説明

粉砕トナーの製造方法、粉砕トナー製造のための気流粉砕機及び粉砕トナー製造のための気流分級機

【課題】粉砕効率及び/又は分級効率の改善された粉砕トナーの製造方法、粉砕トナー製造のための気流粉砕機及び粉砕トナー製造のための気流分級機を提供すること。
【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、混練物を冷却固化した後、粗粉砕する工程、前記粗粉砕物をイオン化手段を備える気流粉砕機により微粉砕する工程、及び前記微粉砕物を分級する工程を具備し、前記気流粉砕機による微粉砕工程において、前記イオン化手段により気流粉砕に用いる空気をイオン化し、静電凝集した粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕トナーの製造方法、粉砕トナー製造のための気流粉砕機及び粉砕トナー製造のための気流分級機に係り、特に、粉砕効率、分級効率を改善した粉砕トナーの製造方法、粉砕トナー製造のための気流粉砕機及び粉砕トナー製造のための気流分級機に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタによる画像形成において、省エネのためにプリンタの低温定着及びトナーの低消費量を実現することが求められており、そのための方法として、トナーの粒子径を小さくすることが必要となっている。
このような小粒径トナーを得るための粉砕トナーの製造プロセスにおいて、微粉砕工程に用いられる粉砕機として、気流式粉砕機及び機械式粉砕機が利用可能である。これらの粉砕機の中では、気流式粉砕機の方がより小粒子径に粉砕する能力に優れており、最近求められる小粒子径トナー製造に、気流式粉砕機が一般的には用いられている。
【0003】
しかしながら、トナーの小粒子径化にともない、粉砕に要するエネルギーが増大しており、また気流式粉砕機を用いても技術的な難易度も高くなってきている。小粒子径トナーへの粉砕を困難にしている原因のひとつとして、粒子同士が静電凝集する力が大きくなっていることが知られている。粒子同士の凝集力が強くなると、本来、粉砕機内において粒子の粉砕に使用されるべきエネルギーが凝集を解くことに使用されて、粒子の粉砕に十分なエネルギーが使用されなくなる、すなわち粉砕の効率を低下させている。
【0004】
微粉砕工程に続く分級工程においても、粒子が静電凝集していると、本来の粒子径より凝集体が大きくなるため、正確な分級を行うのが困難となる。
これまで、粉砕・分級機に除電機を取り付けることにより、粒子を除電し、粒子の凝集を解いて、分級効率を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)が、これらは廃プラスチックの粉砕や微粉炭の粉砕に用いるものであり、特に静電凝集し易いトナーの製造に用いるものではなく、また粉砕効率を改善するものではない。
【0005】
【特許文献1】特許第2055753号公報
【0006】
【特許文献2】特開2006−272279号公報
【0007】
【特許文献3】特開平8−001096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情の下になされ、粉砕効率及び/又は分級効率の改善された粉砕トナーの製造方法、粉砕トナー製造のための気流粉砕機、及び粉砕トナー製造のための気流分級機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、混練物を冷却固化した後、粗粉砕する工程、前記粗粉砕物をイオン化手段を備える気流粉砕機により微粉砕する工程、及び前記微粉砕物を分級する工程を具備し、前記気流粉砕機による微粉砕工程において、前記イオン化手段により気流粉砕に用いる空気をイオン化し、静電凝集した粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナーの製造方法を提供する。
【0010】
本発明の第2の態様は、結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、混練物を冷却固化した後、粗粉砕する工程、前記粗粉砕物を微粉砕する工程、及び前記微粉砕物をイオン化手段を備える気流分級機により分級する工程を具備し、前記気流分級機による分級工程において、前記イオン化手段により気流分級に用いる空気をイオン化し、静電凝集した微粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナーの製造方法を提供する。
【0011】
本発明の第3の態様は、結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、混練物を冷却固化した後、粗粉砕する工程、前記粗粉砕物をイオン化手段を備える気流粉砕機により微粉砕する工程、及び前記微粉砕物をイオン化手段を備える気流分級機により分級する工程を具備し、前記気流粉砕機による微粉砕工程において、前記イオン化手段により気流粉砕に用いる空気をイオン化し、静電凝集した粉砕物をイオン化された空気により除電し、前記気流分級機による分級工程において、前記イオン化手段により気流分級に用いる空気をイオン化し、静電凝集した微粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナーの製造方法を提供する。
【0012】
本発明の第4の態様は、結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練し、冷却固化し、粗粉砕した後、微粉砕するための気流粉砕機であって、空気取入れ口にイオン化手段を備え、このイオン化手段により前記空気取入れ口から取入れられた気流粉砕に用いる空気をイオン化し、静電凝集した粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナー製造のための気流粉砕機を提供する。
【0013】
本発明の第5の態様は、結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練し、冷却固化し、粗粉砕し、微粉砕した後、分級するための気流分級機であって、空気取入れ口にイオン化手段を備え、このイオン化手段により前記空気取入れ口から取入れられた気流分級に用いる空気をイオン化し、静電凝集した微粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナー製造のための気流分級機を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、気流粉砕機を用いた微粉砕工程において粉砕効率を改善した粉砕トナーの製造方法が提供される。また、気流分級機を用いた分級工程において分級効率を改善した粉砕トナーの製造方法が提供される。また、そのような粉砕トナーの製造方法を実施するための気流粉砕機及び気流分級機が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の第1の実施形態に係る粉砕トナーの製造方法は、結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、混練物を冷却固化し、粗粉砕した後、微粉砕する工程、及び前記粉砕物を分級する工程を具備し、前記微粉砕工程を、イオン化された粉砕空気を用いた気流粉砕機により行うことを特徴とする。
【0016】
図1は、本実施形態に係る粉砕トナーの製造方法に使用される気流粉砕機の一例を示す。図1に示す気流粉砕機において、空気取入れ口1から取入れられた空気は、空気取入れ量を調整するためのルーバー機構2を通り、粉砕機本体3内に導入される。
図2は、図1において円Aで囲まれた部分であるルーバー機構2を取り出して示す図であり、その空気取入れ流路4にはイオン化器5が配置されている。空気取入れ口1から取入れられた空気は、イオン化器5によりイオン化される。イオン化された空気は、空気取入れ量調整用ルーバ6により流量を調整されて、イオン化空気流路7を通して粉砕機本体3内に導入される。
なお、図1に示す気流粉砕機において、前工程からの粗粉砕物は、粗粉砕物取入れ口8から供給され、空気取入れ口1から取入れられた空気の一部により搬送されて、イオン化器5によりイオン化された空気と合流し、粉砕機内での粉砕に供される。
【0017】
一般にトナー粒子は非常に帯電され易いため、粗粉砕の工程において帯電されて、静電凝集してしまう。このような静電凝集した粗粉砕物を微粉砕する場合、粉砕機内では静電凝集を解くために粉砕エネルギーが費やされ、本来の粒子の粉砕に十分な粉砕エネルギーが使用されず、粉砕効率を低下させているという問題がある。
【0018】
本実施形態に係る粉砕トナーの製造方法では、イオン化された空気を用いて気流粉砕を行なっているので、静電凝集した粉砕物はイオン化された空気により除電され、静電凝集が解かれる。その結果、粗粉砕物の微粉砕に十分な粉砕エネルギーが使用され、粉砕効率が向上する。
【0019】
本発明の第2の実施形態に係る粉砕トナーの製造方法は、結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、混練物を冷却固化し、粗粉砕した後、微粉砕する工程、及び前記粉砕物を分級する工程を具備し、前記分級工程を、イオン化された粉砕空気を用いた気流分級機により行うことを特徴とする。
【0020】
本実施形態に係る粉砕トナーの製造方法に使用される気流分級機は、その基本的構成は上述した図1に示す気流粉砕機と同様である。即ち、ルーバー機構2の空気取入れ流路3にはイオン化器4が配置され、空気取入れ口1から取入れられた空気は、イオン化器4によりイオン化され、空気取入れ量調整用ルーバ5により流量を調整されて、流路6を通して分級機内に導入される。
【0021】
上述したように、トナー粒子は非常に帯電され易いため、微粉砕の工程において帯電されて、静電凝集してしまう。このような静電凝集した微粉砕物を分級する場合、本来の粒子径より凝集体が大きくなるため、正確な分級を行なうことが困難となる。
本実施形態に係る粉砕トナーの製造方法では、イオン化された空気を用いて気流分散を行なっているので、静電凝集した微粉砕物はイオン化された空気により除電され、静電凝集が解かれる。その結果、微粉砕物は本来の粒子径を有するため、正確な分級を行なうことができ、分級効率が向上する。また、分級機の機壁への静電付着も低減される。
【0022】
本発明の第3の実施形態に係る粉砕トナーの製造方法は、結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、混練物を冷却固化し、粗粉砕した後、微粉砕する工程、及び前記粉砕物を分級する工程を具備し、前記微粉砕工程を、イオン化された粉砕空気を用いた気流粉砕機により行うとともに、前記分級工程を、イオン化された粉砕空気を用いた気流分級機により行うことを特徴とする。
【0023】
本実施形態は、第1の実施形態と第2の実施形態の組合せに係るものであり、空気のイオン化及びイオン化された空気による除電のメカニズムは、上述したとおりである。本実施形態に係る粉砕トナーの製造方法は、粉砕効率の向上効果と、分級効率の向上効果を併せ有する。
【0024】
以上の本発明の第1〜第3の実施形態に係る粉砕トナーの製造方法において、結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中では、ポリエステル樹脂が好ましい。
着色剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0025】
トナーには、更に離型剤、帯電制御剤等を添加することができる。帯電制御剤及び離型剤としては、従来公知の離型剤を用いることができる。そのような離型剤として、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィン等の極性の低いもの或いはカルナバワックス、エステル系等の極性の高いものを挙げることが出来る。また、エマルジョンタイプのカルボキシル基変性ポリオレフィンとして、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1等のオレフィン単位を骨格としてカルボキシル基を有するように変性され、かつアンモニアまたはアミンでカルボキシル基の少なくとも一部が中和されたポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を使用することも可能である。これらのワックスのうち、カルナバワックスが好ましい。
【0026】
本発明の第1〜第3の実施形態に係る粉砕トナーの製造方法は、次のようにして行われる。
まず、結着樹脂、着色剤、離型剤、及び帯電制御剤等の材料の計量を行い、計量された材料を混合機により混合する。混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、V型ブレンダー、ナウターミキサー等、任意のものを用いることが出来る。
原料混合物は、次いで混練機に供給され、そこで溶融混練される。混練機としては、二軸押出し混練機及び単軸押出し混練機等の押出し混練機、連続式2本ロールミル、連続式3本ロールミル及びバッチ式ロールミル等のオープンロール型混練機等、任意の型のものを用いることができる。
【0027】
混練機から排出された溶融混練物は、通常、トナーの製造に用いられる方法に従って、冷却され、粗粉砕される。これによって得た粗粉砕物を微粉砕し、次いで気流分級機により所定の粒度に分級して、トナー粒子母体が得られる。
この場合、粗粉砕物の微粉砕に用いる粉砕機として、図1に示すようなイオン化器を備えたものを用いる。また、気流分級機として、図1に示すようなイオン化器を備えたものを用いることができる。あるいはまた、両者を併用することができる。
【0028】
このようにして得たトナー粒子母体に、シリカ等の外添剤を加え、混合・攪拌することにより、粉砕トナーが得られる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1
バインダーとしてポリエステル樹脂(花王(株)製)94質量部、帯電制御剤としてLR−147(日本カーリット(株)製)1質量部、顔料としてマゼンタ顔料R−57:1(大日精化工業(株)製)4質量部、ワックスとしてカルナバ1号(加藤洋行(株)製)3質量部をミキサーにて混合した後、2軸押出混練機にて混練を行い、得られた混練物を冷却した後、フェザーミルにて2mm以下のサイズまで粗粉砕した。
次いで、IDS−2型衝突板式粉砕機(日本ニューマチック工業(株)製)により微粉砕を行った。この際、粉砕エアーを取り込むルーバー位置にコロナ放電式のイオン化機器68kHz−AC放電、出力電圧±2kV)を取り付けて微粉砕を行った。
その結果、中心粒子径(D50(体積))8.0μm、5μm以下の粒子個数比率が67.1%の粒子が得られた。
【0029】
実施例2
顔料としてシアン顔料B−15:3(大日精化工業(株)製)3質量部を用いたほかは実施例1と同様の手順を実施した。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.1μm、5μm以下の粒子個数比率が65.7%の粒子が得られた。
実施例3
顔料としてイエロー顔料Y−185(大日精化工業(株)製)3質量部を用いたほかは実施例1と同様の手順を実施した。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.1μm、5μm以下の粒子個数比率が64.2%の粒子が得られた。
【0030】
実施例4
顔料としてカーボンブラック(キャボット製)4質量部を用いたほかは実施例1と同様の手順を実施した。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.0μm、5μm以下の粒子個数比率が68.9%の粒子が得られた。
比較例1
実施例1と同様のトナーの粗粉砕物を、IDS−2型衝突板式粉砕機(日本ニューマチック工業(株)製)により、イオン化器を取り付けていない他は同一条件にて微粉砕を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.2μm、5μm以下の粒子個数比率が59.8%の粒子が得られた。
【0031】
比較例2
実施例2と同様のトナーの粗粉砕物を、IDS−2型衝突板式粉砕機(日本ニューマチック工業(株)製)により、イオン化器を取り付けていない他は同一条件にて微粉砕を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.3μm、5μm以下の粒子個数比率が58.2%の粒子が得られた。
【0032】
比較例3
実施例3と同様のトナーの粗粉砕物を、IDS−2型衝突板式粉砕機(日本ニューマチック工業(株)製)により、イオン化器を取り付けていない他は同一条件にて微粉砕を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.3μm、5μm以下の粒子個数比率が58.8%の粒子が得られた。
【0033】
比較例4
実施例4と同様のトナーの粗粉砕物を、IDS−2型衝突板式粉砕機(日本ニューマチック工業(株)製)により、イオン化器を取り付けていない他は同一条件にて微粉砕を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積)8.2μm、5μm以下の粒子個数比率が60.9%の粒子が得られた。
【0034】
以上の結果を下記表1にまとめた。
【0035】
【表1】

上記表1より、イオン化器を備えた気流式粉砕機を用いて得た粒子(実施例1〜4)は、イオン化器を備えていない気流式粉砕機を用いて得た粒子(比較例1〜4)に比べ、5μm以下の粒子の数が増大し、それに伴い平均粒子径D50も小さくなっていることがわかる。すなわち、粉砕性の向上が見られた。
【0036】
実施例5
実施例1にて得られた粉砕微粒子(中心粒子径(D50(体積))8.0μm、5%以下の粒子個数比率が67.1%)についてDSX−2型気流式分級機(日本ニューマチック工業(株)製)により分級を行った。空気を取り込むルーバー位置にコロナ放電式のイオン化器を取り付けて分級を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.9μm、5μm以下の粒子個数比率が9.3%の粒子が得られた。
【0037】
実施例6
実施例2にて得られた粉砕微粒子(中心粒子径(D50(体積))8.1μm、5%以下の粒子個数比率が65.7%)について実施例5と同様に分級を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.9μm、5μm以下の粒子個数比率が9.6%の粒子が得られた。
【0038】
実施例7
実施例3にて得られた粉砕微粒子(中心粒子径(D50(体積))8.1μm、5%以下の粒子個数比率が64.2%)について実施例5と同様に分級を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.8μm、5μm以下の粒子個数比率が10.3%の粒子が得られた。
【0039】
実施例8
実施例4にて得られた粉砕微粒子(中心粒子径(D50(体積))8.0μm、5%以下の粒子個数比率が68.9%)について実施例5と同様に分級を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.9μm、5μm以下の粒子個数比率が10.2%の粒子が得られた。
【0040】
比較例5
実施例1にて得られた粉砕微粒子(中心粒子径(D50(体積))8.0μm、5%以下の粒子個数比率が67.1%)について、イオン化器を取り付けないDSX−2型気流式分級機(日本ニューマチック工業(株)製)を用いたほかは実施例5と同様に分級を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.8μm、5μm以下の粒子個数比率が15.7%の粒子が得られた。
【0041】
比較例6
実施例2にて得られた粉砕微粒子(中心粒子径(D50(体積))8.1μm、5%以下の粒子個数比率が65.7%)について比較例5と同様に分級を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.8μm、5μm以下の粒子個数比率が13.7%の粒子が得られた。
【0042】
比較例7
実施例3にて得られた粉砕微粒子(中心粒子径(D50(体積))8.1μm、5%以下の粒子個数比率が64.2%)について実施例5と同様に分級を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.8μm、5μm以下の粒子個数比率が14.8%の粒子が得られた。
【0043】
比較例8
実施例4にて得られた粉砕微粒子(中心粒子径(D50(体積))8.0μm、5%以下の粒子個数比率が68.9%)について実施例5と同様に分級を行った。その結果、中心粒子径(D50(体積))8.9μm、5μm以下の粒子個数比率が14.3%の粒子が得られた。
【0044】
以上の結果を下記表2にまとめた。
【0045】
【表2】

上記表2から、イオン化器を備えた気流式分級機を用いて得た粒子(実施例5〜8)は、イオン化器を備えていない気流式分級機を用いて得た粒子(比較例1〜4)に比べ、5μm以下の粒子の数を少なくすることができた。すなわち、より効率よく分級することができた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に用いた気流式粉砕機を示す図。
【図2】図1に示す気流式粉砕機からルーバー機構を取り出して示す図。
【符号の説明】
【0047】
1…空気取入れ口、2…ルーバー機構、3…粉砕機本体、4…空気取入れ流路、5…イオン化器、6…空気取入れ量調整用ルーバ、7…イオン化空気流路、8…粗粉砕物取入れ口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、
混練物を冷却固化した後、粗粉砕する工程、
前記粗粉砕物をイオン化手段を備える気流粉砕機により微粉砕する工程、及び
前記微粉砕物を分級する工程を具備し、
前記気流粉砕機による微粉砕工程において、前記イオン化手段により気流粉砕に用いる空気をイオン化し、静電凝集した粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナーの製造方法。
【請求項2】
結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、
混練物を冷却固化した後、粗粉砕する工程、
前記粗粉砕物を微粉砕する工程、及び
前記微粉砕物をイオン化手段を備える気流分級機により分級する工程を具備し、
前記気流分級機による分級工程において、前記イオン化手段により気流分級に用いる空気をイオン化し、静電凝集した微粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナーの製造方法。
【請求項3】
結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練する工程、
混練物を冷却固化した後、粗粉砕する工程、
前記粗粉砕物をイオン化手段を備える気流粉砕機により微粉砕する工程、及び
前記微粉砕物をイオン化手段を備える気流分級機により分級する工程を具備し、
前記気流粉砕機による微粉砕工程において、前記イオン化手段により気流粉砕に用いる空気をイオン化し、静電凝集した粉砕物をイオン化された空気により除電し、
前記気流分級機による分級工程において、前記イオン化手段により気流分級に用いる空気をイオン化し、静電凝集した微粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナーの製造方法。
【請求項4】
結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練し、冷却固化し、粗粉砕した後、微粉砕するための気流粉砕機であって、空気取入れ口にイオン化手段を備え、このイオン化手段により前記空気取入れ口から取入れられた気流粉砕に用いる空気をイオン化し、静電凝集した粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナー製造のための気流粉砕機。
【請求項5】
結着樹脂及び着色剤を含む原料混合物を溶融混練し、冷却固化し、粗粉砕し、微粉砕した後、分級するための気流分級機であって、空気取入れ口にイオン化手段を備え、このイオン化手段により前記空気取入れ口から取入れられた気流分級に用いる空気をイオン化し、静電凝集した微粉砕物をイオン化された空気により除電することを特徴とする粉砕トナー製造のための気流分級機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−53352(P2009−53352A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218654(P2007−218654)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】