説明

粉末化粧料

【課題】肌上の小皺や毛穴などの好ましくない凹凸を目立たなくする凹凸補正性能に優れ、また凹凸補正効果の持続性に優れた粉末化粧料を提供する。
【解決手段】成分(A)平均粒子径が1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末、及び成分(B)水素添加リン脂質処理粉体を含有する粉末化粧料である。上記成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の含有量は10〜95質量%が好ましい。また、成分(B)の水素添加リン脂質処理粉体の含有量は5〜90質量%が好ましい。また、上記の粉末化粧料は、固形粉末化粧料の形態が好ましい。また、上記の粉末化粧料は、凹凸補正化粧料に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末化粧料に関し、特に、肌上の小皺や毛穴などの好ましくない凹凸を目立たなくするために有効な粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
肌上の凹凸を目立たなくするための凹凸補正化粧料には、従来から、光散乱を利用して凹凸をぼかし、肌の凹凸を見えにくくする方法が採用されている。そして、この方法には、化粧料にポリスチレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、二酸化ケイ素などの球状粉末、或いは球状粉末で被覆した板状粉体、もしくは特定の屈折率を持つ粉体を配合し、これの粉体が持つ光散乱効果を利用して凹凸補正効果を上げている。例えば、平均粒子径1.0〜15.0μmのオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、揮発性シリコーン、及びシリコーン樹脂を配合したメーキャップ化粧料(特許文献1)、また、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合体、屈折率1.3〜1.5の粉体、シリコーン油及び水を含有する凹凸補正化粧料(特許文献2)が提案されている。
【0003】
また、デキストリン脂肪酸エステル、揮発性油分、屈折率が1.4〜1.6の油分、及び屈折率が1.3〜1.6であり、平均粒子径3〜30μmの球状粉末を含有する透明固形組成物(特許文献3)、雲母チタンと有機高分子微粒子からなる複合化板状粒子及び平均粒子径1〜20μmの球状粉体を含有するメークアップ化粧料(特許文献4)が提案されている。さらに、平均粒子径0.5〜20μmのポリエチレンテレフタレート粉体を、化粧料全量に対して1〜80重量%含有する化粧料が知られており、このポリエチレンテレフタレート粉体を体質顔料として配合した化粧料は、伸びがよく、色くすみが少なく、成型(プレス)が容易であるとされている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−319215号公報
【特許文献2】特開2002−322030号公報
【特許文献3】特開2005−213145号公報
【特許文献4】特開2005−263708号公報
【特許文献5】特開2008−63305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、肌上の小皺や毛穴などの好ましくない凹凸を目立たなくする凹凸補正性能に優れ、またこの凹凸補正効果の持続性に優れた粉末化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
化粧料に凹凸補正効果を付与するには、従来、前述のごとく、光散乱を利用して凹凸をぼかし、肌の凹凸を見えにくくすべく、入射光を様々な方向に拡散反射させる性質を持つ球状粉末、或いは特定の屈折率(1.3〜1.5)を持つ粉体が採用されている。これに対し、本発明者らは、屈折率が1.58であるポリエチレンテレフタレートについて、これを粉砕して得た平均粒子径1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末が、付着性に優れ、特異な光散乱性を示し、水素添加リン脂質処理粉体と組み合わせることで、優れた凹凸補正効果発揮し、その持続性がよいことを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(B);
(A)平均粒子径が1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末
(B)水素添加リン脂質処理粉体
を含有することを特徴とする粉末化粧料である。
上記成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の含有量は10〜95質量%(以下、「質量%」を「%」で表わす)が好ましい。また、成分(B)の水素添加リン脂質処理粉体の含有量は5〜90%が好ましい。また、上記の粉末化粧料は、固形粉末化粧料の形態が好ましい。上記の粉末化粧料は、凹凸補正化粧料に好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粉末化粧料は、平均粒子径が1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末が、水素添加リン脂質処理粉体と相俟って凹凸補正効果を発揮する。特に、目立つ毛穴(毛穴の上面の面積が0.1〜0.6mm程度の毛穴)に対する毛穴隠し効果に優れる。更に、本発明の粉末化粧料は、密着性がよく、また凹凸補正効果の持続性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる成分(A)は、平均粒子径が1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末である。ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、パウダー、ペレット、フレークなどの形状のポリエチレンテレフタレートを粉砕して得られる。殊に、ポリエチレンテレフタレートの非晶質部分を溶解除去した、主として結晶質からなるポリエチレンテレフタレートを粉砕して製造したポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末が好ましく用いられる。このポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、粉砕により微細な粉末にしたものであるから、粒子の形状が一定していない、すなわち不定形である。
【0010】
成分(A)は、例えば、次のようにして製造する。ペレット状のポリエチレンテレフタレートを、水酸化ナトリウムなどの解重合触媒の存在下又は不存在化で、エチレングリコールと接触せしめ、その非晶質部分を溶出させ、多孔質状ポリエチレンテレフタレートとなす。この多孔質状ポリエチレンテレフタレートを洗浄、乾燥し、その後ロッドミル、ボールミル、ハンマーミル、円盤型ミル、ジェットミルなどの粉砕機で平均粒子径1〜30μmに微粉砕して製造する。このポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末については、特許文献5に記載されているものを用いることができる。このポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の市販品としてはスノーリーフP(オーケン社製)などがある。
【0011】
成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の平均粒子径は1〜30μmであり、好ましくは5〜10μm、さらに好ましくは6〜7μmである。ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の平均粒子径が1μm未満の場合、30μmを超える場合は、良好な感触(滑らかな使用感)に劣る。成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の含有量は、好ましくは10〜95%、さらに好ましくは、20〜50%である。含有量が10%未満では、凹凸補正効果が十分得られない場合があり、95%を超えると、水素添加リン脂質処理粉体の配合量が5%未満と少量になるため、凹凸補正効果の持続性に劣る場合がある。
【0012】
本発明で用いる成分(B)は、水素添加リン脂質処理粉体である。この水素添加リン脂質処理粉体は、水素添加リン脂質で表面処理した粉体である。この水素添加リン脂質処理粉体は、成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の肌への密着性を向上させる。粉体の表面処理に用いる水素添加リン脂質は、卵黄レシチン、大豆レシチン等の天然レシチンを水素添加した天然物由来のもの、及びホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、中性リン脂質を水素添加したものなどを用いることができる。これらの水素添加リン脂質の中で、特に、水素添加大豆リン脂質が低臭であり好ましい。市販品としては、HSL−70(ワイエムシイ社製)などが挙げられる。
【0013】
また、本発明の成分(B)の粉体としては、化粧品一般に使用される粉体が用いられ、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、カオリン、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化鉄・酸化チタン被覆合成金雲母、魚燐箔、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体類、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機粉体類、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化ケイ素、酸化亜鉛含有二酸化ケイ素等の複合粉体等が挙げられ、これらを必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。また、これら粉体は2種以上の複合化したものを用いてもよい。
【0014】
成分(B)の水素添加リン脂質処理粉体は、例えば次のようにして製造する。すなわち、適当なミキサーによって撹拌されている粉体に、イソプロピルアルコール及び水素添加リン脂質を添加混合し、次いで攪拌しながら、120℃にて減圧乾燥して溶媒であるイソプロピルアルコールを除去し、水素添加リン脂質処理粉体を製造する。ここで、水素添加リン脂質の化粧料用粉体への被覆量は、被覆される化粧料用粉体に対して0.01〜2%であるのが好ましく、より好ましくは0.02〜1.0%である。この被覆量が0.01%よりも少ない場合には、十分な凹凸補正効果の持続性を得ることができない場合がある。一方、この被覆量が2.0%を越えると、リン脂質特有の匂いが生じたり、水素添加リン脂質が化粧料用粉体の表面に固着されずに、それ自体が析出してしまう場合がある。
【0015】
成分(B)の水素添加リン脂質処理粉体の含有量は、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは、10〜40%である。含有量が5%未満では、凹凸補正効果の持続性に劣る場合がある。90%を超えると、製品中のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末が少なくなるため、凹凸補正効果に劣る場合がある。
【0016】
本発明の粉末化粧料には、上記成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、例えば、以下に例示する油剤、界面活性剤、油ゲル化剤、多価アルコール類や保湿剤などの水溶性成分、紫外線吸収剤、防腐剤、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0017】
油剤としては、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素系類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、モクロウ等の油脂類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。本発明の粉末化粧料に、これらの油剤を配合する場合の配合量は、特に限定されないが、0.1〜25%が好ましい。
【0018】
界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0019】
油ゲル化剤としては、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、疎水性煙霧状シリカ、有機変性ベントナイト等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0020】
水性成分としては、水に可溶な成分、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液を挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
【0021】
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−パラ−(カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン等のベンゾフェノン系、サリチル酸−2−エチルヘキシル等のサリチル酸系、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のPABA系、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル等の桂皮酸系、4−tert−4'−メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0022】
本発明の粉末化粧料とは、粉体を主成分とし、粉末状もしくは、これを公知の方法により成型して固形状にした化粧料のことであり、固形状のものは、粉体に油剤等を分散させた組成物を、皿等の容器に充填しプレスする圧縮成形法や、溶媒を用いる湿式充填法(いわゆる、スラリー充填法等)等により固形状に成形した化粧料である。用途としては、ファンデーション、白粉、コンシーラー、頬紅、アイシャドウ、口紅、日焼け止め剤、化粧下地、ボディーパウダー等が挙げられる。
【0023】
本発明の粉末化粧料の製造方法については、特に限定はない。例えば成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末と成分(B)を均一に混合し、更に任意成分を配合して、粉末化粧料にする。また、成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末と成分(B)を均一に混合し、さらに油剤及び任意成分を適宜添加混合して得られる粉末状組成物を金皿に圧縮成形して、固形粉末化粧料を製造する。成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の配合により耐衝撃性のよい固形粉末化粧料が得られる。本発明の粉末化粧料の形態は、粉末状、ケーキ状等が挙げられるが、本発明の効果が顕著に発揮されるのは、ケーキ状の固形状の粉末化粧料である。
【0024】
実施例1〜6及び比較例1〜9:固形パウダーファンデーション
表1に示す成分を用いて、下記の製造方法により固形パウダーファンデーションを製造した。そして、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」及び「化粧膜の均一性」を、下記の官能評価法で評価した。それらの結果を併せて表1に示した。
【0025】
【表1】

【0026】
(製造方法)
A.成分(1)〜(20)をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一に分散する。
B.成分(21)〜(23)を均一に混合する。
C.Aをヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、Bを添加し、均一に分散する。
D.Cをパルベライザーにて粉砕する。
E.Dを金皿に充填、圧縮成形し、固形パウダーファンデーションを得た。
【0027】
(官能評価方法)
専門パネル員20名により、前記製造方法で得られた各パウダーファンデーションを顔に使用し、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」及び「化粧膜の均一性」について、パネル各人が下記絶対評価にて6段階に評価し評点を付け、各パウダーファンデーションごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
[絶対評価基準]
(評点): (評価)
6点 : 非常に良好
5点 : 良好
4点 : やや良好
3点 : 普通
2点 : やや不良
1点 : 不良
[4段階判定基準]
(判定):(評点の平均値):(評価)
◎ :5点を超える:非常に良好
○ :3点を超え5点以下:良好
△ :1点を超え3点以下:やや不良
× :1点以下:不良
【0028】
表1から明らかなように、本発明の成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末、成分(B)の水素添加リン脂質処理粉体である水素添加リン脂質0.5%処理ベンガラ処理酸化チタン被覆セリサイトを配合した実施例1〜6は、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」及び「化粧膜の均一性」が、いずれも非常に良好であった。これに対し、成分(A)の代わりに他の球状粒子を配合した比較例1〜4、また成分(B)の代わりに他の表面処理粉体を配合した比較例5〜7は、いずれも、「毛穴隠し効果」及び「毛穴隠し効果の持続性」が劣っていた。また、成分(B)の水素添加リン脂質0.5%処理ベンガラ処理酸化チタン被覆セリサイトに代えて、水素添加リン脂質とベンガラ処理酸化チタン被覆セリサイトとを別々に配合した比較例8、並びに成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末に代えてタルクを配合した比較例9は、いずれも、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」及び「化粧膜の均一性」が劣っていた。
【0029】
また、Skin Analyzer Clinical Suite RSA-100(インフォワード社製)を用いて、顔全体の目立つ毛穴の総数を実測した。次に、実施例2及び比較例1〜4、8の各パウダーファンデーションを顔の素肌に塗布し、同じく顔全体の目立つ毛穴の総数を実測した。更に、塗布後4時間経過後に、同じく顔全体の目立つ毛穴の総数を実測した。それらの値を、表1に併記した。これらの実測値から考察される「毛穴隠し効果」及び「毛穴隠し効果の持続性」の評価も、上記官能評価と一致していた。
なお、上記のアナライザー装置でモノクロ写真を撮影し、このモノクロ画像中で、周辺部位に比べて「やや暗い部分」と「暗い部分」として縁辺を検出できる対象物のうち、丸みを帯びていて、かつサイズ(毛穴の上面の面積)が0.1〜0.6mmの連続した領域を検出し、これを「目立つ毛穴」と称した。
【0030】
実施例7:白粉(粉末状)
(成分) (%)
1.水素添加リン脂質1%処理雲母(注11) 残量
2.水素添加リン脂質1%処理合成金雲母(注11) 10.0
3.ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末(注1) 30.0
4.水素添加リン脂質1%処理タルク(注11) 30.0
5.雲母チタン 10.0
6.香料 0.01
注11:水素添加リン脂質はニッコールレシノールS−10EZ(PC純度約65% 日光ケミカルズ社製)
(製造方法)
A:1〜6をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一分散する。
B:Aをパルベライザーにて粉砕し、容器に充填する。
得られた白粉は、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」が非常に良好で、「化粧膜の均一性」にも優れていた。
【0031】
実施例8:フェイスカラー(固形粉末状)
(成分) (%)
1.水素添加リン脂質0.5%処理マイカ(注6) 2.0
2.水素添加リン脂質0.5%処理合成金マイカ(注6) 20.0
3.水素添加リン脂質0.5%処理タルク(注6) 残量
4.水素添加リン脂質0.5%酸化チタン(注6) 0.5
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
6.ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末(注1) 20.0
7.トリイソオクタン酸グリセリル 5.0
8.ワセリン 0.5
9.香料 0.01
【0032】
(製造方法)
A.成分1〜6をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一分散する。
B.成分7〜9を均一分散する。
C.Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、Bを添加し、均一分散する。
D.Cをパルベライザーで粉砕する。
E.Dを樹脂皿に充填し、圧縮成型する。
得られたフェイスカラーは、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」が非常に良好で、「化粧膜の均一性」にも優れていた。
【0033】
実施例9:コンシーラー(固形粉末状)
(成分) (%)
1.水素添加リン脂質2%処理合成金マイカ(注12) 20.0
2.水素添加リン脂質2%処理酸化チタン(注12) 20.0
3.水素添加リン脂質2%タルク(注12) 残量
4.赤色226 0.1
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
6.ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末(注1) 20.0
7.2−エチルへキサン酸グリセリル 5.0
8.流動パラフィン 2.0
9.ジメチルポリシロキサン(10mm/s) 2.0
10.ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(注13) 2.0
11.香料 0.1
注12:水素添加リン脂質はベイシスLS−60HR(PC純度約57% 日清オイリオグループ社製)
注13:コスモール168ARNV(日清オイリオグループ社製)
【0034】
(製造方法)
A.成分1〜6をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一分散する。
B.成分7〜11を均一分散する。
C.Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、Bを添加し、均一分散する。
D.Cをパルベライザーで粉砕する。
E.Dを樹脂皿に充填し、圧縮成型する。
得られたコンシーラーは、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」が非常に良好で、「化粧膜の均一性」にも優れていた。
【0035】
実施例10:ファンデーション(固形粉末状)
(成分) (%)
1.パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン3% 10.0
処理酸化チタン(注14)
2.パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン3% 20.0
処理タルク(注14)
3.パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン3% 残量
処理セリサイト(注14)
4.水素添加リン脂質0.5%処理セリサイト(注6) 10.0
5.ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末(注1) 10.0
6.ベンガラ 0.5
7.黄酸化鉄 2.0
8.黒酸化鉄 0.2
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10.ジメチルジステアリルアンモニウム 0.5
ヘクトライト(注15)
11.流動パラフィン 10.0
12.ワセリン 3.0
注14:FHS処理(大東化成工業社製)
注15:ルーセンタイトSAN(コープケミカル社製)
【0036】
(製造方法)
A.成分1〜9をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一分散する。
B.成分10〜12を均一分散する。
C.Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、Bを添加し、均一分散する。
D.Cをパルベライザーで粉砕する。
E.前記組成物100部に対して、揮発性溶剤(IPソルベント1620(出光興産社製))65部を添加し、混合してスラリー状にする。
F.Eを金皿に圧縮充填し、70℃にて一昼夜乾燥し、揮発性溶剤を除去する。
得られたファンデーションは、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」が非常に良好で、「化粧膜の均一性」にも優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(B);
(A)平均粒子径が1〜30μmのポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末
(B)水素添加リン脂質処理粉体
を含有することを特徴とする粉末化粧料。
【請求項2】
成分(A)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の含有量が、10〜95質量%である請求項1に記載の粉末化粧料。
【請求項3】
成分(B)の水素添加リン脂質処理粉体の含有量が、5〜90質量%である請求項1〜2のいずれかに記載の粉末化粧料。
【請求項4】
粉末化粧料が固形である請求項1〜3のいずれかに記載の粉末化粧料。
【請求項5】
粉末化粧料が凹凸補正化粧料である請求項請求項1〜4のいずれかに記載の粉末化粧料。

【公開番号】特開2010−202519(P2010−202519A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46264(P2009−46264)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】