

【課題】 本発明は、米飯加工食品の形状崩れ(所謂飯割れ)を防止することができ、しかも米飯加工食品の包装を容易且つ確実に行うことができる米飯加工食品用包装材を提供することを課題とする。
【解決手段】 幅方向に分割可能に構成された外フィルム10と、シート状食品Bを介して外フィルム10に重ね合わされ、外フィルム10と同方向に分離可能に構成された内フィルム20とを備え、シート状食品Bを囲むように外フィルム10と内フィルム20とがシールされた米飯加工食品用包装材1において、内フィルム20は、幅方向の両側部側に配置され、外フィルム10にシールされる第一フィルム21と、米飯加工食品Aに対応して幅方向の中央部側に配置される第二フィルム22とを備え、前記第二フィルム22に複数の凹凸22aが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おにぎり等の米飯を塊状に加工した米飯加工食品と、該米飯加工食品と一緒に食される海苔等のシート状食品とを分離した状態で包装し、開封時に米飯加工食品とシート状食品とを一体的にすることのできる米飯加工食品用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の米飯加工食品用包装材として、幅方向に分割可能に形成される外フィルムと、シート状食品を介して外フィルムに重ね合わされ、外フィルムと同方向に分離可能に形成される内フィルムとを備え、前記シート状食品を囲むように外フィルムと内フィルムとがシールされたものが知られている。
【0003】
かかる米飯加工食品用包装材にあっては、米飯加工食品とシート状食品との間に内フィルムを介在させることで米飯加工食品とシート状食品とを分離した状態で包装することができる一方、開封時には、内フィルムを幅方向に分離するようにスライドさせて米飯加工食品とシート状食品との間から内フィルムを取り除くことで、米飯加工食品とシート状食品とを一体にすることができる。
【0004】
ところで、開封時に内フィルムをスライドさせる際には、内フィルムと米飯加工食品との間の摩擦抵抗によって米飯加工食品の形状が崩れてしまう所謂飯割れが発生する虞がある。かかる飯割れを防止することができる米飯加工食品用包装材として、内フィルム全面に複数の凹凸を設けたものを、出願人は既に提案している。
【0005】
かかる米飯加工食品用包装材にあっては、内フィルム全面に複数の凹凸が設けられているので、内フィルムと米飯加工食品との接触面積を減少させることができ、開封時に内フィルムをスライドさせる際の、該内フィルムと米飯加工食品との間の摩擦抵抗を低減させることができる。よって、米飯加工食品に対して内フィルムを円滑にスライドさせて該内フィルムを取り除くことができ、米飯加工食品の形状崩れ(所謂飯割れ)を防止することができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−51714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の米飯加工食品用包装材にあっては、複数の凹凸が内フィルム全面に設けられているため、該内フィルムと外フィルムとが異なる性状となっている。よって、内フィルムと外フィルムとをシールすると、前記性状の違いに起因して内フィルムと外フィルムとのシール部分における熱収縮度合いに差が生じ、その結果、前記シール部分が幅方向の中央部側に向かって丸まってしまう(即ち、シール部分がカールしてしまう)。そうすると、前記カールしたシール部分が障害となって米飯加工食品の包装がし難くなり、この点において改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記点に鑑みてなされたもので、米飯加工食品の形状崩れ(所謂飯割れ)を防止することができ、しかも米飯加工食品の包装を容易且つ確実に行うことができる米飯加工食品用包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る米飯加工食品用包装材は、上記課題を解決するためになされたもので、幅方向に分割可能に構成された外フィルムと、シート状食品を介して外フィルムに重ね合わされ、外フィルムと同方向に分離可能に構成された内フィルムとを備え、シート状食品を囲むように外フィルムと内フィルムとがシールされた米飯加工食品用包装材において、内フィルムは、幅方向の両側部側に配置され、外フィルムにシールされる第一フィルムと、米飯加工食品に対応して幅方向の中央部側に配置される第二フィルムとを備え、前記第二フィルムに複数の凹凸が設けられていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成からなる米飯加工食品用包装材によれば、複数の凹凸が設けられた第二フィルムが、米飯加工食品に対応して幅方向の中央部側に配置されているため、内フィルム(第二フィルム)と米飯加工食品との接触面積を減少させて摩擦抵抗を低減させることができる。従って、開封時に内フィルムを取り除く際に、内フィルム(第二フィルム)を米飯加工食品に対して円滑にスライドさせることができる。
【0011】
また、外フィルムとシールされるのが、該外フィルムと同じ性状の第一フィルムであるため、外フィルムと内フィルム(第一フィルム)とのシール部分における熱収縮度合いを同程度とすることができ、外フィルムと内フィルムとをシールする際のカールを防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る米飯加工食品用包装材では、前記第二フィルムは、表裏両面に複数の凹凸が設けられており、一方の面が前記米飯加工食品に対応し、他方の面がシート状食品に対応するように配置されていることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、前記一方の面と米飯加工食品との接触面積を減少させて摩擦抵抗を低減させるだけでなく、他方の面とシート状食品との接触面積を減少させて摩擦抵抗を低減させることもできる。従って、開封時に内フィルムを取り除く際に、内フィルム(第二フィルム)が米飯加工食品及びシート状食品に対して円滑にスライドし、米飯加工食品の形状崩れだけでなくシート状食品の形状崩れも防止することができる。
【0014】
また、本発明に係る米飯加工食品用包装材では、前記第二フィルムは、前記第一フィルム及び外フィルムよりも、滑り性が高い素材からなることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、開封時に内フィルムを取り除く際に、内フィルム(第二フィルム)を米飯加工食品及びシート状食品に対して極めて円滑にスライドさせることができる結果、米飯加工食品及びシート状食品の形状崩れを確実に防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る米飯加工食品用包装材では、前記第二フィルムは、無延伸ポリプロピレンからなり、前記第一フィルム及び外フィルムは、二軸延伸ポリプロピレンからなることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、第二フィルムが無延伸ポリプロピレンであるため、高い滑り性によって、米飯加工食品及びシート状食品に対して内フィルム(第二フィルム)を極めて円滑にスライドさせることができ、米飯加工食品及びシート状食品の形状崩れを効果的に防止することができる。また、第一フィルム及び外フィルムが同じ二軸延伸ポリプロピレンであるため、内フィルム(第一フィルム)と外フィルムとのシール部分における熱収縮度合いを同程度にすることができ、従って、内フィルム(第一フィルム)と外フィルムとをシールする際のカールを効果的に防止することができる。
【0018】
また、本発明に係る米飯加工食品用包装材では、前記内フィルムの第一フィルムと第二フィルムとは、幅方向の一部が重なり合うように配置され、当該重なり合う領域において、感熱性の接着剤を介してシールされていることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、異なる種類の第一フィルムと第二フィルムとを、感熱性の接着剤を介してシールして確実に接続することができる。
【0020】
また、本発明に係る米飯加工食品用包装材では、米飯加工食品を包装する際に、該米飯加工食品を挟むように二つ折りして幅方向に対して直交する長手方向の両端部同士をシールするように構成され、長手方向の一端部には、幅方向中央部に切り込みが入れられて摘み片が形成されており、前記一端部のうち該摘み片の幅方向両側部は、前記両端部同士をシールすべく該両端部同士を重ね合わせた状態で、長手方向の他端部側に折り返す折り返し部とされていることが好ましい。
【0021】
この場合、米飯加工食品を包装する際に、該米飯加工食品を挟むように二つ折りして幅方向に対して直交する長手方向の両端部同士をシールするように構成されているため、例えばふんわりと柔らかく握られている高級食材を使用した米飯加工食品を、該米飯加工食品の形状(例えば三角形状)に即して折り曲げることなく包装することができ、該米飯加工食品の高級感を保持することができる。
【0022】
また、長手方向の一端部に、幅方向中央部に切り込みが入れられて摘み片が形成されているため、該摘み片の切り込みが目印となって開封開始位置の視認性を向上させることができ、更に、摘み片を把持して切り込みから引き裂くことで容易に破断することができ、開封性を向上させることができる。
【0023】
また、摘み片が形成された一端部の幅方向両側部が、内フィルムと外フィルムの長手方向の両端部同士をシールすべく該両端部同士を重ね合わせた状態で、長手方向の他端部側に折り返す折り返し部とされているため、該折り返し部の折り返しによって摘み片が相対的に自立した状態(飛び出した状態)となり、開封開始位置の視認性を向上させることができ、しかも、折り返した折り返し部がリブのように作用して、内フィルムと外フィルムとの重ね合わせた長手方向の両端部同士にコシ(剛性)を持たせることができ、外力を受けても変形しにくいようにすることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る米飯加工食品用包装材によれば、内フィルムが第一フィルムと第二フィルムとを備えるので、開封時に内フィルムを取り除く際に第二フィルムを米飯加工食品に対して円滑にスライドさせて米飯加工食品の形状崩れ(所謂飯割れ)を防止することができ、しかも、外シールと内シール(第一フィルム)とをシールする際のカールを防止して米飯加工食品の包装を容易且つ確実に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る米飯加工食品用包装材を用いて米飯加工食品を包装した状態を示す図であり、長手方向の一端部側における幅方向の両側部に形成された折り返し部を長手方向の他端部側に折り返す前の状態を示す斜視図である。
【図2】同米飯加工食品用包装材で米飯加工食品を包装した状態であって、図1の状態から折り返し部を折り返した状態を示す斜視図である。
【図3】同米飯加工食品用包装材の分解斜視図であって、(a)は内フィルムの分解斜視図、(b)は米飯加工食品用包装材全体の分解斜視図である。
【図4】同米飯加工食品用包装材の内フィルムの平面図であって、(a)は、第一フィルムを示す図であり、(b)は、第二フィルムを示す図である。
【図5】同米飯加工食品用包装材の平面図であって、(a)は、外フィルム側から見た図であり、(b)は、内フィルム側から見た図である。
【図6】同米飯加工食品用包装材を用いて米飯加工食品を包装した状態から開封する際の工程図であって、(a)は、摘み片を引張って外フィルムを切断させている状態を示す斜視図、(b)は、外フィルムの一部を長手方向に取り除いて外フィルムを幅方向に分割した状態を示す斜視図、(c)は、重ね合わせた長手方向の両端部を引張って内フィルムを幅方向に分割しつつ、該内フィルムを米飯加工食品とシート状食品との間から取り除いている状態を示す斜視図、(d)は、内フィルムが取り除いて米飯加工食品とシート状食品とを一体にした状態(米飯加工食品用包装材の開封が完了した状態)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る米飯加工食品用包装材の一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
【0027】
本実施形態に係る米飯加工食品用包装材は、図1,2に示すように、おにぎりや寿司等の米飯加工食品A(本実施形態においては、三角形状のおにぎり)と、シート状にされた海苔や薄焼き卵、畳鰯等のシート状食品B(本実施形態においては、海苔)とを分離した状態で包装するもので、図3(b)に示す如く、幅方向に分割可能に構成された外フィルム10と、シート状食品Bを介して外フィルム10に重ね合わされ、外フィルム10と同方向に分離可能に構成された内フィルム20とを備え、前記シート状食品Bを囲むように外フィルム10と内フィルム20とがシールされ、前記内フィルム20を内側(米飯加工食品Aが配置される側)にして米飯加工食品Aを包むことができるように構成されている。
【0028】
本実施形態に係る外フィルム10は、図5(a)に示すように、平面視略長方形状に形成されており、長手をなす長手方向と直交する幅方向に分割可能に構成されている。より具体的には、図1,2及び5(a)に示すように、前記外フィルム10には、該外フィルム10を長手方向の全長に亘って切断するための切断補助手段100a,100bが設けられている。該切断補助手段100a,100bは、外フィルム10の長手方向に延びるように線状又は帯状をなしており、外フィルム10の幅方向に並んで少なくとも二条設けられている。
【0029】
切断補助手段100a,100bのそれぞれは、外フィルム10の長手方向の全長に亘って連続的に設けられており、本実施形態においては、外フィルム10に対して貼着された帯状のカットテープで構成されている。
【0030】
該二条の切断補助手段(カットテープ)100a,100bは、外フィルム10の長手方向に延びる中心線CLを基準にして対称になるように設けられる。本実施形態においては、二条の切断補助手段100a,100bのそれぞれが直線状をなすように設けられている。
【0031】
本実施形態に係る米飯加工食品用包装材1は、前記内フィルム20を内側にして米飯加工食品Aを包むに際し、積層状態にある外フィルム10及び内フィルム20を該外フィルム10の長手方向に二つ折りにして、幅方向の各側部、並びに、長手方向の一端部と他端部とをシール(三方シール)するように構成され、この包装形態を前提に、前記二条の切断補助手段100a,100bは、外フィルム10の長手方向の両端部で所定の間隔をあけるように設けられる。
【0032】
外フィルム10の長手方向の両端部での二条の切断補助手段100a,100bの間隔は、シート状食品Bの幅寸法の20%〜55%に設定され、より好ましくは、シート状食品Bの幅寸法の30%〜50%に設定される。
【0033】
また、本実施形態に係る外フィルム10には、長手方向の一端部に、幅方向中央部に切り込みが入れられて、摘み片101が形成されている。具体的には、外フィルム10の長手方向の一端部は、二条の切断補助手段100a,100bを挟むように設けられる一対の平行な直線状の切込部102,102と、該切込部102,102間に形成される摘み片101と、該摘み片101を除く幅方向の両側部側、即ち切込部102,102よりも幅方向の外側(端部側)に形成される折り返し部103とを備える。そして、包装する際には、長手方向の一端部と他端部とは、一端部の摘み片101(及び折り返し部103)を避けるように、互いに長手方向にずれて重ね合わせられてシールされる。具体的には、長手方向の他端部は、長手方向の一端部のうち、摘み片101及び折り返し部103が形成されている領域を除いた領域に重なるように、長手方向の一端部に対して同方向他端部側にずらして重ねられてシールされる。よって、前記一端部と他端部とをシールした状態においては、一端部の摘み片101や折り返し部103は、前記他端部の端縁から外方へ突出した状態となる。
【0034】
本実施形態に係る外フィルム10は、上述の如く、外フィルム10及び内フィルム20を二つ折りにして、幅方向の各側部、並びに、長手方向の一端部と他端部とをシールする包装形態を前提に、長手方向の中央位置にある両側端部が切り欠かれて折込用外側切欠部(Vカット)104,104が設けられている。
【0035】
また、本実施形態に係る外フィルム10は、複数の凹凸が設けられることなく、即ちエンボス加工がなされておらず、従って、表裏両面が略平坦な面となっており、例えば二軸延伸ポリプロピレン(OPP)からなる。
【0036】
本実施形態に係る内フィルム20は、前記外フィルム10と同様に平面視略長方形状に形成されており、外フィルム10と略同サイズに設定されている。該内フィルム20は、図3(a),(b)及び図4(a),(b)に示すように、幅方向の両側部側に配置され、外フィルム10にシールされる第一フィルム21と、米飯加工食品Aに対応して幅方向の中央部側に配置される第二フィルム22とから構成され、前記第二フィルム22に複数の凹凸22aが設けられている。
【0037】
本実施形態に係る第一フィルム21は、内フィルム20の幅方向の両側部側に配置され、前記幅方向の中央部側に間隔を空けて配置される二枚のフィルムからなり、長手方向のサイズが外フィルム10と略同サイズに設定され、長手方向の中央位置にある両側端部が切り欠かれて折込用内側切欠部(Vカット)200,200が設けられている。該折込用内側切欠部200,200は、外フィルム10の折込用外側切欠部104,104に対応した配置及び形状に設定されている。
【0038】
また本実施形態に係る第一フィルム21は、複数の凹凸が設けられることなく、即ちエンボス加工がなされておらず、従って、表裏両面が略平坦になっており、例えば二軸延伸ポリプロピレン(OPP)からなる。
【0039】
本実施形態に係る第二フィルム22は、米飯加工食品Aに対応して幅方向の両側部側を除いて中央部側に配置される二枚のフィルムからなる。詳細に説明すると、図4(b)に示すように、第二フィルム22は、幅方向に並ぶ一対のフィルムを備え、双方のフィルムが、接近し合う幅方向の一部(領域L1)において非接着で重なり合うように配置されて構成されている。
【0040】
また、第二フィルム22には、その表裏両面に複数の凹凸22aが全面に設けられており、一方の面としての表面が米飯加工食品Aに対応し、他方の面としての裏面がシート状食品Bに対応するように配置されている。本実施形態では、凹凸22aは、第二フィルムを構成する二枚のフィルムそれぞれの表裏両面に設けられている。ここで、「第二フィルム22が米飯加工食品Aあるいはシート状食品Bに対応している」とは、第二フィルム22が米飯加工食品Aあるいはシート状食品Bが配置される幅方向の領域に亘ることを意味する。また、「幅方向の領域に亘る」とは、「幅方向の略全領域若しくは全領域において」という意味である。
【0041】
第二フィルム22の前記複数の凹凸22aは、エンボス加工を施すことによって形成され、複数の凹部と凸部とが交互に配置され構成されており、本実施形態に係る複数の凹凸22aは、微細な畳目状の凹部と菱形状の凸部とから形成される。この凹凸22aの高低差は、特に限定されず適宜設計されるものであるが、極端に低いと凹凸22aの効果が得られず、一方、余りに高くするのは加工や包装などが困難であることから、概ね0.1mm〜1mm程度、好ましくは、0.1〜0.5mm程度の高低差に形成されていればよい。尚、凹凸22aは、図4(b)においてハッチングを用いて簡略して示し、他の図においては図示を省略している。
【0042】
また本実施形態に係る第二フィルム22は、第一フィルム21及び外フィルム10よりも、滑り性が高い素材であり、例えば無延伸ポリプロピレン(CPP)である。
【0043】
そして、内フィルム20は、図3(a)及び図4(a),(b)に示す如く、前記第一フィルム21と第二フィルム22とが幅方向において少なくとも互いの一部が重なり合うように、第一フィルム21が内フィルム20の幅方向両側部側に、第二フィルム22が内フィルム20の幅方向中央部側にそれぞれ配置され、当該重なり合う領域L2において感熱性の接着剤を介してシールされて構成されている。
【0044】
具体的には、第一フィルム21の二枚のフィルムが、内フィルム20の幅方向中央部側に所定の間隔を空けて幅方向両側部側に離間して配置され、第二フィルム22の2枚のフィルムが、互いの一部を重なり合わせた状態で、内フィルム20の幅方向中央部側に配置され、第一フィルム21の二枚のフィルムの、内フィルム20における幅方向中央部側に位置するそれぞれの側部と、第二フィルム22の二枚のフィルムの内フィルム20における幅方向側部側に位置するそれぞれの側部とが重なり合わされ、当該重なり合う領域L2の全体的あるいは部分的な箇所がパートコートによってシールされている。本実施形態では、第一フィルム21と第二フィルム22とが重なり合う領域L2が全体的にパートコートを用いてシールされている。尚、重なり合う領域L2の部分的な箇所とは、重なり合う領域L2の幅方向の中央部側、幅方向の一方又は両方の側部側若しくは端部、あるいは、これらの組合せなどである。
【0045】
ここで、本実施形態では、第一フィルム21は、米飯加工食品A及びシート状食品Bに対応していない。具体的には、第一フィルム21の二枚のフィルムの、内フィルム20における幅方向中央部側に位置するそれぞれの側部は、米飯加工食品A及びシート状食品Bよりも幅方向側部側に位置しており、従って、第一フィルム21の二枚のフィルムは、米飯加工食品A及びシート状食品Bよりも幅方向側部側に位置するよう配置されている。そして、かかる第一フィルム21にシールされる第二フィルム22は、米飯加工食品A及びシート状食品Bの幅方向の全領域に亘るように配置されている。
【0046】
即ち、本実施形態では、第一フィルム21は、米飯加工食品A及びシート状食品Bに対して、幅方向の側部乃至側部近傍が対向して配置し、第二フィルム22は、米飯加工食品A及びシート状食品Bの幅方向の略全領域以上となるように配置されている。
【0047】
尚、第一フィルム21及び第二フィルム22は、第二フィルム22が内側(米飯加工食品Aが配置される側)、第一フィルム21が外側(シート状食品Bあるいは外フィルム10が配置される側)となるように配置されて幅方向の一部で重ね合わせてシールしている。
【0048】
上記構成からなる、本実施形態に係る米飯加工食品用包装材1は、図5(a)及び図5(b)に示す如く、シート状食品Bを介して内フィルム20と外フィルム10とを積層した上で、外フィルム10及び内フィルム20の幅方向の両側部を所定幅でシールしてシールライン(以下、側部シールラインという)S1,S1を形成するとともに、外フィルム10の長手方向の一端部と他端部とをシールしてシールラインS2,S2を形成し、これらのシールラインS1,S1,S2,S2によってシート状食品Bを収容する空間(以下、収容空間という)を画定している。本実施形態においては、内フィルム20と外フィルム10との間の収容空間内でのシート状食品Bの移動を規制して、該シート状食品Bを二条の切断補助手段100a,100bの配置に対応させるべく、各側部シールラインS1,S1に連続するように、側部シールラインS1,S1よりも収容空間側の領域を部分的にシールして位置決めシール部S3が形成されている。
【0049】
該位置決めシール部S3は、長手方向に間隔をあけて複数形成されており、シート状食品Bが幅方向の両側で複数の位置決めシール部S3,・・・によって位置決めされている。すなわち、各側部シールラインS1,S1から突出する位置決めシール部S3,S3の先端同士の間の間隔がシート状食品Bの幅よりもやや広く設定されており、該位置決めシールS3,S3間にあるシート状食品Bが、二条のカットテープ100a,100bの配置に対応して位置決めされている。
【0050】
次に、米飯加工食品用包装材1の開封態様について説明する。包装された米飯加工食品Aを食すのに米飯加工食品用包装材1を開封するには、図6(a)に示す如く、摘み片101を持って外フィルム10の長手方向に沿って引っ張り、外フィルム10を長手方向に切断する。このとき、外フィルム10は、二条のカットテープ100a,100bによって誘導されつつ切断される(裂ける)ことになり、図6(b)に示す如く、外フィルム10の幅方向の中央の領域が長手方向の全長に亘って切除されて幅方向に2つに分割される。
【0051】
そして、図6(c)に示す如く、内フィルムを幅方向に分割する。具体的には、外フィルム10及び内フィルム20の長手方向の一端部(重なりあった両端部)の折り返し部103の幅方向両側部を把持して幅方向に引っ張ると、非接着で重ね合わされている二枚の第二フィルム22同士が幅方向に分離することになる。本実施形態においては、表裏両面にエンボス加工によって凹凸22aが形成されている第二フィルム22が米飯加工食品Aとシート状食品Bとの幅方向の全領域に配置されているため、第二フィルム22は、米飯加工食品Aとシート状食品Bに対して円滑にスライドする。
【0052】
次に、外フィルム10及び内フィルム20の何れもが幅方向に二分されると、図6(d)に示す如く、米飯加工食品Aとシート状食品Bとの間に介在する内フィルム20が分離されて米飯加工食品Aとシート状食品Bとが一体的になる。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る米飯加工食品用包装材1によれば、内フィルム20の第二フィルム22は、その表面及び裏面に複数の凹凸22aが設けられ、表面が米飯加工食品Aに、裏面がシート状食品Bに、それぞれ対応するように配置されると共に、米飯加工食品A及びシート状食品Bの幅方向の全領域に亘って配置されるため、内フィルム20と米飯加工食品A及びシート状食品Bとの接触面積を減少させて摩擦抵抗を低減することができる。よって、米飯加工食品A及びシート状食品Bを分離包装している米飯加工食品用包装材1を開封すべく内フィルム20を引張って取り除く際に、第二フィルム22が米飯加工食品A及びシート状食品Bに対して円滑にスライドして、米飯加工食品A及びシート状食品Bの形状崩れを防止することができる。
【0054】
また、第二フィルム22は、滑り性の高い無延伸ポリプロピレンからなるため、前記凹凸22aと相俟って摩擦抵抗を効果的に低減させることができ、従って、米飯加工食品A及びシート状食品Bに対して第二フィルム22を極めて円滑にスライドさせることができる。
【0055】
また、第二フィルム22は、二枚のフィルムが幅方向の一部において非接着で重なり合わせて構成されているため、開封時に内フィルム20を引張ると、第二フィルム22が容易に分離する結果、内フィルム20を容易に取り除くことができる。
【0056】
さらに、本実施形態の米飯加工食品用包装材1では、互いにシールされる外フィルム10と内フィルム20の第一フィルム21とが、それぞれ平坦な表面に形成され、しかも、共に二軸延伸ポリプロピレンから構成されているため、シールする際の熱収縮度合いが同程度となってシール部分におけるカールを効果的に防止することができる。よって、米飯加工食品の包装を容易且つ確実に行うことができる。
【0057】
また、本米飯加工食品用包装材1では、第一フィルム21と第二フィルム22とは、幅方向の一部が重なり合うように配置され、当該重なり合う領域において、パートコートを用いてシールされているため、第一フィルム21の無延伸ポリプロピレンと外フィルム10の二軸延伸ポリプロピレンとを適切且つ確実に接着することができる。
【0058】
また、本米飯加工食品用包装材1では、米飯加工食品Aを包装する際に、該米飯加工食品Aを挟むように二つ折りして幅方向に対して直交する長手方向の一端部と他端部とをシールするように構成されるため、米飯加工食品Aの形状に即して包装(例えば三角形状のおにぎりに対して三角包装)しないため、ふんわりと柔らかく握られている高級食材を使用した米飯加工食品Aに対応して、当該米飯加工食品Aの品質を保持できる。
【0059】
また、本米飯加工食品用包装材1では、長手方向の一端部に、幅方向中央部に切込部102,102が設けられ、該切込部102,102よりも幅方向の内側に摘み片101と外側に折り返し部103とが形成されているため、折り返し部103を他端部側に折り返した状態において、摘み片101が相対的に自立して目印となり、包装材の開封開始位置の視認性を向上させつつ、摘み片101を摘んで引張ることによって、包装材を容易に破断することができ、即ち包装材の開封性を向上させることができる。
【0060】
また、本米飯加工食品用包装材1では、折り返した折り返し部103がリブのように作用して、内フィルム20と外フィルム10との重ね合わせた長手方向の両端部同士にコシ(剛性)を持たせることができ、外力を受けても変形しにくいようにすることができる。
【0061】
尚、本発明の米飯加工食品用包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0062】
本実施形態においては、包装する際には、長手方向の一端部と他端部とは、一端部の摘み片101(及び折り返し部103)を避けるように、互いに長手方向にずれて重ね合わせられてシールされる場合について説明したが、これに限らず、長手方向の一端部と他端部とは、端縁同士が重ね合わせられてシールされても好い。この場合には、摘み片は、長手方向の一端部のみ、或いは、長手方向の一端部と他端部の両方に、幅方向中央部に切り込みが入れられて形成されることが可能であり、また、折り返し部は、摘み片が形成された一端部の幅方向両側部と、該一端部の幅方向両側部に対応する他端部の幅方向両側部とがシールされて、長手方向の他端部側に折り返されるように形成される。
【0063】
本実施形態においては、第二フィルム22は、二枚のフィルムからなる場合について説明したが、これに限らず、一枚や三枚以上の複数のフィルムから構成されても好い。尚、第二フィルムが一枚からなる場合には、長手方向の全長に亘って分割用のハーフカット等の切断補助手段を設ける。
【0064】
また、本実施形態においては、第二フィルム22は、表裏両面に凹凸22aが設けられる場合について説明したが、これに限らず、米飯加工食品が配置される面にのみ、即ち、表面にのみ凹凸を設けることも可能である。また、凹凸を、第二フィルムの米飯加工食品に対応する領域にのみ設けて、それ以外の領域には設けないようにすることも可能である。
【0065】
また、本実施形態では、第一フィルム21及び外フィルム10には、凹凸を設けないとしたが、両フィルムに凹凸を設けることも可能である。
【0066】
また、本実施形態においては、外フィルム10及び第一フィルム21が二軸延伸ポリプロピレン、第二フィルムが無延伸ポリプロピレンである場合について説明したが、これに限らず、全てのフィルムを、無延伸ポリプロピレン或いは二軸延伸ポリプロピレンとすることも可能である。また、第二フィルムが二軸延伸ポリプロピレンで、第一フィルム、外フィルム10が無延伸ポリプロピレンであることも可能である。
【0067】
また、本実施形態においては、第一フィルム21が、米飯加工食品A及びシート状食品Bに対して幅方向の側部乃至側部近傍が対向して外側(シート状食品Bあるいは外フィルム10が配置される側)に配置され、第二フィルム22が、米飯加工食品A及びシート状食品Bの幅方向の略全領域以上となるように内側(米飯加工食品Aが配置される側)に配置される場合について説明したが、これに限らず、例えば、第一フィルムが、米飯加工食品及びシート状食品の幅方向の中央部側を除く両側部側に対応して外側に配置され、第二フィルムが、米飯加工食品及びシート状食品の幅方向の中央部側に対応して内側に配置される場合であってもよい。
【0068】
或いは、第一フィルム21が、米飯加工食品A及びシート状食品Bに対して幅方向の側部乃至側部近傍が対向して内側に配置され、第二フィルム22が、米飯加工食品A及びシート状食品Bの幅方向の略全領域以上となるように外側に配置される場合であってもよい。
【0069】
更には、第一フィルムが、米飯加工食品及びシート状食品の幅方向の中央部側を除く両側部側に対応して内側に配置され、第二フィルムが、米飯加工食品及びシート状食品の幅方向の中央部側に対応して外側に配置される場合であってもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、外フィルム10は、二軸延伸ポリプロピレンから構成される場合について説明したが、これに限らず、外フィルムは、外面(内フィルムとシールされる面とは反対面)に、紙状シートが貼付される構成であっても好い。具体的には、外フィルムは、内面側に配置された二軸延伸ポリプロピレンと、外面側に配置された紙質材とを接合一体化した複合材であっても好い。
【0071】
また、二条の切断補助手段100a,100bは、本実施形態のように長手方向に平行に離間した直線状のものでなくとも、長手方向の少なくとも一部に互いが離間して間隔を拡大させた拡大部を形成しても好い。また、それぞれが波状をなして互いに接近離間するように設けることもできる。この場合、二条の切断補助手段のそれぞれは、互いに接近する部位が前記中心線CLから所定距離離れるように配置する。
【0072】
また、切込部102,102は、本実施形態のように一対の平行な直線状に形成されていなくとも、馬蹄形や半円状に形成されても好い。切込部を馬蹄形や半円状に形状に形成することによって、指を切込部に挿入して摘み片101を把持し易くなり開封性が向上する。
【0073】
また、本実施形態では、外フィルム10と内フィルム20の幅方向の各側部、並びに、長手方向の一端部と他端部とを所定幅でシールする構成について説明したが、当該シール領域においては、外フィルム10と内フィルム20との間にシート状食品Bが収容された収容空間と外部とを連通させるための空隙部を設けることも可能である。
【0074】
また、本実施形態のような四角包装とする場合だけでなく、三角包装とすることも可能である。具体的には、米飯加工食品用包装材は、内フィルムの下半分側に面して米飯加工食品を載せ、該米飯加工食品が載せられた側の米飯加工食品用包装材を米飯加工食品に向かって折返すと共に、上半分側の米飯加工食品用包装材を、米飯加工食品を包むように折返し、上半分側の米飯加工食品用包装材の上端両隅部を重ね合わせた後、この両隅部をラベルなどで封止する三角包装の構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…米飯加工食品用包装材、10…外フィルム、20…内フィルム、21…第一フィルム、22…第二フィルム、22a…凹凸、100a,100b…切断補助手段(カットテープ)、101…摘み片、102…切込部、103…折り返し部、104…折込用外側切欠部、200…折込用内側切欠部、A…米飯加工食品、B…シート状食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に分割可能に構成された外フィルムと、シート状食品を介して外フィルムに重ね合わされ、外フィルムと同方向に分離可能に構成された内フィルムとを備え、シート状食品を囲むように外フィルムと内フィルムとがシールされた米飯加工食品用包装材において、
内フィルムは、幅方向の両側部側に配置され、外フィルムにシールされる第一フィルムと、米飯加工食品に対応して幅方向の中央部側に配置される第二フィルムとを備え、前記第二フィルムに複数の凹凸が設けられていることを特徴とする米飯加工食品用包装材。
【請求項2】
前記第二フィルムは、表裏両面に複数の凹凸が設けられており、一方の面が前記米飯加工食品に対応し、他方の面がシート状食品に対応するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の米飯加工食品用包装材。
【請求項3】
前記第二フィルムは、前記第一フィルム及び外フィルムよりも、滑り性が高い素材からなることを特徴とする請求項1又は2記載の米飯加工食品用包装材。
【請求項4】
前記第二フィルムは、無延伸ポリプロピレンからなり、前記第一フィルム及び外フィルムは、二軸延伸ポリプロピレンからなることを特徴とする請求項3記載の米飯加工食品用包装材。
【請求項5】
前記内フィルムの第一フィルムと第二フィルムとは、幅方向の一部が重なり合うように配置され、当該重なり合う領域において、感熱性の接着剤を介してシールされていることを特徴とする請求項3又は4記載の米飯加工食品用包装材。
【請求項6】
米飯加工食品を包装する際に、該米飯加工食品を挟むように二つ折りして幅方向に対して直交する長手方向の両端部同士をシールするように構成され、長手方向の一端部には、幅方向中央部に切り込みが入れられて摘み片が形成されており、前記一端部のうち該摘み片の幅方向両側部は、前記両端部同士をシールすべく該両端部同士を重ね合わせた状態で、長手方向の他端部側に折り返す折り返し部とされていることを特徴とする請求項1乃至5記載の米飯加工食品用包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−218791(P2012−218791A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88522(P2011−88522)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】