説明

粉砕分級装置

【課題】 粉砕と分級を単一の装置で行うことができ、粗粒子の再循環を内部で行うことができ、粉砕時に一旦分散した粒子を再凝集させることなく分級でき、粉砕し旋回流に同伴された粒子をその旋回流内で分級することができ、これにより分級性能を高め、動力損失を低減することができる粉砕分級装置を提供する。
【解決手段】 外部から回転駆動され鉛直軸を中心に回転する回転軸12と、円筒形の回転ロータ14aとこれを囲む円筒形の固定ライナ14bとを有しその間隙で粉体1を粉砕する粉砕機14と、粉砕機の粉体出口側に位置し粉砕後の粉体を微粒子4と粗粒子5に分級する分級機16と、粉砕機に粉体1を供給する粉体供給ダクト20と、分級機で分級された粗粒子5を粉体供給ダクトに再循環させる再循環装置22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕と分級を単一の装置で行う粉砕分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被粉砕物を微細な粒子に粉砕する装置として、特許文献1、2等が知られている。
【0003】
特許文献1の「微粉砕機」は、粉砕性能の向上を図り、製品の粒度分布を狭くすることを目的とし、図5に示すように、回転軸51に支持され外側表面に母線と平行な多数の凸部を周方向に連続させた回転子52と、回転子の外側に微小な間隙を存して嵌装され内側表面に母線と平行な多数の凸部を周方向に連続させた固定子53との間で被粉砕物を微粉砕する微粉砕機において、
前記回転子52の凹部を一辺が回転子の中心に向き他辺が一辺と45〜60度の角度をなし回転子の回転方向前方が低くなる三角形状になし、
固定子53の凹部を一辺が回転子の中心に向き他辺が一辺と45〜60度の角度をなし回転子の回転方向後方が低くなる三角形状になしたものである。
【0004】
特許文献2の「機械式粉砕装置」は、粒径が小さく、粗大粒子の混入がなく、かつシャープな粒度分布幅の粉砕物を高効率で製造することを目的とし、図6に示すように、回転軸に支持され外周面に複数の溝が形成されたロータ52と、このロータの外側に、このロータの外周面と所望の間隙を有するように嵌装され、その内周面に複数の溝が形成されたライナ53とを備え、前記間隙で被粉砕物を粉砕処理する機械式粉砕装置であって、
前記ロータおよびライナ53の少なくとも一方の溝が、前記回転軸に平行な方向に対し被粉砕物の流れを妨げる方向に傾斜しているものである。
【0005】
【特許文献1】特公平3−15489号公報、「微粉砕機」
【特許文献2】特開平9−201543号公報、「機械式粉砕装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1、2の粉砕機を用い、乾式トナーや粉体塗料のように、直径が数ミクロン程度以下の微細粒子を製造する場合の微粒子製造システムは、粉砕機で粉砕後、別途用意された分級機で所定の粒子径に揃えるか、もしくは、図4に示すような閉回路粉砕システムを構成する必要があった。
すなわち、従来の粉砕機50で粉砕された粉砕粒子は、所望の微細な粒子4(以下、微粒子という)の他に、それより粒径が粗い粗大粒子5(以下、粗粒子という)も通常大量に含んでいる。そこで、粉砕機50で粉砕した粉体を分級機60で分級し、粗粒子5は供給機61で再度粉砕機50に供給する必要があった。
【0007】
そのため、従来の微粒子製造システムでは、粉砕後の分級と粒子循環のため、粉砕機50の他に、分級機60、供給機61およびこれに付随する複数の捕集機62a,62b、集塵機63a,63b、送風機64a,64bや配管ライン等を別個に備える必要があり、全体として複雑かつ大型となる問題点があった。なおこの図で、54は粉砕する粉体を貯蔵する原料貯槽、55は粉体供給機、56は冷風を供給する冷風機である。
【0008】
また、従来の粉砕分級装置では、粉砕機で粉砕し、分級機で分級するため、粉砕時に一旦分散した粒子が、分級の際には再凝集しており、そのため、分級が困難であり、粗粒子が混入しやすい問題点があった。
さらに、従来の粉砕分級装置では、粉砕機で粉砕し旋回流に同伴された粒子を、配管ライン内で通常の流れに戻し、分級機で再度旋回流を形成するため、分級性能が低下するばかりでなく、余分な動力損失が生じる問題点があった。
【0009】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、(1)粉砕と分級を単一の装置で行うことができ、(2)粗粒子の再循環を内部で行うことができ、(3)粉砕時に一旦分散した粒子を再凝集させることなく分級でき、(4)粉砕し旋回流に同伴された粒子をその旋回流内で分級することができ、これにより分級性能を高め、動力損失を低減することができる粉砕分級装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、外部から回転駆動され鉛直な軸心を中心に回転する回転軸と、
該回転軸に固定され鉛直な軸心を中心に回転する円筒形の回転ロータと、これを囲む円筒形の固定ライナとを有し、その間隙で粉体を粉砕する粉砕機と、
該粉砕機の粉体出口側に位置し、前記回転ロータに同軸に連結されて回転し粉砕後の粉体を微粒子と粗粒子に分級する分級機と、
前記粉砕機に粉体を供給する粉体供給ダクトと、
前記分級機で分級された粗粒子を粉体供給ダクトに再循環させる再循環装置と、を備えたことを特徴とする粉砕分級装置が提供される。
【0011】
上記本発明の構成によれば、粉砕機と分級機が、単一の装置内で同一の回転軸で回転されるので、粉砕と分級を単一の装置で行うことができる。
また、再循環装置を備え分級機で分級された粗粒子を粉体供給ダクトに再循環させるので、粗粒子の再循環を内部で行うことができる。
また、分級機が粉砕機の粉体出口側に位置し、回転ロータに同軸に連結されて回転し粉砕後の粉体を微粒子と粗粒子に分級するので、粉砕時に一旦分散した粒子を再凝集させることなく分級でき、かつ粉砕し旋回流に同伴された粒子をその旋回流内で分級することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記粉砕機は、回転ロータの外周面に粉体を捕獲して遠心力を付加する外溝を有し、固定ライナの内周面に粉体の円周移動を阻止する内溝を有する。
この構成により、回転する回転ロータの外溝で粉体を捕獲して遠心力を付加した高速で外方に飛散させ、これを固定ライナの内周面の内溝に衝突させて粉砕することにより、粒子の粉砕効率を高め、動力損失を低減することができる。
【0013】
前記再循環装置は、前記回転ロータの上部に位置して設けられ分級機の外周を取り囲む分級室と、該分級室に外接する延長ダクトと、該延長ダクトに連通し粉体供給ダクトに接続された粒子下降パイプとからなる。
この構成により、延長ダクトと分級室との連通部は、分級羽根から外方に飛散した粗粒子をその旋回速度を維持したまま外周部に導き、延長ダクト方向に誘導する粗粉誘導羽根を設けることで、分級室内の粉体濃度を制限すると共に、分級室内の分級空気分布を均一に分布させることで分級効率を維持することができる。
また粒子下降パイプと粉体供給ダクトとの接続は、搬送ガスのイジェクター効果を惹起する角度をもって接続することで、分離された粗粉は粒子下降パイプを通して粉体供給ダクトに再循環させることができる。
【0014】
前記分級機は、前記回転ロータの上面を塞ぎ回転軸に同軸に固定された下部円板と、該下部円板から軸方向に一定の間隔を隔て中央に貫通孔を有するドーナツ状の上部円板と、該下部円板と上部円板の両方に上下端が固定され周方向に一定の間隔を隔て、半径方向に対し所定の角度をもって取り付けられた複数の分級羽根とを有する。
この構成により、複数の分級羽根で内方に向かうガス流を形成し、粒子に作用する遠心力とガス流の抵抗とのバランスで、微粒子のみを内方に導くと共に、分級羽根との衝突で粗粒子を外方に飛散させることができる。
【0015】
前記分級機に隣接して位置し、分級された微粒子を外部に取り出し、かつ外部から分級機の外側にガスを導入するダクトファンを備える。
この構成により、分級された微粒子を外部に取り出し、かつ外部から分級機の外側にガスを導入することができる。
【0016】
前記ダクトファンは、下端が前記上部円板の中央貫通孔に連結されてこれを塞ぎ、上方に向かって直径が漸減し、回転軸と共に回転しそのまわりに微粒子を通す隙間を形成する中央回転ダクトと、
下端が再循環装置の上部に開口し、前記上部円板の上面から一定の間隔を隔て、中央部に中央回転ダクトを通しその外側にガスを導入するリング状開口を形成する上部ケーシングと、
前記上部円板の上面に固定され周方向に一定の間隔を隔て、半径方向に対し所定の角度をもって取り付けられた複数のガス導入羽根と、を有する。
この構成により、回転する中央回転ダクトの内側を通して分級機で分級された微粒子を外部に取り出すことができる。
また、上部円板と共に回転するガス導入羽根により、上部ケーシングのリング状開口と中央回転ダクトの間を通して、外部から分級機の外側にガスを導入することができる。
【発明の効果】
【0017】
上述した本発明の粉砕分級装置は、以下の効果を有する。
(1) 回転軸により粉砕機と分級機が回転駆動され、かつ再循環装置を内部に備えるので、粉砕から分級まで単一装置により可能となる。
(2) 従って、それぞれ単一機能を有する装置を配管等で接続する必要がなく、全体として構造がシンプルにできかつ小型化できる。
(3) 粉砕機単独による粉砕に比べ、粉砕時に一旦分散した粒子を再凝集させることなく分級でき、かつ粉砕し旋回流に同伴された粒子をその旋回流内で分級することができるので、製品粒径を細かくできる。
(4) 単一機能を有する装置を接続する場合に比べ、分級機への入り粉の分散が良いので、粒子の分級性能を高めることができる。
(5) 複数の分級羽根で内方に向かうガス流を形成し、粒子に作用する遠心力とガス流の抵抗とのバランスで、所望の微粒子を予測できる理想的な分級ができる。
(6) 分級された粗粒子を、分級室内でその旋回速度を維持したまま外周部に導くので、分級機に流入する粒子との干渉が少なく、分級がシャープとなる。
(7) 分級機における流路が簡単で、流路内の詰まりが発生しない。
(8) 装置の開放が容易で、点検、清掃が簡単にできる。
(9) 回転軸は上下の軸受けで保持されており、回転が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の粉砕分級装置の縦断面図である。この図に示すように、本発明の粉砕分級装置10は、回転軸12、粉砕機14、分級機16、ダクトファン18、粉体供給ダクト20、及び再循環装置22を備える。
【0020】
回転軸12は、鉛直な軸心ZZを中心に上下の軸受13で回転可能に支持されており、ケーシング11の外部に設置された高速電動機8で回転駆動され、軸心ZZを中心に回転する。
この回転軸12に粉砕機14、分級機16、及びダクトファン18の後述する回転部が連結され、同一の軸心ZZを中心に同一の回転速度で回転するようになっている。この回転速度は、粉砕機14、分級機16、及びダクトファン18の回転部に必要となる速度、例えば後述する回転ロータの周速が100m/sec以上に設定する。
【0021】
粉砕機14は、回転衝撃式粉砕機であり、円筒形の回転ロータ14aと円筒形の固定ライナ14bからなる。
円筒形の回転ロータ14aは、回転軸12に固定され、鉛直な軸心ZZを中心に回転する。円筒形の固定ライナ14bは、ケーシング11の内側に固定され、回転ロータ14aのまわりを一定の間隙を隔てて囲む。
回転ロータ14aの外周面には、粉体を捕獲して遠心力を付加する外溝(図示せず)を有する。また、固定ライナ14bの内周面には、粉体の円周移動を阻止する内溝(図示せず)を有する。
【0022】
粉体供給ダクト20には、外部から被粉砕物である粉体1と粉体を気流搬送する搬送ガス2(例えば、空気、不活性ガス、窒素ガス等)が供給されガス流に同伴された粉体1が回転ロータ14aと固定ライナ14bの間の間隙を上昇するようになっている。
【0023】
回転ロータ14aと固定ライナ14bの外溝と内溝は、回転する回転ロータ14aの外溝で、ガス流に同伴する粉体1を捕獲して遠心力を付加した高速で外方に飛散させ、これを固定ライナ14bの内周面の内溝に衝突させて粉砕するように、形状や溝の方向が形成されている。
【0024】
図2は、図1のA-A線における断面図である。
図1及び図2において、 分級機16は、粉砕機14の粉体出口側(図1で上側)に位置し、回転ロータ14aに同軸に連結されて回転し、粉砕機14で粉砕後の粉体1を微粒子4と粗粒子5に分級する。
分級機16は、下部円板16a、ドーナツ状の上部円板16b、及び複数の分級羽根17を有する。
【0025】
下部円板16aは、回転ロータ14aの上面を塞ぐ円板であり、回転軸12に同軸に固定されている。ドーナツ状の上部円板16bは、下部円板16aから軸方向(図1で高さ方向)に一定の間隔を隔ており、その中央に貫通孔を有する。この貫通孔は、回転軸12を鉛直に通しそのまわりにガス流に同伴する微粒子4を通す十分な大きさに設定されている。
【0026】
複数の分級羽根17は、下部円板17aと上部円板17bの両方に上下端が固定され、周方向に一定の間隔を隔てている。また各分級羽根17は、半径方向に対し所定の角度をもって取り付けられ、その回転で内方に向かうガス流を形成すると共に、粒子に作用する遠心力とガス流の抵抗とのバランスで遅い速度で内方に向かう粗粒子と衝突し、外方に飛散させるようになっている。従って、分級羽根で形成され内方に向かうガス流に同伴され、かつ粒子に作用する遠心力が小さく、ガス流に近い高速で内方に向かう微粒子のみを内方に導くようになっている。
【0027】
図2において、再循環装置22は、分級室22a、粒子下降パイプ22b及び延長ダクト22cからなる。
分級室22aは、回転ロータ14aの上部に位置して設けられ、分級機の外周を取り囲む。延長ダクト22cは、分級室22aに外接する。
この構成により、延長ダクト22cと分級室22aとの連通部は、分級羽根17から外方に飛散した粗粒子をその旋回速度を維持したまま外周部に導き、延長ダクト方向に誘導する粗粉誘導羽根23を設けることで、分級室内の粉体濃度を制限すると共に、分級室内の分級空気分布を均一に分布させることで分級効率を維持することができる。
【0028】
また、粒子下降パイプ22bは、上端が延長ダクト22cに開口し、下端が粉体供給ダクト20の上部に接続されている。
この構成により、粒子下降パイプ22bと粉体供給ダクト20との接続は、搬送ガスのイジェクター効果を惹起する角度をもって接続することで、分離された粗粉は粒子下降パイプを通して粉体供給ダクトに再循環させることができる。
なお、粒子下降パイプ22bの下方にガスが逆流しないようにフート弁を設けてもよい。また、分級羽根17とダクトファン18で形成されるガス流とのバランスにより、粗粒子5を含むガスが下降するように構成してもよい。
【0029】
図1において、ダクトファン18は、分級機16に隣接して図で上方に位置し、分級された微粒子4を外部に取り出し、かつ外部から分級機16の外側にガス3を導入する機能を有する。
【0030】
ダクトファン18は、中央回転ダクト18a、外部固定ダクト18b、上部ケーシング11a、及び複数のガス導入羽根19からなる。
中央回転ダクト18aは、下端が分級機16の上部円板16bの中央貫通孔に連結されてこれを塞ぎ、内部を微粒子4を同伴するガスを通すようになっている。またこの中央回転ダクト18aは、上方に向かって直径が漸減し、回転軸12と共に回転し、回転軸12のまわりに微粒子4を通す隙間を形成する。
なお、中央回転ダクト18aの上端は、外部に固定された外部固定ダクト18bに隙間をもって嵌合し、外部固定ダクト18bを介して外部に微粒子4を同伴するガスと共に排出するようになっている。この隙間は、ラビリンスシール等でガス漏れを低減するのが好ましい。
【0031】
上部ケーシング11aは、ケーシング11の上部を形成し、下端が再循環装置22の上部に気密に開口する。また上部ケーシング11aは、上部円板16bの上面から一定の間隔を隔て、その中央部に中央回転ダクト18aを通し、かつ中央回転ダクト18aの外側に外部からガス3を導入するリング状開口を形成する。ガス3は、搬送ガス2と同一のガス(例えば、空気、不活性ガス、窒素ガス等)であり、外部に設けられた送風機(図示せず)により供給する。しかし、この送風機は必須ではなく、ガス導入羽根19のみで導入してもよい。
【0032】
複数のガス導入羽根19は、上部円板16bの上面に固定され、周方向に一定の間隔を隔て、かつ半径方向に対し所定の角度をもって取り付けられており、上部円板と共に回転して、上部ケーシング11aのリング状開口と中央回転ダクト18aの間を通して、外部から分級機16の外側にガスを導入する。
【0033】
上述した本発明の構成によれば、粉砕機14と分級機16が、単一の装置内で同一の回転軸12で回転されるので、粉砕と分級を単一の装置で行うことができる。
また、再循環装置22を備え分級機16で分級された粗粒子5を粉体供給ダクト20に再循環させるので、粗大粒子5の再循環を内部で行うことができる。
また、分級機16が粉砕機14の粉体出口側に位置し、回転ロータ14aに同軸に連結されて回転し、粉砕後の粉体を微粒子と粗粒子に分級するので、粉砕時に一旦分散した粒子を再凝集させることなく分級でき、かつ粉砕し旋回流に同伴された粒子をその旋回流内で分級することができる。
【0034】
図3は、本発明の粉砕分級装置を用いた微粒子製造システムの構成図である。この図において、54は粉砕する粉体を貯蔵する原料貯槽、55は粉体供給機、56は冷風を供給する冷風機、62bは捕集機、63bは集塵機、64bは送風機であり、これらは、図4に示した従来の微粒子製造システムと同様である。
【0035】
図3の微粒子製造システムでは、従来例と比較し、分級機60の他に供給機61、捕集機62a、集塵機63a、送風機64aやこれに付随する配管ライン等を省略することができる。
すなわち、本発明の粉砕分級装置を用いた微粒子製造システムでは、それぞれ単一機能を有する装置を配管等で接続する必要がなく、全体として構造がシンプルにできかつ小型化できるという附随した効果も得られる。
【0036】
上述したように、本発明は、従来、個別に準備された回転衝撃式粉砕機と分級機とを一体化し、回転衝撃式粉砕機で発生する遠心力と分級機で必要とする遠心力および粉体の分散を同時に達成するものである。
本発明は、粉砕用の回転ロータの駆動軸と同一軸に分級羽根を取り付けることを特徴としている。
分級羽根は、回転ロータの上部に取り付けられており、回転ロータの下部に投入された原料は、回転ロータとケーシングとの間で衝突粉砕され、原料と一緒に導入されるガス(例えば空気)に同伴されて上部に搬送される。
搬送された粉体は、回転ロータの最終段によって、遠心力が与えられるが、与えられた遠心力は粒子の質量に比例して大きくなる。
ダクトファン18のガス導入羽根19で、導入されたガス(例えば空気)は、分級室に流れ込み、円周方向に均一の空気量分布となり、分級羽根17を経由して、半径方向内方に流入する。
外部に設けられた送風機(図示せず)により、導入された空気は軸心方向に流れを変え、遠心力で外周方向に放出される粉体と空気の中を流れる空気抵抗とが、ある粒子径でバランスすることになる。
粉砕機14、すなわち回転衝撃粉砕ミルにおいて、回転ロータ14aは周速100m/sec以上で回転し、発生した遠心力によりロータ外周に設けられたケーシングライナ(固定ライナ14b)に衝突し粉砕される。
【0037】
従来は、ロータ最終段で遠心力を与えられた粒子は、ケーシングライナ(固定ライナ14b)に衝突することなく、上部から排気され、サイクロン等の捕集機62aで回収されていた。
これに対し本発明では、回転ロータの最終段で与えられた遠心力を分級機16への入り粉遠心力として利用するために、分級機16が回転ロータ14bの上部に接続していることを特徴としている。
回転ロータ14aの周速が速い場合には、粉砕された粉の粉末度は細かくなり、細かい粒子を分級する場合には、分級速度も速くすることが必要である。従って、粉砕用の回転ロータ14aと一体に分級羽根17が取り付けられていることは、回転ロータの速度に対応して分級羽根の速度も速くなる点でも好都合である。
【0038】
なお、本発明は上述した実施例及び実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の粉砕分級装置の縦断面図である。
【図2】図1のA-A線における断面図である。
【図3】本発明の粉砕分級装置を用いた微粒子製造システムの構成図である。
【図4】従来の粉砕機と分級機を用いた微粒子製造システムの構成図である。
【図5】特許文献1の「微粉砕機」の構成図である。
【図6】特許文献2の「機械式粉砕装置」の構成図である。
【符号の説明】
【0040】
1 粉体(被粉砕物)、2 搬送ガス、3 ガス、4 微粒子、5 粗粒子、
8 高速電動機、10 粉砕分級装置、11 ケーシング、11a 上部ケーシング、
12 回転軸、13 軸受、14 粉砕機、
14a 回転ロータ、14b 固定ライナ、
16 分級機、16a 下部円板、16b 上部円板、17 分級羽根、
18 ダクトファン、18a 中央回転ダクト、18b 外部固定ダクト、
19 ガス導入羽根、20 粉体供給ダクト、
22 再循環装置、22a 分級室、22b 粒子下降パイプ、22c 延長ダクト、
23 粗粉誘導羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から回転駆動され鉛直な軸心を中心に回転する回転軸と、
該回転軸に固定され鉛直な軸心を中心に回転する円筒形の回転ロータと、これを囲む円筒形の固定ライナとを有し、その間隙で粉体を粉砕する粉砕機と、
該粉砕機の粉体出口側に位置し、前記回転ロータに同軸に連結されて回転し粉砕後の粉体を微粒子と粗粒子に分級する分級機と、
前記粉砕機に粉体を供給する粉体供給ダクトと、
前記分級機で分級された粗粒子を粉体供給ダクトに再循環させる再循環装置と、を備えたことを特徴とする粉砕分級装置。
【請求項2】
前記粉砕機は、回転ロータの外周面に粉体を捕獲して遠心力を付加する外溝を有し、固定ライナの内周面に粉体の円周移動を阻止する内溝を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の粉砕分級装置。
【請求項3】
前記再循環装置は、前記回転ロータの上部に位置して設けられ分級機の外周を取り囲む分級室と、該分級室に外接する延長ダクトと、該延長ダクトに連通し粉体供給ダクトに接続された粒子下降パイプとからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の粉砕分級装置。
【請求項4】
前記分級機は、前記回転ロータの上面を塞ぎ回転軸に同軸に固定された下部円板と、該下部円板から軸方向に一定の間隔を隔て中央に貫通孔を有するドーナツ状の上部円板と、該下部円板と上部円板の両方に上下端が固定され周方向に一定の間隔を隔て、半径方向に対し所定の角度をもって取り付けられた複数の分級羽根とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の粉砕分級装置。
【請求項5】
前記分級機に隣接して位置し、分級された微粒子を外部に取り出し、かつ外部から分級機の外側にガスを導入するダクトファンを備える、ことを特徴とする請求項4に記載の粉砕分級装置。
【請求項6】
前記ダクトファンは、下端が前記上部円板の中央貫通孔に連結されてこれを塞ぎ、上方に向かって直径が漸減し、回転軸と共に回転しそのまわりに微粒子を通す隙間を形成する中央回転ダクトと、
下端が再循環装置の上部に開口し、前記上部円板の上面から一定の間隔を隔て、中央部に中央回転ダクトを通しその外側にガスを導入するリング状開口を形成する上部ケーシングと、
前記上部円板の上面に固定され周方向に一定の間隔を隔て、半径方向に対し所定の角度をもって取り付けられた複数のガス導入羽根と、を有することを特徴とする請求項5に記載の粉砕分級装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−35031(P2006−35031A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215759(P2004−215759)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】