説明

粉粒体検査装置

【課題】粉粒体中に混入した異物を高精度に検出することができる粉粒体検査装置を提供する。
【解決手段】粉粒体検査装置1は、粉粒体Fを供給する供給機構10と、供給機構10から供給された粉粒体Fの層厚を調整して落下させる落下機構20と、落下する粉粒体F内に異物が混入しているか否かを検査する検査機構30と、異物を回収する異物回収機構50と、落下経路の下端部まで落下した粉粒体Fを回収する良品回収機構55とからなる。検査機構30は、落下中の粉粒体Fに向けてレーザ光を走査しながら照射する投光部31と、レーザ光を拡散反射させる光拡散部材37と、粉粒体Fや光拡散部材37によって拡散反射されたレーザ光を受光して電気信号を生成する光検出部40と、生成した電気信号を基に異物混入の有無を判定する判定部45とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物たる粉粒体内に異物が混入しているか否かを検査する粉粒体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体検査装置として、例えば、特開2000−162136号公報に開示されたものが知られている。この粉粒体検査装置は、粉粒体を供給する供給機構と、供給機構から供給された粉粒体を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送される粉粒体内に、異物が混入しているか否かを検査する検査機構と、検査機構よりも搬送方向下流側に設けられ、当該検査機構によって異物の混入が確認された場合に、当該異物を回収する異物回収機構と、異物回収機構よりも搬送方向下流側に設けられ、当該下流側まで搬送された粉粒体を回収する良品回収機構とを備えて構成される。
【0003】
前記搬送機構は、無端環状に形成され、前記搬送方向に沿って設けられた搬送ベルトと、搬送ベルトを前記搬送方向に向けて回動させる駆動部などを備えており、搬送方向上流側で、供給機構によって層厚が略均一となるように搬送ベルト上に供給された粉粒体を、搬送方向下流側に向けて搬送する。
【0004】
前記検査機構は、搬送ベルトの上方に設けられ、当該搬送ベルトによって搬送される粉粒体を撮像して2次元画像データを生成するCCDカメラと、CCDカメラによって生成された2次元画像データを画像処理して異物混入の有無を判定する判定部などを備える。
【0005】
また、前記異物回収機構は、CCDカメラよりも搬送方向下流側で、搬送ベルトと所定間隔を隔てた上方位置に設けられる吸引ノズルと、判定部によって異物の混入が確認された場合に、吸引ノズルの下方位置まで搬送された異物を粉粒体とともに当該吸引ノズルから吸引して除去する吸引ポンプなどを備えており、前記良品回収機構は、搬送方向下流端まで搬送された粉粒体を回収するように構成される。
【0006】
このように構成された粉粒体検査装置によれば、搬送ベルトにより所定の搬送方向に搬送される粉粒体がCCDカメラにより撮像された後、その2次元画像データが判定部により画像処理されて異物混入の有無が判定され、異物の混入が確認されると、当該異物が吸引ノズルから吸引されて搬送ベルト上から除去される。そして、粉粒体は、搬送方向下流端まで搬送された後、良品回収機構により良品として回収される。
【0007】
【特許文献1】特開2000−162136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記従来の粉粒体検査装置では、撮像した2次元画像の色の明暗から異物を検出するようにしているため、白色の粉粒体に白髪が混入している場合など異物が粉粒体と同色である場合や透明である場合には、これを検出し難く、高精度な検査を行うことができないという問題があった。
【0009】
この場合、粉粒体を検査対象とするものではないが、特開昭61−196143号公報に開示されるような検査装置を適用することも考えられる。
【0010】
この検査装置は、合成樹脂フィルムなどのシート表面にキズなどの欠陥があるか否かを検査するもので、レーザ光をシート表面に向けて照射し、これをシートの幅方向に走査して、当該シートを透過するレーザ光量の変化から前記欠陥の有無を検出するというものである。
【0011】
粉粒体と異物とではその形状や材質、光沢などが異なり、例え、異物と粉粒体とが同色であったり、或いは異物が透明であったとしても、当該粉粒体内に異物が混入しているときと混入していないときとでは、当然にレーザ光の透過光量に差を生じるため、かかる透過光量の変化から前記異物を検出できるのである。
【0012】
しかしながら、かかる特開昭61−196143号公報に開示される検査装置を適用したとしても、粉粒体を検査対象とする場合には、その性状から依然として十分に高精度な検査を行うことができないのというが実情であった。
【0013】
即ち、粉粒体は、その中に異物が混入しているか否かを検出するに当って、これを薄く広げた層状になす必要があるが、その際、粉粒体層の層厚にムラを生じ、密度にムラを生じ易すいという性状を有しており、かかる層厚や密度のムラによっても、異物が混入している場合と同様に前記レーザ光の透過光量に差を生じるため、透過光量の変化からでは、層厚や密度のムラによるものなのか、異物混入によるものなのかを判別できないのである。
【0014】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、粉粒体中に混入した異物を高精度に検出することができる粉粒体検査装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明は、
検査対象物たる粉粒体の層厚を調整し、層厚調整後の粉粒体を落下させる落下機構と、
前記落下機構から落下した粉粒体内に異物が混入しているか否かを検査する検査装置と、
前記検査装置よりも下方に設けられ、該検査装置によって異物の混入が確認された場合に、該異物を回収する第1回収機構と、
前記第1回収機構よりも下方に設けられ、該第1回収機構よりも下方に落下した粉粒体を回収する第2回収機構とを備えた粉粒体検査装置であって、
前記検査装置は、
前記粉粒体の落下経路から間隔を隔てて設けられ、レーザ光を前記落下中の粉粒体に向けて照射するとともに、該粉粒体上におけるレーザ光の照射位置を水平方向に走査する投光機構と、
前記落下経路から間隔を隔てて水平に設けられて、前記投光機構から照射され前記粉粒体により拡散反射されたレーザ光を受光する受光部を備え、該受光部における受光量に応じた電気信号を生成する光検出機構と、
前記光検出機構によって生成された電気信号を基に、前記異物の混入の有無を判定する判定処理部と、
前記落下経路を挟んで前記投光機構の反対側に設けられ、前記投光機構から照射されたレーザ光を拡散反射させる光拡散部材とから構成されてなることを特徴とする粉粒体検査装置に係る。
【0016】
この発明によれば、落下機構に外部から粉粒体が供給されると、供給された粉粒体は、この中に混入した異物を検出可能となるように当該落下機構によって層厚が調整された後、落下せしめられる。そして、異物混入の有無が検査装置により次のようにして検査される。
【0017】
即ち、投光機構からレーザ光が落下中の粉粒体に向けて照射されるとともに、当該粉粒体上におけるレーザ光の照射位置が水平方向に走査され、照射されたレーザ光は当該粉粒体によって拡散反射された後、光検出機構の、水平に設けられた受光部により受光され、当該受光部における受光量に応じた電気信号が光検出機構によって生成される。
【0018】
光検出機構によって電気信号が生成されると、当該電気信号を基に、判定処理部によって、粉粒体内に異物が混入しているか否かが判定される。具体的には、粉粒体と異物とでは、その形状や材質、光沢などがそれぞれ異なることから、異物が粉粒体内に混入しているときとしていないときとでは、レーザ光の拡散反射状態が変化して光検出機構の受光部における受光量が変化し、光検出機構によって生成される電気信号の生成レベルがそれぞれ異なるため、判定処理部は、この生成レベルを基に異物混入の有無を判定する。
【0019】
尚、投光機構からのレーザ光は走査されており、粉粒体の全幅に渡って異物の検出が行われるとともに、粉粒体が落下していることから、レーザ光が落下中の粉粒体の未照射領域に順次照射されて異物の検出が行われる。
【0020】
このようにして検査装置により異物検出が行われた結果、異物の混入が確認されると、当該異物が第1回収機構により回収されて落下経路から除去され、この後、異物の除去された粉粒体は、落下経路の下端まで落下し、第2回収機構により良品として回収される。
【0021】
ところで、前記落下機構は、粉粒体の層厚を調整して落下させているが、落下中の粉粒体に層厚や密度のムラを生じると、例えば、粉粒体間に生じた落下速度差により粉粒体間隔が広くなって粉粒体間に隙間が形成されると、異物が混入しているか否かに関係無く、レーザ光の拡散反射状態が変化して光検出機構の受光部によって受光される受光量、即ち、光検出機構によって生成される電気信号の生成レベルが変化するため、異物混入の有無を精度良く検出することができなくなる。
【0022】
そこで、本発明では、上述のように、落下経路を挟んで投光機構の反対側に光拡散部材を配置し、この光拡散部材によって投光機構から照射されたレーザ光を拡散反射させるようにしている。これにより、落下中の粉粒体に層厚や密度のムラを生じて粉粒体間に隙間が形成されるようなことがあっても、この隙間を通過したレーザ光が当該光拡散部材によって拡散反射されるので、層厚や密度の状態に関わらず、光検出機構の受光部によって受光される受光量(光検出機構によって生成される電気信号の生成レベル)を常に略一定にすることができ、異物が無いときの電気信号の生成レベルと、異物が有るときの電気信号の生成レベルとの差を明確にして、異物検出を高精度に行うことができる。
【0023】
尚、前記光拡散部材は、その拡散反射率が、前記粉粒体の拡散反射率に対し、90%〜110%の範囲内となるように構成されていることが好ましい。
【0024】
この拡散反射率は、拡散反射したレーザ光の内、正反射方向以外の方向に拡散反射したレーザ光の光強度をTと、正反射方向に拡散反射したレーザ光の光強度をUとすると、(T/(T+U))×100(%)で表されるものであり、上記のようにすることで、投光機構から照射されたレーザ光が光拡散部材により拡散反射されて光検出機構の受光部により受光される受光量を、粉粒体によって拡散反射されるときの受光量に対して一定の範囲内に収めることができる。これにより、光拡散部材による拡散反射光を基に光検出機構によって生成される電気信号の生成レベルを、粉粒体による拡散反射光を基に生成される電気信号の生成レベルに対して一定の許容範囲内に収め、更に高精度に異物を検出することができる。
【0025】
尚、更に高い検出精度を得るためには、光拡散部材の拡散反射率を、粉粒体の拡散反射率に対し95%〜105%の範囲内とすることが好ましく、97%〜103%の範囲内とすれば、更に好ましい。また、粉粒体の拡散反射率は、通常、約70%〜90%程度であり、この拡散反射率を基準にして光拡散部材の拡散反射率を適宜設定すると良い。
【0026】
また、前記光検出機構の受光部は、その受光光軸を含む平面と前記投光機構から照射されるレーザ光の光軸を含む平面との間の傾斜角度が、30°〜60°の範囲内となるように構成されていることが好ましい。
【0027】
これは、粉粒体の表面におけるレーザ光の照射位置が粉粒体の落下によりその下部側から上部側に移動し、レーザ光の拡散反射方向が常に変化していることから、受光部の受光光軸平面とレーザ光の光軸平面との間の傾斜角度を60°よりも大きくすると、投光機構及び光検出機構の受光部の配置関係によって異なるが、粉粒体表面の下側又は上側のどちらかに照射され拡散反射したレーザ光しか受光することができなくなって一定した受光量が得られず(一定した生成レベルの電気信号が得られず)、異物の検出精度が低下するからである。また、受光部の受光光軸平面とレーザ光の光軸平面との間の傾斜角度を30°よりも小さくすると、投光機構と光検出機構の受光部とを近づけて配置することになり、装置構成が難しくなるからである。
【0028】
したがって、上記範囲内であれば、粉粒体表面におけるレーザ光の照射位置が変動して拡散反射方向が変化しても、一定した受光量(一定した生成レベルの電気信号)が得られ、より高精度な異物検出を行うことができ、また、装置構成も容易となる。
【0029】
また、この場合において、前記投光機構は、レーザ光の光軸を含む平面と鉛直面との間の傾斜角度が30°以上となるように構成され、前記光検出機構の受光部は、その受光光軸を含む平面と前記鉛直面との間の傾斜角度が、60°〜90°の範囲内となるように構成されていることが好ましい。
【0030】
これは、レーザ光の光軸平面と鉛直面との間の傾斜角度を30°よりも小さくすると、投光機構及び光検出機構の受光部の配置関係によって異なるが、レーザ光の照射対象となる粉粒体とその上側又は下側にある粉粒体とが重なって、異物がこれらに隠れてしまったり(レーザ光が照射されなかったり)、粉粒体1つ当たりの照射可能時間が短くなり、異物の検出精度が低下するからである。また、受光部の受光光軸平面と鉛直面との間の傾斜角度を60°よりも小さくすると、当該受光部の受光光軸平面とレーザ光の光軸平面との間の傾斜角度が30°よりも小さくなって、上述した理由から好ましくない。
【0031】
また、受光部の受光光軸平面と鉛直面との間の傾斜角度を90°よりも大きくすると、当該受光部の受光光軸平面とレーザ光の光軸平面との間の傾斜角度を60°よりも大きくした場合と同様に、粉粒体表面の下側又は上側のどちらかに照射され拡散反射したレーザ光しか受光することができなくなって異物の検出精度が低下するからであり、また、レーザ光の光軸平面が水平に近づいて粉粒体1つ当たりの照射可能時間が短くなるからである。
【0032】
したがって、上記範囲内であれば、異物が粉粒体間に隠れるのを防止したり、粉粒体1つ当たりの照射可能時間を長くすることができるとともに、粉粒体表面におけるレーザ光の照射位置に関わらず、一定した受光量(一定した生成レベルの電気信号)を得ることができ、より高精度に異物を検出することができる。
【0033】
尚、前記粉粒体としては、例えば、医薬品,食品及び化学材料などの粉末や顆粒であって、粒径が約100μm〜1500μm程度を主とするものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0034】
斯くして、本発明に係る粉粒体検査装置によれば、粉粒体によって拡散反射されたレーザ光の受光量に応じて生成される電気信号を基に、異物混入の有無を判断するとともに、レーザ光を拡散反射させる光拡散部材を設けているので、粉粒体と同色の異物や透明な異物であっても、また、粉粒体の層厚や密度にムラがあっても、当該異物を高精度に検出することができる。
【0035】
また、粉粒体を落下させ、落下中の粉粒体に向けてレーザ光を照射するようにしており、粉粒体間に生じた落下速度差によって粉粒体がばらけるので、異物が粉粒体間に隠れ難くなり、このことによっても、当該異物を高精度に検出することができる。
【0036】
また、光拡散部材の拡散反射率が、粉粒体の拡散反射率に対して90%〜110%の範囲内となるように構成したり、光検出機構の受光部を、その受光光軸を含む平面とレーザ光の光軸平面との間の傾斜角度が30°〜60°の範囲内となるように構成したり、投光機構を、レーザ光の光軸平面と鉛直面との間の傾斜角度が30°以上となるように、且つ、光検出機構の受光部を、その受光光軸を含む平面と鉛直面との間の傾斜角度が60°〜90°の範囲内となるように構成すれば、より高精度に異物検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、図1は、本発明の一実施形態に係る粉粒体検査装置の概略構成を一部断面で示した正面図である。また、図2は、図1における矢示A方向の側面図であり、図3は、図2における矢示B−B方向の断面図である。
【0038】
図1乃至図3に示すように、本例の粉粒体検査装置1は、検査対象物たる粉粒体Fを供給する供給機構10と、供給機構10から供給された粉粒体Fを所定の搬送方向(矢示方向)に沿って搬送し、搬送方向下流端から排出する(落下させる)落下機構20と、落下機構20から排出された粉粒体F内に異物が混入しているか否かを検査する検査機構30と、検査機構30よりも下方に設けられ、当該検査機構30によって異物の混入が確認された場合に、当該異物を回収する異物回収機構50と、異物回収機構50よりも下方に設けられ、当該異物回収機構50よりも下方に落下した粉粒体Fを回収する良品回収機構55と、これら供給機構10,落下機構20,検査機構30及び異物回収機構50などを支持する基台56などを備えて構成される。尚、前記粉粒体Fとしては、例えば、医薬品,食品及び化学材料などの粉末や顆粒であって、粒径が約100μm〜1500μm程度を主とするものを挙げることができる。
【0039】
前記供給機構10は、粉粒体Fが収容された漏斗状の供給ホッパからなり、前記落下機構20は、供給機構10の下側に配置され、当該供給機構10の下端部から落下して供給される粉粒体Fを所定の搬送方向(矢示方向)に搬送し、搬送方向下流端から排出する(落下させる)振動フィーダ21と、振動フィーダ21から排出された粉粒体Fの落下を案内する落下案内部材26とを備えており、振動フィーダ21の搬送方向上流側に供給機構10が配置されている。
【0040】
前記振動フィーダ21は、長手方向が前記搬送方向に沿って水平に設けられるとともに、当該搬送方向に沿って凹部22aが上面に形成され、当該凹部22a内に粉粒体Fが供給される平板状のフィードプレート22と、前記凹部22aの全幅に渡ってその底面から一定間隔を隔てて上方に配設された平板状の規制部材23と、フィードプレート22の下面を支持して当該フィードプレート22に振動を伝播させるバイブレータ24と、バイブレータ24が配設される支持台25とからなる。
【0041】
前記規制部材23は、供給機構10からの粉粒体供給位置よりも搬送方向下流側に設けられて、フィードプレート22上の粉粒体Fの層厚を規制し、例えば、粉粒体Fの層厚をほぼその最大粒径程度にする。これにより、異物を粉粒体Fの表層側に出現させ、検査機構30での異物検出を容易にすることができる。
【0042】
この振動フィーダ21によれば、バイブレータ24からフィードプレート22に伝播する振動によって、フィードプレート22の凹部22a内の粉粒体Fは、前記搬送方向下流側に向けて移動するとともに、フィードプレート22幅方向への拡散や規制部材23により、検査機構30での異物検出に適した薄さの層厚に調整され、この後、フィードプレート22の搬送方向下流側の端部まで移動すると、当該端部から排出される。
【0043】
前記落下案内部材26は、上下に開口した中空状に形成されるとともに、長手方向の長さがフィードプレート22の幅よりも長く形成された部材から構成され、その下端部が良品回収機構55の上部に接続して設けられており、フィードプレート22から排出された粉粒体Fを上側の開口部から流入させ、下側の開口部から良品回収機構55に排出する。尚、この落下案内部材26の側面の上下方向中央部には、当該落下案内部材26の長手方向に沿って水平にスリット穴26aが形成されている。
【0044】
前記検査機構30は、図1及び図2並びに図4乃至図6に示すように、フィードプレート22の搬送方向下流側の端部の斜め上方に配設され、フィードプレート22から排出された粉粒体Fに向けてレーザ光を照射するとともに、当該粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置をフィードプレート22の幅方向に水平に走査する投光部31と、フィードプレート22の搬送方向下流側の端部側面にその全幅に渡って設けられ、投光部31から照射されたレーザ光を拡散反射させる光拡散部材37と、投光部31の下側に配設され、投光部31から照射され粉粒体F又は光拡散部材37により拡散反射されたレーザ光を受光して受光量に応じた電気信号を生成する光検出部40と、光検出部40によって生成された電気信号を基に、異物混入の有無を判定する判定部45とを備えている。
【0045】
前記投光部31は、レーザ光を照射するレーザ発振器32と、レーザ発振器32から照射されたレーザ光を集光する集光レンズ33と、集光レンズ33により集光されたレーザ光を受光して、フィードプレート22の幅方向に平行であり且つ鉛直面に対して傾斜した平面内に光軸が含まれるように反射するポリゴンミラー34と、ポリゴンミラー34を矢示方向に回転させる駆動モータ35と、ポリゴンミラー34によって反射されたレーザ光を粉粒体F上に集光する集光レンズ36とからなり、フィードプレート22から排出されて、例えば、約0.5mm程度落下した粉粒体Fに向けてレーザ光を照射する。
【0046】
また、投光部31は、前記平面の鉛直面に対する傾斜角度θが、例えば、30°以上(好ましくは、約45°)に設定され、その上限については、後述する、光検出部40の導光ロッド41の軸線と粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置とを通る平面の、レーザ光の光軸を含む平面に対する傾斜角度θや鉛直面に対する傾斜角度θの範囲を満たすような角度に設定される。
【0047】
前記集光レンズ36は、ポリゴンミラー34によって反射されたレーザ光を、ポリゴンミラー34による反射方向に関わらず、粉粒体Fに向けて照射されるレーザ光の光軸が略平行となるように粉粒体F上に集光させる。
【0048】
この投光部31によれば、レーザ発振器32から照射されたレーザ光は、集光レンズ33によりポリゴンミラー34上に集光されて当該ポリゴンミラー34により反射された後、集光レンズ36を介して粉粒体F上に照射されるとともに、ポリゴンミラー34が駆動モータ35によって回転せしめられることから、当該ポリゴンミラー34の回転によって、粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置がフィードプレート22の幅方向に水平に走査される。これにより、粉粒体Fの全幅に渡ってレーザ光が照射されるとともに、粉粒体Fが落下していることから、レーザ光が落下中の粉粒体Fの未照射領域に順次照射される。
【0049】
そして、粉粒体F上に照射されたレーザ光は、図5に示すように、当該粉粒体Fによって拡散反射される。また、レーザ光が粉粒体Fに照射されず、光拡散部材37に照射された場合には、図6に示すように、当該光拡散部材37によって拡散反射される。
【0050】
前記光拡散部材37は、例えば、白色の紙や布、樹脂シートなどから構成され、拡散反射率が、粉粒体Fの拡散反射率に対して90%〜110%の範囲内となるように構成される。この拡散反射率は、拡散反射したレーザ光の内、正反射方向以外の方向に拡散反射したレーザ光の光強度をTと、正反射方向に拡散反射したレーザ光の光強度をUとすると、(T/(T+U))×100(%)で表されるものである。尚、上記で例示した粉粒体の場合、その拡散反射率は約70%〜90%程度である。
【0051】
前記光検出部40は、例えば、透明なアクリル樹脂やガラスから構成され、軸線がフィードプレート22の幅方向に水平に配置されるとともに、粉粒体Fの全幅に渡って設けられる円柱状の導光ロッド41と、導光ロッド41の外周面と一定間隔を隔ててこれを取り囲むように設けられた反射カバー42と、導光ロッド41の両端部にそれぞれ設けられた光電子増倍管43とからなる。
【0052】
前記導光ロッド41は、フィードプレート22の搬送方向下流側の端部から所定間隔を隔てて投光部31の下側に配置されるとともに、当該導光ロッド41の軸線と粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置とを通る平面の、レーザ光の光軸が含まれる平面に対する傾斜角度(導光ロッド41の受光光軸が含まれる平面とレーザ光の光軸が含まれる平面との間の傾斜角度)θが、例えば、30°〜60°の範囲内(好ましくは、約45°)であり、且つ、導光ロッド41の軸線と粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置とを通る平面の鉛直面に対する傾斜角度(導光ロッド41の受光光軸が含まれる平面と鉛直面との間の傾斜角度)θが、例えば、60°〜90°の範囲内(好ましくは、約90°)となるように配置されており、粉粒体F又は光拡散部材37によって拡散反射されたレーザ光を受光する。
【0053】
前記反射カバー42は、導光ロッド41によって受光された光が外部に漏れて受光量が低下するのを防止するためのもので、粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置側に、導光ロッド41の軸線方向に沿って形成された開口部42aを備えており、この開口部42aから、当該照射位置側からの光のみが導光ロッド41によって受光されるようになっている。
【0054】
前記光電子増倍管43は、導光ロッド41によって受光され、当該導光ロッド41内を導かれたレーザ光を受光して、受光量に応じた電気信号を生成し、生成した電気信号を判定部45に送信する。
【0055】
前記判定部45は、光電子増倍管43から送信された電気信号を基に、粉粒体F内に異物が混入しているか否かを確認し、異物の混入を検出すると、異物混入を検出した旨の信号を異物回収機構50に送信する。
【0056】
具体的には、粉粒体Fと異物とでは、その形状や材質、光沢などがそれぞれ異なることから、異物が粉粒体F内に混入しているときとしていないときとでは、レーザ光の拡散反射状態が変化して導光ロッド41による受光量が変化し、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルがそれぞれ異なるため、判定部45は、この生成レベルを基に異物混入の有無を判定する。
【0057】
即ち、図7は、電気信号の生成レベルと時間との関係を示したグラフであるが、このグラフに示すように、粉粒体Fによって拡散反射されたレーザ光が導光ロッド41によって受光されたときには、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルは所定のしきい値(1点鎖線B)より高くなるものの(図7(a)参照)、異物によって拡散反射されたレーザ光が導光ロッド41によって受光されたときには、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルは、A部のように所定のしきい値(1点鎖線B)より低くなる(図7(b)参照)。そこで、判定部45は、このような生成レベルの落ち込み部Aを検出することで、粉粒体F内に混入した異物を検出する。
【0058】
ところで、フィードプレート22から排出される粉粒体Fは、その層厚が所定厚さとなるように調整された後、排出されているが、排出後(落下中)の粉粒体Fに層厚や密度のムラを生じると、異物が混入しているか否かに関係無く、レーザ光の拡散反射状態が変化して導光ロッド41によって受光される受光量、即ち、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルが変化するため、異物の混入を精度良く検出することができなくなる。
【0059】
即ち、例えば、粉粒体F間に生じた落下速度差により粉粒体F間隔が広くなって粉粒体F間に隙間が形成されると、レーザ光が当該隙間を通過してしまうため、レーザ光の拡散反射光量が少なくなり、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルが、図8(a)に示すように、異物による拡散反射光が受光されたときと同様、所定のしきい値(1点鎖線B)より低くなる。尚、図中のC部などが前記隙間の形成された部分を示している。
【0060】
そこで、本例では、上述のように、フィードプレート22の搬送方向下流側の端部側面に、投光部31から照射されたレーザ光を拡散反射させるとともに、拡散反射率が粉粒体の拡散反射率に対して90%〜110%の範囲内となるように構成された光拡散部材37を設けている。
【0061】
これにより、排出後(落下中)の粉粒体Fに層厚や密度のムラを生じて粉粒体F間に隙間が形成されるようなことがあっても、この隙間を通過したレーザ光が当該光拡散部材37によって拡散反射されるので、層厚や密度の状態に関わらず、導光ロッド41によって受光される受光量を常に略一定として、図8(b)に示すように、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルを常に略一定且つ所定のしきい値より高くすることができ、異物が無いときの電気信号の生成レベルと、異物が有るときの電気信号の生成レベルとの差を明確にして、異物検出を高精度に行うことができる。
【0062】
また、光拡散部材37の拡散反射率が、粉粒体Fの拡散反射率に対して90%〜110%の範囲内にあるので、投光部31から照射されたレーザ光が光拡散部材37により拡散反射されて導光ロッド41により受光される受光量を、粉粒体Fによって拡散反射されるときの受光量に対し一定の範囲内に収めて、光拡散部材37による拡散反射光を基に光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルを、粉粒体Fによる拡散反射光を基に生成される電気信号の生成レベルに対し一定の許容範囲内に収めることができ、更に高精度に異物を検出することができる。
【0063】
尚、更に高い検出精度を得るためには、光拡散部材37の拡散反射率を、粉粒体Fの拡散反射率に対し95%〜105%の範囲内とすることが好ましく、97%〜103%の範囲内とすれば、更に好ましい。
【0064】
また、上述のように、導光ロッド41の軸線と粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置とを通る平面の、レーザ光の光軸が含まれる平面に対する傾斜角度θを30°〜60°の範囲内としているのは、図9に示すように、粉粒体Fの表面におけるレーザ光の照射位置が粉粒体Fの落下によりその下部側から上部側に移動し、レーザ光の拡散反射方向が常に変化していることから、傾斜角度θを60°よりも大きくすると、粉粒体F表面の下側に照射され拡散反射したレーザ光しか受光することができなくなって一定した受光量が得られず、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルが、図10に示すように不安定となり、異物による拡散反射光が受光されたときと同様に、所定のしきい値(1点鎖線B)より低くなる部分を生じるからである。尚、図9において、符合Lは入射するレーザ光を、符合Hは拡散反射したレーザ光をそれぞれ示し、図10において、A部は、異物による拡散反射光に基づいて生成された電気信号の生成レベルを示している。
【0065】
一方、傾斜角度θを30°よりも小さくすると、投光部31と光検出部40の導光ロッド41とが接近してこれらを配置するのが装置構成上難しくなる。
【0066】
したがって、上記範囲内とすれば、粉粒体Fの表面におけるレーザ光の照射位置が変動して拡散反射方向が変化しても、一定した受光量(一定した生成レベルの電気信号)が得られ、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルが、図11に示すように所定のしきい値(1点鎖線B)より高いレベルで安定したものとなり、異物が無いときの電気信号の生成レベルと、異物が有るときの電気信号の生成レベルとの差を明確にして、より高精度に異物を検出することができる。また、装置構成も容易となる。尚、図11において、A部は、異物による拡散反射光に基づいて生成された電気信号の生成レベルを示している。
【0067】
また、レーザ光の光軸が含まれる平面の鉛直面に対する傾斜角度θを30°以上とし、導光ロッド41の軸線と粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置とを通る平面の鉛直面に対する傾斜角度θを60°〜90°の範囲内としているのは、傾斜角度θを30°よりも小さくすると、レーザ光の照射対象となる粉粒体Fとその上側にある粉粒体Fとが重なって、異物がこれらに隠れてしまったり(レーザ光が照射されなかったり)、粉粒体F一つ当たりの照射可能時間が短くなり、異物の検出精度が低下するからである。また、傾斜角度θを60°よりも小さくすると、傾斜角度θが30°よりも小さくなってしまうからである。
【0068】
また、傾斜角度θを90°よりも大きくすると、傾斜角度θを60°よりも大きくした場合と同様、粉粒体F表面の下側に照射され拡散反射したレーザ光しか受光することができなくなって異物の検出精度が低下するからであり、また、傾斜角度θを大きくすると、これに伴い傾斜角度θも大きくなってレーザ光の光軸平面が水平に近づくため、粉粒体F一つ当たりの照射可能時間が短くなるからである。
【0069】
したがって、上記範囲内とすれば、異物が粉粒体F間に隠れるのを防止したり、粉粒体F一つ当たりの照射可能時間を長くすることができるとともに、粉粒体F表面におけるレーザ光の照射位置に関わらず、一定した受光量(一定した生成レベルの電気信号)を得ることができ、より高精度に異物を検出することができる。
【0070】
前記異物回収機構50は、落下案内部材26の側面に配設された中空状の部材から構成され、その内部空間が落下案内部材26のスリット穴26aを介して当該落下案内部材26の内部空間と接続した吸引部材51と、吸引部材51の内部空間に設けられ、水平な揺動中心軸回りに揺動してスリット穴26aを開閉させる揺動部材52と、揺動部材52を揺動中心軸回りに揺動させる揺動機構(図示せず)と、揺動機構(図示せず)の作動を制御する揺動制御部(図示せず)と、吸引部材51の内部空間に接続して当該内部空間内の空気を吸引する吸引ポンプ53とを備えており、揺動部材52が揺動してスリット穴26aが開いたときに、吸引部材51の内部空間と落下案内部材26の内部空間とが連通状態になり、揺動部材52が揺動してスリット穴26aが閉じたときには、吸引部材51の内部空間と落下案内部材26の内部空間とが連通しない状態となっている。
【0071】
前記揺動制御部(図示せず)は、通常、スリット穴26aが揺動部材52によって閉じられた状態となるように揺動機構(図示せず)を制御しているが、検査機構30の判定部45から送信された、異物混入を検出した旨の信号を受信すると、当該受信から所定時間(レーザ光の照射位置を通過した粉粒体Fが落下案内部材26のスリット穴26aの側方位置に到達するまでの落下時間)が経過した後、揺動機構(図示せず)により揺動部材52を揺動させてスリット穴26aを開き、当該落下案内部材26の内部空間と吸引部材51の内部空間とを連通状態にする。これにより、異物が粉粒体Fの一部とともに、当該スリット穴26aから吸引されて落下経路から除去され、吸引部材51を通って適宜図示しない不良品回収ボックス内に回収される。
【0072】
前記良品回収機構55は、落下案内部材26内を通ってその下端部まで落下した粉粒体Fを回収する良品回収ボックスからなる。
【0073】
以上のように構成された本例の粉粒体検査装置1によれば、供給機構(供給ホッパ)10内に収容された粉粒体Fが振動フィーダ21上に供給され、供給された粉粒体Fは、当該振動フィーダ21によって層厚が調整されつつ搬送方向下流側に向けて搬送され、当該下流側の端部から排出される。そして、排出され落下する粉粒体Fは、検査機構30により、次のようにして異物混入の有無が検査された後、落下案内部材26内を通って落下する。
【0074】
即ち、投光部31により、レーザ光が粉粒体Fに向けて照射されるとともに、その照射位置が水平方向に走査され、粉粒体F上に照射されたレーザ光は、当該粉粒体Fや光拡散部材37によって拡散反射された後、光検出部40の導光ロッド41により受光され、この後、導光ロッド41内を導かれたレーザ光が、光電子増倍管43により受光されて受光量に応じた電気信号が生成される。
【0075】
そして、光電子増倍管43によって電気信号が生成されると、生成された電気信号を基に、判定部45により、粉粒体F内に異物が混入しているか否かが判定され、異物が混入していると判定された場合には、異物が混入している旨の信号が異物回収機構50に送信される。
【0076】
このようにして、異物が混入している旨の信号が異物回収機構50に送信されると、当該異物回収機構50では、揺動制御部(図示せず)により揺動機構(図示せず)が駆動されて揺動部材52が揺動し、落下案内部材26のスリット穴26aが開かれ、これにより、検出された異物が粉粒体Fの一部とともに、当該スリット穴26aから吸引されて落下経路から除去され、不良品回収ボックス(図示せず)内に回収される。
【0077】
そして、検査機構30によって異物混入の有無が検査された粉粒体Fは、落下案内部材26内の下端部まで落下すると、良品回収機構(良品回収ボックス)55に回収される。
【0078】
斯くして、本例の粉粒体検査装置1によれば、粉粒体Fによって拡散反射されたレーザ光の受光量に応じて生成される電気信号を基に、異物混入の有無を判断するとともに、レーザ光を拡散反射させる光拡散部材37をフィードプレート22の搬送方向下流側の端部側面に設けているので、粉粒体Fと同色の異物や透明な異物であっても、また、粉粒体Fの層厚や密度にムラがあっても、当該異物を高精度に検出することができる。
【0079】
また、粉粒体Fを落下させ、落下中の粉粒体Fに向けてレーザ光を照射するようにしており、粉粒体F間に生じた落下速度差によって粉粒体Fがばらけるので、異物が各粉粒体F間に隠れ難くなり、このことによっても、当該異物を高精度に検出することができる。
【0080】
また、光拡散部材37の拡散反射率が、粉粒体Fの拡散反射率に対して90%〜110%の範囲内となるように構成し、投光部31を、レーザ光の光軸が含まれる平面の鉛直面に対する傾斜角度θが、30°以上となるように構成し、光検出部40の導光ロッド41を、その軸線と粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置とを通る平面の、レーザ光の光軸が含まれる平面に対する傾斜角度θが30°〜60°の範囲内となるように、且つ、その軸線と粉粒体F上におけるレーザ光の照射位置とを通る平面の、鉛直面に対する傾斜角度θが60°〜90°の範囲内となるように構成しているので、更に高精度な検査を実施することができる。
【0081】
また、振動フィーダ21から排出後、例えば、約0.5mm程度落下した粉粒体Fに向けてレーザ光を照射するようにしているので、粉粒体Fの落下速度がさほど速くなく、粉粒体Fの落下方向における走査間隔を狭めることができ、より高精度に異物検出を行うことができる。
【0082】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0083】
例えば、上例では、フィードプレート22の搬送方向下流側の端部側面に光拡散部材37を設け、この光拡散部材37によってレーザ光を拡散反射させるように構成したが、これに限られるものではなく、フィードプレート22自体を光拡散部材として機能させるように、白色の樹脂、サンドブラスト表面処理を施したアルミニウムやガラスから構成して、当該フィードプレート22によってレーザ光を拡散反射させるように構成することもできる。
【0084】
また、上例では、振動フィーダ21により粉粒体Fを搬送するように構成したが、これに限られるものではなく、振動フィーダ21に代えて、搬送方向に所定間隔を隔てて軸線が水平に配置された2つのプーリと、各プーリ間に掛け渡され、外周面上に適宜供給された粉粒体Fを搬送する搬送ベルトと、プーリの一方を軸中心に回転させて搬送ベルトを回動させ、外周面上の粉粒体Fを搬送方向下流側に向けて搬送させる駆動モータとを備えた搬送機構により粉粒体Fを搬送することもできる。
【0085】
また、粉粒体Fの形状や材質、光沢によって、当該粉粒体Fによるレーザ光の拡散反射状態が異なるため、当該粉粒体Fの形状や材質、光沢に応じて、光拡散部材37の材質などを適宜変更するようにすることが好ましい。
【0086】
また、上例では、フィードプレート22を水平に配置したが、これに限られるものではなく、搬送方向下流側の端部が上流側よりも低くなるように当該フィードプレート22を傾斜させても良い。
【0087】
また、光検出部40は、フィードプレート22の幅方向に水平に走査され、粉粒体Fや光拡散部材37によって拡散反射されたレーザ光を受光することができるものであれば良く、例えば、複数の光ファイバーを束ねて構成される光電管などから構成することもできる。
【0088】
また、光電子増倍管43を導光ロッド41の両端部にそれぞれ設けて、光電子増倍管43によって生成される電気信号の生成レベルが、導光ロッド41における受光位置に関わらず、略一定となるように構成したが、これに限られるものではなく、光電子増倍管43を導光ロッド41の一方の端部のみに設け、受光量を補正して検出するようにしても良い。
【0089】
また、更に、上例では、レーザ光を落下中の粉粒体Fに向けて斜め上方から照射したが、これに限られるものではなく、斜め下方から照射するようにしても良い。この場合においても、前記傾斜角度θ,θ,θは、上述と同様の角度範囲となるように、投光部31及び光検出部40の導光ロッド41を配置することが好ましい。
【0090】
また、上例では、約0.5mm程度落下した粉粒体Fに向けてレーザ光を照射するように構成したが、レーザ光の照射位置は、粉粒体Fの粒径やレーザ光の走査速度などによって適宜設定されるものであり、上例の0.5mmに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体検査装置の概略構成を一部断面で示した正面図である。
【図2】図1における矢示A方向の側面図である。
【図3】図2における矢示B−B方向の断面図である。
【図4】本実施形態に係る投光部の概略構成を示した斜視図である。
【図5】本実施形態に係る投光部,光検出部,フィードプレート及び光拡散部材を示した断面図である。
【図6】本実施形態に係る投光部,光検出部,フィードプレート及び光拡散部材を示した断面図である。
【図7】光電子増倍管によって生成される電気信号の生成レベルと時間との関係を示したグラフである。
【図8】光電子増倍管によって生成される電気信号の生成レベルと時間との関係を示したグラフである。
【図9】粉粒体によって拡散反射されるレーザ光の拡散反射方向を説明するための説明図である。
【図10】光電子増倍管によって生成される電気信号の生成レベルと時間との関係を示したグラフである。
【図11】光電子増倍管によって生成される電気信号の生成レベルと時間との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0092】
1 粉粒体検査装置
10 供給機構(供給ホッパ)
20 落下機構
21 振動フィーダ
22 フィードプレート
23 規制部材
24 バイブレータ
25 支持台
26 落下案内部材
26a スリット穴
30 検査機構
31 投光部
32 レーザ発振器
33 集光レンズ
34 ポリゴンミラー
35 駆動モータ
36 集光レンズ
37 光拡散部材
40 光検出部
41 導光ロッド
42 反射カバー
43 光電子増倍管
45 判定部
50 異物回収機構
51 吸引部材
52 揺動部材
53 吸引ポンプ
55 良品回収機構(良品回収ボックス)
56 基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物たる粉粒体の層厚を調整し、層厚調整後の粉粒体を落下させる落下機構と、
前記落下機構から落下した粉粒体内に異物が混入しているか否かを検査する検査装置と、
前記検査装置よりも下方に設けられ、該検査装置によって異物の混入が確認された場合に、該異物を回収する第1回収機構と、
前記第1回収機構よりも下方に設けられ、該第1回収機構よりも下方に落下した粉粒体を回収する第2回収機構とを備えた粉粒体検査装置であって、
前記検査装置は、
前記粉粒体の落下経路から間隔を隔てて設けられ、レーザ光を前記落下中の粉粒体に向けて照射するとともに、該粉粒体上におけるレーザ光の照射位置を水平方向に走査する投光機構と、
前記落下経路から間隔を隔てて水平に設けられて、前記投光機構から照射され前記粉粒体により拡散反射されたレーザ光を受光する受光部を備え、該受光部における受光量に応じた電気信号を生成する光検出機構と、
前記光検出機構によって生成された電気信号を基に、前記異物の混入の有無を判定する判定処理部と、
前記落下経路を挟んで前記投光機構の反対側に設けられ、前記投光機構から照射されたレーザ光を拡散反射させる光拡散部材とから構成されてなることを特徴とする粉粒体検査装置。
【請求項2】
前記光拡散部材は、その拡散反射率が、前記粉粒体の拡散反射率に対し、90%〜110%の範囲内となるように構成されてなることを特徴とする請求項1記載の粉粒体検査装置。
【請求項3】
前記光検出機構の受光部は、その受光光軸を含む平面と前記投光機構から照射されるレーザ光の光軸を含む平面との間の傾斜角度が、30°〜60°の範囲内となるように構成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の粉粒体検査装置。
【請求項4】
前記投光機構は、レーザ光の光軸を含む平面と鉛直面との間の傾斜角度が30°以上となるように構成され、前記光検出機構の受光部は、その受光光軸を含む平面と前記鉛直面との間の傾斜角度が、60°〜90°の範囲内となるように構成されてなることを特徴とする請求項3記載の粉粒体検査装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−64734(P2007−64734A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249240(P2005−249240)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(305021292)第一実業ビスウィル株式会社 (23)
【Fターム(参考)】