説明

粉末洗浄剤組成物

【課題】生産性、耐ケーキング性、溶解性に優れた粉末洗浄剤組成物及びその製造法を提供する。
【解決手段】a)イ)分子量1000〜100000、Caイオン捕捉能300 mg/g以上、クレイ分散能1.2 以上のマレイン酸系共重合体、ロ)クレイ吸着量20〜90%、Caイオン安定度定数4.0 以上のマレイン酸系共重合体、ハ)高硬度水でのクレイ分散能50%以上、Caイオン捕捉能270mg/g以上のアクリル酸−マレイン酸系共重合体、ニ)耐ゲル化能とキレート能の積18,000以上のポリ(メタ)アクリル酸系共重合体から選ばれる1種以上0. 1〜18質量%、b)水不溶性固体5〜40質量%、c)硫酸塩0. 5〜40質量%、d)水0. 1〜15質量%、及び界面活性剤を含有し、界面活性剤相当分10〜60質量%、a)/c)の質量比5/1〜1/10、a)/b)の質量比5/1〜1/5、b)/界面活性剤相当分の質量比が3/1〜1/3、である粉末洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗浄剤組成物及びその製造方法に関する。好適には、水に溶解して用いる衣料用粉末洗浄剤組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末洗浄剤組成物は、消費者の利便性より、高嵩密度化や低使用量化が強く指向されている。また、環境への負荷の低減として、商品のコンパクト化や包装材料の軽量化が求められており、高嵩密度洗浄剤が主流を占めるようになっている。粉末洗浄剤のコンパクト化に際して、在来の低嵩密度洗浄剤に多量配合されていた増量剤である洗浄効果の小さい芒硝等の無機塩が削減され、主洗浄成分である界面活性剤等の有機物の比率が上昇したことに起因して、洗浄剤粒子が塑性を増すことで、生産性の低下や長期保管時のケーキング問題を引き起こす結果となった。衣料用洗浄剤に配合される界面活性剤は、様々な種類の汚れに対応し、また、複数の界面活性剤による相乗効果を得るため、通常一種ではなく、数種の界面活性剤を併用して用いることが一般的であり、陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを併用することがよく行われ、特に衣料用洗浄剤用途に好適な洗浄力を有する非イオン性界面活性剤は、常温で液状であることから、洗浄剤表面に表面改質剤を用いることが一般的であり、表面改質剤の添加量が少ない場合や、洗浄剤表面に十分付着しなかった場合、洗浄剤の長期保存時に、液状の非イオン界面活性剤がしみ出すことによるケーキング問題が発生することもあり、生産条件の制約になっていた。
【0003】
また、近年販売されている洗濯機は、『洗濯を簡単に済ませてしまいたい』という消費者ニーズに対応して、大容量化傾向にあり、また、洗濯時間に短時間洗濯モードの設定等がなされている。更に、『衣類を大切に洗いたい』というニーズにも対応し、弱攪拌モードの設定や遠心力洗濯機の登場など、衣類いたみの軽減を訴求している。一方、環境・エネルギーや経済性への対応から、節水、低温洗濯、運転時間の短縮への潮流がある。これら消費者のニーズは、いずれも洗濯機の仕事量を低下させる方向であり、いずれも洗浄剤組成物の溶解速度遅延の要因である。洗浄剤組成物の溶解速度の遅延に伴い洗浄能力が著しく低下したり、洗浄剤組成物の衣料への付着による局所的な高濃度化による衣料の損傷等から、洗浄剤組成物の溶解速度の大幅な向上が切望されている。
【0004】
例えば、洗浄剤スラリーの撹拌所要動力を制御することで溶解性を改善する方法が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、十分な効果は得られていない。
【0005】
例えば、粒子径を調製することにより、溶解性、耐ケーキング性を改善する方法が検討されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、粒子径を調製する工程が生産性を低下させている。また、洗浄剤組成物の製造においては、水難溶性の蛍光体や水不溶性固体等をスラリーに配合することで、製造設備への洗浄剤等の付着による生産性の低下が問題となっていた。
【特許文献1】特開2003−105397号公報
【特許文献2】特開2001−11499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今回、特定の重合体を用いることにより、製造設備への洗浄剤等の付着が低減でき、生産性に優れ、耐ケーキング性、溶解性に優れた粉末洗浄剤組成物を得ることを見出した。
【0007】
即ち、本発明の課題は、生産性、耐ケーキング性、および溶解性に優れた粉末洗浄剤組成物ならびにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、
〔1〕 (a)(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体0. 1〜18質量%、
(イ)重量平均分子量が1000〜100000、カルシウムイオン捕捉能(1)が炭酸カルシウム換算値として300 mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能が1.2 以上であるマレイン酸系共重合体、
(ロ)クレイに対する吸着量が20%〜90%、カルシウムイオンに対する安定度定数が4.0 以上であるマレイン酸系共重合体、
(ハ)高硬度水(11.5ドイツ硬度)でのクレイ分散能が50%以上であり、カルシウムイオン捕捉能(2)が270mgCaCO3 /g以上である、アクリル酸−マレイン酸系共重合体、
(ニ)耐ゲル化能(A)とキレート能(mgCaCO3 /g)(B)との積(A×B)が18,000以上であるポリ(メタ)アクリル酸系共重合体、
(b)水不溶性固体5〜40質量%、
(c)アルカリ金属の硫酸塩0. 5〜40質量%、
(d)水(JIS K 3362:1998記載の過熱減量法による水分)0. 1〜15質量%、ならびに
界面活性剤
を含有し、
JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分10〜60質量%、
(a)成分/(c)成分の質量比が5/1〜1/10、
(a)成分/(d)成分の質量比が5/1〜1/5、
(b)成分/JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分の質量比が3/1〜1/3、
である粉末洗浄剤組成物、
〔2〕 (a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分、要すれば界面活性剤を含有するスラリーを調製する工程、該スラリーを乾燥する工程、要すれば該スラリー乾燥物と界面活性剤とを混合する工程を有する前記〔1〕記載の粉末洗浄剤組成物の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粉末洗浄剤組成物は製造設備への洗浄剤等の付着が低減でき、生産性、耐ケーキング性、および溶解性に優れるという効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(a)(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体0. 1〜18質量%、
(イ)重量平均分子量が1000〜100000、カルシウムイオン捕捉能(1)が炭酸カルシウム換算値として300 mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能が1.2 以上であるマレイン酸系共重合体、
(ロ)クレイに対する吸着量が20%〜90%、カルシウムイオンに対する安定度定数が4.0 以上であるマレイン酸系共重合体、
(ハ)高硬度水(11.5ドイツ硬度)でのクレイ分散能が50%以上であり、カルシウムイオン捕捉能(2)が270mgCaCO3 /g以上である、アクリル酸−マレイン酸系共重合体、
(ニ)耐ゲル化能(A)とキレート能(mgCaCO3 /g)(B)との積(A×B)が18,000以上であるポリ(メタ)アクリル酸系共重合体、
(b)水不溶性固体5〜40質量%、
(c)アルカリ金属の硫酸塩0. 5〜40質量%、
(d)水(JIS K 3362:1998記載の過熱減量法による水分)0. 1〜15質量%、ならびに
界面活性剤
を含有し、
JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分10〜60質量%、
(a)成分/(c)成分の質量比が5/1〜1/10、
(a)成分/(d)成分の質量比が5/1〜1/5、
(b)成分/JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分の質量比が3/1〜1/3、
である。
【0011】
生産性の点で、粉末洗浄剤組成物中、(a)成分/(c)成分の質量比は3/1〜1/8が好ましく、2/1〜1/3がより好ましい。
【0012】
生産性の点で、粉末洗浄剤組成物中、(a)成分/(d)成分の質量比は4/1〜1/3が好ましく、3/1〜1/2がより好ましい。
【0013】
生産性の点で、粉末洗浄剤組成物中、(b)成分/JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分の質量比は2/1〜1/2. 5が好ましく、1. 5/1〜1/2がより好ましい。
【0014】
溶解性、特に低温溶解性、安定性、洗浄性能の点で、JIS K 3362:1998記載方法によって測定される粉末洗浄剤組成物の見かけ密度は400〜1000g/Lが好ましく、600〜950g/Lがより好ましく、700〜950g/Lが更に好ましい。
【0015】
低温溶解性、洗浄力の点で、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める平均粒径は150〜750μmが好ましく、より好ましくは150〜700μm、更に好ましくは180〜600μmである。
【0016】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、洗浄性能、損傷性の点で、JIS K3362:1998記載の20℃で測定する0.05質量%の水溶液のpHが8〜12であることが好ましく、9〜11.5がより好ましく、9.5〜11が更に好ましく、10〜11が特に好ましい。
【0017】
本発明の粉末洗浄剤組成物の40℃における平衡相対湿度は、保存安定性の点で15〜35%が好ましく、18〜32%がより好ましく、20〜30%が更に好ましい。平衡相対湿度の測定は、2.4 リットルの防湿容器に(a)成分600 gと高分子幕膜湿度センサ(好適にはティアンドディ社製、「Thermo Recorder おんどとり RH TR-72S」と「TR-3110 温湿度センサ」の組み合わせ)を入れ密閉する。これを40℃に維持し、24時間保存する。30分ごとに湿度測定値を読み取り、変化がなくなった値を平衡相対湿度とした。
【0018】
<(a)成分>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(a)(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体0. 1〜18質量%を含有する。生産性の点で、(a)成分の含有量は、0. 5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜8質量%が更に好ましい。
(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)の併用の例としては、特に限定されないが、製造設備への付着、洗浄力の点から、(イ)/(ロ)の重量比は4/1〜2/3、(イ)/(ニ)の重量比は4/1〜1/4が好ましく、それぞれ3/2〜1/1、3/2〜2/3が更に好ましい。
【0019】
(イ)は、重量平均分子量が1000〜100000、カルシウムイオン捕捉能(1)が炭酸カルシウム換算値として300 mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能が1.2 以上であるマレイン酸系共重合体である。
【0020】
(イ)の共重合体は、マレイン酸および/またはその塩(以下、「酸および/またはその塩」を酸(塩)とも表する)を単量体成分として含む重合反応によって得られる共重合体であれば特に限定はない。マレイン酸(塩)以外の単量体成分としては、水溶性エチレン性不飽和単量体が好ましい。
【0021】
前記水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体およびそれらの塩;フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の不飽和多カルボン酸系単量体およびそれらの塩;酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0022】
また、水溶性エチレン性不飽和単量体としては、下記一般式(1):
【0023】
【化1】

【0024】
(但し、式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し且つR1 およびR2 は同時にメチル基となることはなく、R3 は−CH2 −、−(CH2 2 −または−C(CH3 2 −を表し且つR1 、R2 およびR3 中の合計炭素数は3であり、Yは炭素数2〜3のアルキレン基を表し、nは0または1〜100 の整数である)
で示される化合物が挙げられ、その例としては、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)およびこれら単量体1モルに対してエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜100 モル付加した単量体等の不飽和水酸基含有単量体を挙げることができる。
【0025】
さらに、水溶性エチレン性不飽和単量体としては、下記一般式(2):
【0026】
【化2】

【0027】
(但し、式中、R1 は水素原子またはメチル基を表し、a、b、dおよびfはそれぞれ独立に0または1〜100 の整数を表し且つ、a+b+d+f=0〜100 であり、−(OC2 4 )−単位と−(OC3 6 )−単位とはどのような順序に結合してもよく、d+fが0である場合にZは水酸基、スルホン酸基および(亜)リン酸基を表し、またd+fが1〜100 の正の整数である場合にZは水酸基を表す)
で示される化合物が挙げられ、その例としては、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸およびその塩;グリセロールモノアリルエーテルおよびこれら単量体1モルに対してエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜100 モル付加した単量体等の不飽和(メタ)アリルエーテル系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸基含有単量体およびそれらの塩;炭素数1〜20のアルキルアルコールにエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを0〜100 モル付加したアルコールと(メタ)アクリル酸、クロトン酸等とのモノエステルまたは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等とのモノエステルあるいは、それらの塩、またはジエステル等の末端アルキル基含有エステル系不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸系単量体1モルに対して、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜100 モル付加したモノエステル系単量体、または、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の不飽和カルボン酸系単量体1モルに対して、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜100 モル付加したモノエステルあるいはそれらの塩、または、ジエステル系単量体等のエステル系不飽和単量体を挙げることができる。この水溶性エチレン性不飽和単量体は、これらの群から選ばれる2種以上の混合物でもよい。最も好ましい水溶性エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸(塩)である。
【0028】
本発明に用いられる(イ)マレイン酸系共重合体は、任意の方法、例えば、特許第2574144号公報記載の方法で得られるマレイン酸系共重合体である。特に、マレイン酸(塩)と上記水溶性エチレン性不飽和単量体とを水性媒体中で、水溶性重合開始剤として過酸化水素を用いて、共重合して得られるマレイン酸系共重合体が好ましい。かかる(イ)マレイン酸系共重合体としては、ポリマーの分子量分布が狭く、高分子量部分にマレイン酸が多量に導入されたものであるとさらに好ましい。
【0029】
〔重量平均分子量〕
(イ)マレイン酸系共重合体の重量平均分子量は、1000〜100000であるのが好ましい。カルシウムイオン捕捉能およびクレイ分散能向上の観点からは、2000〜50000 がより好ましく、3000〜30000 がさらに好ましく、3000〜15000 が最も好ましい。
【0030】
また、得られたマレイン酸系共重合体の重量平均分子量の測定をゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて行なう。なお、カラムは旭化成「アサヒパックGFA−7MF」を用い、溶離液には、0.5%リン酸水溶液を用いる。分子量標準サンプルとしては、ポリアクリル酸ソーダ標準サンプル(創和科学(株)製)を用いる。
【0031】
〔カルシウムイオン捕捉能(1)およびクレイ分散能〕
本発明のマレイン酸系共重合体のカルシウムイオン捕捉能(1)は、(イ)の共重合体1gが捕捉するカルシウムイオンを炭酸カルシウムで換算したmg数として定義される。カルシウムイオン捕捉能(1)は、マレイン酸系共重合体が水中のカルシウムイオンをどれだけ多く捕捉するかを示す指標である。本発明においては、前記カルシウム捕捉能(1)が高い(イ)マレイン酸系共重合体を用いることにより、粉末洗浄剤組成物を水に溶解させた際に、界面活性剤が、水中のカルシウムイオンと結合して不溶化するのを防止し、洗浄力向上の効果が大きくなるという利点がある。
【0032】
カルシウムイオン捕捉能(1)は、300 mgCaCO3 /g以上であり、好ましくは350 mgCaCO3 /g以上、より好ましくは400 mgCaCO3 /g以上、さらに好ましくは450 mgCaCO3 /g以上である。カルシウムイオン捕捉能が高いほど、マレイン酸系共重合体の洗浄剤ビルダーとしての能力が高まる。なお、カルシウムイオン捕捉能(1)の値は、マレイン酸系共重合体1gで捕捉する炭酸カルシウムイオン換算値で表される。
【0033】
また、(イ)マレイン酸系共重合体のクレイ分散能は、下記に示す条件下での濁度測定値で定義される。
クレイ分散能測定条件:
容器:100 mLメスシリンダー
共重合体溶液:0.5 %(固形分換算)共重合体水溶液1mL+上水(姫路市水)100g
クレイ:アマゾンクレー(三菱商事(株)、アマゾン88)1.0g
攪拌時間:10分間(マグネチックスターラー使用)
静置時間:18時間
測定方法:静置後、メスシリンダーの最上部10mLをサンプリングし、1cm セルを使用して、UV380nm における濁度を測定し、その数値をもってクレイ分散能とする。
【0034】
クレイ分散能は、洗濯時に、泥汚れ等を衣類などの被洗濯物から引きはがして、均一に分散させ、泥汚れ(クレイ)の沈殿をしにくくするという効果を見る指標である。この効果を十分に得るためには、クレイ分散能が1.2 以上であることが必要である。さらに、泥汚れの被洗濯物への沈着を防止するためには1.4 以上が好ましく、1.5 以上であるのがより好ましい。
また、水難溶性の蛍光染料やゼオライト等の水不溶性固体のスラリー中での分散性向上により、これらのような洗浄成分の製造設備への付着を防止するためには、クレイ分散能が1.2以上が必要であり、好ましくは1.4以上、更に好ましくは1.5以上である。
【0035】
クレイ分散能は、共重合体存在下でのクレイの分散の程度を、分散させたクレイの懸濁液を一定時間静置したときの上澄液の濁度で評価した数値であり、数字が大きい程、分散能が高いことを示す。
1.5 以上:クレイ分散能が非常に良好。
1.4 以上〜1.5 未満:クレイ分散能が特に良好。
1.2 以上〜1.4 未満:クレイ分散能が良好。
0.5 以上〜1.2 未満:クレイ分散能が悪い。
0.5 未満:クレイ分散能が非常に悪い。
【0036】
(イ)マレイン酸系共重合体のカルシウムイオン捕捉能(1)およびクレイ分散能は下記の(i) の条件である必要がある。(イ)マレイン酸系共重合体を含む洗浄剤組成物において、泥汚れを分散させる効果と、カルシウムイオンの捕捉による洗浄剤組成物中の界面活性剤の不溶化防止によってもたらされる油汚れを落とす効果との両方に対してバランスをとる性能が好ましいので、下記の(ii)、(iii) 、(iv)、(v) 、(vi)、(vii) 、(viii)、(ix)の条件が、その順に従って、より好ましい条件となる。
(i) カルシウムイオン捕捉能(1):300mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.2以上。
(ii)カルシウムイオン捕捉能(1):350mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.2以上。
(iii) カルシウムイオン捕捉能(1):400mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.2以上。
(iv)カルシウムイオン捕捉能(1):450mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.2以上。
(v) カルシウムイオン捕捉能(1):350mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.4以上。
(vi)カルシウムイオン捕捉能(1):400mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.4以上。
(vii) カルシウムイオン捕捉能(1):450mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.4以上。
(viii)カルシウムイオン捕捉能(1):400mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.5以上。
(ix)カルシウムイオン捕捉能(1):450mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.5以上。
【0037】
中でも、洗浄性とスラリー中における水不溶性成分の装置への付着防止の観点から、(イ)マレイン酸系共重合体としては、前記重量平均分子量が3000〜15000 、前記カルシウムイオン捕捉能(1)が350 mgCaCO3 /g以上、前記クレイ分散能が1.4 以上であることが好ましく、前記カルシウムイオン捕捉能(1)が400 mgCaCO3 /g以上、前記クレイ分散能が1.4 以上であることがより好ましく、前記カルシウムイオン捕捉能(1)が450 mgCaCO3 /g以上、前記クレイ分散能が1.5 以上であることが最も好ましい。
【0038】
また、(イ)マレイン酸系共重合体は、特に高硬度水(11.5ドイツ硬度)を洗浄水として使用した時でも、洗浄力を維持する観点から、ゲル化性が低い方がよく、(イ)マレイン酸系共重合体のゲル化性が0.2 以下であることが好ましく、0.1 以下であることがより好ましい。
【0039】
ゲル化性は、カルシウムイオン存在下でのポリマーの沈澱のしやすさを評価した数値であり、カルシウムイオン存在下でポリマーを加熱した時の白濁の程度をUVの吸光度で測定したものである。この数字が大きい程、ポリマー溶液の濁りが大きく、カルシウムイオン存在下でポリマーが多量に沈澱していることを示す。
【0040】
(イ)マレイン酸系共重合体のゲル化性は、下記に示す条件下での濁度測定値で定義される。
ゲル化性測定条件:
容器:500mL トールビーカー
共重合体:対試験液 40ppm(固形分換算)
試験液:CaCl2 の400ppm溶液 400g
温度:50℃
pH:8
静置時間:1時間
測定方法:静置後、スターラーを使用して試験液を5分間攪拌後、サンプリングし、50mmセルを使用して、UV380nm における濁度を測定する。
【0041】
なお、ゲル化性の指標を以下に示す。下記の数値が小さい程、洗浄剤ビルダーとして高性能であることを示す。
0.1 以下:非常にゲル化しにくい。
0.1 超〜0.2 以下:ゲル化しにくい。
0.2 超〜0.4 以下:ゲル化しやすい。
0.4 超:非常にゲル化しやすい。
【0042】
本発明に用いられる(ロ)の共重合体は、クレイに対する吸着量が20%〜90%、カルシウムイオンに対する安定度定数が4.0 以上であるマレイン酸系共重合体である。
【0043】
(ロ)マレイン酸系共重合体としては、マレイン酸および/またはその塩を単量体成分として含む重合反応によって得られる共重合体であれば特に限定はない。(ロ)マレイン酸系共重合体の製造方法としては、公知の方法、例えば、特許第2574144号公報に記載の方法が挙げられる。マレイン酸(塩)以外の単量体成分としては、水溶性エチレン性不飽和単量体が好ましい。前記水溶性エチレン性不飽和単量体としては、前記(イ)マレイン酸系共重合体で用いられるものと同じものであればよい。
【0044】
〔クレイに対する吸着量〕
本発明のマレイン酸系共重合体、アクリル酸系共重合体のクレイへの吸着量は下記のように定義する。
1.100mLメスシリンダーに固形分換算で0.5%のポリマー水溶液1mLと姫路市市水100gを投入する。
2.該溶液にアマゾンクレー1gを投入し、マグネチックスターラーを用いて10分間攪拌を行なう。
3.18時間静置。
4.メスシリンダーの最上部10mLを、ピペットにて静かにサンプリングし、ろ過を行なった後に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにてポリマー量を測定する。
5.クレイを入れない場合のポリマー量も同様にして測定し、下記式により吸着量を算出する。
クレイを投入した場合のポリマーピークの面積:Ap
クレイを投入しない場合のポリマーピークの面積:Ab
クレイに対するポリマー吸着量:Ads
Ads(%)=(Ab−Ap)/Ab×100
【0045】
〔カルシウムイオンに対する安定度定数〕
本発明のマレイン酸系共重合体、アクリル酸系共重合体のカルシウムイオンの安定度定数は、下記試験法により測定される。
1.0.001mol/L、0.002mol/L、0.004mol/L、0.005mol/Lの各濃度のカルシウムイオン溶液を調製し、エルレンマイヤーフラスコに50mL入れる。
2.所望の共重合体を固形分換算で50mgとなるように添加し、pH10となるように調整を行なう。
3.塩強度調整剤として塩化ナトリウムを0.15g添加する。
4.イオンアナライザーにカルシウムイオン電極を装着し、遊離状態のカルシウムイオン濃度を測定する。遊離したカルシウムイオン濃度〔Ca2+〕、キレートされたカルシウムイオン濃度〔CaL〕、キレートサイト濃度〔LO 〕、カルシウム安定度定数〔Kca〕の関係は、下記式で表される。
〔Ca2+〕/〔CaL〕=〔Ca2+〕/〔LO 〕+1/〔LO 〕〔K〕

測定された〔Ca2+〕に対する〔Ca2+〕/〔CaL〕をプロットし、傾き、および切片からKを求め、Kの対数値をカルシウムイオン安定度定数とする。
【0046】
〔重量平均分子量〕
本発明のマレイン酸系共重合体の重量平均分子量は、1,000 〜100,000 であるのが好ましい。カルシウムイオン捕捉能およびクレイ分散能向上の観点からは、2,000 〜50,000がより好ましく、3,000 〜30,000がさらに好ましく、3,000 〜15,000が最も好ましい。
【0047】
中でも、前記(ロ)マレイン酸系共重合体としては、皮脂汚れ、泥汚れに対する洗浄性、水不溶性成分を含むスラリーの設備への付着防止の観点から、その重量平均分子量が1000〜100000、前記クレイに対する吸着量が30〜70%、前記カルシウムイオンに対する安定度定数が4.2 〜6.0 であることが好ましく、前記クレイに対する吸着量が40〜60%、前記カルシウムイオンに対する安定度定数が4.5 〜5.5 であることがさらに好ましい。
【0048】
〔カルシウムイオン捕捉能(1)およびクレイ分散能〕
また、(ロ)マレイン酸系共重合体のカルシウムイオン捕捉能(1)は、300 mgCaCO3 /g以上が好ましく、350 mgCaCO3 /g以上がより好ましく、400 mgCaCO3 /g以上がさらに好ましく、450 mgCaCO3 /g以上が特に好ましい。カルシウムイオン捕捉能が高いほど、(ロ)マレイン酸系共重合体の洗浄剤ビルダーとしての能力が高まる。なお、該カルシウムイオン捕捉能(1)の値は、前記と同様に、1gのマレイン酸系共重合体で捕捉する炭酸カルシウムイオン換算値を表する。
【0049】
また、(ロ)マレイン酸系共重合体のクレイ分散能は、泥汚れの沈着を防止する観点から、1.2 以上が好ましく、1.4 以上がより好ましく、1.5 以上がさらに好ましい。
【0050】
(ロ)マレイン酸系共重合体のカルシウムイオン捕捉能(1)およびクレイ分散能は、マレイン酸系共重合体を含む洗浄剤組成物において、泥汚れを分散させる効果と、カルシウムイオンの捕捉による洗浄剤組成物中の界面活性剤の不溶化防止によってもたらされる油汚れを落とす効果との両方に対してバランスをとる性能が好ましいので、下記の(i) 、(ii)、(iii) 、(iv)、(v) 、(vi)、(vii) 、(viii)、(ix)の条件が、その順に従って、より好ましい条件となる。
(i) カルシウムイオン捕捉能(1):300mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.2以上。
(ii)カルシウムイオン捕捉能(1):350mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.2以上。
(iii) カルシウムイオン捕捉能(1):400mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.2以上。
(iv)カルシウムイオン捕捉能(1):450mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.2以上。
(v) カルシウムイオン捕捉能(1):350mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.4以上。
(vi)カルシウムイオン捕捉能(1):400mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.4以上。
(vii) カルシウムイオン捕捉能(1):450mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.4以上。
(viii)カルシウムイオン捕捉能(1):400mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.5以上。
(ix)カルシウムイオン捕捉能(1):450mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能:1.5以上。
【0051】
また、(ロ)マレイン酸系共重合体としては、特に高硬度水(11.5ドイツ硬度)を洗浄水として使用した時でも、洗浄力を維持する観点から、ゲル化性が低い方がよく、(ロ)マレイン酸系共重合体のゲル化性が0.2 以下であることが好ましく、0.1 以下であることがより好ましい。なお該ゲル化性の測定方法としては、前記と同様であればよい。
【0052】
本発明に用いられる(ハ)の共重合体は、高硬度水(11.5ドイツ硬度)でのクレイ分散能が50%以上であり、カルシウムイオン捕捉能(2)が270mgCaCO3 /g以上である、アクリル酸−マレイン酸系共重合体である。
【0053】
該(ハ)の共重合体は、高硬度水でのクレイ分散能は55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。高硬度水でのクレイ分散能は高いほど好ましい。カルシウムイオン捕捉能(2)は300mgCaCO3 /g以上であることが好ましい。カルシウムイオン捕捉能(2)は高いほど好ましい。なお、本発明でいう「高硬度水(11.5ドイツ硬度)でのクレイ分散能」および「カルシウムイオン捕捉能(2)」は、以下の測定方法により測定されるものである。
【0054】
<高硬度水(11.5ドイツ硬度)でのクレイ分散能>
(i) まず、グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、1N−NaOH60mlにイオン交換水を加えて600gとしたグリシン緩衝溶液を調製する。
(ii)塩化カルシウム・2水和物を0.3268g、(i) の調整液60gを取って、イオン交換水を加えて1000gとし、分散液を調製する。
(iii) 次に共重合体(pH7に調整)の固形分換算で0.1%の水溶液を調製する。
(iv)試験管に、JIS試験用粉体I,8種(関東ローム,微粒:日本粉体工業技術協会)のクレイ0.3gを入れ、(ii)の分散液27g、(iii) の調製液3gを添加して、試験液とする。この時、試験液のカルシウム濃度は炭酸カルシウム換算で200ppmとなっている。
(v) 試験管をパラフィルムで密封した後、クレイが全体に分散するように軽く振った後、さらに、上下に20回振る。
(vi)この試験管を直射日光の当たらないところに20時間静置し、その後分散液の上澄みをホールピペットで5ml採取する。
(vii) この液をUV分光器を用いて、波長380nm、1cmのセルで透過率(T%)を測定する。100からこのT%の値を差し引いた値をクレイ分散能(濁度)とする。
【0055】
<カルシウムイオン捕捉能(2)>
(i) まず、カルシウムイオン標準水溶液(検量線用水溶液)を次のように調製する。即ち、塩化カルシウム・2水和物を用いて、Ca2+イオンが0.01mol/l、0.001mol/l、0.0001mol/lの水溶液を各々50mLづつ調製し、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9〜11に調整した後、塩化カリウムの4mol/l水溶液を1ml加える。
(ii)次に、測定サンプルの水溶液を調製する。即ち、固形分換算で10mgの共重合体(pH7に調整)を100mLのビーカーに秤量し、塩化ナトリウム・2水和物を用いて調製した0.001mol/lのカルシウムイオン水溶液を50mL加え、スターラーで均一に攪拌した後、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液でpH9〜11に調整し、塩化カリウムの4mol/l水溶液を1ml加える。
(iii) 測定は、オリオン社製「イオンアナライザーEA920」を用いて、オリオン社製「カルシウムイオン電極93−20」により行う。
(iv)検量線及びサンプル(共重合体)の測定値から、サンプルが捕捉したカルシウムイオン量を求め、共重合体固形分1g当りの捕捉量を炭酸カルシウム換算のmg数で表わし、その値をカルシウムイオン捕捉能(2)の値とする。
【0056】
(ハ)の共重合体は、主に高硬度水でのクレイ分散能の点からは、(ハ)の共重合体におけるマレイン酸(塩)単位の割合(MA(モル%))と、該共重合体の重量平均分子量(Mw)との積(MA×Mw)が150,000以下であり、かつMwが20,000以下であることが好ましい。いくつか例示するならば、MAが7.5モル%以下ではMwは20,000以下が好ましく、MAが10モル%ではMwは15,000以下が好ましく、MAが15モル%では10,000以下が好ましい。
【0057】
また、高硬度水でのクレイ分散能とカルシウムイオン捕捉能とを両立するためには、(ハ)の共重合体におけるアクリル酸(塩)単位とマレイン酸(塩)単位のモル比は95〜80/5〜20であることが好ましく、90〜85/10〜15がさらに好ましい。
【0058】
なお、上記した(ハ)の共重合体におけるマレイン酸(塩)単位の割合(MA)、および、アクリル酸(塩)単位とマレイン酸(塩)単位のモル比は、仕込み比率によって制御される。したがって、(ハ)の共重合体を得るためには、マレイン酸(塩)を低い割合で含む(言い換えれば、アクリル酸(塩)を高い割合で含む)単量体成分を用いて、かつ重量平均分子量があまり大きくならないような方法で重合を行うことが好ましい。また、高硬度水でのクレイ分散能の点からは重合体の分子量分布は狭い方が好ましいので、この点にも留意することが好ましい。従来、低硬度水でのクレイ分散能とカルシウムイオン捕捉能との両立を目指していたときは、主にカルシウムイオン捕捉能に主眼がおかれていたため、マレイン酸(塩)を多く含む単量体成分が用いられていた。マレイン酸(塩)は反応性が低いため、一般的に高い重合濃度(重合終了後の重合体の理論固形分濃度)で重合が行われることが多く、その結果分子量が比較的低い重合体が得られる。(ハ)の共重合体の製造方法としては、例えば、特許第3398837号公報に記載の方法が挙げられる。
しかしながら、同じ方法をそのままアクリル酸(塩)を多く含む単量体成分に適用しても、アクリル酸(塩)はマレイン酸(塩)とは異なり非常に反応性が高いために、高濃度で重合を行うと非常に分子量が高い重合体が得られてしまう。逆に低濃度で重合を行うと、低分子量の重合体が得られるものの分子量分布が広いものとなるため、高硬度水でのクレイ分散能が劣ったものとなってしまう。
【0059】
本発明に用いられる(ニ)の共重合体は、耐ゲル化能(A)とキレート能(B)との積(A×B)が18,000以上であるポリ(メタ)アクリル酸系共重合体である。本発明で用いられる(ニ)の共重合体は、耐ゲル化能(A)とキレート能(B)との積(A×B)が18,000以上というものであり、30,000〜250,000が好ましく、更に好ましくは70,000〜200,000である。積(A×B)が18,000未満のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は洗浄剤ビルダー、無機顔料分散剤、スケール防止剤等としての性能が充分でない。積(A×B)はその数値が高ければ高いほど洗浄剤ビルダー、無機顔料分散剤、スケール防止剤等として好ましいが、250,000を越える重合体を得ようとした場合、製造時間が長くなることや、重合温度を厳密にコントロールする必要があるなど生産効率が低下する傾向にある。前記積(A×B)が18,000以上の重合体は、公知の製造方法、例えば、特許第3398837号公報記載の方法によって製造することができる。上記した製造方法のうちの必須の要件を一つでも外れた場合には積(A×B)が18,000以上の重合体を得ることはできず、洗浄剤ビルダー、無機顔料分散剤、スケール防止剤等としての機能が充分な重合体は得られない。
【0060】
本発明で用いられる(ニ)の共重合体は、前記績(A×B)が18,000以上であれば特に限定されるものではないが、耐ゲル化能(A)は70以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。また、キレート能(B)は150以上であることが好ましく、210以上であることがより好ましい。
【0061】
尚、耐ゲル化能(A)およびキレート能(B)は、後述の測定方法により測定されるものであり、耐ゲル化能(A)の単位はなく、キレート能(B)の単位は[mgCaCO3 /g]である。本発明で用いられる(ニ)の共重合体は分子量分布が狭いものであり、重量平均分子量/数平均分子量で定義される分子量分布が1.5〜2.8の範囲内にあることが好ましく、1.5〜1.8の範囲内にあることがより好ましい。分子量分布が2.8を越える共重合体では耐ゲル化能およびキレート能が低いものとなる。分子量分布が1.5未満の共重合体、製造する際、長時間を要したり、重合温度を厳密にコントロールする必要があり安価に製造できない恐れがある。分子量分布が1.5〜1.8の共重合体は、前記した製造方法において、連鎖移動剤の一部(1〜50重量%)を予め反応器に仕込むことで容易に製造することができる。重合体を洗浄剤ビルダー以外の他の用途(無機顔料分散剤やスケール防止剤)に用いる場合は特に、分子量分布が狭いことが望ましい。
【0062】
(ニ)の共重合体の重量平均分子量は、1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、2,000〜50,000の範囲内であることがより好ましい。特に、90重量%以上が(メタ)アクリル酸(塩)系単量体である単量体成分から導かれ、かつ重量平均分子量が1,000〜100,000の範囲内であること、さらには100重量%が(メタ)アクリル酸(塩)系単量体である単量体成分から導かれ、かつ重量平均分子量が2,000〜50,000の範囲内であることで、耐ゲル化能(A)とキレート能(B)との績(A×B)が18,000以上のポリ(メタ)アクリル酸(塩)系共重合体が得られ易くなる。
【0063】
<耐ゲル化能の測定方法>
(ニ)の共重合体の1%水溶液と、ホウ酸7.42g、塩化ナトリウム1.75g及びホウ酸ナトリウム10水和物7.63gに超純水を加えて全量を1000gにしたホウ酸バッファー水溶液と、塩化カルシウム2水和物0.735gに超純水を加えて全量を5000gにした塩化カルシウム水溶液を調製する。
【0064】
次に、容量500mlのトールビーカーに、超純水250g、上記のホウ酸バッファー水溶液10g、上記の塩化カルシウム水溶液250g及び(ニ)の共重合体の1%水溶液5gを入れて充分に混合する。その後、ビーカーに蓋をして、該ビーカーを予め内温が90℃に調整された恒温槽内に入れ、1時間静置する。静置後、直ちにビーカーから水溶液を取り出してセル長5cmの石英セルに入れ、波長380nmにおける該水溶液の濁度aを測定する。
【0065】
一方、容量500mlのトールビーカーに、超純水500g、上記のホウ酸バッファー水溶液10g、上記(ニ)の共重合体の1%水溶液5gを入れて充分に混合する。その後、ビーカーに蓋をして、該ビーカーを予め内温が90℃に調整された恒温槽内に入れ、1時間静置する。静置後、直ちにビーカーから水溶液を取り出してセル長5cmの石英セルに入れ、波長380nmにおける該水溶液の濁度bを測定する。即ち、塩化カルシウム水溶液を入れない場合の濁度bをブランクとして測定する。
【0066】
そして、上記の濁度a及び濁度bから、次式耐ゲル化能=1/(濁度a−濁度b)に基づいて耐ゲル化能を算出する。
【0067】
<キレート能の測定方法>
容量100mLのビーカーに、0.001モル/Lの塩化カルシウム水溶液50gを採取する。そこに、(ニ)の共重合体10mgを添加する。次に、この水溶液のpHを希水酸化ナトリウムで9〜11に調整する。その後、攪拌下、カルシウムイオン電極安定剤として、4モル/Lの塩化カリウム水溶液1mlを添加する。
【0068】
イオンアナライザー(「EA920型」、オリオン社製)及びカルシウムイオン電極(「93−20型」、オリオン社製)を用いて、遊離のカルシウムイオンを測定し、ポリ(メタ)アクリル酸塩1g当たり、炭酸カルシウム換算で何mgのカルシウムイオンがキレートされたか(キレート能)を計算で求める。キレート能の単位は「mgCaCO3 /g」である。
【0069】
<(b)成分>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、水不溶性固体5〜40質量%を含有する。生産性、溶解性、耐ケーキング性の点で8〜38質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%が更に好ましい。
【0070】
(b)成分としては、結晶性アルミノ珪酸塩、非晶質アルミノ珪酸塩、二酸化珪素、水和珪酸化合物、タルク、パイロフィライト、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等)、バーミキュライト、雲母(金雲母、黒雲母、チンワルド雲母、白雲母、パラゴナイト、セラドナイト、海緑石等)、緑泥石(クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、ペナンタイト、スドーアイト、ドンバサイト等)、脆雲母(クリントナイト、マーガライト等)、スーライト、蛇紋石鉱物(アンチゴライト、リザーダイト、クリソタイル、アメサイト、クロンステダイト、バーチェリン、グリーナライト、ガーニエライト等)、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等)等の粘土鉱物等を用いることができる。未溶解残留物の発生を促さない理由等から、結晶性アルミノ珪酸塩及び非晶質アルミノ珪酸塩が好ましい。又、該アルミノ珪酸塩の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
【0071】
結晶性アルミノ珪酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、商品名:「トヨビルダー」;東ソー(株)製、商品名:「合成ゼオライト」;日本ビルダー(株)製、商品名:「VALFOR100」;PQ CHEMICALS(Thailand)Ltd、商品名:「ZEOBUILDER」;ZEOBUILDER Ltd、商品名:「VEGOBOND A」;OMAN CHEMICAL INDUSTRIES Ltd、商品名:「Zeolite」;THAI SILICATE CHEMICALS Ltd)であり、金属イオン封鎖能及び経済性の点でも好ましい。ここで、A型ゼオライトの、JIS K 5101法による吸油能の値は40〜50mL/100gであることが好ましい。その他、P型(例えば商品名「Doucil A24」や「ZSE064」等;Crosfild社製;吸油能60〜150mL/100g)やX型(例えば商品名:「WessalithXD」;Degussa社製;吸油能80〜100mL/100g)が挙げられる。国際公開9842622号記載のハイブリッドゼオライトも好適な結晶性アルミノ珪酸塩として挙げられる。
【0072】
又、金属イオン封鎖能は低いが、高い吸油能を有する非晶質アルミノ珪酸塩や非晶質シリカ等も水不溶性固体として用いることが出来る。例えば特開昭62−191417号公報第2頁右下欄第19行〜第5頁左上欄第17行(特に初期温度は15〜60℃の範囲が好ましい。)、特開昭62−191419号公報第2頁右下欄第20行〜第5頁左下欄第11行(特に吸油量は170mL/100gが好ましい。)に記載の非晶質アルミノ珪酸塩や、特開平9−132794号公報第17欄第46行〜第18欄第38行、特開平7−10526号公報第3欄第3行〜第5欄第9行、特開平6−227811号公報第2欄第15行〜第5欄第2行、特開平8−119622号公報第2欄第18行〜第3欄第47行に記載されている非晶質アルミノ珪酸塩(吸油能285mL/100g)等を挙げることが出来る。例えば、「トクシールNR」(徳山ソーダ(株)社製:吸油能210〜270mL/100g)、「フローライト」(同:吸油能400〜600mL/100g)、「TIXOLEX25」(韓仏化学社製:吸油能220〜270mL/100g)、「サイロピュア」(富士ディビソン(株)社製:吸油能240〜280mL/100g)等の吸油担体を用いることが出来る。特に吸油担体としては特開平6−179899号公報第12欄第12行〜第13欄第1行、第17欄第34行〜第19欄第17行に記載のものが好適である。水不溶性固体は、単独成分又は複数成分から構成されていても良い。
【0073】
<(c)成分>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、アルカリ金属の硫酸塩0. 5〜40質量%を含有する。生産性、溶解性の点で、1〜35質量%が好ましく、1. 5〜30質量%がより好ましく、2〜25質量%が更に好ましい。アルカリ金属としては、洗浄性能の点で、ナトリウム、カリウムが好ましい。
【0074】
<(d)成分>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、水(JIS K 3362:1998記載の過熱減量法による水分)0. 1〜15質量%を含有する。生産性、溶解性、耐ケーキング性の点で、0. 5〜12質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1. 5〜8質量%が更に好ましい。
【0075】
<JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分>
本発明の粉末洗浄剤組成物中の界面活性剤の量としては、JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分が10〜60質量%であり、生産性、溶解性、耐ケーキング性の点から、15〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
【0076】
本発明に用いられる界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができるが、好ましくは陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤である。
【0077】
陰イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコールの硫酸エステル塩、炭素数8〜20のアルコールのアルコキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩、アルキル硫酸塩が好ましい。本発明では特に、アルキル鎖の炭素数が10〜14の、より好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。
【0078】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)エーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。特に、非イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを平均で4〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。非イオン性界面活性剤は、HLB値(グリフィン法で算出)が10. 5〜15. 0、更に11. 0〜14. 5のものが好ましい。
【0079】
陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤は単独で用いることもできるが、好ましくは、混合して用いるのが良い。また、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤を目的に合わせ併用することも出来る。
【0080】
<その他成分>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、衣料用洗浄剤の分野で公知のビルダー、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光染料、抑泡剤(シリコーン等)、酵素、着色剤、香料等を含有させることができる。ビルダーとしては、例えば、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、(a)成分以外のアクリル酸重合体又はその共重合体並びにその塩等の有機ビルダー、炭酸塩、水溶性珪酸塩等のアルカリ剤等、が挙げられる。
【0081】
また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、洗浄剤粒子の流動性及び耐ケーキング性の観点から、表面改質を行っても良い。表面改質剤としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物、金属石鹸、粉末の界面活性剤等の微粉体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩等のポリカルボン酸塩等の水溶性ポリマー、脂肪酸が挙げられる。より好ましくはアルミノ珪酸塩、結晶性シリケートであり、更に好ましくはアルミノ珪酸塩である。
【0082】
表面改質剤の含有量は、保存安定性の点で、本発明の粉末洗浄剤組成物中の20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下が更に好ましい。また、表面改質の点で、本発明の粉末洗浄剤組成物中の1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、5重量%以上が更に好ましい。
【0083】
<粉末洗浄剤組成物の製造方法>
生産性、耐ケーキング性、溶解性の点で、(a)成分、(b)成分、(c)成分を含有するスラリーを調製する工程、該スラリーを乾燥する工程を有する製造方法が好ましい。特に、(d)成分、(c)成分、(a)成分、(b)成分の順で混合装置に添加してスラリーを調製する製造方法が好ましい。
【0084】
各種成分を好ましくは水分量30〜60質量%のスラリーにした後、乾燥することが生産性、溶解性の点で好ましい。乾燥時の熱風の温度は、溶解性の点で200〜300℃が好ましい。また、乾燥は噴霧乾燥等の公知の方法によって行われる。
【0085】
スラリー中に界面活性剤や、洗浄剤組成物に好適なビルダー、蛍光染料、顔料、染料等の補助成分を含んでも構わない。
【0086】
スラリー乾燥物に、界面活性剤、ビルダー、蛍光染料、顔料、染料、香料等の補助成分を加え造粒することができる。また、更に表面改質を行っても良い。
【0087】
かかる製造方法により、製造設備への粉末洗浄剤組成物の付着を低減し、生産性、耐ケーキング性、および溶解性に優れた粉末洗浄剤組成物を製造することができる。かかる粉末洗浄剤組成物は、例えば、衣料用洗剤、自動食器洗い洗浄機用洗剤等に好適に使用することができる。
【実施例】
【0088】
実施例1〜8および比較例1〜4
〔粉末洗浄剤組成物の調製〕
表1に示す各実施例、比較例の組成に従い、以下の手順で粉末洗浄剤組成物の調製を行なった。
共重合体または重合体、各組成の5重量%を除くゼオライト、硫酸ナトリウム、LAS−Na、AS−Na、α−SFE−Na、各組成の3重量%を除くノニオン、2号シリケート、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、PEG、蛍光染料を水と混合して含水率50重量%のスラリーを調製した(温度65℃)。これを向流式噴霧乾燥装置を用いて、嵩密度約300g/Lの粒子を得た。次に該粒子をハイスピードミキサー(深江工業(株)、内容量25L)に投入して混合した。次いで、ノニオンの残分をスプレー添加しながら破砕し攪拌造粒し、ゼオライトの残分を添加して更に攪拌を行なうことにより、表面被覆を行なった。尚、全仕込量は5kgであった。最後に、酵素粒子、漂白剤粒子、漂白活性化剤粒子、香料をロータリーキルンを用いてブレンドを行ない、最終粉末洗浄剤組成物を得た。
【0089】
得られた粉末洗浄剤組成物の物性(生産性、耐ケーキング性、溶解性)を以下の方法に従って評価した。
【0090】
<生産性>
連続して生産し、製造設備への洗浄剤組成物の付着状況を確認した。
評価基準 ◎:設備への付着がほとんど無い
○:設備への付着が僅か確認できる
×:設備への付着が著しく確認できる。
【0091】
<耐ケーキング性>
30μの低密度ポリエチレンフィルムをコートボール紙で挟むように積層した板紙を用いて縦×横×高さ=15cm×9cm×13cmの上面が開口した容器を作製した。この箱に試料1000gを入れ、これを温度30℃、湿度40→80→40%を4日サイクルで変動する恒温恒湿器中に放置し、90日後にケーキング状態について判定を行った。判定は、以下のようにして通過率を求めることによって行った。通過率が高いほど、耐ケーキング性が高く、洗浄剤粒子群として好ましい物性である。なお、通過率は、試験後の試料を篩(JIS Z 8801規定の目開き4760μm)上に静かにあけ、通過した粉末の重量を計り、試験後の試料に対する通過率を求めた。
【0092】
<溶解性>
1Lビーカー(内径105mm)に5℃の硬水(71.2mgCaCO3 /L、Ca/Mgのモル比7/3)1 Lを入れ、攪拌子(長さ35mm、直径8mm)の回転数800rpmにて撹拌下、洗浄剤組成物1gを投入し、60秒間攪拌してJIS Z 8801−1:2000規定の標準篩(目開き74μm)を通過させた。この時の篩い上の状態を以下の基準で目視判定した。
評価基準 ◎:残留物が全く無い
○:残留物が極僅か確認できる
×:残留物が明らかに確認できる。
【0093】
【表1】

【0094】
なお、表中の化合物は、以下のものを用いた。
共重合体1:特許第2574144号記載の実施例1−1に記載の方法で得られたマレイン酸系共重合体、その製造方法および用途:(イ)
共重合体2:特許第2574144号記載の実施例2−1に記載の方法で得られたマレイン酸系共重合体、その製造方法および用途:(ロ)
共重合体3:特許第3398837号記載の実施例1に記載の方法で得られたアクリル酸(塩)−マレイン酸(塩)系共重合体、その製造方法および洗剤組成物:(ハ)
共重合体4:特許第3399874号記載の実施例A−1に記載の方法で得られた洗剤ビルダー、その製法、及びポリ(メタ)アクリル酸(塩)ならびにその用途:(ニ)
共重合体5:特許第2574144号記載の比較例1−1に記載の方法で得られたマレイン酸系共重合体、その製造方法および用途
LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜13)ベンゼンスルホン酸塩ナトリウム
AS−Na:アルキル硫酸ナトリウム(C12アルコール50%及びC14アルコール50%の混合アルコールの硫酸化物)
α−SFE−Na:α−スルホ脂肪酸(パーム油由来)エチルエステルナトリウム
石鹸:脂肪酸(炭素数14〜18)ナトリウム
ノニオン:アルキル基の炭素数12〜16、EOp6.0のポリオキシエチレンアルキルエーテル
PEG:ポリエチレングリコール(重量平均分子量8500)
蛍光染料:チノパールCBS−X(チバガイギー社製)とホワイテックスSA〔住友化学工業(株)製〕とを1/1(重量比)で配合
酵素:セルラーゼK(特開昭63−264699号公報記載)、リポラーゼ100T(ノボ社製)を3:1の質量比で混合したもの
漂白剤:炭酸ナトリウム・過酸化水素付加物(特開2000- 256699号公報の段落0019記載の漂白剤粒子)
漂白活性化剤:ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの造粒物(特開2000- 256699号公報の段落0018記載の漂白活性剤粒子)
【0095】
表1の結果より、実施例1〜8で得られた粉末洗浄剤組成物は、いずれも、比較例1〜4で得られた粉末洗浄剤組成物に比べて、生産性、耐ケーキング性および溶解性のいずれも優れたものであることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、例えば、衣料用洗剤、自動食器洗い洗浄機用洗剤等に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体0. 1〜18質量%、
(イ)重量平均分子量が1000〜100000、カルシウムイオン捕捉能(1)が炭酸カルシウム換算値として300 mgCaCO3 /g以上、クレイ分散能が1.2 以上であるマレイン酸系共重合体、
(ロ)クレイに対する吸着量が20%〜90%、カルシウムイオンに対する安定度定数が4.0 以上であるマレイン酸系共重合体、
(ハ)高硬度水(11.5ドイツ硬度)でのクレイ分散能が50%以上であり、カルシウムイオン捕捉能(2)が270mgCaCO3 /g以上である、アクリル酸−マレイン酸系共重合体、
(ニ)耐ゲル化能(A)とキレート能(mgCaCO3 /g)(B)との積(A×B)が18,000以上であるポリ(メタ)アクリル酸系共重合体、
(b)水不溶性固体5〜40質量%、
(c)アルカリ金属の硫酸塩0. 5〜40質量%、
(d)水(JIS K 3362:1998記載の過熱減量法による水分)0. 1〜15質量%、ならびに
界面活性剤
を含有し、
JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分10〜60質量%、
(a)成分/(c)成分の質量比が5/1〜1/10、
(a)成分/(d)成分の質量比が5/1〜1/5、
(b)成分/JIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分の質量比が3/1〜1/3、
である粉末洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分、要すれば界面活性剤を含有するスラリーを調製する工程、該スラリーを乾燥する工程、要すれば該スラリー乾燥物と界面活性剤とを混合する工程を有する請求項1記載の粉末洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項3】
(d)成分、(c)成分、(a)成分、(b)成分の順で混合装置に添加してスラリーを調製する請求項2記載の粉末洗浄剤組成物の製造方法。

【公開番号】特開2006−56994(P2006−56994A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240045(P2004−240045)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】