説明

粉体搬送装置

【課題】混合、反応容器から水蒸気が大量に発生する場合や長い搬送経路を有する場合のように搬送中の粉体に水蒸気等の外的因子の影響を受け易い状況下でも、粉体を円滑かつ確実に搬送、供給する粉体搬送装置の提供。
【解決手段】一端に粉体投入部が接続された粉体搬送経路を有し、該粉体投入部より投入された粉体を搬送する粉体搬送装置において、該粉体搬送経路の上流に気体吹き込み手段を有し、該気体吹き込み手段は、粉体搬送経路の搬送方向側面から粉体搬送径路下流に気体を吹き込むことを特徴とする粉体搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体と粉体とを混合、或いは反応処理する混合容器や反応容器には、外部に設けられたホッパーから粉体を投入、搬送させる粉体搬送装置が通常設けられている。このような粉体搬送装置は、混合容器や反応容器よりも上方に配置され、容器内部を減圧して吸引させたり、重力による自然落下を利用することで、容器内部への粉体供給を行っている。
【0003】
ここで、粉体搬送装置は容器内への粉体供給を正確かつ迅速に行う必要性から、搬送経路内壁に粉体が付着したり、経路内で詰まったりしないようにする対応が求められている。また、供給する粉体を変更することもあり、搬送経路に変更前の粉体が残存しないように清掃が容易に行えるようにするといった対応も求められる。このように、粉体搬送装置にはどのような使用条件でも、粉体を正確かつ迅速に供給することが求められている。
【0004】
また、混合容器や反応容器からの水蒸気の影響により、円滑な粉体供給が阻害されるケースもある。すなわち、冷却した水蒸気からの水滴が搬送経路に付着し、ぬれた搬送経路に粉体が付着して、安定した粉体供給を阻害するのである。この問題に対し、搬送経路内に気体を吹き込むことにより、搬送経路の壁面に粉体を接触させないようにした技術が提案された(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−7342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ホッパーと混合容器や反応容器(以下、単に混合容器ともいう)間の搬送経路が長い場合や、混合容器より発生する水蒸気量が多い場合は、前述した特許文献1に開示された技術でも粉体の搬送を円滑に行うことができなかった。
【0006】
本発明は、混合容器から水蒸気が大量に発生する場合や長い搬送経路を有する場合のように搬送中の粉体に水蒸気等の外的因子の影響を受け易い状況下でも、粉体を円滑かつ確実に搬送、供給する粉体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記構成を採ることにより達成される。
【0008】
1.
一端に粉体投入部が接続された粉体搬送経路を有し、該粉体投入部より投入された粉体を搬送する粉体搬送装置において、
該粉体搬送経路の上流に気体吹き込み手段を有し、該気体吹き込み手段は粉体搬送経路の搬送方向側面から粉体搬送径路下流に気体を吹き込むことを特徴とする粉体搬送装置。
【0009】
2.
前記粉体搬送経路に気体透過部材を有し、該粉体搬送経路内に該気体透過部材を透過した気体により気流を形成する区間を設置することを特徴とする前記1に記載の粉体搬送装置。
【0010】
3.
前記粉体搬送装置が、トナー製造装置に粉体を搬送するものであることを特徴とする前記1または2に記載の粉体搬送装置。
一端に粉体投入部が接続された粉体搬送経路を有し、該粉体投入部より投入された粉体を搬送する粉体搬送装置において、
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、混合容器から水蒸気が大量に発生する場合や長い搬送経路を有する場合のように搬送中の粉体に水蒸気等の外的因子の影響がおよびやすい搬送条件下でも、粉体を円滑かつ確実に搬送、供給することを可能にした。
【0012】
すなわち、粉体搬送経路の上方に設けられた粉体搬送経路に対して斜めの方向から気体を吹き込む手段により気体を吹き込み、粉体搬送経路の壁面にそった気流を形成し、該気流によりバリアを形成し、冷却した水蒸気からの水滴を搬送経路壁面に付着させないようにした。しかも、粉体搬送径路の壁面に沿った気流は、壁面を常に乾燥した状態に保つので、壁面への粉体の付着は発生しない。
【0013】
その結果、搬送経路の壁に粉体が溶着したり、また、溶着物により搬送経路が塞がれるような問題が起きなくなり、ホッパーより供給される粉体を混合容器内にばらつきなく正確に供給することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明者等は、粉体搬送装置内に気体吹き込み手段を設け、気体吹き込み手段からの吹き出した気流により、粉体と粉体搬送経路内壁との間に気流によるバリアを形成し、粉体搬送経路の内壁と粉体とを接触させなくすることで、上記問題が解決できることを見出した。
【0015】
本発明の粉体搬送装置は、秤量した粉体を粉体搬送経路内壁に付着や固着させることないので全量正確に投入でき、粉体の種類を切り替えるときに清掃が容易で粉体の混入(コンタミネーション)を防止できることを見出した。
【0016】
また、本発明の粉体搬送装置は、変質しやすい粉体、例えば、吸湿性、潮解性、膨潤性のある塩、医薬品の搬送、流動性や搬送性の悪い粉体に好適に用いることができる。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の粉体搬送装置の一例を示す概略図である。
【0019】
図1において、3は粉体搬送装置、3の(a)は気体吹き込み手段として内筒を用いたタイプの粉体搬送装置(a)、3の(b)は気体吹き込み手段として枝管を用いたタイプの粉体搬送装置(b)、8は粉体搬送経路、16は気流、22は内筒、23は枝管を示す。
【0020】
粉体搬送装置(a)は、搬送経路の上部に内筒22を設け、内筒と粉体搬送経路の間から粉体搬送経路の粉体搬送方向に気体を吹き込み、粉体搬送経路の壁面に沿って、搬送経路内の粉体搬送方向に気流16のバリアを形成させる装置である。
【0021】
粉体搬送装置(b)は、搬送経路の上部に枝管23を設け、枝管から粉体搬送経路の粉体搬送方向に気体を吹き込み、粉体搬送経路の壁面に沿って、搬送経路内の粉体搬送方向に気流16のバリアを形成させる装置である。このとき搬送径路に対して垂直な気流は、互いに緩衝し相殺されるが、搬送径路に平行な成分は、壁面に沿った気流としてほとんど流速を失わない。
【0022】
図2は、本発明の粉体搬送装置を用いて粉体供給ホッパーから粉体を混合容器に投入するラインの一例を示す概略図である。
【0023】
図2において、1は粉体供給ホッパー、3は粉体搬送装置、4は混合容器、5は気体発生装置、6は粉体供給部のゲート、7は混合容器部のゲート、8は粉体搬送経路、9は粉体等入部、10は揮発分排出及び回収口、11は粉体、12は液体、13はベーパー、14は揮発分回収装置示す。
【0024】
粉体供給ホッパー1中の粉体11は、粉体搬送装置3に接続された粉体供給部ゲート6と混合容器部のゲート7を開くことにより粉体搬送経路8に導入される。
【0025】
粉体搬送経路8では、気体発生装置5から粉体搬送装置3に供給された気体により、粉体搬送経路8の内壁と粉体との間に気流によるバリアが形成される。
【0026】
気流によるバリアで、粉体11は粉体搬送経路8の内壁に接触することなく混合容器4へ投入される。
【0027】
粉体保管ホッパー1中の粉体11が無くなった時点で粉体供給部ゲート6と混合容器部ゲート7を閉じ、搬送を終了する。
【0028】
尚、混合容器中の液体12は、投入される粉体を良好に溶解するため外部加熱装置により加熱、撹拌装置により撹拌されていてもよい。
【0029】
加熱、撹拌により発生したベーパー13は、揮発分回収装置14により回収され、混合容器4に戻される。
【0030】
本発明では、図1に示す本発明の粉体搬送装置のみでも良いが、本発明の粉体搬送装置の下段に図4で示す粉体搬送装置2を設置する多段式の粉体搬送装置が、粉体搬送距離が長くても、或いは粉体粉体の詰まりや粉体付着を起こしやすい粉体でも良好に搬送できより好ましい。
【0031】
図3は、多段式の粉体搬送装置を用いた粉体供給ホッパーから粉体を混合容器に投入するラインの一例を示す概略図である。
【0032】
図3において、1は粉体供給ホッパー、2は粉体搬送装置、3は粉体搬送装置(a)、4は混合容器、5は気体発生装置、6は粉体供給部のゲート、7は容器部のゲート、8は粉体搬送経路、9は粉体等入部、10は揮発分排出及び回収口、11は粉体、12は液体、13はベーパー、14は揮発分回収装置を示す。
【0033】
粉体供給ホッパー1中の粉体11は、粉体搬送装置に接続された粉体供給部ゲート6と混合容器部のゲート7を開くことにより粉体搬送経路に導入される。
【0034】
粉体搬送経路8では、気体発生装置5の各々から粉体搬送装置2の気体透過部材21と粉体搬送装置(a)3の内筒14に気体を吹き込み、粉体搬送装置(a)3では粉体搬送経路8の粉体搬送方向にそって気流16のバリアを形成させ、粉体搬送装置2では気体透過部材21に供給された気体により、粉体搬送経路8の内壁と粉体との間に気流16によるバリアが形成される。
【0035】
気流によるバリアで、粉体11は粉体搬送経路8の内壁に接触することなく混合容器4へ投入される。
【0036】
粉体保管ホッパー1中の粉体11が無くなった時点で粉体供給部ゲート6と混合容器部ゲート7を閉じ、搬送を終了する。
【0037】
尚、混合容器中の液体12は、投入される粉体を良好に溶解するため外部加熱装置により加熱、撹拌装置により撹拌されていてもよい。
【0038】
加熱、撹拌により発生したベーパー13は、揮発分回収装置14により回収され、混合容器4に戻される。
【0039】
図4は、本発明に用いられる粉体搬送装置の一例を示す概略図である。
【0040】
図4において、2は粉体搬送装置、8は粉体搬送経路、13は気体透過部材、16は気流を示す。
【0041】
粉体搬送装置2は、粉体搬送経路8に気体透過部材13を設け、該気体透過部材から気体を湧き出し気流16を形成させる装置である。
【0042】
気体透過部材に気体を供給することにより、該気体により粉体搬送経路と粉体との間に気流によるバリアが形成される。
【0043】
気体透過部材としては、透過孔を有するものであれば特に限定されないが、具体的にはスクリーン、パンチングメタル、透過孔を有するセラミック、不織布、紙、焼結金属等を挙げることができる。
【0044】
本発明では、吹き込む気体の種類は、特に限定されず、具体的には空気や窒素ガスを用いることができる。
【0045】
本発明では、粉体搬送経路で気流によるバリアを形成できる量の気体と風速が必要である。形成する気流のバリアの厚さは、特に限定されず、搬送する粉体の比重、粒径、量、流動性等により左右され、搬送する粉体により調整すればよい。
【0046】
具体的には、粉体搬送装置の内径が150mmの場合、エアー量は1m3/分、気体流
速は1〜2m/秒が好適である。本発明は粉体搬送経路に気流によるバリアを形成できればこれに限定されるものではない。
【0047】
本発明の粉体搬送装置は、トナー製造装置に粉体を搬送するときに好ましく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の粉体搬送装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の粉体搬送装置を用いて粉体供給ホッパーから粉体を混合容器に投入するラインの一例を示す概略図である。
【図3】多段式の粉体搬送装置を用いた粉体供給ホッパーから粉体を混合容器に投入するラインの一例を示す概略図である。
【図4】本発明に用いられる粉体搬送装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0049】
1 粉体供給ホッパー
2 粉体搬送装置
3(a) 粉体搬送装置(a)
3(b) 粉体搬送装置(b)
4 混合容器
5 気体発生装置
6 粉体供給部ゲート
7 混合容器部のゲート
8 粉体搬送経路
9 粉体投入部
10 揮発分排出、回収口
11 粉体
12 液体
13 ベーパー
14 揮発分回収装置
16 気流
21 気体透過部材
22 内筒
23 枝管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に粉体投入部が接続された粉体搬送経路を有し、該粉体投入部より投入された粉体を搬送する粉体搬送装置において、
該粉体搬送経路の上流に気体吹き込み手段を有し、該気体吹き込み手段は粉体搬送経路の搬送方向側面から粉体搬送径路下流に気体を吹き込むことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
前記粉体搬送経路に気体透過部材を有し、該粉体搬送経路内に該気体透過部材を透過した気体により気流を形成する区間を設置することを特徴とする請求項1に記載の粉体搬送装置。
【請求項3】
前記粉体搬送装置が、トナー製造装置に粉体を搬送するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の粉体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−112589(P2007−112589A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306972(P2005−306972)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】