粉粒体散布装置
【課題】圃場において所定の作業が行われた既作業領域に対して適切に粉粒体を拡散放出させることが可能となる粉粒体散布装置を提供する。
【解決手段】繰出し手段から繰り出される粉粒体を打撃により飛散させる回転式飛散手段27と、その回転式飛散手段27により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する案内手段59,60とを備えて構成され、圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域Zを検出する既作業領域検出手段と、既作業領域検出手段の検出情報に基づいて、回転式飛散手段27により飛散され且つ案内手段59,60により案内される粉粒体の圃場に対する散布領域を既作業領域Zに対応させるように変更する散布領域変更手段SHとを備えて構成されている。
【解決手段】繰出し手段から繰り出される粉粒体を打撃により飛散させる回転式飛散手段27と、その回転式飛散手段27により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する案内手段59,60とを備えて構成され、圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域Zを検出する既作業領域検出手段と、既作業領域検出手段の検出情報に基づいて、回転式飛散手段27により飛散され且つ案内手段59,60により案内される粉粒体の圃場に対する散布領域を既作業領域Zに対応させるように変更する散布領域変更手段SHとを備えて構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留部に貯留される粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記繰出し手段から繰り出される粉粒体を打撃により飛散させる回転式飛散手段と、その回転式飛散手段により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する案内手段とを備えて構成されている粉粒体散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成の粉粒体散布装置の一例としての薬剤散布装置において、従来では、次のように構成したものがあった。
すなわち、薬剤散布装置が乗用型田植機の後部に備えられて、繰出し手段として左右両側に2つの薬剤落下口が形成された回転目皿式の繰り出し機構を備え、回転式飛散手段として、一方の薬剤落下口から落下する薬剤(粉粒体の一例)に対して作用して右方向に拡散放出する右方拡散用の拡散羽根と他方の薬剤落下口から落下する薬剤に対して作用して左方向に拡散放出する左方拡散用の拡散羽根とが一体的に横軸芯周りで回転する拡散機構を備え、且つ、案内手段として、下方が開放された箱形状で且つ位置固定のガイド部材を備える。そして、圃場において所定の作業として苗の植付け作業を行う場合に、苗の植付け作業が行われた既作業領域に薬剤を散布放出させるために、設定条数(6条)の植付けが行われるときは、両側の薬剤落下口から薬剤を落下させて圃場に拡散放出する。一方、一部の条(2条あるいは4条)だけの苗の植付けが行われるときは、片側の薬剤落下口から薬剤を落下させて圃場に拡散放出する。そして、片側の薬剤落下口から薬剤を落下させて圃場に拡散放出するときは、設定条数(6条)のうちの片側寄りの4条に相当する領域に薬剤を散布するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−304793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成によれば、設定条数(6条)のうちの片側寄りの4条だけ苗を植付ける場合には、片側の薬剤落下口から薬剤を落下させて圃場に拡散放出することによって、薬剤の散布を行う領域が既作業領域に対応するものとなるが、2条分だけ苗の植付けを行う場合であっても、設定条数(6条)のうちの片側寄りの4条に相当する領域に薬剤が散布されるものであるから、この場合には、薬剤(粉粒体)の拡散放出領域が既作業領域に対応しないものとなり、未作業領域に対して薬剤(粉粒体)が散布されるという不利がある。
ちなみに、未作業領域としての苗の未植付領域に薬剤が散布される場合には、薬剤が既に散布された圃場に苗が植付けられると、苗の根部に薬剤が付着して苗が枯れるおそれがあるから、未作業領域に薬剤が散布されないことが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、圃場において、所定の作業が行われた既作業領域に対して適切に粉粒体を拡散放出させることが可能となり、未作業領域に粉粒体が散布される状態が少ないものとなる粉粒体散布装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粉粒体散布装置は、貯留部に貯留される粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記繰出し手段から繰り出される粉粒体を打撃により飛散させる回転式飛散手段と、その回転式飛散手段により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する案内手段とを備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、
圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域を検出する既作業領域検出手段と、
前記既作業領域検出手段の検出情報に基づいて、前記回転式飛散手段により飛散され且つ前記案内手段により案内される粉粒体の圃場に対する散布領域を前記既作業領域に対応させるように変更する散布領域変更手段とを備えて構成されている点にある。
【0007】
第1特徴構成によれば、既作業領域検出手段により圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域が検出される。そして、散布領域変更手段が、既作業領域検出手段の検出情報に基づいて、回転式飛散手段により飛散され且つ案内手段により案内される粉粒体の圃場に対する散布領域を既作業領域に対応させるように変更することになる。つまり、圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域に対応させて、その既作業領域に粉粒体を散布供給させることができるものとなる。尚、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更する構成としては、例えば、案内手段による粉粒体の案内方向を変更させる構成や、回転式飛散手段の回転方向を変更させる構成等の種々の構成がある。
【0008】
従って、第1特徴構成によれば、圃場において、所定の作業が行われた既作業領域に対して適切に粉粒体を拡散放出させることが可能となり、未作業領域に粉粒体が散布される状態が少ないものとなる粉粒体散布装置を提供できるに至った。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記案内手段が、前記回転式飛散手段により飛散される粉粒体の拡散放出範囲を規制すべく前記回転式飛散手段の左右両側に夫々縦壁状の案内面を備える左右一対の案内体にて構成され、
前記散布領域変更手段が、前記各案内体の向きを縦軸芯周りで変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更するように構成されている点にある。
【0010】
第2特徴構成によれば、散布領域変更手段は、回転式飛散手段の左右両側に夫々縦壁状の案内面を備える左右一対の案内体の向きを縦軸芯周りで変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更することになる。
【0011】
このように回転式飛散手段により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する左右一対の案内体、言い換えると、粉粒体が拡散放出されるときの両側への広がりを規制する案内体の向きを変更させるので、粉粒体の拡散放出方向を的確に変更させることができる。
【0012】
従って、第2特徴構成によれば、粉粒体の拡散放出方向を的確に変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更させることが可能となる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記回転式飛散手段が、水平姿勢の受止め面を備えるとともに縦軸芯周りで駆動回転される受止め回転体と、その受止め回転体の前記受止め面に立設された拡散用羽根体とを備えて構成され、
前記散布領域変更手段が、前記受止め回転体の回転方向を変更させることにより粉粒体の圃場に対する散布領域を変更するように構成されている点にある。
【0014】
第3特徴構成によれば、繰出し手段から繰り出された粉粒体は、受止め回転体における水平姿勢の受止め面にて受け止められたのち、受止め回転体の縦軸芯周りでの駆動回転に伴って拡散用羽根体による打撃を受けて粉粒体が外方側に飛散することになる。
【0015】
拡散用羽根体により粉粒体が飛散される方向は、受止め回転体に対する粉粒体の供給位置と受止め回転体の回転方向等により定まるので、受止め回転体の回転方向を変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更することができる。そして、回転式飛散手段の回転方向を変更させる構成としては、例えば、電動モータにて回転駆動するものであれば印加電圧の正負を反転させる簡単な回路で対応できる等、簡易な構造改良により対応することが可能となる。
【0016】
従って、第3特徴構成によれば、簡易な構造改良により、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更させることが可能となる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記所定の作業としての設定条数又は設定条数のうちの一部の条に苗の植付け作業を行う田植機の後部に位置する状態で備えられて、粉粒体を圃場に拡散放出させるように構成され、
前記既作業領域検出手段が、田植機から得られる植付け条数が設定条数であるか一部の条であるかについての切り換え情報に基づいて、植付け条数が設定条数であれば設定条数の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出し、植付け条数が一部の条であれば一部の条の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出するように構成されている点にある。
【0018】
第4特徴構成によれば、田植機から得られる植付け条数が設定条数であるか一部の条であるかについての切り換え情報に基づいて、植付け条数が設定条数であれば設定条数の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出され、植付け条数が一部の条であれば一部の条の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出されることになる。
【0019】
説明を加えると、田植機では、苗の植付けが行われた既作業領域に粉粒体の一例としての薬剤を散布する場合があり、しかも、田植機による苗植付け作業においては、圃場での作業状況によっては、設定条数よりも少ない条数だけの苗の植付けを行う場合があるが、このような作業形態であっても、苗の植付けが行われた既作業領域に対してのみ適切に粉粒体としての薬剤を散布することができ、苗が植付けられていない未作業領域に粉粒体としての薬剤が散布される状態が少ないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】薬剤散布装置の背面図である。
【図4】薬剤散布装置の縦断側面図である。
【図5】薬剤散布装置の底面図である。
【図6】電気制御ユニットの操作部を示す側面図である。
【図7】拡散放出機構の横断平面図である。
【図8】繰出し機構の縦断側面図である。
【図9】繰出し機構の縦断正面図である。
【図10】繰出し機構の分解斜視図である。
【図11】薬剤散布装置の電気回路図である。
【図12】散布領域の変更状態を示す平面図である。
【図13】別実施形態の歩行型田植機での作業状態を示す側面図である。
【図14】別実施形態の歩行型田植機での作業状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明に係る粉粒体散布装置を乗用型田植機に装備した薬剤散布装置に適用した場合について説明する。
図1に示すように、乗用型田植機は、操向操作自在な左右一対の前輪1及び左右一対の後輪2を備えた走行機体3の前部側に、エンジン4及びミッションケース5を備え、走行機体3の中央部にステアリングハンドル6等を装備した操縦部7と運転座席8とを備えて構成され、又、走行機体3の左右両側に予備苗のせ台9が配設されている。走行機体3の後方には、リフトシリンダ10の操作によりリンク機構11を介して昇降操作自在に苗植付装置12が連結され、その苗植付装置12の後方に、粉粒体としての例えば除草剤等の薬剤を散布する粉粒体散布装置としての薬剤散布装置13が備えられている。図2に示すように、苗植付装置12は4条植型式に構成されている。ミッションケース5には、変速レバー16を操作することにより変速操作される静油圧式の無段変速装置(図示せず)が備えられている。
【0022】
図1及び図2に示すように、苗植付装置12は、1個のフィードケース14に連結された機体左右方向に延びる支持フレーム(図示せず)に、2個の伝動ケース15が後向きに片持ち状に連結されている。伝動ケース15の後部の左右両側部に植付アーム18がクランク機構17により上下に揺動自在に支持され、植付アーム18に植付爪22が備えられており、苗植付装置12の下部には接地フロート19が支持されている。
又、苗植付装置12には、苗のせ台20が左右に一定ストロークで往復横送り駆動自在に備えられており、苗のせ台20がストロークエンドに達する毎に、載置された苗を所定量だけ下方に送るベルト式の縦送り装置21が苗のせ台20に備えられている。
【0023】
フィードケース14に伝達される動力が伝動ケース15に伝達されて、植付アーム18が駆動される一方、フィードケース14に伝達される動力により苗のせ台20が往復横送り駆動されて、苗のせ台20の下部から上下に揺動運動する植付アーム18が、その先端部に備えられた植付爪22により1株ずつ苗を取り出して田面に植え付けるのであり、苗のせ台20が往復横送りのストロークエンドに達すると、フィードケース14に伝達される動力により縦送り装置21が駆動されて、苗のせ台20に載置された苗が下方に送られる構成となっている。苗植付装置12の左右両側には、次回の作業行程に対応する田面に走行の指標を描くマーカー95,96が出退自在に設けられている。
【0024】
そして、一対の伝動ケース15の夫々には、フィードケース14からの動力伝達を断続自在な少数条クラッチ83,84が備えられ、いずれかの少数条クラッチ83,84を切り状態に切り換えることで、4条のうちの2条分だけの植付け作業を行うことが可能な構成となっている。又、これらの少数条クラッチ83,84夫々の伝動入り切り状態を各別に検出する一対の少数条クラッチセンサ85,86が備えられ、この少数条クラッチセンサ85,86の検出情報は、後述するように薬剤散布装置13に備えられた制御装置66に入力される構成となっている。
【0025】
次に、薬剤散布装置13について説明する。
図1〜図3に示すように、左右両側の伝動ケース15に夫々固定されて架設された支持フレーム23Aの中間部から支柱23Bを固定立設してあり、この支柱23Bの上部に、
苗植付け状態において田面から設定距離上方に位置する状態で薬剤散布装置13が支持される構成となっている。そして、図4及び図5に示すように、薬剤散布装置13は、薬剤を貯留する貯留部としての貯留ホッパー24と、その貯留ホッパー24の下部に位置して貯留される薬剤を繰り出す繰出し手段としての繰出し機構25と、繰り出されて供給経路としての案内通路26を通して落下供給される薬剤を拡散させる回転式の拡散手段としての拡散放出機構27と、繰出し機構25の作動を制御するための電気制御ユニット28とを備えて構成されている。
【0026】
繰出し機構25及び拡散放出機構27は、ケーシング29に収納される構成となっており、このケーシング29は、合成樹脂材からなり、拡散放出機構27に薬剤を落下供給する案内通路26を構成する筒部30が一体形成されている。図3及び図5に示すように、ケーシング29は、左右両側の分割ケーシング部分29a,29bを合わせ面同士で接続する左右2つ割り構造となっている。
【0027】
図4及び図8〜図10に示すように、繰出し機構25は、薬剤の通過用開口31が形成された金属製の開口形成板32と、通過用開口31を閉塞する閉状態と薬剤の通過用開口31を開放する開状態とにわたりスライド移動自在な金属製のシャッター部材33と、そのシャッター部材33を閉状態と開状態とに切り換えるアクチュエータとしてのソレノイド34とを備えて構成されている。
【0028】
開口形成板32とシャッター部材33とが上下に重なる状態で設けられ、シャッター部材33が開口形成板32に形成された通過用開口31を閉じると閉状態となり、薬剤の落下供給が停止され、シャッター部材33が通過用開口31を開放する位置までスライドすると、通過用開口31が開放されて開状態となり、この開状態では、通過用開口31を通して薬剤が下方に落下供給される構成となっている。
この構成では、通過用開口31の下方側では、シャッター部材33だけが存在しており、シャッター部材33の下方には他の部材が存在しないので、薬剤が詰まり難い構成となっている。
【0029】
図8に示すように、開口形成板32は、下向き屈曲片32bがケーシング29の筒部30の内側に形成された係止凹部35に係合して、シャッター部材33がソレノイド34に近接する方向にスライド移動することによって連なって移動することが規制され、且つ、上向き屈曲片32cがケーシング29の筒部30の外側の端縁部36に係合して、シャッター部材33がソレノイド34から離間する方向にスライド移動することによって連なって移動することが規制される構成となっている。
【0030】
シャッター部材33は、ソレノイド34の操作ロッド37に対して連結ピン38で枢支連結される構成となっており、開口形成板32の下側に接する状態で備えられ、保持部32dによって開口形成板32から上下に離間することを阻止する構成となっている。又、シャッター部材33の閉塞作用部33Aよりもソレノイド34側に寄った箇所に、開口形成板32とシャッター部材33との間に嵌まり込む薬剤を下方に落下させるために上下方向に貫通する掻き出し孔39が形成されている。
【0031】
図4に示すように、ケーシング29における筒部30の横一側箇所には、ソレノイド34を収納するためのソレノイド収納室40が形成されており、反対側箇所には、拡散放出機構27における電動モータ41を収納するためのモータ収納室42が形成されている。 ソレノイド収納室40側の筒部30の側壁には、シャッター部材33と開口形成板32とを挿通するためのスリット孔43が形成されている。
【0032】
図8に示すように、このスリット孔43の上側には、開口形成板32とシャッター部材33とを水平姿勢で保持するための幅広案内部44が形成されており、この幅広案内部44の上面には、通過用開口31に向かうほど下方に傾斜する傾斜面45が全幅にわたって形成されている。又、スリット孔43の上側における幅方向両側部には、開口形成板32の浮き上がりを防止する両側ガイド部46が形成されている。
【0033】
図8及び図9に示すように、スリット孔43の下部側には、幅方向両側部にシャッター部材33を受止め支持する下側ガイド部47が形成されるとともに、シャッター部材33を開状態に切り換えたときに、掻き出し孔39の下方から排出される薬剤を拡散放出機構27に案内できるように幅広の排出用空間48が形成されている。
【0034】
図8に示すように、シャッター部材33は、ソレノイド34に備えられるコイルバネ49が座金50を介して連結ピン38に作用することにより閉位置(通過用開口31を閉じる位置)に移動付勢され、ソレノイド34に通電することによりコイルバネ49の付勢力に抗して引き操作することにより開位置(通過用開口31を開放する位置)に移動操作することができるように構成されている。
【0035】
図4及び図8に示すように、拡散放出機構27は、横向き姿勢の受止め面51Aを備えるとともに縦軸芯Y1周りで回転する受止め体51と、受止め面51Aに立設された拡散用羽根体52と、受止め体51を縦軸芯Y1周りで回転駆動する直流駆動型の電動モータ41とを備えて構成されている。
【0036】
受止め体51は縦軸芯Y1周りで回転する状態で板面が横向き姿勢となるように設けられた円板形状になっており、拡散用羽根体52が、周方向に沿って分散配置される状態で且つ受止め体51における縦軸芯Y1から径方向外方側に寄った状態で放射状に複数備えられている。従って、受止め体51における縦軸芯Y1を含むその周囲の領域は、周方向全域にわたって拡散用羽根体52が存在しない羽根無し領域Qとして形成されている。
【0037】
具体的には、図7に示すように、拡散用羽根体52は、周方向に沿って約60度ずつ等間隔をあけて分散配置される状態で6個備えられており、各拡散用羽根体52は、受止め体51の半径の約半分の距離に相当する横幅を有し、且つ、横幅の略半分の距離に相当する高さを有する状態で、受止め体51の径方向外方側に寄った位置に立設される構成となっている。
【0038】
図4に示すように、拡散用羽根体52の径方向での内端縁は径方向外方側ほど高くなる傾斜縁52Aに形成されている。拡散用羽根体52の上端縁は水平に形成され、拡散用羽根体52の上下高さが受止め体51の受止め面51Aの傾斜の分、径方向外方側ほど低くなるように形成されている。
【0039】
尚、受止め体51及び拡散用羽根体52は合成樹脂材にて一体形成される構成となっており、受止め体51には、電動モータ41の駆動軸53に外嵌する筒軸部80も一体形成されており、筒軸部80は、電動モータ41の駆動軸53に外嵌装着されてそれに横向きに装着されたビスbiを駆動軸53に圧接して受止め体51が駆動軸53と一体回転するように連結されている。
【0040】
図4に示すように、円板形状の受止め体51は中央部が下向きに突出する形状となっており、受止め体51の上部側に位置する受止め面51Aが縦軸芯Y1側ほど下方に位置する中凹み状の傾斜面に形成されている。このように構成することで薬剤を周方向に均す機能をより発揮させ易いようにしている。
【0041】
図4及び図5に示すように、受止め体51における上方側には上部側を仕切る天井壁部58Aが設けられ、又、受止め体51の外周側には、周方向の一部の領域から薬剤が外方に拡散放出されるのを規制する規制用縦壁58Bが備えられ、且つ、この規制用縦壁58Bの両側部の夫々に、受止め体51における周方向の他の領域から外方に拡散放出される薬剤の拡散放出方向を調整する左右一対の案内体の一例としての拡散方向調整板59,60が備えられている。
【0042】
規制用縦壁58Bは、ケーシング29に一体成形される状態で設けられ、受止め体51の外周縁の近傍に、周方向に沿って約半周にわたり受止め体51の外周部を覆うように、所定の上下幅を有する状態で且つ外周縁に沿うように平面視で半円弧状に形成されている。又、拡散方向調整板59,60は、夫々縦壁状の案内面を備える縦向き姿勢の板状体にて形成されている。
【0043】
そして、拡散方向調整板59,60の向きを夫々縦軸芯Y2,Y3周りで変更させることにより薬剤の圃場に対する散布領域を変更する電動モータ式の回動操作機構91,92が設けられている。
つまり、図5に示すように、拡散方向調整板59,60は、夫々、基端側の縦軸芯Y2,Y3周りで回動自在にケーシング29に支持してあり、平面視で各縦軸芯Y2,Y3上に位置する状態で回動操作機構91,92が夫々備えられている。詳細な構成は図示していないが、この回動操作機構91,92は減速機付きの電動モータにて構成され、拡散方向調整板59,60の縦軸芯周りでの回動位置を各別に変更調節することができるように構成されている。又、回動操作機構91,92には、拡散方向調整板59,60の実際の回動位置を検出するためのポテンショメータ式の角度センサ93,94(図11参照)を内装する状態で備える構成となっている。
【0044】
そして、繰出し機構25におけるソレノイド34、拡散放出機構27における電動モータ41、及び、各回動操作機構91,92の作動を制御する制御手段としての制御装置66が電気制御ユニット28に備えられおり、以下、この電気制御ユニット28について説明する。
尚、走行機体3には充電式のバッテリーが搭載されておらず、エンジン4によって駆動される発電機61(例えば、前照灯等を点灯させるために設けられる発電機等)にて発電された電力が電気制御ユニット28に供給されるように構成されている。走行機体3にはバッテリーが搭載されていないので、エンジン4はリコイル式の始動装置(図示せず)により始動される構成となっている。
【0045】
図11に示すように、電気制御ユニット28は、電源入切スイッチ62を介して供給される発電機61からの交流電力を整流回路63により整流したのち第1レギュレータ回路64により直流12Vに電圧調整して、その直流12Vの電力を電動モータ41及びソレノイド34の駆動用の電力として利用するように構成され、さらに、第1レギュレータ回路64の出力を第2レギュレータ回路65により直流5Vに電圧調整して制御装置66の駆動用電力として利用するように回路が構成されている。直流12Vの電力は、制御装置66によりオンオフ制御されるスイッチングトランジスタ67を介してソレノイド34に供給されるように構成されている。
【0046】
直流12Vの電力は電動モータ41にも供給されるが、制御装置66により例えばパルス幅変調により電動モータ41に供給する電力を調整する駆動回路71と、電動モータ41の回転数を検出するホール素子等からなる回転センサ72とが設けられ、回転センサ72の検出結果を制御装置66にフィードバックして、設定回転数で受止め体51を回転する状態になるように、制御装置66が、駆動回路71に出力するパルス信号のデューティ比を変更して電動モータ41に供給される電力を調節するように、電動モータ41の駆動状態を制御するように構成されている。
このように構成することで、例えば、発電機61による発電状態が変動すること等に起因して電源電圧が変動することがあっても、電動モータ41により、受止め体51を設定回転数で回転することができるようにしている。
【0047】
又、直流12Vの電力は前記各回動操作機構91,92にも供給されており、各回動操作機構91,92は、後述するように、制御装置66によりその作動が制御される。
【0048】
ちなみに、電気制御ユニット28は、上記したような電気部品がプリント配線基板上に装着されてケーシング29に内装されており、図11に示すように、電気制御ユニット28と走行機体3との間での電気配線77は、途中に備えられたコネクタ78によって接続分離自在に構成されている。そして、図4〜図6に示すように、コネクタ78における薬剤散布装置側の接続具78Aが、左右両側の分割ケーシング部分29a,29bの合わせ面wにて挟み込む状態でケーシング29に装着されている。
【0049】
繰出し機構25による薬剤の繰出し量を変更調節するためのポテンショメータ式の調節操作具68と、その調節操作具68により変更調節される繰出し量を調節するときに調節用のレンジを高低に切り換える切換スイッチ69とが備えられ、制御装置66は、それらの調節操作具68と切換スイッチ69の設定状態に基づいて、繰出し機構25による薬剤の繰出し量、具体的には、間欠的にシャッター部材33を開状態に切り換えるときの開作動を維持する時間を変更調節するように構成されている。
【0050】
切換スイッチ69及び電源入切スイッチ62は、図6及び図11に示すように、1つのロータリースイッチRSにて構成され、このロータリースイッチRSは、3位置に切り換え自在であり、中央の「切」位置に操作すると、電源入切スイッチ62が切り状態となり、「A」位置及び「B」位置に操作すると、電源入切スイッチ62が入り状態となり且つ「A」位置又は「B」位置の違いにより上述したような調節用のレンジが高低に切り換わる構成となっている。尚、図6中の符号74は、薬剤の供給量を計測するための計量動作を指令する計量スイッチである。
【0051】
又、図11に示すように、苗植付装置12における縦送り装置21が送り作動したことを検出する縦送り検出センサ82が備えられ、この縦送り検出センサ82の出力が制御装置66に入力されており、制御装置66は、縦送り検出センサ82から検出信号が入力される度に、上述したように設定した開作動時間が経過する間だけ、シャッター部材33を開状態に切り換え、その後に閉状態に戻すようにソレノイド34の作動を制御する開作動操作を実行するように構成されている。
【0052】
そして、この薬剤散布装置では、図11に示すように、制御装置66に、既作業領域検出手段KRとして機能する一対の少数条クラッチセンサ85,86の検出信号が入力されており、制御装置66は、一対の少数条クラッチセンサ85,86の検出情報に基づいて、薬剤の圃場に対する散布領域を苗植付装置12により苗が植付けられた既作業領域に対応させるように変更すべく回動操作機構91,92の作動を制御するように構成されている。つまり、角度センサ93,94により検出される拡散方向調整板59,60の向きが、散布すべき領域に薬剤を散布させるのに必要となる向きになるように、回動操作機構91,92を作動させて拡散方向調整板59,60の向きを調節する。
すなわち、一対の少数条クラッチセンサ85,86の検出信号は、植付け条数が設定条数(4条)であるか一部の条(右側2条あるいは左側2条)であるかについての切り換え情報に相当する。
【0053】
具体的な動作について説明すると、例えば、一対の少数条クラッチセンサ85,86が共にクラッチ入り状態を検出しているときは、図12(a)に示すように、設定条数(4条)の苗の植付け領域に対応する広い既作業領域Zに薬剤を散布させるように、拡散方向調整板59,60の向きを調節するように回動操作機構91,92の作動を制御する。
【0054】
又、左側の少数条クラッチセンサ85がクラッチ入り状態を検出し、右側の少数条クラッチセンサ86がクラッチ切り状態を検出しているときは、図12(b)に示すように、左側の一部の条(2条分)の苗植付け領域に対応する既作業領域Zに薬剤を散布させるように、拡散方向調整板59,60の向きを調節するように回動操作機構91,92の作動を制御する。
【0055】
そして、右側の少数条クラッチセンサ86がクラッチ入り状態を検出し、左側の少数条クラッチセンサ85がクラッチ切り状態を検出しているときは、図12(c)に示すように、右側の一部の条(2条分)の苗の植付け領域に対応する既作業領域Zに薬剤を散布させるように、拡散方向調整板59,60の向きを調節するように回動操作機構91,92の作動を制御する。
【0056】
尚、左右いずれかの少数条クラッチ83,84が切り操作されているとき(2条植えの場合)は、繰出し機構25による薬剤の繰出し量が設定条数(4条)を対象に散布する場合に比べて半分の量になるように、シャッター部材33の開作動時間を調節するようになっている。
【0057】
このように薬剤の散布放出方向を変更調節することで、苗植付け作業が行われた既植付け領域(既作業領域)に対してのみ薬剤を散布供給することができる。
従って、この実施形態では、回動操作機構91,92と制御装置66とにより散布領域変更手段SHが構成されている。
【0058】
この実施形態では、4条植え形式の田植機を示したが、設定条数としては4条に限らず、それ以外の条数の植付け条を備える田植機でもよく、又、少数条クラッチ83,84としては、例えば、8条植えの場合に2条ずつ動力を断続させることが可能な4つの少数条クラッチを備えるようにする等、種々の構成を適用してもよく、このような8条植え形式の田植機であっても、苗植付け作業が行われた既植付け領域(既作業領域Z)に対してのみ薬剤を散布供給することができる。
【0059】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、既作業領域検出手段KRとして少数条クラッチセンサ85,86を備えるものを示したが、このような構成に代えて、次の(1−1)(1−2)(1−3)(1−4)のように構成してもよい。
【0060】
(1−1)既作業領域検出手段KRとして、圃場における既作業領域と未作業領域とを判別可能な画像データを取得することが可能な撮像手段(図示せず)と、その撮像手段の検出情報に基づいて圃場における既作業領域を判別する判別手段(図示せず)とを備えて、判別した既作業領域に粉粒体を散布させるように、散布領域変更手段SHが散布領域を変更する構成としてもよい。
【0061】
(1−2)上記実施形態のように走行機体3の後方側箇所に粉粒体を散布する形態ではなく、薬剤散布装置13を走行機体3の上部に備えて、走行機体3が走行する作業行程の横側に位置する前回の作業行程における既作業領域に粉粒体を散布する形態、言い換えると、薬剤散布装置13が機体進行方向と直交する方向に向けて薬剤を散布する作業形態において、既作業領域検出手段KRとして、枕地での機体旋回方向を検出する検出手段を備えて、その検出結果に基づいて、薬剤の繰出し領域を左右で切り換えるようにする構成としてもよい。つまり、走行機体3が畦際で旋回すると、走行機体3の進行方向に対する既作業領域が右側と左側とで交互に切り換わることになり、作業行程が変わると薬剤の繰出し領域が左右反転するからである。尚、この種の作業形態は、下記(3)にて記載するような歩行型田植機においても好適に用いることができる。
【0062】
(1−3)薬剤散布装置13が、圃場において進行方向が交互に切り替わる往復作業形態で作業を行う水田作業機に備えられるものであれば、既作業領域検出手段KRとして、機体旋回方向の検出ではなく、左右のマーカー95,96のうち現在の走行行程にて作用姿勢のものが左右いずれであるかを検知するものであってもよい。
【0063】
(1−4)既作業領域検出手段KRとして、上述したような各種の検出手段のいずれかを備えるものでありながら、さらに、作業を行っている場所での風向及び風速を検出する風向風速検出装置(図示せず)を備えて、その風向風速検出装置の検出情報に基づいて、粉粒体の散布すべき方向とする既作業領域の判別情報を、風による影響を考慮して補正する構成としてもよい。つまり、風により拡散放出される粉粒体が吹き流されて所望の散布位置からずれてしまうおそれがあるから、そのことによるずれを修正するための構成である。
【0064】
(2)上記実施形態では、拡散方向調整板59,60の向きを夫々縦軸芯周りで変更させることにより散布領域を変更するようにしたが、このような構成に代えて、次の(2−1)〜(2−4)のように構成してもよい。
【0065】
(2−1)電動モータ41の回転方向を変更させることにより、散布領域を変更するように構成してもよい。
例えば、設定条数に対応する領域に散布するときは、上記実施形態に示すように、受止め体51を平面視で左方向に設定回転数で回転させ、左側の一部の領域に散布するときは、受止め体51を平面視で右方向に設定回転数で回転させる。又、右側の一部の領域に散布するときは、受止め体51を平面視で右方向に設定回転数よりも高速の高速回転数で回転させる。尚、直流式の電動モータ41の回転方向を切り換えるのは、印加電圧の正負を反転させることにより対応できる。又、回転数を変更するのは、複数の目標回転数を予め記憶しておき、制御の状況に応じて目標とする回転数を切り換えることにより対応できる。
ちなみに、設定条数に対応する領域に散布するときは、受止め体51を左方向に設定回転数で回転させるが、図5に示すように、薬剤が落下する出口54が横幅方向の中心位置よりも回転方向上手側に位置ずれさせてあり、受止め体51を設定回転数で回転させることで極力均等に散布させることができるようにしている。
【0066】
(2−2)薬剤散布装置13全体を支柱23Bに対して縦軸芯周りで回転操作する駆動機構(図示せず)を備えて、この駆動機構により粉粒体散布装置13全体を縦軸芯周りで回転させることにより、拡散放出機構27による粉粒体の放出方向を変更させる構成としてもよい。
【0067】
(2−3)電動モータ41の回転方向を変更させることにより散布領域を変更するように構成に加えて、拡散方向調整板59,60の向きを夫々縦軸芯周りで変更させる構成を組み合わせる構成としてもよい。
【0068】
(2−4)粉粒体散布装置13全体を縦軸芯周りで回転させる構成に加えて、拡散方向調整板59,60の向きを夫々縦軸芯周りで変更させる構成を組み合わせる構成としてもよい。
【0069】
(3)上記実施形態では、乗用型田植機の後部に薬剤散布装置が装着されるものを示したが、田植機としては、乗用型に限らず、田植機の後方にて作業者が歩行しながら操縦する歩行型田植機にて苗植付け作業が行われた既作業領域Zに薬剤を散布するように構成するものでもよい。
【0070】
例えば、図13に示すように、歩行型田植機HTを操縦する作業者Jが背中に背負う形態で薬剤散布装置13を備えて、作業者Jの後方から、歩行型田植機HTにて苗植付け作業が行われた既作業領域Zに薬剤を散布するように構成してもよい。
【0071】
又、図14に示すように、歩行型田植機HTの機体上に薬剤散布装置13を備えて、歩行型田植機HTが走行する経路の横側に位置する前回の作業行程にて既に苗植付けが行われた既作業領域Zに向けて薬剤を機体横方向に散布するように構成してもよい。
【0072】
このような構成とすることで、圃場を歩行する作業者Jが薬剤を散布した跡を踏みつけることがなく、薬剤が有効に作用する状態で既植付け領域(既作業領域Z)に薬剤を散布することができる。
【0073】
(4)上記実施形態では、縦送り装置21の送り作動が設定回数行われたことを検出する毎に、シャッター部材33を開状態に切り換えるようにソレノイド34を制御する構成としたが、これに代えて、走行機体3の走行速度に応じてソレノイド34の開閉動作を変更させたり、走行機体が設定距離走行する毎に、シャッター部材33を開状態に切り換えるようにソレノイド34を制御するように構成してもよい。
【0074】
(5)上記実施形態では、いずれかの少数条クラッチ83,84が切り操作されているときは、常に、一部の条の苗の植付け領域に対応する既作業領域Zに薬剤を散布させるように回動操作機構91,92の作動を制御する構成としたが、このような制御モードとは別の制御モードとして、いずれかの少数条クラッチ83,84が切り操作されているときは、薬剤散布装置13による圃場への薬剤の散布を行わない制御モードを備える構成としてもよい。
【0075】
(6)上記実施形態では、所定の作業としての苗の植付け作業が行われれた既作業領域に粉粒体として薬剤を散布するものを示したが、薬剤に限らず粉粒体として肥料を散布するものでもよく、又、所定の作業としての圃場面の整地作業が行われた既作業領域に粉粒体として種子を散布するもの等、他の種類の粉粒体を散布するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、粉粒体を設定量ずつ繰り出して拡散放出させるように構成された粉粒体散布装置に適用できる。
【符号の説明】
【0077】
24 貯留部
25 繰出し手段
27 回転式飛散手段
51 受止め体
51A 受止め面
52 拡散用羽根体
59,60 案内体(案内手段)
KR 既作業領域検出手段
SH 散布領域変更手段
Y1,Y2,Y3 縦軸芯
Z 既作業領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留部に貯留される粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記繰出し手段から繰り出される粉粒体を打撃により飛散させる回転式飛散手段と、その回転式飛散手段により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する案内手段とを備えて構成されている粉粒体散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成の粉粒体散布装置の一例としての薬剤散布装置において、従来では、次のように構成したものがあった。
すなわち、薬剤散布装置が乗用型田植機の後部に備えられて、繰出し手段として左右両側に2つの薬剤落下口が形成された回転目皿式の繰り出し機構を備え、回転式飛散手段として、一方の薬剤落下口から落下する薬剤(粉粒体の一例)に対して作用して右方向に拡散放出する右方拡散用の拡散羽根と他方の薬剤落下口から落下する薬剤に対して作用して左方向に拡散放出する左方拡散用の拡散羽根とが一体的に横軸芯周りで回転する拡散機構を備え、且つ、案内手段として、下方が開放された箱形状で且つ位置固定のガイド部材を備える。そして、圃場において所定の作業として苗の植付け作業を行う場合に、苗の植付け作業が行われた既作業領域に薬剤を散布放出させるために、設定条数(6条)の植付けが行われるときは、両側の薬剤落下口から薬剤を落下させて圃場に拡散放出する。一方、一部の条(2条あるいは4条)だけの苗の植付けが行われるときは、片側の薬剤落下口から薬剤を落下させて圃場に拡散放出する。そして、片側の薬剤落下口から薬剤を落下させて圃場に拡散放出するときは、設定条数(6条)のうちの片側寄りの4条に相当する領域に薬剤を散布するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−304793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成によれば、設定条数(6条)のうちの片側寄りの4条だけ苗を植付ける場合には、片側の薬剤落下口から薬剤を落下させて圃場に拡散放出することによって、薬剤の散布を行う領域が既作業領域に対応するものとなるが、2条分だけ苗の植付けを行う場合であっても、設定条数(6条)のうちの片側寄りの4条に相当する領域に薬剤が散布されるものであるから、この場合には、薬剤(粉粒体)の拡散放出領域が既作業領域に対応しないものとなり、未作業領域に対して薬剤(粉粒体)が散布されるという不利がある。
ちなみに、未作業領域としての苗の未植付領域に薬剤が散布される場合には、薬剤が既に散布された圃場に苗が植付けられると、苗の根部に薬剤が付着して苗が枯れるおそれがあるから、未作業領域に薬剤が散布されないことが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、圃場において、所定の作業が行われた既作業領域に対して適切に粉粒体を拡散放出させることが可能となり、未作業領域に粉粒体が散布される状態が少ないものとなる粉粒体散布装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粉粒体散布装置は、貯留部に貯留される粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記繰出し手段から繰り出される粉粒体を打撃により飛散させる回転式飛散手段と、その回転式飛散手段により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する案内手段とを備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、
圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域を検出する既作業領域検出手段と、
前記既作業領域検出手段の検出情報に基づいて、前記回転式飛散手段により飛散され且つ前記案内手段により案内される粉粒体の圃場に対する散布領域を前記既作業領域に対応させるように変更する散布領域変更手段とを備えて構成されている点にある。
【0007】
第1特徴構成によれば、既作業領域検出手段により圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域が検出される。そして、散布領域変更手段が、既作業領域検出手段の検出情報に基づいて、回転式飛散手段により飛散され且つ案内手段により案内される粉粒体の圃場に対する散布領域を既作業領域に対応させるように変更することになる。つまり、圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域に対応させて、その既作業領域に粉粒体を散布供給させることができるものとなる。尚、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更する構成としては、例えば、案内手段による粉粒体の案内方向を変更させる構成や、回転式飛散手段の回転方向を変更させる構成等の種々の構成がある。
【0008】
従って、第1特徴構成によれば、圃場において、所定の作業が行われた既作業領域に対して適切に粉粒体を拡散放出させることが可能となり、未作業領域に粉粒体が散布される状態が少ないものとなる粉粒体散布装置を提供できるに至った。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記案内手段が、前記回転式飛散手段により飛散される粉粒体の拡散放出範囲を規制すべく前記回転式飛散手段の左右両側に夫々縦壁状の案内面を備える左右一対の案内体にて構成され、
前記散布領域変更手段が、前記各案内体の向きを縦軸芯周りで変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更するように構成されている点にある。
【0010】
第2特徴構成によれば、散布領域変更手段は、回転式飛散手段の左右両側に夫々縦壁状の案内面を備える左右一対の案内体の向きを縦軸芯周りで変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更することになる。
【0011】
このように回転式飛散手段により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する左右一対の案内体、言い換えると、粉粒体が拡散放出されるときの両側への広がりを規制する案内体の向きを変更させるので、粉粒体の拡散放出方向を的確に変更させることができる。
【0012】
従って、第2特徴構成によれば、粉粒体の拡散放出方向を的確に変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更させることが可能となる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記回転式飛散手段が、水平姿勢の受止め面を備えるとともに縦軸芯周りで駆動回転される受止め回転体と、その受止め回転体の前記受止め面に立設された拡散用羽根体とを備えて構成され、
前記散布領域変更手段が、前記受止め回転体の回転方向を変更させることにより粉粒体の圃場に対する散布領域を変更するように構成されている点にある。
【0014】
第3特徴構成によれば、繰出し手段から繰り出された粉粒体は、受止め回転体における水平姿勢の受止め面にて受け止められたのち、受止め回転体の縦軸芯周りでの駆動回転に伴って拡散用羽根体による打撃を受けて粉粒体が外方側に飛散することになる。
【0015】
拡散用羽根体により粉粒体が飛散される方向は、受止め回転体に対する粉粒体の供給位置と受止め回転体の回転方向等により定まるので、受止め回転体の回転方向を変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更することができる。そして、回転式飛散手段の回転方向を変更させる構成としては、例えば、電動モータにて回転駆動するものであれば印加電圧の正負を反転させる簡単な回路で対応できる等、簡易な構造改良により対応することが可能となる。
【0016】
従って、第3特徴構成によれば、簡易な構造改良により、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更させることが可能となる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記所定の作業としての設定条数又は設定条数のうちの一部の条に苗の植付け作業を行う田植機の後部に位置する状態で備えられて、粉粒体を圃場に拡散放出させるように構成され、
前記既作業領域検出手段が、田植機から得られる植付け条数が設定条数であるか一部の条であるかについての切り換え情報に基づいて、植付け条数が設定条数であれば設定条数の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出し、植付け条数が一部の条であれば一部の条の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出するように構成されている点にある。
【0018】
第4特徴構成によれば、田植機から得られる植付け条数が設定条数であるか一部の条であるかについての切り換え情報に基づいて、植付け条数が設定条数であれば設定条数の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出され、植付け条数が一部の条であれば一部の条の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出されることになる。
【0019】
説明を加えると、田植機では、苗の植付けが行われた既作業領域に粉粒体の一例としての薬剤を散布する場合があり、しかも、田植機による苗植付け作業においては、圃場での作業状況によっては、設定条数よりも少ない条数だけの苗の植付けを行う場合があるが、このような作業形態であっても、苗の植付けが行われた既作業領域に対してのみ適切に粉粒体としての薬剤を散布することができ、苗が植付けられていない未作業領域に粉粒体としての薬剤が散布される状態が少ないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】薬剤散布装置の背面図である。
【図4】薬剤散布装置の縦断側面図である。
【図5】薬剤散布装置の底面図である。
【図6】電気制御ユニットの操作部を示す側面図である。
【図7】拡散放出機構の横断平面図である。
【図8】繰出し機構の縦断側面図である。
【図9】繰出し機構の縦断正面図である。
【図10】繰出し機構の分解斜視図である。
【図11】薬剤散布装置の電気回路図である。
【図12】散布領域の変更状態を示す平面図である。
【図13】別実施形態の歩行型田植機での作業状態を示す側面図である。
【図14】別実施形態の歩行型田植機での作業状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明に係る粉粒体散布装置を乗用型田植機に装備した薬剤散布装置に適用した場合について説明する。
図1に示すように、乗用型田植機は、操向操作自在な左右一対の前輪1及び左右一対の後輪2を備えた走行機体3の前部側に、エンジン4及びミッションケース5を備え、走行機体3の中央部にステアリングハンドル6等を装備した操縦部7と運転座席8とを備えて構成され、又、走行機体3の左右両側に予備苗のせ台9が配設されている。走行機体3の後方には、リフトシリンダ10の操作によりリンク機構11を介して昇降操作自在に苗植付装置12が連結され、その苗植付装置12の後方に、粉粒体としての例えば除草剤等の薬剤を散布する粉粒体散布装置としての薬剤散布装置13が備えられている。図2に示すように、苗植付装置12は4条植型式に構成されている。ミッションケース5には、変速レバー16を操作することにより変速操作される静油圧式の無段変速装置(図示せず)が備えられている。
【0022】
図1及び図2に示すように、苗植付装置12は、1個のフィードケース14に連結された機体左右方向に延びる支持フレーム(図示せず)に、2個の伝動ケース15が後向きに片持ち状に連結されている。伝動ケース15の後部の左右両側部に植付アーム18がクランク機構17により上下に揺動自在に支持され、植付アーム18に植付爪22が備えられており、苗植付装置12の下部には接地フロート19が支持されている。
又、苗植付装置12には、苗のせ台20が左右に一定ストロークで往復横送り駆動自在に備えられており、苗のせ台20がストロークエンドに達する毎に、載置された苗を所定量だけ下方に送るベルト式の縦送り装置21が苗のせ台20に備えられている。
【0023】
フィードケース14に伝達される動力が伝動ケース15に伝達されて、植付アーム18が駆動される一方、フィードケース14に伝達される動力により苗のせ台20が往復横送り駆動されて、苗のせ台20の下部から上下に揺動運動する植付アーム18が、その先端部に備えられた植付爪22により1株ずつ苗を取り出して田面に植え付けるのであり、苗のせ台20が往復横送りのストロークエンドに達すると、フィードケース14に伝達される動力により縦送り装置21が駆動されて、苗のせ台20に載置された苗が下方に送られる構成となっている。苗植付装置12の左右両側には、次回の作業行程に対応する田面に走行の指標を描くマーカー95,96が出退自在に設けられている。
【0024】
そして、一対の伝動ケース15の夫々には、フィードケース14からの動力伝達を断続自在な少数条クラッチ83,84が備えられ、いずれかの少数条クラッチ83,84を切り状態に切り換えることで、4条のうちの2条分だけの植付け作業を行うことが可能な構成となっている。又、これらの少数条クラッチ83,84夫々の伝動入り切り状態を各別に検出する一対の少数条クラッチセンサ85,86が備えられ、この少数条クラッチセンサ85,86の検出情報は、後述するように薬剤散布装置13に備えられた制御装置66に入力される構成となっている。
【0025】
次に、薬剤散布装置13について説明する。
図1〜図3に示すように、左右両側の伝動ケース15に夫々固定されて架設された支持フレーム23Aの中間部から支柱23Bを固定立設してあり、この支柱23Bの上部に、
苗植付け状態において田面から設定距離上方に位置する状態で薬剤散布装置13が支持される構成となっている。そして、図4及び図5に示すように、薬剤散布装置13は、薬剤を貯留する貯留部としての貯留ホッパー24と、その貯留ホッパー24の下部に位置して貯留される薬剤を繰り出す繰出し手段としての繰出し機構25と、繰り出されて供給経路としての案内通路26を通して落下供給される薬剤を拡散させる回転式の拡散手段としての拡散放出機構27と、繰出し機構25の作動を制御するための電気制御ユニット28とを備えて構成されている。
【0026】
繰出し機構25及び拡散放出機構27は、ケーシング29に収納される構成となっており、このケーシング29は、合成樹脂材からなり、拡散放出機構27に薬剤を落下供給する案内通路26を構成する筒部30が一体形成されている。図3及び図5に示すように、ケーシング29は、左右両側の分割ケーシング部分29a,29bを合わせ面同士で接続する左右2つ割り構造となっている。
【0027】
図4及び図8〜図10に示すように、繰出し機構25は、薬剤の通過用開口31が形成された金属製の開口形成板32と、通過用開口31を閉塞する閉状態と薬剤の通過用開口31を開放する開状態とにわたりスライド移動自在な金属製のシャッター部材33と、そのシャッター部材33を閉状態と開状態とに切り換えるアクチュエータとしてのソレノイド34とを備えて構成されている。
【0028】
開口形成板32とシャッター部材33とが上下に重なる状態で設けられ、シャッター部材33が開口形成板32に形成された通過用開口31を閉じると閉状態となり、薬剤の落下供給が停止され、シャッター部材33が通過用開口31を開放する位置までスライドすると、通過用開口31が開放されて開状態となり、この開状態では、通過用開口31を通して薬剤が下方に落下供給される構成となっている。
この構成では、通過用開口31の下方側では、シャッター部材33だけが存在しており、シャッター部材33の下方には他の部材が存在しないので、薬剤が詰まり難い構成となっている。
【0029】
図8に示すように、開口形成板32は、下向き屈曲片32bがケーシング29の筒部30の内側に形成された係止凹部35に係合して、シャッター部材33がソレノイド34に近接する方向にスライド移動することによって連なって移動することが規制され、且つ、上向き屈曲片32cがケーシング29の筒部30の外側の端縁部36に係合して、シャッター部材33がソレノイド34から離間する方向にスライド移動することによって連なって移動することが規制される構成となっている。
【0030】
シャッター部材33は、ソレノイド34の操作ロッド37に対して連結ピン38で枢支連結される構成となっており、開口形成板32の下側に接する状態で備えられ、保持部32dによって開口形成板32から上下に離間することを阻止する構成となっている。又、シャッター部材33の閉塞作用部33Aよりもソレノイド34側に寄った箇所に、開口形成板32とシャッター部材33との間に嵌まり込む薬剤を下方に落下させるために上下方向に貫通する掻き出し孔39が形成されている。
【0031】
図4に示すように、ケーシング29における筒部30の横一側箇所には、ソレノイド34を収納するためのソレノイド収納室40が形成されており、反対側箇所には、拡散放出機構27における電動モータ41を収納するためのモータ収納室42が形成されている。 ソレノイド収納室40側の筒部30の側壁には、シャッター部材33と開口形成板32とを挿通するためのスリット孔43が形成されている。
【0032】
図8に示すように、このスリット孔43の上側には、開口形成板32とシャッター部材33とを水平姿勢で保持するための幅広案内部44が形成されており、この幅広案内部44の上面には、通過用開口31に向かうほど下方に傾斜する傾斜面45が全幅にわたって形成されている。又、スリット孔43の上側における幅方向両側部には、開口形成板32の浮き上がりを防止する両側ガイド部46が形成されている。
【0033】
図8及び図9に示すように、スリット孔43の下部側には、幅方向両側部にシャッター部材33を受止め支持する下側ガイド部47が形成されるとともに、シャッター部材33を開状態に切り換えたときに、掻き出し孔39の下方から排出される薬剤を拡散放出機構27に案内できるように幅広の排出用空間48が形成されている。
【0034】
図8に示すように、シャッター部材33は、ソレノイド34に備えられるコイルバネ49が座金50を介して連結ピン38に作用することにより閉位置(通過用開口31を閉じる位置)に移動付勢され、ソレノイド34に通電することによりコイルバネ49の付勢力に抗して引き操作することにより開位置(通過用開口31を開放する位置)に移動操作することができるように構成されている。
【0035】
図4及び図8に示すように、拡散放出機構27は、横向き姿勢の受止め面51Aを備えるとともに縦軸芯Y1周りで回転する受止め体51と、受止め面51Aに立設された拡散用羽根体52と、受止め体51を縦軸芯Y1周りで回転駆動する直流駆動型の電動モータ41とを備えて構成されている。
【0036】
受止め体51は縦軸芯Y1周りで回転する状態で板面が横向き姿勢となるように設けられた円板形状になっており、拡散用羽根体52が、周方向に沿って分散配置される状態で且つ受止め体51における縦軸芯Y1から径方向外方側に寄った状態で放射状に複数備えられている。従って、受止め体51における縦軸芯Y1を含むその周囲の領域は、周方向全域にわたって拡散用羽根体52が存在しない羽根無し領域Qとして形成されている。
【0037】
具体的には、図7に示すように、拡散用羽根体52は、周方向に沿って約60度ずつ等間隔をあけて分散配置される状態で6個備えられており、各拡散用羽根体52は、受止め体51の半径の約半分の距離に相当する横幅を有し、且つ、横幅の略半分の距離に相当する高さを有する状態で、受止め体51の径方向外方側に寄った位置に立設される構成となっている。
【0038】
図4に示すように、拡散用羽根体52の径方向での内端縁は径方向外方側ほど高くなる傾斜縁52Aに形成されている。拡散用羽根体52の上端縁は水平に形成され、拡散用羽根体52の上下高さが受止め体51の受止め面51Aの傾斜の分、径方向外方側ほど低くなるように形成されている。
【0039】
尚、受止め体51及び拡散用羽根体52は合成樹脂材にて一体形成される構成となっており、受止め体51には、電動モータ41の駆動軸53に外嵌する筒軸部80も一体形成されており、筒軸部80は、電動モータ41の駆動軸53に外嵌装着されてそれに横向きに装着されたビスbiを駆動軸53に圧接して受止め体51が駆動軸53と一体回転するように連結されている。
【0040】
図4に示すように、円板形状の受止め体51は中央部が下向きに突出する形状となっており、受止め体51の上部側に位置する受止め面51Aが縦軸芯Y1側ほど下方に位置する中凹み状の傾斜面に形成されている。このように構成することで薬剤を周方向に均す機能をより発揮させ易いようにしている。
【0041】
図4及び図5に示すように、受止め体51における上方側には上部側を仕切る天井壁部58Aが設けられ、又、受止め体51の外周側には、周方向の一部の領域から薬剤が外方に拡散放出されるのを規制する規制用縦壁58Bが備えられ、且つ、この規制用縦壁58Bの両側部の夫々に、受止め体51における周方向の他の領域から外方に拡散放出される薬剤の拡散放出方向を調整する左右一対の案内体の一例としての拡散方向調整板59,60が備えられている。
【0042】
規制用縦壁58Bは、ケーシング29に一体成形される状態で設けられ、受止め体51の外周縁の近傍に、周方向に沿って約半周にわたり受止め体51の外周部を覆うように、所定の上下幅を有する状態で且つ外周縁に沿うように平面視で半円弧状に形成されている。又、拡散方向調整板59,60は、夫々縦壁状の案内面を備える縦向き姿勢の板状体にて形成されている。
【0043】
そして、拡散方向調整板59,60の向きを夫々縦軸芯Y2,Y3周りで変更させることにより薬剤の圃場に対する散布領域を変更する電動モータ式の回動操作機構91,92が設けられている。
つまり、図5に示すように、拡散方向調整板59,60は、夫々、基端側の縦軸芯Y2,Y3周りで回動自在にケーシング29に支持してあり、平面視で各縦軸芯Y2,Y3上に位置する状態で回動操作機構91,92が夫々備えられている。詳細な構成は図示していないが、この回動操作機構91,92は減速機付きの電動モータにて構成され、拡散方向調整板59,60の縦軸芯周りでの回動位置を各別に変更調節することができるように構成されている。又、回動操作機構91,92には、拡散方向調整板59,60の実際の回動位置を検出するためのポテンショメータ式の角度センサ93,94(図11参照)を内装する状態で備える構成となっている。
【0044】
そして、繰出し機構25におけるソレノイド34、拡散放出機構27における電動モータ41、及び、各回動操作機構91,92の作動を制御する制御手段としての制御装置66が電気制御ユニット28に備えられおり、以下、この電気制御ユニット28について説明する。
尚、走行機体3には充電式のバッテリーが搭載されておらず、エンジン4によって駆動される発電機61(例えば、前照灯等を点灯させるために設けられる発電機等)にて発電された電力が電気制御ユニット28に供給されるように構成されている。走行機体3にはバッテリーが搭載されていないので、エンジン4はリコイル式の始動装置(図示せず)により始動される構成となっている。
【0045】
図11に示すように、電気制御ユニット28は、電源入切スイッチ62を介して供給される発電機61からの交流電力を整流回路63により整流したのち第1レギュレータ回路64により直流12Vに電圧調整して、その直流12Vの電力を電動モータ41及びソレノイド34の駆動用の電力として利用するように構成され、さらに、第1レギュレータ回路64の出力を第2レギュレータ回路65により直流5Vに電圧調整して制御装置66の駆動用電力として利用するように回路が構成されている。直流12Vの電力は、制御装置66によりオンオフ制御されるスイッチングトランジスタ67を介してソレノイド34に供給されるように構成されている。
【0046】
直流12Vの電力は電動モータ41にも供給されるが、制御装置66により例えばパルス幅変調により電動モータ41に供給する電力を調整する駆動回路71と、電動モータ41の回転数を検出するホール素子等からなる回転センサ72とが設けられ、回転センサ72の検出結果を制御装置66にフィードバックして、設定回転数で受止め体51を回転する状態になるように、制御装置66が、駆動回路71に出力するパルス信号のデューティ比を変更して電動モータ41に供給される電力を調節するように、電動モータ41の駆動状態を制御するように構成されている。
このように構成することで、例えば、発電機61による発電状態が変動すること等に起因して電源電圧が変動することがあっても、電動モータ41により、受止め体51を設定回転数で回転することができるようにしている。
【0047】
又、直流12Vの電力は前記各回動操作機構91,92にも供給されており、各回動操作機構91,92は、後述するように、制御装置66によりその作動が制御される。
【0048】
ちなみに、電気制御ユニット28は、上記したような電気部品がプリント配線基板上に装着されてケーシング29に内装されており、図11に示すように、電気制御ユニット28と走行機体3との間での電気配線77は、途中に備えられたコネクタ78によって接続分離自在に構成されている。そして、図4〜図6に示すように、コネクタ78における薬剤散布装置側の接続具78Aが、左右両側の分割ケーシング部分29a,29bの合わせ面wにて挟み込む状態でケーシング29に装着されている。
【0049】
繰出し機構25による薬剤の繰出し量を変更調節するためのポテンショメータ式の調節操作具68と、その調節操作具68により変更調節される繰出し量を調節するときに調節用のレンジを高低に切り換える切換スイッチ69とが備えられ、制御装置66は、それらの調節操作具68と切換スイッチ69の設定状態に基づいて、繰出し機構25による薬剤の繰出し量、具体的には、間欠的にシャッター部材33を開状態に切り換えるときの開作動を維持する時間を変更調節するように構成されている。
【0050】
切換スイッチ69及び電源入切スイッチ62は、図6及び図11に示すように、1つのロータリースイッチRSにて構成され、このロータリースイッチRSは、3位置に切り換え自在であり、中央の「切」位置に操作すると、電源入切スイッチ62が切り状態となり、「A」位置及び「B」位置に操作すると、電源入切スイッチ62が入り状態となり且つ「A」位置又は「B」位置の違いにより上述したような調節用のレンジが高低に切り換わる構成となっている。尚、図6中の符号74は、薬剤の供給量を計測するための計量動作を指令する計量スイッチである。
【0051】
又、図11に示すように、苗植付装置12における縦送り装置21が送り作動したことを検出する縦送り検出センサ82が備えられ、この縦送り検出センサ82の出力が制御装置66に入力されており、制御装置66は、縦送り検出センサ82から検出信号が入力される度に、上述したように設定した開作動時間が経過する間だけ、シャッター部材33を開状態に切り換え、その後に閉状態に戻すようにソレノイド34の作動を制御する開作動操作を実行するように構成されている。
【0052】
そして、この薬剤散布装置では、図11に示すように、制御装置66に、既作業領域検出手段KRとして機能する一対の少数条クラッチセンサ85,86の検出信号が入力されており、制御装置66は、一対の少数条クラッチセンサ85,86の検出情報に基づいて、薬剤の圃場に対する散布領域を苗植付装置12により苗が植付けられた既作業領域に対応させるように変更すべく回動操作機構91,92の作動を制御するように構成されている。つまり、角度センサ93,94により検出される拡散方向調整板59,60の向きが、散布すべき領域に薬剤を散布させるのに必要となる向きになるように、回動操作機構91,92を作動させて拡散方向調整板59,60の向きを調節する。
すなわち、一対の少数条クラッチセンサ85,86の検出信号は、植付け条数が設定条数(4条)であるか一部の条(右側2条あるいは左側2条)であるかについての切り換え情報に相当する。
【0053】
具体的な動作について説明すると、例えば、一対の少数条クラッチセンサ85,86が共にクラッチ入り状態を検出しているときは、図12(a)に示すように、設定条数(4条)の苗の植付け領域に対応する広い既作業領域Zに薬剤を散布させるように、拡散方向調整板59,60の向きを調節するように回動操作機構91,92の作動を制御する。
【0054】
又、左側の少数条クラッチセンサ85がクラッチ入り状態を検出し、右側の少数条クラッチセンサ86がクラッチ切り状態を検出しているときは、図12(b)に示すように、左側の一部の条(2条分)の苗植付け領域に対応する既作業領域Zに薬剤を散布させるように、拡散方向調整板59,60の向きを調節するように回動操作機構91,92の作動を制御する。
【0055】
そして、右側の少数条クラッチセンサ86がクラッチ入り状態を検出し、左側の少数条クラッチセンサ85がクラッチ切り状態を検出しているときは、図12(c)に示すように、右側の一部の条(2条分)の苗の植付け領域に対応する既作業領域Zに薬剤を散布させるように、拡散方向調整板59,60の向きを調節するように回動操作機構91,92の作動を制御する。
【0056】
尚、左右いずれかの少数条クラッチ83,84が切り操作されているとき(2条植えの場合)は、繰出し機構25による薬剤の繰出し量が設定条数(4条)を対象に散布する場合に比べて半分の量になるように、シャッター部材33の開作動時間を調節するようになっている。
【0057】
このように薬剤の散布放出方向を変更調節することで、苗植付け作業が行われた既植付け領域(既作業領域)に対してのみ薬剤を散布供給することができる。
従って、この実施形態では、回動操作機構91,92と制御装置66とにより散布領域変更手段SHが構成されている。
【0058】
この実施形態では、4条植え形式の田植機を示したが、設定条数としては4条に限らず、それ以外の条数の植付け条を備える田植機でもよく、又、少数条クラッチ83,84としては、例えば、8条植えの場合に2条ずつ動力を断続させることが可能な4つの少数条クラッチを備えるようにする等、種々の構成を適用してもよく、このような8条植え形式の田植機であっても、苗植付け作業が行われた既植付け領域(既作業領域Z)に対してのみ薬剤を散布供給することができる。
【0059】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、既作業領域検出手段KRとして少数条クラッチセンサ85,86を備えるものを示したが、このような構成に代えて、次の(1−1)(1−2)(1−3)(1−4)のように構成してもよい。
【0060】
(1−1)既作業領域検出手段KRとして、圃場における既作業領域と未作業領域とを判別可能な画像データを取得することが可能な撮像手段(図示せず)と、その撮像手段の検出情報に基づいて圃場における既作業領域を判別する判別手段(図示せず)とを備えて、判別した既作業領域に粉粒体を散布させるように、散布領域変更手段SHが散布領域を変更する構成としてもよい。
【0061】
(1−2)上記実施形態のように走行機体3の後方側箇所に粉粒体を散布する形態ではなく、薬剤散布装置13を走行機体3の上部に備えて、走行機体3が走行する作業行程の横側に位置する前回の作業行程における既作業領域に粉粒体を散布する形態、言い換えると、薬剤散布装置13が機体進行方向と直交する方向に向けて薬剤を散布する作業形態において、既作業領域検出手段KRとして、枕地での機体旋回方向を検出する検出手段を備えて、その検出結果に基づいて、薬剤の繰出し領域を左右で切り換えるようにする構成としてもよい。つまり、走行機体3が畦際で旋回すると、走行機体3の進行方向に対する既作業領域が右側と左側とで交互に切り換わることになり、作業行程が変わると薬剤の繰出し領域が左右反転するからである。尚、この種の作業形態は、下記(3)にて記載するような歩行型田植機においても好適に用いることができる。
【0062】
(1−3)薬剤散布装置13が、圃場において進行方向が交互に切り替わる往復作業形態で作業を行う水田作業機に備えられるものであれば、既作業領域検出手段KRとして、機体旋回方向の検出ではなく、左右のマーカー95,96のうち現在の走行行程にて作用姿勢のものが左右いずれであるかを検知するものであってもよい。
【0063】
(1−4)既作業領域検出手段KRとして、上述したような各種の検出手段のいずれかを備えるものでありながら、さらに、作業を行っている場所での風向及び風速を検出する風向風速検出装置(図示せず)を備えて、その風向風速検出装置の検出情報に基づいて、粉粒体の散布すべき方向とする既作業領域の判別情報を、風による影響を考慮して補正する構成としてもよい。つまり、風により拡散放出される粉粒体が吹き流されて所望の散布位置からずれてしまうおそれがあるから、そのことによるずれを修正するための構成である。
【0064】
(2)上記実施形態では、拡散方向調整板59,60の向きを夫々縦軸芯周りで変更させることにより散布領域を変更するようにしたが、このような構成に代えて、次の(2−1)〜(2−4)のように構成してもよい。
【0065】
(2−1)電動モータ41の回転方向を変更させることにより、散布領域を変更するように構成してもよい。
例えば、設定条数に対応する領域に散布するときは、上記実施形態に示すように、受止め体51を平面視で左方向に設定回転数で回転させ、左側の一部の領域に散布するときは、受止め体51を平面視で右方向に設定回転数で回転させる。又、右側の一部の領域に散布するときは、受止め体51を平面視で右方向に設定回転数よりも高速の高速回転数で回転させる。尚、直流式の電動モータ41の回転方向を切り換えるのは、印加電圧の正負を反転させることにより対応できる。又、回転数を変更するのは、複数の目標回転数を予め記憶しておき、制御の状況に応じて目標とする回転数を切り換えることにより対応できる。
ちなみに、設定条数に対応する領域に散布するときは、受止め体51を左方向に設定回転数で回転させるが、図5に示すように、薬剤が落下する出口54が横幅方向の中心位置よりも回転方向上手側に位置ずれさせてあり、受止め体51を設定回転数で回転させることで極力均等に散布させることができるようにしている。
【0066】
(2−2)薬剤散布装置13全体を支柱23Bに対して縦軸芯周りで回転操作する駆動機構(図示せず)を備えて、この駆動機構により粉粒体散布装置13全体を縦軸芯周りで回転させることにより、拡散放出機構27による粉粒体の放出方向を変更させる構成としてもよい。
【0067】
(2−3)電動モータ41の回転方向を変更させることにより散布領域を変更するように構成に加えて、拡散方向調整板59,60の向きを夫々縦軸芯周りで変更させる構成を組み合わせる構成としてもよい。
【0068】
(2−4)粉粒体散布装置13全体を縦軸芯周りで回転させる構成に加えて、拡散方向調整板59,60の向きを夫々縦軸芯周りで変更させる構成を組み合わせる構成としてもよい。
【0069】
(3)上記実施形態では、乗用型田植機の後部に薬剤散布装置が装着されるものを示したが、田植機としては、乗用型に限らず、田植機の後方にて作業者が歩行しながら操縦する歩行型田植機にて苗植付け作業が行われた既作業領域Zに薬剤を散布するように構成するものでもよい。
【0070】
例えば、図13に示すように、歩行型田植機HTを操縦する作業者Jが背中に背負う形態で薬剤散布装置13を備えて、作業者Jの後方から、歩行型田植機HTにて苗植付け作業が行われた既作業領域Zに薬剤を散布するように構成してもよい。
【0071】
又、図14に示すように、歩行型田植機HTの機体上に薬剤散布装置13を備えて、歩行型田植機HTが走行する経路の横側に位置する前回の作業行程にて既に苗植付けが行われた既作業領域Zに向けて薬剤を機体横方向に散布するように構成してもよい。
【0072】
このような構成とすることで、圃場を歩行する作業者Jが薬剤を散布した跡を踏みつけることがなく、薬剤が有効に作用する状態で既植付け領域(既作業領域Z)に薬剤を散布することができる。
【0073】
(4)上記実施形態では、縦送り装置21の送り作動が設定回数行われたことを検出する毎に、シャッター部材33を開状態に切り換えるようにソレノイド34を制御する構成としたが、これに代えて、走行機体3の走行速度に応じてソレノイド34の開閉動作を変更させたり、走行機体が設定距離走行する毎に、シャッター部材33を開状態に切り換えるようにソレノイド34を制御するように構成してもよい。
【0074】
(5)上記実施形態では、いずれかの少数条クラッチ83,84が切り操作されているときは、常に、一部の条の苗の植付け領域に対応する既作業領域Zに薬剤を散布させるように回動操作機構91,92の作動を制御する構成としたが、このような制御モードとは別の制御モードとして、いずれかの少数条クラッチ83,84が切り操作されているときは、薬剤散布装置13による圃場への薬剤の散布を行わない制御モードを備える構成としてもよい。
【0075】
(6)上記実施形態では、所定の作業としての苗の植付け作業が行われれた既作業領域に粉粒体として薬剤を散布するものを示したが、薬剤に限らず粉粒体として肥料を散布するものでもよく、又、所定の作業としての圃場面の整地作業が行われた既作業領域に粉粒体として種子を散布するもの等、他の種類の粉粒体を散布するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、粉粒体を設定量ずつ繰り出して拡散放出させるように構成された粉粒体散布装置に適用できる。
【符号の説明】
【0077】
24 貯留部
25 繰出し手段
27 回転式飛散手段
51 受止め体
51A 受止め面
52 拡散用羽根体
59,60 案内体(案内手段)
KR 既作業領域検出手段
SH 散布領域変更手段
Y1,Y2,Y3 縦軸芯
Z 既作業領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留部に貯留される粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記繰出し手段から繰り出される粉粒体を打撃により飛散させる回転式飛散手段と、その回転式飛散手段により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する案内手段とを備えて構成されている粉粒体散布装置であって、
圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域を検出する既作業領域検出手段と、
前記既作業領域検出手段の検出情報に基づいて、前記回転式飛散手段により飛散され且つ前記案内手段により案内される粉粒体の圃場に対する散布領域を前記既作業領域に対応させるように変更する散布領域変更手段とを備えて構成されている粉粒体散布装置。
【請求項2】
前記案内手段が、前記回転式飛散手段により飛散される粉粒体の拡散放出範囲を規制すべく前記回転式飛散手段の左右両側に夫々縦壁状の案内面を備える左右一対の案内体にて構成され、
前記散布領域変更手段が、前記各案内体の向きを縦軸芯周りで変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更するように構成されている請求項1記載の粉粒体散布装置。
【請求項3】
前記回転式飛散手段が、水平姿勢の受止め面を備えるとともに縦軸芯周りで駆動回転される受止め回転体と、その受止め回転体の前記受止め面に立設された拡散用羽根体とを備えて構成され、
前記散布領域変更手段が、前記受止め回転体の回転方向を変更させることにより粉粒体の圃場に対する散布領域を変更するように構成されている請求項1記載の粉粒体散布装置。
【請求項4】
前記所定の作業としての設定条数又は設定条数のうちの一部の条に苗の植付け作業を行う田植機の後部に位置する状態で備えられて、粉粒体を圃場に拡散放出させるように構成され、
前記既作業領域検出手段が、田植機から得られる植付け条数が設定条数であるか一部の条であるかについての切り換え情報に基づいて、植付け条数が設定条数であれば設定条数の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出し、植付け条数が一部の条であれば一部の条の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉粒体散布装置。
【請求項1】
貯留部に貯留される粉粒体を繰り出す繰出し手段と、前記繰出し手段から繰り出される粉粒体を打撃により飛散させる回転式飛散手段と、その回転式飛散手段により飛散される粉粒体を圃場に拡散放出すべく案内する案内手段とを備えて構成されている粉粒体散布装置であって、
圃場において所定の作業が既に行われた既作業領域を検出する既作業領域検出手段と、
前記既作業領域検出手段の検出情報に基づいて、前記回転式飛散手段により飛散され且つ前記案内手段により案内される粉粒体の圃場に対する散布領域を前記既作業領域に対応させるように変更する散布領域変更手段とを備えて構成されている粉粒体散布装置。
【請求項2】
前記案内手段が、前記回転式飛散手段により飛散される粉粒体の拡散放出範囲を規制すべく前記回転式飛散手段の左右両側に夫々縦壁状の案内面を備える左右一対の案内体にて構成され、
前記散布領域変更手段が、前記各案内体の向きを縦軸芯周りで変更させることにより、粉粒体の圃場に対する散布領域を変更するように構成されている請求項1記載の粉粒体散布装置。
【請求項3】
前記回転式飛散手段が、水平姿勢の受止め面を備えるとともに縦軸芯周りで駆動回転される受止め回転体と、その受止め回転体の前記受止め面に立設された拡散用羽根体とを備えて構成され、
前記散布領域変更手段が、前記受止め回転体の回転方向を変更させることにより粉粒体の圃場に対する散布領域を変更するように構成されている請求項1記載の粉粒体散布装置。
【請求項4】
前記所定の作業としての設定条数又は設定条数のうちの一部の条に苗の植付け作業を行う田植機の後部に位置する状態で備えられて、粉粒体を圃場に拡散放出させるように構成され、
前記既作業領域検出手段が、田植機から得られる植付け条数が設定条数であるか一部の条であるかについての切り換え情報に基づいて、植付け条数が設定条数であれば設定条数の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出し、植付け条数が一部の条であれば一部の条の苗植付け作業を行う領域を前記既作業領域として検出するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉粒体散布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−161246(P2012−161246A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21788(P2011−21788)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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