説明

粉体付着量検知方法及び画像形成装置

【課題】高付着量でも常に安定した正確な付着量検知とそれを利用した画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム210上のトナー付着量を検知するため、光熱変換作用を検出する音響波検出センサ209を用いる。音響波検出センサ209は、熱励起レーザ207とマイクロフォン206とを備え、光源部から照射された光を感光体上に付着しているトナー205に入射させ、トナーからの光熱変換信号を検知して付着量を検知する。光源からの光は一定の周波数で強度変調する。照射光が変調されているため、変調周波数に従った空気の圧力変化で音響波が発生しマイクロフォン206に到達し、ロックインアンプで変調信号を基準信号として同期検出する。検出されたこの音響波の強度はトナー付着量と相関があり、あらかじめ付着量と音響波強度との検量線を作成しておけば付着量を検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー等の粉体の付着量検知方法、これらの方法を実施可能な複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた複写機、レーザビームプリンタ等の画像形成装置では、常に安定した画像濃度が得られるようにするために、感光体等の像担持体上に濃度検知用トナーパッチ(以下、濃度パターン又は濃度検知用パターンともいう)を作成し、そのパッチ濃度を光学的検知手段により検知し、その検知結果に基づいて現像ポテンシャルを変更(具体的には、LDパワー、帯電バイアス、現像バイアスの変更)するようになっている。また、2成分現像方式の場合には、現像器内のトナー濃度制御目標値を変更することにより最大目標付着量(目標IDを得るための付着量)が狙いの値となるような画像濃度制御を行っている。
【0003】
このような濃度検知用パッチ検出手段としては、発光素子(発光手段)としてLEDを、受光素子(受光手段)としてPD(フォトダイオード)又はPTr(フォトトランジスタ)を組み合わせた反射型センサが一般的に知られている。
【0004】
そのセンサ構成としては、正反射光のみを検出するタイプ(特許文献1等参照)、拡散反射光のみを検出するタイプ(特許文献2、3等参照)、両者を検出するタイプ(特許文献4等参照)の3つのタイプがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の公開公報及び特許公報の多くがカラー画像形成装置に関するものであることが示す通り、カラー画像形成装置では画像濃度の変動が色味変動につながるために、画像濃度を安定させるべく、濃度検知用パターンの付着量を正確に検知し、濃度制御することが重要となる。画像濃度制御の狙いは最大目標付着量が狙いの値となるように制御することであるため、高付着量域まで正確に検知できることが望ましい。しかしながら、従来の検知手法は反射光を用いているため、反射率の低い検知対象面では利用できなかった。また、高付着量になると反射光が減少するため正確な付着量検知を行うことは困難であった。
【0006】
本発明は、上記した問題点にかんがみてなしたものであり、トナー等の粉体の付着量検知において、高付着量でも常に安定した正確な付着量検知を行うことができる付着量検出方法と前記方法を実施可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明では、検知対象面上に形成された付着量の異なる粉体の階調パターンに強度変調した光を照射し、光熱変換作用を検出する検出手段を設け、前期検出手段で検知した光熱信号の量に基づいて付着量を求めることとした。
【0008】
請求項2の発明では、検知対象面上に形成された付着量の異なる粉体の階調パターンに強度変調した光を照射し、光熱変換作用を検出する検出手段を設け、前期検出手段で検知した光熱信号と基準信号の位相差に基づいて付着量を求めることとした。
【0009】
請求項3の発明では、検知対象面上に形成された付着量の異なる粉体の階調パターンに強度変調した光を照射し、光熱変換作用を検出する検出手段を設け、強度変調周波数を変化させながら前期検出手段で検知した光熱信号の変化量に基づいて付着量を求めることとした。
【0010】
請求項4の発明では、請求項1〜3に記載の検知手段がマイクロフォンであることとした。
【0011】
請求項5の発明では、請求項1〜3に記載の検知手段が圧電素子であることとした。
【0012】
請求項6の発明では、請求項1〜3に記載の検知手段が光電変換素子であることとした。
【0013】
請求項7の発明では、像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、請求項1〜6のうちいずれかの方法を、像担持体を前記検知対象面とし、かつ前記粉体をトナーとする構成とした。
【0014】
請求項8の発明では、像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、請求項1から6のうちいずれかの方法を、記録媒体を前記検知対象面とし、かつ前記粉体をトナーとする構成とした。
【0015】
請求項9の発明では、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に転写した後記録媒体上に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、請求項1から6のうちいずれかの方法を、中間転写体を前記検知対象面とし、かつ前記粉体をトナーとする構成とした。
【0016】
請求項10の発明では、請求項7から9のうちのいずれか1つに記載の画像形成装置において、上記検知対象面上に形成した複数個のトナーパターンから付着量を検知し、その付着量に基づき、画像濃度制御を行う構成とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高付着量でも常に安定した正確な付着量検知とそれを利用した画像形成装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】光熱変換信号として音波を検出する場合の例を示す図
【図2】光熱変換信号として熱弾性波を検出する場合の例を示す図
【図3】光熱変換信号として光偏向を検出する場合の例を示す図
【図4】紙上に付着量を変えてトナー像を形成したサンプルの光音響信号と波長の関係を示す図
【図5】本発明の実施対象となる画像形成装置の一例を示す概略構成図
【図6】音響波検出センサを示す図
【図7】本発明の一実施例としての画像形成装置である、タンデム型のカラー複写機を示す図
【図8】図7に示した熱弾性波検知センサの拡大図
【図9】検知信号強度と既知の付着量のトナー像の検知信号強度の差をとってカーボンブラックの吸収で規格化した値をトナー付着量に対してプロットして示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
光照射を受けた物質は光を吸収し、その一部が熱に変わる。光熱変換法とは、この熱が引き起こす物理現象(音、熱弾性波,屈折率変化)を測定して対象物質を調べる手法の総称である。非常に高感度であり、ほとんどすべての物質に適用でき、非破壊で物質内部の情報を得ることができる。また、分光した照明を使用することにより分光解析が可能である。光熱変換作用の一般的な検出方式に関しては、非特許文献1、2を参照されたい。
【0020】
光熱変換信号として音波を検出する場合の例を図1に示す。検知対象物Sbに強度変調した光Lを光源Lsから照射し、生じた音波SoをマイクロフォンMで検出する。検出した信号はロックインアンプLampを用いて変調信号を基準信号としてコンピュータPC等で処理して同期検出する。図中Osはオシレータ、Leはレンズである。
【0021】
光熱変換信号として熱弾性波を検出する場合の例を図2に示す。検知対象物Sbに強度変調した光Lを照射し、生じた熱弾性波Tewを圧電素子PZTで検出する。検出した信号はロックインアンプLampを用いて変調信号を基準信号として同期検出する。
【0022】
光熱変換信号として光偏向を検出する場合の例を図3に示す。検知対象物Sbに強度変調した光Lを照射する。光源Lsと検知対象物Sbの間にプローブ光Lpを照射し、ピンホールPhを通った光を光電変換素子PDにより電気信号に変換する。プローブ光Lpは発生した熱で偏向するため、検知対象物Sbの量により変動する。また、光の位置変化を検出しても良い。
【0023】
光熱変換法を用いた付着量検知の一例を、図4を参照して説明する。図4は、紙上に付着量を変えてトナー像を形成したサンプルの光音響信号と波長の関係を示す。付着量が増加すると光音響信号は増加する。これはトナー像が熱定着されるなど形状が変化していても同様の傾向を示す。
【実施例】
【0024】
<実施例1>
図5は本発明の実施対象となる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図5において、201は感光体ドラムで、感光体ドラム210に対しては、その表面を帯電する帯電部材として帯電ローラ211が接触して配置されている。帯電ローラ211により一定の負の電位に帯電された感光体ドラム210の表面には、露光装置を用いて画像形成装置のコントローラからの画像に対応した信号に基づいて、光照射による露光212が行われる。これにより、感光体ドラム210上の光照射部で電荷の再結合が起こって電位の絶対値が下がり、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。
【0025】
感光体ドラム210上に静電潜像が形成されると、その後、現像装置213により潜像を可視化する現像作業が行われる。現像によって感光体ドラム210上に形成されたトナー像は、紙などの記録媒体に転写、図示していない定着装置に搬送して、そこで加熱及び加圧によりトナー像を転写ベルトに定着して、永久画像に形成される。
【0026】
本実施例では、感光体ドラム210上のトナー付着量を検知するための手段として、光熱変換作用を検出する音響波検出センサ209を用いた。図5に示すように、音響波検出センサ209は感光体ドラムの回転方向に関して、現像装置213の下流に配置した。
【0027】
この音響波検出センサ209は、図6に示すように、光源部である熱励起レーザ207と音響波検出部であるマイクロフォン206とを備えており、集光レンズ208を介して光源部から照射された光を感光体上に付着しているトナー(あるいは以下ではトナー画像とも記載する)205に入射し、トナーからの光熱変換信号を検知して付着量を検知する仕組みになっている。光源としては、半導体レーザが最も好ましい。また、光源からの光は一定の周波数で強度変調されている。付着量を測定するために入射されたレーザ光は、その一部が感光体上のトナーにより吸収される。トナーを構成する分子が光エネルギーを吸収して励起状態になると、様々な過程を経て基底状態に戻る。特に、非発光緩和過程を経て、励起エネルギーが周辺の分子に熱エネルギーとして放出されたものが光熱変換作用の測定対象となる。照射光は一定の周波数で強度変調されているので、熱エネルギーも同じ周期で繰り返し発生し、トナー層内を熱波の形で伝播していく。この熱エネルギーの一部が周囲の空気層にリークして発生した音響波(疎密波)を今回は音響センサであるマイクロフォン6を用いて検出する。
【0028】
また本実施例では光源に半導体レーザを用いている。熱励起光として用いた熱励起レーザ207を発振させて、所定の変調周波数に直接電流変調したのち、集光レンズ208を用いて感光体上のトナー画像205にフォーカス照射される。本実施例では、照射面上でのビーム径はφ50μm、レーザパワーは100mWである。
【0029】
照射光が変調されているため、加熱は変調周波数と一致して繰り返され、結果として変調周波数に従った空気の圧力変化を引き起こし、音響波を発生し、検出器であるマイクロフォン206に到達していく。マイクロフォン206で検出された音響信号は、ロックインアンプを用いて変調信号を基準信号として同期検出する。検出されたこの音響波の強度は、図4のようにトナー付着量と相関があるため、あらかじめ付着量と音響波強度との検量線を作成しておけば付着量を検出することができる。
【0030】
<実施例2>
図7に本発明の一実施例としての画像形成装置である、タンデム型のカラー複写機を示し、その構成及び動作の概要を説明する。
カラー複写機1は、装置本体中央部に位置する画像形成部1Aと、該画像形成部1Aの下方に位置する給紙部1Bと、画像形成部1Aの上方に位置する画像読取部1Cを有している。画像形成部1Aには、水平方向に延びる転写面を有する転写体としての中間転写ベルト2が配置されており、該中間転写ベルト2の上面には、トナー画像を形成するための構成が設けられている。すなわち、各色トナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による像を担持可能な像担持体としての感光体ドラム3Y、3M、3C、3Bが中間転写ベルト2の転写面に沿って並置されている。
【0031】
各感光体ドラム3Y、3M、3C、3Bはそれぞれ同じ反時計回り方向に回転可能なドラムで構成されており、その周りには、回転過程において画像形成処理を実行する帯電手段としての帯電装置4、各感光体ドラム3Y、3M、3C、3B上に画像情報に基づいて電位VLの静電潜像を形成するための露光手段としての光書込装置5、各感光体ドラム3上の静電潜像を該静電潜像と同極性のトナーで現像する現像手段としての現像装置6、一次転写手段としての転写バイアスローラ7、印加電圧部材15、クリーニング装置8が配置されている。なお各符号に付記しているアルファベットは、感光体ドラム3と同様、トナーの色別に対応している。
【0032】
各現像装置6にはそれぞれのカラートナーが収容されている。また中間転写ベルト2は、複数のローラ2A〜2Cに掛け回されて感光体ドラム3Y、3M、3C、3Bとの対峙する位置において同方向に移動可能な構成を備えている。転写面を支持するローラ2A、2Bとは別のローラ2Cは、中間転写ベルト2を挟んで2次転写装置9に対向している。さらに、図7中の符号10は中間転写ベルト2を対象としたクリーニング装置を示している。
【0033】
感光体ドラム3Yの表面が帯電装置4Yにより一様に帯電され、画像読取部1Cからの画像情報に基づいて感光体3ドラムY上に静電潜像が形成される。この静電潜像はイエローのトナーを収容した2成分(キャリアとトナー)現像装置6Yによりトナー像として可視像化され、該トナー像は第1の転写工程として、中間転写ベルト2上に、転写バイアスローラ7Yに印加された電圧による電界で引き付けられて転写される。
【0034】
印加電圧部材15Yは感光体ドラム3Yの回転方向における転写バイアスローラ7Yの上流側に設けられている。印加電圧部材15Yにより、中間転写ベルト2に感光体ドラム3Yの帯電極性と同極性でかつ絶対値がベタ時の電位VLより大きい電圧を印加し、転写領域にトナー像が入る以前に感光体ドラム3Yから中間転写ベルト2へトナーが転写することを防止して、感光体ドラム3Yから中間転写ベルト2へのトナーの転写時のチリによる乱れを防止する。
【0035】
他の感光体ドラム3M、3C、3Bでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト2上に順に転写されて重ね合わせられる。転写後感光体ドラム3上に残留したトナーはクリーニング装置8により除去され、また、転写後図示しない除電ランプにより感光体ドラム3の電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
【0036】
2次転写装置9は、帯電駆動ローラ9A及び従動ローラ9Bに掛け回されて中間転写ベルト2と同方向に移動する転写ベルト9Cを有している。転写ベルト9Cを帯電駆動ローラ9Aにより帯電させることで、中間転写ベルト2に重畳された多色画像あるいは担持されている単一色の画像をシート状記録媒体としての用紙28に転写することができる。2次転写位置には給紙部1Bから用紙28が給送されるようになっている。
【0037】
給紙部1Bには用紙28が積載収容される複数の給紙カセット1B1と、給紙カセット1B1に収容された用紙28を最上のものから順に1枚ずつ分離して給紙する給紙コロ1B2と、搬送ローラ対1B3と、2次転写位置の上流に位置するレジストローラ対1B4等が設けられている。給紙カセット1B1から給紙された用紙28は、レジストローラ対1B4で一旦停止され、斜めずれ等を修正された後、中間転写ベルト2上のトナー像の先端と搬送方向先端部の所定位置とが一致するタイイングでレジストローラ対1B4により2次転写位置に送られる。
【0038】
また装置本体の右側には起倒可能に手差しトレイ29が設けられており、該手差しトレイ29に収容された用紙28は給紙コロ31により給送された給紙カセット1B1からの用紙搬送路と合流する搬送路によりレジストローラ対1B4に向けて送られる。
【0039】
光書込装置5では、画像読取部1Cからの画像情報あるいは図示しないコンピュータから出力される画像情報により書き込み光が制御されて感光体ドラム3Y、3M、3C、3Bに対して画像情報に応じた書き込み光を出射して静電潜像を形成するようになっている。画像読取部1Cは、自動原稿給送装置1C1と、原稿載置台としてのコンタクトガラス80を有するスキャナ1C2等を有している。自動原稿給送装置1C1は、コンタクトガラス80上に繰り出される原稿を反転可能な構成を有し、原稿の表裏各面での走査が行えるようになっている。そして、光書込装置5により形成された感光体ドラム3上の静電潜像は現像装置6によって可視像処理され、中間転写ベルト2に1次転写される。
【0040】
中間転写ベルト2に対して各色毎のトナー像が重畳転写されると、2次転写装置9により用紙28上に一括して2次転写される。2次転写された用紙28は定着装置11へ送られ、ここで熱と圧力により未定着画像を定着される。2次転写後の中間転写ベルト2上の残留トナーは、クリーニング装置10により除去される。
【0041】
定着装置11を通過した用紙28は、定着装置11の下流側に設けられた搬送路切り換え爪12により、排紙トレイ27に向けた搬送路と反転搬送路RPとに選択的に案内される。排紙トレイ27に向けて搬送された場合には、排紙ローラ対32により排紙トレイ27上に排出され、スタックされる。反転搬送路RPへ案内された場合には反転装置38により反転され、再度レジストローラ対1B4に向けて送られる。
【0042】
以上の構成により、カラー複写機1では、コンタクトガラス80上に載置された原稿を露光走査することにより、あるいはコンピュータからの画像情報により、一様に帯電された感光体ドラム3に対して静電潜像が形成され、該静電潜像が現像装置6によって可視像処理された後、トナー像が中間転写ベルト2に1次転写される。中間転写ベルト2に転写されたトナー像は、単一画像の場合にはそのまま給紙部1Bから繰り出された用紙28に転写される。多色画像の場合には1次転写が繰り返されることにより重畳された後、用紙28に一括して2次転写される。
【0043】
2次転写後の用紙28は定着装置11により未定着画像を定着された後、排紙トレイ27に排出され、あるいは反転されて両面画像形成のために再度レジストローラ対1B4に向けて送られる。
【0044】
なお本発明をカラーレーザプリンタで実施する場合は、上述のような画像形成モードとは別に、電源投入時、またはある所定枚数通紙後に各色の画像濃度を適正化するためにプロセスコントロール動作動作(以下プロコン動作と略す)が実行される。
【0045】
このプロコン動作では、各色複数の濃度検知用パッチ(以下Pパターンと略す)を、帯電バイアス、現像バイアスなどを適当なタイミングで順次切り換えることにより中間転写ベルト2上に作像し、これらPパターンから検出された光熱変換信号を検知し、付着量に変換して現在の現像能力を表す(現像γ、Vk)の算出を行い、この算出値に基づき、現像バイアス値及びトナー濃度制御目標値の変更をする制御を行っている。
【0046】
Pパターンからの光熱変換信号は以下のように検出される。
図8は図7の熱弾性波検知センサ40の拡大図である。熱弾性波検知センサ40は支持ローラ2Bの近傍に配置されている。熱弾性波検知センサ40は光源照射部41と対向するベルトの裏面部分に配置される圧電素子42からなっている。この圧電素子42は、信号検知時に中間転写ベルトに接触し、通常ベルトとは接触しないようになっている。
【0047】
光源照射部41からは、2.5kHzで強度変調された赤外光が中間転写上のトナー像に照射されている。照射光は一定の周波数で強度変調されているので、熱エネルギーも同じ周期で繰り返し発生し、それが熱弾性波となって圧電素子42で検知される。あらかじめ中間転写ベルトのみ(トナー像がない場合)の検知信号強度と既知の付着量のトナー像の検知信号強度の差をとってカーボンブラックの吸収で規格化した値をトナー付着量に対してプロットすると図9のようになり、寄与率0.99と精度良い近似式を得ることができる。プロコン動作時には中間転写ベルトのみの熱弾性波信号強度と測定したいベルト上トナー像から検知された熱弾性波信号強度から前記検量線を用いて付着量を算出し、現像プロセスにフィードバックして制御を行う。
【0048】
<実施例3>
上述した実施例2では、検知対象面を転写体としての中間転写ベルト2としたが、各感光体ドラムを検知対象面としてもよい。この場合、熱弾性波検知センサ40は各感光体ドラムに対向して設けられ、圧電素子42は感光体裏面に配置される。
【0049】
<実施例4>
上述した実施例2では、熱弾性波信号強度から付着量を算出しているが、熱弾性波信号と変調周波数に対する位相遅れとトナー付着量の関係から検量線を求めるかまたは算出テーブルを作成して位相差信号を抽出することにより付着量を算出することもできる。
【符号の説明】
【0050】
Sb:検知対象物
So:音波
L:光
Ls:光源
Lamp:ロックインアンプ
Le:レンズ
Lp:プローブ光
M:マイクロフォン
Os:オシレータ
PC:コンピュータ
PZT:圧電素子
PD:光電変換素子
Ph:ピンホール
RP:反転搬送路
Tew:熱弾性波
1:カラー複写機
1A:画像形成部
1B:給紙部
1B1:給紙カセット
1B2:給紙コロ
1B3:搬送ローラ対
1B4:レジストローラ対
1C:画像読取部
1C1:自動原稿給送装置
1C2:スキャナ
2:中間転写ベルト
2A〜2C:ローラ
3:感光体ドラム
4:帯電装置
5:光書込装置
6:現像装置
7:転写バイアスローラ
8:クリーニング装置
9:2次転写装置
9A:帯電駆動ローラ
9B:従動ローラ
9C:転写ベルト
10:中間転写ベルトのクリーニング装置
11:定着装置
12:搬送路切り換え爪
15:印加電圧部材
27:排紙トレイ
28:用紙
29:手差しトレイ
31:給紙コロ
32:排紙ローラ対
38:反転装置
40:熱弾性波検知センサ
41:光源照射部
42:圧電素子
80:コンタクトガラス
201:感光体ドラム
205:トナー(トナー画像)
206:マイクロフォン
207:熱励起レーザ
208:集光レンズ
209:音響波検出センサ
211:帯電ローラ
212:露光
213:現像装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2001−324840号号公報
【特許文献2】特開平5−249787号公報
【特許文献3】特許第3155555号公報
【特許文献4】特開2001−194843号公報
【非特許文献】
【0052】
【非特許文献1】澤田嗣郎編、「光音響分光法とその応用−PAS」(学会出版センター(1982年))
【非特許文献2】澤田嗣郎編、「光熱変換分光法とその応用」(学会出版センター(1997))

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象面上に形成された付着量の異なる粉体の階調パターンに強度変調した光を照射し、光熱変換作用を検出する検出手段を設け、前期検出手段で検出した光熱信号の量に基づいて前記検知対象面への前記粉体の付着量を求めることを特徴とする粉体付着量検知方法。
【請求項2】
検知対象面上に形成された付着量の異なる粉体の階調パターンに強度変調した光を照射し、光熱変換作用を検出する検出手段を設け、前期検出手段で検出した光熱信号と基準信号の位相差に基づいて前記検知対象面への前記粉体の付着量を求めることを特徴とする粉体付着量検知方法。
【請求項3】
検知対象面上に形成された付着量の異なる粉体の階調パターンに強度変調した光を照射し、光熱変換作用を検出する検出手段を設け、強度変調周波数を変化させながら前期検出手段で検出した光熱信号の変化量に基づいて前記検知対象面への前記粉体の付着量を求めることを特徴とする粉体付着量検知方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の粉体付着量検知方法において、前記検知手段がマイクロフォンであることを特徴とする粉体付着量検知方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の粉体付着量検知方法において、前記検知手段が圧電素子であることを特徴とする粉体付着量検知方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の粉体付着量検知方法において、前記検知手段が光電変換素子であることを特徴とする粉体付着量検知方法。
【請求項7】
像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、
前記像担持体を前記検知対象面とし、かつ前記粉体をトナーとして、請求項1から6のいずれかに記載の粉体付着量検知方法を実施可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、
前記記録媒体を前記検知対象面とし、かつ前記粉体をトナーとして、請求項1から6のいずれかに記載の粉体付着量検知方法を実施可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に転写した後に記録媒体上に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、前記中間転写体を前記検知対象面とし、かつ前記粉体をトナーとして、請求項1から6のいずれかに記載の粉体付着量検知方法を実施可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記検知対象面上に形成した複数個のトナーパターンからトナーの付着量を検出し、該検出した付着量に基づき、形成する画像濃度の制御を行う手段を有することを特徴とする画像形成装置


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−163375(P2012−163375A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22167(P2011−22167)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】