説明

粒子が充填された不織材料

層が、不織材料から製造された基礎材料を有し、基礎材料は繊維から製造されると共に繊維によって形成された第1の細孔を有し、基礎材料は少なくとも部分的に粒子が充填されており、粒子が第1の細孔を少なくとも部分的に充填し、粒子が充填された領域を形成する。層は、小さな厚みで経済的に製造する際に、高い多孔性及び高い温度安定性を示すように設計及び改良可能であり、粒子が充填された状態の第2の細孔を形成し、粒子の平均直径が第2の細孔の大部分の平均細孔径よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維不織ウェブ布から構成される基礎構造を有し、基礎構造は繊維からなると共に繊維によって形成された第1の細孔を有し、かつ基礎構造は少なくとも部分的に粒子が充填されており、その粒子は第1の細孔に少なくとも部分的に充填され、粒子が充填された領域を形成している、プライに関する。
【背景技術】
【0002】
上述のタイプのプライは既に先行技術から公知である。このようなプライは、エネルギーを蓄積する用途においてバッテリー及びキャパシタのセパレータとして使用される。バッテリー及びキャパシタの電荷蓄積は、化学的、物理的または混合された形で、例えば化学吸着によって行なわれる。
【0003】
バッテリーまたはキャパシタ内の内部放電を避けるために、反対電荷をもつ電極は、セパレータまたはスペーサとして公知である電子を伝導しない材料によって、機械的に互いに隔てられる。同時に、それらの多孔性がエネルギー蓄積システム及びその使用に適合させられることによって、セパレータまたはスペーサは、電解液のイオン電荷担体が電極間を移動することを可能にする。
【0004】
先行技術から公知のセパレータは、マイクロメートル範囲の小さな、連結された開口を有する。これらの開口は、浸漬されたセパレータの電解液の導電率が可能な限り高く、したがってバッテリーが高出力密度を有するために可能な限り大きいと言われている。しかしながら、開口が非常に大きい場合、金属デンドライトは、実際に互いに電気的に隔てられなければならない2つの電極間の短絡につながることがある。金属デンドライトは、リチウム、または不純物としてバッテリー中に存在しうる他の金属のどちらかからなる。
【0005】
さらに、導電性電極材料の粒子は、開口中を移動することができる。これらのプロセスは、電極間の短絡を生じさせ、バッテリーまたはキャパシタの自己放電を大幅に速めることがある。
【0006】
短絡は非常に高い電流の局所流を生じることがあり、熱を放出する。この熱は、セパレータを融解させることがあり、それは次に、セパレータの絶縁/単離効果の明白な減少につながることがある。従って、非常に急速に自己放電するバッテリーは、その高いエネルギー含量ならびに電解液及び他の構成要素の可燃性により、安全性のリスクが高い。
【0007】
先行技術から公知のセパレータに関するさらなる不利な点は、温度が上昇する場合にそれらが安定性を欠くことである。融点は、ポリエチレンが用いられるときに約130℃、ポリプロピレンが用いられるときに約150℃である。
【0008】
短絡の原因には、バッテリー内の過度の高温によるセパレータの収縮、金属イオン(リチウム、鉄、マンガンまたは他の金属不純物)の還元による金属デンドライト成長、電極粒子からの破壊屑、電極上の切断破壊屑または破壊された被覆、及び加圧下の2つの平坦電極間の直接接触などがある。
【0009】
特許文献1には遮断機構が開示されている。遮断機構は、初期短絡の近くでのイオン移動を妨げることにより短絡の空中伝播を相殺することによって、例えば短絡による局部加熱に応答する。短絡による熱損失は、セパレータの細孔を融解しかつ隠す程度までポリエチレンを加熱させる。高めの融点を有するポリプロピレンは、機械的無損傷の状態のままである。
【0010】
特許文献2には、製造作業において初めに溶剤で可溶化され、シリカ粒子と混合され、薄膜として適用されるポリ二フッ化ビニルからなるセパレータの構造物が記載されている。溶剤の除去によって多孔膜を残す。
【0011】
特許文献3には、ゲル状ポリマー及び無機粒子をさらに充填されるポリオレフィンセパレータの使用による、リチウムイオンバッテリーのためのセパレータの製造が記載されている。
【0012】
特許文献4には、有機ケイ素定着剤、及びケイ素、アルミニウム及び/またはジルコニウム元素の酸化物からの無機バインダーを配合されるセラミック粒子を使用して薄いシート材料を形成することが記載されている。
【0013】
十分な機械的可撓性を達成するために、セラミック粒子が支持材料、例えば繊維不織ウェブ布に混入される。これは特許文献5によって開示される。
【0014】
金属デンドライト形成の初期段階の短絡を防ぐために、特許文献6には、セラミックペーストへの添加物として比較的低融点のワックスの使用が記載されている。
【0015】
特許文献7には、セパレータの機械的性質を改良するために、100℃を超える融点を有するポリマー粒子をセラミック充填剤に添加することが記載されている。記載された材料は、リチウムイオン材料のためのセパレータとして使用することが意図される。これらのセパレータは膜よりも高い熱安定性を提供するが、それらは、これまで商業的成功を収めていなかった。これは、それらの比較的高いコスト及び25μmを超える材料の過度の厚みのためであろう。
【0016】
特許文献8には、燃料電池に使用することができる膜の製造が記載されている。この膜は、フッ素化炭化水素ポリマーがシリケートバインダーによって中に固定されるガラス繊維材料からなる。
【0017】
最後に、特許文献9には、加熱によってポリエチレン/ポリプロピレン繊維支持材料中の熱可塑性粒子を一緒に融解することによって製造されるリチウムイオンバッテリーのためのセパレータが記載されている。このセパレータは、0.1〜15μmの細孔直径を有する気泡状多孔構造を有する。
【0018】
先行技術は、小さな厚みと、高い多孔率及び高い熱安定性とを組み合わせ、高い出力及びエネルギー密度を有するバッテリーにおいて広い温度範囲にわたって安全に使用可能な安価なセパレータを示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0892448号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0168569号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/068428号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2004/021475号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2005/038959号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2005/104269号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2007/028662号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2000/024075号パンフレット
【特許文献9】特開2005−268096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、安価な製造後に、小さな厚みと、高い多孔率及び高い熱安定性とを組み合わせて、初めに記載されたタイプのプライを開発及び改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は請求項1に係る発明によって達成されることがわかった。
【0022】
それによれば、プライは、充填された領域内の粒子が第2の細孔を形成し、粒子の平均直径が第2の細孔の大部分の平均細孔径より大きいことを特徴とする。
【0023】
平均細孔径の度数分布は、第2の細孔の50%超が粒子の平均直径より小さい平均細孔径を有するように本発明によって設定される。本発明者らは、安価な繊維不織ウェブ布の細孔構造が粒子の適した配列及び粒子の選択によって改良されうることを認識した。具体的に、本発明のプライの多孔率は、その安定性を低下させることなくポリオレフィン膜に比べて強化可能であることが認識された。平均直径が、充填された領域の第2の細孔の大部分の平均細孔径より大きい多数の粒子の配列により、高い多孔率を可能にし、したがって繊維不織ウェブ布による電解液の強化された膨潤を生じさせることができる。同時に、形成された細孔構造は、有害な金属デンドライトがその中に形成するのを実質的に不可能にする。本発明は、気泡状ではないが迷路状であり細長い細孔を備える細孔構造を生じる粒子の配列を提供する。このような細孔構造において、樹枝状成長がプライの一方の側から他方の側に至るまでその広がりを形成するのは実質的に不可能である。これは、バッテリーまたはキャパシタの短絡を防ぐのに有効である。従って、本発明のプライは、高出力及びエネルギー密度を有するバッテリー及びキャパシタのセパレータとして非常に有用である。本発明のプライは、広い温度範囲にわたって安全に使用できる。したがって、初めに記載された目的が達成される。
【0024】
粒子は球形でありうる。これは有利には、繊維不織ウェブ布の第1の細孔に球の圧倒的な最密充填を生じる場合がある。第2の細孔の大部分の平均細孔径は、球の充填の幾何学的条件によって本質的に決定される。球の最密充填を生じる無数の方法がある。それらの一般的な特徴は、それらが球の六方晶の層(hexagonal layers)からなるということである。2つの最も重要な代表例は、球の六方最密充填(層配列A、B、A、B、A、B)及び球の立方最密充填(層配列A、B、C、A、B、C、A)である。また、球の立方最密充填は、球の面心立方充填としても公知である。球の最密充填の各々の球は12の隣接を有し、それ自体の層に6つ、及び上下各々に3つを有する。それらは、立方配列において立方八面体を形成し、六方配列において反立方八面体(anticuboctahedron)を形成する。球の最密充填の充填密度は74%である。しかしながら、できる限り高い多孔率を生じることが望ましい。したがって、繊維不織ウェブ布の第1の細孔内の全ての粒子が球の最密充填を形成するわけではない。むしろ、粒子がゆるく充填される領域もあり、それが高い多孔率を促進する。
【0025】
粒子は基礎構造にシート状均質分布を形成しうる。この具体的形態は、短絡を防ぐために特に有効な方法である。金属デンドライト及びデトリタスは、均質に覆われたシート中をそれが移動することを実質的に不可能にする。さらに、このようなシートは、加圧時に電極間の直接接触を防ぐ。繊維不織ウェブ布の全ての第1の細孔が粒子を均質に充填され、その結果、プライはほとんど、粒子の平均直径よりも小さい平均細孔径を示すことがこの背景に対して具体的に考えうる。
【0026】
基礎構造は粒子のコーティングを有することができる。コーティングはさらに、短絡の前述の防止をもたらす有利な方法である。プライがコーティングを有するとき、基礎構造は不可避的に、少なくとも部分的に粒子が充填される境界領域を有する。
【0027】
粒子は、バインダーによって繊維不織ウェブ布と、または互いに結合されうる。このバインダーは有機ポリマーからなってもよい。有機ポリマーからなるバインダーの使用は、十分な機械的可撓性を有するプライを製造することを可能にする。ポリビニルピロリドンは驚くべきことにすぐれたバインダー特性を示す。
【0028】
熱可塑性及び/または熱硬化性バインダーを用いることが好ましい。この背景に対して記載され得る例は、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリルアミド、及びそれらのコポリマー、セルロース及びその誘導体、ポリエーテル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、ニトリルゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、及びラテックスである。
【0029】
バインダー及び/または粒子の融点は、繊維不織ウェブ布の繊維の融点よりも低いことがある。このようなバインダー/粒子を選択することによって、プライが遮断機構を実現することを可能にする。遮断機構において、融解粒子及び/またはバインダーが繊維不織ウェブ布の細孔を隠し、その結果、細孔中に樹枝状成長が生じず、したがって短絡は生じえない。
【0030】
異なった融点を有する粒子の混合物を用いることがこの背景に対して考えうる。これを用いて、温度の上昇によって工程を追ってまたは段階を追って細孔を隠すことができる。
【0031】
粒子は、0.01〜10μmの範囲の平均直径を有することができる。この範囲の平均直径の選択は、樹枝状成長または破壊屑の形成による短絡を避けるために特に有利であろう。
【0032】
粒子は有機ポリマー、特に、ポリプロピレン、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロエチレン−プロピレン(FEP)、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリアクリレート、またはニトリル−ブタジエンポリマー、及びそれらのポリマーのコポリマーから製造されうる。粒子のために有機ポリマーを使用することにより、粒子の問題のない融点に遮断効果を得させる。脆化させずに大きさに合わせて切断するのが容易であるプライを製造することがさらに可能である。プライの脆化は通常、プライ中に比較的高い比率の無機粒子があるときに生じる。異なった粒子またはコア−シェル粒子の混合物を用いることがこの背景に対して考えうる。これを用いて、温度の上昇によって工程を追ってまたは段階を追って細孔を隠すことができる。
【0033】
無機粒子または無機−有機ハイブリッド粒子を用いることも可能である。これらの粒子は、400℃未満の温度で融解しない。バッテリーに存在するプロトン活性を少なくとも部分的に低減するために基本特性を有するこれらの粒子を選択することがさらに可能である。
【0034】
繊維不織ウェブ布の繊維は、有機ポリマー、特に、ポリブチルテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド、またはポリビニルピロリドンから製造されうる。前述のポリマーを含有する二成分繊維を用いることも考えうる。これらの有機ポリマーを使用することにより、熱収縮が最小なプライを製造することを可能にする。さらに、これらの材料は、バッテリー及びキャパシタに使用された電解質及びガスに対して実質的に電気化学的に安定している。
【0035】
繊維不織ウェブ布の繊維の平均長さは、それらの平均直径の少なくとも2倍以上、好ましくは多数倍であってもよい。繊維が互いに絡み合わせられうるので、この具体的な開発によって特に強い繊維不織ウェブ布を製造することができる。
【0036】
繊維不織ウェブ布の繊維の少なくとも90%が12μm以下の平均直径を有することができる。この具体的な開発によって、第1の細孔について比較的小さな細孔径を有するプライを作製することができる。繊維不織ウェブ布の繊維の少なくとも40%が8μm以下の平均直径を有するとき、さらに微細な孔が得られる。
【0037】
プライは、100μm以下の厚みを特徴とすることができる。この厚みのプライは、問題なくまだ巻き取ることができ、非常に安全な組作業を可能にする。厚みは好ましくは60μm以下でありうる。この厚みは、改良された巻取り適性と、なおかつ安全な組作業とを可能にする。厚みはより好ましくは25μm以下でありうる。このような厚みを有するプライを用いて、非常に小型のバッテリー及びキャパシタを形成することができる。
【0038】
プライは、少なくとも25%の多孔率を有することができる。この多孔率のプライは、材料のその密度によって短絡の形成を抑えるのに特に有効である。プライは好ましくは、少なくとも35%の多孔率を有することができる。この多孔率のプライを用いて高出力密度のバッテリーを製造することができる。本明細書に記載されたプライは、プライの一方の側から他方の側まで広がる樹枝状成長が形成しないように、非常に高い多孔率と、それにもかかわらず非常に小さな第2の細孔とを組合せる。第2の細孔は、プライの一方の側から他方の側まで樹枝状成長が形成することができない迷路ミクロ構造を形成することがこの背景に対して考えうる。
【0039】
プライは、3μm以下の細孔径を有することができる。この細孔径の選択は、短絡を避けるときに特に有利である。細孔径はより好ましくは、1μm以下でありうる。このようなプライは、金属デンドライト成長による、電極粒子からの破壊屑による、及び加圧時の電極間の直接接触による短絡を避けるときに特に有利である。
【0040】
プライは、長さ方向において少なくとも15ニュートン/5cmの引張強さを有することができる。この強さのプライは、破裂せずにバッテリーの電極上に巻き取るのが特に容易である。
【0041】
プライをカレンダー加工によって機械的に固めることができる。カレンダー加工は、表面の粗さを低減するのに有効である。繊維不織ウェブ布の表面に使用された粒子は、カレンダー加工後に平坦化を示す。
【0042】
本明細書に記載されたプライは、短絡を防ぐのに特に有効であるので、特にバッテリー及びキャパシタのセパレータとして使用することができる。
【0043】
また、本明細書に記載されたプライは、良い湿潤性質を示し、液体を輸送することができるので、燃料電池のガス拡散層または膜として使用することができる。
【0044】
それゆえ、本発明の教示を有利に発展及び改良する様々な方法がある。一方で、従属請求項を参照しなければならず、他方で、図面に関して本発明の好ましい例示的な実施形態の以下の説明を参照しなければならない。
【0045】
また、図面に関して本発明の好ましい例示的な実施形態の説明は、教示の一般に好ましい発展及び改良を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】粒子が繊維不織ウェブ布の第1の細孔内に存在し、粒子が充填された多孔領域を形成するプライの走査電子顕微鏡写真を示す。
【図2】コーティングとして配置された充填された領域の粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図3】充填された領域の粒子の大きく拡大された走査電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、繊維不織ウェブ布から構成される基礎構造を有するプライを示している。基礎構造は繊維1からなると共に繊維1によって形成された第1の細孔2を有し、かつ基礎構造は少なくとも部分的に粒子3が充填されており、その粒子3は第1の細孔2に少なくとも部分的に充填され、粒子3が充填された領域4を形成している。
【0048】
図3は、拡大図において充填された領域4を示す。図3に関して、粒子3が、充填された領域4に第2の細孔5を形成し、粒子3の平均直径が第2の細孔5の大部分の平均細孔径より大きい。粒子3は球形であり、領域に球の最密充填を形成する傾向がある。
【0049】
図2は、繊維不織ウェブ布に適用された粒子3のコーティングを示す。
【0050】
図1〜3は、繊維不織ウェブ布を含むプライの走査電子顕微鏡写真を示す。その繊維1はポリエステルから製造される。粒子3は形状において球形であり、繊維不織ウェブ布の第1の細孔2を充填する凝集塊を領域に形成する。繊維1は12μm未満の平均直径を有する。プライは25μmの厚みを有する。それは、170℃の温度で横方向において1%未満の収縮を示す。
【0051】
粒子3の平均直径は200nmである。粒子3は、ポリフッ化ビニリデンからなり、ポリビニルピロリドンバインダーによって繊維1に固定される。
【0052】
粒子3の平均直径は、充填された領域4の粒子3の数から決定される。粒子3は好ましくは狭い分布曲線を示し、すなわち、低い標準偏差を有する平均直径を示す。第2の細孔5のほとんど、すなわち、大部分の平均細孔径は200nm未満である。第2の細孔5の平均細孔径とは、細孔5と同じ体積を有する想像球6の直径を意味する。想像球は粒子3の間にあり、その結果、隣接粒子3の表面に接触する。細孔の寸法を決定する想像球6は、黒く縁取られた中空の円として図3に示される。
【0053】
x軸が第2の細孔5の平均細孔径を示し、y軸が平均細孔径の数または度数を示す分布曲線は、第2の細孔5の50%超が200nmより小さい平均細孔径を有することを示す。
【0054】
本発明の教示のさらなる有利な発展及び改良に関して、説明の一般的部分及び添付した特許請求の範囲への参照がなされる。
【0055】
以前に純粋に任意に選択される例示的な実施形態は本発明の教示を説明するのに役立つにすぎず、この例示的な実施形態にその教示を限定するものではないことは、最後に特に強調されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維不織ウェブ布から構成される基礎構造を有し、前記基礎構造は繊維(1)からなると共に前記繊維(1)によって形成された第1の細孔(2)を有し、かつ前記基礎構造は少なくとも部分的に粒子(3)が充填されており、その粒子(3)は前記第1の細孔(2)に少なくとも部分的に充填され、前記粒子(3)が充填された領域(4)を形成している、プライにおいて、
前記充填された領域(4)内の前記粒子(3)が第2の細孔(5)を形成し、前記粒子(3)の平均直径が前記第2の細孔(5)の大部分の平均細孔径より大きいプライ。
【請求項2】
前記粒子(3)の形状が球形である請求項1に記載のプライ。
【請求項3】
前記粒子(3)が前記基礎構造にシート状均質分布を形成する請求項1または2に記載のプライ。
【請求項4】
前記充填された領域(4)の少なくとも一部が、前記粒子(3)を有する前記基礎構造のコーティングとして構成される請求項1〜3のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項5】
前記粒子(3)が、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリルアミド、及びそれらのコポリマー、セルロース及びその誘導体、ポリエーテル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びラテックスからなる群から選択される有機ポリマーから構成されるバインダーによって前記繊維不織ウェブ布と結合される請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項6】
前記バインダーの融点が前記粒子(3)及び/または前記繊維(1)の融点より低い請求項1〜5のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項7】
前記粒子(3)が0.01〜10μmの範囲の平均直径を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項8】
前記粒子(3)が、ポリプロピレン、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロエチレン−プロピレン(FEP)、ポリスチレン、スチレンブタジエンコポリマー、ポリアクリレート、ニトリル−ブタジエンポリマー、及びそれらのポリマーのコポリマーからなる群から選択される有機ポリマーから製造される請求項1〜7のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項9】
前記繊維不織ウェブ布の前記繊維(1)が、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリアミド及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される有機ポリマーから製造される請求項1〜8のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項10】
前記繊維不織ウェブ布の前記繊維(1)の平均長さが、それらの平均直径の少なくとも2倍以上、好ましくは多数倍である請求項1〜9のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項11】
前記繊維不織ウェブ布の前記繊維(1)の少なくとも90%が、12μm以下の平均直径を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項12】
前記繊維不織ウェブ布の前記繊維(1)の少なくとも40%が、8μm以下の平均直径を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項13】
厚みが、100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは25μm以下である請求項1〜12のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項14】
多孔率が、少なくとも25%、好ましくは少なくとも35%である請求項1〜13のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項15】
前記第1及び第2の細孔(2、5)が迷路ミクロ構造を形成する請求項1〜14のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項16】
前記第2の細孔(5)が、3μm以下、好ましくは1μm以下の細孔径を有する請求項1〜15のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項17】
長さ方向の引張強さが、少なくとも15N/5cmである請求項1〜16のいずれか一項に記載のプライ。
【請求項18】
前記基礎構造がカレンダー加工される請求項1〜17のいずれか一項に記載のプライ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−538172(P2010−538172A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523288(P2010−523288)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004824
【国際公開番号】WO2009/033514
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510057615)カール・フロイデンベルク・カー・ゲー (19)
【Fターム(参考)】