説明

粒子分離装置

【課題】 複数の分離領域を設けることで流体中に含まれる複数種の粒子の中から特定種の粒子を一時に複数個分離できる粒子分離装置を提供する。
【解決手段】 流体中の特性の異なる複数の粒子を分離する装置であって、前記粒子307〜309を搬送するための流路302と、前記流路302中に設けられ、前記粒子を特性毎に捕集して分離するための場の強度の異なる複数の分離領域304〜306とを有する粒子分離装置。さらに、前記流路において、特性毎に分離された前記粒子を特性毎に回収するための分岐された流路を有し、分岐された流路が分離領域毎に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子分離装置に関し、詳しくは特性の異なる複数種の粒子を分離するための装置、方法、および検体中の標的物質を補足する試薬、キット、検出装置、検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康問題や環境問題、更には安全性の問題に対する意識の高まりと共に、これらの問題に関与する生物学的、化学的物質の微量検出手法が望まれるようになってきた。しかし、これらの生物学的、化学的物質(以降、標的物質と記載する場合もある)が含まれている試料の採取量は限られており、かつ血液中の蛋白等の標的物質は様々な物質が複雑に混在した中に微量しか含まれていないことが多いため、測定は高い精度(再現性)と感度とが要求されると共に、信頼度の高い分析結果を正確に得ることが求められている。
【0003】
その様々な物質が複雑に混在した中に微量しか含まれていない標的物質を効率よく分離、抽出等を行なうために、磁性粒子が利用されてきている。
特許文献1には、粒子を含む溶液が流れることができる流路のある領域において流路を横断する方向に電界或いは磁界を生じさせ上記粒子を偏向させる手段と、偏向された粒子を捕捉することにより分離することができる粒子捕捉部を有する粒子分離機構について開示されている。
【0004】
また、特許文献2は、粒子を含有する流れが、一時に一つの粒子がフローチャンネルの断面を通過するように制御され、かつ部材は、フローチャンネルに存在しかつフローチャンネルを横切る場に影響される粒子が場の方向に偏向されるように、フローチャンネルの縦軸に実質的に垂直な場に位置される粒子分離用マイクロフローシステムについての発明であり、1粒子毎に粒子を場の方向により偏向し、分離を行なうことが開示されている。
【特許文献1】特開2002−233792号公報
【特許文献2】特開2002−503334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の背景技術では、特定種の粒子のみが含まれる流体中からその特定種の粒子を分離することや、複数種の粒子が混合されている粒子を1粒子ごとに分離をすることが可能であるが、流体中に複数種の粒子が混合されている場合、一時に特定種の粒子を複数個分離することができなかった。
【0006】
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、複数の分離領域を設けることで流体中に含まれる複数種の粒子の中から特定種の粒子を一時に複数個分離することが可能な粒子分離装置を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、分離する粒子に標的物質を特異的に捕捉する捕捉体を持たせることにより、特性の異なる粒子の種類毎に異なった標的物質を捕捉し、分離後、粒子に捕捉された標的物質を検出することが可能な標的物質検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記技術課題を解決するために、以下の粒子分離装置および分離方法を提供する。
即ち、本発明の第1の発明は、流体中の特性の異なる複数の粒子を分離するための装置であって、前記粒子を含む流体を搬送するための流路と、前記流路中に設けられ、前記粒子を特性毎に分離するための複数の分離領域と、前記分離領域毎に位置し、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離するための分離手段とを有することを特徴とする分離装置である。
【0009】
本発明の第2の発明は、検体中の標的物質を捕捉するための試薬であって、異なる特性毎に捕集され得る複数種の粒子と、前記粒子表面に標的物質を特異的に捕捉する捕捉体を有し、前記捕捉体は特性の異なる粒子毎に異なった標的物質を捕捉することを特徴とする標的物質捕捉試薬である。
【0010】
本発明の第3の発明は、検体中の標的物質を検出するためのキットであって、上記の標的物質捕捉試薬と、光学的に検出可能な標識を施した、前記標的物質を認識する捕捉体とを少なくとも含むことを特徴とする標的物質検出用キットである。
【0011】
本発明の第4の発明は、検体中の複数の標的物質を検出するための装置であって、上記の標的物質捕捉試薬に検体中の標的物質を捕捉させるための手段と、前記試薬および検体を搬送するための流路と、前記流路中に設けられ、前記粒子を特性毎に分離するための複数の分離領域と、前記分離領域毎に位置し、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離するための分離手段と、前記分離領域毎に標的物質捕捉試薬が捕捉した標的物質量を検出するための手段とを有することを特徴とする標的物質検出装置である。
【0012】
本発明の第5の発明は、検体中の複数の標的物質を検出する方法であって、上記の標的物質捕捉試薬に検体中の標的物質を捕捉せしめる工程と、前記標的物質捕捉試薬中の特性の異なる粒子を特性毎に異なる分離領域に固定する工程と、前記分離領域毎に標的物質捕捉試薬が捕捉した標的物質量を検出する工程とを有することを特徴とする標的物質検出方法である。
【0013】
本発明の第6の発明は、流体中の特性の異なる複数の粒子を分離する方法であって、前記粒子を含有する流体を一定の流速で搬送する工程と、前記粒子を特性毎に分離するために、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離する工程とを有することを特徴とする粒子分離方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、複数の分離領域を設けることで流体中に含まれる複数種の粒子の中から特定種の粒子を一時に複数個分離することが可能となる。
また、本発明により、分離した粒子に標的物質を特異的に捕捉する捕捉体を持たせることにより、特性の異なる粒子の種類毎に異なった標的物質を捕捉することも可能となる。
さらに、本発明により、標的物質を捕捉する工程を経た粒子を分離後、分離領域毎に標的物質が粒子に捕捉されたかどうかを検出することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、流体中の特性の異なる複数の粒子を分離するための装置であって、前記粒子を含む流体を搬送するための流路と、前記流路中に設けられ、前記粒子を特性毎に分離するための複数の分離領域と、前記分離領域毎に位置し、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離するための分離手段とを有することを特徴とする分離装置に関する。
【0016】
更に、前記流路において、特性毎に分離された前記粒子を特性毎に回収するための分岐された流路を少なくとも一つ有することが好ましく、さらには、分岐された流路が、前記分離領域毎に存在することが好ましい。
【0017】
更に、流体中の特性の異なる複数の粒子を分離する方法であって、前記粒子を含有する流体を一定の流速で搬送する工程と、前記粒子を特性毎に分離するために、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離する工程とを有する。
【0018】
また、本発明は、検体中の標的物質を捕捉するための試薬であって、特性ごとに捕集できるその特性が異なる複数種の粒子を含有しており、前記粒子表面に標的物質を特異的に捕捉する捕捉体を持ち、前記捕捉体は、特性の異なる粒子毎に異なった標的物質を捕捉することを特徴とする標的物質捕捉試薬に関する。
【0019】
また更に、本発明は、検体中の複数の標的物質を検出するための装置であって、上記の標的物質捕捉試薬に検体中の標的物質を捕捉させるための手段と、前記試薬および検体を搬送するための流路と、前記流路中に設けられ、前記粒子を特性毎に分離するための複数の分離領域と、前記分離領域毎に位置し、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離するための分離手段と、前記分離領域毎に標的物質捕捉試薬が捕捉した標的物質量を検出するための手段とを有することを特徴とする標的物質検出装置に関する。
【0020】
更に、前記捕捉試薬に検体中の標的物質を捕捉せしめる工程と、前記捕捉試薬中の特性の異なる粒子を特性毎に異なる領域に固定する工程と、前記分離領域毎に、捕捉試薬が捕捉した標的物質量を検出する工程とを有する。
【0021】
以下に、本発明に係る最良の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態において特性の異なる粒子とは、任意の材質から構成されるもので、磁場、電場、重力場のような場の影響を受ける粒子のことを言う。その種類としては、磁場の影響を受けるものとしては、磁性粒子、電場の影響を受けるものとしては、荷電可能な粒子がある。また、質量をもつ粒子であれば重力場の影響を受けるので、実際には如何なる粒子であっても場の影響は受けることになる。
【0022】
図1は本発明に用いられる磁性粒子を示す説明図である。図1(a)は球状の磁性粒子101を示す。また、どの様な場の影響を受けるかに限らず、粒子は必ずしも図1(a)のような単一種類の材質から構成される必要はなく、図1(b)のような、場の影響を強く受ける粒子102が少なくとも一つ含まれ、その粒子が別の種類からなる場の影響を殆ど受けない粒子103で覆われていたり、図1(c)のような、場の影響を強く受ける粒子102が別の種類からなる場の影響を殆ど受けない粒子103を覆う構成の粒子でもよい。更に、いずれの粒子においても形状は必ずしも球状である必要はなく、立体対称性のない、不均一な形状(不図示)であってもよい。ここでは、図1(a)のような球状で大きさは等しいが、互いに特性の異なる材質を用いることにより複数種の異なる場の影響の受け方を変化させた粒子を用いた場合について説明する。また、本発明における粒子とは、場の影響を受ける材質を含んだ粒子に標的物質を捕捉する機能を持った、捕捉体が固定された粒子も含まれる。
【0023】
本実施形態で用いられる流路とは、任意の材質から構成されるもので、前記粒子を含んだ流体を流すことができるものであれば良い。
また、分離領域とは、場を印加させる領域のことであり、印加させる場の強度は自由に変化可能であることが好ましい。
【0024】
図2は、磁性粒子の分離、検出を行う形態を示す概略図である。本実施形態において、検出に必要な光源と検出器は図2のように、分離領域の一方に配置されている。この場合、分離領域を含む流路を覆うものや流路は光に対して透明な材質のものが好ましく、ガラスなどが好ましい。
【0025】
図2は検出装置を含んだ分離装置の概略全体構成図を示し、図3は分離領域を含んだ流路の概略全体構成図を示す。
検出系は、光源201と流路203、分離領域204、標的物質を捕捉した粒子205と検出器207とから成り立っている。光源201から発せられた光は入射光202となり、流路中に配置された分離領域204に入射される。粒子205を分離領域204に分離する前に粒子には蛍光標識された標的物質を捕獲させておく。蛍光標識された標的物質を捕獲した粒子205に蛍光分子を励起する光が入射されると、蛍光206が各分離領域から発せられる。蛍光206は検出器207で検出される。
【0026】
このとき光源201と検出器207は分離領域204に対して同じ側に配置されているが、違う側に配置して蛍光を検出することも可能である。
また、この場合は標的物質を蛍光標識することにより、蛍光を発するようにしているが、ケミルミネッセンス法を用いるような光を発するような検出系にしてもよい。
【0027】
図3(a)、(b)は分離装置についての構成図を示す。
分離装置301は流路302、分離領域304、305、306、粒子307、308、309とからなる。分離領域304、305、306にはそれぞれ場の強度が異なるようにしており、粒子307、308、309はそれぞれ分離領域304、305、306に分離されるように構成を変化させている。
【0028】
粒子307、308、309が混在した流体が流路302を流れ303の方向に流路を流れるようにする。粒子307、308、309は分離領域304、305、306に分離されるように構成を変えられているので、図3(b)のように各々の領域に粒子は分離される。このようにすることにより、複数種の粒子を複数個一時に分離することが可能となる。
【0029】
このとき、分離領域にかかる場を磁場にしてかかる磁場の強度を304、305、306の順で次第に大きくする。粒子307、308、309を磁性粒子として、307、308、309の順で次第に磁場の影響を受け難くする。このように粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して、同じ特性の粒子毎に分離されることにより、分離領域304、305、306にはそれぞれ粒子307、308、309が分離されることになる。粒子と分離領域は磁場に関するものが好ましいが、それぞれを電場や重力場に関する分離装置にしてもよい。
【0030】
(粒子)
分離領域に分離する粒子は、磁性粒子、荷電可能な粒子、質量を持つ粒子に大別される。重力場に存在する粒子は通常質量を持つので、どのような材質からなるものでもよい。重力場に対する性質を変えるには密度の異なる材質のものを用いることにより、特性の異なる粒子を作製することができる。
【0031】
磁性粒子は磁性を持つ材質のものであれば如何なる磁性粒子でもよいが、超常磁性を持つことが望ましく、一般的な磁性体材料を用いていればよい。磁性粒子の特性を変化させる場合、異なる磁性体からなる粒子を用いれば、磁性粒子の特性を変化させることは可能であるが、磁性体以外の材料を用いて図1(b)のように磁性体以外の材料に磁性粒子を導入し、その磁性粒子の数を変化させることにより、磁性粒子の特性を変化させることによっても可能である。また、図1(c)のように磁性体以外の材料の粒子を磁性体で覆う構造の粒子において、磁性体以外の材料の粒子の大きさを変化させ、磁性体で覆う厚さを一定にしておくことにより、特性の異なる磁性粒子を作製することが可能となる。
【0032】
荷電可能な粒子についてであるが、荷電可能な材料を用いたものからなるものであれば如何なる材料のものでも良く、荷電可能な粒子の特性を変化させる場合は磁性粒子の場合のようにすることで特性の異なる荷電可能な粒子を作製することが可能となる。
【0033】
(標的物質/標的物質捕捉体)
標的物質は、非生体物質と生体物質に大別される。
非生体物質として産業上利用価値の大きいものとしては、環境汚染物質としての塩素置換数/位置の異なるPCB類、同じく塩素置換数/位置の異なるダイオキシン類、いわゆる環境ホルモンと呼ばれる内分泌撹乱物質(例:ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、アミトロール、アトラジン、アラクロール、ヘキサクロロシクロヘキサン、エチルパラチオン、クロルデン、オキシクロルデン、ノナクロル、1,2−ジブロモ−3−クロロプロパン、DDT、ケルセン、アルドリン、エンドリン、ディルドリン、エンドスルファン(ベンゾエピン)、ヘプタクロル、ヘプタクロルエポキサイド、マラチオン、メソミル、メトキシクロル、マイレックス、ニトロフェン、トキサフェン、トリフルラリン、アルキルフェノール(炭素数5〜9)、ノニルフェノール、オクチノニルフェノール、4−オクチルフェノール、ビスフェノールA、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジエチル、ベンゾ(a)ピレン、2,4ージクロロフェノール、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、ベンゾフェノン、4−ニトロトルエン、オクタクロロスチレン、アルディカーブ、ベノミル、キーポン(クロルデコン)、マンゼブ(マンコゼブ)、マンネブ、メチラム、メトリブジン、シペルメトリン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、ペルメトリン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジプロピル)等が挙げられる。
【0034】
生体物質としては、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質及びそれらの複合体から選択される生体物質が含まれ、更に詳しくは、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質から選択される生体分子を含んでなるものであり、具体的には、DNA、RNA、アプタマー、遺伝子、染色体、細胞膜、ウイルス、抗原、抗体、レクチン、ハプテン、ホルモン、レセプタ、酵素、ペプチド、スフィンゴ糖、スフィンゴ脂質の何れかから選択された物質を含むものであれば、如何なる物質にも本発明を適用することができる。更には、前記の「生体物質」を産生する細菌や細胞そのものも、本発明が対象とする「生体物質」として標的物質となり得る。具体的なタンパク質としては、いわゆる疾病マーカーが挙げられる。
【0035】
例としては、胎児期に肝細胞で産生され胎児血中に存在する酸性糖蛋白であり、肝細胞癌(原発性肝癌)、肝芽腫、転移性肝癌、ヨークサック腫瘍のマーカーとなるα−フェトプロテイン(AFP)、肝実質障害時に出現する異常プロトロンビンであり、肝細胞癌で特異的に出現することが確認されるPIVKA−II、免疫組織化学的に乳癌特異抗原である糖蛋白で、原発性進行乳癌、再発・転移乳癌のマーカーとなるBCA225、ヒト胎児の血清、腸および脳組織抽出液に発見された塩基性胎児蛋白であり、卵巣癌、睾丸腫瘍、前立腺癌、膵癌、胆道癌、肝細胞癌、腎臓癌、肺癌、胃癌、膀胱癌、大腸癌のマーカーである塩基性フェトプロテイン(BFP)、進行乳癌、再発乳癌、原発性乳癌、卵巣癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるCA15−3、膵癌、胆道癌、胃癌、肝癌、大腸癌、卵巣癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるCA19−9、卵巣癌、乳癌、結腸・直腸癌、胃癌、膵癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるCA72−4、卵巣癌(特に漿液性嚢胞腺癌)、子宮体部腺癌、卵管癌、子宮頸部腺癌、膵癌、肺癌、大腸癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるCA125、上皮性卵巣癌、卵管癌、肺癌、肝細胞癌、膵癌マーカーとなる糖蛋白であるCA130、卵巣癌(特に漿液性嚢胞腺癌)、子宮体部腺癌、子宮頸部腺癌のマーカーとなるコア蛋白抗原であるCA602、卵巣癌(特に粘液性嚢胞腺癌)、子宮頸部腺癌、子宮体部腺癌のマーカーとなる母核糖鎖関連抗原であるCA54/61(CA546)、大腸癌、胃癌、直腸癌、胆道癌、膵癌、肺癌、乳癌、子宮癌、尿路系癌等の腫瘍関連のマーカー抗原として現在、癌診断の補助に最も広く利用されている癌胎児性抗原(CEA)、膵癌、胆道癌、肝細胞癌、胃癌、卵巣癌、大腸癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるDUPAN−2、膵臓に存在し、結合組織の弾性線維エラスチン(動脈壁や腱などを構成する)を特異的に加水分解する膵外分泌蛋白分解酵素であり、膵癌、膵嚢癌、胆道癌のマーカーとなるエラスターゼ1、ヒト癌患者の腹水や血清中に高濃度に存在する糖蛋白であり、肺癌、白血病、食道癌、膵癌、卵巣癌、腎癌、胆管癌、胃癌、膀胱癌、大腸癌、甲状腺癌、悪性リンパ腫のマーカーとなる免疫抑制酸性蛋白(IAP)、膵癌、胆道癌、乳癌、大腸癌、肝細胞癌、肺腺癌、胃癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるNCC−ST−439、前立腺癌のマーカーとなる糖蛋白質であるγ−セミノプロテイン(γ−Sm)、ヒト前立腺組織から抽出された糖蛋白であり、前立腺組織のみに存在し、それゆえ前立腺癌のマーカーとなる前立腺特異抗原(PSA)、前立腺から分泌される酸性pH下でリン酸エステルを水解する酵素であり、前立腺癌の腫瘍マーカーとして用いられる前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)、神経組織及び神経内分泌細胞に特異的に存在する解糖系酵素であり、肺癌(特に肺小細胞癌)、神経芽細胞腫、神経系腫瘍、膵小島癌、食道小細胞癌、胃癌、腎臓癌、乳癌のマーカーとなる神経特異エノラーゼ(NSE)、子宮頸部扁平上皮癌の肝転移巣から抽出・精製された蛋白質であり、子宮癌(頸部扁平上皮癌)、肺癌、食道癌、頭頸部癌、皮膚癌のマーカーとなる扁平上皮癌関連抗原(SCC抗原)、肺腺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、膵癌、卵巣癌、子宮癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるシアリルLeX −i抗原(SLX)、膵癌、胆道癌、肝癌、胃癌、大腸癌のマーカーとなる糖鎖抗原であるSPan−1、食道癌、胃癌、直腸・結腸癌、乳癌、肝細胞癌、胆道癌、膵癌、肺癌、子宮癌のマーカーであり、特に他の腫瘍マーカーと組み合わせて進行癌を推測し、再発予知・治療経過観察として有用である単鎖ポリペプチドである組織ポリペプタイド抗原(TPA)、卵巣癌、転移性卵巣癌、胃癌、大腸癌、胆道系癌、膵癌、肺癌のマーカーとなる母核糖鎖抗原であるシアリルTn抗原(STN)、肺の非小細胞癌、特に肺の扁平上皮癌の検出に有効な腫瘍マーカーであるシフラ(cytokeratin;CYFRA)、胃液中に分泌される蛋白消化酵素であるペプシンの2種(PG I・PG II)の不活性型前駆体であり、胃潰瘍(特に低位胃潰瘍)、十二指腸潰瘍(特に再発、難治例)、ブルンネル腺腫、ゾーリンガーエリソン症候群、急性胃炎のマーカーとなるペプシノゲン(PG)、組織障害や感染により、血漿中で変化する急性相反応蛋白であり、急性心筋梗塞等により心筋に壊死が起こると、高値を示すC−反応性蛋白(CRP)、組織障害や感染により、血漿中で変化する急性相反応蛋白である血清アミロイドA蛋白(SAA)、主に心筋や骨格筋に存在する分子量約17500のヘム蛋白であり、急性心筋梗塞、筋ジストロフィー、多発性筋炎、皮膚筋炎のマーカーとなるミオグロビン、骨格筋,心筋の可溶性分画を中心に存在し、細胞の損傷によって血液中に遊出する酵素であって、急性心筋梗塞、甲状腺機能低下症、進行性筋ジストロフィー症、多発性筋炎のマーカーとなるクレアチンキナーゼ(CK)(骨格筋由来のCK−MM型,脳,平滑筋由来のCK−BB型,心筋由来のCK−MB型の3種のアイソザイム及びミトコンドリア・アイソザイムや免疫グロブリンとの結合型CK(マクロCK))、横紋筋の薄いフィラメント上でトロポニンI,Cとともにトロポニン複合体を形成し,筋収縮の調節に関与している分子量39,000の蛋白であり、横紋筋融解症、心筋炎、心筋梗塞、腎不全のマーカーとなるトロポニンT、骨格筋・心筋いずれの細胞にも含まれる蛋白であり,測定結果の上昇は骨格筋,心筋の障害や壊死を意味するため、急性心筋梗塞症、筋ジストロフィー、腎不全のマーカーとなる心室筋ミオシン軽鎖I、また、近年ストレスマーカーとして注目されてきているクロモグラニンA、チオレドキシン、8−OHdG、コルチゾール等も含まれる。
【0036】
本発明における捕捉体の一種である「抗体」とは、自然界の生物体内で産生される、あるいは遺伝子組み替え技術やタンパク工学技術、更には有機反応等により全体的または部分的に合成された免疫グロブリンを意味する。特異的結合能を保持するその全ての誘導体もまた、本発明における「抗体」に含まれる。この用語はまた、免疫グロブリンの結合ドメインに相同か、または高度に相同な結合ドメインを有する任意のタンパク質を含む(キメラ抗体およびヒト化抗体を含む)。これらの「抗体」、或いは「免疫グロブリン」は、自然界の生物体内で産生せしめる、あるいは全体的または部分的に合成、修飾される。
【0037】
「抗体」、或いは「免疫グロブリン」は、標的物質に対して特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。
「抗体」、或いは「免疫グロブリン」は、任意の免疫グロブリンクラスのメンバーであり得、任意のヒトのクラス(IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE)を含み、本発明においては、IgGクラスの誘導体がより好ましい。
【0038】
本発明における「抗体フラグメント」或いは「抗体断片」とは、前記抗体或いは免疫グロブリンの全長に満たない抗体の任意の分子或いは複合体をいう。好ましくは、抗体フラグメントは、少なくとも、全長抗体の特異的結合能力の重要な部分を保持する。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fv、ディアボディー、およびFdフラグメントが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0039】
抗体フラグメントは、任意の手段によって産生され得る。例えば、抗体フラグメントは、酵素的または化学的に、インタクトな抗体のフラグメント化によって産生され得るか、あるいは部分抗体配列をコードする遺伝子より組換え的に産生され得る。あるいは、抗体フラグメントは、全体的にまたは部分的に合成的に産生され得る。抗体フラグメントは、必要に応じて、一本鎖抗体フラグメントとすることもできる。あるいは、フラグメントは、例えば、ジスルフィド(−S−S−)結合によって連結される複数の鎖を含み得る。フラグメントはまた、必要に応じて、複数の分子の複合体でも良い。機能的な抗体フラグメントは、代表的には、少なくとも約50のアミノ酸を含み、より代表的には少なくとも、約200のアミノ酸を含む。
【0040】
本発明における「可変ドメイン」とは、標的物質(抗原)の種類により特異的な結合/捕捉機能を発揮するために抗原毎に異なるアミノ酸配列部分を有する、免疫グロブリンの先端のドメインであり、通常Fvと記される。
【0041】
前記Fvはまた、「重鎖の可変ドメイン(以下VHと記す場合もある)」、及び「軽鎖の可変ドメイン(以下VLと記す場合もある)」から成り、免疫グロブリンGではVH、VLドメインを通常それぞれ2ずつ含む。
【0042】
本発明における「免疫グロブリン重鎖或いは軽鎖の可変ドメインの機能部分(以下単に「機能部分」と記す場合もある)」とは、前記可変ドメインのなかで標的物質(抗原)との間の特異性を実際に担っている部分であり、学術的にCDR(complementarity determining region:超可変領域)と呼ばれる部分、及びその中でも特に標的物質(抗原)との間の特異性を実際に担っている部分という意味においても用いている。
【0043】
これら標的物質と捕捉体との相互作用は、本発明の粒子により結合後の物理的及び/或いは化学的変化が検出可能であればいかなる相互作用でもよいが、より好ましくは、「抗原−抗体反応」、「抗原−アプタマー(特定構造を有するRNA断片)」「リガンド−レセプター相互作用」、「DNAハイブリダイゼーション」「DNA−タンパク質(転写因子等)相互作用」、「レクチン−糖鎖相互作用」等が挙げられる。
【0044】
ここで、前記粒子表面に前記標的物質を捕捉する捕捉体を持ち、特性の異なる粒子毎に異なった標的物質を捕捉するものを標的物質捕捉試薬とする。
また、標的物質を検出するために、標的物質捕捉試薬と光学的に検出可能な標識を施した標的物質を認識する捕捉体とを少なくとも含むことを特徴とする、標的物質検出用キットを用いることにより、本発明の分離装置を用いたとき、標的物質を検出することが容易となる。本発明でいう標的物質検出用キットとは、標的物質捕捉試薬と光学的に検出可能な標識を施した標的物質を認識する捕捉体との組み合わせのことをいう。
【0045】
(流路)
本発明の流路は、基体に微小溝として加工されていても良いし、キャピラリ構造をとっていても良い。
【0046】
本発明の流路を構成する材料は、流路の加工が可能で、分離領域に検体を導入可能であり、且つ検出系を阻害しない材料であれば如何なる材料も使用可能であるが、通常ガラス、石英ガラス、シリコンといった無機材料、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)といった樹脂を加工し、必要に応じて接合したもの、或いはガラスやポリイミド、ヒューズドシリカ等をキャピラリとして加工したもの等を用いることが出来る。
【0047】
また、図4のように流路410に分岐流路401、402、403を設け、それぞれの分岐流路の直前に分離手段404、405、406を設け、場による引力により、粒子407、408、409がそれぞれ、分岐流路401、402、403に引き寄せられ特性毎に分離することも可能となる。
【実施例】
【0048】
以下では、その他の実施例をもって本発明を説明するが、これらは本発明の範囲をなんら限定するものではない。
実施例1
まず、実施例1を、図5(a)、(b)、(c)を用いて説明する。
【0049】
図5(a)、(b)、(c)は本実施例の概念構成図である。図5(a)の分離装置は流路501、502、503、504、磁性粒子505、506、507、分離領域508、509、510からなる。尚、流路には磁性粒子505、506、507を含む流体を流入する流入口と、各種磁性粒子を分離後の磁性粒子505、506、507を含む流体を排出する流出口がそれぞれの流路に設けられているが、ここでは図示していない。また、それぞれの磁性粒子には標的物質を捕捉するための捕捉体が固定化されており、標的物質との反応は流体流入前に行なう。
【0050】
ここで、捕捉体を固定化している磁性粒子について説明する。本実施例において磁性粒子には図6(a)、(b)、(c)に示すようなMerck社製の磁性マイクロスフィアを用いている例を示す。この磁性粒子はフェライト602が内側に存在し、ポリスチレン601で外側を覆っている構造をしている。この磁性粒子の大きさは0.9μm〜1.8μmである。図6(a)、(b)、(c)ではそれぞれ、フェライトの含有率を15〜25%、26〜35%、36〜50%と変化させている。これら図6(a)、(b)、(c)はそれぞれ、図5において磁性粒子507、506、505に対応している。また、これらの磁性粒子表面にはそれぞれカルボキシル基が固定化されている。それぞれの磁性粒子に捕捉体としてビオチン修飾した抗CEA抗体、抗AFP抗体、抗PSA抗体を固定化するために以下の手順でストレプトアビジンを固定化する。
【0051】
N−Hydroxysulfosuccinimide(同仁化学研究所社製)水溶液と、1−Ethyl−3−[3−dimethylamino]propyl]carbodiimide hydrochloride(同仁化学研究所社製)水溶液をスポッタにて各磁性粒子に滴下する。これにより、磁性粒子表面にスクシンイミド基が露出される。さらに、ストレプトアビジンを結合させることにより、磁性粒子表面がストレプトアビジンで修飾される。
【0052】
最後にビオチン修飾した抗CEA抗体、抗AFP抗体、抗PSA抗体を吸着させることにより、本発明でいう標的物質捕捉試薬が得られる。
実際の測定において、癌のマーカーとして知られているCEA、AFP、PSAの各種抗原について検出を試みる。次の手順で蛍光色素(Cy5)標識した各種抗原を吸着させる。
(1)Cy5色素で蛍光標識した3種類の抗体をビオチン修飾した3種類の抗体へ導入し、5分間インキュベートする。
(2)標識抗体を抜き取り、リン酸緩衝液で洗浄する。
(3)CEA抗原、PSA抗原、AFP抗原が混入している検体をビオチン修飾した3種類の抗体へ導入し、5分間インキュベートする。
(4)抗原溶液を抜き取り、リン酸緩衝液で洗浄する。
(5)標識抗体を流路に導入し、5分間インキュベートする。
(6)標識抗体を抜き取り、リン酸緩衝液で洗浄する。
【0053】
ストレプトアビジン修飾した図6(a)、(b)、(c)の磁性粒子にビオチン修飾した抗CEA抗体、抗AFP抗体、抗PSA抗体を吸着させることにより作製した、前記標的物質捕捉試薬と蛍光色素(Cy5)標識したCEA、AFP、PSAの各種抗原をそれぞれ吸着させる。これらの複合した磁性粒子を含む流体を流入口より導入し、図5(a)の矢印の方向に流体を流す。分離領域508、509、510には磁場が印加されており、その強度は508、509、510の順で次第に大きくなるようにされている。それにより、図5(b)のように、磁性粒子505、506、507は分離領域508、509、510に分離されるようになる。さらに、図5(a)で流体を流した方向の流れを止め、図5(c)に示すように流路502、503、504にそれぞれ矢印の方向に流体が流れるようにする。その後、分離領域508、509、510に印加している磁場が印加されないようにする。それにより、分離領域508、509、510に分離されていた、磁性粒子505、506、507はそれぞれ、流路502、503、504の矢印の方向に流れ、それぞれの流出口で回収される。
【0054】
回収後、図7のような検出装置を用い、各磁性粒子に蛍光標識された標的物質が捕捉されることを検出する。まず、光源として、レーザーダイオード701を用い、回収された各磁性粒子を含む流体は容器703、704、705へそれぞれ注入される。レーザーダイオード701からの励起光702は、容器703、704、705中の蛍光色素(Cy5)標識された磁性粒子の蛍光色素を励起し、蛍光706がそれぞれの容器から発せられる。各容器から発せられた蛍光706はフィルター707を通り、光電子増倍管(PMT)708で検出される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の粒子分離装置は、複数の分離領域を設けることで流体中に含まれる複数種の粒子の中から特定種の粒子を一時に複数個分離することが可能であり、分離する粒子に標的物質を特異的に捕捉する捕捉体を持たせることにより、特性の異なる粒子の種類毎に異なった標的物質を捕捉しているかどうかを検出する標的物質検出装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に用いられる各種の磁性粒子を示す説明図である。
【図2】本発明における磁性粒子を分離、検出を行なう形態を示す概略図である。
【図3】本発明における磁性粒子の分離方法を示す説明図である。
【図4】本発明における磁性粒子の分離方法を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例1に関する分離装置の構成図である。
【図6】本発明の実施例1に関する磁性粒子の構成図である。
【図7】本発明の実施例1に関する検出装置の構成図である。
【符号の説明】
【0057】
101 磁性粒子
102 場の影響を強く受ける磁性粒子
103 場の影響を殆ど受けない磁性粒子
201 光源
202 入射光
203 流路
204 分離領域
205 粒子
206 蛍光などの発光(蛍光)
207 検出器
301 粒子分離装置
302 流路
303 流体の流れの方向
304 分離領域I
305 分離領域II
306 分離領域III
307 粒子I
308 粒子II
309 粒子III
401 分岐流路I
402 分岐流路II
403 分岐流路III
404 粒子分離のための場の印加装置I
405 粒子分離のための場の印加装置II
406 粒子分離のための場の印加装置III
407 粒子I
408 粒子II
409 粒子III
410 流路
501 流路
502 流路
503 流路
504 流路
505 磁性粒子I
506 磁性粒子II
507 磁性粒子III
508 分離領域I
509 分離領域II
510 分離領域III
601 ポリスチレン
602 フェライト
701 レーザーダイオード
702 励起光
703 分離された磁性粒子Iを収容している容器
704 分離された磁性粒子IIを収容している容器
705 分離された磁性粒子IIIを収容している容器
706 蛍光
707 フィルター
708 光電子増倍管(PMT)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中の特性の異なる複数の粒子を分離するための装置であって、前記粒子を含む流体を搬送するための流路と、前記流路中に設けられ、前記粒子を特性毎に分離するための複数の分離領域と、前記分離領域毎に位置し、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離するための分離手段とを有することを特徴とする分離装置。
【請求項2】
前記粒子が磁性粒子であることを特徴とする請求項1記載の粒子分離装置。
【請求項3】
前記分離領域において特性毎に分離された前記粒子を特性毎に回収するための分岐された流路を少なくとも一つ以上有する請求項1または2記載の粒子分離装置。
【請求項4】
前記分岐された流路が前記分離領域毎に存在することを特徴とする請求項3記載の粒子分離装置。
【請求項5】
検体中の標的物質を捕捉するための試薬であって、異なる特性毎に捕集され得る複数種の粒子と、前記粒子表面に標的物質を特異的に捕捉する捕捉体を有し、前記捕捉体は特性の異なる粒子毎に異なった標的物質を捕捉することを特徴とする標的物質捕捉試薬。
【請求項6】
検体中の標的物質を検出するためのキットであって、請求項5に記載の標的物質捕捉試薬と、光学的に検出可能な標識を施した、前記標的物質を認識する捕捉体とを少なくとも含むことを特徴とする標的物質検出用キット。
【請求項7】
検体中の複数の標的物質を検出するための装置であって、請求項5に記載の標的物質捕捉試薬に検体中の標的物質を捕捉させるための手段と、前記試薬および検体を搬送するための流路と、前記流路中に設けられ、前記粒子を特性毎に分離するための複数の分離領域と、前記分離領域毎に位置し、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離するための分離手段と、前記分離領域毎に標的物質捕捉試薬が捕捉した標的物質量を検出するための手段とを有することを特徴とする標的物質検出装置。
【請求項8】
検体中の複数の標的物質を検出する方法であって、請求項5に記載の標的物質捕捉試薬に検体中の標的物質を捕捉せしめる工程と、前記標的物質捕捉試薬中の特性の異なる粒子を特性毎に異なる分離領域に固定する工程と、前記分離領域毎に標的物質捕捉試薬が捕捉した標的物質量を検出する工程とを有することを特徴とする標的物質検出方法。
【請求項9】
流体中の特性の異なる複数の粒子を分離する方法であって、前記粒子を含有する流体を一定の流速で搬送する工程と、前記粒子を特性毎に分離するために、前記粒子の特性の違いに応じて生じる引力の差を利用して同じ特性の粒子毎に分離する工程とを有することを特徴とする粒子分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−7146(P2006−7146A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190302(P2004−190302)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】