説明

粉体収容装置、清掃装置、および画像形成装置

【課題】 本発明は、粉体収容装置、清掃装置、および画像形成装置に関し、内部に配置された回転部材の端部がハウジングの壁の穴に差し込まれた構造を有し、その穴からの粉体の漏れを防止する。
【解決手段】 粉体を収容する筐体61と、回転軸の周りに回転する、筐体内に配置された回転部材69とを有し、筐体が、回転部材の端部が差し込まれる穴613を有し、回転部材が、回転軸に交差した面内に広がり、穴613の周囲の筐体の壁との間に間隔を空けてその壁と対面する壁部693を有し、中央の穴に回転部材が貫通して筐体の壁の穴613の周囲の部分と回転部材の壁部693とに挟まれた、押圧による収縮性を有する発泡材と、その発泡材を挟んで、筐体の壁の穴の周囲の部分と回転部材の壁部にそれぞれ接する一対の、その発泡材よりも低摩擦性であって筐体の壁の穴の周囲の部分と回転部材の壁部との双方に非接着のシート材とを有する封止部品80を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体収容装置、清掃装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー像を形成してそのトナー像を用紙等の被転写材上に転写して定着する方式の画像形成装置には、転写後の像保持体上の残存トナー等からなる残留物を除去することにより像保持体を清掃する清掃装置が組み込まれている。この清掃装置には、一旦回収した残留物を不用意に漏らさない構造が必要である。
【0003】
特許文献1には、トナー回収部外壁面にトナーをシールする部材を設けたトナー収納容器が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、現像機のオイルシールの構造が開示されている。
【0005】
また特許文献3には、容器と搬送パドルの工夫により潤滑剤の漏れを防止する構造が示されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、現像機の駆動軸とハウジングの隙間をシールする構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−039865号公報
【特許文献2】特開2009−085999号公報
【特許文献3】特開2010−128035号公報
【特許文献4】特開平10−003248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、粉体を収容する筐体内に回転部材が配置され、その回転部材の端部がハウジングの壁の穴に差し込まれた構造を有し、その穴からの粉体の漏れが防止された粉体収容装置、清掃装置、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1は、
粉体を収容する収容室を有する筐体と、
回転軸方向に延びその回転軸の周りに回転する、筐体内に配置された回転部材とを有し、
上記筐体が、回転部材の回転軸方向端部が差し込まれる、内外に貫通した第1の穴を有する、収容室の回転軸方向端部を区画する第1の壁部を有し、
上記回転部材が、その回転部材の端部が上記第1の穴に差し込まれた状態における収容室内において回転軸に交差した面内に広がり、第1の壁部の第1の穴の周囲の部分との間に間隔を空けて該周囲の部分と体面する第2の壁部を有し、
上記回転部材が貫通する第2の穴が形成されその回転部材がその第2の穴に貫通して第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部とに挟まれた、押圧による収縮性を有する発泡材と、その発泡材を挟んで、第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部にそれぞれ接する一対の、その発泡材よりも低摩擦性であって第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部との双方に非接着のシート材とを有する封止部品を備えたことを特徴とする粉体収容装置である。
【0010】
請求項2は、請求項1記載の粉体収容装置において、上記封止部品に形成された第2の穴が、回転部材の第2の穴に貫通した部分の径よりも太径の丸穴であることを特徴とする粉体収容装置である。
【0011】
請求項3は、請求項1又は2記載の粉体収容装置において、上記封止部品が、上記第2の穴の中心と、回転部材の第2の穴に貫通した部分の中心とを一致させたときに、筐体の、回転軸方向に交差する方向についての収容室を区画する壁面と非接触の寸法を有することを特徴とする粉体収容装置である。
【0012】
請求項4は、請求項1から3のうちいずれか1項記載の粉体収容装置において、上記封止部品が収容室底面に接するまで落下した状態にあっても上記第2の穴の上側の縁が回転部材と非接触となるように、封止部品の外形寸法および第2の穴の寸法が調整されていることを特徴とする粉体収容装置である。
【0013】
請求項5は、請求項1から4のうちいずれか1項記載の粉体収容装置において、上記封止部品が、第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部とに挟まれる前の封止部品の回転軸方向の厚みが第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部との間隔よりも厚い寸法を有することを特徴とする粉体収容装置である。
【0014】
請求項6は、走行しながらトナー像を保持して被転写材上に転写する像保持体の走行方向に交差する幅方向に延在し像保持体の転写後の部分に接触して像保持体上の残留物を除去する除去部材と、
上記幅方向に延び、除去部材によって像保持体から除去された残留物を収容する第1収容室と、その第1収容室との間に開口を有して第1収容室に隣接し上記幅方向に延びる、第1収容室から残留物を受け取って収容する第2収容室とを有する筐体と、
上記幅方向に延びる回転軸部材を有し、第1収容室に配置されて回転軸部材の回転により第1収容室内の残留物を第2収容室に送り出す送出部材と、
上記第2収容室に配置されて上記幅方向に延びる回転軸の回りに回転し、第2収容室内の残留物を幅方向下流側に向けて搬送する搬送部材とを有し、
上記筐体が、回転軸部材の上記幅方向下流側端部が差し込まれる、内外に貫通した第1の穴を有する、第1収容室の、幅方向下流側を区画する第1の壁部を有し、
上記回転軸部材が、回転軸部材の幅方向下流側端部が第1の穴に差し込まれた状態における第1収容室内において幅方向に交差した面内に広がり、第1の壁部の第1の穴の周囲の部分との間に間隔を空けてその周囲の部分と対面する第2の壁部を有し、
上記回転軸部材が貫通する第2の穴が形成され回転軸部材が第2の穴に貫通して第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部とに挟まれた、押圧による収縮性を有する発泡材と、その発泡材を挟んで、第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部にそれぞれ接する一対の、上記発泡材よりも低摩擦性であって第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部との双方に非接着のシート材とを有する封止部品を備えたことを特徴とする清掃装置である。
【0015】
請求項7は、走行しながらトナー像を保持する像保持体と、
トナー像を形成してトナー像を像保持体に保持させるトナー像形成部と、
像保持体上に形成されたトナー像を被転材上に転写させて被転写材上のトナー像を定着することにより被転写材上に定着トナー像からなる画像を形成する転写定着部と、
像保持体の転写後の部分を清掃する清掃装置とを有し、この清掃装置が、
像保持体の走行方向に交差する幅方向に延在し像保持体の転写後の部分に接触して像保持体上の残留物を除去する除去部材と、
上記幅方向に延び、除去部材によって像保持体から除去された残留物を収容する第1収容室と、その第1収容室との間に開口を有して第1収容室に隣接し上記幅方向に延びる、第1収容室から残留物を受け取って収容する第2収容室とを有する筐体と、
上記幅方向に延びる回転軸部材を有し、第1収容室に配置されて回転軸部材の回転により第1収容室内の残留物を第2収容室に送り出す送出部材と、
上記第2収容室に配置されて上記幅方向に延びる回転軸の回りに回転し、第2収容室内の残留物を幅方向下流側に向けて搬送する搬送部材とを有し、
上記筐体が、回転軸部材の上記幅方向下流側端部が差し込まれる、内外に貫通した第1の穴を有する、第1収容室の、幅方向下流側を区画する第1の壁部を有し、
上記回転軸部材が、回転軸部材の幅方向下流側端部が第1の穴に差し込まれた状態における第1収容室内において幅方向に交差した面内に広がり、第1の壁部の第1の穴の周囲の部分との間に間隔を空けてその周囲の部分と対面する第2の壁部を有し、
上記回転軸部材が貫通する第2の穴が形成され回転軸部材が第2の穴に貫通して第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部とに挟まれた、押圧による収縮性を有する発泡材と、その発泡材を挟んで、第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部にそれぞれ接する一対の、上記発泡材よりも低摩擦性であって第1の壁部の第1の穴の周囲の部分と第2の壁部との双方に非接着のシート材とを有する封止部品を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の粉体収容装置、請求項6の清掃装置、および請求項7の画像形成装置によれば、容器内の粉体あるいは残留物の漏れが防止される。
【0017】
請求項2の粉体収容装置によれば、本構成を有しない場合と比べ、回転部材の回転に伴う摩擦が低減する。
【0018】
請求項3の粉体収容装置によれば、本構成を有しない場合と比べ、回転部材の回転に伴う摩擦が低減する。
【0019】
請求項4の粉体収容装置によれば、本構成を有しない場合と比べ、回転部材の回転に伴う摩擦が低減する。
【0020】
請求項5の粉体収容装置によれば、本構成を有しない場合と比べ、一層確実に漏れが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態としての画像形成装置の概略構成図である。
【図2】中間転写ベルトを清掃するためのクリーナの、中間転写ベルト側を向いた面を示した斜視図である。
【図3】図2に示すクリーナの、ブレードやスクレーパを取り外して示した斜視図である。
【図4】図2に示すクリーナの、X−X断面を示した模式図である。
【図5】クリーナを、ブラシ、パドル、およびオーガの回転軸があらわれるように断面して示した図である。
【図6】図5に一点鎖線で囲って示した部分の拡大図である。
【図7】図6と同じ部位の比較例を示した図である。
【図8】封止部品の拡大斜視図である。
【図9】封止部品とその周囲の寸法関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置1には、クリーナ60が組み込まれている。このクリーナ60は、本発明の清掃装置の一実施形態に相当する。
【0024】
この画像形成装置1は、原稿読取部10と画像形成部20を有する。
【0025】
原稿読取部10には、原稿Sが重ねられた状態に置かれる原稿給紙台11が備えられている。この原稿給紙台11上に置かれた原稿Sは1枚ずつ送り出されて搬送ロール12によって搬送経路13上を搬送され、透明ガラス製の原稿読取板14の下に置かれた原稿読取光学系15により、その搬送されてきた原稿に記録されている文字や画像が読み取られて原稿排紙台16上に排出される。
【0026】
また、この原稿読取部10は、その奥側に左右に延びるヒンジを有し、そのヒンジを回転中心として、原稿給紙台11および原稿排紙台16を一体的に持ち上げることができる。その持ち上げた下には、原稿読取板14が広がっている。この原稿読取部10では、原稿給紙台11に原稿を置くことに代えて原稿読取板14の上に原稿を1枚だけ下向きに置き、原稿読取光学系15が矢印A方向に移動してその原稿読取板14上の原稿から文字や画像を読み取ることもできる。
【0027】
原稿読取光学系15で得られた画像信号は、画像形成部20に入力される。画像形成部20では、以下のようにして、入力されてきた画像信号に基づく画像が形成される。
【0028】
画像形成部20の下部には、用紙収容部30が設けられており、この用紙収容部30には、用紙Pが積み重なった状態に収容されている。この用紙収容部30から用紙Pがピックアップロール31により送り出され、さばきロール32により1枚ずつに分離され、その分離された1枚の用紙Pが搬送ロール33により矢印B,Cの向きに搬送され、待機ロール34によりそれ以降の搬送タイミングが調整されて、さらに搬送される。この待機ロール34以降の搬送については後述する。
【0029】
この画像形成部20には、画像形成エンジン40が4台配置されている。これら4台の画像形成エンジン40は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、および黒(K)のトナーによるトナー像の形成を担っている。
【0030】
これら4台の画像形成エンジン40は同一の構成を有するため、ここでは図1に示す一番右側の画像形成エンジン40について説明する。
【0031】
この画像形成エンジン40は矢印Dの向きに回転する感光体41を有し、その感光体41の周囲に、帯電器42、現像器43、およびクリーナ44が配置されている。また感光体41の上方には露光器45が配置されている。また後述する中間転写ベルト51を感光体41との間に挟んだ位置には転写器46が置かれている。
【0032】
感光体41は円筒形状を有し、帯電により電荷を保存し露光によりその電荷を放出してその表面に静電潜像が形成される。
【0033】
帯電器42は、感光体41の表面をある帯電電位に帯電する。
【0034】
また、露光器45には画像信号が入力され、その露光器45からはその入力された画像信号に応じて変調された光ビーム451が出力される。この露光器45は、光ビーム451により、矢印D方向に回転する感光体41の表面の、帯電器42による帯電を受けた部分を、その感光体41の回転軸方向(図1の紙面に垂直な方向)に繰り返し走査し、感光体41の表面に静電潜像を形成する。
【0035】
さらに現像器43は、光ビーム451の走査により感光体41の表面に形成された静電潜像を現像し、その感光体41の表面にトナー像を形成する。
【0036】
現像器43による現像により、感光体41上に形成されたトナー像は、転写器46の作用により中間転写ベルト51上に転写される。
【0037】
クリーナ44は、転写後の感光体41に残留している、トナー等を含む残留物を除去する。
【0038】
上述の通り、この画像形成部20には4台の画像形成エンジン40が搭載されており、各画像形成エンジン40ではYMCKの各色のトナーによるトナー像が形成される。この画像形成部20の上部には、4台の画像形成エンジン40のそれぞれで用いられる色トナーと同色の色トナーが収容された4台のトナータンク47が置かれている。各画像形成エンジン40を構成する各現像器43内のトナーが減ると対応する色のトナーが収容されているトナータンク47からその現像器43にトナーが供給される。
【0039】
中間転写ベルト51は、転写器46や複数のロール52に架け回された、無端の、矢印E方向に循環移動するベルトである。この中間転写ベルト51の近傍には、用紙Pの搬送経路を挟んだ位置に転写器53が配置され、さらにその転写器53よりも中間転写ベルト51の循環移動方向下流側には、転写器53による転写後に中間転写ベルト51上に残留するトナー等を含む残留物を除去するクリーナ60が配置されている。
【0040】
中間転写ベルト51上には、4台の画像形成エンジン40により形成された各色のトナー像が順次重なるように転写される。
【0041】
待機ロール34まで進んできた用紙Pは、中間転写ベルト51上に重ねられた複数色のトナー像が転写器53が置かれた転写位置に達するときに用紙Pもその転写位置に達するように待機ロール34から送り出され、その転写位置において、転写器53の作用により、中間転写ベルト51上の複数色のトナー像が用紙P上に転写される。トナー像の転写を受けた用紙は、搬送ベルト35によりさらに矢印Fで示す向きに搬送され、定着器23による加熱および加圧を受けてその用紙上に定着トナー像からなる画像が形成される。この定着器23を通過した用紙はさらに矢印Gで示す向きに搬送されて用紙排紙台21上に排出される。
【0042】
また、中間転写ベルト51は、クリーナ60により清掃される。すなわち、転写器53による転写後に中間転写ベルト51上に残存する、トナー等からなる残留物が、クリーナ60により、その中間転写ベルト51上から除去される。
【0043】
図2は、中間転写ベルトを清掃するためのクリーナの、中間転写ベルト側を向いた面を示した斜視図である。また、図3は、図2に示すクリーナの、以下で説明するブレードやスクレーパを取り外して示した斜視図である。さらに図4は、図2に示すクリーナの、X−X断面を示した模式図である。
【0044】
このクリーナ60には、その筐体61内にブラシ62が組み込まれている。
【0045】
ブラシ62は、中間転写ベルト51の走行方向(矢印E方向)に交差する幅方向(図2,図3に示す矢印K方向、図4の紙面に垂直な方向)に延びて、その両端部が筐体61に回転自在に支持されている。このブラシ62は、画像形成装置本体側のモータ(図示せず)からの駆動力がギア601(図2,図3参照)を介して、ブラシ62に同軸に固定されたギア602に伝達されて、図4に示す矢印Hの向きに回転し、走行する中間転写ベルト51の表面を擦ってその中間転写ベルト51に付着しているトナー等の残留物を中間転写ベルト51上から取り除く。このブラシ51に付着した残留物は、そのブラシ62と平行に幅方向に延びるフリッカーバー63により掻き落とされる。
【0046】
また、このクリーナ60には、ブレード64が備えられている。このブレード64は、ゴム製であってその先端が中間転写ベルト51の表面に接し、ブラシ62により掻き落とされずに中間転写ベルト51上に残った残留物を掻き落とす。このクリーナ60にはさらに薄い金属板で作られたスクレーパ65が備えられている。このスクレーパ65は、ブレード64によっても中間転写ベルト51上に僅かに残ったトナー粒子等を取り除いて、中間転写ベルト51の表面をきれいに清掃された状態に仕上げるためのものである。また、このスクレーパ65の先端に対応した位置には保護部材66が備えられている。
【0047】
このクリーナ60の、中間転写ベルト51の走行方向(矢印E方向)についてのブラシ62の上流側にはシール部材67が設けられている。このシール部材67は、ブラシ62の回転等により筐体61内で飛翔したトナー粉等がその上流側に漏れるのを防いでいる。
【0048】
また、このクリーナ60にはさらに、ブレード64の上面と保護部材66の下面とに跨って広がる遮蔽シート68が設けられている。この遮蔽シート68も筐体内のトナー粉等の飛散防止用である。
【0049】
尚、スクレーパ65は、遮蔽シート68よりも上にあるが、このスクレーパ65によって清掃されるトナー粉等は、極く少量であり、問題はない。
【0050】
また、このクリーナ60はさらに、パドル69およびオーガ71を備えている。これらパドル69およびオーガ71も、ブラシ62と同様、中間転写ベルト51の幅方向に延び両端部が筐体に回転自在に支持されている部材である。画像形成装置本体側のモータ(図示せず)からの駆動力がギア603(図2,図3参照)に伝達され、そのギア603と同軸のギア604を介して、オーガ71に同軸に固定されたギア605に伝達されて、オーガ71が矢印I(図4参照)の向きに回転する。さらに、そのギア605に伝達された駆動力は、ギア606を介して、パドル69に同軸に固定されたギア607に伝達されて、パドル69が矢印Jの向きに回転する。パドル69は、筐体61の、底面が円弧状に形成され幅方向に延びる収容室611(本発明にいう第1の収容室の一例)に配置されており、オーガ71は、やはり底面が円弧状に形成されて幅方向に延びる搬送室612(本発明にいう第2の収容室の一例)に配置されている。収容室611と搬送室612は、搬送室612の一方の端部612a(図2,図3参照)を除き、底面のみ分けられていて、それらの上部は広い開口で1つに繋がっている。ここで、パドル69に同軸に固定されたギア607は、はす歯ではなく平歯のギアである。このためこのパドル69は、軸方向にガタ分だけ自由に動ける状態になっている。このパドル69は、封止部品80(図6参照)によりガタ寄せされている。詳細は後述する。尚、本実施形態では、パドル69が、本発明にいう回転部材および回転軸部材の一例である。
【0051】
ブラシ62やブレード64で中間転写ベルト51から掻き落とされたトナー粉等の残留物は、主に収容室611内に落ち、パドル69は、矢印Jの向きに回転して収容室611内の残留物を搬送室612に送り出す役割りを担っている。またオーガ71は、矢印Iの向きに回転して、収容室611から送り込まれてきた残留物を幅方向(図2,図3に示す矢印Kの向き)に搬送する。搬送室612の端部612a(図2,図3参照)は、突出した形状を有し、オーガ71もその突出した端部612aにまで入り込んでいて(後述する図5参照)、オーガ71は、搬送室612内の残留物をその端部612aに送り込む。その端部612aには内部の残留物を落下させる開口(図示せず)が形成されており、搬送室612内を矢印Kの向きに搬送された残留物はその端部612aから落下し、図示しない回収容器に収容される。
【0052】
図5は、クリーナを、ブラシ、パドル、およびオーガの回転軸があらわれるように断面して示した図である。また図6は、図5に一点鎖線で囲って示した部分の拡大図である。さらに、図7は、図6と同じ部位の比較例を示した図である。
【0053】
ここでは主にパドル69の端部の構造と、そのパドル69を回転自在に支持する支持構造について説明する。
【0054】
図6と図7の相違点は、図6に示されている封止部品80が図7では取り除かれている点である。以下では先ず図7に示し比較例について説明し、その後で図6に示す封止部品80の構造や作用について説明する。
【0055】
このクリーナ60の筐体61には、搬送室612内の残留物がオーガ71により搬送される回転軸方向(図5に示す矢印Kの向き)の先端側端部に、パドル69の端部691が差し込まれる、内外に貫通した穴613(本発明にいう第1の穴の一例)が形成された、収容室611(図4参照)の回転軸方向端部を区画する壁614(本発明にいう第1の壁部の一例)を有する。この穴613には、軸受け72が嵌め込まれている。また、パドル69の端部691には金属スリーブ692が嵌め込まれており、金属スリーブ692と軸受け72が接するように、パドル69の端部691が穴613に差し込まれている。このパドル69の端部691は、図示のように、穴613に差し込まれた状態でEリング73により抜け止めされている。穴613の、このパドル69の端部691と、壁614との間には1mm幅程度の隙間615が形成されている。
【0056】
またこのパドル69には、このパドル69の端部691が壁614の穴613に差し込まれた状態(図6,図7に示す状態)における収容室611内に位置し、このパドル69の回転軸に交差した面内に広がり、壁614の、穴613の周囲の部分614aとの間に間隔を空けてその周囲の部分614aと対面する壁部693(本発明にいう第2の壁部の一例)を有する。筐体61の壁614の、穴613の周囲の部分614aと、パドル69の壁部693との間の間隔も1mm程度である。
【0057】
ここで、図4に示すように搬送室612と収容室611は底部のみ分かれていて上側は広く繋がっているため、オーガ71によって搬送室612内のトナー等の残留物が矢印K(図5参照)の向きに搬送されると、収容室611内の残留物も同じ方向に押される。そしてその収容室611内の残留物が穴613の周囲の部分614aと壁部693との間の隙間、および穴613内の隙間を通り、図7に示す矢印Xの経路を通って漏れ出すおそれがある。この漏れを押えるために、軸受け72の外周をOリング等で遮蔽すると、今度は図7に示す矢印Yの経路を通って漏れ出すおそれがある。
【0058】
図6に示す実施形態の場合、筐体61の壁614の、穴613の周囲の部分614aと、パドル69の壁部693との隙間に、以下に説明する封止部品80を配置し、これにより、図7に示す矢印Xや矢印Yの経路からの残留物の漏れを防止している。
【0059】
図8は、封止部品の拡大斜視図である。
【0060】
この封止部品80は、中央に穴80a(本発明にいう第2の穴の一例)が設けられた円板形状を有し、発泡材81と、その発泡材81を両側から挟む一対の、その発泡材81よりも低摩擦性のシート材82との3層構造を有する。具体的には発泡材81としては発泡ウレタンが好適な一例であり、シート材82としてはPETフィルムが好適な一例である。
【0061】
この封止部品80は、図6に示すように、筐体61の壁614の、穴613の周囲の部分614aと、パドル69の壁部693との間の隙間に配置されて、穴の周囲の部分614と壁部693にはシート材82が非接着で接触する。仮に、この部分で摩擦により発熱があると、その部分の残留物が融解して固化しパドル69の回転を妨げるおそれがある。本実施形態の封止部品80の場合、両側がシート材82の3層構造であって、このシート材82は、発泡材81よりも低摩擦性であり、パドル69が回転しても摩擦による発熱が抑えられる。
【0062】
また、発泡材81が筐体61やパドル69に直接に接触すると、その接触部分での筐体61やパドル69との摺動により発泡材81が摩耗したり、その摩擦粉が筐体61内で悪影響を及ぼすおそれがあるが、本実施形態ではシート材82が存在することにより発泡材81の摩耗が防止される。
【0063】
ここで、中央の丸穴80aは、パドル69の壁部693の直ぐ外側の部分が貫通する穴であり、パドル69の、この丸穴80aを貫通した軸部分よりも太径の穴である。この丸穴80aを、パドル69の貫通した軸部分よりも太径としていることにより、パドル69が回転しても、そのパドル69が丸穴80aの内壁の発泡材81に触れるのを避け、この点でもパドル69の回転による摩擦による発熱が抑えられている。
【0064】
さらに、この封止部品80は、中央の穴80aの中心と、パドル69の、穴80aに貫通した軸部分の回転中心とを一致させたときに、筐体61の、回転軸方向に交差する方向についての収容室611を区画する壁面と非接触の寸法を有する。具体的には、図9を参照しながら説明する。この封止部品80は、このような非接触の寸法を有することも、パドル69の回転に伴う摩擦の低減化および発熱の低減化に寄与している。
【0065】
さらに、封止部品80が収容室611の底面に接するまで落下した状態にあっても封止部品80の穴80aの上側の縁がパドル69と非接触となるように、封止部品80の外形寸法および穴80aの寸法が調整されている。詳細は図9を参照して説明する。このことも、パドル69の回転に伴う摩擦の低減化および発熱の低減化に寄与している。
【0066】
さらに、封止部品80は、壁614の穴613の周囲の部分614aと壁部693とに挟まれる前の封止部品80の回転軸方向の厚みt(図8参照)が、壁614の穴613の周囲の部分614aと壁部693との間隔よりも厚い寸法を有する。具体的には、本実施形態では、3層構造の全体の厚みtがt=4.0mmのものを採用している。したがってこの封止部品80は、壁614の穴613の周囲の部分614aと壁部693との間に、発泡材81が押し潰された状態で配置されている。前述の通り、パドル69は軸方向に固定されておらずガタ分だけ自由に動き得る構造となっている。そこで、この封止部品80が押し潰された状態で配置されることで、その発泡材81の反発力によりパドル69がガタ寄せされる。この封止部品80は、壁614の穴613の周囲の部分614aと壁部693との間の隙間を塞ぐことによってトナー等の残留物の洩れを防止することのほか、パドル69をガタ寄せすることによっても、金属スリーブ692と軸受け72との間からの洩れを防止している。
【0067】
図9は、封止部品とその周囲の寸法関係を示した図である。ここに一例としての各部の寸法が示されている。
【0068】
封止部品の内径(丸穴80aの(図8参照)の径)はφ8(8mm)、外径はφ16.3である。これに対し、パドル69の、丸穴80aを通過する部分の軸の外径はφ6であり、丸穴の中心と軸の回転中心を一致させると、丸穴の周囲には1mmの隙間が形成される寸法となっている。
【0069】
また、収容室611の底面の円弧を一周させたときの収容室外径はφ17である。封止部品の外径はφ16.3であるから、中心どうしを一致させると封止部品は収容室を区画する壁面とは非接触となる。また、収容室の外径φ17に対し封止部品の外径はφ16.3、パドルの軸の外径がφ6に対し、封止部品の丸穴の径はφ8である。したがって、この封止部品が自重で収容室の底面に接する位置まで落下した場合を考えても、パドルの軸は丸穴の上縁には接触しない。前述の通り、これらの工夫により、パドルが回転したときの摩擦の一層の低減化を達成している。
【0070】
尚、ここでは、画像形成装置の中間転写ベルトを清掃するためのクリーナについて説明したが、本発明の清掃装置は、中間転写ベルトを清掃するためのクリーナにのみ適用されるものではなく、例えば感光体を清掃するためのクリーナに適用してもよい。また本発明は、清掃装置に限られるものではなく、筐体内に粉体を収容する収容室を有しその筐体内に回転部材が搭載された粉体収容装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 画像形成装置
10 原稿読取部
11 原稿給紙台
12,33 搬送ロール
13 搬送経路
14 原稿読取板
15 原稿読取光学系
16 原稿排紙台
20 画像形成部
23 定着器
30 用紙収容部
40 画像形成エンジン
41 感光体
42 帯電器
43 現像器
44,60 クリーナ
45 露光器
46,53 転写器
47 トナータンク
51 中間転写ベルト
52 ロール
61 筐体
62 ブラシ
63 フリッカーバー
64 ブレード
65 スクレーパ
66 保護部材
67 シール部材
68 遮蔽シート
69 パドル
71 オーガ
72 軸受け
73 Eリング
80 封止部品
80a,613 穴
81 発泡材
82 シート材
451 光ビーム
601,602,603,604,605,606,607 ギア
611 収容室
612 搬送室
612a,691 端部
614 壁
614a 壁の穴の周囲の部分
692 金属スリーブ
693 壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する収容室を有する筐体と、
回転軸方向に延び該回転軸の周りに回転する、前記筐体内に配置された回転部材とを有し、
前記筐体が、前記回転部材の前記回転軸方向端部が差し込まれる、内外に貫通した第1の穴を有する、前記収容室の該回転軸方向端部を区画する第1の壁部を有し、
前記回転部材が、該回転部材の端部が前記第1の穴に差し込まれた状態における前記収容室内において前記回転軸に交差した面内に広がり、前記第1の壁部の前記第1の穴の周囲の部分との間に間隔を空けて該周囲の部分と体面する第2の壁部を有し、
前記回転部材が貫通する第2の穴が形成され該回転部材が該第2の穴に貫通して前記第1の壁部の前記第1の穴の周囲の部分と前記第2の壁部とに挟まれた、押圧による収縮性を有する発泡材と、該発泡材を挟んで、該第1の壁部の該第1の穴の周囲の部分と該第2の壁部にそれぞれ接する一対の、該発泡材よりも低摩擦性であって該第1の壁部の該第1の穴の周囲の部分と該第2の壁部との双方に非接着のシート材とを有する封止部品を備えたことを特徴とする粉体収容装置。
【請求項2】
前記封止部品に形成された前記第2の穴が、前記回転部材の該第2の穴に貫通した部分の径よりも太径の丸穴であることを特徴とする請求項1記載の粉体収容装置。
【請求項3】
前記封止部品が、前記第2の穴の中心と、前記回転部材の該第2の穴に貫通した部分の中心とを一致させたときに、前記筐体の、前記回転軸方向に交差する方向についての該収容室を区画する壁面と非接触の寸法を有することを特徴とする請求項1又は2記載の粉体収容装置。
【請求項4】
前記封止部品が前記収容室底面に接するまで落下した状態にあっても前記第2の穴の上側の縁が前記回転部材と非接触となるように、該封止部品の外形寸法および前記第2の穴の寸法が調整されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の粉体収容装置。
【請求項5】
前記封止部品が、前記第1の壁部の前記第1の穴の周囲の部分と前記第2の壁部とに挟まれる前の該封止部品の前記回転軸方向の厚みが該第1の壁部の該第1の穴の周囲の部分と該第2の壁部との間隔よりも厚い寸法を有することを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の粉体収容装置。
【請求項6】
走行しながらトナー像を保持して被転写材上に転写する像保持体の走行方向に交差する幅方向に延在し該像保持体の転写後の部分に接触して該像保持体上の残留物を除去する除去部材と、
前記幅方向に延び、前記除去部材によって前記像保持体から除去された残留物を収容する第1収容室と、該第1収容室との間に開口を有して該第1収容室に隣接し前記幅方向に延びる、該第1収容室から前記残留物を受け取って収容する第2収容室とを有する筐体と、
前記幅方向に延びる回転軸部材を有し、前記第1収容室に配置されて該回転軸部材の回転により該第1収容室内の残留物を前記第2収容室に送り出す送出部材と、
前記第2収容室に配置されて前記幅方向に延びる回転軸の回りに回転し、該第2収容室内の残留物を該幅方向下流側に向けて搬送する搬送部材とを有し、
前記筐体が、前記回転軸部材の前記幅方向下流側端部が差し込まれる、内外に貫通した第1の穴を有する、前記第1収容室の、該幅方向下流側を区画する第1の壁部を有し、
前記回転軸部材が、該回転軸部材の前記幅方向下流側端部が前記第1の穴に差し込まれた状態における前記第1収容室内において該幅方向に交差した面内に広がり、前記第1の壁部の前記第1の穴の周囲の部分との間に間隔を空けて該周囲の部分と対面する第2の壁部を有し、
前記回転軸部材が貫通する第2の穴が形成され該回転軸部材が該第2の穴に貫通して前記第1の壁部の前記第1の穴の周囲の部分と前記第2の壁部とに挟まれた、押圧による収縮性を有する発泡材と、該発泡材を挟んで、該第1の壁部の該第1の穴の周囲の部分と該第2の壁部にそれぞれ接する一対の、該発泡材よりも低摩擦性であって該第1の壁部の該第1の穴の周囲の部分と該第2の壁部との双方に非接着のシート材とを有する封止部品を備えたことを特徴とする清掃装置。
【請求項7】
走行しながらトナー像を保持する像保持体と、
トナー像を形成して該トナー像を前記像保持体に保持させるトナー像形成部と、
前記像保持体上に形成されたトナー像を被転材上に転写させて該被転写材上のトナー像を定着することにより該被転写材上に定着トナー像からなる画像を形成する転写定着部と、
前記像保持体の転写後の部分を清掃する清掃装置とを有し、該清掃装置が、
前記像保持体の走行方向に交差する幅方向に延在し該像保持体の転写後の部分に接触して該像保持体上の残留物を除去する除去部材と、
前記幅方向に延び、前記除去部材によって前記像保持体から除去された残留物を収容する第1収容室と、該第1収容室との間に開口を有して該第1収容室に隣接し前記幅方向に延びる、該第1収容室から前記残留物を受け取って収容する第2収容室とを有する筐体と、
前記幅方向に延びる回転軸部材を有し、前記第1収容室に配置されて該回転軸部材の回転により該第1収容室内の残留物を前記第2収容室に送り出す送出部材と、
前記第2収容室に配置されて前記幅方向に延びる回転軸の回りに回転し、該第2収容室内の残留物を該幅方向下流側に向けて搬送する搬送部材とを有し、
前記筐体が、前記回転軸部材の前記幅方向下流側端部が差し込まれる、内外に貫通した第1の穴を有する、前記第1収容室の、該幅方向下流側を区画する第1の壁部を有し、
前記回転軸部材が、該回転軸部材の前記幅方向下流側端部が前記第1の穴に差し込まれた状態における前記第1収容室内において該幅方向に交差した面内に広がり、前記第1の壁部の前記第1の穴の周囲の部分との間に間隔を空けて該周囲の部分と対面する第2の壁部を有し、
前記回転軸部材が貫通する第2の穴が形成され該回転軸部材が該第2の穴に貫通して前記第1の壁部の前記第1の穴の周囲の部分と前記第2の壁部とに挟まれた、押圧による収縮性を有する発泡材と、該発泡材を挟んで、該第1の壁部の該第1の穴の周囲の部分と該第2の壁部にそれぞれ接する一対の、該発泡材よりも低摩擦性であって該第1の壁部の該第1の穴の周囲の部分と該第2の壁部との双方に非接着のシート部材とを有する封止部品を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−108200(P2012−108200A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255035(P2010−255035)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】