説明

粉体コーティング装置および方法

粉体コーティング組成物の流動床を形成させ、それによって粉体コーティング組成物の摩擦静電気帯電を達成するための流動室(1)、 基体を全部、または一部、流動床内に浸漬する手段であって、基体(6)は電気的に絶縁されているか、または接地されている手段、電導性電極(9)であっ て、それに電圧が印加され、帯電粒子が基体(6)の一領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれた電導性電極、電極(9)に電圧を印加する手段 (8)、基体を流動床から引き出す手段、そして、付着した粒子を基体の少なくとも一部の上の連続したコーティングに変える手段を含み、基体(6)へのコー ティングを形成する方法を実施する装置であって、流動床内で電離またはコロナ効果がなく運転するように配設されている装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体コーティング組成物を基体に付与するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体コーティング材は、粉体コーティング粒子が静電気で帯電され、そしてその結果、普通は金属製で、電気的に接地されている基体への付着が引き起こされる、静電気付与方法によって、通常、付与される固体組成物である。粉体コーティング粒子の帯電は、スプレーガンを用いて、粒子と電離された空気との相互作用によって(コロナ帯電法)、または摩擦によって(摩擦電気、摩擦静電気、または「摩擦」帯電法)、普通には達成される。帯電粒子は空気中を基体に向かって運ばれ、そしてその最終的な堆積は、とりわけスプレーガンと基体間に生起された電界力線によって影響を受ける。
【0003】
コロナ帯電法の不利な点は、基体のくぼんだ場所内への電界力線の進入が制限されること(ファラデーケージ効果)の結果として、複雑な形を持つ基体、特にくぼんだ部分を持つ基体をコーティングするのが困難なことである。ファラデーケージ効果は摩擦静電気帯電法の場合にはそれほど顕著ではないが、この方法は他の欠点を有する。
【0004】
静電気スプレー法の代わりとして、粉体コーティング組成物は、基体が(典型的には200℃〜400℃まで)予熱され、そして粉体コーティング組成物の流動床内に浸漬される方法によって付与されることもできる。予熱された基体と接触した粉体粒子は溶融し、そして基体の表面に付着する。熱硬化性粉体コーティング組成物の場合には、初めにコーティングされた基体は、付与されたコーティングの硬化を完了させるためにさらに加熱を受けさせることもできる。このような後加熱は熱可塑性粉体コーティング組成物の場合には必要でないかもしれない。
【0005】
流動床法はファラデーケージ効果を排除し、それによって基体仕掛かり品のくぼんだ部分がコーティングされるのを可能とし、そして他の点でも魅力があるが、付与されたコーティングが静電気コーティング法によって得ることができるものよりも実質的に厚いという不利な点を持つことが知られている。
【0006】
粉体コーティング組成物のもう1つの他の付与技術は、いわゆる静電気流動床法であり、同法では流動室内に、またはもっと普通には多孔性空気分散膜の下に広がるプレナムチャンバー内に配置された印加電極によって空気が電離される。電離空気は粉体粒子を帯電させ、粉体粒子は同符号に帯電した粒子の静電反発の結果として全体として上向きの動きを得る。その効果として帯電した粉体粒子の雲が流動床の表面の上に形成される。基体は通常、接地され、そして粉体粒子の雲の中に導入され、粉体粒子の一部が基体表面上に静電誘引によって堆積する。
【0007】
静電気流動床法は小さい物品をコーティングするのに特に適している。何故ならば帯電した流動床の表面から物品が離れるほど、粉体粒子の堆積速度が下がるからである。さらに、伝統的な流動床法の場合のように、粉体はある囲い込み内に閉じ込められるので、基体上に堆積しない過剰スプレー分のリサイクルおよび再混合用の機器を設ける必要がない。しかし、コロナ帯電静電気法の場合のように、印加電極と基体の間に強い電界があり、そしてその結果、ファラデーケージ効果がある程度まで働き、そして基体のくぼんだ場所内への粉体粒子の不十分な堆積に至る。
【特許文献1】国際特許出願公開第94/11446号公報
【特許文献2】国際特許出願公開第00/01775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、
基体上にコーティングを形成する方法を実施する装置であって、
粉体コーティング組成物の流動床を形成させ、それによって粉体コーティング組成物の摩擦静電気帯電を達成するための流動室、
・基体を全部、または一部、流動床内に浸漬する手段であって、それによって粉体コーティング組成物の摩擦静電気で帯電した粒子が基体に付着する手段、但し基体は電気的に絶縁されているか、または接地されている
・電圧が印加される電導性電極であって、帯電粒子が基体の一領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれた電導性電極、
・電極に電圧を印加する手段、
・基体を流動床から引き出す手段、及び、
・付着した粒子を基体の少なくとも一部の上の連続したコーティングに変える手段、
を含み、流動床内で電離またはコロナ効果が生じることなく運転するように配設されている装置、
を提供する。
【0009】
電極は基体の一領域にその影響を及ぼし、当該領域のコーティングに、電極の当該領域への近接度および電極に印加される電圧に従って影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0010】
装置の1つの配設は、最初に言及された電圧と極性が反対の電圧が印加された第2の電極であって、最初に言及された電極と第2の電極が基体の反対側にあり、そして第2の電極が帯電粒子が基体の一領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれた第2の電極、および第2の電極に反対の極性の電圧を印加する手段を含む。
【0011】
装置のもう1つの配設は、最初に言及された電極に近接した少なくとも1のさらなる電極であって、さらなる1または複数の電極が帯電粒子が基体のそれぞれの一領域に、または基体のそれぞれの複数の領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれた、さらなる1または複数の電極、およびさらなる1または複数の電極に最初に言及された電圧と同じ極性の電圧を印加する手段を含む。
【0012】
装置のその他の配設は、複数のさらなる電極を含み、ここでさらなる電極が基体を取り囲んでいる。
【0013】
1の配設では、最初に言及された電極は棒の形をしている。
【0014】
他の配設では、最初に言及された電極は板の形をしている。
【0015】
好ましくは、少なくとも1のさらなる電極を含む配設では、さらなる1の電極は板の形をしていて、そして他のさらなる複数の電極は板の形をしている。
【0016】
最初に言及された電極および他のどの電極も、運転中に、印加された1の電圧または複数の電圧において、装置内に電離状態またはコロナ状態が形成されないようなものである。
【0017】
すなわち、たとえば、最初に言及された、および他のどの電極も電離またはコロナ状態を生起するには不適当な、比較的滑らかな表面だけを含み、そして1または複数の電極の形から生じる端および角は、電離またはコロナ状態を避ける手段として丸くされる。あるいは、または付加的に、端および角は電離またはコロナ状態を避けるために絶縁材料によって覆われる。
【0018】
1または複数の電極と基体との間隔および1または複数の電極に印加される電圧は、運転中に、装置内に電離またはコロナ状態が形成されない程度のものである。
【0019】
実施例として、1または複数の電極と基体との間隔は10cmであることができ、そして1または複数の電極に印加される電圧は5kVであることができ、結果として0.5kV/cmの電位勾配となり、これは電離またはコロナ状態に必要とされる電位勾配よりも十分に小さい。
【0020】
0.5kV/cmの電位勾配は、もちろん、基体と1または複数の電極との他の分離についても1または複数の電極に印加される電圧をそれに応じて調節することによって達成されることができる。
【0021】
0.5kV/cmより大きいが、依然として電離またはコロナ状態を形成する電位勾配より下の電位勾配も、基体と1または複数の電極との間の間隔および1または複数の電極に印加される電圧が適当に選ばれることによって、使用されることができる。
【0022】
運転においては、たとえば、1または複数の電極と基体との間の電位勾配は0.1kV/cm〜5kV/cmオーダーであることができる。
【0023】
装置は、たとえば、0.1kV/cm〜0.5kV/cmオーダーの電位勾配を用いて運転されることができる。
【0024】
あるいは、装置は、たとえば、0.2kV/cm〜1kV/cmオーダーの電位勾配を用いて運転されることができる。
【0025】
ある特定の配設では、本発明に従い、最初に言及された電極および複数のさらなる電極は、基体を少なくとも部分的に取り囲む「鞘」の形に配設される。当該鞘は連続した、または不連続なものであることができる。
【0026】
さらに他の配設では、最初に言及された電極は基体に対して鞘を形成する。
【0027】
鞘を含む1つの配設では、鞘はシート材料からなるか、またはシート材料を含む。
【0028】
鞘を含む他の配設では、鞘の少なくとも一部は棒の配列からなる。
【0029】
鞘は1枚の連続したシートの形であることができ、これは1または複数の電極と基体との間の間隔について上に示された要件を満たしながら、基体のほとんど、またはすべてについてぴったり合った囲い込みを形成する。
【0030】
代わりに、鞘は複数の別々のシートの形であることができ、これは1または複数の電極と基体との間の間隔について上に示された要件を満たしながら、基体のほとんど、またはすべてについてぴったり合った囲い込みを形成し、そしてシートの端は互いに重なり合うことができるが、重なり合っている必要はない。
【0031】
他の代案として、鞘は複数の棒によって形成されることができ、これは基体のほとんど、またはすべてについてぴったり合った囲い込みを形成し、そして棒は互いに重なり合うことができるが、重なり合っている必要はない。互いに直交する2組の棒によって形成された配列があることもできる。
【0032】
鞘を含む配設では、鞘の形は管状であることができ、管状は一端に末端閉鎖部材を含んでいるか、または管状は両端に末端閉鎖部材を含んでいる。
【0033】
あるいは、鞘の形は円筒形であることができ、そしてたとえば、円形の横断面、楕円形の横断面または長方形の横断面を持つことができる。
【0034】
鞘の特定の配設では、鞘は複数の電気的に絶縁された部分を有し、そして装置は鞘の別々の部分にそれぞれの電圧を印加する手段を含む。
【0035】
装置の1つの形態では、流動床は少なくともその一部が電導性である流動室を含み、そして装置は流動室の電導性部分に電圧を印加する手段を含む。
【0036】
本発明は、
粉体コーティング組成物の流動床を形成させ、それによって粉体コーティング組成物の摩擦静電気帯電を達成すること、
基体を全部、または一部、流動床に浸漬し、そこで粉体コーティング組成物の摩擦静電気で帯電した粒子が基体に付着し、基体は電気的に絶縁されているか、または接地されていること、
流動床内に電導性電極を配備すること、
電導性電極に電圧を印加すること、
電極が、基体に対して、帯電粒子が基体の領域に付着する程度に電極によって影響を及ぼされるところに置かれること、
基体を流動床から引き出すこと、そして、
付着した粒子を基体の少なくとも一部の上の連続したコーティングに変えること、
の段階を含み、
流動床内で電離またはコロナ効果が生じることなく実施される方法、
であって、基体にコーティングを形成する方法も提供する。
【0037】
本方法において、電極は基体の一領域にその影響を及ぼし、当該領域のコーティングに、電極の当該領域への近接度および電極に印加された電圧に従って影響を与える。
【0038】
本方法の1つの形態は、最初に言及された電極に対して基体の反対側へ第2の電極を配備し、第2の電極が帯電粒子が基体の一領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれ、そして第2の電極に、最初に言及された電圧と反対の極性の電圧を印加することを含む。
【0039】
本方法の他の形態は、最初に言及された電極に近接して少なくとも1のさらなる電極を配備し、さらなる1または複数の電極が、帯電粒子が基体のそれぞれの一領域に、または基体のそれぞれの複数の領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれ、そしてさらなる1または複数の電極に最初に言及された電圧と同じ極性の電圧を印加することを含む。
【0040】
本発明の方法では、粉体コーティング組成物の粒子は、粒子が流動床内を循環中に互いにこすれ合うときの粒子の摩擦帯電(摩擦電気、摩擦静電気、または「摩擦」帯電法)の結果として基体に付着する。
【0041】
本発明の方法は、流動床内で電離またはコロナ効果が生じることなく実施される。
【0042】
本発明の方法では、基体は電導性(金属または他の電導性材料)、非電導性または弱電導性であることができる。
【0043】
したがって、たとえば、基体は中質繊維板(MDF)、木材または木製品を含むことができる。
【0044】
あるいは、基体はプラスチック材料または電導性添加剤を含むプラスチック材料を含むことができる。
【0045】
プラスチック材料はポリアミドまたは高絶縁性プラスチック材料、たとえばポリカーボネートを含むことができる。
【0046】
プラスチック基体は流動床にそのまま浸漬されることができ、またはその代わりに基体は流動床に浸漬される前に予備帯電されることができ、そして本方法は基体を流動床に浸漬する前に、プラスチック材料をその融点より下で、そして粉体コーティング組成物の転移点より下の温度まで加熱する段階を含むことができる。
【0047】
プラスチック基体が流動床にそのまま浸漬される場合には、それを加熱することはその表面抵抗を減少させる目的に適う。
【0048】
プラスチック基体が流動床に浸漬される前に予備帯電される場合には、それを加熱する主な目的は電荷を全表面にわたって均質化することである。
【0049】
加熱の代わりに、または加熱に加えて、予備帯電されたプラスチック基体の表面は、その電荷を均質化するために湿らされることができる。
【0050】
鞘、および流動室の電導性の部分が含まれる時にはその部分に印加される電圧は、基体がコーティングされるのに摩擦帯電された粉体コーティング粒子によって影響を及ぼすのに十分である一方、流動床内で電離またはコロナ効果を発生させるには不十分な最大電位勾配になる。大気圧の空気は通常、流動床の気体として使われるが、他の気体、たとえば窒素またはヘリウムも使用されることができる。
【0051】
実質的な電界が印加電極と基体の間に発生する静電気流動床法と比較して、本発明の方法は、金属や他の比較的に高電導性の基体のくぼんだ部分に良好なコーティングを達成させる。本方法は、高電導性基体の形に拘わらず、達成されるコーティングの均一性において静電気流動床法よりも顕著に優れている。
【0052】
実質的な電界が印加電極と基体の間に発生する静電気流動床法とさらに比較すれば、本発明の方法は、実質的な電界では生じるかも知れない、繊維材料が端で立つ傾向を何ら起こすことなく、繊維材料を含む基体に良好なコーティングを達成させる。
【0053】
伝統的な流動床付与方法と比較して、本発明の方法は、200〜400℃の温度まで加熱するのが望ましくない、MDF、合板およびプラスチックを含む材料をコーティングする可能性を提供する。また、本方法は粒径が小さくなるほど、粒子間帯電がより効果的になるので、制御された方法でMDF、合板およびプラスチック材料に薄いコーティングを達成させる。
【0054】
粒径が小さくなるほど効率が改善されることは、粒径が小さくなるほど効率が落ちる摩擦電気ガンを用いる粉体コーティング方法と対照的である。
【0055】
MDF、木材、木製品、プラスチック材料の他に、電導性添加剤を含むプラスチック材料、ポリアミド、高絶縁性プラスチック材料、たとえばポリカーボネートは好適な基体である。
【0056】
約103オーム/□〜約1011オーム/□の表面抵抗を持つ基体は弱電導性と考えられることができ、一方、約1011オーム/□より上の表面抵抗を持つ基体は非電導性と考えられることができる。
【0057】
MDFのブロックは、その水分含有量に依存して、103オーム/□〜1011オーム/□台の表面抵抗を持つことができ、103オーム/□台の表面抵抗は1011オーム/□台の表面抵抗が対応するよりも高い水分含有量に対応する。
【0058】
木材および木製品は、木材の種類およびその水分含有量に依存して、103オーム/□〜1011オーム/□台の表面抵抗を持つと考えられることができる。
【0059】
電導性添加剤を含むプラスチック材料および電導性添加剤を含まない各種のプラスチック材料は、その材料および1または複数の添加剤が含まれるときは、その添加剤に依存して、103〜1011オーム/□台の表面抵抗を持つことができ、弱導電性に相当する。
【0060】
高絶縁性プラスチック材料、たとえばポリアミドおよびポリカーボネートは1011オーム/□より上の台の表面抵抗を持つと考えられることができ、非電導性に相当する。
【0061】
さらに、弱導電性基体は103〜105オーム/□台の低い領域の表面抵抗と105のわずかに上から始まって1011オーム/□まで広がる高い領域の表面抵抗に分類されることができる。1011オーム/□より上の表面抵抗を持つ材料は「絶縁性」と考えられる。
【0062】
本明細書に開示された基体は、もちろん重合体に限定されない。
【0063】
1の基体の表面抵抗は少なくとも103オーム/□台であることができ、たとえば、
・103〜105オーム/□台である。
・少なくとも105オーム/□台である。
・105〜1011オーム/□台である。
【0064】
絶縁性基体の表面抵抗は少なくとも1011オーム/□台であることができる。
【0065】
上に示された表面抵抗値は2kVを印加されてASTM基準D257−93によって測定されたものである。
【0066】
コーティングの均一性は、ゆるい粒子を除くために基体を揺すり、または振動させることによって改善されることができる。
【0067】
付着粒子の連続したコーティングへの変換(たとえば、適当な場合には付与された組成物の硬化)は熱処理によって、および/または放射エネルギー、特に赤外線、紫外線または電子線放射によって達成されることができる。伝統的な流動床付与技術と比較して、基体の予備加熱は本発明の方法では必須段階ではなく、そして好ましくは、流動床に浸漬する前に基体の予備加熱はない。
【0068】
鞘、および流動室の一部が電導性のときには、流動室に印加される電圧は流動床内で電離またはコロナ効果を発生させるには不十分なので、基体が電気的に絶縁されているときには電流が流れる可能性は低く、したがって、基体が電気的に絶縁されているときに電力が消費される可能性は低いだろう。基体が電気的に接地されているときに流れる電流は1mAより小さいと考えられる。
【0069】
高められた温度のときに表面導電性を示すプラスチック材料を基体が含む場合には、基体を流動床に浸漬する前に、プラスチック材料をその融点より下で、そして粉体コーティング組成物のガラス転移温度より下の温度まで加熱することはいくらかの有利な点がある。
【0070】
高められた温度においてさえ実質的な表面導電性を示さないプラスチック材料を基体が含む場合には、基体を流動床に浸漬する前に、それを予備帯電させることはいくらかの有利な点がある。
【0071】
予備帯電された基体上の電荷を浸漬の時点で均等化し、次いで基体を流動床に浸漬することにはいくらかの有利な点がありうる。
【0072】
基体をその融点より下の温度まで加熱することによって、または基体に表面水分を導入すること、またはその両者によって、電荷は均等化されることができる。
【0073】
鞘、および流動室の一部が電導性のときには、流動室に印加される電圧は、本発明の方法においては、好ましくは直流電圧であり、正または負のどちらでもよいが、交流電圧の使用も、たとえば電圧をそれが正である時々に、あるいはそれが負である時々に断続的に印加することによって可能である。印加電圧は、とりわけ、基体の大きさおよび複雑さ、および流動室の一部が電導性のときには流動室、ならびに所望の被膜厚さに従って広い限度内で変わることができる。
【0074】
一般に、印加電圧は10ボルト〜100キロボルト、もっと普通には100ボルト〜60キロボルト、好ましくは100ボルト〜30キロボルト、もっととりわけては100ボルト〜10キロボルトの範囲で、正または負のどちらでもよいであろう。電圧の範囲は10ボルト〜100ボルト、100ボルト〜5キロボルト、5キロボルト〜60キロボルト、15キロボルト〜35キロボルト、5キロボルト〜30キロボルトを含み、30キロボルト〜60キロボルトも満足の行くものであることができる。
【0075】
直流電圧は連続的に、または断続的に印加されることができ、そして印加電圧の極性はコーティング中に変えられることができる。電圧の断続的な印加によって、帯電は、基体が流動床に浸漬される前に達成されることができ、そして基体が流動床から取り出された後まで継続されることができる。あるいは、電圧は基体が流動床に浸漬された後にのみ印加されることもできる。任意的に、帯電は、基体が流動床から取り出される前に停止されることができる。印加電圧の大きさはコーティング中に変えられることができる。
【0076】
流動室は、もちろん非電導性であることができる。
【0077】
電離またはコロナ状態を排除するために、流動床内に存在する最大電位勾配は空気または他の流動化気体の電離電位より下である。最大電位勾配を決定する因子は印加電圧および鞘と基体との間隔および装置の他の構成要素を含む。
【0078】
大気圧の空気については、電離電位勾配は30kV/cmであり、したがって大気圧の空気を流動化気体として用いる最大電位勾配は30kV/cmより下でなければならない。同程度の最大電位勾配が窒素またはヘリウムを流動化気体として使用するにも適しているだろう。
【0079】
これらの考慮事項に基づいて、流動床内に存在する最大電位勾配は29kV/cm、27.5、25、20、15,10、5または0.05kV/cmであることができる。
【0080】
最小電位勾配は一般に少なくとも0.01kV/cmまたは少なくとも0.05kV/cmであろう。
【0081】
好ましくは、基体はコーティング工程の間、流動床内に全部浸漬される。
【0082】
上に述べられように、本発明に従う方法では、粉体粒子の帯電は流動床内の粒子間の摩擦によって達成される。流動床内の粒子間の摩擦は粒子の双極帯電を生じさせ、換言すれば、粒子のある割合は負の帯電を得、そしてある割合は正の帯電を得るだろう。流動床内に正および負の双方に帯電した粒子が存在することは、特に帯電が直流電圧によるときは不利に見えるかもしれないが、本発明の方法は粒子の双極帯電に適合する能力がある。
【0083】
帯電が所定の極性の直流電圧による場合には、静電力は主に一方の極性の粉体コーティング粒子を基体上に引き付ける傾向がある。その結果正におよび負に帯電した粒子が異なった速度で除去されることは、粉体の集まりの中で特定の極性の粒子の割合の漸進的な減少に至ると考えられることができるが、実際には減少が進むにつれて、残る粒子がその相対的な極性を調節し、そして電荷バランスが維持される。
【0084】
帯電状態での流動室への基体の好ましい浸漬時間は、基体の大きさおよび幾何学的複雑さ、要求される被膜厚さ、ならびに印加電圧の大きさに依存し、一般に10ミリ秒から10、20または30分まで、通常は500ミリ秒から5分まで、もっととりわけては1秒から3分までの範囲である。
【0085】
好ましくは、基体は流動床への浸漬の時間中、規則的な、または断続的な方法で動かされる。動作は、たとえば直線的、回転的および/または動揺的であることができる。上に示されたように、基体は、それにゆるくのみ付着している粒子を除去するために、付加的に揺り動かされ、または振動下に置かれることができる。1回の浸漬の代わりに、所望の合計浸漬時間に達するまで、基体は繰り返して浸漬され、そして引き出されることができる。
【0086】
流動化気体(通常、空気)の圧力は流動化される粉体のかさ、粉体の流動性、流動床の大きさ、および流動室の多孔性膜上下の圧力差に依存するだろう。
【0087】
粉体コーティング組成物の粒度分布は0〜150ミクロンの範囲、一般には120ミクロンまでにあることができ、15〜75ミクロンの範囲、好ましくは少なくとも20〜25ミクロン、好都合には50ミクロンを超えず、もっととりわけては20〜45ミクロンの中位粒度を持つことができる。
【0088】
より細かい粒度分布が好まれることができ、特に比較的薄く付与された被膜が要求される場合には、たとえば以下の基準の1以上が満たされる組成物が好まれることができる。
a) 95〜100容積%<50μm
b) 90〜100容積%<40μm
c) 45〜100容積%<20μm
d) 5〜100容積%<10μm
好ましくは10〜70容積%<10μm
e) 1〜80容積%<5μm
好ましくは3〜40容積%<5μm
f) d(v)50が1.3〜32μmの範囲
好ましくは8〜24μmの範囲
【0089】
D(v)50は組成物の中位数粒度である。もっと一般には、容積百分位数d(v)xはその粒度dより下にある粒子の全容積の百分率である。当該データはMalvern instruments社によって製造されたレーザー光散乱装置、Mastersizer Xを用いて得られることができる。必要であれば、堆積された(焼付け/硬化前の)材料の粒度分布に関係するデータは、付着堆積物を基体から掻き落とし、Mastersizerに入れることによって得られることができる。
【0090】
付与されたコーティングの厚さは5〜500ミクロンまたは5〜200ミクロンまたは5〜150ミクロン、もっととりわけて10〜150ミクロン、たとえば20〜100ミクロン、20〜50ミクロン、25〜45ミクロン、50〜60ミクロン、60〜80ミクロン、または80〜
100ミクロン、または50〜150ミクロンの範囲にあることができる。コーティングの厚さに影響を与える主な因子は印加電圧であるが、帯電状態で流動室へ浸漬された時間および流動化空気圧力も結果に影響する。
【0091】
本方法は任意の形をした導電性基体を粉体コーティングするのに有効である。基体は好ましくは接地されるが、電気的に絶縁される、すなわち電気的接続をしない(基体は電気的に「浮いて」いる、すなわちその電位は不確定である。)こともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
車体のような物品を十分な被膜厚さでコーティングして、適当なトップコートを付与する前に、在りうる金属欠陥に適切な被覆を施すことが望まれている自動車および他の分野において、本発明の方法は特別の利益をもたらす。従来の実施方法では、トップコートへの適切な準備をするために、当該物品に2つの別々のコーティングを付与することが必要であった。すなわち、全金属表面に障壁被膜を与える電着塗装の第1のコーティングを付与し、次いで在りうる目に見える欠陥の適切な被覆を確保するプライマー表面仕上げ剤の第2のコーティングを付与することが普通の実施方法であった。対照的に、本発明は、複雑な形状の物品についてさえ、本発明の方法によって付与される1層のコーティングによって、適切な保護的および美的な被覆を達成できる可能性を提供する。また、本コーティング方法は、必要であれば比較的大きい被膜厚さを1回の操作で形成することにも適合することができる。
【0093】
したがって、本発明は自動車部品をコーティングする方法を提供し、この方法では粉体コーティング組成物から作られる第1のコーティングが本明細書で明らかにされた本発明の方法によって付与され、そしてその後にトップコートが粉体コーティングの上に付与される。
【0094】
本発明の方法の航空宇宙産業への適用についても言及されるべきであり、本産業では、最小の被膜重量で、広い範囲の幾何学的形状の基体(特にアルミニウムまたはアルミニウム合金基体)へ、環境に適合した方法で均一なコーティングを付与することができることは特に有利である。
【0095】
本発明の方法は、溶接部および突起を含むラジエーター、電線かごおよび冷凍機棚のような物品を処理する能力があり、溶接部および突起の上ならびに物品の残りの部分の上に、突起の過剰被覆なしに、粉体の均一なコーティングを与える。
【0096】
本発明は、電線またはシート金属を粉体コーティングするのに特に適している。何故ならば、基体への電気的接続の必要がないこと、および達成される粉体コーティングの速度のためである。
【0097】
基体は中質繊維板(MDF)のブロックまたはプラスチック部材または他の非電導性ないしは弱電導性材料を含むことができ、そして原則として任意の所望の形および大きさであることができる。
【0098】
MDF、木材、木製品、プラスチック材料の他に、電導性添加剤を含むプラスチック材料、ポリアミド、高絶縁性プラスチック材料およびポリカーボネートは好適な基体である。
【0099】
有利な方法として、基体は組成物の付与前に化学的にまたは機械的に洗浄される。
【0100】
本方法は、高電導性、弱電導性および高度に非電導性である基体を粉体コーティングするのに有効である。高電導性および弱電導性基体は電気絶縁されたとき、および接地されたときにコーティングされることができ、そして高度に非電導性基体はその非電導性の故に本質的に絶縁されている。
【0101】
一般に、本発明のコーティング方法は、以下の特質の1以上を特徴とすることができる。
(i)コーティングの過程は3次元であり、そしてくぼみに入り込むことができる。
(ii)印加電圧および基体と流動室との間隔は最大電位勾配が空気または他の流動化気体の電離電位勾配より下であるように選ばれる。したがって、電離またはコロナ効果は実質的にない。
(iii)粉体コーティングの厚さは印加電圧が増加するにつれて増加する。厚さの増加はある点までは品質の損失なしに達成できるが、滑らかさの漸進的な損失が最後には見られる。
(iv)コーティングは室温で達成できる。
(v)基体の均一なコーティングは、コーティングが基体のくぼみ内、突起上、または平らな表面上にあるか否かに拘わらず達成できる。
(vi)滑らかにコーティングされた端部が得られることができる。
(vii)良質な粉体コーティングが、滑らかさおよびピッチングまたは固まりがないという点で達成できる。
(viii)電圧が基体に印加される流動床摩擦電気法と比較して、より広範な、そしてむらのない被覆が達成でき、そして良好な被覆が、より速く達成されることができる。
(ix)MDFは通常の貯蔵条件下にいくらかの表面水分を取り込むので、非常に満足すべきコーティングが、ごくわずかの量の表面水分を含むMDFについて達成される。
(x)MDFの繊維の端が立ち上がる傾向はない。
(xi)基体の片側上の型が基体の反対側上の粉体に再現される傾向はない。
【0102】
本方法は、電導性添加剤を含むプラスチック基体、特に導電性添加剤を持つポリアミドを粉体コーティングするのに有効である。プラスチック基体は電気的に接地され、そして上の観察事実は、MDFについてのものを含め、繊維がないことおよび水分の必要がないことを除いてあてはまる。
【0103】
本方法は、電導性添加剤を含まないプラスチック基体を粉体コーティングするのに有効である。基体はそれを電導性にするために加熱される。加熱の間、温度は基体の融点および粉体コーティングのガラス転移温度より下に保たれる。基体は電気的に接地されるが、電気的に絶縁される、すなわち電気的接続をしない(基体は電気的に「浮いて」いる、すなわちその電位は不確定である。)こともできる。
【0104】
本発明に従う粉体コーティング組成物は、1以上の被膜形成樹脂を含む単一の被膜形成粉体成分を含有することができ、または2以上のそのような成分の混合物を含むことができる。
【0105】
被膜形成樹脂(重合体)は、顔料を濡らして顔料粒子間に凝集力を与える能力、および基体を濡らし、または基体に結合する能力を持つ結合剤の作用をし、そして基体へ付与された後の硬化/熱処理工程において溶融し、流動して均一な被膜を形成する。
【0106】
本発明の組成物の1の、または各々の粉体コーティング成分は一般には熱硬化系であることもあろうが、代わりに(たとえば、ポリアミドに基づいた)熱可塑系が原則として使用されることができる。
【0107】
熱硬化性樹脂が使用されるときは、固体重合体結合剤系は一般に熱硬化性樹脂用の固体硬化剤を含み、あるいは2の共反応性被膜形成熱硬化性樹脂が使用されることもできる。
【0108】
本発明に従う熱硬化性粉体コーティング組成物の1の、または各々の成分の製造に使用される被膜形成重合体は、カルボキシ官能性ポリエステル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、および官能性アクリル樹脂から選ばれた1以上のものであることができる。
【0109】
本組成物の粉体コーティング成分は、たとえばポリエポキシド硬化剤とともに使用されるカルボキシ官能性ポリエステル被膜形成樹脂を含む固体重合体結合剤系に基づくことができる。当該カルボキシ官能性ポリエステル系は現在、もっとも広く使用されている粉体コーティング材料である。ポリエステルは一般に10〜100の範囲の酸価、1,500〜10,000の数平均分子量Mn、および30℃〜85℃、好ましくは少なくとも40℃のガラス転移温度Tgを持つ。ポリエポキシドは、例として低分子量エポキシ化合物、たとえばトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)、すなわちジグリシジルテレフタレートが縮合したビスフェノールAのグリシジルエーテルのような化合物または光安定性エポキシ樹脂であることができる。当該カルボキシ官能性ポリエステル被膜形成樹脂はビス(ベータ−ヒドロキシアルキルアミド)硬化剤、たとえばテトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジパミドとともにあるいは使用されることもできる。
【0110】
あるいは、ヒドロキシ官能性ポリエステルは封止されたイソシアナート官能性硬化剤またはアミン−ホルムアルデヒド縮合体、たとえばメラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂のような縮合体、またはグリコールウラルホルムアルデヒド樹脂、たとえばCyanamid Company社によって供給される材料「Powderlink 1174」、またはヘキサヒドロキシメチルメラミンとともに使用されることができる。ヒドロキシ官能性ポリエステル用の封止イソシアナート硬化剤は、たとえば内部封止型、たとえばウレトジオン型であることができ、またはカプロラクタム封止型、たとえばイソホロンジイソシアナート型であることができる。
【0111】
さらなる可能性として、エポキシ樹脂はアミン官能性硬化剤、たとえばジシアンジアミドとともに使用されることができる。エポキシ樹脂用のアミン官能性硬化剤の代わりに、フェノール系材料、好ましくはエピクロロヒドリンと過剰量のビスフェノールAの反応によって得られる材料(これはすなわち、ビスフェノールAとエポキシ樹脂を付加体とすることによって得られるポリフェノールである。)も使用されることができる。官能性アクリル樹脂、たとえばカルボキシ−、ヒドロキシ−、またはエポキシ官能性樹脂は適当な硬化剤とともに使用されることができる。
【0112】
被膜形成重合体の混合物も使用されることができ、たとえばカルボキシ官能性ポリエステルはカルボキシ官能性アクリル樹脂および両重合体を硬化する役目をする硬化剤、たとえばビス(ベータ−ヒドロキシアルキルアミド)とともに使用されることができる。さらなる可能性として、混合結合剤系として、カルボキシ−、ヒドロキシ−、またはエポキシ官能性アクリル樹脂はエポキシ樹脂またはポリエステル樹脂(カルボキシ−またはヒドロキシ官能性)とともに使用されることができる。このような樹脂の組み合わせは、たとえばエポキシ樹脂と共硬化したカルボキシ官能性アクリル樹脂、またはグリシジル官能性アクリル樹脂と共硬化したカルボキシ官能性ポリエステルを共硬化するように選ばれることができる。しかし、もっと普通には、当該混合結合剤系は単一の硬化剤を使用(たとえば、ヒドロキシ官能性アクリル樹脂およびヒドロキシ官能性ポリエステルを硬化する封止イソシアナートを使用)して硬化されるように配合される。他の好ましい配合は2の重合体系結合剤の混合物の各結合剤について別々の硬化剤を使用すること(たとえば、封止イソシアナート硬化ヒドロキシ官能性アクリル樹脂と組み合わせて使用されるアミン硬化エポキシ樹脂)を含む。
【0113】
言及されることができる他の被膜形成重合体は官能性フルオロ重合体、官能性フルオロクロロ重合体および官能性フルオロアクリル重合体を含み、これらのそれぞれはヒドロキシ官能性またはカルボキシ官能性であることができ、そして官能性重合体用の適当な硬化剤とともに、単独の被膜形成重合体として、または1以上の官能性アクリル、ポリエステルおよび/またはエポキシ樹脂と組み合わせて使用されることができる。
【0114】
言及されることができる他の硬化剤はエポキシフェノールノボラックおよびエポキシクレゾールノボラック;オキシムで封止されたイソシアナート硬化剤、たとえばメチルエチルケトオキシムで封止されたイソホロンジイソシアナート、アセトンオキシムで封止されたテトラメチレンキシレンジイソシアナート、およびメチルエチルケトオキシムで封止されたDesmodur W(ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート硬化剤);光安定性エポキシ樹脂、たとえばMonsanto社によって供給される「Santolink LSE 120」;およびアクリル系ポリエポキシド、たとえばダイセル社によって供給される「EHPE−3150」を含む。
【0115】
本発明に従い使用される粉体コーティング組成物は着色剤を添加されないことができるが、通例、1以上の当該添加剤(顔料または染料)を含む。使用されることができる顔料の例は無機顔料、たとえば2酸化チタン、赤色または黄色酸化鉄、クロム顔料およびカーボンブラックならびに有機顔料、たとえばフタロシアニン、アゾ、アントラキノン、チオインジゴ、イソジベンズアンスロン、トリフェンジオキサンおよびキナクリドン顔料、建て染め染料顔料および酸性、塩基性レーキ顔料および媒染染料である。染料は顔料の代わりに、またはそれとともに使用されることができる。
【0116】
本発明の組成物は1以上の増量剤または充填剤も含むことができ、これらはコストを最小にしながら、特に乳白性を与えるために、またはもっと一般に希釈剤として使用されることができる。
【0117】
以下の範囲が、本発明に従う粉体コーティング組成物の全顔料/充填剤/増量剤含有量について述べられなければならない(後混合添加剤を無視して):
0重量%〜55重量%、
0重量%〜50重量%、
10重量%〜50重量%、
0重量%〜45重量%、および、
25重量%〜45重量%。
【0118】
全顔料/充填剤/増量剤含有量のうち、顔料含有量は全組成物の一般に(後混合添加剤を無視して)40重量%以下であろうが、45重量%まで、さらには50重量%までの割合も使用されることができる。通常、25%〜30%または35%の顔料含有量が使用されるが、濃色の場合には乳白性は10重量%より少ない顔料で得られることができる。
【0119】
本発明の組成物は1以上の高性能添加剤、たとえば流動促進剤、可塑剤、安定剤、たとえば耐UV劣化剤、またはガス抑止剤、たとえばベンゾインも含むことができ、または2以上の当該添加剤が使用されることができる。以下の範囲が、本発明に従う粉体コーティング組成物の全高性能添加剤含有量について述べられなければならない(後混合添加剤を無視して):
0重量%〜5重量%、
0重量%〜3重量%、および、
1重量%〜2重量%。
【0120】
一般に、上に記載された着色剤、充填剤/増量剤および高性能添加剤は後混合によっては混合されないで、押出または他の均質化工程の前および/またはその間に混合されるだろう。
【0121】
粉体コーティング組成物を基体に付与した後で、得られた付着粒子の連続したコーティングへの変換(適当な場合には、付与された組成物の硬化を含めて)は熱処理によって、および/または放射エネルギー、特に赤外線、紫外線または電子線放射によって達成されることができる。
【0122】
粉体は基体上で熱の付与(加熱の工程)によって通常、硬化される、すなわち粉体粒子は溶融し、流動し、そして被膜が形成される。硬化時間および温度は使用される組成物の配合に応じて相互に依存し、以下の典型的な範囲が述べられることができる:
温度/℃ 時 間
280〜100* 10秒〜40分
250〜150 15秒〜30分
220〜160 5分〜20分
*90℃まで下げた温度が、ある樹脂、特にあるエポキシ樹脂には使用されることができる。
【0123】
粉体コーティング組成物は、1以上の流動性を促進する添加剤、たとえば国際特許出願公開第94/11446号に開示されているもの、および特には、当該明細書に開示されている、好ましい添加剤の組み合わせであって、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムを含み、典型的には1:99〜99:1の重量比の範囲の割合で使用され、好都合には10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、または30:70〜70:30、たとえば45:55〜55:45のものを、後混合によって取り込むことができる。国際特許出願公開第94/11446号に後混合される添加剤として開示されている、無機材料の他の組み合わせ、たとえばシリカを含む組み合わせも、原則として本発明の実施に使用されることができる。酸化アルミニウムおよびシリカは、さらに後混合される添加剤として単独で使用されることができる材料として言及されることができる。国際特許出願公開第00/01775号に開示されている、後混合される添加剤としてワックス被覆されたシリカの使用についても、本シリカと酸化アルミニウムおよび/または水酸化アルミニウムの組み合わせを含めて、言及されることができる。他の好適な後混合される添加剤は疎水性シリカ、たとえばWacker−Chemie社から入手できるHDK H3004である。疎水性シリカの用語は、その表面が表面に結合されるシリル基、たとえばポリジメチルシロキサンの導入によって変性されたシリカを表す。
【0124】
粉体コーティング組成物に混合される、後混合される添加剤の全含有量は、一般に0.01重量%〜10重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、そして1.0重量%を超えない範囲(添加剤を除く組成物の全重量に基づいて)であろう。酸化アルミニウムと水酸化アルミニウム(および同様な添加剤)の組み合わせは添加剤を除く組成物の全重量に基づいて、好都合には0.25重量%〜0.75重量%、好ましくは0.45重量%〜0.55重量%の範囲の量で使用される。1重量%または2重量%までの量も使用されることができるが、あまりにも多く使用されると、問題、たとえばビット生成や輸送効率の低減が生じることがある。
【0125】
どの添加剤に関しても、「後混合される」の用語は、その添加剤が粉体コーティング組成物の製造に用いられる押出または他の均質化工程の後で混合されていることを意味する。
【0126】
添加剤の後混合は、たとえば以下の乾燥混合方法のどれによっても達成されることができる:
a) ミル処理前にチップにタンブラーで混合、
b) ミルで注入、
c) ミル処理後の篩分段階で導入、
d) 「タンブラー」または他の適当な混合装置で生産後の混合、または、
e) 流動床への導入。
【0127】
流動床摩擦電気粉体コーティング装置は、本発明および本装置を使用する方法の実施例に従う、いくつかの形の電極を含めて、実施態様だけの目的で、添付された図面を引用して、ここに開示される。
【0128】
添付された図面の図1を引用すると、流動床摩擦電気粉体コーティング装置は流動室1を含み、流動室1は空気入口2をその底部 に、そして流動室を下部プレナム4と上部流動区画室5に分けるように横断面に配置された多孔性空気分散膜3を持つ。粉体コーティング組成物の流動床は上部 流動区画室5内に、下部プレナム4から多孔膜3を通って上向きに流れる空気流によって形成される。粉体コーティング組成物の粒子は、粒子間の摩擦電気作用 の結果、帯電される。
【0129】
装置の運転では、好ましくは堅い支持体である絶縁された支持体7から吊り下げられた基体6は流動床に浸漬される。
【0130】
装置は、棒状で先端がこちらに向いて示され、基体6に近接した電導性電極9を含み、そして浸漬時間の少なくとも一部の間、直 流電圧が電圧源8によって電極9に印加され、電圧源8は交流電圧源であることもできる。図示されるように、基体6は電気的接続を持たない(電気的に「浮い ている」)で、代わりに適当な電気的接続によって接地されることができる。
【0131】
電導体である基体が絶縁されるよりも接地されるときに、よりよい結果が得られることが見出され、そして電導体とは見なされていないが有意な電導性を持つ基体についても同じことがいえる。
【0132】
粉体コーティング組成物の摩擦電気で帯電した粒子は基体6に付着する。電圧源8によって供給される電圧が電離またはコロナ効果を生じさせるのに必要なレベルより下に保たれているので、当該効果は生じない。
【0133】
基体6は電極9とともにコーティング工程の間、図1に示されていない手段によって規則的な揺動方法で動かされることができ る。あるいは、基体6および電極9は床内を浸漬の間、断続的に、または連続的に動かされることができ、または所望の全浸漬時間に達するまで、繰り返して浸 漬され、そして引き出されることができる。基体6および電極9を静置しておくこと、そして床を振動し、またはプロペラ攪拌機で床を攪拌することによって粒 子を動かすことも可能である。
【0134】
所望の浸漬時間の後、基体6は流動床から引き出され、そして加熱されて溶融し、粉体コーティング組成物の付着粒子を融解させ、こうしてコーティングを完成させる。
【0135】
電圧源8は主線から電力を供給され、そして出力電圧は主線の接地電位に対して測定される。
【0136】
以下の実施例は本発明の方法を例示し、そして指定された粉体の重量および基体を収容できる1立方メートルの流動室、または表 示されている場合には、Nordson Corporation社の流動化装置を持つ、図1〜3に示されたような装置を使用して実施された。
【0137】
以下の配合が、実施例の全てにおいて粉体コーティング組成物として使用された。
重量部
ルチル2酸化チタン 321
充填剤(ドロマイト) 107
カルボン酸官能性ポリエステル樹脂 374
エポキシ樹脂硬化剤 152
触媒 30
ワックス 3
流動改質剤 10
ベンゾイン 3
【0138】
さらに、後混合用の以下の添加剤配合が調製され、そして使用された。
添加剤配合1
酸化アルミニウム(Degussa社の酸化アルミニウム C)−45重量部
水酸化アルミニウム(Martinal社のOL 107C)−55重量部
【0139】
実施例9Aを除くすべての実施例で使用された粉体コーティング組成物の粒度分布(PSD)は以下の通りであった。
d(V)99、μm 54.18
d(V)50、μm 20.77
%<10μm 16.83
%<5μm 4.96
【実施例】
【0140】
実施例1A
一般的な運転条件は以下の通りであった。
床に充填された粉体の重量−350kg
床を平衡化するための空流動化時間−1バールで30分
流動化圧力−1バール
堆積した材料の標準的焼付けおよび硬化−120℃で30分
【0141】
粉体は0.6%の添加剤配合1を加えられて、コーティングの開始に先立って1バールで30分間流動化され、コーティングの後にコーティングは120℃まで30分間加熱された。コーティングの結果は堆積したコーティングの幅を測定することによって監視された。
【0142】
図1に示された装置が使用され、電極は直径1cmおよび長さ55cmの円柱の棒であった。基体は80cm×60cm×2mm の大きさのアルミニウムパネルであり、すなわちアルミニウムパネルは棒電極よりも大きかった。棒電極はアルミニウムパネルに対して概略、中央に置かれた。
【0143】
結果は下の表に表示される。
【0144】
【表1】

【0145】
実施例1B
基体は65cm×38cm×2cmの寸法の合板の板片であった。棒電極は合板の板片に対して概略、中央に置かれた。条件は上の実施例1Aと同じであった。そして結果は下の表に表示される。
【0146】
【表2】

【0147】
実施例1Aおよび1Bに使用された円柱棒は、粉体コーティング組成物に電離またはコロナ状態を与えるには大き過ぎる直径(1cm)を持ち、そしてどの端部も電離またはコロナ状態が生じえないことを確保するために絶縁テープで遮蔽された。
【0148】
実施例1Aおよび1Bで使用された最大電位勾配は、空気についての 30kV/cmの電離電位勾配よりも十分に下で、そしてまた電極が粉体コーティング組成物を電離し、あるいは他の方法で帯電させるように機能するであろう 電位勾配よりも十分に下である、0.5kV/cm(12cmの間隔で6kV印加)であった。
【0149】
実施例2A
添付された図面の図2を引用すると、装置は、パネルの形で端部がこちらに向いて示され、基体6に近接した電導性電極29を含 み、そして浸漬時間の少なくとも一部の間、直流電圧が電圧源8によって電極29に印加され、電圧源8は交流電圧源であることもできる。図示されるように、 基体6は電気的接続を持たない(電気的に「浮いている」)で、代わりに適当な電気的接続によって接地されることができる。
【0150】
図2に示された装置が使用され、電極は30cm×20cm×2mmの大きさのアルミニウムパネルであった。基体は上の実施例 1Aで使用されたアルミニウムパネルで、その大きさは80cm×60cm×2mmであり、すなわちパネル電極よりも大きかった。パネル電極はアルミニウム 基体パネルに対して概略、中央に置かれた。パネル電極の表面は滑らかであり、そしてパネル電極の端部は電離またはコロナ状態が生じえないことを確保するた めに絶縁テープで遮蔽された。
【0151】
運転条件は上の実施例1Aと同じであった。そして結果は下の表に表示される。
【0152】
【表3】

【0153】
実施例2B
基体は、上の実施例1Bで使用された65cm×38cm×2cmの寸法の合板の板片であった。パネル電極は合板の板片に対して概略、中央に置かれた。条件は上の実施例1Aと同じであった。そして結果は下の表に表示される。
【0154】
【表4】

【0155】
実施例2Aおよび2Bで使用された最大電位勾配は、空気についての30kV/cmの電離電位勾配よりも十分に下で、そしてま た電極が粉体コーティング組成物を電離し、あるいは他の方法で帯電させるように機能するであろう電位勾配よりも十分に下である、0.5kV/cm (12cmの間隔で6kV印加)であった。
【0156】
実施例3A
この実施例では、2のパネル電極が間に10cmの間隙を置いて並んで置かれた。電圧は別々の高電圧直流電源によってパネル電 極に印加された。2電極配設はアルミニウム基体パネルに対して中央に置かれ、そして合体された組立て品は流動床に浸漬された。パネル電極の表面は滑らかで あり、そしてパネル電極の端部は電離またはコロナ状態が生じえないことを確保するために絶縁テープで遮蔽された。
【0157】
運転条件は上の実施例1Aと同じであった。
【0158】
結果は、コーティングされた領域が、どのくらいの数の電極が設置されたかに応じて、基体パネルの中心から広がって行くことができることを示し、複数の電極の効果は以下の表に示される。
【0159】
【表5】

【0160】
幅66cmのコーティングされた帯は、同等の条件下の実施例2Aの幅47cmのコーティングされた帯と比較して有利である。
【0161】
実施例3B
基体は、上の実施例1Bで使用された65cm×38cm×2cmの寸法の合板の板片であった。パネル電極は合板の板片に対して実施例3Aと同じに置かれた。条件は上の実施例1Aと同じであった。そして結果は下の表に表示される。
【0162】
【表6】

【0163】
幅59cmのコーティングされた帯は、同等の条件下の実施例2Bの幅50cmのコーティングされた帯と比較して有利である。 実施例3Aに関して上に示されたように、結果は、コーティングされた領域が、どのくらいの数の電極が設置されたかに応じて、基体パネルの中心から広がって 行くことができることを示す。
【0164】
2のパネル電極を使用する上の実施例3Aおよび3Bは、コーティングが単一パネル電極で可能であったよりも幅の広い帯のコーティングを達成するのに、より効率的であったことを示す。
【0165】
実施例3Aおよび3Bで使用された最大電位勾配は、空気についての30kV/cmの電離電位勾配よりも十分に下で、そしてま た電極が粉体コーティング組成物を電離し、あるいは他の方法で帯電させるように機能するであろう電位勾配よりも十分に下である、0.5kV/cm (12cmの間隔で6kV印加)であった。
【0166】
実施例4
実施例4では、異なった極性を持つパネル電極が使用され、合板の板の基体の同じ側に置かれた。+6kVの電圧が一方の電極に印加され、-6kV の電圧が他方の電極に印加された。電極は合板の板の中央領域において、合板の板から12cm離れて置かれ、そして板および電極は流動床に浸漬された。浸漬 時間は10分であり、そして板は、一方が32cm幅、そして他方が21cm幅で両帯の間に7cm幅のコーティングされていない細長部を持つ、2の帯にコー ティングされた。パネル電極の表面は滑らかであり、そしてパネル電極の端部は電離またはコロナ状態が生じえないことを確保するために絶縁テープで遮蔽され た。
【0167】
本実施例は、特定の2の電極の使用が基体の一部の選択的非コーティングを可能にすることを例示する。
【0168】
本実施例で使用された最大電位勾配は、空気についての30kV/cmの電離電位勾配よりも十分に下で、そしてまた電極が粉体 コーティング組成物を電離し、あるいは他の方法で帯電させるように機能するであろう電位勾配よりも十分に下である、0.5kV/cm(12cmの間隔で 6kV印加)であった。
【0169】
実施例5A
添付された図面の図3に示された配設がこの実施例では使用され、基体6よりも大きい板電極39および49が使用され、そして 板電極49は第2の高電圧源22によって電圧を加えられた。板電極の表面は滑らかであり、そして板電極の端部は電離またはコロナ状態が生じえないことを確 保するために絶縁テープで遮蔽された。
【0170】
この実施例では、上に示された350kgの粉体配合が1立方メートルの流動床内で1バールの圧力で流動化され、そして1. 2m×0.8m×2mmの2の板電極が流動化された粉体の中に沈められた。30cm×30cm×2mmのアルミニウムパネル基体が板電極の間に、各板電極 から25cm離れて置かれ、そして接地された。基体は、下に示された電極電圧の存在のもとに5分間浸漬され、そしてコーティングされた基体は次に200℃ で15分間加熱された。被覆率および被膜厚さが基体の両側の全面にわたって測定された。
【0171】
結果は以下の表に表示される。
【0172】
【表7】

【0173】
実施例5Aの結果は、電極電圧が同じときは堆積がパネル基体の両側で同じであることを示す。しかし、電圧が異なるとコーティ ングは、より高い電圧の電極に面するパネル基体の側が優先する。基体の2面のコーティング速度の差は、電極間の電圧差を増加することによって増加する。
【0174】
実施例5Aで使用された最大電位勾配は、空気についての30kV/cmの電離電位勾配よりも十分に下で、そしてまた電極が粉 体コーティング組成物を電離し、あるいは他の方法で帯電させるように機能するであろう電位勾配よりも十分に下である、0.16kV/cm(25cmの間隔 で4kV印加)であった。
【0175】
実施例5B
実施例5Bは、高さ25cmおよび直径15cmの一般に円筒状の室を持つ、Nordson Corporation社によっ て供給される流動化装置を用いて、図3に示されたように配設された装置を使用して実施された。基体は10cm平方および2cm厚さのMDFの板片であっ た。流動室が実施例5Aに使用されたものよりも小さかったので、使用された粉体の量は500グラムであった。浸漬時間は2分であった。結果は以下の表に表 示される。
【0176】
【表8】

【0177】
実施例6A
この実施例に使用された装置は上の実施例5Aに使用されたものと同じであるが、板電極1とパネル基体の距離が変えられ、一方、板電極2と基体の距離は固定されていた。アルミニウムパネルが基体として供された。結果は以下の表に表示される。
【0178】
【表9】


【0179】
実施例6B
この実施例に使用された装置は上の実施例6Aに使用されたものと同じであり、板電極1とパネル基体の距離が変えられ、一方、 板電極2と基体の距離は固定されていたが、実施例6Aよりも電極2について大きい間隔であった。アルミニウムパネルが基体として供された。結果は以下の表 に表示される。
【0180】
【表10】

【0181】
実施例6Aおよび6Bの結果は、アルミニウムパネル基体について、電極1と基体の間隔が変えられると、基体の両側のコーティ ング速度が影響を受けたことを示す。基体の電極1に面する側のコーティング速度は、電極1と基体の距離が増加するにつれて漸進的に落ちることはなく、両側 のコーティング速度が同等になり、そして他の「間隔対」との関係で比較的に高い、最適な「間隔対」が存在した。さらに、この結果はアルミニウムパネル基体 の異なった側に、異なったコーティング速度、したがって、異なったコーティング厚さが、それが所望であれば達成されることができることを示す。
【0182】
実施例6Aおよび6Bで使用された最大電位勾配は、空気についての30kV/cmの電離電位勾配よりも十分に下で、そしてま た電極が粉体コーティング組成物を電離し、あるいは他の方法で帯電させるように機能するであろう電位勾配よりも十分に下である、0.18kV/cm (17cmの間隔で3kV印加)であった。
【0183】
実施例7A
実施例5Aに使用された装置がこの実施例に使用され、2の電極に印加された電圧は反対の極性であり、そして変化させられ、一方、電極と基体間の距離は同じであり(25cm)、変えられなかった。運転条件は実施例5Aと同じであり、そしてアルミニウムパネルが基体として供された。結果は以下の表に表示される。
【0184】
【表11】

【0185】
結果は、アルミニウムパネル基体について、同じ極性が電極に印加されたときよりも、反対の極性が電極に印加されたときに、基体の両側でコーティング速度が有意に小さいことを示す。本結果は、有意に、より小さい、両側で等しくないコーティング速度が望まれる状況に適用されること ができる。
【0186】
実施例7Aで使用された最大電位勾配は、空気についての30kV/cmの電離電位勾配よりも十分に下で、そしてまた電極が粉 体コーティング組成物を電離し、あるいは他の方法で帯電させるように機能するであろう電位勾配よりも十分に下である、0.2kV/cm(25cmの間隔で 5kV印加)であった。
【0187】
実施例7B
実施例7Bは、高さ25cmおよび直径15cmの一般に円筒状の室を 持つ、Nordson Corporation社によって供給される流動化装置を用いて、図3に示されたように配設された装置を使用して実施された。基体 は10cm平方および2cm厚さのMDFの板片であった。流動室が実施例7Aに使用されたものよりも小さかったので、使用された粉体の量は500グラムで あった。浸漬時間は2分であった。結果は以下の表に表示される。
【0188】
【表12】

【0189】
アルミニウム基体が使用され、そして反対の電界が基体において互いに部分的に打ち消され、それによって、より低い堆積効率が 生じている実施例7Aで得られた結果に比較して、MDF基体を用いると有意に、より高いコーティング速度が達成される。この差は、MDFがアルミニウムよ りも高い電気抵抗を与え、MDF板の表面上に有意に異なった電界を許すことから生じると考えられる。
【0190】
実施例8A
実施例1Aの流動室および運転条件がこの実施例について使用されたが、基体は、開放端を持つ、直径5cm、長さ25cmの中空のアルミニウム円筒であった。電極は、1.2m×0.8mで50cm離れて置かれた、2のパネル電極であった。
【0191】
円筒基体は流動床内の2のパネル電極間に浸漬され、そして3kVの電圧が各電極に5分間印加された。
【0192】
中空円筒基体は外側には均等にコーティングされているのが観察されたが、内側には均等なコーティングが開放端から7cmまでしか達していなかった。内表面の残部はコーティングされないままであった。
【0193】
実施例8B
実施例8Aの流動室、中空円筒基体および運転条件が使用されたが、2のパネル電極は中空円筒基体内の中央に挿入された1の棒電極に代えられ、そして3kVが棒電極に5分間印加された。中空円筒基体はその内部全体に均等に、そして完全にコーティングされているのが観察された。
【0194】
実施例9A
実施例9Aは、高さ25cmおよび直径15cmの一般に円筒状の室を持つ、Nordson Corporation社によって供給される流動化装置を用いて、図3に示されたように配設された装置を使用して実施された。基体は10cm平方および2cm厚さのアルミニウム片であった。
【0195】
粉体の量は300グラムであった。粉体の粒度分布(PSD)は以下の通りであった。
d(V)99、μm 10
d(V)50、μm 5.5
%<5μm 42
【0196】
以下の添加剤が調製され、すべての量は重量に基づいた。
酸化アルミニウム 15部
水酸化アルミニウム 45部
シリカ 40部
【0197】
シリカは上に規定された疎水性シリカであった。
【0198】
添加剤を除いた組成物の全重量に基づいて、2%に達する量の添加剤が300グラムの粉体に後混合によって添加され、そして混合物は30分間、翻転混合された。混合物は流動室で流動化された。
【0199】
2の10cm平方の電極が流動床の中央に6cm離れて置かれ、そして10cm平方のアルミニウム基体が床の2の電極間に浸漬され、その両方に3kVが2分間印加された。
【0200】
基体は完全にコーティングされているのが観察され、そして「額縁」効果を与える、端部に沿った被覆の厚化が含まれているのが観察された。
【0201】
実施例9B
実施例9Bでは、2mm厚さのPTFEシートが、実施例9Aで使用された流動室の内壁のまわりに挿入され、流動室の壁を電気的に絶縁した。
【0202】
実施例9Aと同じ手順が実施された。基体は、少しの厚化もなしに、すなわち「額縁化」効果なしに、その表面および端部にわたって均等にコーティングされている(100%)のが観察された。
【0203】
上の実施例9Aおよび9Bは、とりわけ壁が基体の端部に近いときに、流動室の電導性壁が基体のコーティングに影響を与えるこ とを示す。電導性壁が電界に与える効果は、壁に、より近い端部に不均等な被覆を生じさせる。流動室の壁の絶縁は、電界を多かれ少なかれもっぱら電極の近く だけに形成させるようにし、その場合には非常に均等な被覆が達成される。
【0204】
基体の端部に沿ったコーティングのいくらかの厚化が望ましい場合や、一方、厚化が望ましくない場合がありうるので、電導性か、あるいは絶縁性のどちらの流動室を含む装置についても可能性が存在する。
【0205】
複合電極も上の実施例に開示された電極から建造されることができる。
【0206】
1つの複合電極の配設は互いに絶縁材料によって分離された複数のパネル電極を含み、絶縁材料はそれぞれの電極に異なった電圧 を印加することを可能とする。パネル電極の印加される電圧は、所望の結果に応じて、非常に低い電圧から数キロボルトまでにわたることができる。絶縁材料は パネル電極の端部を帯電またはコロナ状態から防ぐように配置され、パネル電極の端部は帯電またはコロナ状態が生じないことを確実にするために、必要により 絶縁テープで被覆されることができる。複合電極の1以上であるが必ずしもすべてではないパネル電極は接地されることができる。
【0207】
他の複合電極の配設は複数のパネル電極であることができ、パネル電極は実際には互いに接触することなく、その端部が互いに重 なり合う。帯電またはコロナ状態が生じないことを確実にするために、そしてまた、たとえパネル電極間に機械的接触があっても電気的接触から保護するため に、絶縁材料がパネル電極の端部を覆うために含まれることができる。数ボルトから数キロボルトにわたる電圧が、所望の結果に応じて、パネル電極に印加され ることができる。複合電極の1以上であるが必ずしもすべてではない複合電極のパネル電極は接地されることができる。
【0208】
複合電極は、基体のコーティングをある形に仕立てなければならないことが所望されている状況では、たとえば基体の端部に小さい厚さのコーティングを与えるためには有用であろう。
【0209】
実施例1Aおよび1Bに開示された棒電極は、平らな基体またはわずかに曲がった基体をコーティングするのに使用されることも できるが、実施例8Bの場合のように、基体のくぼみに挿入されたときにそのくぼみをコーティングするのに特に好適である。くぼみは、もちろん一面が開いて いる、またはすべての面が閉じているくぼみであることができる。
【0210】
上の実施例に開示された電極は基体、特に板でない基体に対して、鞘を形成するように変更されることができ、鞘は基体を部分的に、または完全に収容する。
【0211】
1または複数の電極を基体に対する鞘に展開することは電極の数を増すことによって、たとえば複数の棒電極を組み合わせて網 の目を形成することや、たとえば代わりに1の板電極または複数の板電極を基体とすべての面で直面するように広げることによって達成されることができる。
【0212】
添付された図面の図4を引用すると、図1と同様に、流動床摩擦電気粉体コーティング装置は流動室1を含み、流動室1は空気入 口2をその底部に、そして流動室を下部プレナム4と上部流動区画室5に分けるように横断面に配置された多孔性空気分散膜3を持つ。粉体コーティング組成物 の流動床は上部流動区画室5内に、下部プレナム4から多孔膜3を通って上向きに流れる空気流によって形成される。粉体コーティング組成物の粒子は、粒子間 の摩擦電気作用の結果、帯電される。
【0213】
装置の運転では、絶縁された支持体で、好ましくは堅い支持体7から吊り下げられた基体6は流動床に浸漬される。
【0214】
装置は、基体6を取り囲む、特定の形を持たない電導性電極59を含み、そして少なくとも浸漬時間の一部の間、直流電圧が電圧 源8によって電極59に印加され、電圧源8は交流電圧源であることもできる。図示されるように、基体6は電気的接続を持たない(電気的に「浮いている」) で、代わりに適当な電気的接続によって接地されることができる。
【0215】
添付された図面の図5を引用すると、長方形の基体6をコーティングするための電極を含む装置は、第1および第2の部分21a および21bを持つ長方形の鞘を含む。鞘は、図に見られるように、基体6の頂部を覆わないで、長方形の基体6にぴったりと合う。図からは明らかでない けれども、鞘は基体の底部を覆わない。鞘は、見られるように、基体6の4つの側表面に向き合う4つの内表面を持つ。鞘の第1の部分21aは第1の電 力源8に接続され、そして鞘の第2の部分21bは第2の電力源22に接続されている。鞘の部分21aおよび21bの間には間隙があり、それらは間隙が ある結果、互いに電気的に絶縁されている。基体6は電気的に絶縁されている。
【0216】
添付された図面の図6を引用すると、長方形の鞘は透視図で示され、そしてこの例では棒の配列から建造されており、鞘は間に間隙のある、第1の部分121aおよび第2の部分121bを含む。
【0217】
添付された図面の図7を引用すると、長方形の鞘はここでも透視図で示され、この例では棒の配列から建造されており、そして間に間隙のある、第1の部分221aおよび第2の部分221bを含む。
【0218】
添付された図面の図8を引用すると、装置は長方形の基体6を取り囲む楕円形の鞘を含む。楕円形の鞘は第1の部分321a および第2の部分321bを含み、そして図に見られるように、基体6の頂部を覆わないで、基体6を取り囲む。図からは明らかでないけれども、鞘は基体6 の底部を覆わない。鞘の第1の部分321aは第1の電力源8に接続され、そして鞘の第2の部分321bは第2の電力源22に接続されている。鞘の部 分321aおよび321bの間には間隙があり、そして鞘のこれらの部分は間隙がある結果、互いに電気的に絶縁されている。
【0219】
添付された図面の図9を引用すると、楕円形の鞘は透視図で示され、そしてこの例ではシート材料から建造されており、鞘は間に間隙のある、第1の部分421aおよび第2の部分421bを含む。
【0220】
添付された図面の図10を引用すると、他の形の楕円形の鞘が透視図で示され、そしてこの例では棒の配列から建造されており、鞘は単一の部分521を含む。
【0221】
添付された図面の図11を引用すると、もう1つの他の形の楕円形の鞘が透視図で示され、そしてこの例ではシート材料の主要部分621aおよび棒の配列によって形成された一部分621bを含む単一の部材である。
【0222】
添付された図面の図12を引用すると、装置は長方形の鞘を含み、これは第1の部分721aおよび第2の部分721bを含 み、これらは、図に見られるように基体6の頂部を覆うことを含めて、基体6を取り囲む。基体6は長方形である。図からは明らかでないけれども、鞘は基体 6の底部も覆う。鞘の第1の部分721aは第1の電力源8に接続され、そして鞘の第2の部分721bは第2の電力源22に接続されている。鞘の部分 721aおよび721bの間には間隙があり、そして鞘のこれらの部分は間隙がある結果、互いに電気的に絶縁されている。
【0223】
添付された図面の図13を引用すると、基体6は接地されていて、一方、図に見られるように、基体6の頂部および底部を覆う、部分721aおよび721bからなる鞘が配備されている。
【0224】
添付された図面の図14を引用すると、他の形の長方形の鞘が透視図で示され、そしてこの例では棒の配列から建造されており、鞘は、使用に際して基体の頂部および底部を覆う、第1の部分821aおよび第2の部分821bを含む。
【0225】
流動室1は部分的に、または全体に電導性であることができ、その場合には電位が流動室にも印加されることができる。
【0226】
鞘はどのような特定の幾何学的形状でもある必要ない。鞘は、運転の際に基体が全体に、または部分的に収容される空洞を含む。空洞の境界線は基体の輪郭に沿うことができるが、沿う必要はない。
【0227】
上の配設のすべてにおいて、1の電極または複数の電極と基体との間に空間があることは正しく理解されるであろう。

【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】図1は、棒状で先端がこちらに向いて見える1の電極を含む、流動床摩擦電気粉体コーティング装置の側立面を、概略の断面図で示す。
【図2】図2は、板状で端部がこちらに向いて見え、基体よりも小さい1の電極を含む、図1の流動床装置の側立面図を示す。
【図3】図3は、板状で端部がこちらに向いて見え、基体よりも大きい1対の電極を含む、図1の流動床装置の側立面図を示す。
【図4】図4は、特定の幾何学的形状を持たない鞘の形をした1の電極を含む、図1の流動床装置の側立面図を示す。
【図5】図5は、長方形の鞘を含む、図1の流動床装置の一部の平面図を示す。
【図6】図6は、シート材料から建造された、図5の長方形の鞘の透視図を示す。
【図7】図7は、棒の配列から建造された、図5の長方形の鞘の透視図を示す。
【図8】図8は、楕円形の鞘を含む、図1の流動床装置の一部の平面図を示す。
【図9】図9は、シート材料から建造された、図8の楕円形の鞘の透視図を示す。
【図10】図10は、棒の配列から建造された、図8の楕円形の鞘の透視図を示す。
【図11】図11は、一部がシート材料から、そして一部が棒の配列から建造された、図8の楕円形の鞘の透視図を示す。
【図12】図12は、図示されるような頂部材および底部材を持つ長方形の鞘を含む、図1の流動床装置の一部の平面図を示す。
【図13】図13は、図示されるような頂部材および底部材を持つ長方形の鞘ならびに接地された基体を含む、流動床摩擦電気粉体コーティング装置の側立面を、概略の断面図で示す。そして、
【図14】図14は、棒の配列から建造された、図12の長方形の鞘の透視図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上にコーティングを形成する方法を実施する装置であって、
・ 粉体コーティング組成物の流動床を形成させ、それによって粉体コーティング組成物の摩擦静電気帯電を達成するための流動室、
・基体を全部、または一部、流動床内に浸漬する手段であって、それによって粉体コーティング組成物の摩擦静電気で帯電した粒子が基体に付着する手段、但し基体は電気的に絶縁されているか、または接地されている
・電圧が印加される電導性電極であって、帯電粒子が基体の一領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれた電導性電極、
・電極に電圧を印加する手段、
・基体を流動床から引き出す手段、及び、
・付着した粒子を基体の少なくとも一部の上の連続したコーティングに変える手段、
を含み、流動床内で電離またはコロナ効果が生じることなく運転するように配設されている装置。
【請求項2】
最初に言及された電圧と極性が反対の電圧が印加される第2の電極であって、最初に言及された電極と第2の電極が基体の反対側にあり、そして第2の電極が帯電粒子が基体の一領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれた第2の電極、および第2の電極に該反対の極性の電圧を印加する手段を含む、請求項1に請求された装置。
【請求項3】
最初に言及された電極に近接した少なくとも1のさらなる電極であって、帯電粒子が基体の一又は複数のそれぞれの領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれた、さらなる1または複数の電極、および該さらなる1または複数の電極に最初に言及された電圧と同じ極性の電圧を印加する手段を含む、請求項1に請求された装置。
【請求項4】
基体を取り囲んでいる複数のさらなる電極を含む、請求項3に請求された装置。
【請求項5】
最初に言及された電極が棒の形をしている、請求項1〜4のいずれか1項に請求された装置。
【請求項6】
最初に言及された電極が板の形をしている、請求項1〜4のいずれか1項に請求された装置。
【請求項7】
複数の電極が板の形をしている、請求項2〜3のいずれか1項に請求された装置。
【請求項8】
最初に言及された電極および複数のさらなる電極が基体を取り囲む鞘の構成要素である、請求項4に請求された装置。
【請求項9】
電極が基体のための鞘を形成する、請求項1に請求された装置。
【請求項10】
鞘がシート材料を含む、請求項9に請求された装置。
【請求項11】
鞘の少なくとも一部が棒の配列からなる、請求項8〜10のいずれか1項に請求された装置。
【請求項12】
鞘の形が管状である、請求項8〜11のいずれか1項に請求された装置。
【請求項13】
鞘の形が管状であり、そして一端に末端閉鎖部材を含む、請求項8〜11のいずれか1項に請求された装置。
【請求項14】
鞘の形が管状であり、そして両端に末端閉鎖部材を含む、請求項8〜11のいずれか1項に請求された装置。
【請求項15】
鞘が円筒状である、請求項8〜14のいずれか1項に請求された装置。
【請求項16】
鞘が円形の横断面を持つ、請求項8〜14のいずれか1項に請求された装置。
【請求項17】
鞘が楕円形の横断面を持つ、請求項8〜14のいずれか1項に請求された装置。
【請求項18】
鞘が長方形の横断面を持つ、請求項8〜14のいずれか1項に請求された装置。
【請求項19】
鞘が複数の電気的に絶縁された部分を有し、そして装置が該別々の部分にそれぞれの電圧を印加する手段を含む、請求項8〜18のいずれか1項に請求された装置。
【請求項20】
流動室の少なくとも一部が電導性であり、そして装置が流動室の該電導性部分に電圧を印加する手段を含む、請求項1〜19のいずれか1項に請求された装置。
【請求項21】
流動室の壁が非電導性である、請求項1〜19のいずれか1項に請求された装置。
【請求項22】
運転において、1または複数の電極と基体との間の電位勾配が、0.1kV/cm〜5kV/cmオーダーである、請求項1〜20のいずれか1項に請求された装置。
【請求項23】
運転において、電位勾配が、0.1kV/cm〜0.5kV/cmオーダーである、請求項21に請求された装置。
【請求項24】
運転において、電位勾配が、0.2kV/cm〜1kV/cmオーダーである、請求項22に請求された装置。
【請求項25】
実質的に、添付された図面の図1〜4、または図5ないしは図5および6ないしは図5および7、または図8ないしは図8および9ないしは図8および10ないしは図8および11、または図12ないしは図13ないしは図12および14ないしは図13および14のいずれか1を引用して本明細書に説明され、そして図面に示された装置。
【請求項26】
基体にコーティングを形成する方法であって、
・ ・粉体コーティング組成物の流動床を形成させ、それによって粉体コーティング組成物の摩擦静電気帯電を達成すること、
・基体を全部、または一部、流動床に浸漬し、それによって粉体コーティング組成物の摩擦静電気で帯電した粒子が基体に付着すること、但し基体は電気的に絶縁されているか、または接地されていること、
・流動床内に電導性電極を配備すること、
・該電導性電極に電圧を印加すること、但し電極が、基体に対して、帯電粒子が基体の領域に付着する程度が電極によって影響を及ぼされるところに置かれること、
・基体を流動床から引き出すこと、そして、付着した粒子を基体の少なくとも一部の上の連続したコーティングに変えること、
の段階を含み、流動床内で電離またはコロナ効果が生じることなく実施される方法。
【請求項27】
最初に言及された電極に対して基体の反対側へ第2の電極を挿入し、第2の電極が帯電粒子が基体の一領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれ、そして第2の電極に、最初に言及された電圧と極性が反対の電圧を印加することを含む、請求項26に請求された方法。
【請求項28】
最初に言及された電極に近接して少なくとも1のさらなる電極を挿入し、該さらなる1または複数の電極が、帯電粒子が基体の一または複数のそれぞれの領域に付着する程度に影響を及ぼすように置かれ、そして該さらなる1または複数の電極に最初に言及された電圧と同じ極性の電圧を印加することを含む、請求項26に請求された方法。
【請求項29】
基体が非電導性か、または弱電導性である、請求項26〜28のいずれか1項に請求された方法。
【請求項30】
基体が中質繊維板(MDF)を含む、請求項26〜29のいずれか1項に請求された方法。
【請求項31】
基体が木材を含む、請求項26〜30のいずれか1項に請求された方法。
【請求項32】
基体が木製品を含む、請求項26〜30のいずれか1項に請求された方法。
【請求項33】
基体がプラスチック材料を含む、請求項26〜29のいずれか1項に請求された方法。
【請求項34】
基体が電導性添加剤を含むプラスチック材料を含む、請求項26〜29及び請求項33のいずれか1項に請求された方法。
【請求項35】
プラスチック材料がポリアミドを含む、請求項26〜29、請求項33及び請求項34のいずれか1項に請求された方法。
【請求項36】
基体が高絶縁性プラスチック材料を含む、請求項26〜29及び請求項33のいずれか1項に請求された方法。
【請求項37】
プラスチック材料がポリカーボネートを含む、請求項36に請求された方法。
【請求項38】
基体の表面抵抗が少なくとも103オーム/□台である、請求項26〜37のいずれか1項に請求された方法。
【請求項39】
基体の表面抵抗が103〜105オーム/□台である、請求項26〜38のいずれか1項に請求された方法。
【請求項40】
基体の表面抵抗が少なくとも105オーム/□台である、請求項26〜38のいずれか1項に請求された方法。
【請求項41】
基体の表面抵抗が105〜1011オーム/□台である、請求項26〜38または請求項40のいずれか1項に請求された方法。
【請求項42】
基体の表面抵抗が少なくとも1011オーム/□台である、請求項26〜38のいずれか1項に請求された方法。
【請求項43】
基体が電導性基体である、請求項26〜38のいずれか1項に請求された方法。
【請求項44】
基体を流動床に浸漬する前に、プラスチック材料をその融点より下で、かつ粉体コーティング組成物の転移点より下の温度に加熱する段階を含む、請求項33〜37のいずれか1項に請求された方法。
【請求項45】
基体を流動床に浸漬する前に、基体を予備帯電する段階を含む、請求項33〜37及び請求項44のいずれか1項に請求された方法。
【請求項46】
基体を流動床に浸漬する前に、基体上の電荷を均等化する段階を含む、請求項45に請求された方法。
【請求項47】
電荷を均等化するために基体をその融点より下の温度に加熱する段階を含む、請求項46に請求された方法。
【請求項48】
電荷を均等化するために基体の表面を湿らせる段階を含む、請求項46に請求された方法。
【請求項49】
流動床への浸漬前に基体の予備加熱がない、請求項26〜28及び請求項43のいずれか1項に請求された方法。
【請求項50】
実質的に、添付された図面を引用して本明細書に説明されたような、基体にコーティングを形成する方法。
【請求項51】
請求項26〜50のいずれか1項に請求された方法によって得られた、コーティングされた基体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−509620(P2006−509620A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558080(P2004−558080)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014165
【国際公開番号】WO2004/052557
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(500286643)アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ (67)
【Fターム(参考)】