説明

粉体充填装置および粉体充填方法

【課題】小口径の容器であっても、粉体充填の自動化を可能にする。
【解決手段】オーガー3は、ホッパー2内に収容された粉体を吐出口3bより吐出する。逆円錐状のガイドノズル4には、その頂部に投入口4aが、その底部に排出口4bがそれぞれ設けられている。投入口4aは、吐出口3bと対向しており、排出口4bは、容器6の開口部6aと対向している。バイブレータ5cは、自己の振動によって、ガイドノズル4を振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小口径の容器に対する粉体充填に適した粉体充填装置および粉体充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、粉末化粧料や粉末薬品といった粉体を容器内に充填する充填工程では、生産効率の向上を図るべく、特許文献1に開示されているようなオーガーを用いた自動充填が行われている。
【0003】
【特許文献1】実開平5−51827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、充填対象となる容器が小口径なものになると、オーガーによる自動充填を適切に行うことが困難になる。なぜなら、容器の口径がオーガーの吐出口より小さいと、吐出口より吐出された粉体が容器外にこぼれてしまい、容器内への定量充填が困難になるからである。そのため、従来、小口径のものに対する充填は、規定量の粉体を計量し、治具を使用した手作業で行っていた。一方、このような作業を自動化すべく、小口径専用のオーガーを新たに導入するという対策も考えられるが、単に吐出口の径を小さくしただけでは、吐出口近傍で粉体が詰まってしまうといった問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、小口径の容器であっても、粉体充填の自動化を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、容器内に粉体を充填する粉体充填装置を提供する。この粉体充填装置は、ホッパー内に収容された粉体を吐出口より吐出するオーガーと、吐出口と対向した投入口が頂部に設けられているとともに、容器の開口部と対向し、投入口よりも小さな排出口が底部に設けられた逆円錐状のガイドノズルと、ガイドノズルを振動させるバイブレータとを有する。
【0007】
ここで、第1の発明において、上記バイブレータは、ガイドノズルを垂直方向および水平方向の少なくとも一方に振動させることが好ましい。また、ガイドノズルの投入口は、オーガーの吐出口よりも大きく、ガイドノズルの排出口は、容器の開口部よりも小さいことが好ましい。また、ガイドノズルの排出口は、下端が非直線状に変化する端部形状を有していてもよい。
【0008】
第2の発明は、容器内に粉体を充填する粉体充填方法を提供する。この粉体充填方法は、投入口が頂部に設けられているとともに、この投入口よりも小さな排出口が底部に設けられた逆円錐状のガイドノズルを振動させる第1のステップと、投入口に粉体を投入する第2のステップと、投入口より投入された粉体を、ガイドノズルの内面に沿って、排出口に導く第3のステップと、排出口に導かれた粉体を排出口より落下させ、容器内に粉体を充填する第4のステップとを有する。
【0009】
ここで、第2の発明において、上記第1のステップは、ガイドノズルを垂直方向および水平方向の少なくとも一方に振動させるステップであることが好ましい。また、上記第2のステップは、容器内に充填すべき規定量の粉体を複数回に分けて投入するステップであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オーガーの吐出口と容器の開口部との間にガイドノズルを介在させ、吐出口より吐出された粉体をガイドノズルによって容器側へと導く。このガイドノズルは、バイブレータによって振動しているため、ガイドノズル内における粉体の流動性が確保される。したがって、小口径の容器に対応して排出口を小さくした場合であっても、ガイドノズル内に粉体が詰まることなく、また、排出口から容器外にこぼれてしまうこともないので、容器内に規定量通りの粉体を有効に充填することができる。その結果、既存の設備に対する簡易な改良のみで、小口径の容器に対する粉体充填を適切に自動化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、粉体充填装置の全体構成図である。この粉体充填装置1は、ホッパー2と、オーガー3と、ガイドノズル4と、振動機構5とを主体に構成されており、粉体化粧料や粉末薬品といった粉体を容器6内に自動的に定量充填する。容器6は、有底筒状のボトル形状を有し、その頂部に設けられた開口部6aは、オーガー3の吐出口3bよりも小さくなっている。
【0012】
ホッパー2内には、容器6に充填すべき粉体が収容されている。オーガー3は、図示しない動力源(モータ等)によってスクリュー3aを回転させ、ホッパー2内に収容された粉体を下方の吐出口3bへと導く。そして、吐出口3bに導かれた粉体は、スクリュー3aの回転に応じた速さで下方に吐出される。なお、吐出口3bからの粉体の吐出量は、スクリュー3aの回転量によって決定される。
【0013】
ガイドノズル4は、オーガー3の吐出口3bより吐出された粉体を容器6側に導くガイド機能を担っている。このガイドノズル4は、上下が開口した逆円錐形状を有し、その頂部には投入口4aが、その底部には排出口4bがそれぞれ設けられている。投入口4aは、オーガー3の吐出口3bと若干離間して対向しており、その口径は、投入口4a外への粉体のこぼれを防止すべく、吐出口3bのそれよりも大きくなっている。また、排出口4bは、容器6の開口部6aと若干離間しており、その口径は、開口部6a外への粉体のこぼれを防止すべく、開口部6aのそれよりも小さくなっている。排出口4bは、図2の破線で示すように、下端を直線状とした端部形状にしてもよいが、ガイドノズル4内における粉体の詰まりを有効に防止すべく、同図の実線で示すように、下端が非直線状に変化する端部形状にしてもよい。具体的には、湾曲した波状、或いは、のこぎり状といった如くである。ガイドノズル4は、振動機構5によって支持されており、これにより、オーガー3と容器6との間に安定して介在する。
【0014】
振動機構5は、支持台5aと、アーム5bと、バイブレータ5cとによって構成されている。具体的には、水平面上に置かれた支持台5aは垂直上方に延在しており、これに平板状のアーム5bが取り付けられている。支持台5aの取付部位を固定端としたアーム5bは、水平方向に延在しており、その先端に相当する開放端には、ガイドノズル4が取り付けられている。そして、アーム5bの上面には、比較的高周波で上下(垂直方向)に振動するバイブレータ5cが取り付けられている。バイブレータ5cの振動は、アーム5bを介してガイドノズル4に伝達され、これによって、ガイドノズル4も上下に振動する。なお、ガイドノズル4の振動方向は、水平方向であってもよく、更には、垂直方向および水平方向を組み合わせた二次元方向であってもよい。特に、ガイドノズル4を二次元方向に振動させれば、ガイドノズル4内における粉体の流動性をより有効に確保できる。
【0015】
以下、上述した粉体充填装置1を用いて、小口径の容器6内に粉体を充填する工程について説明する。まず、ガイドノズル4の直下に容器6を配置する。つぎに、ガイドノズル4が振動している状態で、オーガー3によって計量された規定量の粉体を吐出口3bより吐出し、ガイドノズル4の投入口4aに粉体を投入する。この規定量は、容器内に充填すべき充填量に相当するが、この量の粉体を一度にすべて投入してしまうと、ガイドノズル4内における粉体の詰まりや排出速度の低下等が懸念される場合には、時間的な間隔を空けて、規定量の粉体を複数回(例えば2回)に分けて投入してもよい。
【0016】
投入口4aより投入された粉体は、ガイドノズル4の傾斜した内面に沿って、底部の排出口に導びかれる。この過程では、バイブレータ5cは、自己の振動によって、ガイドノズル4を振動させる。この振動によって、ガイドノズル4内における粉体の流動性が確保される。したがって、排出口4bが小径であったとしても、粉体の詰まりが生じ難い。排出口4bに導かれた粉体は、排出口4bより落下し、これによって、容器6内に粉体が充填される。なお、ガイドノズル4は、比較的高周波で振動するものの、その振幅自体はさほど大きくない。したがって、ガイドノズル4が変位しても、オーガー3や容器6と接触してしまったり、対向する開口部同士(吐出口3bと投入口4a、または、排出口4bと開口部6a)がずれてしまうことはない。
【0017】
このように、本実施形態によれば、オーガー3の吐出口3bと容器6の開口部6aとの間にガイドノズル4を介在させ、吐出口3bより吐出された粉体をガイドノズル4によって容器6側へと導く。粉体の充填過程において、ガイドノズル4は、バイブレータ5cによって振動している。したがって、小口径の容器6に対応して排出口4bを小さくした場合であっても、ガイドノズル4内に粉体が詰まることなく、また、排出口4bから容器6外にこぼれてしまうこともない。その結果、容器6に対する規定量通りの定量充填が可能になる。それとともに、既存の設備(汎用的なオーガー3)にガイドノズル4および振動機構5を追加するといった簡易な改良のみで、小口径の容器6に対する定量充填を適切に自動化することができる。その結果、充填工程に要する作業時間を短縮でき、作業人員を削減できるので、作業効率の著しい向上を図ることが可能になる。
【0018】
なお、上述した特許文献1には、その従来技術として、バイブレータ付のホッパーが挙げられているが、これによって、本発明の特許性が否定されるものではない。この従来技術に係る粉末充填機では、粉体粧料が投入されるホッパーの底部の細い排出口にバイブレータを設け、排出口を一定の時間だけ振動させる。この振動によって、略所定量が排出口から落下し、容器内に粉体化粧料が充填される。この動作からわかるように、従来技術に係るバイブレータが担う機能は、粉体化粧料の計量に過ぎず、本発明のような粉体の詰まり防止を意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】粉体充填装置の全体構成図
【図2】ガイドノズルの変形例を示す図
【符号の説明】
【0020】
1 粉体充填装置
2 ホッパー
3 オーガー
3a スクリュー
3b 吐出口
4 ガイドノズル
4a 投入口
4b 排出口
5 振動機構
5a 支持台
5b アーム
5c バイブレータ
6 容器
6a 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に粉体を充填する粉体充填装置において、
ホッパー内に収容された粉体を吐出口より吐出するオーガーと、
前記吐出口と対向した投入口が頂部に設けられているとともに、前記容器の開口部と対向し、前記投入口よりも小さな排出口が底部に設けられた逆円錐状のガイドノズルと、
前記ガイドノズルを振動させるバイブレータと
を有することを特徴とする粉体充填装置。
【請求項2】
前記バイブレータは、前記ガイドノズルを垂直方向および水平方向の少なくとも一方に振動させることを特徴とする請求項1に記載された粉体充填装置。
【請求項3】
前記投入口は、前記吐出口よりも大きく、前記排出口は、前記開口部よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載された粉体充填装置。
【請求項4】
前記排出口は、下端が非直線状に変化する端部形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された粉体充填装置。
【請求項5】
容器内に粉体を充填する粉体充填方法において、
投入口が頂部に設けられているとともに、当該投入口よりも小さな排出口が底部に設けられた逆円錐状のガイドノズルを振動させる第1のステップと、
前記投入口に粉体を投入する第2のステップと、
前記投入口より投入された粉体を、前記ガイドノズルの内面に沿って、前記排出口に導く第3のステップと、
前記排出口に導かれた粉体を前記排出口より落下させ、前記容器内に粉体を充填する第4のステップと
を有することを特徴とする粉体充填方法。
【請求項6】
前記第1のステップは、前記ガイドノズルを垂直方向および水平方向の少なくとも一方に振動させるステップであることを特徴とする請求項5に記載された粉体充填方法。
【請求項7】
前記第2のステップは、前記容器内に充填すべき規定量の粉体を複数回に分けて投入するステップであることを特徴とする請求項5または6に記載された粉体充填方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−116189(P2010−116189A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291100(P2008−291100)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】