説明

粉末洗浄剤組成物

【課題】 一般家庭における通常の洗濯工程において、被洗浄物を繊維の中から改質し、繊維製品に持続性のあるハリ・コシを付与する粉末洗浄剤組成物及びそれを用いた洗浄方法の提供。
【解決手段】 (a)オルガノシリコネート、(b)界面活性剤、及び(c)アルミノケイ酸塩を含有する粉末洗浄剤組成物、この粉末洗浄剤組成物で被洗浄物を洗浄後、被洗浄物を50℃以上に加熱する工程を有する繊維製品の洗浄方法、並びにこの粉末洗浄剤組成物で被洗浄物を洗浄後、被洗浄物を酸性成分と接触させる工程を有する繊維製品の洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗浄剤組成物及びこれを用いる繊維製品の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類等の繊維製品は着用、洗浄を繰り返すうちに次第にハリ・コシがなくなり、肌触りが悪くなったり着用時のシルエットが崩れる傾向にある。従来、この様な衣類の変化した風合いを回復するために、通常の衣料用洗剤で洗浄後に衣類を糊剤等を用いて高分子により繊維表面をコートすることで、ハリ・コシを回復させていた。
【0003】
また、多価アルコール(例えば、特許文献1参照)や重合度2ないし3のオリゴ糖(例えば、特許文献2参照)を衣類表面に付着させる繊維製品用仕上げ剤が知られている。
【0004】
また、洗浄と同時に衣類にハリを与える、特定構造のポリマーとアミノ変性シリコーンを含有する洗浄剤組成物(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0005】
これらは、繊維製品の繊維それ自体を改質するのではなく、繊維表面に付着し効果を発現するものであり、同じ処理を持続しなければ効果を喪失することになる。
【0006】
一方、布帛にハリ・コシを付与する耐久性のある処理として、ポリビニルアルコールとエポキシ樹脂等の架橋剤を布帛に施与する方法(例えば、特許文献4参照)が知られているが、120℃以上でのキュアリングが必要であり、一般家庭での処理に適さない。
【特許文献1】特開平10−25661号公報
【特許文献2】特開2004−36064号公報
【特許文献3】特開平10−140183号公報
【特許文献4】特開平5−44166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、一般家庭における通常の洗濯工程において、被洗浄物を繊維の中から改質し、繊維製品に持続性のあるハリ・コシを付与する粉末洗浄剤組成物及びそれを用いた洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)オルガノシリコネート、(b)界面活性剤、及び(c)アルミノケイ酸塩を含有する粉末洗浄剤組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、上記の本発明に係わる粉末洗浄剤組成物で被洗浄物を洗浄後、被洗浄物を50℃以上に加熱する工程を有する繊維製品の洗浄方法に関する。
【0010】
さらにまた、本発明は、上記の本発明に係わる粉末洗浄剤組成物で被洗浄物を洗浄後、被洗浄物を酸性成分と接触させる工程を有する繊維製品の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粉末洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法により、一般家庭における通常の洗濯工程において、被洗浄物を繊維の中から改質し、繊維製品に持続性のあるハリ・コシを付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[(a)成分:オルガノシリコネート]
本発明において、オルガノシリコネートとは、珪素原子上に少なくとも1個の炭化水素基を有し、更にシリコネート基[−SiO-+(式中、Mは1価の陽イオンを形成しうる基を示す)]を有する有機珪酸塩化合物を指す。
【0013】
オルガノシリコネートは、部分縮合生成物(二量体、三量体、四量体等)であってもよいが、単繊維内への浸透のし易さから四量体以下が好ましく、二量体以下が更に好ましく、単量体がもっとも好ましい。
【0014】
オルガノシリコネートとしては、下記一般式(I)で表されるオルガノシリコネートが好ましい。
【0015】
1p−Si(O-+)q(OH)4-p-q (I)
〔式中、R1は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はフェニル基を示し、Mは1価の陽イオンを形成しうる基を示し、pは1又は2の整数を示し、qは0.1〜(4−p)の範囲の数を示し、複数個のR1及びMはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
一般式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等のアルキル基やフェニル基が好ましく挙げられる。繊維の柔軟性を向上させるには炭素数は広い範囲のものを用いることができる。繊維の乾燥速度を向上させるにはメチル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。繊維の強靱性を向上させるには、メチル基が最も好ましい。
【0016】
Mとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、アンモニウム基、ホスホニウム基等が挙げられ、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、及びアンモニウム基が好ましく、ナトリウム及びアンモニウム基がより好ましい。
【0017】
ケイ素原子数に対するMの個数、すなわちqは、オルガノシリコネートの水溶性の観点より、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。また、全ての水酸基がO-+となり、4−p−qの値が0であっても差し支えない。
【0018】
また、オルガノシリコネートは単一のものを用いてもよいが、下記一般式(II)で表されるモノアルキルシリコネート(以下モノアルキルシリコネート(II)という)と、一般式(III)で表されるジアルキルシリコネート(以下ジアルキルシリコネート(III)という)の両方を含んでもよい。
【0019】
1Si(O-+)n(OH)3-n (II)
12Si(O-+)m(OH)2-m (III)
〔式中、R1及びMは前記と同じ意味を示し、複数個のR1及びMはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0.1〜3の数、mは0.1〜2の数を示す。〕
一般式(II)及び(III)において同一のR1及びMを有するオルガノシリコネートを用いてもよいが、異なるR1及びMを有するオルガノシリコネートを用いても差し支えない。
【0020】
好ましいR1及びMは一般式(I)におけるものと同様である。より具体的には、モノアルキルシリコネート(II)としては、リチウムメチルシリコネート、ナトリウムメチルシリコネート、カリウムメチルシリコネート、ナトリウムエチルシリコネート、ナトリウムプロピルシリコネートが好ましく例示され、ナトリウムメチルシリコネートが特に好ましい。ジアルキルシリコネート(III)としてはナトリウムジメチルシリコネート、ナトリウムジエチルシリコネート、ナトリウムメチルエチルシリコネートが好ましく例示され、ナトリウムジメチルシリコネートがより好ましい。
【0021】
モノアルキルシリコネート(II)とジアルキルシリコネート(III)の混合比は、モノアルキルシリコネート(II)/ジアルキルシリコネート(III)の質量比で、95/5〜0/100の範囲であることが好ましく、95/5〜5/95の範囲がより好ましい。
【0022】
繊維の乾燥速度を向上させるには、(II)/(III)の質量比の範囲が95/5〜30/70の範囲であることがより好ましく、90/10〜50/50がさらに好ましく、90/10〜70/30であることが特に好ましい。
【0023】
繊維の柔軟性を向上させるには、(II)/(III)の質量比の範囲が70/30〜0/100の範囲であることがより好ましく、50/50〜0/100であることがさらに好ましく、30/70〜0/100であることが特に好ましい。
【0024】
繊維の強靱性を向上させるには、(II)/(III)の質量比の範囲が95/5〜30/70の範囲であることがより好ましく、95/5〜50/50であることがさらに好ましく、95/5〜70/30であることが特に好ましい。
【0025】
n及びmは0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。繊維の吸水性や吸湿性をより良好にするためには、nは0.5〜1.5が好ましく、0.5〜1.2がより好ましく、mは0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。
【0026】
[(b)成分]
本発明の(b)成分である界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれをも使用することができる。
【0027】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。
【0028】
陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。陰イオン界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアンモニウムイオン(例えばモノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、トリイソプロパノールアンモニウムイオン等)を挙げることができる。
【0029】
陽イオン界面活性剤としては、次の一般式(IV)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0030】
【化1】

【0031】
〔式中、R2及びR3は各々独立して水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示し、同時に水素原子又はベンジル基となる場合、及び、炭素数1〜3の低級アルキル基となる場合を除く。An-はアニオンを示す。〕
一般式(IV)において、R2及びR3は、その一方が炭素数16〜24、更には22のアルキル基、特に直鎖アルキル基であるのが好ましく、また他方は炭素数1〜3の低級アルキル基、特にメチル基であるのが好ましい。アニオンAn-としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン;メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、炭酸メチルイオン、サッカリネートイオン等の有機アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンが好ましい。
【0032】
陽イオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0033】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0034】
(b)成分としては、非イオン界面活性剤及び/又は陰イオン界面活性剤を含有することが好ましく、非イオン界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を含有することがより好ましい。
【0035】
[(c)成分]
本発明の(c)成分であるアルミノケイ酸塩としては、結晶性及び/又は非晶質アルミノケイ酸塩を用いることができるが、ゼオライトが好ましい。ゼオライトとしてはチャバザイト、モンデナイト、エリオナイト、ホージャサイト、クリノプチロライトなどの天然ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、L型ゼオライト、オメガ型ゼオライト、P型ゼオライト、MAP型ゼオライト等の合成ゼオライトが挙げられる。品質安定の観点から合成ゼオライトが好ましい。
【0036】
[粉末洗浄剤組成物]
本発明の粉末洗浄剤組成物は、上記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する。(a)成分の含有量は、繊維製品へのハリ・コシ付与、粉末物性の観点から、本発明の粉末洗浄剤組成物中0.5〜50質量%が好ましく、1〜45質量%がより好ましく、3〜40質量%が更に好ましい。(b)成分の含有量は、洗浄性能、繊維製品へのハリ・コシ付与、溶解性の観点から、本発明の粉末洗浄剤組成物中10〜40質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましく、18〜30質量%が更に好ましい。(c)成分の含有量は、洗浄性能、繊維製品へのハリ・コシ付与、粉末物性の観点から、本発明の粉末洗浄剤組成物中5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、15〜40質量%が更に好ましい。
【0037】
本発明の粉末洗浄剤組成物には、洗剤の分野で公知のビルダー、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、柔軟化剤、漂白剤、漂白活性化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、香料、酵素(セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、ペプチナーゼ、リパーゼ、デキストラナーゼ等)、酵素安定化剤、着色剤等を含有させることができる。
【0038】
本発明の粉末洗浄剤組成物は溶解性の点で、JIS K 3362:1998により規定された方法で測定する見掛け密度が1600g/L以下であることが好ましく、1300g/L以下がより好ましく、1000g/L以下が更に好ましい。また、利便性や廃棄物(例えば箱等)低減の点で、見掛け密度は300g/L以上であることが好ましく、600g/L以上がより好ましく、700g/L以上が更に好ましい。
【0039】
本発明の粉末洗浄剤組成物は溶解性の点で、JIS Z 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる質量分率から求める平均粒径が150〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは150〜800μm、更に好ましくは180〜600μmである。
【0040】
本発明の粉末洗浄剤組成物は洗浄性能、損傷性の点で、JIS K 3362:1998記載の20℃で測定する0.1質量%水溶液のpHが8〜12であることが好ましく、9〜11.5がより好ましく、9.5〜11が更に好ましく、10〜11が特に好ましい。pH調整剤によりこのような範囲になるように調整することが好ましく、pH調整剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩等を用いることができる。
【0041】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、利便性の点で、更に圧縮して錠剤形態にしても良いし、1回の使用量を水溶性或いは水不溶性の容器に収納することもできる。
【0042】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、流動性及び非ケーキング性の点で、表面被覆剤により表面改質を行うことが好ましい。表面被覆剤の量は洗浄剤粒子中1〜30質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%が更に好ましい。
【0043】
表面被覆剤としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物、金属石鹸、粉末の界面活性剤等の微粉体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩等のポリカルボン酸塩等の水溶性ポリマー;脂肪酸が挙げられる。中でも水不溶性無機物が好ましく、特に結晶性アルミノケイ酸塩、非晶質アルミノケイ酸塩、結晶性シリケート化合物が好ましい。
【0044】
[繊維製品の洗浄方法]
本発明の洗浄に適する繊維製品としては、綿、麻等の植物繊維、ウール、絹等の動物繊維である天然繊維;レーヨン、アセテート、キュプラ等の再生セルロース繊維;ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維;及びこれらの混紡繊維が挙げられ、天然繊維、及び天然繊維を含む混紡繊維が好ましい。
【0045】
本発明の粉末洗浄剤組成物を水に溶解させて洗浄液を製造し、被洗浄物と接触させると、(a)成分は容易に繊維内部に侵入する。(a)成分を繊維内部に十分に浸透させるために、繊維に接触させておく時間は、5〜90分、特に10〜60分が好ましく、15〜50分がより好ましく、20〜40分が更に好ましい。接触後一定時間放置することで、(a)成分は繊維内部まで浸透する。この間、攪拌を行っても良いし、静置しても良い。
【0046】
繊維製品に十分なハリ・コシを付与する観点から、洗浄液中の(a)成分は、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜3質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が更に好ましい。
【0047】
(a)成分を繊維内部に浸透させた後、乾燥、加熱、或いは酸性成分との接触によって、(a)成分の重合を促進させることができる。これにより、繊維内部に(a)成分の重合物を形成し持続性のあるハリ・コシを付与することができる。重合工程後、さらに水洗することで過剰の重合物が除去され、より生来の繊維の風合いを保つことができる。
【0048】
重合促進として具体的には室内干し、屋外干し、温風乾燥やプレス加熱が例示される。乾燥温度は特に限定されないが、0〜150℃の範囲で好ましく行うことができる。120℃以下(より好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下)で乾燥させることで処理後の繊維の吸水性を高く維持することができる。また、50℃以上で、より好ましくは60℃以上の温度で乾燥させることで乾燥時間を短縮することができるほか、繊維の柔軟性及び強靱性をより効果的に増大させることができる。
【0049】
また、酸性成分との接触として、酸には特に限定はなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、シュウ酸、クエン酸、酢酸等の有機酸が好ましく用いられる。繊維内部に(a)成分を浸透させた繊維製品に、好ましくは酸性水溶液を接触させることで重合を促進させることができる。
【0050】
[改質繊維]
本発明の洗浄方法により改質された改質繊維は、オルガノシリコネートの重合体を単繊維表面及び/又は単繊維内部に含有する。オルガノシリコネートの重合体の存在は、繊維断面をエネルギー分散型X線分析装置(EDS)により分析した場合に単繊維表面及び/又は単繊維内部にケイ素が検出されることで確認できる。
【0051】
単繊維表面が単繊維直径の1/10以下の厚さでオルガノシリコネートの重合体によって被覆されている改質繊維が、繊維が本来具備している特徴を維持する観点から好ましい。
【実施例】
【0052】
実施例1
表1に記載の成分を用い、表1に示す組成の粉末洗浄剤組成物を調製した。得られた粉末洗浄剤組成物について、以下の方法でハリ・コシ及び耐久性を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
<ハリ・コシ評価方法>
ターゴトメーター型洗浄試験機を使用し、水道水500mL、粉末洗浄剤組成物100gを洗浄槽(内容積1000mL)に入れ良く分散した後、木綿ブロード#60布100gを入れ50回転/分の撹拌速度で15分間攪拌した。その後、下記方法A又はBにより乾燥した。
【0054】
乾燥方法A:20℃、65%相対湿度の恒温恒湿室にて一昼夜乾燥
乾燥方法B:ドラム式乾燥機を用いて乾燥
上記処理布をJIS L 1096:1999 8.19 剛軟性 8.19.1A法(45°カンチレバー法)に従い剛軟性を測定し、以下の評価基準により評価した。
・評価基準
◎:10〜15mm
○:8〜9mm又は16〜17mm
×:7mm以下又は18mm以上
<耐久性試験>
ハリ・コシ評価方法で乾燥した木綿ブロード#60布を、ターゴトメーター型洗浄試験機を使用し、水道水1000mL、JIS K3362:1998記載の洗浄力判定用指標洗剤(蛍光増白剤無配合)を標準量使用し、100回転/分の攪拌速度で15分間攪拌し、濯ぎ、乾燥する洗浄工程を5回繰り返した。この処理布をJIS L 1096:1999 8.19 剛軟性 8.19.1A法(45°カンチレバー法)に従い剛軟性を測定し、以下の評価基準により評価した。
・評価基準
◎:10〜15mm
○:8〜9mm又は16〜17mm
×:7mm以下又は18mm以上
【0055】
【表1】

【0056】
*1 オルガノシリコネート1:式(II)中のR1=CH3、M=Na、n=1の化合物
*2 オルガノシリコネート2:式(III)中のR1=CH3、M=Na、m=1の化合物
*3 オルガノシリコネート3:オルガノシリコネート1/オルガノシリコネート2=9/1(質量比)の混合物
*4 オルガノシリコネート4:オルガノシリコネート1/オルガノシリコネート2=8/2(質量比)の混合物
*5 オルガノシリコネート5:オルガノシリコネート1/オルガノシリコネート2=7/3(質量比)の混合物
*6 LAS−Na:アルキル基の炭素数が10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*7 α−SFE:脂肪酸残基の炭素数が14〜18のα−スルホ脂肪酸メチルエステル
*8 石鹸:パーム核油脂肪酸ナトリウム
*9 ノニオン1:アルキル基の炭素数が12〜14でエチレンオキサイド平均付加モル数が7であるポリオキシエチレンアルキルエーテル
*10 STPP:トリポリリン酸ナトリウム
*11 PEG:ポリエチレングリコール(重量平均分子量13000)
*12 ポリアクリル酸Na:重量平均分子量10000
*13 蛍光染料:チノパールCBS−X(チバガイギー社製)
*14 酵素:セルラーゼK(特開昭63−264699号公報記載)、リポラーゼ100T(ノボ社製)を3:1の質量比で混合したもの

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)オルガノシリコネート、(b)界面活性剤、及び(c)アルミノケイ酸塩を含有する粉末洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a)成分のオルガノシリコネートが、一般式(I)で表されるオルガノシリコネートである請求項1記載の粉末洗浄剤組成物。
1p−Si(O-+)q(OH)4-p-q (I)
〔式中、R1は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はフェニル基を示し、Mは1価の陽イオンを形成しうる基を示し、pは1又は2の整数を示し、qは0.1〜(4−p)の範囲の数を示し、複数個のR1及びMはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
【請求項3】
(a)成分のオルガノシリコネートが、一般式(II)で表されるモノアルキルシリコネートと、一般式(III)で表されるジアルキルシリコネートを含む、請求項1又は2記載の粉末洗浄剤組成物。
1Si(O-+)n(OH)3-n (II)
12Si(O-+)m(OH)2-m (III)
〔式中、R1及びMは請求項2と同じ意味を示し、複数個のR1及びMはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0.1〜3の数、mは0.1〜2の数を示す。〕
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の粉末洗浄剤組成物で被洗浄物を洗浄後、被洗浄物を50℃以上に加熱する工程を有する繊維製品の洗浄方法。
【請求項5】
請求項1〜3いずれかに記載の粉末洗浄剤組成物で被洗浄物を洗浄後、被洗浄物を酸性成分と接触させる工程を有する繊維製品の洗浄方法。

【公開番号】特開2008−144055(P2008−144055A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333430(P2006−333430)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】