説明

粉粒体の混合装置

【課題】簡易な構成により粉粒体を混合して、十分な分散状態を得ることのできる、粉粒体の混合装置を提供する。
【解決手段】計量混合装置の混合ユニット17において設けられる撹拌羽根25を、駆動軸30と、その軸方向において互いに所定の間隔を隔てて設けらる複数の羽根31とにより構成し、各羽根31を実質的に断面L字形状に形成するとともに、その羽根31を、コントローラユニットにおいて、所定時間毎に正回転と逆回転とに切り換えて回転するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の混合装置、詳しくは、粉体や粒体などを混合するための混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ペレットや粉砕材など複数種類の材料を混合する場合には、撹拌羽根を備える機械撹拌式(固定容器型)の混合装置が広く用いられている。
【0003】
このような混合装置は、混合すべき材料を受け入れるドラムと、そのドラム内に設けられ、回転可能に支持される駆動軸に装着される撹拌羽根とを備えており、その撹拌羽根の回転によって、ドラム内に受け入れられた複数種類の材料を均一に分散混合させるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような混合装置において、撹拌羽根は、駆動軸の一方向の回転によって、その一方向のみに回転するように制御されている。そのため、たとえば、ペレット同士、粉砕材同士、または、ペレットおよび粉砕材の混合においては、そのような撹拌羽根の一方向のみの回転によって十分な分散状態を得ることができるが、たとえば、これらペレットや粉砕材などの粒体に、マスターバッチや添加剤などの粉体を混合する場合には、その粉体の嵩密度、粘着性、静電気、凝集性などによって、粉体がドラム内における撹拌羽根の撹拌作用の影響が小さい部分(デッドボリューム)に偏ってしまうと、十分な分散状態を得るために非常に長時間を要するか、あるいは、長時間をかけても十分な分散状態を得ることができない場合がある。
【0005】
すなわち、材料の混合分散は、撹拌羽根の回転によって、その材料を周方向に流動させることにより達成されるが、撹拌羽根の回転が一方向のみであると、ドラム内の材料はその一方向にしか流動しないため、ドラム内における撹拌羽根の撹拌作用の影響が小さい部分に偏ってしまった材料は、その部分に定常的に滞留してしまい、分散されない状態となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、簡易な構成により粉粒体を混合して、十分な分散状態を得ることのできる、粉粒体の混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、粉粒体を受け入れ可能に一方側へ向かって開放される容器と、その容器内に設けられる撹拌羽根とを備え、前記攪拌羽根の前記一方側に、デッドボリュームを有する粉粒体の混合装置であって、前記撹拌羽根を、所定時間毎に正回転と逆回転とに切り換えて回転させるための回転制御手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記攪拌羽根の前記一方側にレベルスイッチを備えていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記回転制御手段は、前記撹拌羽根の回転を、切り換え直後において、徐々に回転速度を速くし、その後、一定の回転速度で回転させた後、切り換え直前において、徐々に回転速度を遅くするように制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撹拌羽根の正回転および逆回転により、デッドボリュームを互いに解消し合うことができるので、粉粒体を偏らせることなく、十分な混合分散を短時間で達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の粉粒体の混合装置の一実施形態を備える計量混合装置を示す全体構成図である。
【図2】図1に示す混合ユニットの要部側断面図である。
【図3】図2に示す混合ユニットの平断面図である。
【図4】図2に示す混合ユニットの正断面図である。
【図5】図2に示す混合ユニットの撹拌羽根の撹拌動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の粉粒体の混合装置の一実施形態を備える計量混合装置を示す全体構成図、図2は、図1に示す混合ユニットの要部側断面図、図3は、図2に示す混合ユニットの平断面図、図4は、図2に示す混合ユニットの正断面図、図5は、図2に示す混合ユニットの撹拌羽根の撹拌動作を示すタイミング図である。以下、これら図1ないし図5を参照して、計量混合装置について詳述する。
【0013】
図1において、この計量混合装置1は、供給ホッパーユニット2および計量混合ユニット3とを備えている。
【0014】
供給ホッパーユニット2は、複数(4つ)の供給ホッパー4を備えている。各供給ホッパー4には、粉粒体が貯蔵される図示しない原料タンクにそれぞれ接続される原料供給ライン5と、吸引ブロワ6に接続される吸引ライン7とが接続されている。吸引ライン7は、各供給ホッパー4に対応してそれぞれ設けられるスイッチバルブ8を備えるスイッチバルブユニット9と、このスイッチバルブユニット9と吸引ブロワ6とを接続する一次側吸引ライン10と、各スイッチバルブユニット9と各供給ホッパー4とをそれぞれ接続する複数の二次側吸引ライン11とを備えている。
【0015】
また、供給ホッパー4の内部上側には、各二次側吸引ライン11を覆うようにエリミネータ12がそれぞれ設けられるとともに、その下側にそれぞれ形成される原料供給口には、その原料供給口を開閉するためのスライドゲート13がそれぞれ設けられている。また、これら各供給ホッパー4は、実際には、後述する計量混合ユニット3の受入口15に原料を供給するために、各スライドゲート13が、受入口15の中心を向くように周状に配置されている。
【0016】
そして、各原料タンクから各供給ホッパー4に粉粒体を気力輸送するには、気力輸送したい供給ホッパー4に対応するスイッチバルブ8を開状態として、吸引ブロワ6を作動させる。そうすると、その供給ホッパー4に選択的に粉粒体が気力輸送される。すなわち、気力輸送しようとする供給ホッパー4に対応するスイッチバルブ8を開状態として、吸引ブロワ6を作動させると、一次側吸引ライン10、スイッチバルブユニット9および二次側吸引ライン11を介して、その気力輸送しようとする供給ホッパー4の内部が吸引され、これによって、その供給ホッパー4に接続される原料供給ライン5を介して、その供給ホッパー4に対応する原料タンクに貯蔵される粉粒体が気力輸送される。なお、供給ホッパー4に粉粒体を搬送した空気は、エリミネータ12によって粉粒体と分離された後、二次側吸引ライン11、スイッチバルブユニット9、一次側吸引ライン10を介して、吸引ブロワ6から排気される。
【0017】
このようにして各供給ホッパー4には、各原料タンクから気力輸送される粉粒体が一時的に貯蔵される。なお、各供給ホッパー4には、その目的および用途によって、適宜、同一種類あるいは異なる種類の粉粒体が貯蔵され、たとえば、主材(樹脂ペレット)、マスターバッチ、粉砕材、添加剤などが各供給ホッパー4にそれぞれ貯蔵される。
【0018】
計量混合ユニット3は、粉粒体を受け入れるケーシング16と、ケーシング16内の上方において計量ユニット14と、その下方において混合装置としての混合ユニット17とを備えている。
【0019】
計量ユニット14は、各供給ホッパー4から供給される粉粒体を受け入れる計量ホッパー18と、この計量ホッパー18を支持するロードセル19と、計量ホッパー18から混合ユニット17に、計量された粉粒体を供給するための排出ゲート20とを備えている。
【0020】
計量ホッパー18は、その上端部に粉粒体を受け入れるための受入口21が形成されるとともに、その下端部に粉粒体を排出するための排出口22が形成されており、排出口22には、この排出口22を開閉するための排出ゲート20が設けられている。
【0021】
また、ロードセル19は、計量ホッパー18を支持しつつ、その計量ホッパー18の重量を計測できるように構成されており、この計量ホッパー18に受け入れられる粉粒体の重量は、計量ホッパー18、すなわち、風袋の重量をキャンセルした状態で、このロードセル19によって計量される。
【0022】
混合ユニット17は、図2ないし図4にも示すように、ケーシング16の下部が、そのまま粉粒体を受け入れて混合するための容器としての混合ケーシング24とされており、その混合ケーシング24内に、攪拌羽根25と、レベルスイッチ26(図1のみに現れている)と、粉粒体を成形機などの外部の処理装置27(図1参照)に供給するための供給口28と、その供給口28を開閉するためのスライドゲート29が設けられている。
【0023】
混合ケーシング24は、鉛直方向において筒状に形成されるケーシング16に対して傾斜する有底筒状に形成されている。
【0024】
攪拌羽根25は、鉛直方向に対して傾斜する混合ケーシング24の内側壁から、ほぼ直交する方向(すなわち、鉛直方向に対して、斜め上向きに傾斜する方向)に軸線が延びるように、混合ケーシング24の内側に突出配置される駆動軸30と、この駆動軸30を中心として径方向に延びる複数(4つ)の羽根31とを備えている。
【0025】
駆動軸30は、混合ケーシング24の外側において、その一端が、混合ケーシング24の外側壁に設けられる支持ケーシング32内において、軸受け33を介して回転可能に支持されており、その支持ケーシング32の上方に設けられる正逆回転可能な駆動源としてのモータ34からの動力が伝達されるように構成されている。
【0026】
各羽根31は、駆動軸30の軸方向において、互いに所定の間隔を隔てて設けられており、駆動軸30の軸方向と直交する方向に延びる水平板35と、その水平板35から長手方向に沿って実質的に直角に屈曲形成される垂直板36とが一体的に形成される、実質的に断面L字形状に形成されている。
【0027】
水平板35は、図4に示すように、平面視略長方形で、その長手方向に沿う一端側が、中央部から両側に傾斜するテーパ状に形成されるとともに、その長手方向に沿う他端側には、直角方向に屈曲形成される垂直板36が連続して形成されている。また、この水平板35における駆動軸30の挿通部を挟む両側には、粉粒体を駆動軸30の軸方向にも移動させるべく、粉粒体を挿通するための4つの円形の開口部37が、それぞれ2つずつ対称に形成されている。
【0028】
垂直板36は、平面視略長方形で、水平板35よりもその幅が狭く形成されている。
【0029】
そして、これら羽根31は、駆動軸30の周りにおいて、互いに90°ずつ変位した角度で設けられており、同一方向に延びる2つの羽根31(すなわち、駆動軸30の軸方向において、1つの羽根31を挟んで両側に配置される2つの羽根31)が上下逆になるように(すなわち、一方の羽根31の垂直板36が下に、他方の羽根31の垂直板36が上になるように)設けられている。
【0030】
レベルスイッチ26は、図1に示すように、攪拌羽根25の上方における混合ケーシング24の内側壁に設けられており、混合ユニット17に所定量の粉粒体が溜まった時に供給禁止信号(上限禁止信号)を送信する禁止信号送信部、および/または、粉粒体が所定量より減った時に、供給要求信号(下限要求信号)を送信する要求信号送信部を備えている。
【0031】
供給口28は、支持ケーシング32の下方において、混合ケーシング24の外側壁に設けられており、傾斜する混合ケーシング24に対して鉛直方向に延びる筒状をなし、下端部が開放される一方で、上端部が混合ケーシング24内と連通するように形成されている。
【0032】
スライドゲート29は、混合ケーシング24と供給口28との間の連通開口部38(図4参照)に設けられており、図3に示すように、水平方向にスライド移動して、その連通開口部38を開閉できるように構成されている。
【0033】
そして、このような計量混合装置1では、たとえば、各供給ホッパー4のスライドゲート13、計量ユニット14のロードセル19および排出ゲート20、混合ユニット17のモータ34、レベルスイッチ26およびスライドゲート29などが、CPUを備える回転制御手段としてのコントローラユニット39に接続され、このコントローラユニット39によって各部が制御されている。
【0034】
次に、このような計量混合装置1の計量混合動作について説明する。この計量混合装置1では、まず、各供給ホッパー4に貯蔵される粉粒体を、計量ホッパー18内にそれぞれ投入して計量し、この計量ホッパー18内において、これらを所定の配合比の混合物とした後、これを1バッチとして、1バッチ毎に混合ユニット17に供給し、この混合ユニット17において、粉粒体を少なくとも2バッチ以上混合した後、供給口28から外部の処理装置27に供給するようにしている。
【0035】
より具体的に説明すると、まず、各供給ホッパー4に貯蔵される粉粒体を、計量ホッパー18内にそれぞれ投入して1バッチとするには、各供給ホッパー4毎に、順次、投入して計量すればよい。各供給ホッパー4の計量は、まず、計量ホッパー18の風袋重量をキャンセルすることにより、計測重量の自動0点調整を行なった後、スライドゲート13を開動作させる。そうすると、供給ホッパー4内の粉粒体は、原料供給口から、自重によって計量ホッパー18内に落下して、計量ホッパー18内に粉粒体が溜まっていくようになる。
【0036】
一方、ロードセル19では、計量ホッパー18内に投入される粉粒体の実重量を検知しているので、このロードセル19によって検知された粉粒体の計量実測値が、設定された所定の投入量になった時に、スライドゲート13を閉動作させて、供給ホッパー4から計量ホッパー18への粉粒体の投入を終了させる。これによって、各供給ホッパー4から、所定の投入量で各粉粒体が計量ホッパー18内に投入される。
【0037】
そして、このように各供給ホッパー4毎の計量が行なわれた後に、これらが1バッチとして、混合ユニット17に供給される。混合ユニット17においては、計量ホッパー18から1バッチ毎に供給される粉粒体が2バッチ以上溜められた状態で、攪拌羽根25により攪拌混合されることにより、各バッチ間の粉粒体が互いに十分に混合分散され、その後、分散により均一化された粉粒体が、スライドゲート29の開動作により、供給口28から外部の処理装置27に供給される。
【0038】
たとえば、混合ユニット17において3バッチ分混合して、外部の処理装置27に連続供給する場合には、混合ユニット17内の粉粒体が2バッチ分に相当する量となった時に、レベルスイッチ26からコントローラユニット39に供給要求信号を出力させるように設定しておけばよい。そうすると、混合ユニット17内の粉粒体が連続的に供給されることにより減少し、残りが2バッチ分に相当する量となった時には、レベルスイッチ26からコントローラユニット39に供給要求信号が出力され、これによって、コントローラユニット39の制御によって排出ゲート20が開動作され、計量ホッパー18から1バッチ分の粉粒体が混合ユニット17に供給される。供給された1バッチ分の粉粒体は、既に混合されている2バッチ分の粉粒体と、攪拌羽根25の攪拌により混合分散され、均一化される。
【0039】
連続供給においては、このように、混合ユニット17内の粉粒体が1バッチ分減れば、1バッチ分供給され、既に混合されている2バッチ分の粉粒体にさらに1バッチ分の粉粒体が混合分散されて均一化されるようになる。そして、混合ユニット17内で、このような粉粒体が、最大3バッチ分、最小2バッチ分溜められて常に攪拌されている状態で、連続的に粉粒体が供給口28から供給される。なお、この連続供給では、スライドゲート29は、常時開状態となっている。
【0040】
また、たとえば、混合ユニット17において3バッチ分混合した後、外部の処理装置27にバッチ供給する場合には、スライドゲート29を閉状態にしておくとともに、混合ユニット17内の粉粒体が3バッチ分に相当する量となった時に、レベルスイッチ26からコントローラユニット39に供給禁止信号を出力させるように設定しておけばよい。そうすると、計量ホッパー18から1バッチ毎に供給される粉粒体が、混合ユニット17内において3バッチ分となった時には、レベルスイッチ26からコントローラユニット39に供給禁止信号が出力され、これによって、コントローラユニット39の制御によって計量ホッパー18からの粉粒体の供給動作が停止される。一方、混合ユニット17内に供給された3バッチ分の粉粒体は、攪拌羽根25の攪拌により混合分散され、均一化される。そして、所定のタイミングでスライドゲート29を開動作させることによって、均一化された3バッチ分の粉粒体が、一度に外部の処理装置27に供給される。
【0041】
バッチ供給においては、このように、計量ホッパー18から粉粒体が3バッチ分、混合ユニット17内に供給され、混合分散により均一化された後、この3バッチ分の粉粒体が、一度に供給口28から供給され、その後、再び、計量ホッパー18から粉粒体が3バッチ分、混合ユニット17内に供給されるという、供給動作が繰り返される。
【0042】
なお、このようなバッチ供給においては、たとえば、計量ホッパー18からの供給回数をカウントして、所定のカウント数(3回)に達したときに、所定のタイミングでスライドゲート29を開動作させることによって、バッチ供給するように制御してもよい。
【0043】
このような供給動作によると、粉粒体は、混合ユニット17において2バッチ以上混合されるので、計量ホッパー18における1バッチ毎の計量誤差が、その混合されたバッチ分だけ、混合ユニット17において平均化される。そのため、計量された粉粒体を1バッチ毎に供給する場合に比べて、より計量誤差の少ない粉粒体を供給することができ、精度の良い定量供給を、簡易な構成により安価に達成することができる。
【0044】
そして、混合ユニット17内においては、攪拌羽根25によって各バッチ間の粉粒体が互いに十分に混合分散されるので、各バッチ毎に配合される粉粒体の配合誤差も、その溜められたバッチ分だけ平均化される。そのため、配合誤差もより均一化されるので、精度の良い配合比で、精度の良い定量供給が達成されている。
【0045】
次に、このような混合ユニット17における撹拌羽根25の撹拌動作について、図5を参照して説明する。撹拌羽根25は、図5に示すように、コントローラユニット39からのインバータ制御などによってモータ34の電源周波数が制御されることにより、モータ34の正回転および逆回転と回転速度とが制御され、それに従って、所定時間毎に正回転と逆回転とが交互に切り換わるように回転駆動されている。
【0046】
すなわち、この撹拌羽根25は、各正回転および各逆回転において、その周速が0.4〜1.5m/秒の範囲で設定(図5において、正回転時の設定周速Sfおよび逆回転時の設定周速Srで示される。)され、かつ、各正回転および各逆回転が、4〜10秒ごとに切り換わるように設定(図5において、正回転時の周期Tfおよび逆回転時の周期Trで示される。)されている。そして、各正回転および各逆回転においては、まず、切り換わった直後においては、停止状態から、徐々に回転速度を速くして、その設定された周速に2〜5秒の範囲で到達するように速度制御(図5において開始速度制御期間tsで示される。)されるとともに、切り換え直前においても、設定された周速から徐々に回転速度を遅くして、2〜5秒の範囲(図5において終了速度制御期間teで示される。)で停止状態となるように制御されている。
【0047】
このように撹拌羽根25を所定時間毎に正回転と逆回転とに切り換えて回転させれば、混合ケーシング24内に受け入れられた粉粒体は、その撹拌羽根25によって、ある正回転(または逆回転)における所定時間では、その撹拌羽根25の正回転(または逆回転)における周方向の一方向に流動し、次いで、撹拌羽根25の回転の切り換え時には、その流れが一旦阻止された後、次の逆回転(または正回転)における所定時間では、その撹拌羽根25の逆回転(または正回転)における周方向の逆方向に流動するようになり、このような動作が繰り返されるようになる。そのため、ある所定時間において周方向の一方向に流動していた粉粒体が、たとえ、混合ケーシング24内における撹拌羽根25の撹拌作用の影響が小さい部分(周方向の一方向におけるデッドボリューム)に偏ってしまっても、次の所定時間では、粉粒体の周方向の他方向への流動によって、そのような一方向における撹拌作用の影響の小さい部分が解消される。一方、周方向の他方向への流動によっても、やはり、そのような他方向における撹拌作用の影響の小さい部分(周方向の他方向におけるデッドボリューム)に粉粒体が偏るが、次の所定時間では、粉粒体の周方向の一方向への流動によって、そのような他方向における撹拌作用の影響の小さい部分が解消される。その結果、撹拌羽根25の正回転および逆回転により、撹拌作用の影響の小さい部分を互いに解消し合うことができるので、粉粒体を偏らせることなく、十分な混合分散を短時間で達成することができる。
【0048】
そのため、この計量混合装置1のように、計量ユニット14において、大きさ(粒径)の大きい主材(樹脂ペレット)や粉砕材などの粒体と、大きさ(粒径)の小さいマスターバッチや添加剤などの粉体とを同時に計量して、それらを混合ユニット17において撹拌羽根25によって同時に撹拌しても、マスターバッチや添加剤などの粉体が混合ケーシング24内における撹拌羽根25の撹拌作用の影響が小さい部分(デッドボリューム)に偏って定常的に滞留してしまうことがなく、これら、主材(樹脂ペレット)、粉砕材、マスターバッチおよび添加剤を、短時間で十分に混合分散させることができる。
【0049】
なお、この撹拌羽根25の回転制御では、各正回転および各逆回転が、4〜10秒ごとに切り換わるように設定されている。4秒より短いと、粉粒体の十分な周方向の流動を確保することができず、一方、10秒より長く撹拌しても、却って短時間での混合分散を阻害する場合がある。
【0050】
そして、各正回転および各逆回転においては、撹拌羽根25は、コントローラユニット39によって、切り換わった直後において、停止状態から、徐々に回転速度が速くなるように制御されるとともに、切り換え直前においても、徐々に回転速度が遅くなるように制御されている。
【0051】
このような制御によると、ある正回転(または逆回転)がなされる所定時間の前後においては、ゆっくりと回転される。そのため、その回転がなされる始めと終わりのゆっくりとした時間の間は、撹拌による遠心力および粉粒体の慣性力が弱くなるため、粉粒体は、周方向の流動に加えて、上方に流動した時には、自重によりざっと下方に向かって流動するようになる。その結果、ある正回転(または逆回転)の方向での回転がなされる始めと終わりにおいては、粉粒体は周方向の流動に加えて鉛直方向下方への流動によって、より効率的な撹拌分散がなされるので、粉粒体を偏らせることを、より一層防止することができ、十分な混合分散を、より短時間で達成することができる。
【0052】
また、粉粒体を投入した直後の回転において、始めから高速で回転させると、その投入されたバッチの粉粒体を、撹拌作用の影響の小さい部分(たとえば、混合ケーシング24の角部など)に飛散させてしまいやすいが、このように始めにゆっくりと回転させることで、新たに投入されたバッチの粉粒体を、既に混合されているバッチの粉粒体中に良好にもぐり込ませることができ、より効率の良い混合分散を達成することができる。
【0053】
さらに、このように始めにゆっくりと回転させれば、正回転および逆回転が交互になされる撹拌羽根25およびモータ34の負荷を大幅に低減することができるので、機械損失の低減による装置の耐久性および信頼性を大幅に向上させることができる。
【0054】
しかも、撹拌羽根25は、その駆動軸30が、鉛直方向に対して斜め上向きに傾斜する方向に延び、かつ、各羽根31が、駆動軸30から径方向に延び、実質的に断面L字形状に形成されているため、粉粒体は、この撹拌羽根25の回転によってすくい上げられ(放り上げられ)るので、そのすくい上げられた空間においては、混合される粉粒体同士が互いに押し合われることがなく、粉粒体を駆動軸30の軸方向(前後方向)に良好に拡散させることができる。そのため、粉粒体は、このような撹拌羽根25の回転により、周方向への流動に加えて、軸方向にも流動させることができ、より一層、十分な混合分散を、短時間で達成することができる。
【0055】
なお、以上の説明において、撹拌羽根25の制御に関し、その目的および用途などによっては、正回転時の周期Tfと逆回転時の周期Trとを同じ設定とせずに、これらを互いに異ならせてもよく、また、個々に設定を変更してもよい。また、開始速度制御期間tsおよび終了速度制御期間teも同じ設定とせずに、これらを互いに異ならせてもよく、また、個々に設定を変更してもよい。また、各正回転および各逆回転においては、一定速度で加速した後、設定された周速で等速回転させ、その後、一定速度で減速させている(すなわち、図5に示す各正回転時の周期Tfおよび各逆回転時の周期Trにおいて、略台形となるような直線的な制御をしている)が、たとえば、図5に示す各正回転時の周期Tfおよび各逆回転時の周期Trにおいて、正弦波のような曲線となる制御によって、各正回転および各逆回転を切り換えるようにしてもよい。さらに、正回転時における設定周速Sfおよび逆回転時における設定周速Srを互いに異ならせてもよい。
【0056】
また、以上の説明では、本発明の混合装置を、計量混合装置1の混合ユニット17として説明したが、本発明の混合装置は、何らこの実施形態に限定されることはなく、独立した装置、つまり、通常使用されている、ドラムと、そのドラム内に設けられる撹拌羽根とを備える機械撹拌式(固定容器式)の混合装置において、実現してもよい。
【0057】
また、本発明の混合装置では、その混合の対象となる粉粒体は、特に制限されるものはないが、たとえば、粉体と粒体など、大きさ(粒径)の異なるものを均一に混合分散させる場合に、好適に適用される。
【符号の説明】
【0058】
17 混合ユニット
24 混合ケーシング
25 攪拌羽根
26 レベルスイッチ
39 コントローラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を受け入れ可能に一方側へ向かって開放される容器と、その容器内に設けられる撹拌羽根とを備え、前記攪拌羽根の前記一方側に、デッドボリュームを有する粉粒体の混合装置であって、
前記撹拌羽根を、所定時間毎に正回転と逆回転とに切り換えて回転させるための回転制御手段を備えていることを特徴とする、粉粒体の混合装置。
【請求項2】
前記攪拌羽根の前記一方側にレベルスイッチを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の粉粒体の混合装置。
【請求項3】
前記回転制御手段は、前記撹拌羽根の回転を、切り換え直後において、徐々に回転速度を速くし、その後、一定の回転速度で回転させた後、切り換え直前において、徐々に回転速度を遅くするように制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の粉粒体の混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−235646(P2011−235646A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150667(P2011−150667)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【分割の表示】特願2001−201565(P2001−201565)の分割
【原出願日】平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】