説明

粉粒体の撒布方法および装置

【課題】搬送ベルトにより搬送されてくる繊維集合体上に粉粒体を高速で撒布しても、撒布の不要な部分への粉粒体の撒布を確実に抑えると共に、鮮明な輪郭を有する任意の撒布パターンを安定して形成できる、粉粒体の撒布方法および装置を提供する。
【解決手段】連続的に搬送される繊維集合体5上に粉粒体6を所定パターンで撒布する粉粒体撒布装置1であって、繊維集合体5を搬送する搬送ベルト2と、軸回り方向に回転して、搬送ベルト2に密接して搬送ベルト2とほぼ同速で回転し、粉粒体6を所定の撒布パターンで繊維集合体5上に撒布するパターンリング3と、粉粒体6をパターンリング3に供給する粉粒体供給手段4とを備え、連続的に搬送される繊維集合体5に粉粒体6を所定の撒布パターンで撒布する粉粒体撒布装置1を用いることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ベルトにより搬送されてくる繊維集合体上に、所定の撒布パターンで粉粒体を高速で撒布する粉粒体の撒布方法および装置に関し、さらに詳しく言えば、本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体の製造において、不織布シート等の繊維集合体上に所定の撒布パターンで吸収性ポリマーを高速で撒布する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体は、不織布シートなどの繊維集合体上に吸収性ポリマーを所定の撒布パターンで撒布し、その後、撒布された吸収性ポリマーを挟み込むように別シートを前記不織布シートに貼り合わせたり、又は前記不織布シートよりも幅広の別シートによって前記不織布シートとその上に撒布された吸収性ポリマーとをまとめて包み込んだりし、最後にシートを切断して所定形状とすることで製造されている。
【0003】
繊維集合体上に吸収性ポリマーを所定の撒布パターンで撒布する方法としては、特許文献1に記載された方法が知られている。この方法は、いわゆる粉体供給機(スクリューフィーダー)から供給された吸収性ポリマーの粉粒体の連続流の一部をバキュームで吸引することにより、粉粒体を間欠的に撒布するものである。
しかし、特許文献1記載の方法では、バキューム吸引により非撒布部を回収し、間欠パターン形状で撒布を行っているが、高速で撒布した際に粉粒体が跳ね返り飛散し、完全な撒布パターンが得られないという問題があった。
【0004】
このような問題を解消する手段としては、例えば特許文献2又は3に記載された方法がある。特許文献2記載の方法は、粉粒体受取部を有する筒状体に粉粒体搬送ベルトを巻きつけ、粉粒体搬送ベルト上に所定のパターンで粉粒体を転写し、この粉粒体をパルプ上に滑り落とすことで、パルプ上に所定のパターンで粉粒体を撒布する方法である。また、特許文献3記載の方法は、粉粒体固定剤を第1シート及び/又は第2シート上に撒布した後に、粉粒体供給口及び撒布口を有するケーシング内に粉粒体搬送用ローターを有する撒布装置を用いて粉粒体を第1シート上に撒布し、その後に第1シートと第2シートとを張り合わせる方法である。
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の方法では、粉粒体搬送ベルト上に粉粒体を撒布する際に、筒状体に設けられた粉粒体撒布部(粉粒体受取部)の突起が粉粒体搬送ベルトに接触しているため、吸収性ポリマー粉粒体が筒状体の溝部および搬送ベルトに接触したまま搬送される。そのため、粉粒体を高速で撒布する場合には、高速に移動しているベルト上に撒布するため、筒状体の突起が粉粒体搬送ベルトから離れる際に、溝部に接触している粉粒体が突起によって掻き上げられて下流方向に飛ばされ、粉粒体が飛散するという問題があった。特に、撒布部と非撒布部をもつ所定の撒布パターンで撒布した場合、撒布パターンが明瞭でなくなったり、不要部分にまで粉粒体が撒布されてしまう。また、粉粒体の飛散が大きいときは、生産ライン外に粉粒体が飛び出して、粉粒体の無駄が生じたり、生産環境の汚損を引き起こすという問題もあった。
【0006】
一方、特許文献3記載の方法では、粉粒体撒布部がケーシングの内部に収容されているため、シート上に粉粒体を高速で撒布しても、粉粒体撒布部の突起によって粉粒体が掻き上げられて飛散することがない。また、粉粒体撒布直後に別シートを貼り合わせているため、撒布パターンが保持され粉粒体の無駄が生じることがない。
しかし、特許文献3記載の方法に用いられている撒布装置は構造が複雑であり、ケーシング内に設けられたローターの突起とケーシングの内壁面とを、粉粒体を所定のパターンで撒布しうるように適切に配置する必要がある。また、粉粒体撒布直後に別シートを貼り合わせて撒布パターンを保持しているが、製品によってはこのように撒布直後に別シートを張り合わせることができない場合もある。
【0007】
【特許文献1】特開平4−341368号公報
【特許文献2】特開平10−43669号公報
【特許文献3】特開2002−178429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、搬送ベルトにより搬送されてくる繊維集合体上に吸収性ポリマー粉粒体を高速で撒布しても、撒布の不要な部分への吸収性ポリマー粉粒体の撒布を確実に抑えると共に、鮮明な輪郭を有する任意の撒布パターンを安定して形成できる、粉粒体の撒布方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
(1)連続的に搬送される繊維集合体上に粉粒体を所定の撒布パターンで撒布する粉粒体撒布装置であって、
繊維集合体を搬送する搬送ベルトと、軸回り方向に回転して、当該搬送ベルトに密接して当該搬送ベルトとほぼ同速で回転し、粉粒体を所定の撒布パターンで前記繊維集合体上に撒布するパターンリングと、前記パターンリングの上部に配置され、粉粒体を前記パターンリングに供給する粉粒体供給手段とを備え、かつ、前記パターンリングが、外周面に粉粒体を撒布するための所定のパターンの凹凸部を有する中央円筒部と、該中央円筒部の両端に設置され、前記搬送ベルトに密接して配置されるサイドリングとからなり、該中央円筒部の長さが、搬送される繊維集合体の幅よりも大きく、該サイドリングが、前記搬送ベルトに密接して配置されたときに前記中央円筒部が前記搬送ベルト及び搬送される繊維集合体に接触しないように、該中央円筒部の外径よりも大きな外径を有している、
ことを特徴とする粉粒体の撒布装置。
(2)連続的に搬送される繊維集合体上に粉粒体を所定の撒布パターンで撒布する粉粒体の撒布方法であって、
繊維集合体を搬送する搬送ベルトと、軸回り方向に回転して、当該搬送ベルトに密接して当該搬送ベルトとほぼ同速で回転し、粉粒体を所定の撒布パターンで前記繊維集合体上に撒布するパターンリングと、前記パターンリングの上部に配置され、粉粒体を前記パターンリングに供給する粉粒体供給手段とを備え、かつ、前記パターンリングが、外周面に粉粒体を撒布するための所定のパターンの凹凸部を有する中央円筒部と、該中央円筒部の両端に設置され、前記搬送ベルトに密接して配置されるサイドリングとからなり、該中央円筒部の長さが、搬送される繊維集合体の幅よりも大きく、該サイドリングが、前記搬送ベルトに密接して配置されたときに前記中央円筒部が前記搬送ベルト及び搬送される繊維集合体に接触しないように、該中央円筒部の外径よりも大きな外径を有している、粉粒体撒布装置を用いて、
前記パターンリングを軸回り方向に回転させて、前記粉粒体供給手段から前記のパターンリングの中央円筒部の凹部に粉粒体を供給するとともに、前記パターンリングのサイドリングに接した前記搬送ベルトを前記パターンリングの回転速度とほぼ同速で移動させ、前記搬送ベルト上に配置された繊維集合体を搬送して前記パターンリングの中央円筒部の下部を通過させ、前記のパターンリングの中央円筒部の凹部に供給された粉粒体を所定の撒布パターンで前記繊維集合体上に撒布することを特徴とする粉粒体の撒布方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、繊維集合体上に吸収性ポリマー粉粒体を高速で撒布しても、吸収性ポリマー粉粒体の飛散がなく、鮮明な輪郭を有する任意の撒布パターンを安定して形成することができる。したがって、本発明によれば、吸収性ポリマー粉粒体の無駄をなくし、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図の説明において同一の要素には同一の符号を付す。
図1は、本発明の粉粒体撒布装置の好ましい一実施態様を示す斜視図である。本発明の粉粒体撒布装置1は、繊維集合体5を搬送する搬送ベルト2と、軸回り方向に回転して、搬送ベルト2に密接して搬送ベルト2とほぼ同速で回転し、粉粒体6を所定の撒布パターンで繊維集合体5上に撒布するパターンリング3と、粉粒体6をパターンリング3に供給する粉粒体供給手段4とを備え、連続的に搬送される繊維集合体5上に粉粒体6を所定の撒布パターンで撒布する装置である。
【0012】
本発明の装置に用いられるパターンリング3について、図2及び3を参照しながら説明する。図2は、図1に示されたパターンリング3の拡大斜視図であり、図3は、図1に示されたパターンリング3の拡大正面図である。
パターンリング3は、外周面に粉粒体を撒布するための所定のパターンの凹凸部を有する中央円筒部31と、中央円筒部31の両端に設置されたサイドリング32,33とからなる。ここで、中央円筒部31の円筒中心軸とサイドリング32,33の中心軸とは同軸であり、パターンリング3の軸に相当する。パターンリング3は、軸回り方向に回転して、搬送ベルト2に密接して搬送ベルト2とほぼ同速で回転し、粉粒体6を所定の撒布パターンで繊維集合体5上に撒布する役割を果たすものである。
【0013】
パターンリング3は、中央円筒部31が細く、その両端のサイドリング32,33が太い、いわゆるダンベル形状をしている。すなわち、サイドリング32,33は、中央円筒部31の外径よりも大きな外径を有している。サイドリング32,33の半径と中央円筒部31の半径との差Hは、搬送される繊維集合体5の厚みより大きいことが好ましく、繊維集合体5の厚みの1.1〜5倍であることが好ましい。また、中央円筒部31の長さL1は、搬送される繊維集合体5の幅L2よりも大きい。
パターンリング3は、本発明の装置において搬送ベルト2に密接して配置される。このとき、サイドリング32,33は、搬送ベルト2に密接するが、搬送される繊維集合体5には接触しない。また、中央円筒部31は、搬送ベルト2及び搬送される繊維集合体5のいずれにも接触しない。
【0014】
パターンリング3の中央円筒部31の外周面には、粉粒体6を撒布するための所定のパターンの凹凸部が形成されている。粉粒体供給手段4から供給される粉粒体6は、凸部312によって区分けされた凹部311に供給されて撒布される。また、連なった凸部313によって、繊維集合体5上に非撒布領域が形成される。
【0015】
搬送ベルト2は、繊維集合体5を一方から他方へ連続的に搬送させる役割を果たすものである。この搬送ベルト2は、複数のフリーロール(駆動のないロール)及び案内ロールからなるロール群21〜26及び駆動ロール27並びにパターンリング3に案内されて、パターンリング3のサイドリング32,33に密着して設けられると共に、パターンリング3と同期してパターンリング3の回転方向と同一方向(図1中矢印A方向)に走行するようになされている。
【0016】
粉粒体供給手段4は、パターンリング3に粉粒体6を供給する役割を果たすものである。粉粒体供給手段4は、パターンリング3の中央円筒部31の上部に配置され、パターンリング3の中央円筒部31の設けられた凹部311に粉粒体6を供給する。
【0017】
次に、本発明の装置におけるパターンリング3の作用について、図3及び図4を参照しながら説明する。図4は、図1に示されたパターンリング3の拡大側面断面図であり、繊維集合体上に粉粒体を所定パターンで撒布する様子を示している。
【0018】
図3及び図4に示すように、搬送ベルト2は、パターンリング3のサイドリング32,33に巻き付けられる。パターンリング3の中央円筒部31は、搬送ベルト2及び搬送される繊維集合体5のいずれにも接触せず、パターンリング3のサイドリング33は、搬送ベルト2に密接するが、搬送される繊維集合体5には接触しない。なお、図4にはサイドリング32については図示されていないが、サイドリング33と同様である。
また、粉粒体供給手段4は、パターンリング3の中央円筒部31の上部に配置される。ここで、粉粒体供給手段4の投入口41は、パターンリングの凸部313が通過するとき(非撒布時)に塞がれるように配置されている。
【0019】
粉粒体6は、粉粒体供給手段4の投入口41からパターンリング3の中央円筒部31に形成された凹部311に供給される。パターンリング3は高速で回転しており、粉粒体6は繊維集合体5上に撒布される。このとき、粉粒体6は、遠心力により繊維集合体5上に押し付けられて固定されるため、粉粒体6の撒布パターンは崩れることなく、所定のパターンが維持される。
また、パターンリング3の中央円筒部31は、繊維集合体5に接触しておらずパターンリング3の中央円筒部31と繊維集合体5との間には空隙が設けられており、繊維集合体5上に撒布された粉粒体6がパターンリング3に接触することがない。そのため、搬送ベルト2がパターンリング3から離れるときに、パターンリング3の凸部312によって粉粒体6が跳ね上げられることが無く、粉粒体6の飛散が起こらない。このため、粉粒体6の撒布パターンが崩れることなく、鮮明な撒布形状を保つことができる。
【0020】
再び図3を参照すると、中央円筒部31の長さL1は、搬送される繊維集合体5の幅L2よりも大きい。そのため、繊維集合体5は、パターンリング3のサイドリング32,33によって押しつぶされることがない。
また、サイドリング32,33の半径と中央円筒部31の半径との差Hは、搬送される繊維集合体5の厚みより大きく、繊維集合体5がパターンリング3の中央円筒部31に接触することはない。そのため、パターンリング3の凸部312によって粉粒体6が跳ね上げられることが無く、粉粒体6の飛散が起こらない。
【0021】
従来の粉粒体撒布装置では、粉粒体を撒布する際に、繊維集合体が搬送ベルトごと直接パターンリングの凹凸部(撒布部分)に押し付けられており、繊維集合体上の粉粒体はパターンリングの凹部に接触したまま搬送されていた。このような装置では、粉粒体を高速で撒布する場合には、搬送ベルトがパターンリングから離れるときに、凹部に接触している粉粒体は、凸部によって跳ね上げられ、飛散してしまうという問題があった。
これに対し、本発明の粉粒体撒布装置では、上述のように、パターンリング3のサイドリング32,33に搬送ベルト2が巻き付けられており、パターンリング3の中央円筒部31と繊維集合体5との間には空隙が設けられているため、搬送ベルト2がパターンリング3から離れるときに、パターンリング3の凸部312によって粉粒体6が跳ね上げられることが無く、粉粒体6の飛散が起こらない。
【0022】
繊維集合体5上に粉粒体6を撒布した後、繊維集合体5上に撒布された粉粒体(吸収性ポリマー)6を挟み込むようにして別シートを繊維集合体5に貼り合わせ、吸収性ポリマー6が撒布されていない部分でシートを切断して所定形状とすることで、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体を製造することができる。
【0023】
搬送ベルト2は、繊維集合体5が絡まりにくく、繊維集合体5を搬送する際に繊維集合体5と搬送ベルト2との間で滑りが生じないよう、繊維集合体5に対して適度な摩擦力を有する素材で構成され、表面が平坦な形状をしていることが好ましい。
【0024】
粉粒体供給手段4の構成は特に限定されず、例えば、特開平4−341368号公報や特開平10−43669号公報に開示された構成であってもよい。
【0025】
繊維集合体5は、特に限定されないが、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体の吸収性材料に用いられている材料を好ましく用いることができ、例えば、パルプの積繊品、合成繊維、半合成繊維、又は天然繊維などのウェブ品または不織布シート等が挙げられる。また、粉粒体6は、特に限定されないが、吸水性ポリマーが好ましい。
【0026】
本発明の粉粒体の撒布方法は、上述した粉粒体撒布装置を用いて行われる。
パターンリング3を軸回り方向に回転させて、粉粒体供給手段4からパターンリング3の中央円筒部31の凹部311に粉粒体6を供給するとともに、パターンリング3のサイドリングに32,33接した搬送ベルト2をパターンリング3の回転速度とほぼ同速で移動させ、搬送ベルト2上に配置された繊維集合体5を搬送してパターンリング3の中央円筒部31の下部を通過させ、パターンリング3の中央円筒部31の凹部311に供給された粉粒体6を所定の撒布パターンで繊維集合体5上に撒布する。パターンリング3を軸回り方向に回転させることで、粉粒体6のパターンリング3への供給、並びにパターンリング3から繊維集合体5への粉粒体6の撒布が連続的に行われる。
【0027】
以下に、本発明の粉粒体撒布装置の別の好ましい一実施態様について説明する。図5及び6は、本発明の粉粒体撒布装置の別の好ましい一実施態様を示す拡大側面断面図であり、図7は、本発明の粉粒体撒布装置の別の好ましい一実施態様を示す斜視図である。図5〜7に示した実施態様の他の構成や作用、効果は、図1〜4に示した前記実施態様とほぼ同様である。
【0028】
図5に示すように、搬送ベルト2として通気性を有するものを用い、搬送ベルト2の繊維集合体5が搬送されている面と異なる面側に吸引部71を設けることも好ましい。通気性を有する搬送ベルト2を吸引部71により吸引することで、繊維集合体5を搬送ベルト2に吸着させることができ、これにより、繊維集合体5が搬送中に搬送ベルト2から離れてパターンリング3に接触するのを確実に防止することができる。通気性を有する搬送ベルトとしては、特に限定されないが、例えば、パンチングベルト、メッシュベルト等が挙げられる。
【0029】
また、図6に示すように、粉粒体供給手段4とパターンリング3との間に、粉粒体回収部43を備えることも好ましい。粉粒体供給手段4からパターンリング3に粉粒体6を供給する際に、パターンリング3への供給前に粉粒体回収部43により粉粒体6を吸引回収し、パターンリング3の凸部(非撒布部)313に当たる領域への粉粒体6の供給を停止することができる。粉粒体回収部43により粉粒体6を吸引するときに、パターンリング3に供給されるべき粉粒体6までもが吸い上げられないように、空気導入部42を設けて管の内圧を下げないようにすることが好ましい。
粉粒体回収部の構成については特に限定されず、例えば、特開平4−341368号公報に開示された構成であってもよい。また、回収方法は、粉粒体回収部43からの吸引に限定されず、空気導入部42からの吹き飛ばしや、機械的な方法等であってもよい。
【0030】
また、図7に示すように、繊維集合体5を、表面に複数の凸部を所定位置に配列した切断ロール91とこの切断ロール91と対向する平滑ロール92との間に通過させ、加圧及び/又は加熱により間欠的に切断して短冊状繊維集合体51とし、短冊状に切断された状態で、パターンリング3の中央円筒部31の下部を一定間隔で通過させて粉粒体6を撒布することもできる。
【0031】
さらに、図7に示すように、繊維集合体5を繊維集合体5よりも幅広のシート81上に積層した後に粉粒体6を撒布することもできる。このとき、接着剤塗布装置93により幅広シート81上に接着剤を塗布し、繊維集合体5を接着させて積層させることが好ましい。または、接着剤を繊維集合体5に塗布してもよい。接着剤としては、特に限定されないが、例えばホットメルト型接着剤を用いることができる。幅広シート81としては、特に限定されないが、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる吸収体のコアラップシートに用いられている材料を好ましく用いることができる。
【0032】
なお、図7では、繊維集合体5を短冊状に切断する態様および幅広シート81を用いる態様の2つの態様が組み合わされて示されているが、両態様は組み合わせても組み合わせなくともよい。
【0033】
幅広シート81を用いる場合、幅広シート81に積層された繊維集合体5上に粉粒体6を撒布した後、繊維集合体5とその上に撒布された粉粒体(吸収性ポリマー)6とを幅広シート81によってまとめて包み込み、吸収性ポリマー6が撒布されていない部分でシートを切断して所定形状とすることで使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる吸収体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の粉粒体撒布装置の好ましい一実施態様を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示されたパターンリング3の拡大斜視図である。
【図3】図3は、図1に示されたパターンリング3の拡大正面図である。
【図4】図4は、図1に示されたパターンリング3の拡大側面断面図である。
【図5】図5は、本発明の粉粒体撒布装置の別の好ましい一実施態様を示す拡大側面断面図である。
【図6】図6は、本発明の粉粒体撒布装置の別の好ましい一実施態様を示す拡大側面断面図である。
【図7】図7は、本発明の粉粒体撒布装置の別の好ましい一実施態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 粉粒体撒布装置
2 搬送ベルト
21〜26、28 ロール
27 駆動ロール
3 パターンリング
31 中央円筒部
311 凹部
312 凸部
313 凸部(非撒布部)
32 サイドリング
33 サイドリング
4 粉粒体供給手段
41 投入口
42 空気導入部
43 粉粒体回収部
5 繊維集合体
51 短冊状繊維集合体
6 粉粒体
71 吸引部
81 幅広シート
91 切断ロール
92 平滑ロール
93 接着剤塗布装置
H サイドリング32,33の半径と中央円筒部31の半径との差
L1 中央円筒部31の長さ
L2 繊維集合体5の幅
矢印A パターンリング3の回転方向および搬送ベルト2の走行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に搬送される繊維集合体上に粉粒体を所定の撒布パターンで撒布する粉粒体撒布装置であって、
繊維集合体を搬送する搬送ベルトと、軸回り方向に回転して、当該搬送ベルトに密接して当該搬送ベルトとほぼ同速で回転し、粉粒体を所定の撒布パターンで前記繊維集合体上に撒布するパターンリングと、前記パターンリングの上部に配置され、粉粒体を前記パターンリングに供給する粉粒体供給手段とを備え、かつ、前記パターンリングが、外周面に粉粒体を撒布するための所定のパターンの凹凸部を有する中央円筒部と、該中央円筒部の両端に設置され、前記搬送ベルトに密接して配置されるサイドリングとからなり、該中央円筒部の長さが、搬送される繊維集合体の幅よりも大きく、該サイドリングが、前記搬送ベルトに密接して配置されたときに前記中央円筒部が前記搬送ベルト及び搬送される繊維集合体に接触しないように、該中央円筒部の外径よりも大きな外径を有している、
ことを特徴とする粉粒体の撒布装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトが通気性を有しており、前記繊維集合体が搬送されている面とは異なる面側に吸引部を備える、請求項1記載の粉粒体の撒布装置。
【請求項3】
前記のパターンリングにおけるサイドリングの半径と中央円筒部の半径との差が、前記の搬送される繊維集合体の厚みの1.1〜5倍である、請求項1又は2に記載の粉粒体の撒布装置。
【請求項4】
前記の粉粒体供給手段とパターンリングとの間に、粉粒体回収部を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉粒体の撒布装置。
【請求項5】
連続的に搬送される繊維集合体上に粉粒体を所定の撒布パターンで撒布する粉粒体の撒布方法であって、
繊維集合体を搬送する搬送ベルトと、軸回り方向に回転して、当該搬送ベルトに密接して当該搬送ベルトとほぼ同速で回転し、粉粒体を所定の撒布パターンで前記繊維集合体上に撒布するパターンリングと、前記パターンリングの上部に配置され、粉粒体を前記パターンリングに供給する粉粒体供給手段とを備え、かつ、前記パターンリングが、外周面に粉粒体を撒布するための所定のパターンの凹凸部を有する中央円筒部と、該中央円筒部の両端に設置され、前記搬送ベルトに密接して配置されるサイドリングとからなり、該中央円筒部の長さが、搬送される繊維集合体の幅よりも大きく、該サイドリングが、前記搬送ベルトに密接して配置されたときに前記中央円筒部が前記搬送ベルト及び搬送される繊維集合体に接触しないように、該中央円筒部の外径よりも大きな外径を有している、粉粒体撒布装置を用いて、
前記パターンリングを軸回り方向に回転させて、前記粉粒体供給手段から前記のパターンリングの中央円筒部の凹部に粉粒体を供給するとともに、前記パターンリングのサイドリングに接した前記搬送ベルトを前記パターンリングの回転速度とほぼ同速で移動させ、前記搬送ベルト上に配置された繊維集合体を搬送して前記パターンリングの中央円筒部の下部を通過させ、前記のパターンリングの中央円筒部の凹部に供給された粉粒体を所定の撒布パターンで前記繊維集合体上に撒布することを特徴とする粉粒体の撒布方法。
【請求項6】
前記搬送ベルトが通気性を有しており、前記繊維集合体が搬送されている面とは異なる面から吸引して前記繊維集合体を前記搬送ベルトに吸着させる、請求項5記載の粉粒体の撒布方法。
【請求項7】
前記繊維集合体が、該繊維集合体よりも幅広のシート上に積層された状態で搬送される、請求項5又は6に記載の粉粒体の撒布方法。
【請求項8】
前記繊維集合体が、短冊状に切断された状態で供給され、前記パターンリングの中央円筒部の下部を一定間隔で通過する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の粉粒体の撒布方法。
【請求項9】
前記粉粒体を撒布部と非撒布部を有する所定の形状にて撒布するとき、非撒布部に相当する前記粉粒体を、前記パターンリングへの供給前に回収する、請求項5〜8のいずれか1項に記載の粉粒体の撒布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−106861(P2009−106861A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282032(P2007−282032)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】